女性政治家
テンプレート:複数の問題 女性政治家(じょせいせいじか)とは政治に職業として携わっている女性のこと。
概説
世界の各文明における女性の政治的地位は男性に劣後することがほとんどで、女性が政治に参与することは世襲・血縁による場合を除いてまれであった。
20世紀になり、人間の自由・平等性に基づいて女性の社会進出が必然の帰結となると、女性の政治参与が次第に見られるようになった。20世紀後期になると、欧米諸国では、女性政治家の存在は極めて自然のこととなった。
欧米諸国の中には、女性の進出を担保するため、クオータ制(役職の一定割合を女性に割り当てる制度)を採用している国もある。フランスでは国会議員を男女同数にする仕組みになっている。
平等権を基礎とする民主主義社会では、女性政治家を特別視する必要はなく、男女に関わらず政治家としての能力・実績が問われるべきであろうが、政治の世界において男性優位の風土を持つ傾向が強い国ほど、男性政治家でないことが注目されることになる。
選挙に立候補をする女性候補の中には、何かと「女性であること」「女性の代表」を売りにしたり、女性の地位向上を声高らかに叫ぶ者もいる。一方で、女性有権者のみに限定された制度で選出された政治家でない限り男女区別ない選挙制度で当選した政治家は男女云々よりも有権者の代表として相応しいかを判断すべきとして、そのような主張をする女性候補へ反発する人もいる。また、「女性の代表」を売りにした候補者が乱立した結果全滅し、結局男性候補者のみ当選したというケースもある。
女性の政治要職
欧米諸国では女性政治家が多くなるに従って、女性が閣僚などの女性の政治要職となることも珍しいことではなくなった。20世紀末には、女性が首相を務めたり、閣僚の半数(若しくは半数近く)を女性が占めることもごく普通のことになった。そうした流れは欧米諸国だけではなくイスラム圏にも波及し、何人かの女性が閣僚または首相に就任している。
また、アジア諸国でも大統領や首相といった要職を占める女性の例は多い。ただしアジア諸国の政界では世襲・縁戚による女性閣僚や女性首相の例が多く、女性の地位の向上とは必ずしも結びついていない。
日本でも女性閣僚は誕生しているが、他の欧米先進国に比べると非常に少ない。日本において、女性が首相になった例はまだないが、国会議長、第二政党党首、都道府県知事になった例はある。また他の主要国ではアメリカ合衆国大統領、フランス共和国大統領など、過去に女性の大統領・首相経験者が一人もいない国はいくつかある(ただし、フランスではエディット・クレッソン、筆頭閣僚が存在しないアメリカ合衆国において相当する職として国務長官を位置づけるならば、マデレーン・オルブライト、コンドリーザ・ライス、ヒラリー・クリントンの3人が就任している)。また地方政治ではネリー・ロスが1925年にワイオミング州知事に選出されアメリカ初の女性州知事が誕生し、その後も多くの女性州知事が誕生している。
日本の女性閣僚の一覧
内閣 | 女性閣僚 | 役職 | 在任期間 | 政党 |
---|---|---|---|---|
池田内閣 | 中山マサ | 厚生大臣 | 1960年7月19日 - 1960年12月8日 | 自由民主党 |
近藤鶴代 | 科学技術庁長官 | 1962年7月18日 - 1963年7月18日 | 自由民主党 | |
中曽根内閣 | 石本茂 | 環境庁長官 | 1984年11月1日 - 1985年12月28日 | 自由民主党 |
海部内閣 | 森山真弓 | 環境庁長官 | 1989年8月10日 - 1989年8月25日 | 自由民主党 |
内閣官房長官 | 1989年8月25日 - 1990年2月28日 | |||
高原須美子 | 経済企画庁長官 | 1989年8月10日 - 1990年2月28日 | 民間人 | |
山東昭子 | 科学技術庁長官 | 1990年12月29日 - 1991年11月5日 | 自由民主党 | |
宮沢内閣 | 森山真弓 | 文部大臣 | 1992年12月12日 - 1993年8月9日 | 自由民主党 |
細川内閣 | 赤松良子 | 文部大臣 | 1993年8月9日 - 1994年4月28日 | 民間人 |
久保田真苗 | 経済企画庁長官 | 1993年8月9日 - 1994年4月28日 | 日本社会党 | |
広中和歌子 | 環境庁長官 | 1993年8月9日 - 1994年4月28日 | 公明党国民会議 | |
羽田内閣 | 赤松良子 | 文部大臣 | 1994年4月28日 - 1994年6月30日 | 民間人 |
浜四津敏子 | 環境庁長官 | 1994年4月28日 - 1994年6月30日 | 公明党 | |
村山内閣 | 田中眞紀子 | 科学技術庁長官 | 1994年6月30日 - 1995年8月8日 | 自由民主党 |
橋本内閣 | 長尾立子 | 法務大臣 | 1996年1月11日 - 1996年11月7日 | 民間人 |
石井道子 | 環境庁長官 | 1996年11月7日 - 1997年9月11日 | 自由民主党 | |
小渕内閣 | 野田聖子 | 郵政大臣 | 1998年7月29日 - 1999年10月5日 | 自由民主党 |
