緊急指令10-4・10-10

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:基礎情報 テレビ番組

緊急指令10-4・10-10』(きんきゅうしれいテンフォーテンテン)は、1972年7月3日から12月25日に、毎週月曜日19:30 - 20:00にNETで全26話が放送された特撮番組。

「10-4・10-10」とはアメリカのCB警察無線で使われる用語で、「10コード」と呼ばれるものである。「10-4」(テンフォー)は「了解」、「10-10」(テンテン)は「通信終わり」を意味する略語。

概要

各地の無線愛好家たちが様々な事件に遭遇、無線を通じて事件を知った「毛利チーム」が調査に乗り出し、謎を解き明かす様子を描く。

毛利チームの活動は怪獣宇宙人の撃退から家出人の捜索・非行少女の更生支援まで幅広く、内容の自由度の高さは円谷プロ作品の中でも群を抜いている。もっとも、あくまでも民間組織が中心になって対応するため、規模の大きさでは他作品に劣る面もあるが、事件に関わった人々の姿も丁寧に描かれている。

レギュラー陣は「毛利チーム」と呼ばれるグループに所属しているが、通信手段がCB無線であるため、無線装置を所有する者なら誰でも通信を傍受し、会話に参加することが可能。そのため、事件の調査依頼から解決のための手掛かりとなる情報の提供まで、チーム外の無線愛好家から寄せられる情報がストーリーの進行上重要な鍵となっている。最終話のように無線のネットワークを悪用される危険もあるが、劇中では毛利チームを含む無線愛好家の大半が善人であるため、全編を通じて健全な作風になっている。

企画はNETと電通による『CB無線物語シリーズ テン・フォー、テン・テン』をベースに、企画を持ち込まれた円谷プロダクションが『怪奇大作戦』の要素を少年向けに再構築した[1]。電通のプロデューサーは、自身が愛好する黒沼健の怪奇小説のような趣向を目指していたテンプレート:Sfn。無線を題材にしていることから、当時無線機に力を入れていた三菱電機がスポンサーとなっているテンプレート:Sfn

企画段階でのタイトルは『電波特捜隊』[2]。怪獣デザインを担当した米谷佳晃は、企画段階から作品に携わっており、設定考案やマーチャン企画提案なども行っている[3]

登場人物を一新した続編も検討されていたが実現には至っていない[4]

2013年7月12日と9月13日に東映ビデオから、初の全話ソフト化となるDVDボックスの上下巻が発売された。

電波特捜隊・毛利チーム

大学教授の毛利春彦が設立した無線愛好家グループ。主に無線を通じて様々な事件の調査を請け負う。その活動内容は、未知の生物(怪獣など)との接触から非行少女の更生まで多岐にわたる。

民間のボランティアであるため警察のような権限はないが、毛利が発明した秘密兵器などを駆使して事件に対処する。また、無線愛好家のネットワークは情報の伝達に欠かせない。上記のように、無線装置を所有する者なら誰でも無線を通じて協力することが可能なため、世界中の無線愛好家が協力者と言える。

顧問の毛利以外のメンバーには、左胸に「10-4・10-10」のロゴが入ったユニフォームヘルメット腕時計無線機、電波銃が支給されている。専用車両はスバル・レオーネ2ドアハードトップを使用。

