ひかり (列車)

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テンプレート:列車名 ひかりは、東海旅客鉄道(JR東海)および西日本旅客鉄道(JR西日本)が東海道・山陽新幹線東京駅 - 博多駅間で運転している特別急行列車愛称である。種別を示す色赤色テンプレート:Color)。

本項では同一名称の列車として、第二次世界大戦の終結前まで朝鮮総督府鉄道(鮮鉄)・南満州鉄道(満鉄)で運行していた急行列車および、東海道新幹線の開業まで九州で運行していた準急列車・急行列車の沿革についても記述する。

概要

1964年昭和39年)10月1日の東海道新幹線が開通した当初から、当時の日本国有鉄道(国鉄)により、途中名古屋駅京都駅のみに停車する“速達型列車”として誕生した[1]。運転開始当時は、各駅に停車する「こだま」とともに「夢の超特急」とも称された。その後1972年(昭和47年)3月15日の山陽新幹線岡山駅開業、1975年(昭和50年)3月10日の山陽新幹線博多駅延伸に応じて運転区間を延ばし、長く東海道・山陽新幹線の全区間を走行する速達型列車として運転されていた。

その一方で山陽新幹線区間では開業当初から途中の停車駅が多い列車と少ない列車が設定され、本数も「こだま」の運行本数を大きく上回るようになり、列車によってはおなじ「ひかり」でありながら“速達型列車”と“途中駅通過型列車”の二つの側面を持つようになった。なかには京都駅 - 博多駅間が各駅停車となる「ひかり」さえ、一時期ではあるが設定されていたこともあった。

国鉄の分割民営化以後は東海道新幹線を担当するJR東海と山陽新幹線を担当するJR西日本との共同運行により、基本的には国鉄時代の運行体勢を維持して運行されてきたが、1992年の「のぞみ」運転開始後は速達型列車の役割を「のぞみ」にシフトさせることとなり、2004年6月以降は速達型列車である「のぞみ」を補完する“途中駅通過型列車”としての役割を主に担うようになっている。2012年現在は東京駅 - 博多駅間を直通する「ひかり」は存在せず、東京駅発の山陽直通「ひかり」は最長で岡山駅まで(上り1本のみ広島駅発東京行き)、博多駅発の「ひかり」は最長で新大阪駅まで(ほかに東京駅・名古屋駅 - 広島駅間の系統がある)。

上述のように、東海道・山陽新幹線では長きにわたって主力列車の名称として用いられてきたこともあり、かつては「(東海道・山陽)新幹線=『ひかり』」とのイメージが強く、東海道・山陽新幹線の第二世代車両である100系新幹線の俗称、あるいは第三世代車両である300系新幹線開発のために製作されたモックアップスーパーひかりモデル)および「のぞみ」の名称決定前の仮称として、いずれも「スーパーひかり」の呼称が用いられていた。

列車名の由来

東海道新幹線で運行される特急列車の名称は開業前に公募で選ばれ、応募総数約559,000通のうち、1位が「ひかり」で約20,000票、そして「はやぶさ」、「いなづま」、「はやて」、「富士」、「流星」、「あかつき」、「さくら」、「日本」、「こだま」と続いた。「」と「木霊」()の組み合わせで、列車の速度差を表したとも言われる。光速の次が音速ならペアを組ませるのに丁度良いということもあった。

なお、計画時には列車名は設定せずに個々の列車を航空機のように列車番号だけで区別する予定だったが、「名前が欲しい」という要望が多数来たために列車名を付けることになった。10位から下には現在使用されている「のぞみ」などもあったという。また国鉄内部では、時間ごとに干支を使う案まで検討されたが、これは不採用となった。

さまざまなバリエーション

「ひかり」には、山陽新幹線がJR西日本の運営に移行して以後、山陽新幹線の輸送力・輸送状況に応じたさまざまなバリエーションが登場している。これらはいずれも「ひかり」の愛称であり、本来の列車名としてはいずれも単に「ひかり」である。

