カシオペア (列車)

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:列車名 テンプレート:Vertical images list カシオペアCassiopeia)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)、IGRいわて銀河鉄道青い森鉄道および北海道旅客鉄道(JR北海道)が上野駅 - 札幌駅間を東北本線いわて銀河鉄道線青い森鉄道線津軽海峡線津軽線海峡線江差線)・函館本線室蘭本線千歳線を経由して運行する寝台特別急行列車である。

概要

本州北海道を乗り換えなしで直結する寝台特急列車としては、すでに1988年昭和63年)から「北斗星」が、1989年平成元年)から「トワイライトエクスプレス」が運行されていた。これらの列車はいずれも高い支持を得ていたが、さらなる高水準のサービスを提供するフラグシップトレインとして、全客室を2名用A寝台個室とするなど、JR東日本が新規に製造したE26系客車を投入し、1999年(平成11年)7月16日から運行開始した。

全客室が2名用A寝台個室であり、他の寝台特急列車よりも高額な本列車専用の寝台料金が必要となるにもかかわらず、人気の高い列車で、時季を問わず寝台券は乗車日1か月前の発売開始とほぼ同時に売り切れることも多い。なお、本列車は後述するが毎日運転ではない臨時列車扱いであり、鉄道情報システム(JRシステム)が運営するJRグループ共通の予約状況検索サイトJRサイバーステーションでは検索対象外となっているため、代わりにJR東日本のウェブサイト「えきねっと」およびJR北海道の予約サイト[1]にて確認できるようになっている(外部リンク参照)。

列車名の由来

北斗七星と同様に北極星を見つけ出すためによく使われる星座であるカシオペア座に由来。「北斗星」と同様に上野駅 - 札幌駅間を往復する寝台特急列車であることから、それに因んで命名したといわれている。なお、正式名称決定前には、「新北斗星」「スーパー北斗星」といった仮称で呼ばれていた。

架線電圧変更と存続問題

北海道新幹線開業により青函トンネルを含む約82キロが新幹線と在来線の共用走行区間となり、架線電圧が在来線用の2万ボルトから新幹線用の2万5000ボルトへと変更される[2]。 この北海道新幹線開業に伴う青函トンネルの架線電圧の変更に伴い従来の電気機関車は使えなくなるため、夜行急行「はまなす」や寝台特急「北斗星」とともに‎2016年3月に予定されている北海道新幹線開業前に廃止となる公算が大きくなっているという見方もあり存続問題に関心が集まっている[3]

2014年8月、北海道、青森県、岩手県の幹部が国土交通省を訪れ寝台特急「カシオペア」や「北斗星」の存続をJR北海道などに働きかけるよう求める要望書を手渡した[2]

運行概況

E26系客車は1編成しかないため、原則として下りの上野発は火・金・日曜日、上りの札幌発は月・水・土曜日のみ運行される臨時列車である。ただし、春の大型連休や夏季、年末年始の繁忙期には、曜日に関わらず2日に1本の運行形態を採っている。また、毎年10月下旬から12月上旬にかけては車両の点検・整備のため運休となる。(2013年は運休はなかった)

列車番号は臨時列車のため8000番台が使用され、下りが8009、上りが8010である。

停車駅

上野駅 - 大宮駅 - 宇都宮駅 - 郡山駅 - 福島駅 - 仙台駅 - (一ノ関駅) - (盛岡駅) - 函館駅 - 森駅 - 八雲駅 - 長万部駅 - 洞爺駅 - 伊達紋別駅 - 東室蘭駅 - 登別駅 - 苫小牧駅 - 南千歳駅 - 札幌駅

使用車両・編成

牽引機関車

2013年現在使用される牽引機関車
ファイル:EF510-507+E26.JPG
EF510形「北斗星」塗装機牽引の「カシオペア」
(2012年10月2日 東北本線 赤羽-浦和)
上野駅 - 青森駅間で牽引。「カシオペア」専用塗色の車両があるが、「北斗星」塗色の車両とも共通運用(計15機のうち前者は2機のみ)のため、後者が充当される場合も多い。2010年6月25日の運用開始[4]当初は「北斗星」塗装機が先行して運用開始されていたが、同年7月23日より、「カシオペア」塗装機も使用されるようになった[5]
青森駅 - 函館駅間で牽引。
ファイル:Cassiopeia DD51 1143 20120904.jpg
函館駅 - 札幌駅間を牽引するDD51形重連の「カシオペア」
(2012年9月4日 室蘭本線 白老-社台
函館駅 - 札幌駅間で牽引。「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」同様、青を基調とした「北斗星色」塗色の車両が重連で牽引する。

