教育委員会

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テンプレート:国際化 テンプレート:出典の明記 教育委員会(きょういくいいんかい、テンプレート:Lang-en)は、教育に関する事務をつかさどる行政委員会である。

アメリカ合衆国

テンプレート:節スタブの教育に関する事務を掌る。

カナダ

テンプレート:節スタブ

カナダは英語フランス語を公用語とする2言語国家なので、ケベック州アルバータ州オンタリオ州など多くの州で、個々の教育委員会はいずれか1言語の教育のみを管轄する。たとえばケベック州には、11の英語の教育委員会と、62のフランス語の教育委員会がある[1]

日本

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教育委員会の組織モデル図

概要

日本の教育委員会は、教育に関する事務を管理執行するために、地方公共団体都道府県市町村特別区一部事務組合)に置かれる行政委員会である[2][3]。教育における地方自治、教育行政の一般行政からの独立などの原理を体現する。ただし、教育委員会は、文部科学大臣地方公共団体の長都道府県知事市区町村長)、地方議会、より広域のレベルの教育委員会(市区町村教育委員会に対する都道府県教育委員会など)から、様々な法的・政治的な干渉を受けている。

教育委員会に関しては、主に地方自治法地方教育行政の組織及び運営に関する法律(略称:地方教育行政組織運営法、地方教育行政法、地行法など)に定められる。

教育委員会には、その権限に属する事務を処理させるため事務局が設置される(地行法18条1項)。教育委員会の事務局は、都道府県では教育庁、一部の市では教育局と呼称される。本来の「教育委員会」は、数人の教育委員から成る合議制の行政委員会を指す(狭義の教育委員会)が、合議制機関に事務局も併せた組織全体を「教育委員会」と呼ぶこともある(広義の教育委員会)。

  • 地方自治法昭和22年法律第67号)
    第180条の8 教育委員会は、別に法律の定めるところにより、学校その他の教育機関を管理し、学校の組織編制、教育課程、教科書その他の教材の取扱及び教育職員の身分取扱に関する事務を行い、並びに社会教育その他教育、学術及び文化に関する事務を管理し及びこれを執行する。
  • 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第2条
    (この法律の趣旨)
    第1条 この法律は、教育委員会の設置、学校その他の教育機関の職員の身分取扱その他地方公共団体における教育行政の組織及び運営の基本を定めることを目的とする。
    (基本理念)
    第1条の2 地方公共団体における教育行政は、教育基本法(平成18年法律第120号)の趣旨にのつとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
    (設置)
    第2条 都道府県、市(特別区を含む。以下同じ。)町村及び第23条に規定する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合に教育委員会を置く。

2013年(平成25年)9月現在、教育委員会の数は、都道府県に47、政令指定都市に20、市町村に1720(広域連合・共同設置を含み、一部事務組合を含まない。)である[4]

組織

委員と委員会

教育委員会は、5人の委員をもって組織される(地行法3条)。ただし、設置する地方公共団体の規模によっては、条例の定めるところにより、3人または4人とすることや、6人以上とすることもできる(同条ただし書)。委員は、非常勤の特別職地方公務員である(地行法11条4項、地方公務員法3条3項1号)。

委員は、地方公共団体の長(首長)が、議会の同意を得て、任命する(地行法4条1項)。委員の任命資格は、「当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化…に関し識見を有するもの」となっている。また、「破産者復権を得ない者」、「禁錮以上の刑に処せられた者」のいずれかの欠格事由に該当する場合には、任命することができない。さらに、委員は、地方公共団体の議会の議員若しくは長、地方公共団体に執行機関として置かれる委員会の委員若しくは委員又は地方公共団体の常勤の職員若しくは地方公務員法28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占める職員と兼ねることができない(兼職禁止、地行法6条)。

その他、委員の構成について、委員の定数の2分の1以上の者が同一の政党に所属することとなってはならないことや(同条3項)、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮すること、委員のうちに保護者親権を行う者及び未成年後見人)である者が含まれるようにしなければならないなどの定めがある(同条4項)。

委員の任期は4年で、再任されることができる(地行法5条)。委員は、心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認める場合又は職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合(地行法7条1項)、半数以上の委員が同一政党に所属することとなった場合(同条2項・3項)には罷免されるが、これらの場合を除き、その意に反して罷免されることはない(身分保障、同条4項)。 委員は、欠格事由に該当するに至つた場合や、首長の被選挙権を有する者でなくなつた場合には失職し(地行法9条)、首長及び教育委員会の同意を得て、辞職することができる(地行法10条)。

委員には、解職請求(リコール)の制度がある(地方自治法13条3項)。首長の選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、その総数の3分の1[5]以上の者の連署をもつて、その代表者から、首長に対し、委員の解職を請求することができる(地行法8条1項)。教育委員の解職請求については、地方自治法のリコールに関する規定が準用される(同条2項)。

委員には、守秘義務が課せられ(地行法11条1項、2項・3項)、政党等の役員就任や積極的な政治運動が禁じられる(同条5項)。また、委員は、その職務の遂行に当たつては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、地行法1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。

委員長

教育委員会は、委員のうちから、委員長を選挙する(地行法12条1項)。委員長の任期は1年で、再選されることができる(同条2項)。委員長は、教育委員会の会議を主宰し、教育委員会を代表する(同条3項)。委員長は教育長と兼ねることはできない(同条1項、地行法16条2項)。

