大和型 (架空戦記)

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ここでは、様々な架空戦記に登場した大和型(やまとがた)と呼称される軍艦について述べる。大部分の作品では史実の大和型戦艦大和武蔵また時には信濃111号艦がそのまま登場するが、一部の作品では兵装や速力などが史実と異なり、中には戦艦でないものさえある。

改大和型戦艦超大和型戦艦(797号艦~799号艦、または作品内の大和型と同等の艦体を用いた艦、大和型戦艦に準ずる艦)についてもここで扱う。


征途

大和・武蔵

佐藤大輔の『征途』には大和と武蔵が登場する。両艦とも1944年10月の捷一号作戦までは史実とほぼ変わらない。捷一号作戦時、大和は、史実では副長の能村次郎中佐(当時)が砲術長を兼任していたが、この作品では新任の藤堂明中佐が砲術長を務めていたことにされている。レイテ湾への攻撃を成功させ本土に帰還した後、大和は損傷修理を兼ねた大改装を受ける。

  • 新型水上捜索電探の搭載。煙突の後ろにあった大和型特有のアンテナマストに替えて前部艦橋と煙突の間に垂直のマストを立て、その上に装備した。
  • 高角砲を片舷のみ65口径10cm砲連装6基に変更。
  • 対空噴進砲8基搭載。機銃の増設。
  • 艦載水上機用射出機(カタパルト)と収容用クレーンの撤去。
  • 副砲の砲塔・弾火薬庫周辺などに防御装甲を追加装備。

武蔵についても電探の更新と機銃などの増設が行われた。

やまと

終戦後、大和はアメリカ軍によって接収された。一時は反応兵器実験の標的艦にされる予定だったが、「向こう側」の出現を受けてまたも改装される。

  • 副砲、高角砲を全基撤去。アメリカ製38口径12.7cm連装両用砲を両舷に12基ずつ搭載。
  • 第1、ならびに第4副砲塔のあった場所に電探付の射撃管制装置を搭載。
  • アメリカ製電探を搭載。CICの設置。

改装後、「大和」は超甲型警備艦「やまと」として海上保安庁海上警備隊に配属された。

北海道戦争後、海上自衛隊の発足と共にやまとも護衛艦隊に移管し、超大型護衛艦(艦番号BB-11)に改称される。一時期予備艦となったが、ベトナム戦争参加に際して現役に復帰、小改装(電子戦能力の向上、ヘリ甲板仮設など)を受けた上でベトナムへ派遣される。

ベトナム戦争後ふたたび予備艦になっていたやまとは、1980年代に入って「10・4・10・10艦隊」計画により大改装を受け、イージス艦となる。

レッドサン ブラッククロス

大和

佐藤大輔の『レッドサン ブラッククロス』には大和型戦艦(1号艦級)大和、武蔵、改大和型戦艦(3号艦級)信濃、甲斐、超大和型戦艦(5号艦級)紀伊、尾張が登場する。これらは播磨型戦艦(7号艦級)と共に「九九九艦隊計画」によって建造されたものである。

艦型・兵装は史実とほぼ同じだが、全長がやや長く、排水量も大きい。史実より燃料スペース(航続距離)を犠牲にし(油槽船をつけて補う)、その代わり機関が強化されており、高速となっている。結局の所、燃費の見積もり違いが判明し、十分な航続距離が得られている(史実の大和型戦艦が、燃費の見積もり違いから設計よりも遥かに航続距離が大きかった事実を裏返している)。また、電子兵装なども史実より充実していたと思われる(艦型については「紀伊・尾張」を参照)。

大和は第三次世界大戦勃発後に大神工廠で改装を受ける(内容不明)が、工事終了後の1949年秋にドイツ軍破壊工作部隊の襲撃を受けた。その後カリブ海に進出し、ドイツ海軍北米艦隊との夜戦で沈んだとされている(該当するエピソードはまだ書かれていない)。

武蔵・信濃・甲斐

信濃、甲斐は改大和型(信濃型とも)であり、最大の相違点は主砲が45口径から50口径に長砲身化された事である。後に武蔵も改装を受け、同等の主砲に換装している。3隻は1951年2月にヴィルヘルムスハーフェン砲撃を行った。

戦後、武蔵は東京湾岸の「武蔵公園」に記念艦として繋留されている。

紀伊・尾張

紀伊、尾張は超大和型(紀伊型とも)であり、大和型と同等の艦体に51cm砲を搭載している。ただしこの当時の日本戦艦としては速度が遅い(史実の大和型並)事から、大戦中の実績に比して過小評価される傾向が強い。

  • 全長:275m
  • 全幅:37m
  • 基準排水量:8万1,000トン
  • 機関出力:23万1,000馬力
  • 最大速力:27ノット
  • 兵装
    • 50口径51cm砲:連装3基
    • 60口径12.7cm砲:連装10基

両艦は1948年夏にインド洋でドイツ戦艦「フリードリヒ・デア・グロッセ」と交戦、これを撃沈した。その戦闘で尾張は第3砲塔に被弾し、更にバーベットが歪んだ状態で発砲を強行したために3番砲塔に損傷復帰が困難な大ダメージを負ってしまう。紀伊はそのまま遣印艦隊に所属し、ソコトラ島攻略作戦「ブルー・アイス」を支援している。

尾張の修理を巡っては3番砲塔を撤去しての航空戦艦化や第1・第2砲塔の換装も含めた様々な案が出されたが、結局第3砲塔を撤去し、その跡に両用砲を多数装備した防空戦艦となる。両艦は1950年12月、ニューヨーク沖海戦の終盤に参加。播磨と共にドイツ戦艦「フォン・ヒンデンブルグ」と交戦した。

侵攻作戦パシフィック・ストーム

佐藤大輔の『侵攻作戦パシフィック・ストーム』の世界では大和型戦艦の大和、武蔵、紀伊型戦艦2隻が建造されている(3巻までの時点で、いずれも直接的には登場していない)。大和型の信濃、甲斐、三河、紀伊型の3・4番艦は建造中止となった。大和型の要目は以下の通り。

  • 全長:278m
  • 全幅:34m
  • 基準排水量:6万5,000トン
  • 機関出力:21万馬力
  • 最大速力:34ノット
  • 兵装
    • 50口径46cm砲:連装4基
    • 65口径10cm砲:連装18基

紀伊型の要目は不明だが、50cm砲連装4基を搭載しているらしい。

大和は1953年12月8日の合衆国海軍機動部隊による横須賀奇襲攻撃で大破した。

八八艦隊物語

大和・武蔵

横山信義の『八八艦隊物語』では「大和」「武蔵」の2隻がほぼ史実どおりのスペックで建造されている(「信濃」、111号艦は間に合わず)。史実との差異は、九一式徹甲弾や三式弾の未装備(前者は開発の切っ掛けとなった射撃実験が行われなかったため、後者は航空優勢論が確立されておらず、開発されなかったため)、材を使った不沈対策など。

「大和」は1943年10月12日竣工。翌年2月9日に連合艦隊旗艦としてトラック沖海戦で初陣(この際、チェスター・ニミッツ提督の座乗する旗艦「ミズーリ」と一騎打ちを演じている)。同年10月27日、同じく連合艦隊旗艦としてサンベルナルディノ海戦に参加。1945年4月8日、第二艦隊旗艦として沖縄に出撃。米戦艦6隻と砲撃戦を行い、1隻を撃沈、2隻を大破したものの沈没(伊藤整一第二艦隊司令長官は「大和」と共に戦死)。

「武蔵」は1944年8月1日竣工。同年10月27日、サンベルナルディノ海戦に第一艦隊第一戦隊所属として参加。同海戦からの撤退中、駆逐艦から雷撃を受け操舵不能に陥り、残存艦隊を逃がすため「しんがり」として米英艦隊の前に立ちふさがり、英戦艦1隻を撃沈し20本もの魚雷の直撃や、14隻もの戦艦の砲撃に耐えたが、力尽きてシブヤンの海に沈んだ。ちなみに大和型がここまでの攻撃に耐えたのは、黛治夫大佐の提案により、桐の廃材を防水区画に充填して浸水対策を行ったためである(史実の黛治夫大佐も同様の提案を行ったが、実施されていない。実際にも防水区画は兵員室などに使われており、このような浸水対策は不可能であり、机上の空論であった)。

信濃(フロリダ)

大和型3番艦「信濃」は戦艦として建造が続けられていたが、艦体と主砲が完成したところで終戦を迎える。

米軍に接収された後、建造中止となったルイジアナ級戦艦の上部構造物を流用して実験戦艦「フロリダ」として完成。米太平洋艦隊に編入され、朝鮮戦争で対地砲撃を行った。1962年のキューバ危機の際、アメリカは不退転の意志を示すためにパナマ運河を通行できない本艦をあえてホーン岬経由でキューバ沖へ回航し、海上封鎖に参加させた。1975年に退役、マイアミで記念艦となる。