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過去の牽引機関車
ファイル:JRE PC26 Cassiopeia 20070916 001.jpg
上野駅 - 青森駅間を牽引したEF81形
(2007年9月16日 宇都宮駅)
2010年6月24日まで上野駅 - 青森駅間で牽引。基本的に「カシオペア」専用塗色の79・92・99号機が限定使用されていた。その後も災害発生時などには突発的にEF510形の代走を務めることがある[6]

テンプレート:-

青森駅 - 函館駅間でED79形に代わって充当されることがあった。2001年に廃車された。

客車

2012年3月17日現在の編成図
カシオペア
テンプレート:TrainDirection
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
テンプレート:禁煙   テンプレート:禁煙 テンプレート:禁煙20px     テンプレート:禁煙 テンプレート:禁煙 テンプレート:禁煙 テンプレート:禁煙   テンプレート:禁煙
SU SU,DX D A2 A2 A2 A2 A2 A2 A2 A2 L EG
  • 青森駅 - 函館駅間は逆向き
凡例
SU=A寝台カシオペアスイート
DX=A寝台カシオペアデラックス
A2=A寝台カシオペアツイン
20px=カシオペアコンパートあり
D=ダイニングカー
L=ラウンジカー
EG=電源車
テンプレート:禁煙=禁煙車
ファイル:JR East E26 Suronefu-E26.JPG
機関車が札幌方面の場合の最後尾スロネフE26
(2008年4月29日 尾久駅 - 上野駅間)

車両構造等の詳細については、「JR東日本E26系客車」も参照。

JR東日本尾久車両センター配置のE26系客車12両編成で運行される。客車は全て2階建車両(12号車のラウンジカーのみハイデッカー構造)である。編成の向きは1号車が上野方、12号車が札幌方を基本とし、青森駅 - 函館駅間(津軽海峡線)では進行方向が変わり逆編成となる。12両編成のうち10両が客室であり、座席車はなく寝台車のみの設定である。また、寝台は全て2名用A寝台個室であり、開放式A寝台およびB寝台の連結はない。このほか、ダイニングカー(食堂車)を1両、ラウンジカーを1両連結している。喫煙可能なのは2号車・5号車・6号車・11号車で、その他の車両は全面禁煙である。

2000年代初めごろには、一名でも乗車できる特別企画乗車券「カシオペア シングルユース券」が発売されていた。その後2009年2月から4月まで上り列車限定で「カシオペアひとり利用券」が発売されていた。

