旭川市旭山動物園
旭川市旭山動物園(あさひかわしあさひやまどうぶつえん)は、北海道旭川市にある日本最北の動物園。
目次
概要
動物の自然な生態が見られる行動展示(後述)を実施して、一躍有名になった。1997年以降は入園者数が増加し、北海道を代表する観光地として定着している。日本国内だけではなく海外[1]テンプレート:要出典からも数多くの観光客が訪れている。2004年6月の「あざらし館」公開以降は7月は18万5,461人、8月は32万1,500人と、恩賜上野動物園を抜いて日本一の月間入園者数を記録した。2006年度の入園者数は300万人を超え、350万人の来園者があった上野動物園に次いで国内2位、世界レベルでも上位の入場者数を誇る。2010年、愛知県の東山動植物園に次ぐ第3位[2]。寒冷地域に生息する動物の飼育繁殖に実績があり、旭山動物園が国内で初めて飼育下での自然繁殖に成功した動物にホッキョクグマ、アムールヒョウ、コノハズクなどがいる。
展示
行動展示
日本の動物園で一般的な、動物の姿形を見せることに主眼を置いた「形態展示」ではなく、行動や生活を見せる「行動展示」を導入したことで注目を集めた。
ペンギンのプールに水中トンネルを設ける、ライオンやトラが自然に近い環境の中を自由に動き回れるようにするなど、動物たちが動き、泳ぎ、飛ぶ姿を間近で見られる施設造りを行っている。環境エンリッチメントとして、冬のペンギンの運動不足解消から始められた雪の上の散歩は人気イベントで、積雪時に限り毎日開催される。このほか、食事時間を「モグモグタイム」と題し、動物の行動を展示する催しも行われている。旭山動物園の行動展示は今後の動物園展示の指針として国内外の動物園関係者が視察に訪れるなど注目されている。
混合展示
異なる動物を同じ場所で飼育する「混合展示」も新たな取り組みとして試みられている。現在はゴマフアザラシとウミネコ・オオセグロカモメ、ジェフロイクモザルとカピバラの混合展示を行っている。過去にはペンギン館でアザラシの仔を飼育していたことがあるほか、マルミミゾウとモモイロペリカンの混合展示もあった。動物同士のストレス解消などの狙いがある。
歴史
かつて動物園は大都市にしかない施設であり、北海道では1951年にようやく札幌市円山動物園が開園した。高度経済成長の到来した1960年前後から全国の地方都市で盛んに動物園が建設されるようになり、1963年にはおびひろ動物園が開園した。
旭川市でも動物園開設を求める声が大きくなり、当時の五十嵐広三市長(後の建設大臣・内閣官房長官)が、1964年度以降開園へ向け予算をつけた。建設地には市内数カ所の候補があったが、地形や地質が適していたこと、また市内中心部から旭川電気軌道の路面電車(旭川電気軌道東旭川線、1972年廃止)が運行されていたことなどが決め手となり、市の東部にある旭山が選ばれた。1966年4月着工、1967年6月完工、総事業費は約2億5千万円であった。各地に預託されていた動物を運び入れて開園したのは1967年7月1日である。当初の動物は75種505点だった。なお、これにはコイ200匹も含まれている。
当初40万人ほどだった年間入園者数は、旭川市の人口増とともに右肩上がりに増加したが、1983年の約59万7千人をピークに減少に転じた。1994年にはニシローランドゴリラ[4]とワオキツネザルが相次いでエキノコックス症で死亡するという事態が発生、施設面も含めて予防策を検討するために8月27日で営業を切り上げた。人間への感染の恐れはほとんどなかったが、市民の不安は大きく、入園者減少に追い打ちをかける形となった。1996年には約26万人まで入園者数は落ち込んだ[4]。
これを打開すべく、1997年より行動展示を実現する施設づくりに着手した。同年には巨大な鳥籠の中を鳥が飛び回る「ととりの村」が完成。翌年以降「もうじゅう館」、「さる山」、「ぺんぎん館」、「オランウータン舎」、「ほっきょくぐま館」、「くもざる・かぴばら館」と毎年のように新施設をオープンさせ、そのたびに入園者を増やしている。
2005年11月15日、NHKの番組「プロジェクトX〜挑戦者たち〜・旭山動物園〜ペンギン翔ぶ〜」に取り上げられた。また、2006年5月13日には、フジテレビ系列で旭山動物園をモチーフとしたスペシャルドラマ「奇跡の動物園〜旭山動物園物語〜」が放送、次いで2007年5月11日、2008年5月16日に続編が放送された。今後もドラマの撮影や映画の撮影が予定されている。