ウエストひかり
0系6両または12両の専用編成により運行された、山陽区間限定運行の「ひかり」。普通車の座席は横2+2配列で、ビュフェを連結、また一時期シネマカーを連結したものもあった。最高速度は220km/h。1988年3月13日に1日4往復で運行を開始し、2000年4月21日に運行を終了した。
グランドひかり
ファイル:Grand-shokudo.jpg
「グランドひかり」食堂車
100系16両編成のうち、JR西日本所有のV編成(3000番台)を用いた列車で、JR東海所有のX・G編成と異なり2階建て車両を中間に4両連結していた。最高速度は東海道区間220km/h、山陽区間230km/h。新大阪駅 - 博多駅間を最短2時間49分(停車駅:岡山駅・広島駅・小倉駅)で結んだ。1989年3月11日に1日2往復で運行を開始し、2002年11月23日に運行を終了した(食堂車については2000年3月10日をもって営業を休止)。
シャトルひかり
本来は山陽区間用「こだま」に用いられる0系6両R編成を用いた列車。岡山駅 - 博多駅や広島駅 - 博多駅では各駅に停車していた。1991年3月16日に1日2往復で登場し、1997年11月28日に消滅した。
ウィークエンドひかり
その名の通り週末にのみ運転された「ひかり」。車両は0系R編成6両を使用。運転区間は下りの新大阪駅→広島駅間のみ(一部は博多行き。この場合16両編成が使用されることがあった)。1992年3月に初登場。
ファミリーひかり
0系6両R編成のうち、家族向けの改造を施した専用編成(R2, R22, R24編成)を用いた「ひかり」。3号車はビュフェを撤去し、プレイルーム「こどもサロン」を設置した。繁忙期にのみ運転され、全車指定席であった。1995年7月夏に初登場。
登場当初はR22編成の客室を遊戯室「こどもサロン」に改造し、全席指定の臨時「ファミリーひかり」として運用された。R22編成の遊戯室はその後座席復元されたが、1995年12月からはR2, R24編成の2本が正式に「ファミリーひかり」編成となった。この2本はビュフェ室と客室(37形)の一部「こどもサロン」として改造され、車両番号も7700番台に変更となった。多客期の臨時には全席指定の「ファミリーひかり」として運行し、その合間は「こだま」にも運用された。また、1997年のアコモ改善の際には「ひかり」であること(ただし、編成番号は「こだま」編成を示すR編成のまま)から優先的にアコモ改善工事が施された。
ひかりレールスター
「ウエストひかり」の後継として2000年3月11日に登場した、700系8両E編成を使用した山陽区間限定運行の「ひかり」。『サルーンシート』と呼ばれる普通車指定席は2+2シートで、他の「ひかり」編成よりもゆとりを持たせてある。4人用コンパートメントもあり、運賃と指定席特急料金のみで利用できる(3・4人利用時)。最高速度は285km/h。最速で新大阪駅 - 博多駅を2時間40分(2009年3月14日以降)で結ぶ。他の派生型「ひかり」と異なり、駅や車内での表示・アナウンスでも「ひかりレールスター」と案内される。
九州新幹線全線開業時に700系を置き換える形で運行を開始したN700系8両編成充当列車は「ひかりレールスター」とは案内されず、2013年3月16日現在「ひかりレールスター」自体の本数は下り1本、上り2本の計3本のみにとどまる。

運行概況

2013年3月16日ダイヤ改正現在のものである。

東海道区間における日中は1時間あたり東京駅 - 新大阪駅間1本(東京33分発、新大阪13分発)と東京駅 - 岡山駅間1本(東京03分発、岡山21分発)の計2本が基本となっている。朝の一部に東京・新横浜・名古屋 - 広島間の列車と、名古屋 - 博多間の列車が設定されている。山陽区間では、前述の東海道新幹線直通列車とは別に、8両編成「ひかり」が新大阪 - 博多間で2本、博多 - 岡山間で1本、16両編成「ひかり」が新大阪 - 博多間で2本設定されている。

なお、2009年3月14日以降、東海道新幹線から山陽新幹線広島駅以西に直通する「ひかり」は運転されていなかったが、2013年3月16日のダイヤ改正により、朝の名古屋始発のひかり1本が博多駅までの運転となり、4年ぶりに東海道新幹線から広島以西に直通するひかりが復活した。

停車駅

テンプレート:Main2

号数 運行本数\駅 東京駅 品川駅 新横浜駅 小田原駅 熱海駅 三島駅 静岡駅 浜松駅 豊橋駅 名古屋駅 岐阜羽島駅 米原駅 京都駅 新大阪駅 新神戸駅 西明石駅 姫路駅 相生駅 岡山駅 福山駅 広島駅 新下関駅 小倉駅 博多駅 備考
460 - 482号 下り4本/上り4本          
下り2本/上り3本       上り1本のみ広島始発
京都 - 広島間各駅に停車
下り5本/上り5本            
491 - 495号 下り1本                   N700系で運転
下り1本           N700系で運転
下り1本                         N700系で運転
500 - 539号 下り6本/上り6本                    
下り7本/上り7本                     下り1本のみ小田原停車
下り1本/上り1本                    
下り2本/上り2本                     下り1本のみ熱海停車
下り1本/上り1本                     下り1本のみ岐阜羽島停車
上り1本                    
下り1本                     臨時列車(主に日曜に運転) 
下り2本/上り2本                             下り2本/上り1本はN700系で運転
  • ●:全列車停車
  • ○:一部の列車が停車
  • - ← →:通過