客室設備
ファイル:Cassiopeia welcome.JPG
ウェルカムドリンクとミニバーセット

以下の設備・サービスが全客室に用意されている。

洗面台に電気シェーバー用の電源コンセント交流100V)が1口設置されており、携帯電話パソコン等の充電にも使える。

以上に加えて、「カシオペアスイート」と「カシオペアデラックス」には以下の設備・サービスも用意されている。

カシオペアスイート(展望室タイプ)
1号車の車端部に1部屋のみ存在する平屋構造の個室。上野発の下り列車では最後尾(進行方向が逆になる青森 - 函館間を除く)となる展望室である。ツインベッドのほか、展望部分にソファとテーブルを設置したリビングスペースがあり、専用のシャワーブースやクローゼットもある。1室のみであり、寝台券の確保は困難である。座席番号は「1号車1番個室」。寝台料金は1名あたり25,490円(購入時は2名分が必要なため50,980円)。その他、寝台料金に加え運賃特急料金も別途必要(以下全室同じ)
カシオペアスイート(メゾネットタイプ)
1・2号車にそれぞれ3室ずつ存在するメゾネットタイプ(重層方式)の個室。1階が寝室、2階がリビングスペースとなる。定員は2名であるが、2階のリビングスペースに補助ベッドを設置して3名で利用することもできる。専用シャワーブースと洗面台・トイレは2階にある。クローゼット付。座席番号は「1・2号車2 - 4番個室」。寝台料金は展望室タイプと同額。
カシオペアデラックス
2号車に1室のみ存在する平屋構造の個室。定員は2名であるが、補助ベッドを使用して3人で利用することもできる。専用シャワーブースやクローゼットもある。座席番号は「2号車1番個室」。寝台料金は1名あたり17,180円(購入時は2名分が必要なため34,360円)。
カシオペアコンパート
4号車に1室のみ存在する平屋構造の個室。車椅子に対応できるように客室や周辺の通路が広く作られている。原則として車椅子を必要とする利用者とその同伴者の2名利用に限り利用できる。車椅子対応のトイレ・洗面台はあるが、シャワーやクローゼットはない。座席番号は「4号車1番個室」(購入時は2名分が必要なため22,890円)。
カシオペアツイン(車端室タイプ)
4 - 6号車にそれぞれ1室、7 - 11号車にそれぞれ2室ずつ存在する平屋構造の個室。補助ベッドを使用して3名でも使用できる部屋もある。トイレ・洗面台はあるが、シャワーやクローゼットはない。座席番号は補助ベッド対応の部屋が「7 - 11号車1番個室」、補助ベッド非対応の部屋が「4 - 11号車2番個室」。寝台料金は1名あたり13,350円(購入時は2名分が必要なため26,700円)。
カシオペアツイン(車端室タイプを除く)
4 - 11号車にそれぞれ8室ずつ存在するスタンダードタイプの2階建構造の個室。平屋の通路から階段を昇り(降り)客室に入る。定員は2名で、補助ベッドはない。トイレ・洗面台はあるが、シャワーやクローゼットはない。座席番号は1階が「11 - 14番個室」、2階が「21 - 24番個室」。寝台料金は車端室タイプと同額。
共用設備
3号車:ダイニングカー(食堂車)
客席が2階、厨房が1階の2階建構造。フランス料理和食、軽食類などが用意される。JR東日本の飲食サービス子会社である日本レストランエンタプライズが営業を担当する。2012年3月より全面禁煙。
  • ディナータイム
フランス料理コース(7,800円)か懐石御膳(5,500円)のいずれかを選択できる。事前予約制で、乗車日3日前までにみどりの窓口で食事券を購入した乗客のみが利用できる。カシオペアスイートまたはカシオペアデラックスの乗客は、懐石御膳に限りルームサービスが可能。また、同様に事前予約制の特製「カシオペアスペシャル弁当」(3,500円)も用意されており、こちらは全ての乗客がルームサービスを受けられる。
  • パブタイム
ディナータイム終了後に軽食類を提供する営業時間帯で、ビーフシチューハンバーグなどのアラカルト、おつまみデザートアルコール類などを用意する。予約は不要で、全ての乗客が利用可能。
パブタイムはディナータイム終了後の案内放送から開始され、ラストオーダーは22時30分、営業終了は23時00分である。
  • モーニングタイム
6時30分より朝食メニュー(1,600円)が用意され、和食と洋食が選べる。予約は不要で、全ての乗客が利用可能。
  • その他
共用シャワー室の利用カードやシャワーセット、乗車記念グッズ・弁当・土産品などを販売する。
12号車:ラウンジカー
全ての乗客が利用できる。約20名が座れるソファや飲料自動販売機が用意されているほか、売店も設置。ハイデッカー構造の展望車となっており、この車両が最後尾となる札幌発の上り列車では(進行方向が逆になる函館 - 青森間を除く)後方眺望を楽しむことができる。全面禁煙。
床下(1階部分)は編成全体に電力を供給するディーゼル発電機を搭載している。機器メンテナンスの際には代替電源車としてカヤ27形501号が連結され、この場合は通常の電源車扱い(乗客は立入不可)となる。
その他設備
  • ミニロビー(5・9号車)
  • 共用シャワー(6・10号車)
シャワーのお湯は1名当たり延べ6分間使用可能。利用に際しては3号車ダイニングカーでシャワーカード(310円)の購入が必要。
  • 飲料自動販売機(5・9・12号車)
  • 共用トイレ(2・7・11号車)

付記

  • 本列車が発車する上野駅の13番線ホームには、E26系客車の車体をあしらった「五ツ星広場」と称する待ち合わせスポットが設置されており、本列車乗客のほか、同一ホームから発車する「北斗星」の乗客も利用できる。また1階の新幹線乗り換え改札に隣接して、1号車の「カシオペアスイート」展望室部分のモックアップが展示されていたが、すでに撤去されている。
  • フュージョンバンド、カシオペアのメンバーだった向谷実は、「カシオペア」の運行開始に際して、以前より交流があったJR東日本の関係者から「今度『カシオペア』という名前の列車が走るんだけど…」と、列車名についての相談を受けたと語っている[7]。名前の使用に関して問題ないことがわかり、鉄道ファンでもある向谷は快諾、そして列車にイメージを得て作曲した「Lucky Stars」という楽曲をアルバム『MATERIAL』に収録した。上野駅と札幌駅で開催された「カシオペア」運行開始一周年イベントでは、ゲスト出演したカシオペアがこの曲を生演奏している。テンプレート:要出典

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:JR北海道の優等列車 テンプレート:東京対北関東優等列車

テンプレート:現存する夜行列車
  1. JR北海道の予約サイトでは、座席日と乗車予定駅を選択すると、カシオペアスイートを含む各個室を予約が可能となっている。
  2. 2.0 2.1 テンプレート:Cite news
  3. テンプレート:Cite news
  4. 寝台特急"カシオペア"をEF510-501が牽引 - 『鉄道ファン交友社 railf.jp鉄道ニュース 2010年6月25日
  5. EF510-509が"カシオペア"を牽引 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2010年7月23日
  6. "カシオペア"と"北斗星"がう回運転 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2010年7月19日
  7. ただしバンド名の綴りは「CASIOPEA」なのに対して、列車名は「CASSIOPEIA」と差異がある。