設定上は「電波特捜隊」という呼称が存在するが、劇中では「毛利チーム」と呼ばれる。

メンバー

毛利春彦
電波特捜隊の設立者で城南大学医学部教授。30歳。怪事件や怪物に造詣が深く、その記憶から的確な解決方法を見つけ出す。隊員たちからは「先生」と呼ばれる。
岩城哲夫
電波特捜隊のチーフで大学生。23歳。CBコードネームは「鉄仮面」。勇敢で、射撃や格闘技の達人。民間のCB無線クラブの電波特捜隊本部を自宅に設置している。
花形一平
電波特捜隊のメンバー。21歳。CB無線に夢中で家業の自動車修理工場を放り出している。主にバイクに乗って活躍する。熱血漢だが、早合点で行動して失敗することが多い。
入江ナミ
電波特捜隊の紅一点。20歳。CBコードネームは「白雪姫」。普段は家庭教師をしている。行動派でナイフ投げが得意。
コスチュームは、初期は男性メンバーと同じパンツスタイルであったが、後半からミニスカートとなった[2]
立田正明
電波特捜隊のメンバー。20歳。真面目で変装が得意。12話を最後に早苗と交代で姿を消した。
松宮三郎
電波特捜隊のメンバーで16歳の高校生。CBコードネームは「東京股旅ライダー」。サッカーが得意。高校生などの青少年からの無線情報の窓口である。
松宮吾郎
三郎の弟で12歳の電波特捜隊の最年少メンバー。CBコードネームは「股旅ライダージュニア」。最初は中学生という設定だったが、役者が交代してからは小学生という設定に変更された。子供たちからのCB無線の情報窓口である。少年たちからの怪情報や緊急連絡は全て松宮兄弟の自宅の無線を通じて、電波特捜隊へと流される。
石田早苗
13話から登場。正明に代わって新しく入隊した女性隊員。年齢は不明。準隊員たちとペンダント型通信機で連絡を取り合う。
三沢ユリ、南 和子
早苗の友人で、電波特捜隊の準隊員。普段は学生らしい。

(番組内での)無線用語

  • 「10-4」(テンフォー)→了解
  • 「10-10」(テンテン)→通信終わり、さようなら。「10-4」に続いて使われることが多かった。これを言わないと、通信は続いている扱いになってしまう。
  • 「10-34」(テンスリーフォー)→SOS