所要時間

所要時間

主要駅間の所要時間は以下の通り。ただし列車によって多少の差がある。

主要駅との標準所要時間表(臨時列車をのぞく)
東京
約15分 新横浜
約1時間10分 約45分 静岡
約2時間 約1時間40分 約1時間 名古屋
約2時間40分 約2時間20分 約1時間40分 約30分 京都
約3時間 約2時間40分 約1時間50分 約50分 約15分 新大阪
約3時間40分 約3時間20分 約2時間40分 約1時間40分 約1時間 約40分 姫路
約4時間 約3時間50分 約3時間10分 約2時間20分 約1時間30分 約1時間10分 約30分 岡山
約5時間20分 約4時間 約3時間20分 約2時間40分 約2時間 約1時間40分 約1時間 約40分 広島

使用車両・編成

記号凡例
テンプレート:Bgcolor=グリーン車指定席
指=普通車指定席
自=普通車自由席
S=喫煙ルーム
15px=禁煙席

テンプレート:Tokaido Shinkansen 16 unit

700系16両編成
主力編成の一つ。2007年以降300系に代わり充当される列車が増えている。16両編成は東海道区間を中心に使用。

テンプレート:- テンプレート:Sanyo Shinkansen 700 for Hikari Railstar Unit

700系8両編成
700系のうち山陽新幹線内でのみ使用される編成で、通称「ひかりレールスター」。全車普通車で、グリーン車は連結していない。以前は4号車に「サイレンスカー」の設定があった。
2012年3月16日までは例外として、朝の通勤時間帯に運転される540号は8号車以外自由席。「ひかり」543号は4・5号車も自由席。
2012年3月17日のダイヤ改正から、6号車も禁煙車になり、定期列車としては山陽新幹線の上り1本(「ひかり」442号)のみ[2]で4・5号車も自由席で運用されている[3]

テンプレート:- テンプレート:Tokaido Shinkansen N700 unit

N700系16両編成
「のぞみ」運用が中心だが、一部の「ひかり」にも充当されている。このほか運用上の都合でほかの列車にも臨時に充当されることもある。
2008年3月15日の「ひかり」393号(現493号、新横浜駅 → 広島駅間)で運用を開始。

テンプレート:- テンプレート:Sanyo Kyusyu Shinkansen N700 for Sakura & Mizuho Unit

N700系8両編成
本来は九州新幹線直通列車「みずほ」「さくら」用だが、間合い運用として2011年3月12日から山陽新幹線内の「ひかり」でも運用開始。
2012年3月17日のダイヤ改正から、例外として「ひかり」443号・440号は4・5号車も自由席。


過去の車両

0系
開業時から充当の第一世代車両である。短編成化され山陽新幹線のみの運転(「ウエストひかり」など)となった時期もあった。1964年10月1日の「ひかり」1号・2号(東京駅 - 新大阪駅間)で運用を開始し、2000年4月21日の「ひかり」359号(Sテンプレート:Small9編成充当「ウエストひかり」新大阪駅 → 博多駅間)をもって定期運用から撤退した。その後、2008年12月14日の「ひかり」347号(新大阪駅 → 博多駅間)をもって臨時運用から撤退して運用を終了した。
100系
1985年運転開始の第二世代車両で、16両編成の中間に2両連結されていた2階建て車両が特徴であった。派生車種として2階建て車両を4両連結した「グランドひかり」も存在した。
1985年10月1日の「ひかり」3号(東京駅 → 博多駅間)で運用を開始し、2003年8月22日の「ひかり」179号(名古屋駅 → 博多駅間)をもって2階建て車両は定期運用から撤退した。
2000年以降は短編成化され、4両(P編成)・6両(K編成)となって山陽区間の「こだま」で運用された。2011年にはP編成が撤退、K編成も2012年3月16日の「ひかり」445号(岡山駅 → 博多駅間)をもって臨時運用から撤退して運用を終了した。
300系
1992年運転開始の第三世代車両で、新設の「のぞみ」用車両としてデビューした。1992年3月14日の「ひかり」238号(新大阪駅 → 東京駅間)で運用を開始(「のぞみ」の間合い運用)し、2012年3月12日の「ひかり」477号(東京駅 → 岡山駅間)をもって定期運用から撤退して運用を終了した。
500系
W編成(16両編成)は「のぞみ」専用となっていたため先述したダイヤ改正以前において定期列車としての運用実績はないが、臨時列車として使用されたことがある。
過去には定期列車の「ひかりレールスター」を多客時に差し替えて使用された。運用に余裕が出てきた2008年以降、定期「ひかり」の代走[4]や多客期の臨時「ひかり」に充当されることがあった。
V編成(8両編成)は2012年3月17日のダイヤ改正から、山陽新幹線の下り1本(「ひかり」441号)のみで運用されていたが[2]、2013年3月16日のダイヤ改正により、運用を外れた。

