陶磁器
陶磁器(とうじき、テンプレート:Lang-en)は、土を練り固め焼いて作ったものの総称。やきもの。セラミックの一種で、畿内より東では瀬戸物(せともの)と呼ばれ、中国、四国以西では唐津物(からつもの)とも呼ばれる。焼き方や用途や生産地などから数多く分類される。
目次
分類
土器
テンプレート:Main 素焼きのやきもの。窯を使わず、粘土を野焼きの状態で700~900℃の温度で焼いたもの。釉薬(うわぐすり、またはゆうやく)はかけないが、彩色されているものを「土器」と呼ぶことがあり、その場合は、その彩色具を釉薬としないことを前提としている。歴史的には陶磁器の前身にあたる。
炻器
せっきと読む。「炻」は国字(日本で考案された漢字)。英語の"Stoneware"の訳語である。窯を使い、焼成温度は1200~1300℃。土器と陶器の中間的性質を示すもので、釉薬の有無にかかわらず、透光性・吸水性ともにないものを指す。ウェッジウッドの「ジャスパーウェア」、ブラックバサルト、ロッソアンティコなどの「ストーンウェア」も炻器である。
炻器の原語である"Stoneware"は西洋陶磁の用語であり、中国、日本などの東洋陶磁の分類概念とは必ずしも一致しない。たとえば、"Celadon"と呼ばれる青色の焼き物は、日本・中国では青磁(青瓷)と言い、磁器に分類されるが、欧米では"Stoneware"の一種とみなされる。日本の陶磁研究者や陶芸作家には「炻器」という概念を立てる者と立てない者がいる。[1]
日本では、備前焼や常滑焼などが炻器に分類される場合がある。これらの焼き物は「焼き締め」ともいい、釉薬はかけないが焼成において自然釉がかかるものがある。また焼成において火襷(ひだすき)、牡丹餅などの模様が偶然(ときとして作為的)に現れることがある。原料に珪酸、鉄を多く含んでいるため、赤褐色か黒褐色をしている。軽く打つと澄んだ音がする。吸水性はほとんどない。古墳時代に朝鮮半島からもたらされた登り窯を用いて焼成する須恵器が起源。ただし常滑、萬古焼の朱泥、紫泥は別系統で中国の宜興窯の紫砂陶器が元である。
陶器
カオリナイト(カオリン)やモンモリロナイトを多く含んだ粘土を原料とし、窯で1100~1300℃の温度で焼いたもの。釉薬を用いる。透光性はないが、吸水性がある。厚手で重く、叩いたときの音も鈍い。粗陶器と精陶器に分けられる。瀬戸焼、伊賀焼や大谷焼、ヨーロッパではマヨリカとそれから発展したファイアンス陶器、ウェッジウッドのクリームウェア、クイーンズウェア等硬質陶器、ハフナー陶器などで知られている。
磁器
テンプレート:Main 磁器は半透光性で、吸水性が殆どない。また、陶磁器の中では最も硬く、軽く弾くと金属音がする。粘土質物や石英、長石→陶土を原料として1300℃程度で焼成するが、焼成温度や原料によって軟質磁器と硬質磁器に分けられる。また、石英の一部を酸化アルミニウムに置換し、強度を高めた磁器も開発されているが、こちらには透光性が殆どない。日本の主な磁器として肥前磁器(伊万里焼)や九谷焼などがある。英語では、産地名をつけた場合は、陶磁器共通に (産地名)+ware と言うが、磁器自体を指す場合は、 porcelain という。単に china ということもある。
日本の陶磁器生産
日本の主な陶磁器産地
- 東北地方
- 関東地方
- 中部地方
- 近畿地方
- 中国地方
- 四国地方
- 九州地方
日本の主な陶磁器企業若しくはブランド
- ナルミ - 名古屋市(本社)
- ノリタケ - 名古屋市(本社)
- 大倉陶園 - 横浜市(本社)
- 三郷陶器 - 愛知県尾張旭市(本社)
- ニッコー - 石川県白山市(本社)
- たち吉 - 京都市(本社)
- 香蘭社 - 佐賀県西松浦郡有田町(本社)
- 深川製磁 - 佐賀県西松浦郡有田町(本社)
- 白山陶器 - 長崎県東彼杵郡波佐見(本社)
- ブルーダニューブ
- アイトー - 東京都品川区(本社)
アジア、ヨーロッパ、アメリカの主な陶磁器産地とブランド
陶磁器の公募展
関連項目
- 陶磁ネットワーク会議 - 2008年(平成20年)に発足した日本の陶磁専門公立博物館で構成される組織[2]。
- 陶芸
- 陶芸家
- 焼き物
- 素焼き
- 琺瑯
- 貿易陶磁
- セラミック顔料
- 漆器
- 三杉隆敏
- 金継ぎ
- コンニャク版
- 粘土鉱物
脚注
外部リンク
- 陶磁の歴史、中国陶磁の視点(大阪市立東洋陶磁美術館)
- 日本のやきもの(公益社団法人日本セラミックス協会)