室蘭本線
- 川、隧道は主要なものを掲載
- 隧道延長の#は下り、*は上り
- 岩見沢駅キロ程の#は旧線経由
|} 室蘭本線(むろらんほんせん)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線(幹線)である。
北海道山越郡長万部町の長万部駅から、室蘭市、苫小牧市等を経て岩見沢市の岩見沢駅を結ぶ本線と、室蘭市の東室蘭駅から室蘭駅までを結ぶ支線からなる。
概要
長万部駅と岩見沢駅の両端で函館本線と接続している路線であり、長万部駅 - 苫小牧駅間では海沿いを、苫小牧駅 - 岩見沢駅間では内陸部を走る。
現在、全線を通して運転される旅客列車は無い。長万部駅から千歳線と接続する沼ノ端駅までの間は札幌駅発着の特急列車が多く経由する区間となっており、札幌市と函館市とを結ぶ動脈の一部となっている。このうち室蘭駅 - 東室蘭駅 - 沼ノ端駅間は交流電化されている。一方、沼ノ端駅 - 岩見沢駅は優等列車の運転が無く、ローカル輸送が中心となっている。日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車は支線を除く全線で運転されている。
線内の白老駅 - 沼ノ端駅間 28.736 km の区間は日本最長の鉄道直線区間である(分岐器付帯曲線などがあり、同区間で軌道が直線とは限らない)。
苫小牧駅 - 沼ノ端駅間は千歳線と合わせてIC乗車カード「Kitaca」の利用可能エリアとなっている。
路線データ
- 管轄(事業種別)・区間(営業キロ)
- 駅数:48(起終点駅含む)
- 信号場数:1
- 軌間:1067 mm
- 複線区間:総計176.7 km(単線・複線の別は駅一覧も参照)
- 長万部駅 - 洞爺駅 41.5 km
- 有珠駅 - 長和駅 4.9 km
- 稀府駅 - 三川駅 118.2 km
- 由仁駅 - 栗山駅 5.1 km
- 室蘭駅 - 東室蘭駅 7.0 km
- 電化区間:室蘭駅 - 沼ノ端駅 74.9 km(交流20,000 V・50 Hz)
- 閉塞方式:自動閉塞式(CTC・PRC)
- 最高速度:
長万部駅 - 礼文駅間が北海道旅客鉄道函館支社、大岸駅 - 岩見沢駅間が本社鉄道事業本部の管轄である。
歴史
歴史的には北海道炭礦鉄道によって建設され、鉄道国有法により国有化された室蘭 - 岩見沢間と、その後国有鉄道長輪線(おさわせん・ちょうりんせん)として建設された長万部 - 東輪西(現在の東室蘭)間に分かれる。
1928年(昭和3年)9月に現在のルートが全通すると、樺太への連絡のために運行されていた急行列車が、従来の函館本線・札幌駅経由から、速達性を優先して札幌を通らず当路線を経由するルートに変更された。9年後の1937年(昭和12年)6月に従来の函館本線経由に戻されたものの、その歴史的経緯から長万部駅 - 岩見沢駅間には1958年(昭和33年)まで、当路線と函館本線の間で運賃計算上の経路特定区間が設定されていた(函館本線経由でも当路線経由で運賃を計算)。
1960年(昭和35年)から15年計画で行なわれた蒸気運転全廃に向けた動力近代化計画では、室蘭本線岩見沢 - 沼ノ端間および非電化区間としては特急・貨物列車の本数が多い東室蘭 - 長万部間も電化計画に含まれていたが、石炭輸送衰退の影響で函館本線五稜郭 - 長万部間と共に現在でも実現していない。
室蘭 - 岩見沢間
北海道炭礦鉄道
- 1892年(明治25年)8月1日:室蘭駅(現在の東室蘭駅) - 岩見沢駅間が開業。この区間に室蘭駅(現在の東室蘭駅)、幌別駅、登別駅、白老駅、苫小牧駅、追分駅、由仁駅を新設。