登場怪獣

テンプレート:Anchor
第1話に登場。
  • 身長:2.3メートル
  • 体重:88キログラム
麻薬LS408生産のため、植物学者のヘンリー吉原が生み出した。甘い匂いを出して食料となる動物や人間をおびき寄せ、長い葉を伸ばして捕らえる。
テンプレート:Anchor
第2話に登場。
洞門峻太郎が耐熱ガラス液を体に塗って、自らが燃えている隙に宝石を盗んでいた。ガラス液には平行感覚がおかしくなるという副作用がある。
テンプレート:Anchor
第3話に登場。
  • 全長:70メートル
  • 体重:3万8000トン
四足歩行の地底怪獣。コンゴ出身。アルカリ性の強い土壌を好む。着ぐるみは膝をつかないタイプ。
テンプレート:Anchor
第4話に登場。
藤波博士が培養した新種のカビで、オレンジ色をしている。食欲が旺盛で人や牛を襲撃する。襲われた者は皆、骨になるまで食べ尽くされてしまい、藤波博士もこれで死亡した。二人組の悪人・木崎と岩佐に悪用される。
テンプレート:Anchorテンプレート:Refnest
第5話に登場。
  • 全長:25センチメートル
  • 体重:300グラム
宝石泥棒の魔術師アルベールがリモコンでコントロールするカブトムシ型の機械。
テンプレート:Anchor
第6話に登場。
  • 身長:2メートル
  • 体重:103キログラム
アマゾンの原住民のお面に付着して日本に入ってきた微生物が湖に住み、巨大化した。動物の赤血球を食料とし、犠牲者を急性の白血病にしたり、触手で獲物の血を吸い取ってしまう。
  • デザイン:米谷佳晃[5]。デザイン画での名称は「アマゾンの吸血鬼[5]。「円谷プロ全怪獣図鑑」(2013年)以前の資料でもこちらの名称で記載している[6]。「’70年代特撮ヒーロー全集」では、単に「吸血鬼」と記載している[7]
  • 着ぐるみは『帰ってきたウルトラマン』に登場したバリケーンの改造テンプレート:Sfn
テンプレート:Anchor
第7話に登場。
  • 全長:1.7メートル
  • 体重:95キログラム
日本各地の公園などに出没した謎のミイラ。その正体は大富豪の高垣家で所有していたミイラで、電波によって操られ、美術館や博物館で展示された際に絵画をすり替え強奪していた。毛利チームの妨害電波によってコントロール不能になって勝手に動き出した後、落雷の影響でパワーアップするが最後は倒された。
  • 「’70年代特撮ヒーロー全集」では、名称を「ミイラ怪人」と記載している[7]
テンプレート:Anchor
第9話に登場。
地球征服のため宇宙から飛来し、人間に憑依した。憑依された人間は牙と爪が伸びた姿になり、吸血鬼のように人を襲って自分達の仲間にしていく。バリアや飛行能力などの超能力を使う。好物はクロレラ
テンプレート:Anchor
第11話に登場。
  • 全長:1.9メートル
  • 体重:54キログラム
埋蔵金伝説が伝わる丹沢の森に入った人間を次々に襲っていた。人間の白骨死体が、体を覆う土の中のバクテリアの活動で動いていた。
  • デザイン:米谷佳晃[3]
テンプレート:Anchor
第12話に登場。
  • 身長:1.8メートル
  • 体重:98キログラム
動物園で飼育されていた、生まれつき知能が高いゴリラ。人間の言葉を完全に理解しており、夜に動物園の檻から抜け出していた。
テンプレート:Anchor
第13話に登場。
  • 全長:身長:2.1メートル
  • 体重:85キログラム
アフリカの半魚海獣。沈没船の金塊を引き上げるために人間の脳を移植し、知能を向上させられた。鋭い爪で人間を引き裂く。
  • デザイン:米谷佳晃[3]
  • 「’70年代特撮ヒーロー全集」では、名称を「半魚人」と記載している[7]
テンプレート:Anchor
第16話に登場。
  • 身長:1.6メートル
  • 体重:48キログラム
  • 演:草野泰政
性別は女。ゾルバ[8](演:団巌)という夫がいる。
テンプレート:Anchor
第17話に登場。
  • 全長:3メートル
  • 体重:99キログラム
ウラン鉱山の放射能でネズミが巨大化。地下に張り巡らされた坑道を利用して、地上にいる人間を次々と引きずり込み食べてしまう。強い匂いを嫌う。
  • 書籍によっては、名称を「ねずみ怪獣」と記載している[9][7]
テンプレート:Anchor
第18話に登場。
ゴミ捨て場のナメクジが巨大化したもの。強力な消化液で人間を溶かす。
  • 書籍によっては、名称を「大ナメクジ」と記載している[9][7]
テンプレート:Anchor
第20話に登場。
第38M星雲・ロック星の宇宙人。山下弦一郎博士を殺害するためにやってきた。
テンプレート:Anchor
第21話に登場。
  • 身長:1.9メートル
  • 体重:250キログラム
正体は杉山大吉が作ったラジコンロボット。くちばしに毒が仕込んである。

スタッフ

  • プロデューサー:大村拓三 (NET) 、高橋亦一
  • 脚本:田代淳二、柴田敏行、渥美啓史、高久進藤川桂介田口成光
  • 企画協力:小久保輝吉、小林正
  • 監督:浜野信彦、上野英隆、本多猪四郎、村瀬行光、深沢清澄
  • 音楽:渡辺岳夫
  • 撮影:中町武
  • 照明:佐山五郎
  • 美術:栗山吉正、島崎堯司、大村武、川船国彦
  • 助監督:深沢清澄、常葉武
  • 合成技術:宮重道久
  • 編集:小林熙昌
  • 記録:当摩浩子、津田矩子、木村雪恵、土屋テル子、森田溶子
  • 殺陣:林成二郎
  • 制作主任:宇根本工、藤倉博
  • 録音:日本録音センター
  • 効果:協立音響
  • 衣裳協力:西武百貨店
  • 現像:東洋現像所
  • 制作担当:内田貴夫
  • 予告ナレーター:山田康雄中江真司
  • 広告代理店:電通
  • 制作:NET円谷プロダクション