ビッグY 戦艦「大和」の戦後史

横山信義の『ビッグY 戦艦大和の戦後史』では戦艦大和が登場する。

1945年4月、「大和」をはじめとする残存水上艦隊に燃料片道だけの特攻作戦「菊水一号作戦」が命ぜられるが、出撃前日に艦隊に燃料を補給予定だった徳山の製油所が米第二〇航空軍所属のB-2980機による空爆により炎上。作戦は中止となる。

その後「大和」は自身の機銃のほとんどを陸揚げし、防空艦となる。
同年7月28日の呉空襲にて、僚艦「信濃」の犠牲によって大和は損傷しながらも生き延びる。

終戦後、第一次改装工事(12.7cm両用砲、ボフォース 40mm機関砲、Mk13FCレーダー等を装備)の後にアメリカに接収された「大和」はBB-65「モンタナ」と命名され、コールサインに“ビッグY”の名を与えられる。

1961年半ばから1964年3月までの第二次改装工事で機関を従来の重油専焼タービンから船舶用ディーゼルエンジンとガスタービンエンジン併用方式(CODAG)へ変更し、最高速力が30ノットに達した。機関の換装により煙突も旧煙突を撤去し、マック方式の煙突に交換された。また改修によって煙突と後檣の間に空いたスペースと艦橋の脇にターターが6基搭載され、旧副砲部分にあった12.7cm両用砲4基を撤去しアスロック4基を配置。球状艦首にはバウ・ソナーが増設されている。後部ヘリ甲板にはベア・トラップ着艦拘束装置が増設されている。改装工事終了後、トンキン湾事件に伴いベトナムに派遣される。

1977年7月1日、カーター政権の軍縮政策に沿ってモスポール化処置を受ける。この時、ボフォース40mm機関砲、通信やレーダーのためのアンテナ、空中架線等の細かい装備が取り外された。

1984年11月1日、レーガン政権の「強いアメリカの復活」政策の一環としてモスポールを解除して現役に復帰。その際にシー・スパロー20mmCIWSを装備するなどの近代化改装を受ける。

「モンタナ」は1986年のリビアのシドラ湾での戦闘に参加した後、「モンタナ」乗組員ジョージ・サエキの提案により、第3砲塔と後部ヘリ甲板を撤去してそのスペースに合計186基のMk41VLS(垂直発射)ミサイルランチャーを装備した、「アーセナル・シップ」構想の実験艦となる。ミサイル誘導システムは搭載しなかったため、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦のサポートを必要とする。湾岸戦争に参加するが、スカッドミサイルの攻撃により損傷し、アーセナルシップ建造に関しての貴重な戦訓を得る。

1996年初頭、クリントン大統領が国内の事情や日米の絆の誇示、日本の政権が革新政党から保守政党への転換などの理由で「モンタナ」の返還を決断した。3月上院と下院の承認を得たクリントンは訪米した日本国首相と会談し、97年4月「大和」の軍籍をとき日本へ返還する旨を伝えた。

その後、映画・沈黙の戦艦に対して出演のオファーがあったが、チェックの結果脚本に設定ミスがあったためこれを断わり、戦艦ミズーリに出番を譲る。

1997年4月、「モンタナ」こと「大和」は日本に返還され、1998年12月16日竣工から57年目の誕生日に横須賀にて記念艦「大和」となった。

海鳴り果つるとき

横山信義の『海鳴り果つるとき』では戦艦大和、武蔵が登場する。両艦とも当初は史実通りの姿であるが、武蔵は1943年10月30日にサンタ・イザベル島沖で米軍の旧式戦艦3隻と交戦し、勝利するも大破した。その後、すべての副砲と損傷した第2砲塔を撤去し、高角砲や機銃多数を増設した防空戦艦となる。

  • 全長・全幅:変わらず
  • 基準排水量:6万2,400トン
  • 機関出力:変わらず
  • 最大速力:27.6ノット
  • 兵装
    • 45口径46cm砲:3連装2基
    • 40口径12.7cm砲:連装16基(両舷に各6基、前後の副砲跡に各2基)
    • 25mm機銃:3連装65基(うち第2砲塔跡に17基)+単装26基
    • 13mm機銃:連装2基
  • 搭載機:水上偵察機3機

遠き曙光/海の牙城

横山信義の『遠き曙光』およびその続編『海の牙城』では戦艦大和、空母武蔵、信濃が登場する。

大和は就役直前の1941年11月26日、米軍の柱島空襲により中破。すべての副砲を撤去し、対空兵装を増強して1942年6月に完成した。

建造中だった武蔵、信濃は航空母艦に改装され、武蔵は1943年10月、信濃は1944年11月に完成した。史実の信濃と違って飛行甲板を装甲化していないが、その分だけ搭載機数や速力が大きい。武蔵は戦艦としての艤装がかなり進んだところから改装されたため、昇降機が一つ少ない。

  • 全長:266m(飛行甲板長:256m)
  • 艦体幅:38m(飛行甲板幅:40m)
  • 基準排水量:60,500トン
  • 機関出力:おそらく変わらず
  • 最大速力:30ノット
  • 航空装備
    飛行甲板が広いため、それを左右に分けて交互に発艦することが可能。
    • 搭載機数:常用114機+補用12機
    • エレベーター:2基(信濃は3基)
  • 兵装
    • 55口径12.7cm砲:連装8基
    • 25mm機銃:3連装35基+単装40基

巡洋戦艦「浅間」

横山信義の『巡洋戦艦「浅間」』シリーズでは戦艦大和、武蔵、信濃が登場する。

当該作品においては日本と英国が同盟国のため、技術交流により優秀なレーダーを装備しており、大和型戦艦同士で敵艦に対する測距データをリンクし、同一の目標に複数艦で集中射撃を行う「統制射撃」などが実施された。 物語終盤の米本土近海海戦では武蔵を撃破されるもアイオワ級2隻を撃沈、1隻を中破せしめ勝利を得ている。

また、前述の技術交流により、英国の「ライオン」級が、46センチ主砲を持つ戦艦として完成している。砲塔は英国製で連装3基6門であるが砲身と九一式徹甲弾は大和型と同じものを使用しており、米国の旧式戦艦を圧倒している。

超弩級空母大和

奥田誠治三木原慧一の『超弩級空母大和』では航空母艦として大和、武蔵、蒼龍(信濃より改称)が登場する。

  • 全長:320m
  • 全幅:77m
  • 喫水:不明
  • 基準排水量:6万7,000トン
  • 満載排水量:7万8,000トン
  • 主機:タービン4軸推進
  • 出力:26万馬力
  • 速力:34ノット
  • 航空装備
    • 搭載機数:160機前後(時代により変化、露天繁止を行えば200機以上)
    • アングルド・デッキ式飛行甲板(20mmの鋼板の上に75mmの特殊鋼を施した装甲甲板)
    • 油圧式カタパルト:4基(戦後蒸気式に換装)
    • サイドエレベーター:4基
    • 閉鎖式格納庫
  • 兵装
  • 艦首:ハリケーン・バウ
  • 戦闘情報管制室(CIC)を装備
  • 就役
    • 大和:1941年
    • 武蔵:1942年
    • 蒼龍:1943年

日本海海戦の不完全勝利と第一次世界大戦への大規模な参戦、そしてユトランド沖海戦の不徹底な結果により大艦巨砲主義から航空主兵主義に転換し、さらに史実の1.5倍の国力とそれ相応の技術力を持つにいたった大日本帝国において航空母艦として大和が建造された。

大和級空母建造の直接の引き金は戦艦建造を推進していた伏見宮博恭王元帥が事故死したことである。これにより航空主兵主義者が海軍で主流となり、そのどさくさにまぎれて戦艦に代わって大和級装甲空母の建造計画が決定された。そのため超弩級航空母艦と称されることもある。戦艦の名がつけられたのもそのためである。

ここまで大和が巨大化したのは、空母を装甲化した際の搭載機数減少による攻撃力低下を抑えると同時に、徹底したダメージコントロールを行うためであった。またその設計に際してはアメリカのレキシントン級航空母艦の影響(エンクローズドバウ、密閉式格納庫等)があった。設計は当初平賀譲が行ったがスキャンダルにより平賀は失脚、藤本喜久雄のグループが最終案をまとめた。

大和は開戦時には未だ戦力化されていなかったため、1941年12月の第一次ハワイ沖海戦には不参加。本格的な参戦は1942年8月のフィリピン沖海戦。この時は敵攻撃隊を引き寄せる囮となる。その際飛行甲板に被弾したカーチス・SB2Cヘルダイバーと千ポンド爆弾の直撃を受けるもほぼ無傷(なお、初代蒼龍はこの海戦で撃沈された)。
その後、1943年の第二次ハワイ沖海戦では大西瀧治郎中将率いる第一任務部隊の中核として参加。この海戦で武蔵、蒼龍は沈没、大和のみが生き残る。