- 1893年(明治26年)7月1日:栗山駅を新設。
- 1894年(明治27年)
- 8月1日:早来駅を新設。
- 10月1日:清真布駅(現在の栗沢駅)を新設。
- 1897年(明治30年)
- 2月16日:敷生駅(現在の竹浦駅)、三川駅を新設。
- 7月1日:室蘭駅(現在の東室蘭駅)を輪西駅に改称。同時に、室蘭駅 - 輪西駅間を延伸開業し、この区間に室蘭駅を新設。
- 1898年(明治31年)2月1日:錦多峰駅(現在の錦岡駅)、沼ノ端駅を新設。
- 1901年(明治34年)12月1日:鷲別駅を新設。
- 1902年(明治35年)
- 1903年(明治36年)4月21日:志文駅を貨物駅から一般駅に変更。
- 1905年(明治38年)6月21日:貨物駅として御崎駅を新設。
国有鉄道(官設鉄道)
- 1906年(明治39年)10月1日:北海道炭礦鉄道を買収、室蘭駅 - 岩見沢駅間が官設線となる。
- 1907年(明治40年)12月25日:知床信号所(現在の萩野駅)・社台信号所を新設。
- 1909年(明治42年)
- 1910年(明治43年)12月29日:室蘭駅 - 輪西駅間を複線化。
- 1912年(明治45年)4月1日:知床貨物駅を一般駅に変更。
- 1917年(大正6年)6月1日:小糸魚信号所(現在の糸井駅)・一本松信号所(苫小牧駅 - 沼ノ端駅間)を新設。社台貨物駅を一般駅に変更。
- 1920年(大正9年)
- 1921年(大正10年)10月4日:遠浅駅 - 追分駅間を複線化。
- 1922年(大正11年)
- 4月1日:小糸魚信号所を信号場に変更。
- 6月1日:御崎貨物駅を一般駅に変更。
- 1926年(大正15年)
- 1928年(昭和3年)
長万部 - 東室蘭間(長輪線)
- 1923年(大正12年)12月10日:長万部駅 - 静狩駅間 (10.6 km) が長輪線として開業。この区間に静狩駅を新設。
- 1925年(大正14年)8月20日:輪西駅 - 伊達紋別駅間が長輪東線として開業。この区間に伊達紋別駅、稀府駅、黄金蘂駅(現在の黄金駅)、本輪西駅を新設。同時に、長万部駅 - 静狩駅間の長輪線を長輪西線に線名改称。
- 1928年(昭和3年)9月10日:静狩駅 - 伊達紋別駅間が延伸開業し、長輪西線・長輪東線を併せて長輪線とする。延伸開業区間に礼文駅、小鉾岸駅(現在の大岸駅)、弁辺駅(現在の豊浦駅)、虻田駅(現在の洞爺駅)、有珠駅、長流駅(現在の長和駅)を新設。
統合後
- 1931年(昭和6年)
- 4月1日:長万部駅 - 岩見沢駅間と東輪西駅(現在の東室蘭駅) - 室蘭駅間を区間統合し、室蘭本線とする(長輪線を室蘭本線に編入し、東輪西駅 - 室蘭駅間を支線とする)。
- 9月1日:東輪西駅を東室蘭駅に改称。
- 1934年(昭和9年)7月1日 室蘭駅 - 東室蘭駅間でガソリンカー運転開始[3]。
- 1935年(昭和10年)
- 4月1日:小鉾岸駅を大岸駅に、弁辺駅を豊浦駅に改称。
- 12月29日:母恋駅を新設。
- 1942年(昭和17年)4月1日:敷生駅を竹浦駅に、知床駅を萩野駅に改称。
- 1943年(昭和18年)
- 1944年(昭和19年)
- 7月5日:追分駅 - 三川駅間を複線化。
- 10月1日:本輪西駅 - 東室蘭駅間を複線化。豊住信号場(現在の豊泉駅)、伊達舟岡信号場(現在の北舟岡駅)、陣屋町信号場を新設。
- 1945年(昭和20年)
- 4月20日:鳥伏信号場を新設。
- 8月1日:北入江信号場を新設。
