ドラえもん のび太と銀河超特急
『ドラえもん のび太と銀河超特急』(ドラえもん のびたとぎんがエクスプレス)は、藤子・F・不二雄によって執筆され、月刊コロコロコミック1995年9月号から1996年2月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品。および、この作品を元に1996年3月2日に公開された映画作品。大長編ドラえもんシリーズ第16作、映画シリーズ第17作。
映画監督は芝山努。配給収入16億5000万円、観客動員数310万人。第14回ゴールデングロス賞優秀銀賞受賞作。併映作は『ドラミ&ドラえもんズ ロボット学校七不思議!?』。
目次
解説
22世紀の銀河ミステリー列車「銀河超特急」でドラえもん達が、宇宙の外れにあるテーマパーク「ドリーマーズランド」となった小惑星群を訪れ、活躍する物語。
原案は単行本20巻収録、14ページの短編作品「天の川鉄道の夜」(この作品も宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に対するオマージュである)であり、どこでもドアの発明によって寂れた天の川鉄道や銀河の果ての星の存在(原作ではハテノ星雲)や天の川鉄道の車掌の姿もこの作品がモチーフになっている。鉄道、西部劇、中生代の世界など他のドラえもん映画作品と比較して藤子Fの趣味・趣向が多く取り入れられている作品である。また本作はのび太の射撃の腕前、しずかの風呂好きなどレギュラーキャラクターの設定が重要な役割を担っている。
今作では一時的にスネ夫が悪役となる作品であり、序盤からスネ夫が孤立化している部分が存在する。
藤子Fは映画原作である大長編を描く際、子供を置き去りにしないよう、幼児から小学生まで楽しめるような作品を心がけており、本作はビジュアル主体の賑やかな物語をコンセプトとして制作された[1]。これには、前作の『創世日記』の物語が「生物進化」「文明進化」といった難しさを妊んでいたことの反省の意味も込められている[2]。
その一方で、観光開発による地域経済活性化といった社会問題に踏み込んだ側面も持つ。この話ではメズラシウムという鉱石採掘により活況を呈していたハテノハテ星群が、資源の涸渇により都市の廃墟、過疎化に喘いでいたところに国を挙げてドリーマーズランドというテーマパークによって再興を図るというのが話の核心にあるが、この作品が作られた当時は、全国の至る地方自治体でブームに便乗してテーマパーク建設による地域活性化を図っていた時代背景があった。また、ハテノハテ星群には華やかなテーマパークだけでなく、無人化した集落や往事の廃坑、使用されなくなった貨物用のSL、そして鉱山採掘の副産物などが登場し、生々しい情景を醸し出している。
大長編、映画になると、いつもダメなのび太が大活躍するのは定番だが、本作では危機的状況に瀕して俄然勇気を出すのび太にスネ夫が「のび太は映画(大長編)になるとかっこいいことをいう」というメタフィクション的な台詞がある。また、天才ガンマンのび太の実力を再度認識させられる作品でもある。西部の星では、1個の空き缶に6発全弾を命中(それも1発目で宙に浮いたところへ、空中で残り全弾を『同じ空き缶に』命中させる)という離れ技や強盗団のアジトでドラえもんがネズミを目撃し気絶してしまい、1対4という絶体絶命のピンチに陥りながら、横に1回転しながらピストルを撃ち、全員に命中させる(原作では1回転はしないが、相手は6人となっておりそれを早撃ちで倒す)という技を披露し、最後の場面では、ヤドリ大帝が襲いかかる一瞬を早撃ちで見事に倒している。