割引きっぷ(廃止)

過去に以下の特別企画乗車券が発売されていたが、2013年11月現在いずれも廃止されており、取り扱いを行っていない。

ひかり早特きっぷ

乗車日の1か月前から1週間前まで発売される、発売期間・席数限定の「ひかり」指定席専用の片道「割引きっぷ」である。普通車指定席用のほかに、新大阪駅発着のみグリーン車用がある。こども用はない。予約列車や利用区間の変更・途中下車・乗継割引の適用はできない。

予約した列車に乗り遅れた場合は乗車券のみ有効で、別途特急券を購入する必要がある。ただし当日後続の「ひかり号」「こだま号」の普通車自由席に限り乗車できる。

2013年10月31日をもって取り扱いを終了した[5]

スーパー早特往復きっぷ

出発日の3週間前から1週間前に発売される席数限定の「割引きっぷ」であり、2007年7月から2008年3月まで発売された。区間は西明石、新神戸 - 新横浜、東京(品川)であり全区間ともに発売額は往復2万円。全ての「ひかり」と「のぞみ」60号(新神戸駅6:17分発)が利用可能。また「スーパー」の名の通り、エクスプレス予約などを遥かに超える割引率(通常期の約36 - 40%引)が設定されていた。このきっぷが発売された背景には神戸 - 羽田便との競合があった。

沿革

朝鮮鉄道・南満州鉄道急行「ひかり」

ファイル:HIKARI Observation car before 1945.JPG
朝鮮鉄道・南満州鉄道急行「ひかり」展望車

第二次世界大戦終結まで、朝鮮総督府鉄道(鮮鉄)と南満州鉄道(満鉄)の釜山駅 - 奉天駅(現在の瀋陽駅)・新京駅(現在の長春駅)・ハルビン駅間に、急行「ひかり」が運行されていた。

毎日南行北行とも各1回運転。947.2kmを約21時間で結んだ。平均時速約45km/h。列車編成は、広軌用大型荷物車三等車三等寝台車食堂車二等寝台車一等寝台展望車の各1両、計6両編成。蒸気機関車が牽引した。最後部に連結された展望車室は長旅を慰めたという。同区間には急行「のぞみ」も運行していた。

  • 1923年大正12年)4月:釜山駅 - 京城駅(現在のソウル駅)間を運転していた急行列車を奉天駅まで延長し、同時に「ひかり」と命名。
  • 1934年(昭和9年)11月:運転区間を満州国首都であった新京駅まで延長。
  • 1940年 - 1942年(昭和15年 - 17年)ごろ:運転区間をハルビン駅まで延長。
  • 1945年(昭和20年)8月:ソ連軍の満州侵攻により、運行不能になって消滅。

九州急行・準急「ひかり」

戦後、「ひかり」の名は九州を走る準急列車・急行列車の名称として使われた。キハ55系を使用した気動車による最初の急行として知られる。

新幹線の名前に「ひかり」が採用され、名前を譲ることになった急行「ひかり」は2系統に分けられ、博多駅・門司港駅 - 小倉駅 - 西鹿児島駅間は「にちりん」、博多駅 - 大分駅 - 熊本駅間は「くさせんり」に改称された。なお「くさせんり」については、2011年現在では「九州横断特急」の一部にあたる。また、当初の運転区間は「ソニック」の一部の区間に相当する。

新幹線としての「ひかり」

東海道新幹線開業以降

「ひかり」 12両編成編成図(1964年10月1日時点)[6]
テンプレート:TrainDirection
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
テンプレート:Small テンプレート:Small
記号凡例
  • 1964年(昭和39年)10月1日:東海道新幹線の速達タイプの列車として登場。東京駅 - 新大阪駅間を当初4時間、翌年11月から3時間10分で結び、途中名古屋駅・京都駅に停車。「ひかり」を「超特急」、「こだま」を「特急」とし、料金に差を設けた。
    なお、京都駅は当初停車対象に入っていなかったが、開業直前に京都市民などの運動もあって追加された(鉄道と政治を参照)。またこれにより、当初予定されていた「3時間運転」が「3時間10分運転」になってしまったという批判もあるが、実際に京都駅を(ホームドアまで設けて)通過したとしても所要時間の差は3 - 4分程度にしかならず、所要時間が延びた本当の理由は線形などの問題であったと伝えられている。
  • 1969年(昭和44年)12月8日:16両編成への増強を開始。全編成が増結を完了するまで、6号車と7号車の間に増6号車・増7号車、10号車と11号車の間に増10号車・増11号車とすることで対応した[7]
  • 1972年(昭和47年)
    • 3月15日:山陽新幹線が岡山駅まで開業する。
      1. この時から「ひかり」に自由席が設けられ、16両編成で1 - 4号車が自由席となった。
      2. また、「ひかり」において用いられた「超特急」の呼称も使われなくなり、東京駅 - 名古屋駅間を除いて料金格差もなくなった。
      3. 新大阪駅 - 岡山駅間で停車駅により以下の3タイプが設けられた。
        1. 岡山駅まで無停車のもの(Wひかり)
        2. 途中一部の駅(新神戸駅・姫路駅)に停車するもの(Aひかり)。
        3. 各駅に停車するもの(Bひかり)。…特に各駅に停車するタイプは、「こだま」の代替列車の役割も果たすこととなった。
    • 10月10日北陸本線の特急列車と接続させるため、3往復の「ひかり」が米原駅に停車するようになる。初めて「ひかり」の停車駅が追加された。
  • 1974年(昭和49年)9月5日:「ひかり」で、新幹線初となる食堂車の営業を開始。