- 1946年(昭和21年)4月1日:古山信号場、栗丘信号場を駅に変更。
- 1947年(昭和22年)11月1日:鳥伏信号場を廃止。
- 1948年(昭和23年)7月1日:北入江信号場を仮乗降場に変更。伊達舟岡信号場を廃止。
- 1949年(昭和24年)
- 9月1日:清真布駅を栗沢駅に改称。
- 9月15日:豊住信号場を仮乗降場に変更。
- 1950年(昭和25年)9月10日:錦多峰駅を錦岡駅に改称。
- 1952年(昭和27年)11月15日:黄金蘂駅を黄金駅に改称。
- 1953年(昭和28年)
- 1954年(昭和29年)9月26日:錦岡駅 - 小糸魚駅間を複線化。
- 1955年(昭和30年)11月1日:崎守町仮乗降場(現在の崎守駅)を新設。
- 1956年(昭和31年)4月1日:小糸魚信号場を糸井駅に改称、変更。
- 1957年(昭和32年)
- 9月30日:白老駅 - 錦岡駅間を複線化。
- 11月30日:萩野駅 - 白老駅間を複線化。
- 1958年(昭和33年)11月10日:竹浦駅 - 萩野駅間を複線化。
- 1959年(昭和34年)10月1日:長流駅を長和駅に改称。
- 1960年(昭和35年)
- 5月10日:室蘭駅 - 西室蘭駅 (1.4 km) の貨物支線が開業。この区間に(貨)西室蘭駅を新設。
- 10月1日:豊住仮乗降場を豊泉駅に改称、変更。
- 1961年(昭和36年)10月1日:志文駅 - 岩見沢駅間に岩見沢操車場を経由する貨物線を単線で増線し単線併設とする。一本松臨時信号場(苫小牧駅 - 沼ノ端駅間)を新設。
- 1962年(昭和37年)11月1日:虻田駅を洞爺駅に改称。
- 1963年(昭和38年)
- ?月?日:一本松臨時信号場を廃止。
- 9月30日:北舟岡信号場を新設。
- 1964年(昭和39年)
- 7月5日:静狩駅 - 小幌信号場間を複線化。
- 9月29日:小幌信号場 - 礼文駅間を複線化。
- 9月30日:北入江仮乗降場を信号場に変更。
- 1965年(昭和40年)11月1日:北吉原駅を新設。
- 1967年(昭和42年)10月1日:小幌信号場を仮乗降場に変更。
- 1968年(昭和43年)
- 1969年(昭和44年)
- 1970年(昭和45年)
- 6月30日:豊浦駅 - 洞爺駅間を複線化。
- 8月1日:陣屋町駅を旅客駅から貨物駅に変更。
- 1975年(昭和50年)
- 1978年(昭和53年)10月3日:陣屋町駅 - 本輪西駅間を複線化。
- 1980年(昭和55年)10月1日:室蘭駅 - 東室蘭駅 - 沼ノ端駅間を電化 (74.9 km)。これに伴い、これまで室蘭駅 - 苫小牧駅 - 岩見沢駅間での直通運転が基本の運転体系から、室蘭駅 - 苫小牧駅間(- 千歳線方面)と苫小牧駅 - 岩見沢駅間を基本とした運転体系に改められる。
- 1981年(昭和56年)3月5日:室蘭駅 - 沼ノ端駅間と千歳線をCTC化。
- 1984年(昭和59年)2月1日:沼ノ端駅 - 岩見沢駅間で大半の客車列車が気動車化されたことにより、旧型客車の運転終了(残ったのは、午前の下り追分駅発小樽駅行き及び室蘭駅発岩見沢駅行きと、午後の下り岩見沢駅発室蘭行き及び小樽駅発追分駅行きの2往復の50系51形客車のみ)。夕張駅 - 追分駅 - 岩見沢駅 - 札幌駅のルートで1往復のみ運転されていた普通列車のルート変更(夕張駅 - 追分駅 - 千歳空港駅 - 札幌駅)にともない、追分駅 - 岩見沢駅間で1往復の減便(午前の下りおよび夜間の上り)。