教育長と事務局

教育委員会には、教育長が置かれる(地行法16条1項)。教育長は、委員のうちから、教育委員会が任命する(同条2項)。教育長は、委員としての任期中在任する(同条3項)。教育長は委員長と兼ねることはできない(地行法12条1項、16条2項)。

教育長は、教育委員会の指揮監督の下に、教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる(地行法17条1項)ほか、教育委員会のすべての会議に出席し、議事について助言する(同条2項)。

教育委員会には、その権限に属する事務を処理させるため、事務局が置かれる(地行法18条1項)。事務局の内部組織は、教育委員会規則で定められる(同条2項)。教育長は、事務局の事務を統括し、所属の職員を指揮監督する(20条1項)。

事務局には、指導主事社会教育主事その他の職員が置かれる(地行法19条1項・2項、社会教育法9条の2第1項)。事務局の職員は、教育長の推薦により、教育委員会が任命する(同条7項)。指導主事は、上司の命を受け、学校(学校教育法1条に規定する学校。いわゆる一条校)における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する(同条3項)。指導主事は、教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならない(同条4項)。指導主事は、大学以外の公立学校(地方公共団体が設置する学校)の教員(教育公務員特例法2条2項に規定する教員)をもつて充てることができる(充て指導主事)。

職務権限

教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づいて、教育に関する事務を管理し、及び執行する(地行法25条)。

委員会の職務権限

教育委員会は、地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する(地行法23条)。

  1. 教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の設置、管理及び廃止に関すること。
  2. 学校その他の教育機関の用に供する財産(教育財産)の管理に関すること。
  3. 教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること。
  4. 学齢生徒及び学齢児童の就学並びに生徒、児童及び幼児の入学、転学及び退学に関すること。
  5. 学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。
  6. 教科書その他の教材の取扱いに関すること。
  7. 校舎その他の施設及び教具その他の設備の整備に関すること。
  8. 校長、教員その他の教育関係職員の研修に関すること。
  9. 校長、教員その他の教育関係職員並びに生徒、児童及び幼児の保健、安全、厚生及び福利に関すること。
  10. 学校その他の教育機関の環境衛生に関すること。
  11. 学校給食に関すること。
  12. 青少年教育、女性教育及び公民館の事業その他社会教育に関すること。
  13. スポーツに関すること。
  14. 文化財の保護に関すること。
  15. ユネスコ活動に関すること。
  16. 教育に関する法人に関すること。
  17. 教育に係る調査及び基幹統計その他の統計に関すること。
  18. 所掌事務に係る広報及び所掌事務に係る教育行政に関する相談に関すること。
  19. 前各号に掲げるもののほか、当該地方公共団体の区域内における教育に関する事務に関すること。

教育委員会規則の制定

教育委員会は、法令又は条例に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、教育委員会規則を制定することができる(地行法14条)。

首長提出議案に対する意見の申出

委員会は、地方公共団体の長が、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分その他特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、意見を申出ることができる(地行法29条)。

予算案の作成と予算の執行

教育委員会には、予算案作成権や予算案を議会に提出する権限、予算を執行する権限はない。教育委員会に関する予算案は、首長が作成し、地方議会に提出する。ただし、首長は、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならない(地行法29条)。議会に提出された予算案は、審議を経て議会が議決する(地方自治法96条1項2号)。予算を執行する権限は首長にある(地方自治法149条2号、地行法24条5号)。

教育長への事務の委任

教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その権限に属する事務の一部を教育長に委任し、又は教育長をして臨時に代理させることができる(地行法26条1項)。ただし、次に掲げる事務は、教育長に委任することができない(同条2項)。

  1. 教育に関する事務の管理及び執行の基本的な方針に関すること。
  2. 教育委員会規則その他教育委員会の定める規程の制定又は改廃に関すること。
  3. 教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の設置及び廃止に関すること。
  4. 教育委員会及び教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること。
  5. 教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価等に関すること。
  6. 教育に関する予算案作成や議会に提出する議案の作成に先立つ意見の申出に関すること。

首長の職務権限

なお、地方公共団体の長は、次の各号に掲げる教育に関する事務を管理し、及び執行する(地行法24条)。

  1. 大学に関すること。
  2. 私立学校に関すること。
  3. 教育財産を取得し、及び処分すること。
  4. 教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶこと。
  5. 前号に掲げるもののほか、教育委員会の所掌に係る事項に関する予算を執行すること。

また、地方公共団体の長は、次の各号に掲げる教育に関する事務のいずれか又はすべてを管理し、及び執行することとすることができる(地行法24条の2)。

  1. スポーツに関すること(学校における体育に関することを除く。)。
  2. 文化に関すること(文化財の保護に関することを除く。)。

教育機関

地方公共団体は、法律で定めるところにより、学校、図書館博物館公民館その他の教育機関を設置するほか、条例で、教育に関する専門的、技術的事項の研究又は教育関係職員の研修、保健若しくは福利厚生に関する施設その他の必要な教育機関を設置することができる(地行法30条)。学校その他の教育機関のうち、大学は地方公共団体の長が、その他のものは教育委員会が所管する(地行法32条本文)。ただし、地方公共団体の長が管理し、及び執行することとされた事務のみに係る教育機関は、地方公共団体の長が所管する(同条ただし書き)。

