車内放送
テンプレート:半保護 テンプレート:複数の問題 テンプレート:告知 車内放送(しゃないほうそう)は、列車・電車やバスなどの車内で行われる放送を指す。
目次
車内アナウンス
車内アナウンスは次の停車駅や停留所を知らせるアナウンスを指すとされる。本来は、車掌・バスガイド等が肉声、後にマイクを通じての案内に変更されたが、1970年代以降の路線バスにおけるワンマン運転の普及により、運転士の負担減及び乗客へのサービスの低下防止のために自動放送を行うために行う放送を指すようになってきた。
当初はその技術・性能の限界からテープ(主に8トラック)によるものが主であったが、以下のような問題があり、効率的とは言えなかった。
- 駅・バス停の追加や名称の変更、スポンサー広告の変更の度に全ての内容を録音し直さなければならない
- 公共交通機関として日々運行される鉄道・バスでの高頻度の再生はテープの伸びによる音声不良、ひいてはテープの切断により放送が不能になるトラブルが発生しやすい
- 当日その車両が運用される路線・区間並びに系統数量分のテープを携行し、その変更の度に交換の必要がある
- 運転士のミスなどにより実際の走行地点と次の停車箇所の放送に差異が生じた場合、補正には時間を要し、それまでの間は運転士がマイクで補足する必要がある
- 以上のような理由で、手間と時間と資源を要する
1990年代以降、コンピュータ(デジタル)技術並びに音声合成技術の性能が向上したことにより、コンピュータ(半導体メモリ)に記録された音声及び音楽による自動放送を指すようになってきており、現在の主流となっている。これにより路線・区間並びに系統分のデータは予め車両に搭載された半導体メモリに全て記録され、変更の際には方向幕の変更と連動してそれに対応した放送内容に自動的に変更され、リピート・スキップ再生が容易となり地点補正に要する時間も大幅に短縮されるようになるなど、操作が容易となり、乗務員の負担が大きく軽減された。また駅・バス停の追加や名称の変更、スポンサー広告の変更の際についても、変更箇所の冒頭と末尾に音声合成処理を施すことにより、繋ぎ合せの不自然さがなくなり、その箇所だけの録音で済むようになった。
JRなどの特急列車や急行列車では、放送前または放送前後にオルゴール等による車内チャイムを流す場合もある(後述)。
特にワンマン運転の場合は、運転士の負担を軽くするという観点から自動放送が多く使われ、バスではほぼすべてが自動放送である。また、利用人口の多い都市部の鉄道あるいは新幹線を含む特急列車などでは外国人の利用者にもわかりやすいように外国語での自動放送も増えている。そのほとんどが英語による放送であるが、九州新幹線においては、日本語・英語の自動放送に加え朝鮮語・中国語での自動放送もされている。他にも名古屋市営地下鉄では英語の他に現地に住むブラジル人が多いことからポルトガル語の放送も行われる。このため従来どおりの日本語案内放送に加えて英語・中国語・朝鮮語などの案内放送を加えると放送時間が長くなるため停車駅や車内の簡単な案内の放送へと簡素化された。また長野オリンピック開催時には臨時に長野新幹線「あさま」号でフランス語による自動放送もされた。
放送内容は、基本的には次のようなものがある。
- 次の停車箇所(駅・バス停など)の案内
- その他運行上の案内(路線名・系統名・行き先・経路・進行方向・停車駅のドアの方向など)
- 車内設備の案内・注意(トイレ・女性専用車・公衆電話等の有無および設置箇所・携帯電話使用に関する注意・車内及び駅構内(バス停)での禁煙のお知らせ・駆け込み乗車の防止・ポイント通過時及び急ブレーキ使用時における車内事故防止目的のための注意喚起・犯罪(痴漢・スリ・車内暴力など)防止のための注意喚起)
- 宣伝(自社他路線の宣伝・プリペイドカード類の宣伝・車内販売の案内)
- 挨拶(「ご乗車ありがとうございます」など)
- スポンサー企業の広告
- その他、観光地を走行する路線では沿線の観光案内・年中行事の挨拶など(「あけましておめでとうございます」など)が放送される場合もある。
※ただし、特に通勤電車などではラッシュ時の内容を限定している場合がある。
