クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険
テンプレート:Infobox Film 『クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』(クレヨンしんちゃん ヘンダーランドのだいぼうけん)は、1996年4月13日に公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズ4作目。キャッチコピーは『オラ、この勝負には絶対勝つぞ!!』。
上映時間は96分。興行収入は約12億円。
あらすじ
闇に覆われたどこかの国。ゴーマン王子がお姫様を救うため二人のオカマ魔女マカオとジョマに立ち向かったが、マカオとジョマの魔法によって、呪いをかけられてしまう。
しんのすけ達は、ふたば幼稚園の遠足で群馬に出来た新しい遊園地「ヘンダーランド」(設定では群馬県桐生市に所在)[1]に遊びに来た。そこでひまわり組のみんなとはぐれたしんのすけは、サーカスのテントの中でトッペマ・マペットという不思議なねじ巻き人形と出会う。彼女からヘンダーランドは、実は異世界の魔法使いであるオカマ魔女・マカオとジョマが潜む城であることを知るしんのすけ。トッペマはしんのすけにどんな願い事でも叶えられる魔法のトランプを手渡し、マカオとジョマの地球征服計画を阻止するよう協力してほしいと頼む。この時トッペマは、マカオとジョマの部下・チョキリーヌ・ベスタによって呪いをかけられ、夜の間しか姿を現すことが出来なくなってしまっていた。トッペマの必死の頼みを受けるしんのすけだが、怖がってその頼みを聞けず、結局トッペマとは決別してしまう。
数日後、ス・ノーマン・パーと名乗る雪だるまの様な男が春日部市を訪れた。程なくしてス・ノーマンは教育実習の先生としてふたば幼稚園に現れ子供たちの人気者となるが、しんのすけは偶然トイレでス・ノーマンと対峙した際、彼が魔法のトランプの存在を知っていることを知り、危機感を覚える。ス・ノーマンは野原家にまで強引に押し入り、しんのすけはス・ノーマンは悪者だと訴えるも、ス・ノーマンに言葉巧みに騙されているみさえとひろしはしんのすけの言葉を信じてくれない。 みさえとひろしを睡眠薬で眠らせた上で、深夜にとうとう本性を現したス・ノーマンはしんのすけから魔法のトランプを奪おうと襲い掛かる。だがその時、しんのすけがトッペマから教わっていた呪文「スゲーナスゴイデス」を唱えると、しんのすけにとっての他でもない三大ヒーロー、アクション仮面、カンタムロボ、ぶりぶりざえもんがトランプの中から助けに現れた。しんのすけは3人と力を合わせ、何とかス・ノーマンを追い払う。しかしス・ノーマンは退散する際、野原家のポストに突然出て行ったお詫びの手紙と共にヘンダーランドの招待券を残していった。
翌日、野原家はその招待券を持ってヘンダーランドへと遊びに行くことに。しんのすけはなおもひろしとみさえにス・ノーマンに騙されていると訴えるがそれは夢の話だと相手にされない。ヘンダーランドに着きひろしとみさえがはしゃいでいる間も、自分の言うことを信じてもらえないしんのすけは全く楽しめなかった。帰宅時になってようやくしんのすけは安心するが、ひろしとみさえはトイレに行った間にマカオたちに捕まり、人形とすり替えられてしまっていた。帰宅後、ひろしとみさえに化けた人形はしんのすけに襲いかかるが、そこにトッペマが現れ二人を撃退。一度は恐怖からトッペマの頼みを断ってしまったしんのすけであったが、ひろしとみさえの危機から遂に覚悟を固め、二人を助け出すためにヘンダーランドへ向かう。
概要
