三井造船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三井造船株式会社(みついぞうせん)は、造船、機械、鉄構、プラントなどを手掛ける三井系の重工業メーカー。
目次
概要
三井グループの重工業メーカー。他の重工業メーカーと比較しLNG(液化天然ガス)、浮体式石油生産・貯蔵・積出設備(FSPO)など造船部門の比率が高いが、物流システム、動力エネルギー、先進機械、プラント、環境、鉄構建設、IT関連など事業項目は多い。エチレンやポリオレフィン等の化学プラントも手掛け他社に無い事業領域も持つ。
また、大型研究施設・技術開発に強く、深海探査機器を有し、原発代替エネルギーとして注目されている、メタンハイドレート実用化や、素粒子関連の大型施設などを手掛けている。
NGHジャパンや三井海洋開発等、筆頭株主の三井物産が強いプラント・エネルギー分野での協業事業も多い。
次の事業本部を設けている。
- 船舶・艦艇事業本部
- 鉄鋼・物流事業本部 - 橋梁や港湾クレーンなど。
- 機械・システム事業本部 - 舶用エンジンや産業機械など。
- 環境・プラント事業本部
沿革
- 1917年(大正6年)11月 - 三井物産の造船部として岡山県児島郡日比町玉(現玉野市)で創業。
- 1937年(昭和12年)7月 - 株式会社玉造船所として設立。
- 1942年(昭和17年)1月 - 三井造船株式会社に商号変更。
- 1949年(昭和24年)5月 - 東京証券取引所・大阪証券取引所に上場。
- 1952年(昭和27年) - 本社を東京へ移設。
- 1960年(昭和35年)11月 - 三井造船エンジニアリング株式会社を設立。
- 1962年(昭和37年)5月 - 千葉工場操業開始。
- 1962年(昭和37年)10月 - 日本開発機製造株式会社と合併。
- 1964年(昭和39年)2月 - 東海鋳造株式会社(現三井ミーハナイト・メタル株式会社)を設立。
- 1967年(昭和42年)10月 - 株式会社藤永田造船所を吸収合併。
- 1973年(昭和48年)3月 - 東洋鉄構株式会社(現三井造船千葉機工エンジニアリング株式会社)を設立。
- 1973年(昭和48年)4月 - 修繕船専門工場、由良工場操業開始。
- 1974年(昭和49年)2月 - 播磨工事株式会社を設立。
- 1978年(昭和53年)6月 - 昭島研究所(現株式会社三井造船昭島研究所)開設。
- 1981年(昭和56年)10月 - 大分事業所操業開始。
- 1985年(昭和60年)10月 - 三造環境サービス株式会社(現三井造船環境エンジニアリング株式会社)を設立。
- 1986年(昭和61年)5月 - 三造メタル株式会社(後に三井ミーハナイト・メタル株式会社に吸収合併)を設立。
- 1987年(昭和62年)6月 - 三井造船プラント工事株式会社(現三井造船プラントエンジニアリング株式会社)を設立。
- 1988年(昭和63年)10月 - 株式会社大分三井造船(後に三井造船に吸収合併)、株式会社由良三井造船(現株式会社エム・イー・エス由良)を設立。三井物産と共同でPACECO.CORP.を設立。
- 1988年(昭和63年)12月 - 株式会社モデック(現三井海洋開発株式会社)に経営参加。
- 1989年(平成元年)12月 - デンマークのBurmeister & Wain Scandinavian Contractor A/S を買収。
- 1990年(平成2年)4月 - MES Engineering Inc.(現Engineers and Constructors International, Inc.)をアメリカに設立。
- 1990年(平成2年)12月 - 三幸実業株式会社の出資で三幸物流株式会社を設立。
- 1992年(平成4年)10月 - 三幸実業株式会社と合併。
- 1994年(平成6年)11月 - 三井造船鉄構工事株式会社と共同で三造リフレ株式会社を設立。
- 1995年(平成7年)3月 - 株式会社エム・ディー特機(現三井造船マシナリー・サービス株式会社)を設立。
- 1995年(平成7年)9月 - イギリスのBabcock Energy Limited(後のMitsui Babcock Energy Limited)を買収。
- 1997年(平成9年)7月 - 日本初のキルン式ガス化溶融炉を福岡県八女西部広域事務組合から受注。
- 2001年(平成13年)1月 - 三井造船プラントエンジニアリングが、三井造船エンジニアリングと合併。
- 2002年(平成14年)1月 - 三井造船鉄構工事が、三造リフレ及び株式会社運搬機エンジニアリングの2社と合併。