- 1985年(昭和60年)3月14日:室蘭駅 - 西室蘭駅 (1.4 km)の貨物支線を廃止。この区間の(貨)西室蘭駅を廃止。御崎駅 - 室蘭駅間の貨物営業を廃止。苫小牧駅 - 岩見沢駅間で夜の上り列車1本を削減(この時点で現在のこの区間の運転本数となった)。
- 1986年(昭和61年)11月1日:東室蘭駅 - 御崎駅間の貨物営業を廃止。北入江信号場を廃止。沼ノ端駅 - 岩見沢駅間で最後まで残っていた客車列車を気動車化し、同時にこの区間から函館本線直通列車の運転取り止め。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、北海道旅客鉄道が第一種鉄道事業者として、日本貨物鉄道が第二種鉄道事業者として承継する。旭浜仮乗降場、小幌仮乗降場、北舟岡信号場を駅に変更。
- 1988年(昭和63年)11月3日:青葉駅を新設。
- 1990年(平成2年)4月23日:栗山駅 - 栗丘駅間の栗山トンネル崩壊により、旧・下り線を廃止、単線化。
- 1992年(平成4年)7月:沼ノ端駅 - 室蘭駅間PRC導入[4]。
- 1994年(平成6年)
- 1997年(平成9年)10月1日:室蘭駅の移設に伴い、母恋駅 - 室蘭駅間を改キロ (-1.1 km)。
- 1998年(平成10年):岩見沢駅 - 沼ノ端駅間PRC導入[4]。
- 2000年(平成12年)
- 2006年(平成18年)3月18日:旭浜駅を廃止。
- 2007年(平成19年)10月1日:長万部駅 - 沼ノ端駅間で駅ナンバリングを実施。
- 2008年(平成20年)10月25日:IC乗車券Kitacaを苫小牧駅 - 沼ノ端駅間で導入。サービス開始。
複線化による路線変更
室蘭本線では、複線化と同時に勾配緩和や急曲線緩和目的で別線建設により路線変更や複線化が行われた区間が存在する。旧路線の路盤や廃トンネルは、現在線を走行中の列車車窓から目視確認できるものも多い。この節では、大規模なものについて記述する。
- 静狩駅 - 礼文駅間
- この区間の地形は、険しい山が海岸に迫る形となっており、既設線もトンネル区間が大多数を占めている。複線化は単線新設により行われた。静狩駅 - 小幌駅間は、既設線の山側に2本のトンネルを含む単線が新設され、既設線が上り線、新設線が下り線とされた。小幌駅 - 礼文駅間は、既設線の海側に1本のトンネルを含む単線が新設され、既設線が下り線、新設線が上り線とされた。
- 礼文駅 - 大岸駅間
- この区間の既設線は、急峻な地形による急曲線、線路に面する断崖からの落石、海岸に面する護岸の風化、トンネル出口にある見通しの悪い踏切など、障害の多い区間であった。そのため、障害の回避を兼ね、複線を新設することとなった。既設線の山側に2本のトンネルを含む複線が新設され、既設線は廃止された。これにより、路線延長が約100 m 短縮されることとなった。のちに、既設線の路盤の一部と2本のトンネルが、並行する道路の代替として道路に転用された。
- 大岸駅 - 豊浦駅間
- この区間の既設線は、海沿いの急峻な地形を避けるため、大きく山側に迂回するルートを通っていた。急曲線や勾配が連続する区間でもあったため、海沿いに2本のトンネルを含む複線を新設することとなった。これにより、路線延長が約1.6 km 短縮されることとなった。既設線は廃止され、既設線にあった豊泉駅も同時に廃止された。
- 豊浦駅 - 洞爺駅間