学校には、法律で定めるところにより、学長校長園長教員、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く(地行法31条1項)。学校以外の教育機関に、法律又は条例で定めるところにより、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く(同条2項)。教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の職員は、この法律に特別の定がある場合を除き、教育長の推薦により、教育委員会が任命する(地行法34条)。また、職員の任免、給与、懲戒、服務その他の身分取扱に関する事項は、この法律及び他の法律に特別の定がある場合を除き、地方公務員法の定めるところによる(地行法35条)。学校その他の教育機関の長は、この法律及び教育公務員特例法に特別の定がある場合を除き、その所属の職員の任免その他の進退に関する意見を任命権者に対して申し出ることができる(地行法36条)。なお、大学附置の学校の校長が申し出る場合は、学長を経由する(同条)。

教育委員会は、法令又は条例に違反しない限度において、その所管に属する学校その他の教育機関の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取扱その他学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定める(地行法33条1項)。教育委員会は、学校における教科書以外の教材の使用について、あらかじめ、教育委員会に届け出させ、又は教育委員会の承認を受けさせることとする定を設ける(同条2項)。

市町村立学校の教職員

市町村立学校職員給与負担法1条及び2条に規定する職員(県費負担教職員)の任命権は、都道府県委員会に属する(地行法37条1項)。都道府県委員会は、市町村委員会の内申をまつて、県費負担教職員の任免その他の進退を行う(地行法38条1項)。学校の校長は、所属の県費負担教職員の任免その他の進退に関する意見を市町村委員会に申し出ることができる(地行法39条)。市町村委員会は、県費負担教職員の服務を監督する(地行法43条1項)。

学校運営協議会

教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その所管に属する学校のうちその指定する学校の運営に関して協議する機関として、当該指定学校ごとに、学校運営協議会を置くことができる(地行法47条の5第1項)。学校運営協議会の委員は、当該指定学校の所在する地域の住民、当該指定学校に在籍する生徒、児童又は幼児の保護者その他教育委員会が必要と認める者について、教育委員会が任命する(同条2項)。指定学校の校長は、当該指定学校の運営に関して、教育課程の編成その他教育委員会規則で定める事項について基本的な方針を作成し、当該指定学校の学校運営協議会の承認を得なければならない(同条3項)。

文部科学大臣及び教育委員会相互間の関係

文部科学大臣は都道府県委員会又は市町村委員会相互の間の、都道府県委員会は市町村委員会相互の間の連絡調整を図り、並びに教育委員会は、相互の間の連絡を密にし、及び文部科学大臣又は他の教育委員会と協力し、教職員の適正な配置と円滑な交流及び教職員の勤務能率の増進を図り、もつてそれぞれその所掌する教育に関する事務の適正な執行と管理に努めなければならない(地行法51条)。

文部科学大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県委員会は市町村に対し、都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うことができる(地行法48条1項)[6]。また、文部科学大臣は、都道府県委員会に対し、市町村に対する指導、助言又は援助に関し、必要な指示をすることができる(同条3項)。都道府県知事又は都道府県委員会は文部科学大臣に対し、市町村長又は市町村委員会は文部科学大臣又は都道府県委員会に対し、教育に関する事務の処理について必要な指導、助言又は援助を求めることができる(同条4項)。

文部科学大臣は、都道府県委員会又は市町村委員会の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反するものがある場合又は当該事務の管理及び執行を怠るものがある場合において、児童、生徒等の教育を受ける機会が妨げられていることその他の教育を受ける権利が侵害されていることが明らかであるとして是正を要求することができる(地行法49条)。

文部科学大臣は、都道府県委員会又は市町村委員会の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反するものがある場合又は当該事務の管理及び執行を怠るものがある場合において、児童、生徒等の生命又は身体の保護のため、緊急の必要があるときは、当該教育委員会に対し、当該違反を是正し、又は当該怠る事務の管理及び執行を改めるべきことを指示することができる(地行法50条本文)。ただし、この指示は、他の措置によつては、その是正を図ることが困難である場合に限られる(同条ただし書き)。

文部科学大臣又は都道府県委員会は、指導、助言、援助、協力などを行うため必要があるときは、地方公共団体の長又は教育委員会が管理し、及び執行する教育に関する事務について、必要な調査調査指示を行うことができる(地行法53条1項、2項)。また、文部科学大臣は地方公共団体の長又は教育委員会に対し、都道府県委員会は市町村長又は市町村委員会に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができる(地行法54条2項)。

教育委員会の広域化

教育委員会は、普通地方公共団体(都道府県、市町村)および特別区ごとに設置する場合が多い。しかし、小規模の教育委員会では十分な人的・物的体制を採ることが難しく、効率的な行政の面からも問題がある。そこで、複数の教育委員会が一部事務組合(地方自治法284条2項、地行法60条)や広域連合(同284条3項)などの特別地方公共団体、機関の共同設置(同252条の7)、協議会(同252条の2)、事務の委託(同252条の14)などの仕組みを用いて、広域化を図ることがある[7]

教育に関する一部事務組合・広域連合一覧

事務内容別の教育に関する一部事務組合・広域連合一覧(2004年(平成16年)6月1日現在)は、以下の通り[8]。一部事務組合は176、広域連合は1[9]、共同設置は7[10]である。