山陽新幹線全線開業以降

食堂車組み込み「ひかり」 16両編成編成図(1975年3月10日時点)
テンプレート:TrainDirection
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
D テンプレート:Small G G
記号凡例
  • 1975年(昭和50年)3月10日:山陽新幹線が博多駅まで開業する。
    • 山陽新幹線区間では、岡山開業時の流れを継いで日中には「こだま」を設定せず、「ひかり」にその代替を担わせることとしたため、各駅停車の「ひかり」が速達の「ひかり」に追い抜かれるという現象も発生した。国鉄はもっとも停車駅の少ないパターン(下記の「Wひかり」)に「赤いひかり」、それに次ぐもの(下記の「Aひかり」)に「青いひかり」という俗称を与え[8]、駅掲示の時刻表などに反映させた[9]が、定着せずに終わる。ただし、最速達パターン専用の赤文字の方向幕はその後も100系に至るまで長く使用された。
    • 博多開業時の基本的な停車パターンは次の3通りであった。〔 〕は一部停車。ただし一部に例外設定の列車あり。
      1. 最速達タイプ(Wひかり)… 新大阪駅 - 岡山駅 - 広島駅 - 〔小郡駅(現在の新山口駅)〕 - 小倉駅 - 博多駅]
      2. 一部通過タイプ(Aひかり)… 新大阪駅 - 新神戸駅 - 姫路駅 - 岡山駅 - (各駅停車) - 博多駅
      3. 「こだま」代替タイプ(Bひかり)… 山陽新幹線内各駅停車
      この時、東京駅 - 名古屋駅間のみ残されていた「ひかり」の料金格差も廃止された。
  • 1976年(昭和51年)7月1日:新横浜駅と静岡駅に停車する「ひかり」が初めて設定される。一部通過タイプ(Aひかり)の停車駅から新倉敷駅三原駅を除外。
  • 1980年(昭和55年)10月1日:新幹線初の列車削減が行われ、「こだま」が大幅に削られる中、一部の「ひかり」が小田原駅浜松駅豊橋駅岐阜羽島駅にも停車するようになり、それらの列車は(俗称として一部では)「ひだま」と呼ばれるようになった。また、1号車が禁煙席となった[10]
  • 1985年(昭和60年)
    • 3月14日:「ひかり」が新横浜駅に毎時2本、静岡駅に毎時1本、小田原駅・熱海駅・三島駅・浜松駅・豊橋駅のうち2駅に毎時1本停車、それと同時に熱海駅・三島駅にも停車するようになる。
    • 10月1日:100系登場に伴い「ひかり」に使用される。
  • 1986年(昭和61年)11月1日:国鉄最後のダイヤ改正を実施。最高速度を220km/hに引き上げ、東京駅 - 新大阪駅間の「ひかり」を2時間56分運転とする。この時点で初めて東京駅 - 新大阪駅間を3時間を切ることとなり、同時に「ひだま」型列車も従来の「ひかり」並みの3時間10分前後での運転が中心となる。