- この区間の既設線は、海岸線に沿って建設されたため、急曲線が多く地山の崩壊の危険性もあった。そのため、複線化と同時に別線新設より改良を行うこととなった。まず、既設線の山側に4本のトンネルを含む単線が新設され、路線切り替えと共に既設線が廃止された。その後、廃止された既設線の路盤の一部を利用して、5本のトンネルを含む上り線用単線が新設された。これにより、最初に新設された単線を下り線として使用、複線となった。
- 黄金駅 - 陣屋町駅間
- この区間の既設線は、S字形で遠回りであったために、複線化と同時に直線化することとなった。既設線の線形の中央を貫くように、4本のトンネルを含む複線が新設され、路線延長が約400 m 短縮されることとなった。この区間にあった崎守駅は、既設新線の既設線との立体交差付近に移転された。陣屋町駅 - 崎守駅間の既設線の一部は、貨物線に転用された。
- 陣屋町駅 - 本輪西駅間
- この区間の既設線は、海岸に沿った急曲線があったため、複線化と同時に直線化を行うこととなった。1本のトンネルを含む複線が新設され、路線延長が約400 m 短縮されることとなった。
運行形態
広域輸送
長万部駅 - 東室蘭駅 - 苫小牧駅・沼ノ端駅間では、函館からの函館本線、札幌への千歳線とともに、函館駅 - 札幌駅間を結ぶ幹線ルートとして多くの特急列車のほか、急行列車や本州直通の貨物列車が運転されている。この区間と千歳線は一体的にダイヤが組まれており、本来千歳線は札幌市の白石駅が起点であるが、苫小牧方面を「上り」としている。また、函館本線の長万部駅 - 小樽駅間の通称「山線」に対する呼称として「海線」と呼ばれることがある。
電化区間の末端となる東室蘭駅 - 室蘭駅間では、札幌への特急「すずらん」が普通列車として乗り入れている。
そのほか、苗穂工場への検査のため電化・非電化区間を通し、ディーゼル機関車の牽引による函館地区に配置されている海峡線用の電車・電気機関車の回送列車も運転されている。
当線は長万部駅 - 東室蘭駅間と沼ノ端駅 - 岩見沢駅間が非電化であり、また当線に接続する幹線鉄道も札幌都市圏以外は非電化路線がほとんどであるため、当線を含む道内の貨物列車は津軽海峡線をのぞきすべてDF200形およびDD51形ディーゼル機関車が牽引する(DD51形の定期運用は2014年4月で終了)。なお、当線の貨物駅はすべて電化区間上にあるが、貨物駅構内は着発線を含めすべて非電化である。
地域輸送
おおむね、「長万部駅 - 東室蘭駅間」・「東室蘭駅 - 室蘭駅間」・「東室蘭駅 - 苫小牧駅間」・「苫小牧駅 - 岩見沢駅間」に運行系統が分かれている。また1日1.5往復、苫小牧駅 - 長万部駅間を通して運行する列車もある(2012年10月27日改正時点)。
長万部駅 - 東室蘭駅間
長万部駅 - 東室蘭駅間では、この区間通しの列車のほか、豊浦駅・洞爺駅・伊達紋別駅 - 東室蘭駅・室蘭駅間の区間列車がある。小幌駅は通過する列車がある。普通列車はワンマン運転を行っている。特急の運行が多い。1980年の沼ノ端駅 - 室蘭駅間の電化以降も非電化で、一部区間で単線のままである。
室蘭駅 - 東室蘭駅 - 苫小牧駅間
東室蘭駅 - 室蘭駅間では、この区間のみの運転のほか、長万部方面や苫小牧方面の列車が乗り入れる設定もある。また特急「すずらん」(過去には急行「ちとせ」)がこの区間では普通列車となっており、区間列車を補完している。7時台の一部の列車は「すずらん」用の785系および789系電車を間合い運用で使用している。
東室蘭駅 - 苫小牧駅間では、この区間を直通する列車のほか、室蘭駅・東室蘭駅 - 登別駅間や、萩野駅・糸井駅 - 苫小牧駅間で区間列車がある。1日1往復、札幌駅 - 東室蘭駅間で運転される、苗穂運転所の入出庫を兼ねた長距離普通列車がある。
