カササギ
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カササギ(鵲、テンプレート:Snamei)は、鳥綱スズメ目カラス科の1種である。別名にカチガラスもしくはコウライガラスがある。現代中国語では「喜鵲」と呼ぶ。
目次
分布
生息域
現在一般的な分類[1]では、旧北区の広範囲に分布する。しかしこの分類は不正確であり、修正が迫られている[2]。
北米の2種を亜種として含める[2]と、その分布は旧北区に加え新北区となる。逆に、本種を複数種に分割する[1]なら、日本の個体群を含む[2]亜種 テンプレート:Snamei は別種 テンプレート:Snamei となり、その分布域はほぼ東アジアに限られる。
日本では佐賀県(佐賀平野一帯)や福岡県(筑後平野一帯)といった有明海を取り囲む平野部を中心に生息していたが、近年テンプレート:いつは糸島市や福岡市西部にも分布を広げている。また、北海道・長崎県・熊本県・大分県の一部地域でも少数が生息している。ハシブトガラスのように群れを作らず、主にツガイ、もしくは巣立ち前の雛と少数単位で暮らす。また、ハシブトガラスよりも一回り小さく、黒地に白い羽を持つ。 世界的には北米西部、欧州、中央アジア、極東に分布する。
生息地
日本では生息範囲が非常に狭いことから、1923年(大正12年)3月7日、その生息地を定めて、カササギ生息地一帯の市町村は国の天然記念物に指定されていた。カササギは生息が局地的であることから、朝鮮半島からの外来種であると推定されている(ただし現在、日本のカササギは、朝鮮とは別亜種で中国と同亜種に分類されている[2])。
また、佐賀県では、県民からの一般公募により、1965年(昭和40年)、県鳥とされた。近年、徐々に生息域が広がっている。
1990年頃からは、北海道の室蘭市や苫小牧市でも生息している。これらの地域では、渡りの経路は不明だが、苫小牧港に入港する韓国の貨物船で持ち込まれたという説が有力である。
生態
食性
穀類や昆虫、木の実などを食べる雑食性である。ケラやハサミムシ・コオロギなど地面に生息する虫も捕食する。秋にはイナゴなどの害虫を食べることから、益鳥とされる。戦前の調査では、全羅南道のカササギの砂嚢から、ジャガイモや大豆が見出されている。
繁殖
1月中旬頃から営巣地を探しはじめ、3月中旬頃までにはクスノキなどの樹木に木の枝・わらなどを用いた球状の巣を作る。現在では都市化の影響で、電柱に巣を作る個体が増加しているが、これは時として停電を招くこともある。そのため、九州電力などでは、電柱上の変圧器付近に黄色い風杯型風車を取り付けるなどして、カササギなどの鳥に巣を作られないよう対策を講じている。
産卵は、営巣後すぐに行なわれ、楕円形の薄い緑色をした卵を5~6個産む。雌が抱卵し、17-18日で孵化する。孵化後22-27日たった5月下旬には雛が巣立ちし、巣も放棄される。巣立ち後の若鳥は12月頃まで集団でねぐらにつくが、その後番いを形成して分散し、個別の縄張りを持つようになる。なお、番いの関係は一生続く。
知能
カササギは鳥類のなかでも大きな脳を持っており、哺乳類以外では初めて、ミラーテストをクリアした、すなわち、鏡に写った像が(他の個体ではなく)自分であることを認識したことが確認された[3]。日本においても、老人や子供は警戒しない一方で、若い男性など危害を与えようとするものには警戒して近寄らないという観察結果が出ている。
亜種
国際鳥類学会議は、11亜種を認めている。ただしこれらのうち テンプレート:Snamei、テンプレート:Snamei、テンプレート:Snamei は別種かもしれない[1]。逆に、カササギ属全体が1種に分類される可能性もあり、その場合は、北米の同属2種が2つの亜種として加わる[2]。
- テンプレート:Snamei テンプレート:AUY - 北スカンディナヴィア、北西ロシア[4]
- テンプレート:Snamei (テンプレート:AUY) - ブリテン諸島、南スカンディナヴィアから東欧、小アジア
- テンプレート:Snamei テンプレート:AUY - イベリア半島
- テンプレート:Snamei テンプレート:AUY - 北西アフリカ
- テンプレート:Snamei テンプレート:AUY - 南西サウジアラビア
- テンプレート:Snamei テンプレート:AUY - 中央ロシアからイラン、北インド、モンゴル
- テンプレート:Snamei テンプレート:AUY - 西・南シベリア
- テンプレート:Snamei テンプレート:AUY - 南東ロシア、北東中国
- テンプレート:Snamei テンプレート:AUY - カムチャツカ半島
- テンプレート:Snamei テンプレート:AUY - 北ミャンマーから東中国、北インドシナ