- 2003年(平成15年)4月 - 新潟鐵工所から造船事業の営業譲渡を受け、新潟造船株式会社設立。
- 2004年(平成16年)4月 - 鹿島建設、三井物産との共同出資により市原グリーン電力株式会社設立。
- 2004年(平成16年)9月 - ドーピー建設工業株式会社の株式を取得(後に連結子会社化)。
- 2007年(平成19年) - イギリスのMitsui Babcock Energy Limitedを売却。
- 2011年(平成23年)6月 - 戸田工業との共同出資でM&Tオリビン株式会社を設立
- 2013年(平成25年)1月 - 大阪証券取引所・名古屋証券取引所・福岡証券取引所・札幌証券取引所での上場廃止(申請に基づく)。
事業拠点
主製品
艦船・艦艇
艦艇
太平洋戦争中より艦艇建造に携わり、主に海防艦を建造、戦後も自衛艦の建造を続けている。
- 海防艦
- 水雷艇
- 鴻(おおとり)型:雉(きじ)
- 掃海艇
- 第一号型:第二号
- 第五号型:第五号
- 第七号型:第七号
- 第十三号型:第十六号
- 第十七号型:第十八号
- 駆潜艇
- 第四号型:第八号 – 第十二号
- 第十三号型:第十四号 – 第二十号
- 第二十八号型:第三十号 – 第三十三号 – 第三十七号
- 敷設艇
- 海上自衛隊
- 護衛艦
- いかづち型:DE-203 いなづま
- あやなみ型:DD-106 しきなみ - DD-110 たかなみ
- いすず型:DE-211 いすず
- やまぐも型:DD-113 やまぐも
- みねぐも型:DD-116 みねぐも
- ちくご型:DE-215 ちくご - DE-217 みくま - DE-218 とかち - DE-219 いわせ - DE-221 によど - DE-223 よしの - DE-225 のしろ
- DE-226 いしかり
- はつゆき型:はまゆきDD-126 - DD-131 せとゆき
- あさぎり型:DD-152 やまぎり
- あぶくま型:DE-229 あぶくま - DE-231 おおよど
- むらさめ型:DD-102 はるさめ
- あきづき型:DD-118 ふゆづき
- 補給艦
- 潜水艦救難艦
- 潜水艦救難母艦
- 海洋観測艦
- 音響測定艦
- 輸送艦
船舶
- 「赤城山丸」 - 1924年(大正13年)竣工[1]。日本最初のディーゼル主機の商船
- 「太平丸」 - 1928年(昭和3年)竣工[2]
- 「空知丸」 - 1930年(昭和5年)竣工[2]。多号作戦参加輸送船中、唯一の残存船
- 「吾妻山丸」 - 1933年(昭和8年)竣工[3]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「天城山丸」 - 1933年(昭和8年)竣工[3]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「海平丸」 - 1934年(昭和9年)竣工[3]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「阿蘇山丸」 - 1934年(昭和9年)竣工[3]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「青葉山丸」 - 1935年(昭和10年)竣工[3]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「朝日山丸」 - 1935年(昭和10年)竣工[3]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「明石山丸」 - 1935年(昭和10年)竣工[3]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「かんべら丸」 - 1936年(昭和11年)竣工[5]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「神祥丸」 - 1936年(昭和11年)竣工[5]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「東京丸」 - 1936年(昭和11年)竣工[5]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「金城山丸」 - 1936年(昭和11年)竣工[5]
- 「有馬山丸」 - 1937年(昭和12年)竣工[5]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「浅香山丸」 - 1937年(昭和12年)竣工[5]
- 「熱田山丸」 - 1937年(昭和12年)竣工[6]