1962年に一度退役したものの、ベトナム戦争に伴い改装を受けて現役復帰。

大日本帝国航空隊戦記

林譲治の『大日本帝国航空隊戦記』には装甲艦大和、武蔵が登場する。

本作品世界では第二次ワシントン海軍軍縮条約のエスカレーター条項が存在しており、それに基づきイギリスが2隻の条約型戦艦を増備することになった。それに呼応して、日本も1隻建造する予定であった所にアメリカから横槍が入り、「条約で定める1隻分の排水量で2隻を建造する」羽目になったが、日本は「アメリカはその建造枠で2隻の戦艦しか作ってはならない」という対抗策を取り、結果としてドイツの装甲艦(ポケット戦艦)に準ずる艦を建造する事となった。

ただし、林作品特有の技術的暴走の結果、史実の装甲艦とは似ても似つかない特異な艦艇として建造されることとなる。

46 - 40cmゲルリッヒ砲連装2基を搭載し、高速と重装甲で近距離(10km程度)に切り込み、ゲルリッヒ砲の大初速による直接射撃で敵艦の舷側装甲を射抜く、艦隊決戦専用戦艦キラーとでもいうべき艦として仕上がっている。

帝国の危機

林譲治の『帝国の危機』には戦艦大和、武蔵、信濃、紀伊が登場する。

  • 全長:301.3m
  • 全幅:38.6m
  • 基準排水量:76,000トン
  • 兵装
    • 46cm砲:3連装2基(前部)+連装2基(後部)
    • 12.7cm砲:連装12基

この世界の日本は「民本主義」で動いており、陸海軍の部隊さえも収票組織としての一面を持つようになっている。大和級の建造に関しては、公共事業であり、幅広くメーカーに仕事を割り当てるため、主砲が前部と後部で3連装/連装にされており、メーカーが違っている。そのため、測距儀や射撃盤等が2種類用意されており、主砲制御に関しては1艦の中に2艦分が同居した形になっている。

また、砲塔配置の問題から、艦橋構造物は主副同じ形と大きさで、全体にのっぺりした、かつ細長いピラミッドのような傾斜を持っている。通信用アンテナも艦橋構造物と一体化されている。そのためか、設計段階で全く意図されていなかったが、現代のステルス性を追求した艦船の上部構造に似ており、レーダー波の反射が少なく、レーダーのみで確認していた米軍は大和級の戦艦の接近に気がつかなかったほどであった(随順していた重巡洋艦の方を先に見つけたほど)。

やはり公共事業で必要以上に大きなドックが建設されたため、ドックの大きさに合わせて艦型が決められ、排水量が大きくなってしまった。そのこともあってすべての乗組員に小さいながらも個室が割り当てられるなど、居住環境は良好である。

建造された箇所は大和()、武蔵(長崎)、信濃(横須賀)はそれぞれ史実と同じだが、例によって公共事業の一環として室蘭にも鎮守府が設置され、造船所も存在。4番艦紀伊はこちらで建造された。

妖光の艦隊

林譲治の『妖光の艦隊』には航空戦艦大和、武蔵が登場する。

この世界では太陽の異常活動により、地球上の全域に妖光とよばれるオーロラが出現し、それによって無線(長波)が使えなくなっている。

史実でいう設計番号「A140-G3」がこの世界の大和に該当するが、設計に関して二転三転して、艦体の前部が戦艦、後部が空母といった感じの不思議な艦容になった。作中では正確なスペックは語られていないが、空母部分の左側に煙突と一体型した島型艦橋がある。島型艦橋には、15メートル級の測距儀と、20センチの大型望遠鏡が格納された球体が8個存在する。この球体は、無線が使えないため、着弾観測機などからの情報を発光信号で受け取るための装置。

主兵装は艦体前部にある40cm砲4連装2基。九十九式徹甲弾と呼ばれる、クロムバナジウム鋼の新型徹甲弾を使用する。史実の九一式徹甲弾と同じように見えるが、弾頭重量が五割増しになっているため、通常の40cm砲よりも運動エネルギーが上がっており、どんな戦艦の装甲でもぶち抜くことが可能と思われている。

連合艦隊秘史 覇龍の戦録

林譲治の『連合艦隊秘史 覇龍の戦録』に登場する大和は、外見は現実世界の新造時のままである。ただし、この世界の日本海軍は第二石油とよばれる水からエネルギーを得る常温核融合を実用化しており、ほとんどの艦艇の機関がこの第二石油機関に代えられている。第二石油機関は、当初は1,000トン以上の艦艇に搭載可能で、常時最高速力で航行可能などという離れ業をやってのけられるほど。空気が不要であるため、第二石油機関搭載の潜水艦も活躍する。

なお、この第二石油に関しては1939年に発見され、10年以上秘密(陸軍にさえ)にされていた。そのため、煙突が不要であるにもかかわらず、第二石油の機密保持のためそのまま残されており、わざわざ重油が燃焼されているかのように、発煙装置が取り付けられている。

大和の副砲は、配置は新造時のまま(口径15.5cm、3連装4基)だが、特号火薬なる第二石油機関の莫大な電気エネルギーを使用する電気砲(レールガン)に改装されている。初速は約1万m/秒に達し、その運動エネルギーは主砲である46cm砲の4倍に相当。作中、たった6発で米戦艦「アラバマ」を撃沈した。ただし、この電気砲は一門につき一発撃つと、膨大な電力によって電極が焼き切れてしまうため、連射が出来ない。開発者が一撃必中を目指しているためか、連射可能に改装するようには考えていない模様。

最強戦艦 魔龍の弾道

林譲治の『最強戦艦 魔龍の弾道』には新型40cm砲を搭載した戦艦大和、武蔵、信濃、紀伊が登場する。

  • 全長:270m
  • 全幅:33m
  • 基準排水量:45,000トン
  • 最大速力:34ノット
  • 兵装
    • 40cm砲:連装5基
      • 前部に2基、後部に3基(ただし第3砲塔は前向き)
    • 14cm砲:単装12基?
    • 12.7cm砲:連装6基
    • 機銃:連装20基?

大和型専用の新型徹甲弾は炭化タングステンクロムバナジウム鋼でコーティングしたもので、弾体重量は史実の46cm砲弾に近く、飛距離と終末速度はそれを上回る。最終巻の6巻では劣化ウラン弾も使用している。

大和、武蔵は竣工直後に第一航空艦隊に編入され、真珠湾空襲と同時に艦砲射撃を行った。この砲撃で湾内の戦艦すべてを撃沈したものの、開戦前に製造された専用徹甲弾のほとんどを撃ち尽くしてしまう。

愚連艦隊シリーズ

羅門祐人の『独立愚連艦隊』では大和、武蔵がおそらく史実と同じ姿で登場。両艦ともハワイ攻略作戦で失われた後、予備の46cm砲を流用した打撃艦が建造された。

続編『平成愚連艦隊』では前作の世界より200X年の平行世界へ転移した後、更に別時空の1942年のソロモン海戦へ転移、アメリカ艦隊壊滅後の帰還時に大和を入手する(欲しいと思っただけで持ってきてしまうことになった)。また、200X年の平行世界における、史実と同様に坊ノ岬沖海戦に参加した大和の乗組員救助も愚連艦隊によって行われる事になった。

  • 第一次平成装備
GPS、民間用レーダー、民生用魚群探知機改造ソナー、デジタル無線機など、200X年の日本の船舶法に則る装備。
  • 第二次平成装備
「時空特別監視委員会」設置後に施された軍事用装備。金に物を言わせてあのてこの手で最新鋭兵器を搭載しているが、さすがにTMD装備は施されていない。

巨艦伝説

羅門祐人の『巨艦伝説』では大和、武蔵、3番艦「筑紫」、4番艦「信濃」が登場する他、歴史変更を目的とする未来組織「憂国艦隊」の装備として、大和型の拡大型である秋津型戦艦が登場する。

大和、武蔵は史実と同様の装備で登場し、物語が終了する1943年7月まで健在となる。筑紫と信濃は史実と同様に空母化改造が行われ、筑紫は史実の信濃と同等の艦に改造されるに止まったが、建造が進んでいなかった信濃は史実の信濃の教訓を生かし、赤城型と同等クラスの本格的な正規空母(艦載機総数は約100機)として就役した。

憂国艦隊の秋津型は、大まかには大和型戦艦の設計を純粋に拡大したものであり、艦橋構造物やタラップの一つ一つまで大和型そのままの状態で大きさだけが拡大されている。これには欺瞞の他、ごく少数の人員で運用される為、人間工学を考慮する必要が無い事も要因の一つとなっている。スペックは1942年当時の日本において、純理論的に実現可能なものとなっているが、深層部分では未来技術が使用されている。

また、オリジナルの秋津型の他、能力を向上させた秋津改型や、2024年の装備を搭載した新秋津型も登場している。

秋津型戦艦
  • 基準排水量:124,000t
  • 全長:298m
  • 最大幅:43m
  • 速力:30ノット(最大)、28ノット(巡航)
  • 主機:重油専焼缶12基、衝動型ギヤード・タービン4基4軸
  • 機関出力:26万馬力
  • 兵装:
    • 45口径50cm砲:3連装3基
    • 50口径20cm砲:3連装2基
    • 65口径10cm高角砲:連装12基
    • 40mm対空機関砲:4連装10基
    • 20mm機銃:連装8基
    • 10cm噴進砲:15連装10基
  • 搭載機:二式水上偵察機(架空)