タイトルは原作者の臼井儀人が付けた。この作品から臼井は映画制作から関係を薄くしていて、原作漫画も描かなくなった。2009年に臼井が死去したため、この作品が臼井が制作側として直接的に関わった最後の作品となった。また、監督の本郷みつるは本作公開の半年後に降板し、次作より原恵一に交代した[2]。
本作で流れたBGMは後にテレビアニメでも何度か使われたことがある。さらに本作に登場するキャラクター「ス・ノーマン・パー」は「クレしんパラダイス! メイド・イン・埼玉」や、テレビアニメに何度も登場したりと本作のテレビアニメへの影響は大きい。
野原家の長女・ひまわりが登場しない最後の作品である。
登場人物
- トッペマ・マペット
- からくり人形の女の子。快活でさっぱりとした性格。ヘンダーランドのサーカス劇場で偶然しんのすけと出会い、助けを求める。ぜんまい仕掛けなので、一定時間立つと機能が停止してしまう。そのため他人にぜんまいを巻いてもらう必要がある。チョキリーヌから魔法のトランプを奪った直後、チョキリーヌの呪いを受け、その呪いのせいで夜にしか存在できなくなってしまう(昼の間は何も見えないし、何も感じる事ができない状態)。
- 物語後半、チョキリーヌとの決死の攻防戦の末に致命傷を負い、しんのすけに後を託し消滅してしまった。
- その正体は人形で、中にメモリ・ミモリ姫の心が宿っていた。マカオとジョマ打倒後、元のメモリ・ミモリ姫の体に戻る事になる。「クレヨンウォーズ」ではヒエール・ジョコマンが持っている人形として登場している。
- メモリ・ミモリ姫
- ヘンダーランドの王女。マカオとジョマに囚われ、心と体が別れているため動かない。そのため、心はトッペマに写っていた。
- 普段はからくり人形としてサーカス劇場の舞台裏に置かれている。物語の終盤でマカオとジョマ打倒後に復活。その魔力は相当なもので、ス・ノーマン・パーをあっさりと退け、危機的状況にあった野原一家、呪いをかけられていたゴーマン王子を軽々と救っている。
- 同一人物といえるトッペマと比べると非常に落ち着いた物腰。決着後はしんのすけに自身の正体を明かして感謝のキスを贈り、ゴーマン王子と共にヘンダーランドごと故郷へと帰っていった。
- ゴーマン王子
- ヘンダーランドの王子。冒頭に登場するがマカオとジョマの呪いをかけられ、ス・ノーマン・パーの姿に変えてしまう。しかし終盤メモリ・ミモリ姫に呪いを解かれて元の姿へ戻り、メモリ・ミモリ姫と共にヘンダーランドごと故郷へと帰っていった。
- マカオとジョマ
- しんのすけの世界を支配するためにやってきた二人のオカマ魔女。丸刈り頭の方がマカオ、髪をお団子に結っている方がジョマ。ヘンダーランドを根城としている。二人ともバレエを得意とする。魔法も使えるが、ヘンダー城は魔法の中心のためにそれらは使えない。ゴーマン王子の国の世界を支配したあと日本にやってきたらしい。
- 物語後半で城に乗り込んできた野原一家とダンスで勝負するも僅差で敗北し、ババ抜きで勝負。結果は彼らが勝利するが、その直後にしんのすけが魔法のトランプのジョーカーのカードから現れた精霊からマカオ達の弱点と彼らを倒す方法のジョーカーをステンドグラスにかざすという事を聞きだしてしまう。城自体が魔法の中心であったため自身の魔法が使えず最後はしんのすけを止めようと野原一家と追いかけっこを繰り広げるも後一歩のところでしんのすけを止められず、二人揃って消滅した。追いかけっこの際ひろしの名刺をジョーカーのカードと間違えて取りに行くなど間抜けな一面も見せた。「クレヨンウォーズ」にも登場している。
- クレイ・G・マッド
