四季
目次
四季が起こる要因
四季は地球の公転面に対して地軸が傾いているために起こる気象現象である。 地球は公転面に対し常に一定の角度で傾きながら自転しており、さらに傾きながら太陽の周りを公転している。 言い代えれば太陽の自転軸と地球の自転軸が平行ではない。地球は球体であるから地球上での位置と公転軌道上の位置によって日照角度と日照時間に違いが出てくる。日照角度とは太陽光が地表に照射する角度のことである。同一の光量の場合、照射角が90°に近いほど面積あたりの受光量は大きくなる。つまり太陽が高く昇るときほど地表は強く暖められる。
また、地軸の傾きは日照時間も変化させる。夏至には昼間の時間が最大に、冬至には最小になる。その差は緯度によって異なる。高緯度ほど大きくなり、両極付近では夏至前後には一日中太陽が沈まない、いわゆる白夜が見られる。 この両方の効果により季節が生まれる。
日本の場合、理論的には日照角度と日照量は夏至の6月22日頃が最高で、冬至の12月22日頃が最低となるが、一つには6月が梅雨のさなかで日照が少ないこと、また大気の対流が進行するのに1か月半ほどの時間差を生じるために、8月上旬が一番暑く1月下旬が一番寒くなっている。
いろいろな地域の四季
上記のような変化は、地球上のどこでも見られる現象であるが、地域によって大きく異なる。一般的には、緯度や海陸分布の影響を大きく受ける。
両極を含む高緯度地域は気温が年間を通して極端に低いため、また赤道を挟む熱帯地域は年間を通して極端に高いため、1年の中で気温が上下しても生物の活動等に及ぼす変化があまり大きくない。そのため、住民にとっても植生の変化や動物の活動などの季節変化が比較的少なく感じられ、夏が無い、あるいは冬が無いとされたりする。一方で中緯度にある温帯や冷帯では、1年の中の気温の変化域が生物活動の変化と対応している部分が多いため、季節変化が感じられやすい。
季節変化という観点に立てば、熱帯地域では四季は感じられにくいほか、高緯度の地域では生物の活動に好適な温暖な期間が短いため、その移行期間としての春や秋が区別しがたい。これは文化的・気候学的な定義であり、天文学的には太陽高度(日照角度)の変化をもとに、地域に関係なく(北半球・南半球の区分はあるが)四季を定義している。
極地域、特に北極圏や南極圏では夏には白夜、冬に極夜となり日照時間の変化は非常に激しいが、年間を通して太陽高度が低いため、日照時間で考えるほど気温の変化は大きくない。
一方、赤道付近では日照時間の変化が小さいが、年間を通して太陽高度が高く、かつ熱帯では気温差の小さい均質な気団が横たわっているため、気温の変化は非常に小さく、ほとんど無いに等しい。いわゆる常夏の状態。ただし、四季とは関係の薄い雨季、乾季という変化が起こる場合もある。
また、緯度が高くなるにつれて、内陸にあるほど気温変化が大きく海洋に近いほど小さい、という海陸分布の影響を強く受ける傾向がある。
四季が顕著ではっきりと区別できるのは、中緯度にあって、かつ気団の勢力変化が大きい地域(おもに内陸や大陸辺縁部)である。例えば、日本は概ね北緯25度から45度に位置し、小笠原気団(夏)、シベリア気団(冬)、オホーツク海気団(梅雨)、揚子江気団(春、秋)という複数の気団の影響を受ける。
日本の一年間の四季とそれに伴う人々の営み
春