1997年3月上映の次作『のび太のねじ巻き都市冒険記』の連載途中の1996年9月23日に藤子Fが死去したため、シリーズ中で本作は藤子Fが「結末まで手がけた」かつ「存命中に上映を見届けた」最後の作品となった。10年以上に亘ってドラえもん映画の主題歌を担当していた武田鉄矢は、この作品を最後に主題歌の提供を取り止めたが、2010年3月上映の『のび太の人魚大海戦』で14年ぶりに挿入歌を担当した。
映画は音響監督を担当した浦上靖夫のアイディアにより、メンデルスゾーンの『夏の夜の夢』の序曲(列車到着の場面など)、『スケルツォ』(ドリーマーズランド到着前の戦闘アトラクションの場面)、『妖精の行進』(ヤドリにドリーマーズランドが乗っ取られ、アトラクションが暴れだす場面)、『結婚行進曲』(メルヘンの星「白雪姫コース」のクライマックス場面)がBGMに使われていた。
今作は映画『ドラえもん のび太の大魔境』以来14年ぶりにOPにのび太、スネ夫、ジャイアン、しずかが登場した。
同年のNG大賞では、史上初となるアニメのNGが放送される。アニメのNGということで声優のNGかと思いきや、ドラえもんたちがNGを出しているものであり(ドラえもんが列車に乗る直前に切符でなく切手を出す、宇宙の場面では宇宙忍者でなくのび太のママが登場してしまう、など)、NGのために新規の作画が描き下ろされた。その後柳沢慎吾などとドラえもんがアニメで共演。
映画では原作にはなかったのび太たち現代人とアストンたち未来人の和解の場面が描かれている。また、のび太達の子孫らしいということが伺える。さらに『のび太の日本誕生』のククルとのび太の「お爺ちゃんのお爺ちゃんのそのまたお爺ちゃんの・・・」「そんなにお爺ちゃんじゃない!」というやり取りも追加されている。
2004年には同作を4週にわたり上記のNG集を含めた「完全版」(番組内では「特別版」)をテレビスペシャルとして放送した。ただしこの「完全版」は一部の本編やエンドロールがカットされているため、一般的に「完全版」と呼べるものとは異なる。
今作の悪役であるヤドリは劇場版の中で唯一逃走した悪役である(最も敵としての数が多くヤドリは集合体であるため)。
あらすじ
スネ夫が、人気のミステリー列車の切符を3枚手に入れたと自慢する。ジャイアンと静香は、ぜひ連れて行ってほしいとスネ夫に頼み込む。そこへのび太が駆け込むと、お約束通り、スネ夫が「のび太の分はない」と嫌味を告げようとするも、彼はどうでもいいと一蹴。実は、ドラえもんが3日間も帰らないので、その行方を捜していたのだ。結局、その日も当てはなく、すっかり落胆して帰る。
ところが、家に帰ると何事もなかったかのようにドラえもんがいた。どうやら彼の話によると、別の用事で22世紀へ戻った際、長い行列を見て並んでみたら、それは22世紀で大人気の銀河ミステリー列車の切符の販売前で、3日間かかってやっと手に入れたらしい。それを知って大喜びするのび太、二人はさっそくその話題のミステリー列車に乗り込む。それは列車というより宇宙船で、さながら銀河鉄道の夜の世界であった。地球では到底見ることのできない宇宙や惑星の絶景にすっかり感銘を受けたのび太は、お返しとばかりにスネ夫たちを集めて、盛んに自慢した。
そんな話を聞かされては到底黙ってられない3人。ジャイアンも静香も、自分たちも連れて行って欲しいと頼み込む。さらにはスネ夫までもがちゃっかり旅の準備をしていた。こうして、いつものメンバーが揃った所で、銀河超特急の扉が開いた。
そのミステリー列車で到着したのは宇宙の外れにある巨大遊園地「ドリーマーズランド」。ドラえもんたち5人は気の赴くままに楽しむが、一方で謎の生命体「ヤドリ」がハテノハテ星群のある星を根城に、人間支配を企んでいた。
ゲストキャラクター
- 銀河超特急車掌
- 声 - 伊倉一恵