飛行戦艦大和

青山智樹の『飛行戦艦「大和」出撃!』及び『飛行戦艦「武蔵」遣欧大戦』には飛行戦艦となった大和、武蔵が登場する。ミッドウェー海戦で最前線に進出した大和は空襲を受け、第1砲塔を全損するなど大きな被害を受ける。大和は千代場武(ちよば たけし)博士の案によって艦底に固体式噴進器を多数設置し、その噴射によって飛び上がる飛行戦艦に改装された。ハワイ攻略作戦後には噴進器を固体式から液体式に換装し、また建造中だった武蔵も同様の改装を施されて完成した。

飛行戦艦化に際して、艦体形状もかなり変更された。特に目立つのは次の2点である。

  • 艦首・艦尾を空気抵抗の少ない形状に変更。大和については砲塔撤去による重心の移動を補うバラストとして艦首の装甲を強化(結果として衝角戦すら可能になったほど)。
  • 舷側装甲板を飛行時には主翼となる軽量装甲(桁の間に硬質ゴムと陶板を充填)に変更。

飛行手順は以下の通り。

  1. 舷側装甲板(主翼)の固定を解除、水平になるまで引き揚げ、再固定。
  2. 離水速度まで加速。
  3. 一次噴射を行い、離水。
  4. スクリュー停止。タービンを回していた水蒸気は艦尾から直接噴射され、推進力となる。
  5. 空中での姿勢制御は可動式ビルジキールと修正噴射で行う。
  6. スクリューを保護する防護盾を起倒。
  7. 着水直前に二次噴射により、降下速度を落とす。
  8. 水蒸気噴射停止、スクリュー再始動。
  9. 着水後、主翼固定を解除。
  10. 舵を切ると水圧で片側の主翼が艦体に押し付けられるので、その状態で再び固定。反対に舵を切り、反対側も固定。
  • 基準排水量:52,000トン
  • 飛行時排水量:48,000トン
  • 機関出力:15万馬力
  • 飛行用噴進器:
  • 最大速力:37ノット(離水時)、100ノット(飛行時)
  • 兵装
    • 45口径46cm砲:3連装2基
      大和は第1砲塔、武蔵は第2砲塔を撤去
    • 12.7cm砲:連装12機
    • V2号VLS49セル
      武蔵のみ、第1次改装で設置
  • 航空兵装

時空戦艦大和シリーズ

草薙圭一郎原作の『時空戦艦大和シリーズ』にはタイムトラベルによってもたらされた情報や技術によって改装、強化された大和型戦艦が登場する。

大和

  • 最初の改装
    速力向上のため艦尾にジェットエンジン2基を装備し速力を最大50ノットにまで引き上げ、艦載機は水上機では無くジェット化された震電を搭載した(着艦は空母)。その他の外観は実際の第二次改装と変わらないが、対空砲弾は近接信管を使用した。
  • 未来での改装(一回目)
    地中海で合流した時航機の誤作動により2010年代にタイムスリップした大和は改装を受けイージス艦となった。
    • 主砲:自動射撃・手動射撃可
    • 副砲→ミサイルランチャーへ換装(※文中でVLSとされているがイラストではシースパローの発射機)
    • 高角砲・対空機銃→ファランクスゴールキーパーへ換装(イラストではゴールキーパーではなくオート・メララ社製2連装40mm機関砲の外観)
    • 機関:蒸気タービン+ジェットエンジン→原子力エンジンへ換装し最大速力は45ノット
    • 艦載機:震電→ハリアーSH-60を搭載
    • 防御:原子力エンジンを採用したことによりバリアーを発動可能(発動中は攻撃不可)
  • 未来での改装(二回目)

大和(二代目)

初代大和がヒトラーが未来から呼び寄せた未来艦との激闘で大破したため廃艦にされ2030年代に新たに建造された。所属は帝国海軍ではなく日本国防海軍でその時代の日本にある時空省に貸し出されている形となっている。

  • 武装
    • 主砲:3連装の長砲身の127ミリ砲を前部に2基、後部に1基搭載(イラストでは46センチ砲のままであった)
    • 副砲:8連装式のミサイルランチャーになっており、「ハープーン」、「アスロック」、「スタンダード」が発射可能
    • ミサイル:右舷に「トマホーク」用のランチャーを装備(イラストでは「ハープーン」用の4連装ランチャーが三基~四基であった)
    • 艦載機:「ハリアー」30機、「シーホーク」4機、「ホークアイ」1機を搭載。左舷にスキージャンプ形式の飛行甲板がありカタパルトとの併用で離着艦をする。なお、作中において山本五十六らを救出するためペイブホーク二機を使い、米軍と交戦した

武蔵

未来での改装は受けなかった。しかし未来からタイムスリップした独戦艦を大破しつつも拿捕するなど大和にも引けを取らない活躍をした。

超時空戦艦「大和」

太陽黒点の異状によりレイテ沖海戦時の大和が平成時代に時空転移し、太平洋戦争の講和と、北朝鮮誕生を阻止するために再び戻る。

  • 兵装
    • 主砲
    全て撤去し、127ミリ単装速射砲に換装。
    • 副砲・対空兵装
    高角砲・副砲・機銃を撤去してバルカン砲、VLSを多数設置し、ミサイルランチャーを増設した。火器管制にはイージスシステムに準じたものを利用。
    • ミサイル
    「スタンダード」、「トマホーク」、「エグゾセ」を搭載。
    • 艦載機
    後部甲板をフラット化しBAe ハリアー II4機を搭載。

デュアル・パシフィック・ウォー

荒川佳夫の『デュアル・パシフィック・ウォー』では、ホノルル海軍軍縮条約失効後に一三号艦の設計を基にした富士型巡洋戦艦が竣工し、その次に50センチ砲を搭載した大和型戦艦が建造された。

  • 全長:285m
  • 基準排水量:8万5,000トン
  • 機関出力:25万馬力
  • 最大速力:29.5kt
  • 主砲:45口径50cm砲 連装4基
  • 両用砲:65口径10cm砲 連装8基

同型艦は大和、武蔵、飛騨(1945年の開戦時建造中)

龍神の艦隊

中里融司の『龍神の艦隊』では、白亜紀からタイムトラベルしてきた恐竜人類のオーバーテクノロジーを導入して建造された戦艦大和、空母武蔵、潜水艦信濃が登場する。

恐竜人類が日本海軍に提供した技術は次の二つであり、D装備と総称される。

  • 生ける溶岩
    岩石などの質量を(おそらく放射線などを出さずに)エネルギーに変える。従来の内燃機関を《生ける溶岩》用に少し改造するだけで、以前の1.5倍の出力を半永久的に取り出すことができる。
  • 生ける金属
    ゲッターロボに登場するスーパーロボットに使用されている合金と同じ性質を持つ金属。同じ素材で作られた物同士が融合合体し、事前に記憶させた形状を取ることができる。

大和型は在来艦の改造ではなく、D装備の活用を前提として設計・建造された最初の大型軍艦であり、2隻または3隻が合体して、先頭の艦をベースにした超大型艦となる。

第一形態 大和

  • 基準排水量:6万4,000トン
  • 主砲:45口径46cm砲:3連装3基

第一形態 武蔵

  • 基準排水量:6万2,000トン
  • 搭載可能機数:70以上

第一形態 信濃

  • 基準排水量:6万トン
  • 魚雷発射管:総数不明。深度120mで発射可能

第二形態 大和

  • 基準排水量:12万6,000トン
  • 主砲:54口径46cm砲:3連装6基
    前部3基、後部3基

第二形態 武蔵

  • 搭載可能機数:200以上

第三形態 大和

  • 基準排水量:18万6,000トン
  • 主砲:62口径46cm砲:3連装9基
    第1~第3、第8、第9砲塔は艦体中心線上に、第4~第7砲塔は艦橋構造物の前後に2基ずつ並列配置(反対舷に向けることも可能)。

第三形態 武蔵

  • 搭載可能機数:300以上?