主題歌、イメージソング

テンプレート:要出典範囲

主題歌は、フルサイズとテレビサイズが別々に録音された。しかし、テレビサイズがそのまま使われたのは第1話のみ。第2話からは曲の一部がフルサイズに差し替えられ、さらにその後、フルサイズをテレビサイズと同じ形に編集したものに変更されている。

OP映像には、カラー放送時代に入ってからの実写特撮としては珍しく、漫画絵を使用している。

キャスト

レギュラー

  • 毛利春彦:黒沢年男
  • 岩城哲夫:水木襄
  • 花形一平:池田駿介
  • 入江ナミ:牧れい
  • 立田正明:大野志郎(1 - 8、10、12話)
  • 石田早苗:深沢裕子(13 - 26話)
  • 松宮三郎:湯原一昭
  • 松宮吾郎:松岡淳一(1 - 13話)、根本友行(16 - 26話)

ゲスト

声の出演

※ノンクレジット

放送日程

放送日 話数 サブタイトル 脚本 監督
1972年
7月3日
1 狂った植物怪獣 田代淳二
柴田敏行
浜野信彦
7月10日 2 謎の火炎怪人 田代淳二
7月17日 3 地底怪獣アルフォン 田代淳二
渥美啓史
上野英隆
7月24日 4 人喰いカビ 高久進
7月31日 5 カブト虫殺人事件 本多猪四郎
8月7日 6 アマゾンの吸血鬼 田代淳二
8月14日 7 闇に動くミイラ 上野英隆
8月21日 8 私は殺される! 高久進
8月28日 9 青いインベーダー 田代淳二 村瀬行光
9月4日 10 死を呼ぶバイオリン
9月11日 11 妖怪・どろ人間 藤川桂介 上野英隆
9月18日 12 天才ゴリラの初恋 田代淳二
9月25日 13 海獣半魚人の反逆
10月2日 14 黒猫が見た 村瀬行光
10月9日 15 僕は泣かない
10月16日 16 原始人バラバ 高久進 深沢清澄
10月23日 17 妖怪ねずみ地獄 田代淳二
10月30日 18 人喰いナメクジ発生!! 上野英隆
11月6日 19 大空を飛ぶ少年
11月13日 20 宇宙から来た暗殺者 藤川桂介 本多猪四郎
11月20日 21 怪鳥ラゴンの襲撃!
11月27日 22 少女と花と天国 田代淳二 村瀬行光
12月4日 23 死体を呼ぶ白骨 高久進
12月11日 24 黒いサソリの恐怖 田代淳二
12月18日 25 死を運ぶ鳩 田口成光 深沢清澄
12月25日 26 非行少女カオリ 田代淳二

漫画

  • 小学一年生 1972年8月号 - 1973年1月号 斎藤ゆずる
  • 小学二年生 1972年8月号 - 1973年1月号 林ひさお 、1972年9月増刊号 高須礼二
  • 小学三年生 1972年8月号 - 1973年1月号 内山まもる
  • 小学四年生 1972年8月号 - 1973年1月号 今道英治
  • 小学五年生 1972年8月号 - 1973年1月号 内山まもる
  • 小学六年生 1972年8月号 - 1973年1月号 内山まもる

脚注

テンプレート:Reflistテンプレート:脚注ヘルプ

参考文献

関連項目

外部リンク

テンプレート:前後番組

テンプレート:本多猪四郎監督作品テンプレート:Asbox
  1. テンプレート:Cite book
  2. 2.0 2.1 テンプレート:Harvnb
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 テンプレート:Harvnb
  4. テンプレート:Cite
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 テンプレート:Harvnb
  6. 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「.E5.85.A8.E6.80.AA.E7.8D.A3174」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
  7. 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 テンプレート:Harvnb
  8. 名称は「円谷プロ特撮DVDコレクション2」(講談社・2013年)より。
  9. 9.0 9.1 テンプレート:Harvnb