国鉄分割民営化以降

  • 1987年(昭和62年)6月:JR東海が「スーパーひかりモデル」を製作し、東京駅に展示した。しかし、設計は後に大幅に変更された。
  • 1988年(昭和63年)3月13日:JR西日本が運営するようになった山陽新幹線で、「ひかり」に使用する0系の設備をグレードアップした「ひかり」(「ウエストひかり」)の運転を開始。当初は1日4往復運転。
  • 1989年平成元年)3月11日:JR西日本が、「ひかり」に使用する100系の中間車両4両を2階建て車両とした「ひかり」(「グランドひかり」)を運転開始。当初は1日2往復運転。
  • 1990年(平成2年):300系9000番台J0編成(後のJ1編成である試作車)の「スーパーひかり」落成。
  • 1991年(平成3年)3月16日:山陽新幹線で「こだま」用の0系車両の6両編成による「ひかり」(「シャトルひかり」)の運転を開始。当初は1日3往復運転。
  • 1992年(平成4年)3月14日:「のぞみ」が登場し、「ひかり」は東海道新幹線の最速列車ではなくなる。一部の「ひかり」は、途中駅で「のぞみ」の通過待ちを行うようになった。その後、300系の増備が進むにつれて300系が順次投入される。
  • 1996年(平成8年)3月16日:ダイヤ改正。
    1. 300系を使用する「ひかり」の一部列車(主に岐阜羽島駅・米原駅に停車するもの)のうち、名古屋駅 - 新大阪駅間の最高速度を270km/hに引き上げた(2003年10月1日より全列車、全区間270km/h運転に拡大)。これにより、米原駅のみ停車が岐阜羽島駅・米原駅連続停車となった列車があったが、従前と所要時間の差はほとんどなかった。
    2. 東京駅 - 博多駅間の「ひかり」は一部に「のぞみ」に抜かれない列車が存在した(当時の53号・34号など)が、本改正後は全て途中で「のぞみ」に抜かれるようになった。
  • 1997年(平成9年)11月29日:ダイヤ改正。
    1. 「シャトルひかり」廃止。
    2. 同時に山陽新幹線での停車駅を削減し、新岩国駅東広島駅三原駅新尾道駅新倉敷駅相生駅が停車駅から外された。後に「ひかり」の停車が復活する。
    3. 静岡駅に停車する「ひかり」のほとんどに300系が使用され、300系が限定運用に入る列車については名古屋駅以西の運転区間が最高速度270km/hに引き上げられ、この便に限り名古屋駅 - 新大阪駅間の「のぞみ」との所要時間差はわずか1分となった。それに伴い、東京駅 - 広島駅間運行の「ひかり」にも300系を投入。列車号数は130 - 140号台。
  • 1998年(平成10年)3月14日:ダイヤ改正で東京駅 - 博多駅間を運行する500系の本数増加に伴い、東京駅 - 博多駅間運行の「ひかり」にも300系を投入。

