飛べ!孫悟空
『ヤンマーファミリーアワー 飛べ!孫悟空』(ヤンマーファミリーアワー とべ そんごくう)は、『西遊記』をモチーフにしたザ・ドリフターズ出演によるテレビ人形劇。TBS[1]系列ほかで放送された。ヤンマーディーゼル(現・ヤンマーホールディングス)の一社提供。
概要
1977年10月11日から1979年3月27日まで、毎週火曜 19:00 - 19:30 (JST) に全74話が放送された。それまでアニメ番組の視聴率が低迷していたこの枠に、切り札としてこの番組が企画された。その結果、視聴率は持ち直したが、他のザ・ドリフターズ(以下ドリフ)がメインの番組の例に漏れず、1978年に日本PTA全国協議会から「ワースト番組」に挙げられた。
ドリフのメンバーを『西遊記』の登場人物にたとえ、メンバーそっくりの人形を登場させ、各メンバーが声を充てた。『西遊記』の三蔵一行の4人に対してドリフは5人だったため、加藤茶だけは彼の代表キャラクターである酔っ払いハゲ親父の「カトウ」役(オープニングのテロップでは「カトー」)で出演した。また、一行のお供の馬の「ヒヒハハハハー」という特徴ある甲高い鳴き声は、当時ドリフの準メンバーだったすわしんじによるもので、三蔵との掛け合いなどでのセリフもあり、挿入歌にも彼のセリフが入っている。
『西遊記』の本筋は一応押さえている。また、ゲストの芸能人をモデルにした『西遊記』登場人物などの人形も登場、声は本人があてていた。このゲストと繰り広げるドタバタギャグが、この人形劇の特色であり魅力である。
番組中での狂言回し役としてピンク・レディーが実写で登場し、また番組オープニングで主題歌「スーパーモンキー孫悟空」も歌っていた。カットチェンジのとき、ピンクレディー・キャンディーズjr(のちトライアングルと改名)が、場面転換とともに物語の状況を説明する短い歌(それぞれの代表曲をストーリーに応じた歌詞に改変した替え歌)を歌うブリッジが挿入された。視聴者から公募されたと思われる子供が雲に乗って合いの手を入れる場面もあった。
当時は子供向けテレビ作品の漫画化が盛んであり、本作も山根あおおににより漫画化された。ただし、ストーリーは天竺を目指すのでなく、「カトウのインチキ商売に毎回皆が騙される」という展開である。
映像保存
2014年9月1日より、TBSオンデマンドにて配信開始。
2010年12月31日にTBS系で放送された大晦日特番『大晦日だョ!全員集合』で、番組レギュラーだったピンク・レディーからのリクエストでこの『飛べ!孫悟空』からかまやつひろし・樹木希林・岸本加世子がゲスト出演した回のダイジェスト版が放送された。
エピソード
- 1978年5月に放送された『ドリフ大爆笑・国際だよ!全員集合・満員御礼』の中で、ドリフメンバーとすわしんじが、本作のキャラクターの衣装を着てコントをしたことがあった。その際、悪役として「豊岡豊とスイングフェイス」のバンドマスターである豊岡豊も参加した。
- 作品中、カトウが孫悟空に「お前(志村けん)がいなければ俺が主役だったのに」と絡む楽屋ネタがあった。1979年に放送されたフジテレビ『新春かくし芸大会』の中国語劇による西遊記では、加藤が孫悟空役となり、志村は猪八戒役となった。沙悟浄役は仲本工事、三蔵法師役は谷啓。劇中では「TBSで評判良かったんだから、こっちも俺が(孫悟空)演れば良かったんだ」と発言した志村に、加藤が「本当は人形劇も俺が(孫悟空)演る予定だったんだ」と返す一幕もあった。
- ドリフがメイン司会を務める期首特番『4・10月だョ!全員集合』が放送(特例を除き毎回火曜日に放送)される際には、当番組は休止となった。その時には前の回の最後に、孫悟空が「来週は『4月(10月)だヨ!全員集合』を放送するよ。見なきゃダメだよ!」と宣伝していた。
キャスト(声の出演)
- そんごくう(志村けん)
- 孫悟空。キン斗雲に乗り、如意棒と「あー・みー・まー!」の掛け声で何にでも変身できる能力を武器に戦う。「あー・みー・まー!」の呪文は、『8時だョ!全員集合』の学校コントから(元は英語の人称代名詞の変格「I・MY・ME」)。鼻が取れ、猿に鼻を食べられた事もある。
- さんぞうほうし(いかりや長介)
- ゴリラ顔に左右非対称のぶ厚い下唇がトレードマークの三蔵法師。
- さごじょう(仲本工事)
- 眼鏡をかけた沙悟浄。眼鏡から撃つ光線とカッパブーメラン(頭の皿を飛ばす)で戦う。ブーメランを飛ばす際には眼鏡のつるが電飾でビカビカビカと輝く。
- はっかい(高木ブー)
- 寝ぼけ眼の猪八戒。鼻の穴から突風を発生させるのが必殺技。
- カトウ(カトちゃん)(加藤茶)
- ハゲ頭とちょび髭、ステテコとシャツという姿で、酒ばかり飲んでいる。何故か一行について回る。一度、命を落として埋葬までされたが、天国から落下して復活した事もある。