日本では3月上旬頃までは北日本や山間部を中心に余寒(よかん)と呼ばれる冬の寒さが残り、まだ降雪と積雪や路面凍結も残る。初春の3月中旬から気温は急激に上がり北日本と山間部を除いて、気温は16~20℃まで上がりポカポカ陽気で暖かくなる。冬枯れの雑草が緑色に変色し若草が生え、樹木に新芽が出始める。 また冬の各季節現象が終わりを告げ、雪が完全に止む終雪、霜が降りなくなる終霜、氷が張らなくなる終氷の時期ともなり、春の訪れを感じさせるようになる。ただし、年によっては寒気の南下や南岸低気圧の影響で季節外れの遅い降雪や凍結になることがある。また、北日本や北信越を中心に春分以降つまり桜開花後も寒の戻り等で降雪が観測される年もある。
そして、3月後半の春休みの時期には南日本からサクラの花が咲き始め、徐々に日本列島を北上する。桜前線という言葉もあり、各地の開花状況が細かく伝えられる。桜は日本を代表する花の一つで、3月中旬から4月前半にかけては日本各地で花見と呼ばれる行事が行われる。 日本ではこの季節は会計年度替わりの時期でもあり、人事異動や入学・入社・卒業が各学校と各企業で行われ、その過程にある者は慌しい日々を送る事になる。
春本番の仲春から晩春の4月から5月前半にかけてはチューリップ、ツツジ、フジ等といった多種多様な春の花が咲き始め、樹木・雑草が緑で青々とし始める新緑の時期となる。この時期は気候が穏やかで一年の中では最も過ごしやすく快適な季節となる5月になると田で田植えが始まる、快適な気候と4月末から5月上旬まで大型連休(GW)が重なるために旅行・レジャー・屋外活動などを活発に行う人が多い。
ゴールデンウィーク終了後の5月中旬となると、春の季節は終わりを告げ初夏に移行する。 樹木の緑はさらに濃さを増し深緑となり、バラの花が咲き誇る。北日本や山間部も含め桜の季節は完全に終わりとなり、関東以西では平年値の最高気温で25℃以上の夏日が長続きするようになるため、半袖の服装でも過ごせるようになる。そのため、衣服を冬服から夏服に衣替えする習慣がある。
夏
日本の夏は湿度が高い。本州以南の地域ではとても蒸し暑くなるのが特徴である。日中の気温はおおむね30~35℃程度だが、ヨーロッパ地域の夏に比べ湿度が高いため気温以上に体感気温が高く感じやすい。なお湿度が高い理由は太平洋高気圧によるもので、太平洋上から蒸発した水蒸気が高気圧に混じり高湿度の状態で日本列島をすっぽり覆うために起こる。ここ数年では地球温暖化現象により7月になると猛暑日と呼ばれる最高気温が35℃以上の日が続くようになり、内陸部や都市部を中心に稀に40℃以上の危険な暑さになることもある。
夏は初夏・梅雨・盛夏・晩夏の四つの節に分けられる。5月中旬から梅雨入りするまでは初夏と呼ばれる。気温は24~30℃、湿度は盛夏ほど高くなく過ごしやすいと言える。初夏になると植物は繁茂し始め、動物類は餌を求め活発に動き回るようになる。6月になると北海道と東北の一部を除く地域で梅雨と呼ばれる季節が訪れる。梅雨は平均して6月中頃から7月中頃まで約1か月程続く。梅雨の期間は湿度が高くジメジメとして、気温が高い場合は蒸し暑さがあるため不快指数が高い。カビや腐敗菌が繁殖する季節でもある。また、多雨な季節であるため洪水やがけ崩れなどの自然災害が頻発する季節でもある。多雨での被害も多いのだが、梅雨の季節に雨が少ないとダムなどの貯水設備に十分な水量が貯まらなくなり渇水となる場合がある。渇水となると稲作や市民生活に影響が出る。
梅雨の季節が終わると盛夏 つまり真夏となる。気温は東北地方以南の地域では35℃以上の猛暑日が多く涼を求めて海水浴を楽しむ人も多くなる。また暑さにより熱中症で倒れる人も少なくない。それ故に日本の夏の暑さを防ぐには古来から様々な知恵が用いられてきた。古い木造家屋に見られる茅葺屋根や土壁、畳、高床式の構造などは夏の暑さを和らげる為に考え出されたものであるとされる。他にはうちわや扇子、風鈴、すだれなども夏の暑さを和らげるために用いられてきた。昨今では冷房のために扇風機をはじめ、クーラーやエアコンなどが活躍している。