第三形態 信濃

  • 安全潜航深度:300m
  • 水中巡航速力:15ノット

戦艦大和欧州激闘録

内田弘樹の『戦艦大和欧州激闘録 鋼鉄の破壊神』には大和、武蔵が登場する。この作品では日本は1942年12月8日、連合国の一員として第二次世界大戦に参戦するが、大和は1943年3月アデン沖で「ヴィットリオ・ヴェネト」および「インペロ」と交戦、大破する。アメリカのノーフォークで修理と改装を受ける事になった大和は、日米の最新技術を結集して開発された最強の主砲「Mark. J」を搭載し、防御力も大幅に強化された「傷だらけの破壊神」として、大戦後半の地中海や大西洋で暴れ回る。なお、本編の続編に当たる『戦艦大和地中海決戦録~戦艦大和欧州激闘録Ⅱ~ 』では準同型艦に当たる「三河」が建造されている。

戦艦大和(改修後)
  • 全長:278m
  • 全幅:42.6m
  • 基準排水量:74,400トン
  • 満載排水量:80,892トン
  • 機関出力:16万5,000馬力
  • 最大出力:26.1ノット
  • 兵装
    • 47口径46cm砲:3連装3基
    • 60口径15.5cm砲:3連装2基
    • 65口径10cm砲:連装12基
    • ボフォース40mm機銃:4連装23基
    • 25mm機銃:単装28基
    • 対空噴進砲:28連装8基
    • 手動式爆雷投下台:4基
  • 搭載機:零式水上観測機×3(後に瑞雲に更新)
  • その他
    • CIC設置
    • 電探及び各種射撃式装置の増設
    • 艦内電源用発電機:7,400kw(改装前の1.5倍強)
    • アイスクリーム製造機
戦艦武蔵
大和型二番艦。1942年に完成し、マルタ沖海戦においては独戦艦「ハンス・ラングスドルフ」を2斉射で撃沈する偉業を遂げるなど大和に劣らぬ活躍を見せた。性能は竣工時の大和型に準ずる。
  • 全長:263.0m
  • 全幅:38.9m
  • 基準排水量:65,000トン
  • 満載排水量:72,809トン
  • 機関出力:153,553馬力
  • 最大速力:27ノット
  • 兵装
    • 45口径46cm3連装砲塔:3基
    • 60口径15.5cm3連装砲塔:4基
    • 40口径12.7cm連装高角砲:6基
    • 25mm3連装機銃:8基
    • 13mm連装機銃:2基
空母信濃、甲斐
本編では艦名しか登場しないが(甲斐はⅡに艦名が登場している)、史実どおり戦艦から空母に改造している。

戦艦大和欧州激闘録Ⅱ

前大戦終結から5年後の1950年、南北に分断されたイタリアで戦闘が勃発。

南イタリア軍の支援のため派遣された戦艦三河及び戦艦オハイオはフランス戦艦の新戦法に翻弄され三河は大破、オハイオは撃沈されてしまう。

事態を憂慮した日米両軍はフランス空軍の攻撃により損傷した大和に再び改装を施す。

戦艦大和(第四次大改装後)
  • 全長:297.5m
  • 全幅:48.4m
  • 基準排水量:97,849トン
  • 満載排水量:107,870トン
  • 機関出力:28万馬力
  • 最大出力:28.7ノット
  • 兵装
    • 42口径51cm砲:3連装3基
    • 60口径15.5cm砲:3連装2基
    • 一〇式54口径127mm砲「Mk.42」:単装12基
    • 七式50口径76mm砲「Mk.33」:連装16基
    • ボフォース40mm機銃:4連装16基
    • 対空噴進砲:28連装8基
    • 短魚雷落射機(Mk.37対潜魚雷):3連装2基
  • カタパルトの撤去(第四次改装前に撤去済み)
  • 搭載機:不明(シコルスキー社製の回転翼機を搭載)
  • その他
    • CBRN対策の全面的導入
    • 対放射能塵・汚染物質対策の為木甲板を廃止し、鉄・鉛粉末混合コンクリート層による耐熱表面皮膜に更新。
    • CIC内部のレイアウト変更及びモジュール化
    • 電探の換装
    • デジタル式高速演算射撃方位盤である「試製一〇式射撃指揮装置(Mk.68)」10基装備。
戦艦武蔵
前大戦末期のジュトランド海戦の損傷の修復を兼ねて大改装を受け、「ヘカトンケイル」システムの装備と主砲を従来の45口径46cm砲から47口径46cm砲「Mark.J」に換装する等の大改装を行っている。大和型では唯一副砲を全廃し、両用砲に統一している。
戦艦武蔵(開戦時)
  • 全長:278m
  • 全幅:42.6m
  • 排水量:79,100トン
  • 最大出力:27ノット
  • 兵装
    • 47口径18インチ砲「Mark.J」:3連装3基
    • 54口径12.7cm砲「Mk.39」:単装14基
  • 装甲:甲板230mm/舷側467mm
  • 搭載機:不明(カタパルトが搭載されているが、搭載機は不明)
空母信濃
メッシーナ攻撃や「アイゼンハンマー」攻勢に参加し、1950年8月に日本へ帰還している。
艦載している航空隊が甲斐に異動していることから、甲斐同様に近代化改装を施すだろうと推測される。
空母甲斐
近代化改装のため終盤の「ヴィンター・シュツルム」攻勢のみ参加。
  • 主な改装項目
    • 排水量の増大(総計で約80,000t)
    • 飛行甲板面積の拡大
    • アングルド・デッキの設置
    • 蒸気カタパルトの設置
    • ミラーライディングシステムの導入
戦艦三河
大和型戦艦の3番艦であり、事実上日本海軍が建造した最後の「戦艦」である。
性能は大和に準ずるが、主砲は建造費を抑えるため従来の45口径46cm砲にSHSの運用を前提に改良を施している。
戦艦三河(開戦時)
  • 全長:278m
  • 全幅:42.6m
  • 排水量:78,400トン
  • 最大出力:27ノット
  • 兵装
    • 45口径46cm砲:3連装3基
    • 60口径15cm砲:3連装2基
  • 装甲:甲板230mm/舷側467mm
  • 搭載機:不明(カタパルトが搭載されているが、搭載機は不明)

凍てる波濤

吉岡平の『凍てる波濤』には、日本海軍の艦艇として大和、武蔵の他、改大和型戦艦「和泉」「河内」が、架空の国家「トルステイン公国」の艦艇として大和型の拡大型である原子力戦艦「イェルムンガルド」が登場する。

作中では幸運の積み重なりによって枢軸側が第二次世界大戦に勝利しており、建造された大和型及び改大和型は全て第二次大戦を生き残っている。大和と武蔵は史実と同様だが、五式炸裂弾や七式原子弾などの使用が可能となっている(これは改大和型も同様)。改大和型は上記の二隻の他にも続々と建造が進んでおり、史実の計画案と同様に、長10cm高角砲の搭載や装甲の強化が行われている他、高性能レーダーの装備が行われている。なお、信濃は直接は登場していないが、空母へと設計変更された後にも設計が変更され続け、最終的には1960年にミサイル戦艦として完成したことが語られた。

イェルムンガルドはトルステイン公国が大和型の設計を元に建造した拡大改良型で、シルエットも大和型のものに近いが、その戦力は大和型の約数倍に達する。作中では大和型と同様に、集中防御個所以外の防御力が低いという弱点があるのではないのかという指摘があったが、真偽のほどは不明。動力は原子炉であり、主砲として50cm砲を有する他、偽装煙突内部に原子力線砲「グングニール」を格納している。作中では北太平洋上で大和、武蔵、河内などの日本艦隊を撃沈した後、50cm砲装備の新鋭双胴戦艦「筑後」と交戦した。

イェルムンガルド
  • 排水量:83,000t(基準)、99,500t(満載)
  • 全長:288m
  • 全幅:42.7m
  • 吃水:11.3m
  • 機関:ト式原子力タービン8基、4軸推進
  • 機関出力:30万5,000馬力(公試)
  • 速力:35.25ノット
  • 兵装
    • 45.5口径50cm砲:3連装3基
    • 55口径15.2cm完全自動両用速射砲:4連装2基、連装8基
    • 7.6cm完全自動速射高角砲:連装10基
    • 40mm機銃:4連装8基
    • 20mm機銃:単装52基
    • 原子力線砲「グングニール」:単装1基
  • 航空兵装
    • カタパルト:2基
    • 水上偵察機:6機

超世界大戦 究極戦艦大戦略

吉田親司の『超世界大戦 究極戦艦大戦略』には、史実通りの仕様で竣工した大和と武蔵の他、改大和型戦艦「信濃」「紀伊」と超大和型戦艦「甲斐」「飛騨」、さらには超々大和型戦艦「蝦夷」が登場する。これらの艦は1942年12月に勃発した礼文島沖海戦に集中投入され、米英独仏伊の多国籍艦隊と交戦、これを打ち破った。

信濃と紀伊、甲斐と飛騨にはそれぞれ史実の改大和型及び超大和型に準じた改良が為されている他、信濃と紀伊は対魚雷を目的とした艦底部の強化と旗艦機能の拡張により、総合的な戦力が格段に向上。甲斐と飛騨は装甲も対51cm砲防御にしたために基準排水量が78,000tにまで増加したが、水偵搭載数を7機から3機に削減し、さらに燃費度外視の高缶圧運用(作中では北海道で大規模な油田が発見され、日本は世界有数の産油国となっている)を行う事によって重量増加に伴う速力低下を回避している。

蝦夷は満載排水量10万tを超える巨艦であり、最大射程44,500mを誇る45口径56cm砲連装砲塔を前甲板と後甲板に2基づつ計4基を搭載しており、船体小型化の為に副砲を廃したことも相まって艦容は大和型よりも長門型のものに近い。また、重量軽減の為に装甲は対51cm防御に止めている。礼文島沖海戦時には艤装98パーセントの段階だったが、急遽戦列に加えられた。なお、二番艦「常陸」も建造中であることが語られていた。