本来の目的とは異なる理由で放送が自動化されることもある。その一例は「ドラえもん海底列車」や「マンガッタンライナー」などで行われるアニメの登場キャラクターによる放送で、これらはそのキャラクターを演じている声優本人の声で録音されたものを放送している。
北海道旅客鉄道(JR北海道)の特急(国鉄キハ183系気動車使用列車を除く)と快速「エアポート」の一部列車では、終着駅に到着した時点で、自動放送の担当者本人(日本語 : 大橋俊夫/英語 : ジーン・ウィルソン)がそれぞれ自ら名前を名乗り、自動放送の担当を行った旨があわせて放送されている。[1]。
また、JR九州885系電車使用列車では終着駅付近になるとJR九州の社歌である「浪漫鉄道」のカラオケバージョンを流すことがある。「かもめ」号では終着駅到着時に「終着駅自動放送」→「浪漫鉄道」→「浪漫鉄道の途中でも車掌の案内放送」の順番で放送があることが多い。「ソニック」号でも終着駅到着時に上記の順で放送が流れることが多い。
喋り方について
特に鉄道の車内アナウンスは独特な節回しで鼻にかかったような声で行われる場合が多く、車掌のものまね等を行う際の大きな特徴にもなっている。いくつかの説があるが、1つは、いろいろな人が喋っている車内において、普通の声でアナウンスをしていたのでは声がかき消され乗客が認識しにくいから、もう1つは昔から「車掌は鼻声」と言われておりそれが今も続いているという2つの説がある。
なお 一般的なメガホンやマイクでは列車の放送とは少し音程が異なる。これは車両で使用しているマイクが黒電話などで使われていたカーボンマイクと呼ばれるもので高音はカットされ低音と中音だけになるためである。
ものまねする人物
車内チャイム
車内チャイムは主に有料列車で車内放送の前後に流れるチャイムのことを指す。一部の普通列車でも流すこともある。
概要
駅間距離の短い普通列車と違い特急列車などでは、停車駅間距離が長く、それに伴って放送の流れない"無音状態"の時間が長くなる。このため乗客たちは必然的に会話などを行うのだが次の停車駅が近づいた際に突然、車掌が喋り出しそれまでの会話が中断され、また、突然のことで驚くなどしていたために、一部の夜行特急列車で試験的に喋る前に音楽を流すということが取り入れられた。20系客車・キハ80系気動車での「ブラームスの子守歌」がそれである。これが好評であったために東海道新幹線で正式に採用され、その後、多くの特急・新幹線にも採用されている。
チャイムのメロディーは旧・日本国有鉄道(国鉄)時代は電車と東海道新幹線開業当時は「鉄道唱歌」、気動車は「アルプスの牧場」、客車は「ハイケンスのセレナーデ」が一般的だったが、最近では鉄道唱歌やクラシック音楽・童謡などのほか数多くのオリジナルメロディーを電子音風にアレンジしたものもある。
この先駆として東北・上越新幹線では各駅で民謡をアレンジした「ふるさとチャイム」が東京駅延伸開業前の1991年まで使用されていた。
東海道・山陽新幹線では、2003年11月23日まで、「のぞみ」と「ひかり」・「こだま」で、始終着駅と途中駅で異なるチャイムが車種に関係なく使用されていたが、翌11月24日以降、JR東海車と西日本旅客鉄道(JR西日本)車で、種別に関係なく始終着駅と途中駅で異なる両社のキャンペーンソング(JR東海車 : 「AMBITIOUS JAPAN!」、JR西日本車 : 「いい日旅立ち・西へ」)を用いたチャイムを使用している[2]。なお、両社のキャンペーンソング導入以前に「のぞみ」号の始終着時に使用されていたチャイムは東京駅の東海道新幹線ホームで発車メロディとして使用されている。
山陽・九州新幹線では、JR西日本車は東海道・山陽新幹線と同じ「いい日旅立ち・西へ」に対して、JR九州車は向谷実によるオリジナルのチャイムを使用している[3]。
JR西日本の特急「くろしお」(国鉄381系電車)と近畿日本鉄道のアーバンライナー(近鉄21000系電車・近鉄21020系電車)、沖縄都市モノレールなどでは各駅到着前に個別の車内チャイムを使用する。各停車駅毎に違うチャイムではないが、JR西日本の急行「能登」(489系)、特急「こうのとり」・「きのさき」等(287系など)、智頭急行の特急「スーパーはくと」(智頭急行HOT7000系気動車)などではその地域にあわせた民謡をアレンジした車内チャイムを使用している。