年間入場者数は、2005年度には前年比55万人増の206万人、2006年度には304万人を記録している。上野動物園の350万人に肉薄し、夏休み期間中はそれを凌ぐ入場者を集め、北海道と代表する観光地となっている。また、Webページではマイクロソフトと連携し、Microsoft Windows Vistaの標準機能であるWPFを活用した、旭山動物園の紹介や動物について詳細に書かれている無料コンテンツ「Mother Earth〜母なる地球」が作られた。2009年4月には、旭川市が制定した旭山動物園オフィシャルサポーター制度で承認された「あさひやま"もっと夢"基金応援サイト 旭山動物園モバイル」がJNN系列である北海道放送よりリリースされ、ライブカメラで「あざらし館」や「ほっきょくぐま館」、「ぺんぎん館」をのぞく事が出来る他、開園当時の様子や、貴重なテレビ放送の動画なども閲覧することが出来る。
年表
- 1967年7月1日 - 開園。
- 1968年 - くる病を患い立てなくなったゾウの花子を北海剥製標本社の信田修治郎に売却。詳細は宮内温泉の項を参照。
- 1972年、飼育員がアジアゾウに襲われ死亡する[4]。3日間閉園テンプレート:要出典。
- 1974年 - 国内で初めてホッキョクグマの繁殖に成功する。
- 1981年 - 国内で初めてオオコノハズクの繁殖に成功する。
- 1983年 - 動物資料館が完成。
- 1985年 - 国内で初めてエゾヤチネズミの繁殖に成功する。
- 1987年 - 国内で初めてオオタカの人工孵化に成功する。
- 1988年 - 飼育員達が行動展示について語り合い、その夢を絵として残す。後に「ととりの村」、「ぺんぎん館」等として実現し、旭山動物園復活の重要な鍵となる。
- 1989年 - 動物病院が完成。
- 1990年 - 国内で初めてトビの人工孵化に成功する。
- 1991年 - 国内で初めてアムールヒョウ、コガモの繁殖に成功する。
- 1992年 - 爬虫類舎が完成。
- 1993年 - 国内で初めてコノハズク、ヒヨドリの繁殖に成功する。
- 1994年 - ニシローランドゴリラとワオキツネザルがエキノコックス症で死亡、8月27日より途中閉園。
- 1995年 - 国内で初めてオマキトカゲ、スズガモ(人工孵化)の繁殖に成功する。
- 1995年 - 小菅正夫が園長就任。
- 1996年 - 1984年から減少していた年間入園者数が最低の26万人まで落ち込む。国内で初めてシマアジ(鳥類)、キレンジャクの繁殖に成功する。
- 1997年 - 行動展示の施設の建設を開始。その第一弾である「ととりの村」が完成。
- 1998年 - もうじゅう館が完成。国内で初めてスズメ(人工孵化)、ヒドリガモの繁殖に成功する。
- 1999年 - モデル事業として冬季営業を開始。翌年以降も継続。
- 2000年9月 - ぺんぎん館が完成。
- 2001年8月 - オランウータンの空中[[[運動場]]が完成。
- 2002年9月 - ほっきょくぐま館が完成。
- 2003年2月13日、「もうじゅう館」でアムールトラに飼育担当者が後頭部など数箇所を噛まれ、重傷を負う。[5]
- 2004年6月 - あざらし館が完成。特徴的な水槽が行動展示の代表として多くのマスメディアに取り上げられ、夏の入園者数激増の要因となる。
- 2004年7月・8月 - 初めて月間入園者数が恩賜上野動物園を抜き日本一に。以後、毎年夏シーズンは上野動物園を上回り、北海道を代表する観光スポットとなる。
- 2005年1月 - おらんうーたん館が完成。
- 2005年8月 - くもざる・かぴばら館が完成。
- 2006年 - 年間入園者200万人を達成。
- 2006年7月 - 第二子ども牧場が完成。
- 2006年8月 - チンパンジーの森が完成。
- 2007年4月 - 年間入園者数が300万人を突破(2006年度)。国内で初めてオオワシの人工孵化に成功する。
- 2007年12月 - レッサーパンダの吊り橋が完成。
- 2008年6月 - オオカミの森が完成。