また、改大和型以降の艦を建造可能なドックを有する造船所として、史実でも建造が予定されていた大分県の大神海軍工廠に加え、北海道に三井造船小樽造船所が新造されている。

蝦夷
  • 排水量:105,000t強(満載)
  • 全長:299.5m
  • 速力:28.5ノット
  • 兵装
    • 一式45口径56cm砲:連装4基
    • 九八式65口径10cm高角砲:連装18基
  • 装甲厚:680mm(艦橋基部)

世界戦艦大和列伝

吉田親司の『世界戦艦大和列伝 46センチ砲の系譜』には、1934年に日本から流出した新型戦艦の設計図を元に、世界各国で建造された46cm砲搭載戦艦が登場する。やがて始まる第二次世界大戦では、これら「超ヤマト級戦艦」同士の死闘「ヤマトファイト」が繰り広げられる事になる。全体的に無茶な設計の艦が多く、それに追随するかのように各艦の艦長も奇人変人天然ボケばかりである。

日本戦艦大和
本家本元、元祖ヤマト。通称「サムライ・ヤマト」
A-140設計図流出事件を受け、他国が建造するであろう46センチ砲戦艦に対抗すべく砲塔を1基増やし、更に魚雷発射管も付け加えて戦力向上を図った。船速の方も機関の出力向上が功を奏して上昇している。ヤマトスキーほどではないが超ヤマト級の中では現実的な方である。
  • 全長:272m
  • 基準排水量:66,950トン
  • 機関:蒸気タービン+ディーゼル、出力18万馬力
  • 最大速力:28.9ノット
  • 兵装(就役時/最終時)
    • 45口径46cm砲:3連装4基
    • 60口径15.5cm砲:3連装2基(両舷各1基)/なし
    • 40口径12.7cm砲:連装6基
    • 65口径10cm砲:連装8基(最終時のみ)
    • 機銃:約50基(最終時)
    • 72cm魚雷水中発射管:8基
      最終時にはドイツ式の音響誘導装置つき酸素魚雷を搭載。
    超大型巡視船やまと
    長崎沖で被爆・着底した大和を浮揚させ、海上保安庁のもとで現役復帰させたもの。使用可能な兵器は第2砲塔の主砲3門だけと、絶望的に攻撃力が減退したが……。
航空母艦武蔵
大和型2番艦
1番艦の設計変更と共に、2番艦は空母として建造されることになった(史実での信濃に当たる3番艦は建造中止)。飛行甲板は装甲化されていない。
  • 全長:275.5m
  • 基準排水量:64,900トン
  • 最大速力:28.9ノット
  • 搭載機:不明
  • 兵装
    • 65口径10cm砲:連装8基
    • 25mm機銃:3連装28基
フランス戦艦ロベスピエール
通称「革命(レヴォリューション)ヤマト」
基本設計はリシュリュー級戦艦4番艦を元に設計され、フランス本国陥落間際に足りない部分を「ジャン・バール」用の資材を剥ぎ取って竣工された。Y級戦艦以外には無敵の強さを誇る。
  • 全長:247.9m
  • 常備排水量:45,120トン
  • 最大速力:22ノット(計画速力:30ノット)
  • 兵装
    • 42口径46cm砲:連装2基
      前後に各1基
    • 55口径15.2cm砲:3連装3基
      前2基、後1基
    • 45口径10cm砲:連装8基
イタリア戦艦クリストファロ・コロンボ
通称「スパゲティ・ヤマト」後に「マカロニ・ヤマト」と改認識
ヴィットリオ・ヴェネト級の拡大型として設計され、同級三番艦「ローマ」、及び四番艦「インペロ」の建造および「カイオ・デュリオ」、「アンドレア・ドリア」の改装を中止してそれらの資材で建造された。ヴィットリオ・ヴェネト級とさほど変わらない排水量で46cm砲を9門も搭載するために防御能力を対15インチ防御までに抑えて軽量化に努めている。(実際はもっと防御力が劣る可能性有り)
  • 全長:249m
  • 基準排水量:41,800トン
  • 機関出力:14万5,000馬力
  • 最大速力:29.2ノット
  • 兵装
    • 45口径46cm砲:3連装3基
    • 55口径15.2cm砲:3連装3基
    • 40口径12cm砲:単装4基
    • 50口径9cm砲:単装12基?
    • 37mm機銃:連装(不明)基
イギリス戦艦サンダーチャイルド
通称「ジョンブル・ヤマト」
1920年頃に設計されたN3型戦艦をベースに、「アンソン」、「ハウ」の資材を用いて建造された。艦名は『宇宙戦争』で火星人の戦闘機械と相討ちになった衝角駆逐艦に由来。5万トン台の船体に46cm砲を9門も搭載するために水雷防御を犠牲にしている。
  • 全長:261m
  • 基準排水量:51,500トン
  • 機関出力:11万馬力
  • 最大速力:26ノット
  • 兵装
    • 45口径46cm砲:3連装3基
      前2基、中央(前檣楼と煙突の間)1基
    • 50口径13.3cm砲:連装11基
      前檣楼の左右に各3基、艦尾中心線上に1基、艦尾両舷に各2基
オランダ戦艦ユトレヒト
通称「ネーデル・ヤマト」
大型艦の建造経験が皆無のオランダがドイツとイギリスの技術支援を受けて何とか建造した艦。前檣楼には艦内電力補助用の風車が設置されている。ドイツとイギリスのマッドサイエンティストの玩具にされて、奇態な艦形にされてしまった不幸な艦(速力に限っては全超Y級艦中最高であるが)。元ネタはオランダ海軍の1940年巡洋戦艦案。ちなみに本艦の装備していた風車は戦闘時の着弾の正確さから、日本海軍からは「風車型の電探」として認識されており、その後の日本とドイツの電探開発の促進につながったのはオランダにとっては皮肉といえよう。
  • 全長:241m
  • 基準排水量:31,520トン
  • 機関:ディーゼル・エレクトリック2軸+蒸気タービン1軸、出力16万8,000馬力
  • 最大速力:32ノット
  • 兵装
    • 35口径46cm砲:単装4基
    • (口径不明)連装砲:推定6基
ドイツ戦艦グロス・ドイッチェランド
通称「ケーニヒス・ヤマト」
H級戦艦をベースに設計され、「ティルピッツ」の建造を中止し、更に「シャルンホルスト」、「グナイゼナウ」を解体して得られた資材で建造された。射撃管制用電探(日本製)を始めとする各種の電子戦兵器を搭載しており、3本あるように見える煙突のうち中央の1本は対艦ミサイルの偽装発射筒である(水上偵察機用のスペースを潰して搭載)。スターリングラードが「ヤマトファイト」に介入していなければ本艦が欧州の覇者であったとすると意見も強い。詳細が明らかになる以前は「ゲルマン・ヤマト」と呼ばれていた。
  • 全長:281m
  • 基準排水量:62,450トン
  • 機関:ディーゼルエンジン12基、出力18万2,500馬力
  • 最大速力:29.1ノット
  • 兵装
    • 47口径46cm砲:連装4基
    • 55口径15cm砲:連装6基
    • 対空ロケット弾「タイフン」:35連装4基
    • 対艦ミサイル「ヴァッサーファルC-3」:6基
ソ連戦艦スターリングラード
通称「ヤマトスキー」
仮称艦名「第23-NU号艦(ドゥヴァッツァティ・トゥリー)」「ソビエツキー・ソユーズ」「マラート」「レニングラード」「ペレストロイカ」……
スターリンと本艦艦長の意地が完成させたソビエツキー・ソユーズ級戦艦の強化版。主砲はイタリア製46cm砲を9門搭載する予定だったが、6門分の砲身を輸入したところで伊蘇関係が悪化し、残り3本を調達する目処がつかなくなる。1944年、第2・第3砲塔のみ主砲を装備した状態でレニングラードを出港。大西洋を渡り(途中「ヤマトファイト」に参加)、同一設計のアメリカ製主砲砲身を取り付けて完成する。本編では唯一無茶のない堅実な設計の艦であり史実の大和型に近い。その代り、本艦艦長は癖の強い人物ばかりな超Y級艦艦長たちの中でも外れている頭のネジの数が群を抜いて多い。大和が核攻撃で轟沈したため、思わぬ形で「ヤマトファイト」を征する格好となったが……。
  • 全長:266m
  • 基準排水量:66,900トン
  • 最大速力:28ノット
  • 兵装
    • 45口径46cm砲:3連装3基(初戦闘時は2基)
    • 56口径10cm砲:連装6基
    • 37mm機関砲:4連装10基
    • 20mm機銃:連装または単装・計38基
アメリカ戦艦ユナイティッド・ステイツ
通称「ヤンキー・ヤマト」
アイオワ級の3番艦以降を建造中止し、その資材を流用して建造された。何はともあれパナマ運河を通すことにこだわった極端に細長い船体、砲身を上下2列に配置した4連装砲塔といった奇抜な点が目立つが、砲弾の収束率上昇にも一役買っているので攻撃力はトップクラス。しかし細長い船体により水線長と水線幅の比率は9:1で失敗作と噂されているアラスカ級とほぼ同一である。なお、当艦の4連装主砲は正面から見ると「田」のように見えることから日本海軍では「田式4連装」と揶揄されている。
  • 全長:298.5m
  • 全幅:32.99m
  • 基準排水量:79,200トン
  • 最大速力:25.9ノット
  • 兵装
    • 49.7口径46cm砲:4連装2基(第1、第4砲塔)+3連装2基(第2、第3砲塔)
    • 38口径12.7cm砲:連装12基