- マカオとジョマの部下。普段はシルクハットにタキシードといった風貌で、ヘンダーランドサーカスの団長を務めている。正体は青い毛並みの狼男。じゃんけんのグーがモチーフ、隻眼でグーの描かれた義眼をはめている。嗅覚に優れるが、水が苦手で泳げない。
- 準備中のサーカス会場に無断で入ったしんのすけと偶然出会う。単なる操り人形に過ぎない状態であったトッペマの人形劇を見せ、しんのすけを丸め込み追い出すつもりであったが、それがきっかけとなりトッペマのぜんまいを巻かれ救出されてしまった。正体である狼男の姿を現し追いかけるが、トッペマに魔法のトランプで石にされてしまう(後にマカオとジョマに元の姿に戻してもらっている。)。
- 物語後半、ひろしとみさえを助けるために夜も押し迫るヘンダーランドに(チョキリーヌの呪いで姿を現せないトッペマの救援を待たずして)潜入したしんのすけの前に第一の刺客として立ちはだかる。トランプの力でチンチン電車に変身し、その場をやり過ごそうとしたしんのすけを、(『こんなこともあろうかと』)用意しておいた汽車で追跡するも、最期にはトッペマの復帰を要因に水の中に落ちてしまい、原型と見られる人形の姿に戻り敗北した。
- この際、魔法で彼の着用していたシャツに姿を変えられていたひろしも無事に元の姿に戻る。「クレヨンウォーズ」にも後姿のみであるが、狼男の姿で登場している。
- チョキリーヌ・べスタ
- マカオとジョマの部下。じゃんけんのチョキの形をした髪飾りを付け黄色い水着のような格好にハイサイブーツの豊満な魔女。白髪長髪で褐色肌のセクシーな巨乳の美女で性格は悪くトッペマからは「手下の中で一番性格が悪い」とまで評されている。物語序盤では優しいお姉さんのフリをして、しんのすけに近づき、胸を揺らす、パンツの食い込んだ尻を強調して見せあえぎ声を上げるなどいやらしい女性の性的魅力でしんのすけを悩殺した。子供であるしんのすけに対して意図的に色仕掛けを行う稀なキャラクター。その際に「かたたたき券」(かたたたたき券と書かれている)を貰う。後半では肩紐のないピンクのブラジャーを身につけてひろしを助け出した直後のしんのすけたちの前に現れてトッペマを倒し、しんのすけの肩たたきの気持ちよさに喘いでひろしを悩殺させる余裕を見せるが、直後に現れたトッペマとの戦闘の末にトッペマのすて身の一撃に驚き悲鳴をあげるが最後は光に飲み込まれ、原型とみられる人形に戻りそのまま粉々になり消滅した。その際身につけていたブラジャーもはずれみさえも無事に元の姿に戻った。じゃんけんのチョキがモチーフ。
- ス・ノーマン・パー
- マカオとジョマの部下で、雪だるまの男。江戸っ子のような口調と性格で相手の心に取り入るのが得意。無謀な作戦を実行しようとするしんのすけ達に忠告したり、作戦タイムを許可するなどフェアな精神も持つ。体内から書類、ビールなど様々なものを取り出すことができる。足の裏から小型のキャタピラを出現させてダッシュする事も出来る。体は-100℃の超低温に保たれているため、少しくらいの熱などものともしないが、押しくらまんじゅうが弱点。じゃんけんのパーがモチーフ。
- 実は物語冒頭でマカオ達に呪いを掛けられ、ゴーマン王子が呪いによって変えられた姿である。このため、トッペマはス・ノーマンの事を知っていない。物語の終盤でメモリ・ミモリ姫に呪いを解かれ、元の姿に戻った。「クレヨンウォーズ」にも通行人、「野原刑事の事件簿」ではラジコンとして登場している。
- アクション仮面&カンタム・ロボ&ぶりぶりざえもん
- しんのすけがトランプの魔法で召還した、別名「ヒーロー三人衆」。3人ともオリジナル同様の性格だが、しんのすけと同じくらいの背丈しかないために戦闘力はあまり高い方ではない。ただしいずれもオリジナルとほぼ同威力の必殺技が使える。
- スゲトラちゃん