- 「淡路山丸」 - 1939年(昭和14年)竣工[6]。優秀船舶建造助成施設適用船[4]
- 「綾戸山丸」 - 1941年(昭和16年)竣工[7]
- 「山西丸」 - 1931年(昭和6年)竣工[3]
- 「山東丸」 - 1931年(昭和6年)竣工[3]。太平洋戦争残存船の一隻
- 「波上丸」 - 1936年(昭和11年)竣工[5]
- 「浮島丸」 - 1937年(昭和12年)竣工[5]
- 「報國丸」 - 1940年(昭和15年)竣工[7]。優秀船舶建造助成施設適用船[4]
- 「愛國丸」 - 1941年(昭和16年)竣工[7]。優秀船舶建造助成施設適用船[4]
- 「護國丸」 - 1942年(昭和17年)竣工[8]。優秀船舶建造助成施設適用船[4]
- 「音羽山丸」 - 1936年(昭和11年)竣工[5]
- 「御室山丸」 - 1936年(昭和11年)竣工[5]。船舶改善助成施設適用船[4]
- 「ベルゲ・エンペラー」 - 1975年(昭和50年)竣工
- VLCC(大型タンカー)「シヅキサン」 - 2009年(平成21年)竣工
- 1B型:「白根山丸」、「花川丸」、「白金山丸」、「大敬丸」、「夏川丸」、「明隆丸」 - 1943年(昭和18年)および 1944年(昭和19年)竣工[9]
- 2A型:「安土山丸」、「天津山丸」、「加古川丸」、「勝川丸」、「大彰丸」、「大寿丸」、「飛鳥山丸」、「相模川丸」、「大博丸」、「荒尾山丸」、「辰城丸」、「那珂川丸」、「大郁丸」、「阿里山丸」、「大敏丸」、「第二宏山丸」、「明精丸」、「阿武隈川丸」、「弥彦丸」、「広長丸」、「英彦丸」、「第一大拓丸」、「向日丸」 - 1944年(昭和19年)および 1945年(昭和20年)竣工[10]
- 2A型(タンカー改装):「大修丸」、「第十五多聞丸」、「延暦丸」、「阿蘇川丸」、「逢坂山丸」、「阿波川丸」、「牡鹿山丸」、「延慶丸」、「大暁丸」、「大江山丸」、「辰洋丸」 - 1944年(昭和19年)竣工[11]
- 2D型:「琴平山丸」 - 1945年(昭和20年)竣工[12]
- その他
- 深海無人探査機「かいこう」 - 1995年(平成7年)竣工
- 測量船「昭洋」 - 1998年(平成10年)竣工、シップ・オブ・ザ・イヤー1998授賞
- LNG運搬船「プテリ デリマ サツ」(メンブレンタンク式) - 2002年(平成14年)竣工
- 地球深部探査船「ちきゅう」(船体部分) - 2005年(平成17年)竣工
- FPSO(浮体式石油生産・貯蔵・積出設備) Kerr-McGee Global Producer III - 2005年(平成17年)竣工
- 鉱石運搬船「ブラジル・マル」 - 2007年(平成19年)竣工、シップ・オブ・ザ・イヤー2007授賞
- LNG運搬船「グランド メレヤ」(モス球形タンク式) - 2008年(平成20年)竣工
- ばら積み貨物船「FATHER NEPTUNE」 - 2009年(平成21年)竣工
- ばら積み貨物船「CAPE GARLAND」 - 2009年(平成21年)竣工
関連企業
連結子会社
- 三井造船千葉機工エンジニアリング
- 三井海洋開発- 東証1部上場の子会社
- 三造企業
- 四国ドック
- 新潟造船
- 三井造船鉄構工事
- ドーピー建設工業
- 三井造船マシナリー・サービス
- 三井ミーハナイト・メタル
- 三造試験センター
- 三造エムテック
- 三井造船環境エンジニアリング
- 三井造船プラントエンジニアリング
- 三井造船昭島研究所
- 三井造船システム技研
- 三友不動産
- 三幸物流
- 市原グリーン電力
- 昭和飛行機工業
持分法適用関連会社
脚注
参考文献
外部リンク
テンプレート:三井グループテンプレート:Asbox- ↑ #三十五年史 p.56
- ↑ 2.0 2.1 #三十五年史 p.57
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 3.7 3.8 #三十五年史 p.58
- ↑ 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 4.11 4.12 4.13 4.14 4.15 #正岡 p.22
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 #三十五年史 p.59
- ↑ 6.0 6.1 #三十五年史 p.60
- ↑ 7.0 7.1 7.2 #三十五年史 p.61
- ↑ 8.0 8.1 #三十五年史 p.100
- ↑ 9.0 9.1 #三十五年史 p.101
- ↑ #三十五年史 pp.102-103
- ↑ #三十五年史 p.102
- ↑ #三十五年史 p.103