アミーゴ! 戦艦大和

小林たけしの『アミーゴ! 戦艦大和』では、大和は1945年の初め、牛5,000頭でアルゼンチンに譲渡される。主砲以外のすべての兵装と射撃盤などの装置を撤去された大和は回航中にホーン岬沖で沈んだとされていたが、実はラプラタ川流域の某農場に設けられた偽装ドックに隠されていた。また、廃棄されたはずの主砲弾と国立科学博物館資料室に保管されていたはずの射撃盤も密かにアルゼンチンに送られていた。

1980年、大和はアルゼンチン戦艦「アントノ・リベロ」として再就役する。対空兵装としてボフォース 40mm機銃:4連装6基(?)、ファランクスCIWS:2基、チャフ発射機および各種のレーダー、火器管制システムなどを追加装備した。

フォークランド紛争終結後、「アントノ・リベロ」こと大和は日本へ返還され、記念艦となる。

第七の空母

ピーター・アルバーノの『第七の空母』では、大和型戦艦4番艦として航空母艦「米賀」が建造されている。

速度を確保する為艦尾を5メートル延長している。「信濃」よりも早い段階で空母に設計変更されたため、1番艦の「大和」よりも早く完成したとされる。

日本では荒唐無稽と受け取られがちだが、これはアメリカでは「信濃」の改装決定がミッドウェー海戦後であることや大和型の正確な竣工時期などが日本ほど一般に知られていないことや、モンタナ級戦艦4隻よりもエセックス級航空母艦17隻の方が早く完成していることなど、アメリカでの「常識」を考慮する必要もある。

不沈戦艦紀伊

子竜螢の『不沈戦艦紀伊』には、史実の超大和型戦艦(798号艦、799号艦)より大きな紀伊型戦艦が登場する。

大和型戦艦の3番艦以降をキャンセルし、その予算で排水量10万トン超にスケールアップ。51センチ三連装砲塔3基を搭載し、30ノットの速力、設計段階から対空戦闘を考慮した兵装と思いつく限りの防御を施し、就役させたもの。1番艦の戦艦紀伊はレイテ沖海戦の直前に完成。

志摩艦隊に編入し、戦力的に不利な西村艦隊を追う形で出撃する。この戦いでオルデンドルフ艦隊を初陣で壊滅させる。また、2番艦尾張はドック内で儀装中に襲来したB-29の攻撃隊を三式弾で全滅させた。その後、この2隻(と、史実よりも優秀な将兵の活躍)により連合軍の日本侵攻プランは大いに狂わされた。

だが、この戦艦等をもってしても、日本の劣勢は覆す事はできず、紀伊は戦後、史実の「長門」と同じ運命を辿りマーシャル諸島での核実験で沈没、尾張は解体された。

  • 全長:328m
  • 全幅:45.2m
  • 基準排水量:98,600t
  • 速力:30.5ノット
  • 兵装
    • 20インチ (51cm) 砲:3連装3基
    • 8インチ砲:3連装2基
    • 5インチ砲:連装24基
    • 5インチ噴進砲:30連装4基
    • 1インチ機銃:3連装48基

戦艦大和2010,2020

戦艦大和2010

子竜螢の『戦艦大和2010』では中韓の反応を懸念して幻に終わったサルベージ計画の代替案も兼ねて、極東有事に対処するために日本政府と財団が民間企業と共同でイージスホテル仮装戦艦として極秘に新造した。設計図のほぼ完全な写しが現存しており、それを参考にしたため建造期間は初代大和より遥かに短くなっている。

戦艦の防御力に強い拘りを見せる子竜作品の例に漏れず、21世紀の世の中で戦艦をわざわざ新造する必要性に関して「現在の兵器では核を使わない限り戦艦の装甲は破壊不能」と説明がなされており、雷撃を受ける可能性に関しても「現行機は雷撃に使うには速過ぎるのでやっても成功しない」旨の説明がされている。

現在の価格で7000億円(初代の建造費を現在での価格に換算した数値の1.7倍以上)と言う破格の建造費を必要としたが、財団がメタンハイドレートの採掘・輸出による収益で元を取ることを前提に建て替えている。艦自体は長崎にある三菱重工の造船所、各種武装は日本各地の工廠でそれぞれ密造された。

当初は樹脂製のダミー武装を搭載して有事の際に本物と換装できる方式にする予定だったが、それだと軽くなり過ぎて安定性が著しく落ちることが設計段階で判明し、問題解決に苦慮していた設計者(初代大和を設計した人物の孫)が通信長(この時点では予定)の思い付き(普段は擬装カバーを被せ、有事の際にカバーを取り外す)に方式を変更したことで安定性の問題は解決。後日、初代大和の艦首にある御紋章が引き上げられ、皇室に一時的に返却された上で、取り付けられている。

乗員は陸海空全ての自衛隊から二階級特進と祝い金100万円を餌に秘密裏に集められ、更なる機密保持の手段としてホテル従業員としての教育も受けさせられており、有事が来るまでは本物の従業員と共にホテル業に従事していた。この機密保持は徹底しており、建造中にマスコミに勘付かれたら嘘の公式発表ではぐらかし、開業パーティの際に北朝鮮がミサイルを発射した時も来賓たちを砲塔内部に案内することで気付かれずに迎撃・撃墜に成功。なお、室蘭で造られた46㎝砲の試射は諸々の悪条件のせいで建造期間中にはできなかったため竣工後、ホテルとしての休業日に行われた。

予定通り最初はホテルとして営業し、昨今の大和ブームも手伝って宿泊予約も式場予約も数か月待ちという連日の満員御礼となるなど大人気を博した。

その後、北朝鮮のテロ攻撃が発生したのを発端として戦艦としての運用が決定し、ホテル用の装備を撤去してから北朝鮮に進攻。46㎝砲の火力で北朝鮮軍の地上部隊やミサイル基地に甚大な被害を与えた後、アメリカが台湾に貸与していたのを中国が略取したアイオワ級二隻と交戦。相手を遥かに上回る防御力と火力で圧倒して中破に追い込んだことで、錬度が無きに等しかった中国海軍の乗員の戦意を奪い、結果的に沈めることなく勝利できた。

戦後は、敵兵を多数殺傷したことがネックとなってホテルとしての再運用は見送られている。

戦艦大和2020

続編『2020』では膨大な維持費(海上自衛隊の予算の半分。燃料費だけでも1日で数千万円を浪費しているとのこと)から幾度も解体が検討されたが、その度に保全を求める署名活動や維持費を少しでも賄うための募金活動が起きたため全て白紙になっていた。それでも根本的な問題解決には至らず遂に解体が決定するも、経済成長に伴う潤沢な資産と解決の目途が全く立たない国内問題を背景にした中国の横暴によって新たな有事が起きたため、再び中国軍と一戦を交えることになる。

僚艦と共に中国製空母をミサイルで撃沈し、更に武蔵と共にアイオワ級二隻を相手にしてまたしても沈めることなく(本来の所有権を有するアメリカに配慮して撃沈するわけにはいかなかった、と言う事情もある)勝利した後、福州の軍港に逃げ帰っていたロシア製の払い下げの空母三隻を最後の仕上げとばかりに全て撃沈した。

副次的な効果であるが、前作からの日本政府の政治的駆け引きの末に支配体制が著しく脆弱化していた中国共産党政権が、この戦闘で中国海軍が壊滅的な損害を被ったことで道連れに近い形で崩壊したことが示唆されている。(事実、作中ラストでは中国が民主化したことが明記されている)

また、中国軍の軍備拡張への対抗策として前述の二番艦「武蔵」が建造され(建造費は建造を担当した広島の造船会社が半分負担。大和が解体された場合に備えて、武蔵を『大和』に改名することを狙っての判断。このような判断をしたのは、その造船会社が初代大和を建造した呉工廠を前身としており、それ故にかつて初代武蔵を建造し、『2010』で大和を新造した三菱重工に強い敵愾心を抱いたため)、同終盤では空母「信濃」も建造された(信濃の進水式は作中のラストで言及された。また、メタンハイドレード規制の煽りで財団が資金を出せなかったため、この二隻の建造費はファットマンの2発目と共に呉の倉庫街で死蔵されていたM資金から捻出している)。

  • 兵装
    • 46cm砲3連装3基(劇中で使用されたのは徹甲弾と三式弾、広域対人攻撃が可能な特殊構造の榴弾。なお、三式弾はVT化されている)
    • 30mm8連装バルカン砲多数
    • 多連装VLS(史実の艦載機格納庫の位置に装備)
    • 5インチ連装高角砲(史実の最終改装時の位置に装備)