事務内容 一部事務組合・広域連合[11]
(カッコ内は都道府県)
組織数
 全部教育事務組合  蒜山教育事務組合(岡山)[12] 1
学校関係 十勝圏複合事務組合(北海道)[13]階上町南郷村田代小学校中学校組合(青森)、公立合川高等学校組合(秋田)、羽城中学校組合(秋田)、国見町・梁川町大枝小学校組合(福島)、利根沼田学校組合(群馬)、布施学校組合(千葉)、君津郡市広域市町村圏事務組合(千葉)[14][15]白倉小学校組合(富山)、細入村大沢野町学校組合(富山)、大門町・大島町中学校組合(富山)、公立小浜病院組合(福井)、牧丘町三富村中学校組合(山梨)、八代町境川村中学校組合(山梨)、中道町豊富村中学校組合(山梨)、長坂町外三町村高等学校組合(山梨)、河口湖南中学校組合(山梨)、小海町・北相木村・南相木村中学校組合(長野)、武石村・長門町中学校組合(長野)、辰野町・塩尻市小学校組合(長野)、塩尻市・辰野町中学校組合(長野)、本城村・坂北村中学校組合(長野)、麻績村・坂井村学校組合(長野)、松本市・山形村朝日村中学校組合(長野)、戸倉上山田学校組合(長野)、飯綱行政組合(長野)、岐阜市羽島郡柳津町中学校組合(岐阜)、東安中学校組合(岐阜)、養基小学校養基保育所組合(岐阜)、御嵩町兼山町中学校組合(岐阜)、美濃加茂市富加町中学校組合(岐阜)、御前崎町相良町学校組合(静岡)、相良・菊川町学校組合(静岡)、浅羽中学校組合(静岡)、三雲町・松坂市学校組合(三重)、多気町・松坂市学校組合(三重)、大台町・大宮町中学校組合(三重)、上野市・阿山町丸柱小学校組合(三重)、紀宝町・鵜殿村中学校組合(三重)、笠置町南山城村中学校組合(京都)、岩滝町宮津市中学校組合(京都)、加古川市高砂市宝殿中学校組合(兵庫)、南光町山崎町三土中学校事務組合(兵庫)、播磨高原広域事務組合(兵庫)、緑町洲本市小中学校組合(兵庫)、川西町三宅町・式下中学校組合(奈良)、御坊市・川辺町中学校組合(和歌山)、古座町・古座川町学校組合(和歌山)、羽合町泊村中学校組合(鳥取)、関金町倉吉市中学校組合(鳥取)、米子市日吉津村中学校組合(鳥取)、吉備高原都市学校事務組合(岡山)、笠岡市・矢掛町中学校組合(岡山)、総社市外二箇村中学校組合(岡山)、大原町・東粟倉村中学校組合(岡山)、(音戸町・倉橋町広域行政組合(広島)[16]瀬戸田町・因島市中学校組合(広島)、福山市・沼隈町中学校組合(広島)、神石町・三和町学校組合(広島)、庄原市・三次市学校組合(広島)、山本町観音寺市学校組合(香川)、北郷中学校組合(愛媛)、青石中学校組合(愛媛)、篠山小中学校組合(愛媛)、赤岡町吉川村中学校組合(高知)、日高村佐川町学校組合(高知)、古賀市外3ヶ町高等学校組合(福岡)、宝珠山小石原中学校組合(福岡)、久留米市外四市町高等学校組合(福岡)、吉富町外一市中学校組合(福岡)、築上東中学校組合(福岡)、塩田町・嬉野町小学校組合(佐賀)、玉名市横島町中学校組合(熊本)、鹿本郡鹿央町山鹿市中学校組合(熊本)、益城町及び御船町中小学校組合(熊本)、宮原町及び八代市中学校組合(熊本)、上津江村中津江村中学校組合(大分)、与勝事務組合(沖縄) 78
教育研修センター 石狩教育研修センター組合(北海道)、後志教育研修センター組合(北海道)、空知教育研修センター組合(北海道)、上川教育研修センター組合(北海道)、網走地方教育研修センター組合(北海道)、十勝圏複合事務組合(北海道)[17]中部上北広域事業組合(青森)[16]最上広域市町村圏事務組合(山形)、芳賀地区広域行政事務組合(栃木)[14]南那須地区広域行政事務組合(栃木)[14]岩船地域広域事務組合(新潟)[14]特別区人事・厚生事務組合(東京)[18]甘木朝倉広域市町村圏事務組合(福岡)、奄美群島広域事務組合(鹿児島)、南部広域行政組合(沖縄) 15
給食関係 江差町ほか2町学校給食組合(北海道)、奈井江・浦臼町学校給食組合(北海道)、北空知学校給食組合(北海道)、富良野地区学校給食組合(北海道)、利尻郡学校給食組合(北海道)、両湧別町学校給食組合(北海道)、丸瀬布町白滝村学校給食組合(北海道)、伊達・壮瞥学校給食組合(北海道)、中部上北広域事業組合(青森)[13]十和田地域広域事務組合(青森)、筑ろく地方学校給食組合(茨城)、石下・千代川学校給食組合(茨城)、本庄上里学校給食組合(埼玉)、騎西川里学校給食センター組合(埼玉)、飯岡町・海上町学校給食組合(千葉)、館山市・富浦町及び三芳村学校給食組合(千葉)、羽村瑞穂地区学校給食組合(東京)、春江・坂井町学校給食センター組合(福井)、川手学校給食共同調理施設組合(長野)、池田町・松川村学校給食協同調理施設組合(長野)、古川国府給食センター利用組合(岐阜)、焼津・大井川学校給食組合(静岡)、吉田町・榛原町広域施設組合(静岡)、宝飯南部学校給食組合(愛知)、加悦谷学校給食組合(京都)、藤井寺市柏原市学校給食組合(大阪)、中播北部行政事務組合(兵庫)、津名郡広域事務組合(兵庫)、三原郡広域事務組合(兵庫)、曽爾村御杖村行政一部事務組合(奈良)[14]英北学校給食組合(岡山)、音戸町・倉橋町広域行政組合(広島)[17]板野郡西部学校給食組合(徳島)、麻植学校給食組合(徳島)、美馬西部学校給食センター組合(徳島)、大三島地区衛生事務組合(愛媛)赤岡町吉川村学校給食センター組合(高知)、鏡・土佐山二村学校給食組合(高知)、嶺北広域行政事務組合(高知)、京築広域市町村圏事務組合(福岡)、北高地区給食衛生組合(長崎)、鹿町江迎給食衛生一部事務組合(長崎)、吾妻愛野学校給食組合(長崎)、佐敷町・知念村給食センター事務組合(沖縄) 44
社会教育関係 上北地方教育福祉事務組合(青森)、仙南地域広域行政事務組合(宮城)、黒川地域行政事務組合(宮城)、大崎地域広域行政事務組合(宮城)、栗原地域広域行政事務組合(宮城)、登米地域広域行政事務組合(宮城)、石巻地区広域行政事務組合(宮城)、気仙沼・本吉地域広域行政事務組合(宮城)、本荘・由利広域市町村圏組合(秋田)、北村山広域行政事務組合(山形)、南会津地方広域市町村圏組合(福島)、大宮地方広域組合(茨城)、土浦石岡地方社会教育センター一部事務組合(茨城)、稲敷地方広域市町村圏事務組合(茨城)、常総地方広域市町村圏事務組合(茨城)、芳賀地区広域行政事務組合(栃木)[13]塩谷広域行政組合(栃木)、那須広域行政組合(栃木)、南那須地区広域行政事務組合(栃木)[13]前橋広域市町村圏振興整備組合(群馬)、高崎市等広域市町村圏振興整備組合(群馬)、富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合(群馬)、吾妻広域市町村圏振興整備組合(群馬)、比企広域市町村圏組合(埼玉)、印西地区環境整備事業組合(千葉)、山武郡市広域行政組合(千葉)、長生郡市広域市町村圏組合(千葉)、君津郡市広域市町村圏事務組合(千葉)[17]小出郷体育館・福祉センター組合(新潟)、岩船地域広域事務組合(新潟)[13]甲府地区広域行政事務組合(山梨)、釈迦堂遺跡博物館組合(山梨)、可茂広域行政事務組合(岐阜)、桃沢少年自然の家組合(静岡)、豊田加茂広域市町村圏事務処理組合(愛知)、丹波少年自然の家事務組合(兵庫)、佐用郡広域行政事務組合(兵庫)、曽爾村御杖村行政一部事務組合(奈良)[16]東部広域行政管理組合(鳥取)、鳥取中部ふるさと広域連合(鳥取)、西部広域行政管理組合(鳥取)、浜田地区広域行政組合(島根)、柳井地区広域事務組合(山口)、小豆地区広域行政事務組合(香川)、田川市赤池町天郷青年の家組合(福岡)、壱岐広域圏町村組合(長崎)、西諸広域行政事務組合(宮崎) 47