2000年代以降の展開

  • 2000年(平成12年)
    • 3月11日:ダイヤ改正。
      1. 山陽新幹線で700系をベースに車内などを大幅に変更した編成を使用して「ひかり」の設備・速度を向上させた「ひかりレールスター」の運転を開始。また「ひかりレールスター」新設により「ウエストひかり」が4月21日の運転(1往復のみ)を最後に廃止され、0系車両を使用する定期の「ひかり」も消滅した。またこの時「グランドひかり」を最後に食堂車の営業が休止され、「ウエストひかり」の廃止に伴ってビュフェ車も営業終了となった。
        このころから、東京駅 - 山陽区間を運行する「ひかり」の本数削減も実施。具体的には、直通列車の定期運行を東京駅 - 新大阪駅・姫路駅・岡山駅・広島駅間と名古屋駅 - 博多駅間となり、東京駅 - 博多駅間は3往復[11]を除き臨時列車となる。
      2. 新大阪駅 - 博多駅間毎時2本の「こだま」のうち、1本が姫路駅 - 博多駅間に短縮されたのに伴い、西明石駅に毎時1本「ひかり」が停車。
    • 10月1日:東海道新幹線の「ひかり」に700系を投入。翌年には山陽新幹線直通列車にも投入される。相生駅の「ひかり」停車が復活。
  • 2001年(平成13年)10月1日:ダイヤ改正で東京駅 - 広島駅間の「ひかり」がスピードアップ(東京駅 - 新大阪間は従来通り、新大阪駅 - 広島駅間で約15分の時間短縮)。300系の限定運用(一部列車は700系で運行)により、山陽新幹線区間内の最高速度を270km/hに引き上げたことによるが、東海道区間は「のぞみ」との格差の兼ね合いで220km/h運転のダイヤとされた。
  • 2002年(平成14年)11月23日:この時のさよなら運転をもって、「グランドひかり」消滅。なお、この日のみ、食堂車の営業が復活した。
  • 2003年(平成15年)
    • 9月16日:「ひかり」309号をもって、東海道新幹線から100系の営業運転終了。同時に、100系車両使用の「ひかり」も消滅。
    • 10月1日:ダイヤ改正。
      1. 名古屋駅 - 東京駅間の停車駅の少ない「ひかり」が「のぞみ」に格上げ。この結果、「のぞみ」と「ひかり」の運転本数が逆転するとともに、東京駅 - 広島駅間と東京駅 - 博多駅間運行の「ひかり」が消滅。(東京駅 - 広島駅運行の「ひかり」は2012年のダイヤ改正で1往復のみであるが復活している。)
      2. 東海道新幹線における「ひかり」は、全て“ひだま”形の列車となり停車駅は増加したものの、全区間での270km/h運転により、東京駅 - 新大阪駅間の標準所要時間は従来の「ひかり」と同等の水準(2時間50分 - 3時間)が維持された。東海道新幹線内は毎時2本の設定で東京駅および新大阪駅ではほぼ等間隔に発着しているが、停車パターンが異なるため名古屋駅で前後の「ひかり」が最接近し、同駅においては約10分 - 50分間隔での運転となっている。また、小田原駅・三島駅(6本→12本)・浜松駅(16本→26本)・豊橋駅(6本→16本)の各駅にて「ひかり」の停車本数が増加した。 また、山陽新幹線の姫路駅 - 博多駅間の「こだま」が岡山駅 - 博多駅間に短縮されたことに伴い、相生駅に毎時1本「ひかり」が停車。
  • 2006年(平成18年)3月18日:新大阪駅 - 広島駅間の「ひかりレールスター」が上下1本ずつ三原駅に新規停車。三原駅への停車がほぼ10年ぶりに復活。
  • 2007年(平成19年)7月1日:ダイヤ改正。
    1. 名古屋駅 - 博多駅間「ひかり」の山陽区間でのスピードアップと「ひかりレールスター」の時刻が変更された。その結果、1975年の山陽新幹線博多開業以来続いていた「ひかり」が「ひかり」を追い抜く現象が消滅した。
    2. 東京駅 - 新大阪駅間を2時間49分で運転する列車(「ひかり」427号、品川駅・新横浜駅・静岡駅・浜松駅・豊橋駅・名古屋駅・京都駅に停車)が設定される。この記録は「のぞみ」登場前の下り新大阪行き最終列車(通称:「シンデレラエクスプレス」)とならび歴代1位タイである。主に日曜日のみの運転で、当時の通称「シンデレラエクスプレス」に比較すると品川駅・新横浜駅・静岡駅・浜松駅・豊橋駅にも停車し、浜松駅では「のぞみ」を待避する。なお、名古屋駅 - 新大阪駅間の所要時間50分は歴代の「ひかり」の中では最速である。
  • 2008年(平成20年)3月15日:ダイヤ改正。
    1. 東海道新幹線内における「ひかり」運行体系の大幅な見直しを実施。特に静岡地区から山陽新幹線への接続を考慮し、東京駅 - 岡山駅間と東京駅 - 新大阪駅間に各1本ずつ運転されている「ひかり」の停車駅パターンを入れ替えた。この見直しにより、熱海駅・三島駅・静岡駅・浜松駅に岡山駅発着のひかり再び停車することになった。更に小田原(12本→15本)、静岡(34本→37本)、浜松(26本→34本)、豊橋(16本→18本)の各駅で停車本数が増え、浜松は日中でも1時間に1本が停車となり、静岡に停まるひかりの殆どが浜松にも停車となった。また、「ひかり」「のぞみ」全列車が品川駅・新横浜駅に停車するようになる。
    2. 山陽新幹線では早朝の上り2本が増発され東広島駅・新尾道駅・新倉敷駅の各駅にて上り1 - 2本の「ひかり」が再び停車するようになった。また、相生駅で再び「ひかり」が「ひかり」を追い抜く現象が見られるようになった。
    3. 定期列車としては初めてN700系「ひかり」が下り2本に設定される(このほか10月1日に上り1本に追加)。このうちの1本は初の新横浜駅始発列車(広島行き)である。
    4. 東京駅 - 新大阪駅間の上り「ひかり」432号(京都駅・米原駅・名古屋駅・静岡駅・新横浜駅・品川駅に停車)は、「ひかり」の最速達記録となる所要時間2時間47分の列車として設定。下り「ひかり」の東京駅 - 新大阪駅間の最速達列車は2時間57分とされたものの、前述の新横浜駅始発「ひかり」は横浜地区から大阪方面への最速達列車で、東海道新幹線内では日中の「のぞみ」とほぼ同じ所要時間で運行される列車として設定されている。新横浜駅 - 新大阪駅間(小田原駅・静岡駅・名古屋駅・京都駅に停車)の所要時間は2時間15分であり、名古屋駅 - 新大阪駅間の所要時間は従来より2分短い48分で最速達列車となっている。この「ひかり」は新神戸駅まで後続の「のぞみ」に先着し、西明石駅で新横浜駅を11分後に発車する「のぞみ」を待避する。
  • 2009年(平成21年)3月14日:ダイヤ改正
    1. N700系を朝の上り始発の「ひかり」と名古屋駅 - 広島駅間の1往復に投入しスピードアップ。名古屋駅 - 広島駅間の列車は名古屋駅 - 博多駅間運行の1往復を短縮したもので、広島駅 - 博多駅間から「ひかりレールスター」以外の定期「ひかり」が消滅。
    2. 新大阪駅 - 広島駅間運行の下り1本が岡山駅 - 広島駅間各駅停車となり、新倉敷駅・新尾道駅・東広島駅の各駅にて下り「ひかり」の停車が復活。
    3. ダイヤ改正以後も、N700系が充当される「ひかり」が順次増加(4月29日10月2日12月14日にそれぞれ1本ずつ増)。
  • 2010年(平成22年)3月13日:ダイヤ改正
    1. 「ひかりレールスター」の5往復を多客期に運転する臨時列車に変更(定期列車を1日25往復から20往復に減便)。
    2. 下り1本をN700系に置き換え、N700系「ひかり」は計7本となる。
    3. 東京駅 - 新大阪駅間の下り「こだま」1本の運転区間が東京駅 - 名古屋駅間に短縮されるのに伴い、岐阜羽島駅と米原駅での停車本数が1本ずつ増加。これにより18時以降に東京駅を出発する下り列車が名古屋駅以西各駅停車となる。