小田急電鉄では有料特急であるロマンスカーにおいて、小田急50000形電車(VSE)と小田急60000形電車(MSE)の車内チャイムに自社のCMソングである「ロマンスをもう一度」を使用している。
広島電鉄では通常はチャイムだが、広島電鉄本線の原爆ドーム前停留場に限り鐘の音を流す。また、乗換え指定電停では専用のチャイムが流れる。
北越急行では、普通列車の始発・終着チャイムにJRバス各社が運行する都市間高速バス「ドリーム号」車内チャイムと同じものを使用している。
これと類似のもので、ワンマン運転の鉄道・バスでは車内放送前に「ピンポーン」、「ポンポンポーン(ドミソ音)」、「ポーン」などごく短いチャイムを鳴らし乗客に注意を喚起する場合もある。
東日本旅客鉄道(JR東日本)の特急・新幹線の車内チャイム音源はCD化され、テイチクが発売元である「JR東日本発車メロディー・特急車内メロディー音源集~山手線一周+α~」に収録されている。
日本国外の事例
日本国外においても、長距離列車では日本同様に車内チャイムを鳴らす場合が多い。例えばヨーロッパの高速列車であるTGVやタリス、ユーロスターでは放送前にチャイムを鳴らす。
ヨーロッパでは都市鉄道で音楽を流すことも多い。ドイツのSバーンや路面電車の車内放送では、ボーンと教会の鐘の音のようなチャイムが鳴る。特徴的なのは、フランスのストラスブール市のLRTである。車内放送では各停留所毎に異なる音楽を流している。全停留所の音楽が異なるだけではなく、ジャンルが多岐にわたっていることも特徴である。一般的な電子音楽のほか、ロックやレゲエ、民族音楽なども採用されており、歌声が入っているものもある。
アジアの高速鉄道では、台湾高速鉄道や中国の高速鉄道では日本と同じくチャイムに続き録音された案内が流れる。韓国KTXでは音楽に乗せて録音された案内が流れ、日本国内の一部のリムジンバスでも聞かれるような、FM放送のDJ風となっている。
編成別放送
編成別放送(へんせいべつほうそう)とは、列車の車内放送を編成別に放送する機能のことである。
例えば、多層建て列車など途中で解結が予定されている複数の編成の列車が連結されている際に、編成ごとに行先案内の放送を行う場合など、一連の複数の編成のうちある特定の編成の車両においてのみ注意すべき事項などを案内するために用いられる。ボタンやレバー等のスイッチ操作で放送の編成を切り替えることができる。
車内放送に音源として係わった人物
アナウンス
- 堺正幸 - 東北・上越・山形・秋田・長野新幹線、JR東日本の特急[4]
- 脇坂京子 - 東海道・山陽・九州新幹線[4]
- ドナ・バーク - 東海道・山陽・九州新幹線[4]
- 西村文江 - 東京急行電鉄[4]、京王電鉄[4]、小田急電鉄[4]
- 三浦七緒子 - JR東日本[5]、新京成電鉄[6]
- 森谷真弓 - 東京地下鉄[4]、京成電鉄「スカイライナー」[4]
- クリステル・チアリ - JR東日本[5]、新京成電鉄[6]などの英語アナウンス。
- ジーン・ウィルソン - 東北・上越新幹線、JR北海道、JR東日本の特急、JR西日本の空港連絡特急「はるか」、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスの英語アナウンス[4]。
- フジテレビアナウンサー16名 - ゆりかもめ線の車内アナウンス。テレビ番組『アナ☆ログ』の企画によるもので期間限定。
作曲
- 黛敏郎 - 1968年から1970年まで使用された東海道新幹線の車内チャイムを作曲。
- 谷村新司 - JR西日本所有の新幹線電車の車内チャイムに採用されている「いい日旅立ち・西へ」、「トワイライトエクスプレス」の車内チャイムに採用されている「いい日旅立ち」を作曲。
- 筒美京平 - JR東海所有の新幹線電車の車内チャイムに採用されている「AMBITIOUS JAPAN!」を作曲した。
- 向谷実 - 九州新幹線と京阪電気鉄道、京成電鉄「スカイライナー」の車内チャイムなどを作曲。
その他
- SUPER BELL''Z - 鉄道の車内・駅アナウンスなどをモチーフにした楽曲「MOTO(e)R MAN」シリーズをリリース。プラレールのアナウンスも担当。