上記の一覧作成時点(2004年(平成16年)6月1日)以後に設立または改廃された組織は以下の通り。

歴史

連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ/SCAP) 要請で、アメリカ合衆国からの教育使節団が、1946年(昭和21年)3月5日・7日に来日、同年3月30日に第一次アメリカ教育使節団報告書が提出され設置勧告をされた。そこで文部省は1948年(昭和23年)に教育委員会を設置した。この制度は、教育行政の地方分権、民主化、自主性の確保の理念、とりわけ、教育の特質に鑑みた教育行政の安定性、中立性の確保という考え方のもとに、教育委員会法によって創設された。地方自治体の長から独立した公選制・合議制の行政委員会で、予算・条例の原案送付権、小中学校の教職員の人事権を持ち合わせていた。

しかし、「教育委員選挙の低投票率、首長のライバルの教育委員への立候補・当選、教職員組合を動員した選挙活動」(文部科学省、2004年)などにより、教育委員会は発足直後から廃止が主張される。

1956年(昭和31年)には、教育委員会に党派的対立が持ち込まれる弊害を解消するため、公選制の廃止と任命制の導入が行われ(逆コースの一)、教育長の任命承認制度の導入、一般行政との調和を図るため、教育委員会による予算案・条例案の送付権の廃止を盛り込んだ地方教育行政法が成立した。教育行政に対する首長の影響力が増したといえる。

その後、教育委員会制度について政策レベルで現在につながる改革論議が公になされたのは臨時教育審議会(臨教審)だった。

テンプレート:Quotation

その上で、改革の方向性として、

  • 教育委員の人選・研修
  • 教育長の任期制・専任制(市町村)
  • 苦情処理の責任体制の確立
  • 適格性を欠く教員への対応
  • 小規模市町村の事務処理体制のあり方
  • 知事部局などとの連携