- 銀河超特急の車掌。目と口しかない簡素な顔立ちで、いつも笑顔を絶やさず、礼儀正しく、職務に忠実。体が小さく、同じ作者のオバケのQ太郎および新オバケのQ太郎のハカセ同様、制服はぶかぶか。なお、制服は車掌には珍しく緑色。ヤドリにとりつかれる事も無く、最後までドラえもん達と行動を共にしてヤドリを撃破する事になる。
- ボーム
- 声 - 塩沢兼人
- 22世紀の新聞「コスモタイムズ」の社会部記者。休暇旅行で銀河超特急に乗り、のび太たちと知り合う。ヤドリにとりつかれたのび太のハンマー攻撃を華麗にかわすなど、小太りな外見に似合わず動きが俊敏なことが伺える。また、のび太たちに的確なアドバイスを与えてくれる頼りがいのある人物。医学の知識も心得ている。
- アストン
- 声 - 真殿光昭
- 銀河超特急の乗客で、22世紀の大富豪の息子。普段は父親がお金持ちなのを鼻にかけているらしい。のび太たちを「昔者(むかしもん)」と呼んでからかい馬鹿にしていた。最初にヤドリに寄生され、のび太たちに救われ(実際はドンとジェーンが救助した)た後に和解した。射撃の腕はなかなか良く、射撃大会の成績はのび太に次いで2位(6発中5発命中)。
- ドン
- 声 - 菅原淳一
- アストンの友人。顔は脇役「はる夫」に似ている。物語では地味な存在で知識不足かのび太達がいる時代を原始時代と勘違いしている。射撃の腕はかなり悪い(6発をすべて外す)。ヤドリに取り付かれたアストンに置いてけぼりにされる。その上、ヤドリ船に禁断の惑星の洞窟に振り落とされた。
- ジェーン
- 声 - 丹下桜
- アストンの友人。ミッキーマウスのような髪型をした女の子。気が強く口も悪い。射撃の腕は悪く、誤って標的の代わりに審判を撃ってしまった。ドンと同じく、ヤドリに取り付かれたアストンにはめられる。
- ヤドリ
- 声 - 秋元羊介、石田弘志、中村大樹
- 人にとりついてコントロールする、アメーバのような寄生生物。生物としての活動はできないが、ロボットを操ることもできる。宇宙征服を企てており、銀河系外の遠宇宙より侵入してきた。普段は小型のUFOにとりついており、巨大な宇宙船(宇宙戦艦)を母船にして宿主を探して宇宙を彷徨っている。名前ではなく、「ヤドリXXXX号」と番号で呼び合う。ちなみにアストンに寄生したのは「ヤドリ008号(ヤドリゼロゼロパーごう、映画では0008号)」。同じく、スネ夫(後にのび太)に寄生したのは「ヤドリ0009号」。弱点は未来世界の石鹸「真空ソープ」。これをUFOまたは宿主の顔面に撃たれると、本体がシャボンに閉じ込められ、呼吸が出来なくなり、寄生相手から剥がれ落ちる。戦艦に乗っている者をすべて合わせると、約800万存在する。
- ジャイアンに「ヤドカリ」と間違えられていた。
- ヤドリ天帝
- 声 - 内海賢二
- 銀河支配を企む謎の宇宙生物ヤドリの王。金色のUFOに取りついている。物語の終盤でのび太に乗り移ろうとする。
- クリントン・イーストウード
- 声 - 中庸助
- 西部の星のガン・スモークシティの市長。名前の由来はクリント・イーストウッド。
- 係員
- 声 - 矢田稔、中博史
- 園長
- 声 - 田中亮一
- ドリーマーズランドの園長。ボームに取材を受けた。
- 忍者の先生
- 声 - 北村弘一
- 忍者の星のロボット。ジャイアンとスネ夫に忍術を教えたが、不満ばかりを洩らすため「近頃の子供は根性がない」と嘆いていた。
- 恐竜の星の管理人
- 声 - 森川智之
- 藤子作品定番の登場人物である小池さんがゲストで登場。珍しい存在であり、管理人室内にもラーメンの器があった。ただし漫画版では別人になっている。
- 車内センサー
- 声 - 佐久間レイ
- 映像ナレーション
- 声 - 江森浩子
- 銀河超特急内で流したビデオ「大銀河の誕生」のナレーション。
- ガイド
- 声 - 天野由梨