- スゲーナスゴイデスのジョーカーに宿る精霊で、「スゲーナスゴイデスのトランプの精」を略してスゲトラちゃん。彼が宿っているジョーカーこそが魔法の源にして、マカオとジョマの命そのものでもある。
- 後半しんのすけがジョーカーを持って呪文を唱えたことから出現し、しんのすけにマカオとジョマを倒す方法である、ジョーカーをステンドグラスにかざすという事を教えた。彼曰く、マカオとジョマを倒したいというのは“通”との事。
- 雛形あきこ
- 実在する女優。みさえやひろしが魔法のトランプの効果を信じられない際、しんのすけがトランプで呼んだ相手。トランプの使い方をトッペマから教えてもらう際も、しんのすけが呼んだ。なぜかいつもビキニで登場する。当映画のエンディングテーマを唄っている。
登場する地名・道具
キャスト
- 風間くん - 真柴摩利
- ネネちゃん - 林玉緒
- マサオくん - 鈴木みえ(現・一龍斎貞友)
- ボーちゃん - 佐藤智恵
- 河村くん - 大塚智子
- よしなが先生 - 高田由美
- まつざか先生 - 富沢美智恵
- 園長先生 - 納谷六朗
- 駅員 - 三木眞一郎
- 雛形あきこ - 雛形あきこ
スタッフ
- 原作 - 臼井儀人
- 演出 - 原恵一
- 作画監督 - 原勝徳、堤のりゆき
- 美術監督 - 柴山恵理子、星野直美
- 撮影監督 - 高橋秀子
- ねんどアニメ - 石田卓也
- 音楽 - 荒川敏行、宮崎慎二
- 録音監督 - 大熊昭
- 編集 - 岡安肇
- プロデューサー - 茂木仁史、堀内孝、太田賢司
- 監督 - 本郷みつる
- 脚本 - 本郷みつる、原恵一
- キャラクターデザイン - 原勝徳
- 設定デザイン - 湯浅政明
- 絵コンテ - 本郷みつる、原恵一、湯浅政明
- 色彩設計 - 野中幸子
- 特殊効果 - 土井通明
- 動画チェック - 小原健二
- 演出助手 - 水島努
- 仕上検査 - 松谷早苗、堀越智子
- 動画 - じゃんぐるじむ、Production I.G、I.G新潟、夢弦館
- 仕上 - シマスタジオ、トレーススタジオM、ライトフット、production I・G
- 背景 - スタジオユニ、アトリエローク
- 壁画デザイン - 野村可南子
- 撮影 - 旭プロダクション
- 効果 - 松田昭彦(フィズサウンドクリエイション)
- 録音スタジオ - APUスタジオ
- 整音 - 柴田信弘、内山敬章、田中章喜、山本寿、田口信孝
- 録音制作 - オーディオプランニングユー
- 制作デスク - 小澤恵
- 編集 - 小島俊彦、中葉由美子、村井秀明、川崎晃洋、三宅圭貴
- タイトル - 道川昭
- 現像 - 東京現像所
- 制作デスク - 柏原健二、山川順一
- 制作進行 - 魁生聡、和田泰、齋藤敦、別紙直樹
- 音楽協力 - イマジン
- 技術協力 - 森幹生
- 制作 - シンエイ動画、テレビ朝日、ASATSU
原画
主題歌
- オープニング - 「パカッポでGO!」
- 挿入歌 - 「変だ変だよ、ヘンダーランド」
- エンディング - 「SIX COLORS BOY」
- 作詞 - 麻倉真琴/作曲、編曲 - 浅倉大介/歌 - 雛形あきこ(ビクターエンタテインメント)
VHS・DVD
脚注
- ↑ 劇中に登場するヘンダーランドのテレビコマーシャルでは「東北自動車道館林インターチェンジから30分。または東武桐生線ヘンダーランド駅下車」と紹介されている。ヘンダーランド駅は架空の駅であり実在しない。
- ↑ 本郷は12年後の第16作『ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者』で再び監督を務めている。