について提言している。

翌年には臨教審の流れを受けて「教育委員会の活性化に関する調査研究協力者会議」が発足し、教育委員会活性化方策が検討された。その内容は、

  1. 教育委員会の選任
  2. 教育長の選任(市町村教育長の専任化と教育長の任期制の導入)
  3. 教育委員会の運営
  4. 事務処理体制のあり方
  5. 地域住民の意向等の反映
  6. 首長部局との連携

といったものであり、これらの項目について具体策が提案された。この会議は、臨教審には無い「3. 教育委員会の運営」「4. 事務処理体制のあり方」「5. 地域住民の意向等の反映」など教育委員会の職務遂行上の実践的・日常的な運営について重点が移っている。市町村教育長の専任化と教育長の任期制の導入などの提案は、実現こそしなかったものの、地方教育行政の在り方に関する調査協力者会議や政府の地方分権推進委員会においても教育委員会の改革が検討された。

1996年(平成8年)からは地方分権推進委員会において検討が進められた。5次にわたる勧告において、委員会は、国と地方との関係について、機関委任事務の廃止と必置規制や補助金などの個別事項についての見直しに言及した。教育委員会関係では、教育長の任命承認制度の廃止、文部大臣と都道府県教委・市町村教委との関係の見直し等の勧告が出され、地方分権推進計画が閣議決定された。

翌年の1997年(平成9年)には「21世紀に向けた地方教育行政の在り方に関する調査研究協力者会議」が発足し、

  • 学校と教育委員会の関係
  • 国、都道府県、市町村の関係
  • 地域住民と教育委員会・学校との関係
  • 教育委員会の事務処理体制
  • 地域コミュニティの育成と地域振興

の柱に沿って地方教育行政制度の見直しに当たっての論点を整理した。

中教審自体も1998年(平成10年)に答申(「今後の地方教育行政の在り方について」)を行った。また、2000年(平成12年)の地方分権一括推進法成立による地方教育行政法の一部改正では、

  • 教育長の任命承認制度の廃止
  • 指導などに関する規定の見直し
  • 都道府県の基準設定の廃止

を行った。これにより、教育委員会の裁量で少人数学級の編成が可能になったり、教育長の選任は首長が任命した教育委員の中から行うようになったりした。

2000年(平成12年)の教育改革国民会議でも、

  • 教育委員の構成の多様化や保護者の参加
  • 会議の公開の原則

などを報告し、2年後の2002年には法改正も実現している。このように、教育行政改革は、内閣が直属の諮問機関を設け、主導する形で改革の方向性を示し、それを受けて、文科省・中教審が対症療法的に政策を検討する形で展開されている。

2006年7月、政府は、市町村の教育委員会に関する規制緩和で、文化・スポーツに関する事務などの権限を首長に移譲できる構造改革特区の設置をめざす方針を決め、「骨太の方針」(「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」、2006年)を閣議決定した。方針は、「教育委員会制度については、十分機能を果たしていない等の指摘を踏まえ、教育の政治的中立性の担保に留意しつつ、当面、市町村の教育委員会の権限(例えば、学校施設の整備・管理権限、文化・スポーツに関する事務の権限など)を首長へ移譲する特区の実験的な取組みを進めるとともに、教育行政の仕組み、教育委員会制度について、抜本的な改革を行うこととし、早急に結論を得る」とする。

しかしながら、滝川市立江部乙小学校いじめ自殺事件をめぐる教育委員会対応に対する世論の批判の高まりを受け、教育再生会議(のち教育再生実行会議)において、機能の強化を図ることが検討されている。

教育委員会制度改革の動向

教育委員会制度は以前からその形骸化が指摘され、活性化論と廃止・縮小論が展開されてきた。ここではその動向について述べる。

経済界・首長からの廃止・解体論

教育委員会の廃止解体・縮小を真っ先に強く主張したのが新自由主義的経済改革を推進する社会経済生産性本部(現: 日本生産性本部)であった。同会は、1999年(平成11年)に、『教育改革に関する報告書…選択・責任・連帯の教育改革』を発表。そのなかで、小中学校と高校が市町村と都道府県という別レベルの教育委員会に委ねられている意味がないことや、教育委員会が公選制でないために文部行政の末端となっていること、さらに、教育委員会の強大な権限と官僚的な組織が学校の主体性の発揮を阻害していることなど、現行の教育委員会制度を厳しく批判し、社会教育・生涯学習部門の可能な限りの民間委託と学校教育に関する権限の校長への移管により、教育委員会の大幅な整理縮小を大胆に主張した。

全国のいわゆる改革派市長からは、後に記すように、教育委員会制度の廃止解体・縮小論が公然と強く打ち出された。地方六団体の一つである全国市長会は、2001年(平成13年)、「学校教育と地域社会の連携強化に関する意見…分権型教育の推進と教育委員会の役割の見直し…」を発表し、「文部科学省を頂点とする縦系列のなかでの地域の自主的な活動の弱さ、学校教育関係者以外との接触の希薄さにともなう閉鎖的な印象、市町村長との関係のあり方など」の問題を指摘した。そのうえで、検討課題としながらも、教育委員会の任意設置や市長と教育委員会の連携強化、首長と教育委員または教育長との日常的な意見交換を提言した。生涯教育分野に関しては、「縦割り型ではなく、多方面からの総合的な対応が望ましいこと、このような分野に関しては、教育の政治的中立性確保といった理由から特に教育委員会の所管とすべき強い事情があるとも考えられない」として、市町村長の所管とすべきとしている。