2012年10月27日のダイヤ改正までは、苫小牧駅発着の東室蘭・室蘭方面の列車は大半が電車(711系)での運行であったものの、同ダイヤ改正にて気動車列車に置き換えとなり、東室蘭駅 - 室蘭駅間の特急用車両使用列車をのぞくと苫小牧駅 - 室蘭駅間の普通列車はすべて気動車使用のワンマン運転となった[5]。なお同ダイヤ改正以前は、711系電車での運行列車もワンマン運転は実施していなかった。
苫小牧駅 - 岩見沢駅間
苫小牧駅 - 岩見沢駅間は、かつては内陸部の産炭地から太平洋岸の港まで石炭を運び出すための路線として重要視されており、運炭列車のために重軌条化された複線区間であった。石炭産業が衰退した現在では、札幌を通らないことや、栗山駅で接続していた夕張鉄道の廃線に伴い、千歳線列車の乗り入れのある苫小牧駅 - 沼ノ端駅間(特急「すずらん」も相互で利用可能)をのぞけば普通列車のみの運転であり、3 - 4時間ほど間隔の空く時間帯もある。その一方で、本州・道南方面と道北・道東方面を結ぶ貨物列車や貸切列車は、距離を短縮しつつ運行本数の多い札幌圏を避けられるルートとしてこの区間を今も活用し続けている。
2012年10月27日改正時点で、岩見沢駅発着で苫小牧駅を越えて糸井駅までの乗り入れる列車が1日1往復存在するほか、石勝線に乗り入れる列車が下りのみ(糸井駅 → 追分駅 → 夕張駅)1日1本設定されている。沼ノ端駅で千歳線と直通する列車をのぞき、ワンマン運転である。
この区間では、1975年12月14日に国鉄最後の蒸気機関車牽引による定期旅客列車(室蘭発岩見沢行き、225列車)が運行された。牽引機には現在鉄道博物館に収蔵されているC57形135号機が充当された。
大部分が複線のままであるが、栗山駅 - 栗丘駅間は1990年4月に下り線のある栗山トンネルの明かり区間の一部が上部の法面と共に崩落したため、そのまま廃止(単線化)された。踏切などでレールが撤去されているが、大半は道床・レールともにそのまま残されている。現在使われている新栗山トンネルは、下り線とやや離れた位置に、上り線用の単線トンネルとして1969年に開通したものである。
志文駅 - 岩見沢駅間は、開通当初からの距離の短い線路と、1961年に完成した旧・岩見沢操車場を通る距離の長い貨物線が、それぞれ双方向運転可能な単線として存在していたが、貨物輸送の終了に伴い休止となっていた貨物線を1994年11月に復活のうえ旅客線に転用、本来の線路を廃止して再び単線となった。 テンプレート:-
使用車両
現在の使用車両
特急・急行列車
- 気動車
- 電車
- 客車
このほか、札幌ドームでのイベント終了後に運行される札幌 - 室蘭方面の臨時特急に183系気動車が使用される。
普通列車
気動車のみワンマン運転対応。
- 電車
- 気動車
過去の使用車両
特急列車
急行・準急列車など
- 気動車
- 客車
普通列車
- 電車
- 711系
- 室蘭駅 - 東室蘭駅 - 苫小牧駅間の普通列車に使用された。2012年10月26日まで千歳線直通列車にも使用されていたため、一部は苫小牧駅 - 沼ノ端駅間でも運転されていた。
- 711系
駅一覧
- 駅名 … (貨):貨物専用駅、◆・◇:貨物取扱駅(貨物専用駅を除く。◇は定期貨物列車の発着なし)
- 停車駅
- 線路 … ∥:複線区間、◇・|:単線区間(◇は列車交換可能)、∨:ここより下は単線、∧:ここより下は複線
- 全駅北海道内に所在
本線
長万部 - 沼ノ端間において駅ナンバリングが設定されているが、駅ナンバリング順ではなく、長万部駅から下り方向に記述。駅ナンバリングの詳細については「北海道旅客鉄道の駅ナンバリング」を参照。