- うま(すわしんじ)
- 三蔵法師の乗っている馬。「ヒヒハハハハー」という甲高い鳴き声を発する。
- 案内役:小島一慶(当時TBSアナウンサー)
- 劇中歌担当
- 音楽:たかしまあきひこ
- 演奏:岡本章生とゲイスターズ
- 主題歌:「スーパーモンキー孫悟空」(作詞:阿久悠、作曲:都倉俊一、歌:ピンク・レディー)
- 番組エンディングでも使用。放送開始から11か月後にレコード化され、シングル『透明人間』のB面、およびアルバム『星から来た二人』のB面の3曲目にそれぞれ収録された。
- 挿入歌:「ゴー・ウエスト」(作詞:山下啓、田村隆、作曲:たかしまあきひこ、歌:ザ・ドリフターズ)
ゲスト
- キャロライン洋子(八戒に狙われた娘)
- 水前寺清子(イタチ女王)
- せんだみつお(金角)
- 山本明生(銀角)
- 荒井注(ハダカ大王/薄井二等兵)
- 小林亜星(地蔵大王)
- 梓みちよ(タコ妖怪)
- 小松政夫(ニンニキ坊主/麺八珍)
- レツゴー三匹(カッパの親分、カエルの主、ナマズのボス)
- 藤村俊二(アリババ/カニ王子)
- 佐藤蛾次郎(アリジジ)
- 西田敏行(牛魔大王)
- 京唄子(羅刹女)
- 鳳啓助(村の男)
- 伊東四朗(閻魔大王)
- 三遊亭小圓遊(幽鬼大王)
- 東八郎(悪大王)
- うつみ宮土理(王妃)
- 武田鉄矢(狼男)
- タモリ(ヘレヒッパリケ大魔王)
- テレサ・テン(テレサ姫)
- 湯原昌幸(ユハラ王子)
- 桂三枝(現・六代目桂文枝)(糸吹大王)
- 沢田研二
- 西城秀樹
- 伴淳三郎
- 山口百恵(百恵王子)
- 宮路おさむ(デビル)
- 野口五郎
- 郷ひろみ(郷王子)
- あいざき進也
- 鈴木ヒロミツ
- ガッツ石松(原始人ガッツ)
- しばたはつみ(原始人の妻)
- 井上順(ピッカリ怪人)
- 笑福亭仁鶴(ボン怪人)
- 研ナオコ(尼僧)
- 由利徹(吸血鬼/サーカス団長)
- 泉ピン子(吸血女中)
- ラッキーセブン=ポール牧/関武志(悪タヌキ)
- アン・ルイス(アン女王蜂)
- 毒蝮三太夫(サソリ大王)
- 青森伸(ゴリラ隊長)
- 菅原洋一(村人)
- 芦屋雁之助(今何寺の住職/河内の分福)
- 谷啓(柳漢寺の住職/クレージー・タマ)
- 小柳ルミ子(モナリザ)
- 獅子てんや(女人国の男)
- 瀬戸わんや(カトーの兄)
- 小野ヤスシ(巨カバ大王)
- 月の家円鏡(やぶ庵)
- 玉川良一(ガマ大王)
- 宍戸錠(別角大王)
- 香坂みゆき(赤ずきん)
- 新沼謙治(成金息子)
- 藤村有弘(成金親父)
- 金田龍之介(吉良上野介)
- 左とん平(山賊の頭)
- 白石冬美(魔女)
- 樹木希林(キリン姫)
- 岸本加世子(侍女)
- かまやつひろし(カマヤ王子)
- 桂歌丸(光明大王)
- アグネス・チャン(村の娘)
- 内山田洋とクール・ファイブ(サーカスの団員)
- 伊東ゆかり
- タイム・ファイブ
- 原泉(お釈迦さま)
- あき竹城(ミイラ女)
- 北島三郎(三郎法師)
- 星セント・ルイス(モグラ)
- 森山周一郎(隊長ゲパルツ)
- 由紀さおり(雪女)
- ほか多数
スタッフ
- 作:下山啓、田村隆
- コーラス:ミュージッククリエイション
- 浪曲:宮川せい六
- 人形操作:大槻達夫、飯田矩行、光村恵、伴通子、川田悌、石淑恵、小島明、斉藤洋子
- 技術:佐藤利弘
- カラー調整:安藤紘平、小野英夫
- 映像:日野治隆
- 音声:加藤卓
- 照明:正木正登
- 音響効果:大鐘信厳
- 美術制作:西川光三
- 美術デザイン:飯田稔
- 人形製作:光子館、岩本浩二
- フィルム撮影:TBS映画社、樋田勝也
- 演出:平山賢一
- プロデューサー:日向宏之
- 制作:居作昌果
- 制作著作:TBS
脚注
関連項目
- 8時だョ!全員集合
- 4・10月だョ!全員集合 - 前述の通り前週には孫悟空が予告したが、番組内の「ぴったし カン・カンコーナー」でも、問題の一部に使用された事が有った(因みに前番組『ろぼっ子ビートン』も)
- ドリフのクリスマスプレゼント - 1980年代の特別番組。人形劇で使われた人形が本作の人形とほとんど同じものである。
- 最遊記シリーズ - 峰倉かずや原作の漫画。キャラクター造形は本作の影響を大きく受けたもの。
- モンキーパーマ - 当番組と同じく西遊記をモチーフにした人形劇。2013年より独立局などで放送。
- ↑ 当時は株式会社東京放送(現・東京放送ホールディングス)のテレビ事業だった。2009年4月1日に東京放送の放送持株会社移転に伴い、テレビ放送免許を株式会社TBSテレビに譲り受けた。