実際、その2か月後の2001年4月には、島根県出雲市において、首長部局のなかに、文化財、芸術文化、スポーツ、図書館などの社会教育・生涯学習分野が移管された。これにより、教育委員会事務局は学校教育に特化される業務を担うこととなった。同様の動きは、愛知県高浜市群馬県太田市などほかの市にも広がっている。いわば、教育委員会の解体ないし縮小は、事実上進行しているといえる。

地方分権を推進する国からも声が挙がる。地方分権改革推進会議は、2004年(平成16年)に、「各地域の実情に応じて地方公共団体の判断で教育委員会制度を採らないという選択肢を認めるべき」と教育委員会の必置規制の弾力化を求める意見書を提出している。同会議は、「生涯学習・社会教育行政の一元化、幼保担当部局の一元化の観点から、地方公共団体がこれらの担当部局を自由に選択・調整できるようにすることが必要」とも述べ、地方分権時代の到来に備えた地方教育制度の新たな基盤整備の重要性を訴えている(「地方公共団体の行財政改革の推進等行政体制の整備についての意見」…地方分権改革の一層の推進による自主・自立の地域社会をめざして…)。

これを後押しする形で、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」が閣議決定され、そのなかでは、「地域の創意工夫を活かし、学校の自由度を高めるため、平成16年度内を目途に教育委員会の改革と合わせ、教育内容等に関する校長の権限強化と学校の外部評価の拡充に向けた方針を示す」ことが明示された。

教育ジャーナリストの中井浩一は、「教育界全体にあっては、改革にもっとも熱心なのは文科省」で、「市町村教育委員会の独自性を押さえ込んでいるのは都道府県教育委員会である」と指摘する。「その理由に挙げられるのが『全県一律』、『教育の機会均等の原則』、『地域格差をなくす』」というものである。しかし、『教育委員会の真実』の著者である角田裕育は、文科省をはじめ中央政界・官庁が教育委員会を中央集権に利用し、地方分権改革を阻んできたと指摘している。

行政学者の教育委員会制度廃止・縮小論

行政学者からも教育委員会制度廃止解体・縮小論が挙がる。伊藤正次は、『岩波講座 自治体の構想 機構』において、今後の教育行政改革のあり方について、 (1) 教育委員会活性化モデル、さらに、一般行政のなかにおける (2) 総合行政モデル、 (3) 保護者の学校選択制を基盤とした市場・選択モデルの3つのガバナンス・モデルにタイプ化し、教育行政の一般総合行政への統合に言及した。

第一の教育委員会活性化モデルとは、「従来の文部省統制の緩和を目指しつつも、制度の根幹には改革の手を加えず、むしろ、教育委員会の専門性を高め、自治体内部における教育委員会のプレゼンスを拡大することを指向」する。後述するように教育行政職・教職関係者を重用することで教育委員会の専門性を高めようとするもので、文部省のみならず教育学界や教職員関係者からも支持を得ている。

第二の一般総合行政モデルは、教育委員会が首長から相対的独立性を有している点を問題視し、「教育行政を直接公選の首長の下に置」き、「教育委員会を廃止して首長の補助機構としての部局に再編化する」ことである。文化・社会教育行政、学校教育行政の所管を自治体の自主性に委ねることにより、自治体住民の代表である首長が「住民のニーズに沿って総合的な教育施策を展開する」ことを意図している。

第三の市場・選択モデルは「教育行政機構自体の徹底的な分権化を指向する」。このモデルは、「学校に組織としての自律性を与え、同時に、親・子どもに学校を選択する権利を付与することで、公教育の供給をめぐる競争市場を創出することを提唱する」。市場・選択モデルは、「文部省統制と画一的学校管理からの脱却を目指して公教育に市場原理を導入するとともに、教育委員会から各公立学校に大幅な権限委譲を行い、教育委員会の機能を縮小ないし停止させる構想」である。

伊藤はこうして3つのガバナンス・モデルを提示したうえで、「教育委員会活性化モデルが、実際に教育委員会の活性化をもたらすかどうか」疑問を呈した。「教育委員兼任教育長が現状以上に主導権を握り、委員会審議がさらに形骸化する可能性があるなど、教育委員会の活性化をめざした改革が、教育委員会のさらなる形骸化を招く可能性がある」からとする。伊藤は、「都道府県・政令市から小規模町村まで一律に教育委員会が設置され、教育行政ネットワークが全国大に張り巡らされてきたこと」によって、「文部科学省を頂点とする中央集権的な指導助言のネットワークが、首長、議会あるいは住民の意思から遊離していく危険性」を指摘する。地方教育行政法の廃止と地方自治法の改正による教育委員会の必置規制の廃止、自治体が自らの判断で教育ガバナンスの形態を選択できるよう教育ガバナンスの多様化を主張している。

教育界における教育委員会活性化論

これに対し、教育委員会制度活性化論とは、教育委員会における議論が形骸化ないしは活性化しない現状を問題視する点では、教育委員会廃止・縮小論と一致するものの、これを改善し、活性化することによって、教育委員会の利用・存続は可能とする考え方である。教育関係団体をはじめ、教育法学者、教育行政学者から多く出されるものであり、その活性化策には次のようなものがある。