- テンプレート:Snamei テンプレート:AUY - 西中部中国
保全状態評価
天然記念物「カササギ生息地域」
- 福岡県 - 久留米市(旧大善寺町、城島町、三潴町域)、筑後市(旧西牟田町域)、柳川市、大川市、大木町、みやま市(旧瀬高町、山川町域)、福津市
- 佐賀県 - 佐賀市、鳥栖市、多久市、武雄市、鹿島市、小城市、嬉野市、神埼市、吉野ヶ里町、基山町、みやき町、上峰町、大町町、江北町、白石町、太良町
1923年3月7日、佐賀県の天然記念物に指定された。
自治体などの鳥
文化
日本
古代の日本には、もともとカササギは生息しなかったと考えられる。「魏志倭人伝」も「日本にはカササギがいない」と記述している。
しかし、七夕の架け橋を作る伝説の鳥として、カササギの存在は日本に知られることとなった。奈良時代の歌人大伴家持は七夕伝説に取材した下記の歌でカササギを歌っている。(『新古今和歌集』・『小倉百人一首』に収載) テンプレート:Quotation 現在日本に生息するカササギは、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に、肥前国の佐賀藩主鍋島直茂、筑後国(現福岡県)の柳川藩主立花宗茂など九州の大名らが朝鮮半島から日本に持ち帰り、繁殖したものだとされる[注釈 1]テンプレート:要出典。その一方で、冬に朝鮮半島から渡ってくるミヤマガラスの大群にカササギが混じっていることがあるという観察結果から、渡ってきたカササギが局地的に定着したという意見もあるテンプレート:要出典。
七夕のカササギの伝承は日本では「サギと付くからサギの仲間だろう」と思われたため、カササギではなくサギで代用されている(鷺舞を参照のこと)。
朝鮮半島
朝鮮半島では、七夕伝説における織姫と彦星の間をつなぐ掛け橋の役を担う鳥として、親しまれている。朝鮮語ではカササギを「까치(Kkachi、カチ)」と呼ぶ。大韓民国では首都のソウル特別市をはじめとする多くの都市が市の鳥に指定している。また、ソウルの地下鉄にはカチ山駅という駅がある。
英語圏
英語では、カササギ、オナガ、サンジャク、ヘキサンなどをまとめて テンプレート:En(マグパイ)と呼び、伝統的に「おしゃべり好きのキャラクター」としての表象を与えられている。また、金属など光るものを集める習性があることから、「泥棒」の暗喩に用いられることがある。テンプレート:要出典範囲。しかし、実際はカササギは光る物を持っていくことは無い[7]。
カササギにちなんだ作品・命名
- 異食症(ピカ):ラテン語の「ピカ」は、カササギに由来している。
- オペラ「泥棒かささぎ」:ロッシーニ作曲
- 七夕の国:岩明均による伝奇漫画作品。特別な能力を人類に与えた異星人をカササギに例え、物語中の一つのキーワードになっている。
- ウィントス:Jリーグのクラブ、サガン鳥栖のマスコット。カササギ(カチガラス)をモチーフにしている。
- かささぎ大橋:静岡県磐田市と浜松市東区を結ぶ天竜川に架かる橋。
注釈
- ↑ 「かちかち(勝ち勝ち)」と鳴くのが縁起が良いとされ、この鳴き声から「かちがらす」と呼ばれるようになったといわれている
参照元
参考文献
- 河口孫治郎「天然紀念物調査報告書之部 鵲」 『史蹟名勝天然紀念物調査報告書 第二輯』福岡縣 1926年
- 佐賀縣史蹟名勝天然紀念物調査會『佐賀縣史蹟名勝天然紀念物調査報告 第一輯』佐賀縣 1927年
- カササギ保護対策調査委員会『天然記念物カササギ生息状況調査報告書』佐賀県教育委員会 1991年
- 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、平凡社、1986年、162頁。
外部リンク
- ↑ 1.0 1.1 1.2 Master List | IOC World Bird List - Vireos, crows, and allies Version 3.5 (2013)
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 テンプレート:Cite journal
- ↑ PLoS Biology - Mirror-Induced Behavior in the Magpie (Pica pica): Evidence of Self-Recognition
- ↑ 生息域全て Master List | IOC World Bird List - Vireos, crows, and allies Version 3.5 (2013)
- ↑ 福岡県環境部自然環境課『福岡県レッドデータブック』1999年
- ↑ 福岡県環境部自然環境課『福岡県の希少野生動物 福岡県レッドデータブック2011』2011年
- ↑ 俗説「カササギは宝石泥棒」は誤り、英研究AFP=時事 2014年8月20日(水)9時31分配信