  ミサイル・・・ハープーン、スタンダードSM2、SM3を後部VLSに搭載。

強襲戦艦「大和」

高嶋規之の『強襲戦艦「大和」 ソ連ミサイル基地破壊命令』、『強襲戦艦「大和」 南シナ海シーレーン防衛指令』に、ソ連を盟主とする東側陣営との冷戦下、激化する不正規戦闘に対応するために「大和」が沈没したと見せかけ艦籍を抹消、所属を帝国第一情報部別班に移して特殊部隊ゼロの母艦に改装された特設強襲艦として登場する。

同型艦として「武蔵」「信濃」があり、この二隻は海軍に属したままである。ちなみに「信濃」は戦艦として就役している。両作品とも最後の敵は、対艦ミサイルを搭載した爆撃機や高速魚雷艇、さらに潜水艦という、戦艦では戦いようのない相手だが、思いも寄らない手を使って戦いに勝利するのが特徴である。

後部射撃指揮所と第三砲塔を撤去、発着管制室やヘリおよび高速艇を整備・収容するための格納庫(非装甲)が設置された。また左右両舷の副砲に替わって試作六連装ミサイルランチャーを搭載していたが、『ソ連ミサイル基地破壊命令』でのソ連爆撃機バジャーCとの戦闘で大破した。第二作『南シナ海シーレーン防衛指令』では新たに機関砲座を6基設置している。

  • 改修部分
    • 戦闘指揮所/前檣内部に設置されており、射撃・操舵・電探・通信など、艦に関するあらゆる情報が集約される。
    • 発着管制室/艦載ヘリの発着艦をコントロールする。旧後部射撃指揮所。
    • 格納庫/旧参謀本部大講堂並の大きさの建造物で、艦載ヘリだけでなく高速艇も整備することが可能である。装甲されておらず、敵の機関砲弾が外壁を貫通して整備中のヘリを破壊してしまったことがある。
    • 兵員室/第3砲塔を撤去した後に生じたスペースに構築した、特殊部隊用の兵員室。旧上部給弾室を第一、下部を第二としている。
    • 士官個室/後部副砲を撤去して生まれたスペースを利用して作られた、将校専用の部屋。
  • 兵装(作中で確認できる物)
    • 3連装46センチ主砲2基(第1作では三式榴散弾を使用する)
    • 3連装15センチ副砲1基
    • 12.7センチ連装高角砲
    • 試製21式対空誘導弾六連装発射器(第1作)
    • 12.7ミリ一九式機関砲6門(第2作。陸軍製のため、銃ではなく砲と呼ぶ)
    • 艦載ヘリコプター“黒鷺”(第1作。シコルスキー製S58を川西飛行機がライセンス生産した“白鷺”を独自にチューンした機体。第二作では敵魚雷艇の銃撃にあって格納庫内で大破)
    • 高速襲撃艇(第2作。イギリスの哨戒艇を参考に海軍が作った第11号哨戒魚雷艇を特殊部隊向けに改造した船舶で、12.7ミリ機関砲搭載)
  • 強襲戦艦に改装されるまでの艦歴
    • 1937年 呉工廠において起工
    • 1940年 進水。「大和」と命名。艤装開始。
    • 1942年 公試運転実施。竣工引き渡し後、第一艦隊に編入。
    • 1943年 水上交通破壊戦に従事(日米戦争)
    • 1944年 マリアナ沖海戦に参加。修理のために呉工廠に入渠。
    • 1945年 宗谷岬沖海戦に参加(北海道戦争)。
    • 1947年 連合国艦隊総旗艦拝命(国共内戦)。
    • 1952年 欧州各国へ親善航海。
    • 1957年 ソ連潜水艦の雷撃を受けて沈没(偽装)。

要塞シリーズ

荒巻義雄要塞シリーズには、戦艦阿蘇が登場する。第1部『ニセコ要塞1986』では史実の大和型とほぼ同じ姿をしているが、第3部『阿蘇要塞1995』では海中戦艦に改装されている。潜航可能深度や海中での運動性が低いため、潜水戦艦とは呼ばれない(潜水戦艦も別に登場する)。

『スカーレット・ストーム』シリーズ

中岡潤一郎の『スカーレット・ストーム』シリーズには、「大和」「武蔵」が登場する。 兵装においてはほぼ史実どおりであるが、作品内で日本軍が開発していた主砲弾の自動装填装置を装備していない。 これは作品内において日本海軍の主力になっている「第二海軍」(多くが女性で構成される)に大和型戦艦を配備させない為、主砲弾運搬を人力に頼るなど、男性でなければ充分に運用出来ないようにした結果である。

未来戦艦大和出撃

佐々木裕一の『未来戦艦大和出撃』では天一号作戦遂行中に起きた戦闘で史実通り甚大な損害を受けるが、艦体に致命傷を与えるはずだった艦内の大爆発が時空の歪みを招き、中露同盟軍の見境なしな核攻撃による放射能汚染で滅亡寸前となっている100年後の未来にタイムスリップした(なお、この時の生存者は司令長官・伊藤整一中将、参謀長・森下信衛少将、砲術長・黒田吉郎中佐の三名のみ。残りのは海に投げ出されたか、時空の狭間に巻き込まれて消滅したかのいずれかでは、と一部の登場人物に推測された)大和が、同時代の日本で修復も兼ねてかなり大掛かりな近代化改修を受けた。後にタイムスリップに関しては地球の意思によるものではないかとの推測が出ている。

中露連合軍への反撃のため戦闘輸送艦「摩周」と一緒に味方艦体本隊へ合流しようとするも、道中でロシアの潜水艦が発射した核ミサイルを撃墜した際の爆発が新たな時空の歪みを起こし、強化修復前の自身と入れ替わる形で1945年の坊の岬沖に帰還する。以後は、核兵器自体の存在そのものをなかったことにするために行動している。

100年後の技術で強化されて大幅に上昇した性能と、優秀な装備を使いこなす非常に錬度の高い陸戦部隊の活躍に物を言わせて沖縄戦に勝利し、西太平洋の制海権も奪った。その後、ロスアラモス国立研究所を破壊し、カーチス・ルメイ指揮下の空爆隊の攻撃も撤退命令を無視して駆けつけた「摩周」の手助けもあって耐え抜き、見事日米和平交渉へと持ち込む。和平成立後はトルーマン大統領の要求を飲み、ソ連を抑えるために「摩周」と共に黄海へ向かうこととなる(米軍側が大和の攻撃で壊滅的な被害を受け、戦力を割く余裕が無いため)。それと同時に行動指針も地球を破滅させる存在総ての徹底排除へと拡大された。

改修にあたり、艦橋の頭頂部が大幅に簡素化されている。また、防空システムはミサイルはおろか戦艦の主砲から発射された砲弾の撃墜も可能。

  • 全長:288m(艦首15m、艦尾10m延長)
  • 全幅:40m(後部飛行甲板拡大)
  • 基準排水量:6万8,000トン
  • 機関:純水素タービンエンジン4基
  • 出力:25万馬力
  • 最大速力:40ノット
  • 兵装
    • 合成レーダー連動式46cm滑腔砲:3連装3基
    • 合成レーダー連動式12.7cm速射砲:単装8基
    • 近接防御センサー連動式25mm機関砲:連装50基
    • 合成レーダー対空防御システム 零式艦対空ミサイル VLS 30セル×4基
    • 合成レーダー対潜防御システム 百式対潜ミサイル 4連装発射機×2基
    • 合成レーダー対艦攻撃システム 一式艦対艦ミサイル 連装発射機×10基
  • レーダー
    • 360度全方位監視合成レーダー
  • 搭載機:ステルス艦上戦闘攻撃機「天雷」2機

架空戦記以外の作品

ここには、架空戦記ではないものの、特筆すべき設定のある作品を挙げる。

大和型が登場しない作品

代わりに「大和」建造に使われる資材で秘匿潜水艦隊「紺碧艦隊」が建造された。また『旭日の艦隊』では超戦艦日本武尊が建造された。
代わりに荒島型防空巡洋艦(超甲巡)が建造された。
代わりに大鳳型空母6隻が建造された。
代わりに満載排水量492,600トン(基準排水量384,200トン)、全長582m、45口径46cm砲3連装15基45門、艦載機90機(艦上戦闘機42機、艦上攻撃機24機、艦上爆撃機24機)搭載の戦艦土佐が建造された。
徳川幕府が存続している世界。ほぼ史実通りのスペックで建造されたが、「朝廷におもねる様な命名はけしからん」という理由で、予定されていた「大和」から、徳川家由来の地である「三河」に変更された。従って「三河型」となる。2番艦は第1巻では「武蔵」となっていたが、第2巻以降特に説明のないまま「尾張」に変更されている(尾張は、徳川と縁の深い織田家の由来の地であり、徳川幕府時代は御三家の領地でもある)。

関連項目