清水嘉与子 | 環境庁長官 | 1999年10月5日 - 2000年4月5日 | 自由民主党 | |
森内閣 | 清水嘉与子 | 環境庁長官 | 2000年4月5日 - 2000年7月4日 | 自由民主党 |
扇千景 | 建設大臣 | 2000年7月4日 - 2001年1月5日 | 保守党 | |
運輸大臣 | 2000年12月5日 - 2001年1月5日 | |||
北海道開発庁長官 | 2000年12月5日 - 2001年1月5日 | |||
国土庁長官 | 2000年12月5日 - 2001年1月5日 | |||
国土交通大臣 | 2001年1月6日 - 2003年9月22日 | |||
川口順子 | 環境庁長官 | 2000年7月4日 - 2001年1月6日 | 民間人 | |
環境大臣 | 2001年1月6日 - 2001年4月26日 | |||
小泉内閣 | 森山真弓 | 法務大臣 | 2001年4月26日 - 2003年9月22日 | 自由民主党 |
田中眞紀子 | 外務大臣 | 2001年4月26日 - 2002年1月30日 | 自由民主党 | |
川口順子 | 環境大臣 | 2001年4月26日 - 2002年9月30日 | 民間人 | |
外務大臣 | 2002年2月1日 - 2004年9月27日 | |||
遠山敦子 | 文部科学大臣 | 2001年4月26日 - 2003年9月22日 | 民間人 | |
小池百合子 | 環境大臣 | 2003年11月19日 - 2006年9月26日 | 自由民主党 | |
沖縄及び北方対策担当大臣 | 2004年9月27日 - 2006年9月26日 | |||
小野清子 | 国家公安委員長 | 2003年9月22日 - 2004年9月27日 | 自由民主党 | |
青少年育成及び少子化対策担当大臣 | 2003年9月22日 - 2004年9月27日 | |||
食品安全担当大臣 | 2003年9月22日 - 2004年9月27日 | |||
南野知恵子 | 法務大臣 | 2004年9月27日 - 2005年10月30日 | 自由民主党 | |
青少年育成及び少子化対策担当大臣 | 2004年9月27日 - 2005年10月30日 | |||
猪口邦子 | 少子化担当大臣 | 2005年10月30日 - 2006年9月26日 | 自由民主党 | |
男女共同参画担当大臣 | 2005年10月30日 - 2006年9月26日 | |||
第1次安倍内閣 | 大田弘子 | 経済財政政策担当大臣 | 2006年9月26日 - 2007年9月25日 | 民間人 |
高市早苗 | 沖縄北方対策担当大臣 | 2006年9月26日 - 2007年8月27日 | 自由民主党 | |
科学技術政策担当大臣 | 2006年9月26日 - 2007年8月27日 | |||
イノベーション担当大臣 | 2006年9月26日 - 2007年8月27日 | |||
少子化・男女共同参画担当大臣 | 2006年9月26日 - 2007年8月27日 | |||
食品安全担当大臣 | 2006年9月26日 - 2007年8月27日 | |||
小池百合子 | 防衛大臣 | 2007年7月4日 - 2007年8月27日 | 自由民主党 | |
上川陽子 | 少子化対策担当大臣 | 2007年8月27日 - 2007年9月25日 | 自由民主党 | |
男女共同参画担当大臣 | 2007年8月27日 - 2007年9月25日 | |||
福田内閣 | 大田弘子 | 経済財政政策担当大臣 | 2007年9月26日 - 2008年8月2日 | 民間人 |
上川陽子 | 少子化対策担当大臣 | 2007年9月26日 - 2008年8月2日 | 自由民主党 | |
男女共同参画担当大臣 | 2007年9月26日 - 2008年8月2日 | |||
野田聖子 | 消費者行政推進担当大臣 | 2008年8月2日 - 2008年9月24日 | 自由民主党 | |
中山恭子 | 拉致問題担当大臣 | 2008年8月2日 - 2008年9月24日 | 自由民主党 | |
麻生内閣 | 野田聖子 | 消費者行政推進担当大臣 | 2008年9月24日 - 2009年9月16日 | 自由民主党 |
科学技術政策食品安全担当大臣 | 2008年9月24日 - 2009年9月16日 | |||
小渕優子 | 少子化対策担当大臣 | 2008年9月24日 - 2009年9月16日 | 自由民主党 | |
男女共同参画担当大臣 | 2008年9月24日 - 2009年9月16日 | |||
鳩山由紀夫内閣 | 千葉景子 | 法務大臣 | 2009年9月16日 - 2010年6月8日 | 民主党 |
福島瑞穂 | 少子化対策担当大臣 | 2009年9月16日 - 2010年5月28日 | 社会民主党 | |
菅内閣 | 千葉景子 | 法務大臣 | 2010年6月8日 - 2010年9月17日 | 民主党 |
蓮舫 | 行政刷新担当大臣 | 2010年6月8日 - 2011年6月27日 | 民主党 | |