- 中央惑星の飛行場で、ドラえもんとのび太に重力波推進ロケットの説明をした女性ガイド。
- ガイドカード
- 声 - まるたまり
- 「怪奇と伝説の星」の解説をするガイドカードの音声。
- 王子
- 声 - 菊池正美
- メルヘンの星の「白雪姫」の王子。同時開演に伴って白雪姫が7人もいることに困惑し、一番可愛い静香を選んで、他の女性からクレームを受けていた。
- ガンマン
- 声 - 桜井敏治
- 西部の星の悪役のガンマン。
- 銀河超特急乗客
- 声 - 石川和之、土井俊明、関根章恵、今井由香
登場するひみつ道具
- タケコプター
- どこでもドア
- 通りぬけフープ
- ペタリ手ぶくろとくつ
- 「ぺたり手ぶくろとくつ」は、25年も前の原作漫画(「小学二年生」1970年4月号掲載『ペタリぐつとペタリ手ぶくろ』)で初登場して以来であり、原作者による著作作品の中で、ドラえもんの道具の中では最も登場期間にブランクがある道具である。
- ドンブラ粉
以上のドラえもんの道具の他に、天の川鉄道(銀河超特急)やハテノハテ星群(ドリーマーズランド、メズラシウム鉱山)の関連品として以下の道具が登場している。
- ミステリートレインの切符
- 宇宙カプセル(映画ではドリンク)
- レンタルロケット
- フワフワ銃
- ミニ虎の巻(仮免許)
- 真空ソープ
- 中生代の星のナビゲーター
- 坑道のナビゲーター
- チューイングピザ
舞台
- ハテノハテ星群
- 乙女座銀河団に属する、銀河系の外れの星群。この星群はかつて「メズラシウム」という鉱石を産出したため鉱山の星として栄えていたが、鉱石が枯渇したため人口がどんどん減少していった。それを打開する事業として作られたのが、ドリーマーズランドである。星屑だらけなので流星が多い。
- 22世紀で大人気の「ミステリートレイン」と「宇宙最大・最新・最高の夢の楽園、ドリーマーズランド」
- いくつもの小惑星に分かれた、大規模なテーマパーク。周りには、テーマパークに使われなかった「禁断の星」が存在する。惑星と惑星の間を行き来する場合、重力波推進音声全自動ロケット(外見は飛行機、車などさまざま)が使われる。ほとんどのアトラクションには、中央惑星のコントロールセンターで操作するロボットが使われている。蒸気機関車型宇宙船に乗って向かうが、「ミステリートレイン」であるため行き先がドリーマーズランドであるということは秘密。
- 舞台は22世紀とされているが、20世紀から出発していることや、タイムワープしているシーンが無いこと、どこでもドアで行き来できることなど、20世紀が舞台と思われる面もある。
小惑星の詳細
中央惑星
ドリーマーズランドの中心となる星。アトラクションの運営を行う他、駅や遊園地も存在する。
設備
- 宿舎(ロッジ)
- 銀河超特急の客車を分離したものがそのままロッジとなる。
- 飛行場
- 重力波推進ロケットが常時発着できる飛行場。親切なナビゲーターが24時間対応し、朝、昼、夜と利用する客を安全に送迎する。
- 重力波推進ロケット
- 小惑星を行き来するための乗り物。レンタル式で、「レンタ・ロケット」と呼ばれる。数百機単位で配置されており、形もプロペラ機から自動車まで様々。音声入力の全自動操縦なので、幼児でも乗りこなせるという。
- 遊園地
- ドラえもんたちは訪れていないので詳細不明。巨大なテントやロボット、観覧車などが外から見える。
- コントロールセンター
- 園内のすべてのロボットの行動をつかさどる建物。
- タキシオン通信センター(原作では「タキオン通信タワー」)
- ドリーマーズランド全体が緊急事態に陥ったときに、辺境警備隊に助けを求めたりするためのタワー。ほかにも、園内の警備隊(保安部)に行動を下したりする、ドリーマーズランドの安全の鍵を握る建物。