盛夏は8月中旬のお盆頃を境に晩夏へと移行する。なお、お盆の時期には都会から故郷へ帰省する人達が多い、そのため新幹線や飛行機は帰省ラッシュと呼ばれる社会現象が起きる。晩夏になると夏休みも終盤である。猛暑日が減り、最高気温も30℃前後かそれ以下となり比較的過ごしやすくなる。晩夏は8月下旬から9月上旬頃までとされている場合も多い。
秋
日本では9月上旬頃まで残暑(ざんしょ)と呼ばれる夏の暑さがまだ残り、まだ真夏日・猛暑日・熱帯夜も残る。9月中旬頃になると気温と湿度が下がりはじめ、初秋となる。この時期は、大きな台風が上陸しやすい季節でもあり、9月末から10月初め頃まで台風の上陸で大きな被害を受けるところもある。
9月下旬から11月上旬にかけては秋本番の仲秋で、人々の間で秋は涼やかな季節であるため、レジャーや小旅行を行う者が多い季節である。また秋の季節は学問の秋、食欲の秋、スポーツの秋などと呼ばれており、人々の活動が一年の内で最も活発な時期となる。学校では10月から11月にかけて文化祭、9月から10月にかけては運動会と言った学校行事が盛んに行われている。
11月になると朝の冷え込みが一段と厳しくなり北日本から次第に紅葉の季節となる。日本の紅葉はカエデ・ハゼなどの赤く染まる落葉樹が多いのが特徴で、ヨーロッパやアメリカなど黄色一色で染まる紅葉とは異なり、色とりどりの鮮やかな紅葉を見せる。
11月も中旬になり「晩秋」の時期になると、北日本や日本海側・山間部や内陸部では冬の訪れが早く、最低気温が初めて氷点下まで下がり初雪が降り始める。落葉樹の樹木は紅葉が見ごろを過ぎて落葉し始め、荒涼とした枯れ枝のみの茶色い冬枯れになる。動物や虫類が冬眠に入るようになる。また、関東以西でも西日本の太平洋側と南西諸島を除く太平洋側の地域にその冬初めて氷が張り、霜が降りる初氷と初霜と言った冬の季節現象が観測されるようになる。
秋の漢字は、中国の『春秋公羊伝』に確認され、旧い中国の国名である周の正月を意味した。それは、農耕民族の収穫の時期である。
冬
冬は日本海側や内陸部の中央高地、関東より北の地域で雪の降る季節となり、ほぼ毎日気温が0℃以下の冬日や真冬日になる。降雪の厳しいところでは、2~3mもの雪が積もる地域もある。一方、関東以西の太平洋側では、山間部や内陸を除くと冬は比較的穏やかで、雪も数回ほど見舞われる程度で、気温もそれほど低くはならない。空気も乾燥しており、晴れた日も多い。12月に入ると東海地方以西の太平洋側でもその冬初めて雪が降る初雪が観測されるようになり、北日本や日本海側の豪雪地帯では、積雪が溶けにくくなり根雪になる。
初冬の11月後半から12月25日にかけてはクリスマスの時期で、イルミネーションが12月25日のクリスマス当日まで飾られ、クリスマスソングが街のあちこちで流れる。12月24日はクリスマスイブで…(書きかけ)しかし、翌日26日以降は急激に一変し正月の日本古来の飾りへと変貌する。 1か月以上続いたクリスマスの時期が終わり、正月となると8月中旬の「お盆」に次いで…なお、正月の時期には都会から故郷へ帰省する人達が多い、そのため新幹線や飛行機は帰省ラッシュと呼ばれる社会現象が起きる。正月は日本の伝統的な年中行事の一つでもある。 テンプレート:節stub