山陽・九州新幹線の直通運転開始(2011年)

  • 2011年(平成23年)3月12日:ダイヤ改正
    1. 16両編成の「ひかり」の3号車と、8両編成の「ひかりレールスター」の2号車を禁煙車に変更し、「ひかり」「ひかりレールスター」の自由席は全て禁煙車となる[12]
    2. 「ひかり」495号が福山駅に追加停車。これにより定期の「ひかり」全列車(「レールスター」を含む)が福山駅に停車する。
    3. 九州新幹線全線開業による「さくら」「みずほ」運転開始に伴い、「ひかりレールスター」を20往復から10.5往復(上り11本、下り10本)に減便。またサイレンスカーの設定とチャイルドクッションの貸し出しを取り止める。また、この時に号数番号が「さくら」と「ひかり」で通し番号となった。
    4. 下りの小倉駅→博多駅間で実施していた自由席特急券等で普通車指定席に乗車できる特例を廃止。

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  • 2012年(平成24年)3月17日:ダイヤ改正 
    1. 300系の営業運転を終了。
    2. 東京-姫路・岡山・三原間で運転されている「ひかり」4本を東京-新大阪間の運転に変更。
    3. 東京-新大阪間で運転されている一部の「ひかり」を2時間53分にて運転。
    4. 8両編成の「ひかりレールスター」の6号車を禁煙車に変更し、全車禁煙となる[13]
    5. 東京-岡山間で運転されている「ひかり」1往復を東京-広島間の運転に変更し、東京-広島間運転の「ひかり」が9年ぶりに復活。
    6. 朝の下り1本、岡山-広島間で運転される「ひかり」に500系を充当。
  • 2013年(平成25年)3月16日:ダイヤ改正 
    1. 名古屋-広島間で運転されている「ひかり」下り1本を名古屋-博多間の運転に変更し名古屋-博多間運転の「ひかり」が4年ぶりに復活。
    2. 新岩国に停車する「ひかり」が復活。
    3. 「ひかり」の500系充当が終了。
    4. 東海道・山陽新幹線を直通する「ひかり」のうち、3本が運転区間を短縮。
  • 2014年(平成26年)3月15日:ダイヤ改正
    1. 東京毎時33分発、東京毎時10分着の東京~新大阪間ひかりを全てN700系へ統一。日中の標準所要時間は上り2時間54分、下り2時間53分となる。これによりのぞみの1時間当たりの最大運転本数10本体制が終日可能になる。
    2. 東京~岡山間ひかりの内、従来からの468号に加えて465号及び476号もN700系運用となる。

脚注

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関連項目

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  1. 後にこの停車パターンは運行開始時の「のぞみ」に踏襲されている
  2. 2.0 2.1 鉄道ファン2012年7月号「JR車両ファイル」p.11
  3. JTB時刻表、2013年4月号、p.1047
  4. 2008年3月19日に374・381号、3月20日には366・373号、同年4月17日に374・381号、2009年2月15日に366・373号として300系の代わりに運用されたことがある。
  5. 新幹線回数券等の一部見直しについて - 東海旅客鉄道株式会社ニュースリリース 2013年9月19日
  6. テンプレート:Cite book
  7. テンプレート:Cite book
  8. テンプレート:Cite journal
  9. テンプレート:Cite journal
  10. テンプレート:Cite book
  11. JR西日本所属の700系B編成の検査を博多総合車両所で行うため
  12. 新幹線車両の禁煙拡大について - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2010年7月30日
  13. テンプレート:PDFlink - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2011年12月16日