他にも、何に使われるのかはっきりわからない建物が多数存在する。この星の道路は「ベアリングロード」と呼ばれ、小さな球体が敷き詰められており、頭で念じた方向に自動的に運んでくれる(スピードも調節可能)。
西部の星
星全体が19世紀のアメリカを模している。射撃、乗馬など、西部劇風のアトラクションが楽しめる。のび太たちは保安官の助手となり、銀行強盗を捕まえるというイベントに参加した。最初に射撃大会の形式でテストが行われ、台に並べられた6つの空き缶に2発以上命中させれば合格となり、一日保安官の資格が与えられる。
設備
- ガンスモークシティ
- 西部の星の中心都市。射撃大会もここで行われる。イメージを壊すため、タケコプターは使用禁止。
- デスバレー(Death Valley)
- ガンスモークシティより西に位置する谷。強盗の根城。
- 悪役ロボット
- 事件を起こすためのロボット。超腕利きガンマンの6人組(映画では4人組)で、倒せば正保安官に任命される。最終的にのび太に全て倒される。
- 拳銃
- イベント参加者に渡される6連装リボルバー式拳銃。当たると風船の様に体が膨れ、空に浮かんでしまう。悪役ロボットに当たった場合は動きがストップする。1時間経てば効果が切れる。次作の『ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記』でも登場し、フワフワ銃という名前であることが判明している。
その他、西部時代を思わせる建物が多数ある。
恐竜の星
その名の通り、恐竜型ロボットが多数生息する星。映画では「中生代の星」ともよばれている。恐竜とは友達になれ、それを使った競走が催される。基本的には一日目に恐竜と仲良くなり、二日目にレースに参加する流れとなる。一等賞品は好きな恐竜ロボット一体。昼食として「チューイングピザ」と言う一粒で満腹感を得られる食料(サラミ味)が与えられ、これで恐竜に餌付けする事も出来る。
設備
- 中央事務所
- ここで説明が行われ、外には飛行場も設置。外見は巨大な岩山。ここでも、恐竜ロボットを監視している。
- 通信タワー
- 中央惑星と通信するためのタワー。外見は巨木。恐竜ロボットを監視する際のものだが、ロボットの行動をつかさどるのは中央惑星の為、あまり意味が無い。
- 恐竜生息地
- 恐竜ロボットが、昔の姿そのままに生活している。実物通り、草食恐竜は草、肉食恐竜は肉を食べる。人間が食べられた場合、石膏に包まれて(これを「化石になる」と呼ぶ)排出される(係員曰く「ゲームオーバー」)。後で係員が元に戻すので安全なのだが、臨場感の高さ故に、ティラノサウルスに襲われた時のジャイアンとスネ夫はまるで本当に食い殺されるかのように怯えていた。
恐竜
作中に登場した恐竜ロボットは次の通り(映画版では細部が変更されている)。
- アンキロサウルス、アパトサウルス[3]、パラサウロロフス[4](原作ではマイアサウラ[5])、アロサウルス(原作ではイグアノドン)、コリトサウルス、エラスモサウルス、始祖鳥、イクチオサウルス、アーケロン、トラコドン[6](原作のみ)、チンタオサウルス(原作ではステゴケラス)
- 中央事務所のパネルに描かれた絵のみ登場。
- ステゴサウルス
- 全員一緒の時に目撃。スネ夫がくしゃみを出させた。愚鈍なのでレース向きではない。システムの暴走の際、群れと共に走っている描写が、一瞬だけあった。
- ヴェロキラプトル
- ドラえもんとのび太のみが目撃し、のび太のズボンの一部を破る。すばしっこく、知能が高い(原作ではシステムの暴走の際、猛スピードで走っている姿が確認されている)。
- トリケラトプス[7]
- ジャイアンとスネ夫のみが目撃。スピード感がいまいちなので放って置かれた。ステゴサウルスと同様、システムの暴走の際に走っている描写があった。
