東映不思議コメディーシリーズ
東映不思議コメディーシリーズ(とうえいふしぎコメディーシリーズ)は、フジテレビ系列で1981年10月から1993年10月までの12年間に放送されていた、石ノ森章太郎原作、東映制作による一連の特撮コメディードラマシリーズである。
概要
物語やキャラクターの性質問わず作品世界の不思議さ(異質さ)だけが共通した作品群であることから、ファンからこのように呼称された。制作のきっかけは1981年に「仮面ライダーシリーズ」(『仮面ライダースーパー1』、ただし途中からローカル枠)と「ウルトラシリーズ」(『ウルトラマン80』)が一旦終了し、空想キャラクター系の実写作品が「スーパー戦隊シリーズ」(当時放送中だった『太陽戦隊サンバルカン』と1982年の『大戦隊ゴーグルファイブ』放送開始初期)だけになってしまったためである。原作は仮面ライダーと同じ石ノ森章太郎、プロデューサーに平山亨(じゃあまん探偵団魔隣組まで)、アクションも大野剣友会が務め、初期のスタッフは「仮面ライダーシリーズ」と同じものも多い。なお、「メタルヒーローシリーズ」(初期の「宇宙刑事シリーズ」『宇宙刑事ギャバン』)がスタートしたのも同時期である。
時間帯は毎週日曜日の朝09:00 - 09:30(関東地区の場合。ローカルセールス扱いのため地域によって放送時間が異なっていた)。別名は不思議コメディーシリーズ、東映不思議特撮シリーズ、東映シュールコメディーシリーズなど。当初はファンから呼称されており、製作側は単にホームコメディー枠としていた。しかし『美少女仮面ポワトリン』のヒット後、『不思議少女ナイルなトトメス』以降製作側も使用するシリーズ名になった。[1]
シリーズの放送期間中、他の東映特撮シリーズであるスーパー戦隊シリーズ、仮面ライダーシリーズ、メタルヒーローシリーズは幾度か番組放送時間の変更があったが、今シリーズでは番組放送時間の変更はなかった。
当初はロボットや宇宙生物、妖精、神などの小生物といったキャラクターが登場したものだったが、その後第7作と第8作は少年探偵団系の作品、第9作以後は美少女アイドルを起用した作品と路線が変わって行った。
シリーズと呼ばれているが、唯一『ぱいぱい』と『いぱねま』を除いて各作品間には世界観や時間軸に直接の関係は無い(元々世界観を共有させる作品を作る予定はなかった)。このシリーズの制作意図は"変なことをやる"であった[2]ため、ウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊・メタルヒーローの各シリーズとは異なり、世界観の繋がりがほとんどなく、当シリーズ全ての作品そのものが単発作品として扱うことが多い。 ファンサービスとしてであるが『おもいっきり探偵団 覇悪怒組』と『じゃあまん探偵団 魔隣組』が共演するスペシャル番組が放送された。他にも各作品中でもファンサービスは行われ、『ぱいぱい』では『覇悪怒組』の魔天郎の姿をした男が登場し、『トトメス』では『ポワトリン』の渋谷ケンジが登場し、『シュシュトリアン』では『ぱいぱい』から『トトメス』までの映像が使用された。
ただし、本シリーズ以前に同作者のロボットものでは『がんばれ!!ロボコン』及び『ロボット110番』、アイドル系では『好き! すき!! 魔女先生』及び『透明ドリちゃん』といった作品が既に存在し、個々の作品はそれらの後継作品といえる(石ノ森原作以外にも東映作品として『丸出だめ夫』や『ぐるぐるメダマン』などの先行作品が存在しており、『ビーファイターカブト』終了後の『ビーロボカブタック』及び『テツワン探偵ロボタック』は公式にはメタルヒーローシリーズとなっているが本作に近い作風で制作されている)。基本的にエブリディ・マジック作品としての共通する作風から『8ちゃん』はロボシリーズ、『ペットントン』から『勝手にカミタマン』は生物シリーズ、『ロボ丸』と『もりもりぼっくん』はロボットシリーズと生物シリーズの共有、『覇悪怒組』と『魔隣組』は探偵シリーズ、『ぱいぱい!』から『シュシュトリアン』は美少女シリーズとも言われる。
シュールな脚本で知られる浦沢義雄が全作品に携わっており、『ポワトリン』に関しては石ノ森に「僕が担当するのは基本となる路線、デザイン、そしてヒロイン像ですね。あとはうち(石森プロ)の担当が脚本の浦沢さんのところにいって奇妙な脚本が出来上がってくるというわけです」という発言が残るほど[3]テンプレート:要出典、彼の力量が影響力を持っていたと言って良いシリーズである。また他にシリーズを支えた鍵として、大半のタイトルのネーミングを考えた石原隆プロデューサー[4]、音楽担当として多くに携わった本間勇輔や、クレイイラスト担当の林恭三、ワハハ本舗からキャスティングされた柴田理恵、佐藤正宏らなどが挙げられる。