- 2009年4月 - 坂東元が園長就任。
- 2009年4月 - エゾシカの森が完成。
- 2009年5月 - ホッキョクギツネ舎が完成。
- 2009年8月 - てながざる館が完成。
- 2010年4月 - もうきん舎が完成。
- 2012年7月18日、ヨーロッパフラミンゴが脱走。2012年8月18日に、園にて飼育していた捕獲するための囮用のフラミンゴ4羽のうち、1羽が死亡し、1羽が行方不明となる[6]。2012年8月21日に旭川東署にフラミンゴの遺失物届を提出。
- 2013年11月21日 - 老朽化した総合動物舎に代わる施設、きりん舎・かば館が完成。
- 2013年11月27日 - 開園時から飼育されていたカバのザブコが衰弱死[7]。
施設と飼育動物
北に位置する動物園のため、北方系の動物の展示が多い傾向にある。
- 総合動物舎(一部動物は2013年秋に完成の「きりん舎・かば館」に移動)
- キジ舎
- 小獣舎
- シカ類
- 総合サル舎
- ととりの村
- こども牧場
- さる山
- もうじゅう館
- ぺんぎん館
- ほっきょくぐま館
- ホッキョクグマなど
- あざらし館
- オランウータン館と空中運動場
- くもざる・かぴばら館
- チンパンジーの森
- レッサーパンダの吊り橋
- オオカミの森
- エゾシカの森
- ホッキョクギツネ舎
- てながざる館
- シマフクロウ舎(2010年オープン)
- タンチョウ舎(2011年オープン)
- 両生類・は虫類舎(2011年春リニューアル)
- シロフクロウ舎
- ワシ・タカ舎
- 北海道産動物舎(2012年秋リニューアル)
- きりん舎・かば館(2013年秋オープン)
- 動物資料展示館
かつては「ノシオ」と言う名のミナミシロサイが展示されていたが、2009年11月17日に腎不全で死亡し、このため、北海道の動物園からはサイが見られなくなった。 また、ゾウもいなくなったために、北海道にはおびひろ動物園にいるのみである[8]。
- Ursus maritimus, Asahikawa Asahiyama Zoological Park.jpg
ほっきょくぐま館
- Asahiyama zoo Penguin.jpg
冬期開園時の名物「キングペンギンの散歩」
- オランウータン 旭山.JPG
オランウータン舎
- Lesser panda.jpg
レッサーパンダの吊り橋
- Phoca largha Asahiyama zoo.jpg
あざらし館
- Aptenodytes patagonicus Asahiyama zoo.jpg
ペンギン館
- Ezoshika no mori01.jpg
エゾシカの森
- Asahiyama-zoo-Phoca.jpg
ゴマフアザラシもぐもぐタイム
食事・おみやげ
西門と東門、しろくま館隣に食堂を設置する。園内への弁当を持ち込みは可能。ただし、バーベキューなど火気の使用は禁止されている。
モグモグテラス
旭川ターミナルビル㈱が経営。旭山動物園に入居する飲食施設で最大規模。営業時間は10:30 - 17:30(夏期)、10:30 - 15:30(冬期)。動物園入園者以外の利用も可能。
限定品
旭山動物園限定のお土産やグッズも販売される。正門と東門の売店付近に設置されているカプセルトイ「旭山動物園カプセル・ズー」では動物園の完全オリジナル商品が購入可能。原型制作を海洋堂が手がけ、ホッキョクグマが水中に飛び込むシーンや、キングペンギンの散歩など、旭山動物園を代表する光景がヴィネット(情景模型)として再現されている。全6種類、各300円。
営業
開園日時
- 夏期・冬期の営業を切り替える4月上旬から下旬、11月上旬から下旬、および年末年始は休園となる。(2014年度は4月8日-25日、11月4日-10日、12月30日-2015年1月1日)
- 2014年度は夏期が4月26日 - 11月3日(うちお盆期間は「夜の動物園」と称して開園時間を延長。2014年度は8月9日 - 15日が対象)、冬期は11月11日 - 12月29日および2015年1月2日 - 4月7日。
- 夏期 : 10月15日まで 9:30 - 17:15(入園締切は16:00) 10月16日から 9:30 - 16:30(入園締切は16:00)