- オルニトミムス
- しずかとジャイアン、およびスネ夫が別々に目撃。最初に現れたのは子供で、ジャイアン達は小さすぎるのを見て追い返したが、しずかは親とも友達になった。
- ブラキオサウルス
- ジャイアン、およびスネ夫が友達(?)になった。ジャイアンは「大きければ速い」と思い込んでいたらしい。ほとんど動かなかったため、スネ夫がエサとなる葉を持って誘導するという、とんでもない方法でレースに参加しようとしたが、ティラノサウルスに驚き逃げ出したため結局失敗する。システムの暴走の際、群れと共に咆える描写が、一瞬だけあった。
- プテラノドン
- 全員一緒の時に目撃。これとは別に、ドラえもん、およびのび太は空を飛べれば競走に有利だと友達になった。システムの暴走の際、群れと共にドラえもんたちを襲う描写があったが、宇宙空間に逃げられたため難を逃れた。
- ティラノサウルス
- ブラキオサウルスに振り落とされたジャイアンとスネ夫が食べられかけたが、途中で機能が停止して事なきを得た。しかしシステムの暴走の際、通信タワーを顎でへし折って口で銜える描写が、一瞬だけあった(原作では尾で、通信タワーをへし折っている)。
忍者の星
忍者の師匠にマキビシ、水蜘蛛、目潰しなどの忍術を習う星。ただし、訓練が厳しいため人気がないらしい。修行後に行われる実地試験に合格すれば、あらゆる種類の忍術が入った念波入力のコンピューターが内蔵された巻き物が授与される。また、仮免の場合は3種類の忍術(忍法カベ抜けの術、バッタの術、ネズミ変身の術)が入った巻き物が授与される。仮免は物語後半で思わぬ形で役立つ。
設備
- 修行場
- 山や湖など、基本的忍術の修行をする場所。
- 城
- 実地試験の舞台。多数の番兵が警護する中、ここから密書を奪ってくるのが試験の課題である。侵入者を捕縛する罠や、捕まった後に放り込まれる地下牢などもある。
メルヘンの星
自分が童話の主人公になって童話を演じる事が出来る星。オーロラ、大きな虹、ペガサスの群れなど童話の世界そのものの光景が展開されている。演じる事が出来る童話の数は1001種類で、1日につき最大12回開演される。ただし、白雪姫など希望者が多過ぎる話に関しては3~5回待ちや7人同時開演などの措置もとられているが、複数人同時開演でも王子役が1人しかいないなどの不都合があり、そのようないい加減な運営に利用者からは評判が悪い。係員としてキューピッド、妖精などのロボットがいる(キューピッドは人を眠らせる効力を持った弓矢を装備している)。ぶんぶく茶釜はあまり人気がないらしい。
設備
- 事務所
- 大木の形をしている。客の希望コースを聞き、その割り当てを行う。係員は騎士や姫などの格好をしている。
- 童話の舞台
- 童話に沿った建物や環境が整備されている。作中で登場したのは「白雪姫」のもののみ。
怪奇と伝説の星
吸血鬼ドラキュラ、狼男、人食い鬼、幽霊、海坊主、魔女、死神などの妖怪や怪物のロボットが多数いる星。システムなどの詳細は不明。システムの暴走でそれらが中央惑星に飛来していた。
禁断の星
「メズラシウム」という鉱石を採掘するための星。鉱石が枯渇したため、現在は無人。地表は採掘時に出てきた灰が覆い、穴だらけの廃坑も存在するためテーマパークにはできず、立ち入り禁止となっている。なお、禁断の星でボームが見つけた地底坑道図のレベル3の図にはM1911A1、Type 64、H&K PSG-1、P226、M92F、AK47やM16など色々な銃の名が記されている。
設備
- 倉庫