シリーズ最終作の『有言実行三姉妹シュシュトリアン』は、1993年10月をもってシリーズ終了。全614回だった。12年間の歴史に幕を閉じ現行放送中の東映アニメーション制作のアニメ枠に移行した。シュシュトリアンの終盤である第40話では、『ウルトラマン』との共演が実現した。ちなみに同話は本シリーズ実質的な最終制作作品となった。 テンプレート:Main
シリーズ終了後の2012年12月8日公開の映画『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』にて、本シリーズの内、美少女仮面ポワトリンがリファインされて登場した。
作品リスト
- ロボット8ちゃん(1981年10月 - 1982年9月・全52話)
- バッテンロボ丸(1982年10月 - 1983年9月・全51話)
- ペットントン(1983年10月 - 1984年8月・全46話)
- どきんちょ!ネムリン(1984年9月 - 1985年3月・全31話)
- 勝手に!カミタマン(1985年4月 - 1986年3月・全51話)
- もりもりぼっくん(1986年4月 - 同年12月・全39話)
- おもいっきり探偵団 覇悪怒組(1987年1月 - 同年12月・全50話)
- じゃあまん探偵団 魔隣組(1988年1月 - 同年12月・全50話)
- 魔法少女ちゅうかなぱいぱい!(1989年1月 - 同年7月・全26話)
- 魔法少女ちゅうかないぱねま!(1989年7月 - 同年12月・全23話)
- 美少女仮面ポワトリン(1990年1月 - 同年12月・全51話)
- 不思議少女ナイルなトトメス(1991年1月 - 同年12月・全51話)
- 第30話「ワルサの恋人」で通算放送回数500回を達成。
- うたう!大龍宮城(1992年1月 - 同年12月・全51話)
- 有言実行三姉妹シュシュトリアン(1993年1月 - 同年10月・全42話)
これらとは別に、1985年1月から3月にかけて、同じく石ノ森原作で『TVオバケてれもんじゃ』がゴールデンタイムで放送されたが、視聴率が振るわず、全11回で打ち切られた。
- 劇場作品
- 東映まんがまつりより バッテンロボ丸 お化け飼う少女(1983年3月13日公開)
- 特番放映
- 月曜ドラマランド さよなら!!夏休み ペットントンスペシャル(1984年8月27日放映)
- 探偵団スペシャル 魔隣組対覇悪怒組(ジゴマVS魔天郎)(1989年1月1日放映)
- セルフパロディ
- 忍者戦隊カクレンジャー 35話『おしおき三姉妹(シスターズ)』
- シリーズ終了後の展開
- 仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム(2012年12月8日公開)
歴代プロデューサー
映像ソフト化
シリーズ終了10周年を記念し、2003年より本シリーズのDVDが不定期にリリースされている。そのため2004年や08年以降のようにリリースがまったくない時期もある。DVD化されているのは『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』〜『有言実行三姉妹シュシュトリアン』である。
- 2003年、『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』と『魔法少女ちゅうかないぱねま!』が発売。
- 2005年から2006年にかけて、『美少女仮面ポワトリン』が発売。同DVDは2010年1月8日よりレンタルが開始された。
- 2007年、『有言実行三姉妹シュシュトリアン』が発売。
- 2008年7月21日発売の「石ノ森章太郎 生誕70周年 DVD-BOX」に全作品の第1話が収録されており、上記のDVD以外の10作品は初のソフト化となった。
- リリースは原則として作品順ではあるが、『美少女仮面ポワトリン』の次に『有言実行三姉妹シュシュトリアン』がリリースされるなど例外もある。
- 2012年1月21日から『不思議少女ナイルなトトメス』がテレビ初回放映20周年記念とシリーズ30周年記念として全51話完全収録の初DVD全5巻が順次発売されたが不思議コメディシリーズのDVDは、5年ぶりである。