正月明けの1月6日ごろの小寒から1月20日ごろの大寒を経て、2月4日ごろの立春までは、一年で最も寒い時期の「真冬」となる。寒さのピークであり、太平洋側の平野部でも雪を降らせるような寒波が断続的に流れ込み、日本海側や北日本では大雪の日が多い。特に北海道内陸(十勝支庁・釧路支庁・上川支庁など)や北日本山間部、中央高地(長野県や山梨県)の日本アルプスなどでは-20℃未満の極寒で、危険な寒さに見舞われることがある。北日本や山間部や内陸部ではほぼ毎日、最高気温0℃以下の真冬日に見舞われ、太平洋側の平地でも気温は4~10℃と寒く、日差しが弱く冷たい風が吹くため、晴れても暖かさは感じられない。
2月に入り、2月3日は節分の当日で、翌4日の立春以降は冬の終わりである「晩冬」の時期となる。この時期になると冬日や真冬日が減り、気温は太平洋側平野部では10℃前後、北日本ではほとんど真冬日から開放され、厳しい寒さだった真冬に比べると寒さが和らぎ比較的過ごしやすくなる。日差しが強くなり、日差しの下では暖かさを感じられるようになる。そして南日本から梅が咲き出す。また春一番の嵐が吹き荒れてくる。また、東北から関東地方にかけての太平洋側の降雪が最も多い時期でもあり、この時期に多く発生する南岸低気圧によって雪を降らせている。この時期、学校・会社・官公庁では年度末や学年末または決算期に該当する。また、入学・卒業や人事異動や新生活がそれぞれ行われる直前でもある。そのため、当該一年間を振り返ったり、まとめの授業や活動をするなど3月以降の春または新年度や人事異動などの準備に向けて忙しくなり、当該一年間が終わる。晩冬は2月中旬から3月上旬頃までとされている場合も多い。
四季をテーマにした作品
音楽作品
- 箏曲 『四季』作曲者不明 筑紫箏の曲。
- 箏曲 『四季の曲』 八橋検校作曲 箏組歌。
- 箏曲 『四季源氏』 八橋検校作曲 箏組歌。
- 箏曲 『四季の組』 作曲者不明 箏組歌。
- 箏曲 『四季の富士』 三橋検校作曲 箏組歌。
- 地歌・箏曲 『四季の眺め』松浦検校作曲・八重崎検校箏手付。四季の美しい景色を詠んだ手事物地歌曲。松浦の四つ物 (四大名曲) のひとつ。
- 地歌・箏曲 「四季の寿」 幾山検校作曲 手事もの地歌曲。
- 山田流箏曲 「四季の遊び」 山登松齢作曲
- 山田流箏曲 『四季の調』今井慶松作曲 箏二重奏器楽曲。
- 箏曲 『四季の柳』宮城道雄作曲
- 箏曲 『奈良の四季』宮城道雄作曲
- 長唄 『四季の山姥』 11代杵屋六左衛門作曲
- 長唄 『四季の詠 (ながめ)』12代杵屋六左衛門作曲
- 長唄 『京の四季』四世 松島庄十郎作曲
- 清元節 『四季三番叟』二世清元斎兵衛作曲
- ヴァイオリン協奏曲集『四季』 ヴィヴァルディ
- ピアノ曲集『四季』 チャイコフスキー - 12曲からなるピアノ曲集。1月から12月にちなんだ曲名がつけられている。
- バレエ音楽『四季』 グラズノフ - ロシアの作曲家の作品らしく、冬から始まっている。
- オラトリオ(声楽曲)『四季』 ハイドン
- 『春の交響曲』 ゴトコフスキー - 春、秋、冬、夏の4つの楽章からなる。
- 滝廉太郎が作曲した歌曲集『四季』 - 「花」「納涼」「月」「雪」の4曲で構成される。
- 『四季の歌』作詞・作曲:荒木とよひさ
文学作品
- 五木寛之の連作小説。「四季・奈津子」「四季・波留子」「四季・布由子」「四季・亜紀子」の4部から成る。
- 森博嗣の連作小説。『春』『夏』『秋』『冬』の4部から成る。『すべてがFになる』の主要キャラクター、真賀田四季を巡る物語。
- 有栖川有栖らによる競作小説『まほろ市の殺人』。「春」「夏」「秋」「冬」の4作から成る。