電化/非電化 | 駅番号 | 駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 接続路線 | 線路 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
非電化 | H47 | 長万部駅 | - | 0.0 | 北海道旅客鉄道:函館本線 | ∥ | 山越郡 長万部町 |
H46 | 静狩駅 | 10.6 | 10.6 | ∥ | |||
H45 | 小幌駅▽ | 6.9 | 17.5 | ∥ | 虻田郡 豊浦町 | ||
H44 | 礼文駅 | 6.1 | 23.6 | ∥ | |||
H43 | 大岸駅 | 4.1 | 27.7 | ∥ | |||
H42 | 豊浦駅 | 8.4 | 36.1 | ∥ | |||
H41 | 洞爺駅 | 5.4 | 41.5 | ∨ | 虻田郡 洞爺湖町 | ||
北入江信号場 | - | 44.5 | ◇ | ||||
H40 | 有珠駅 | 5.1 | 46.6 | ∧ | 伊達市 | ||
H39 | 長和駅 | 4.9 | 51.5 | ∨ | |||
H38 | 伊達紋別駅 | 3.0 | 54.5 | ◇ | |||
H37 | 北舟岡駅 | 2.9 | 57.4 | ◇ | |||
H36 | 稀府駅 | 3.2 | 60.6 | ∧ | |||
H35 | 黄金駅 | 4.5 | 65.1 | ∥ | |||
H34 | 崎守駅 | 2.2 | 67.3 | ∥ | 室蘭市 | ||
(貨)陣屋町駅 | 2.4 | 69.7 | ∥ | ||||
H33 | 本輪西駅◆ | 3.0 | 72.7 | ∥ | |||
交流電化 | H32 | 東室蘭駅 | 4.5 | 77.2 | 北海道旅客鉄道:室蘭本線支線(室蘭方面) | ∥ | |
(貨)東室蘭駅 | 1.0 | 78.2 | ∥ | ||||
H31 | 鷲別駅 | 0.9 | 79.1 | ∥ | 登別市 | ||
H30 | 幌別駅 | 7.7 | 86.8 | ∥ | |||
H29 | 富浦駅 | 5.5 | 92.3 | ∥ | |||
H28 | 登別駅 | 2.4 | 94.7 | ∥ | |||
H27 | 虎杖浜駅 | 3.4 | 98.1 | ∥ | 白老郡 白老町 | ||
H26 | 竹浦駅 | 4.8 | 102.9 | ∥ | |||
H25 | 北吉原駅 | 2.8 | 105.7 | ∥ | |||
H24 | 萩野駅◇ | 2.1 | 107.8 | ∥ | |||
H23 | 白老駅 | 5.8 | 113.6 | ∥ | |||
H22 | 社台駅 | 5.5 | 119.1 | ∥ | |||
H21 | 錦岡駅 | 6.3 | 125.4 | ∥ | 苫小牧市 | ||
H20 | 糸井駅 | 5.2 | 130.6 | ∥ | |||
H19 | 青葉駅 | 2.2 | 132.8 | ∥ | |||
H18 | 苫小牧駅 | 2.4 | 135.2 | 北海道旅客鉄道:日高本線 | ∥ | ||
(貨)苫小牧貨物駅 | 3.4 | 138.6 | ∥ | ||||
H17 | 沼ノ端駅 | 5.4 | 144.0 | 北海道旅客鉄道:千歳線[* 1] | ∥ | ||
非電化 | 遠浅駅 | 8.9 | 152.9 | ∥ | 勇払郡 安平町 | ||
早来駅 | 5.4 | 158.3 | ∥ | ||||