- 2012年6月21日からは『うたう!大龍宮城』の初DVD全5巻が順次発売された。
備考
- このシリーズのプロデューサーの平山亨は1986年の『悪魔くん』(月曜ドラマランド版)も浦沢義雄脚本で製作しており、直接的な関連はないが、その内容も含めてこのシリーズの姉妹的な作品として仕上がった作品であった。
- 石川テレビでは、『勝手に!カミタマン』の途中まではフジテレビとの同時ネットだったが、本来の放送時間帯に自社製作のバラエティ番組が移動したために、土曜7:30〜8:00に差し替えとなった。
- 関西地方では『ロボット8ちゃん』から『魔隣組』までは関西テレビ放送(但し時差ネット放送)で放映されたが、美少女路線(『ちゅうかなぱいぱい!』から『シュシュトリアン』まで)になってからはサンテレビジョンと京都放送でスポンサードネット扱いで放映された。
- テレビ新広島では同時ネットだった時期もあったが、自社制作の中国電力(テレビ新広島の設立母体で大株主)一社提供枠が移動(『エンジェルツアーハッピークイズ』以降)してからは平日16時台の遅れネットとなった。
- 山陰中央テレビは、1989年10月の日本海テレビの日本テレビ系列マストバイ転換でテレビ朝日『スーパー戦隊シリーズ』が同局から移行した影響で『ちゅうかなぱいぱい』以降が未放送となった。
- この枠の番組は、フジテレビや同時ネット局では「終わり」、「また来週」と言ったエンディング画面がなく、スポンサー提供の後すぐスポットCMに移行するという編成を取っていたが、遅れネットの系列局では独自のエンドカード(手書きフリップなど)またはテロップを用意した例もあった。
その他
- コロムビアミュージックエンタテインメントから発売のウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊・メタルヒーローの各シリーズの「主題歌・挿入歌大全集」(2003年~2004年と2009年(戦隊側のみ)発売)とは異なり、『8ちゃん』『ロボ丸』『ぼっくん』(『がんばれ!!ロボコン』なども含む)の3作と『ペットントン』から『シュシュトリアン』を収録したCDがそれぞれ発売された。
- おもいっきり探偵団 覇悪怒組より従来のアフレコ形式から同時録音方式となった。これは東映特撮としては初。
- 本シリーズは各地のキャラクターショーといったイベントは比較的に少ない。これは、俳優が演じる作品が多いためである。そのため、後楽園ゆうえんちでの『スーパーヒーロー大集合』(夏公演も含む)ショーのように他のヒーロー(主要の戦隊以外の仮面ライダーやメタルヒーローなど)との競演といった全作品の参加はほとんどない。なお、唯一の例外として『救急戦隊ゴーゴーファイブ』ショーの夏公演での『燃えろ!!ロボコン』との競演はある。
脚注
関連項目
- 佐伯孚治 - シリーズ全作に参加した唯一の監督。
- 所沢航空記念公園 - シリーズを通しロケ地として多用。
- がんばれ!!ロボコン
- ロボット110番
- メタルヒーローシリーズ
- 燃えろ!!ロボコン
- 美少女戦麗舞パンシャーヌ 奥様はスーパーヒロイン! - 制作局は異なるが本作のスタッフであった木村京太郎プロデューサーや脚本家の浦沢義雄が参加しており、作風も美少女シリーズの作風に近い作品。
- 古代少女ドグちゃん
- 仮面ライダーシリーズ - 同原作者の特撮シリーズ。
- 仮面ライダー (スカイライダー) - 『ロボット8ちゃん』に『仮面ライダー (スカイライダー)』の魔神提督がゲスト出演している。
- 仮面ライダーW - 作中に登場する「ふうとくん」が、「宇宙船」などで、「東映不思議コメディーシリーズのキャラクターのよう」と評価されている。また、夢の中でヒロインが変身した仮面ライダーWが「なにわの美少女仮面」と称されている。
- 仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム - ポワトリンが設定を一新して登場。先の仮面ライダーWとも共演している。
- ↑ 『不思議少女ナイルなトトメス DVD VOL.1のブックレット。
- ↑ 『うたう!大龍宮城 VOL.3』のブックレット。
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ 『うたう!大龍宮城 VOL.3』のブックレットで浦沢氏の発言。