- かつて発掘隊が食料を貯蔵していた建物。中には長期保存が可能な缶詰類やインスタント食品が多数残されている。流石にドラ焼きはなく、大長編では食事の際に必ずと言っていいほどドラ焼きを食べるドラえもんも諦めて普通の食事を取っていた。だが、原作では雑誌掲載後に読者から「ドラ焼きらしき絵が描かれた箱があった」との指摘があった(P158の上から三番目のコマに描かれている左側の棚で、しかもドラえもんの目の前だった。ただしこれは作中にも登場したハンバーガーの可能性もある)。
- 駅
- 鉱物の搬出に使っていた施設。構内には余剰となった車両が留置されている。
- 機関車
- 銀河超特急の物と同規格のタンク機関車。塗装は青。駅で小型ホッパ車と共に長年放置されていたにも関わらず、簡単に起動できた。
- 廃坑
- 迷路のような洞窟。最深部に駅があり、前記の機関車が放置されていた。落盤が多いため、立ち入り禁止となっている。しかし、機関車があるという事を知ったジャイアンが独断で入ってしまう。そんな中、宇宙から放出されたドンとジェーンとその機関車を発見。そして、忍術の仮免許証で機関車と共に3人は脱出に成功した。
銀河超特急の詳細
- 見かけは蒸気機関車だが、宇宙船。実際の機関車同様、動力は機関車のみが持つ。
- 本来は速達性を売りにした交通機関ではないため、速度はさほど速くはない。
- 機関車は動輪2軸のタンク式。カウキャッチャーや大型の煙突など、アメリカ風のデザインがなされている。屋根に信号弾を発射できる大砲を備えるが、イベント用なので殺傷力は皆無に等しい(つまり完全非武装列車。因みに松本零士『銀河鉄道999』の999号は専用装甲車を1両連結している))。
- 客車は全長12メートル前後で、片面1つのドアと2軸ボギー台車を持つ。連結器は柴田式。120両編成(機関車除く)だが、空間を圧縮しているため外見は8両(ただし原作では機関車を合わせて10両編成である)。中は圧縮効果で外観よりかなり拡張されている。
- 塗装は、機関車が赤一色に星型のヘッドマーク、客車が上オレンジ、下緑の湘南色で、客車にはレトロ風に木目調のプリントが施されている。また、客車の屋根には角型の通風機が並び、8号車には後方監視窓と尾灯が設置されている。
- 内部は個室が主体となる。のび太たちが乗車した7号車は1人用が5室あり、ベッドや風呂のほかテレビなども完備。食事はルームサービスで、これとは別に宇宙服を兼ねた栄養ドリンク(原作ではカプセル剤「宇宙カプセル」)も出される。また、個室とは別にミーティングルームもある。
- 長旅でも退屈しないよう、机の引き出しには立体ゲームが設置されている。壁を透明にすると宇宙の景色も楽しめる。他に窓に忍者や恐竜などが映ったりする。また、どこでもドアで一時的に自分の星に戻る人も多いが、イベント時には予告無しに使用不能になる。
- 58号車は展望車で、全面ガラス張り。ワープ状態で景色が見られない間はバーチャル映像(「大銀河誕生」、「宇宙名所めぐり」など)が放送される。これも予告無しで突然始まるが、車掌に頼んで放送してもらうこともできるらしい。
- 客車はハテノハテ星雲到着後に切り離され、個別にロッジとして使われる(ただし機関車はどこに置いているのか不明)。
- 銀河超特急を運行している天の川鉄道の定期列車は2111年9月3日をもって廃線となった。理由は「どこでもドアに太刀打ちできなかった」から(原作『天の川鉄道の夜』より)。そのため、その後は時々銀河超特急のような観光用列車のみが運行されている(これは日本における蒸気機関車と同じ)。
スタッフ
- 制作総指揮 / 原作・脚本 - 藤子・F・不二雄
- 作画監督 - 富永貞義
- 美術設定 - 沼井信朗
- 美術監督 - 川口正明
- 撮影監督 - 高橋秀子
- 特殊撮影 - 渡辺由利夫
- 編集 - 岡安肇
- 録音監督 - 浦上靖夫
- 監修 - 楠部大吉郎
- 音楽 - 菊池俊輔
- 効果 - 柏原満