安平駅 | 5.7 | 164.0 | ∥ | ||||
K15 | 追分駅 | 6.8 | 170.8 | 北海道旅客鉄道:石勝線 | ∥ | ||
三川駅 | 8.0 | 178.8 | ∨ | 夕張郡 由仁町 | |||
古山駅 | 3.4 | 182.2 | ◇ | ||||
由仁駅 | 4.2 | 186.4 | ∧ | ||||
栗山駅 | 5.1 | 191.5 | ∨ | 夕張郡 栗山町 | |||
栗丘駅 | 4.2 | 195.7 | | | 岩見沢市 | |||
栗沢駅 | 3.9 | 199.6 | | | ||||
志文駅 | 4.3 | 203.9 | ◇ | ||||
A13 | 岩見沢駅 | 7.1 | 211.0 | 北海道旅客鉄道:函館本線 | ∧ |
- 追分駅 - 三川駅間で千歳市内を通るが、同市内に駅はない。
- 遠浅 - 志文の各駅(追分駅は除く)には駅番号が付番されていない。
支線
- 全区間複線・交流電化
- 全列車全駅に停車
- 全駅北海道室蘭市内に所在
駅番号 | 駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 接続路線 |
---|---|---|---|---|
H32 | 東室蘭駅 | - | 0.0 | 北海道旅客鉄道:室蘭本線(本線) |
M33 | 輪西駅 | 2.3 | 2.3 | |
M34 | 御崎駅 | 1.9 | 4.2 | |
M35 | 母恋駅 | 1.7 | 5.9 | |
M36 | 室蘭駅 | 1.1 | 7.0 |
廃駅
廃止区間内にあったものを除く。括弧内は長万部駅からの営業キロ。
廃止区間
- 貨物支線(1985年3月14日廃止)
- 室蘭駅 - 西室蘭駅 (1.4km)
過去の接続路線
- 虻田駅(現・洞爺駅):洞爺湖電気鉄道 - 1941年5月29日廃止
- 伊達紋別駅:胆振線 - 1986年11月1日廃止
- 登別駅:登別温泉軌道 - 1933年9月1日廃止
- 苫小牧駅:王子軽便鉄道(通称山線) - 1951年8月廃止
- 沼ノ端駅:富内線(旧線) - 1943年11月1日休止(実質廃止)
- 早来駅:早来鉄道線 - 1951年3月27日廃止認可
- 栗山駅:北海道炭礦汽船夕張鉄道線 - 1975年4月1日廃止
- 志文駅:万字線 - 1985年4月1日廃止
- 岩見沢駅:幌内線 - 1987年7月13日廃止
脚注
参考文献
- 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』 1995年8月号 No.609 p47-49
- JTBキャンブックス 『鉄道廃線跡を歩くVII』 ISBN 4-533-03376-8
関連項目
テンプレート:北海道旅客鉄道本社- ↑ 1.0 1.1 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
- ↑ テンプレート:PDFlink - 北海道旅客鉄道、2013年9月4日、2013年9月5日閲覧。
- ↑ 『鉄道省年報. 昭和10年度』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
- ↑ 4.0 4.1 『JRガゼット 2009年10月号』交通新聞社
- ↑ テンプレート:PDFlink - 北海道旅客鉄道、2012年8月3日。
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