岡崎トミ子 | 国家公安委員長 | 2010年9月17日 - 2011年1月14日 | 民主党 | |
野田内閣 | 蓮舫 | 行政刷新担当大臣 | 2011年9月2日 - 2012年1月13日 | 民主党 |
小宮山洋子 | 厚生労働大臣 | 2011年9月2日 - 2012年10月1日 | 民主党 | |
田中眞紀子 | 文部科学大臣 | 2012年10月1日 - 2012年12月26日 | 民主党 | |
第2次安倍内閣 | 稲田朋美 | 規制改革担当大臣 | 2012年12月26日 - | 自由民主党 |
森雅子 | 少子化対策担当大臣 | 2012年12月26日 - | 自由民主党 |
日本の女性知事の一覧
女性知事 | 役職 | 期間 |
---|---|---|
太田房江 | 大阪府知事 | 2000年2月6日 - 2008年2月5日 |
潮谷義子 | 熊本県知事 | 2000年4月16日 - 2008年4月15日 |
堂本暁子 | 千葉県知事 | 2001年4月5日 - 2009年4月4日 |
高橋はるみ | 北海道知事 | 2003年4月23日 - |
嘉田由紀子 | 滋賀県知事 | 2006年7月20日 - 2014年7月19日 |
吉村美栄子 | 山形県知事 | 2009年2月14日 - |
日本における女性国会議員
ここでは日本の女性国会議員の数と割合について記載する。衆議院議員については総選挙における当選人数。参議院議員については通常選挙後の国会召集日における数を記載している。
回 | 年 | 人数 | 総議員数 | 割合 |
---|---|---|---|---|
22 | 1946年 | 39 | 466 | 8.4% |
23 | 1947年 | 15 | 466 | 3.2% |
24 | 1949年 | 12 | 466 | 2.6% |
25 | 1952年 | 9 | 466 | 1.9% |
26 | 1953年 | 9 | 466 | 1.9% |
27 | 1955年 | 8 | 467 | 1.7% |
28 | 1958年 | 11 | 467 | 2.4% |
29 | 1960年 | 7 | 467 | 1.5% |
30 | 1963年 | 7 | 467 | 1.5% |
31 | 1967年 | 7 | 486 | 1.4% |
32 | 1969年 | 8 | 486 | 1.6% |
33 | 1972年 | 7 | 491 | 1.4% |
34 | 1976年 | 6 | 511 | 1.2% |
35 | 1979年 | 11 | 511 | 2.2% |
36 | 1980年 | 9 | 511 | 1.8% |
37 | 1983年 | 8 | 511 | 1.6% |
38 | 1986年 | 7 | 512 | 1.4% |
39 | 1990年 | 12 | 512 | 2.3% |
40 | 1993年 | 14 | 511 | 2.7% |
41 | 1996年 | 23 | 500 | 4.6% |
42 | 2000年 | 35 | 480 | 7.3% |
43 | 2003年 | 34 | 480 | 7.1% |
44 | 2005年 | 43 | 480 | 8.9% |
45 | 2009年 | 54 | 480 | 11.3% |
46 | 2012年 | 38 | 480 | 7.9% |
回 | 年 | 人数 | 総議員数 | 割合 |
---|---|---|---|---|
1 | 1947年 | 10 | 250 | 4.0% |
2 | 1950年 | 12 | 250 | 4.8% |
3 | 1953年 | 15 | 250 | 6.0% |
4 | 1956年 | 15 | 250 | 6.0% |
5 | 1959年 | 13 | 250 | 5.2% |
6 | 1962年 | 16 | 250 | 6.4% |
7 | 1965年 | 17 | 250 | 6.8% |
8 | 1968年 | 13 | 250 | 5.2% |
9 | 1971年 | 13 | 251 | 5.2% |
10 | 1974年 | 18 | 252 | 7.1% |
11 | 1977年 | 16 | 252 | 6.3% |
12 | 1980年 | 17 | 252 | 6.7% |
13 | 1983年 | 18 | 252 | 7.1% |
14 | 1986年 | 22 | 252 | 8.7% |
15 | 1989年 | 33 | 252 | 13.1% |
16 | 1992年 | 37 | 252 | 14.7% |
17 | 1995年 | 34 | 252 | 13.5% |
18 | 1998年 | 43 | 252 | 17.1% |
19 | 2001年 | 38 | 247 | 15.4% |
20 | 2004年 | 33 | 242 | 13.6% |
21 | 2007年 | 42 | 242 | 17.4% |
22 | 2010年 | 44 | 242 | 18.2% |
23 | 2013年 | 39 | 242 | 16.1% |