- プロデューサー - 別紙壮一、山田俊秀 / 木村純一
- 監督 - 芝山努
- 演出 - 塚田庄英、平井峰太郎
- 動画検査 - 原鐵夫、松尾真理
- 仕上担当 - 野中幸子
- 色彩設計 - 松谷早苗
- 仕上検査 - 堀越智子、石田奈央美、伊藤幸子、石田朋子
- 特殊効果 - 土井通明
- 基本設定 - 川本征平
- オープニング演出 - 渡辺三千成
- コンピューターグラフィック - 水端聡、八木昭宏、石記勤
- エリ合成 - 渡辺由利夫、末弘孝史
- 文芸 - 滝原弥生
- 制作事務 - 杉野友紀
- 制作進行 - 大金修一、志村宏明、星野匡章、馬淵吉喜、八田陽子、大橋永晴、森田晋次、大西景介
- 制作デスク - 市川芳彦、大澤正享
- 制作協力 - 藤子プロ、ASATSU
- 制作 - シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
- 原画
- 飯山嘉昌 斎藤文康 大武正枝 寺田千久沙 小野隆哉 佐野孝雄
- 柳野龍男 窪田正史 川口博史 浅野文彰 佐野哲郎 原博
- 船越英之 柳田義明
- 協力
- オーディオ・プランニング・ユー アトリエ・ローク 旭プロダクション
- 岡安プロモーション 亜細亜堂 京都アニメーション
- 夢弦館 トミ・プロダクション スタディオ・メイツ
- プロダクション・アイジー プロジェクトチーム・サラ マキプロダクション
- 馬良動画
主題歌
- オープニングテーマ - 「ドラえもんのうた」
- 作詞 - 楠部工 / 作曲・編曲 - 菊池俊輔 / 唄 - 山野さと子(コロムビアレコード)
- エンディングテーマ - 「私のなかの銀河」
- 作詞 - 武田鉄矢 / 作曲 - 千葉和臣 / 編曲 - 林有三 / 唄 - 海援隊(ポリドール)
- シングル化はされず、1996年発売のアルバム「涙、自ら拭い去る時」への収録が唯一であったが、14年後の2010年5月に発売された「ドラえもん映画主題歌集+挿入歌」にオリジナル・カラオケと合わせて収録された。
- 海援隊が歌うタイアップ曲としては珍しく、千葉和臣がメインボーカルを担当している。
- この曲を最後に、武田が映画『ドラえもん』の主題歌を担当することはなくなった(前述のように、挿入歌は14年後に担当している)。
- 挿入歌 - 「ぼくドラえもん」
- 過去に主題歌に使われていた曲が、この映画では挿入歌扱いで使われている
- 挿入曲 - 「真夏の夜の夢から序曲・スケルツォ・妖精たちの行進」
- フェリックス・メンデルスゾーン作曲のクラシック曲。
特別放映
- ドラえもん のび太と銀河超特急・特別版第一章(2004年10月22日放映)
- ドラえもん のび太と銀河超特急・特別版第二章(2004年10月29日放映)
- ドラえもん のび太と銀河超特急・特別版第三章(2004年11月5日放映)
- ドラえもん のび太と銀河超特急・特別版最終章(2004年11月19日放映)
注釈
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite web(「作者のことば」を参照)
- ↑ システムの暴走の際、群れと共に湖から現れる姿が、確認されている。
- ↑ パラサウロロフスはその後、『ドラえもん のび太の恐竜2006』にも登場している。
- ↑ マイアサウラはかつて、『ドラミちゃん ハロー恐竜キッズ!!』にも登場していた。
- ↑ 昔のエドモントサウルス、もしくはアナトサウルスの名前である。現在ではこの名前は使われなくなった。
- ↑ 『ドラミちゃん ハロー恐竜キッズ!!』や、『ドラえもん のび太の恐竜2006』同様、直立型になっているが、姿がまったく異なっている。