- お盆期間 : 9:30 - 21:00(入園締切は20:00)
- 冬季 : 10:30 - 15:30(入園締切は15:00)
入園料
(2014年度)
- 一般
- 大人(中学生を除く15歳以上) - 820円
- 団体(大人25名以上) - 720円
- 旭川市民特別料金
- 大人(中学生をのぞく15歳以上) - 590円
- 団体(大人25人以上) - 490円
- 旭山動物園年間パスポートは1,020円。青少年科学館共通パスポートは1,820円。2011年度より有効期間が変更となり、最初の入園日から1年間有効となる。ただし休園日は除く。[9]テンプレート:要出典
- 中学生以下、70歳以上の旭川市在住者、身体障害者と介助者、生活保護世帯は無料。(要証明)
アクセス
- 旭川市中心部より約10km
自家用車
- 道央自動車道旭川北インターチェンジより道道37号を旭川空港面に8km進み、動物園通から2km、また旭川鷹栖インターチェンジより15km、旭川紋別自動車道愛別インターチェンジより18km。
- 周辺には市営の無料駐車場(正門、東門)と、民間の駐車場(夏季のみ有料:500円、正門、東門、西門)がある。
バス
- ファンファン(循環バス)
- 期間限定の運行、旭川市のサイトで運行を参照。
鉄道
- 旭川駅
- 土日祝や繁忙期に臨時特急「旭山動物園」号が、札幌駅 - 旭川駅間を1日1往復する。全席指定扱。
- また「旭山動物園きっぷ」[10]等の乗車券とのセット商品も販売されている。
- 旭川駅からは多数バスが出ており旭川駅からのアクセスが一般的である。
- 東旭川駅
- 北日ノ出駅
- JR北海道石北本線北日ノ出駅から徒歩約25分。ただし本数の少なさやバスが出ていないなどアクセスの悪さから最寄り駅ながらアクセス駅の機能は果たしていない。
旭山動物園でロケを行ったテレビ番組
- ぴったんこカン・カン(TBS系)
- ドリーム・プレス社(TBS系)
- めざましテレビ公認 わがまま!気まま!旅気分(uhb・BSフジ)
- 旭山動物園日記シリーズ(HTB制作 テレビ朝日系)
- 水曜ミステリー9「シロクマ園長 命の事件簿」(テレビ東京系)
旭山動物園の再起・脚光を描いた作品
- ドラマ『奇跡の動物園~旭山動物園物語~』(フジテレビ系)
- ドキュメンタリー『プロジェクトX ~挑戦者たち~』第183回 「旭山動物園 ペンギン翔ぶ ~閉園からの復活~」(NHK)
- 映画『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』
- 漫画『ASAHIYAMA-旭山動物園物語-』 (コミックチャージ)
関連項目
- 小菅正夫(こすげまさお)- 前園長
- あべ弘士 - 絵本作家。1972年から25年間、飼育係として勤務。行動展示の原点となるスケッチを描いた。
- 野生生物レスキューセンター (ボルネオ) - 園が支援した。
- 旭山三浦庭園 - 隣接する庭園
- 動物園、動物園の一覧
- 北海道の観光地
脚注
外部リンク
- 旭山動物園
- 旭山動物園の奇跡の原点とは - 前園長の小菅正夫が格闘技雑誌に語った異色のロングインタビュー
- 旭山動物園ストリートビュー
- 「命の輝きを伝える旭山動物園の園長」坂東 元さん - 現園長 坂東元のインタビュー
- 旭山動物園の動物一覧
- ↑ 特にアジアからの観光客が顕著。テンプレート:要出典
- ↑ 2011年10月30日放送スタイルプラス
- ↑ http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/zoo/news/kikin/kikin.html
- ↑ 4.0 4.1 4.2 ヒューマンインタビュー 牧田雄一郎さん(60) *旭山動物園で開園以来勤務し今月末で退職する飼育員*動物たちとともに40年*今後も地元に密着を 旭川報道部・小川郁子 2008/03/23 北海道新聞旭川支社 2013-3-26閲覧
- ↑ 2003年2月13日共同通信
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 2010年度までは、購入日に関係なく4月1日から翌年3月31日までの有効期間だった。テンプレート:要出典
- ↑ お得なきっぷ