公選制の復活

教育委員会活性化のための方策として第一に主張されるのが公選制教育委員会の復活である。教育委員会に公選制を導入することにより、民主制と自主性を確保し、教育委員会の統制機能を高めていくことをねらいとするものである。

教育長の資格化と教育委員の研修の充実

教育委員会活性化方策として挙げられるもう一つの政策が教育長の教育職員免許状の設立と教育委員の研修の充実である。教育長を教育行政専門職として位置づけ、大学で養成することにより、教育の独立性の確保を狙いとする。

教育長の教育職員免許状の設立(以下、教育長の資格化という)は、校長・指導主事の免許状の設立とともに検討されている。黒崎勲は、教育長の資格化は、「首長に改革を委ねられる教育長の側には専門職としての倫理から、単に首長に従属するのではない独自の立場と責任が生じる」と述べる。そのうえで、黒崎は、教育長と教育委員、首長と教育委員会、首長と教育長との間にそれぞれチェック・アンド・バランスが働き、結果的に教育の政治的中立性と継続性・安定性を保証することになるとその意義を強調する。

教育委員の研修に関しては臨教審第二次答申で既に言及されている。そこでは、「教育委員が教育行政の運営に関しては、適切な判断・決定を行うためには、現行制度の理念、当面する教育・教育行政の諸課題についての深い理解と当事者としての自覚が必要であり、そのために教育委員の研修を改善・充実する必要がある」とある。答申を受けて各教育委員会では教育委員の研修に力を入れ、教育委員による教育と教育行政の統制という役割を高めようとしている。

都道府県教育委員会と市町村教育委員会の役割分担の明確化

教育委員会活性化のための方策として第三に検討されるのが、都道府県教育委員会と市町村教育委員会の役割分担の明確化である。これは、「都道府県教育委員会の役割を教育のさまざまな基準設定や条件整備といった狭義の教育行政に特化させ、幼稚園から高校および社会教育施設などの教育機関の管理・運営といったいわゆる教育経営を市町村教委に任せるというもの」(本多正人)である。

これは、アメリカの教育当局と公立学区教育委員会との関係を想定したものである。この役割分担は資源の優位性や私立学校法人に関する許認可権などをめぐる問題が改善され、市町村教育委員会が中等教育の完成まで責任を担うことで、教育委員にその責任を自覚させるという意識改革を促すことができるとする。

政策領域(職務領域)ごとの常設の専門委員会の設置

政策領域(職務領域)ごとの常設の専門委員会の設置は、「教育委員会が教育課程、教育経営などの主要な政策領域(職務領域)ごとに専門委員会を設置し、委員がその主要なメンバー(議長など)として参加する制度」(加治佐)である。委員会は、個別の政策立案はもとより、教育長・事務局の政策および行動を監視することを役割とする。

教職員人事や財源(予算)に関する権限の市町村教育委員会への移譲

前述の都道府県教育委員会と市町村教育委員会の役割分担論とも関連するが、教職員人事や財源(予算)に関する権限を都道府県(教育委員会)から市町村(教育委員会)に移譲することによって、教育行政がより住民に近いところで遂行されるようにし、学校や子どもに見合った教育を保障していくというのがこの主張である。

すでに、中教審は2004年5月に義務教育費にかかる経費の負担の在り方について中間報告を出し、市町村の権限と責任の拡大を検討している。具体的には、県費負担教職員制度の見直しと教職員給与負担と学級編成・教職員定数に係る権限の政令指定都市への移譲、市町村費負担教職員制度の全国化を認め、拡大する方向である。

学校へのサポート体制の強化

学校教育との関係においてサポート体制の強化を求める声は多い。学校が必要とする情報の提供、予算や人事についての柔軟な行政措置、学校に対する専門家チームの設置など、さまざまな提言がなされている。

政策評価システムの導入

教育長・事務局の評価の制度化については以前から導入が検討されているが、実現しない。しかし、こうした方法は、篠原清昭の指摘するように、「条件づけもしくは動機づけ」であって、活性化に何より求められるのは、教育委員の委員としての就任意欲、そして自覚と使命感、責任感ではないかとされる。

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. フランス語を学ぶ (FSL):はじめに - 在日カナダ大使館
  2. テンプレート:Cite
  3. 地方教育行政の組織及び運営に関する法律では、都道府県に置かれる教育委員会を都道府県委員会、市町村に置かれる教育委員会市町村委員会という(19条1項、2項)。
  4. テンプレート:Cite news
  5. その総数が40万を超え80万以下の場合にあつてはその40万を超える数に6分の1を乗じて得た数と40万に3分の1を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が80万を超える場合にあつてはその80万を超える数に8分の1を乗じて得た数と40万に6分の1を乗じて得た数と40万に3分の1を乗じて得た数とを合算して得た数。
  6. 技術的な助言及び勧告並びに資料の提出の要求には、同条によるもののほか、地方自治法245条の4第1項の規定によるものもある。
  7. テンプレート:Cite press release
  8. テンプレート:Cite press release
  9. 鳥取中部ふるさと広域連合(鳥取)のみ。
  10. 桃生郡河北地区教育委員会(宮城)、羽島郡四町教育委員会(岐阜)、氷上郡、加東郡、佐用郡教育委員会(兵庫)、隠岐島後教育委員会(島根)、和気郡北部教育委員会(岡山)の7。
  11. 事務内容が複数にわたる場合は、重複掲載がある。
  12. 岡山県真庭郡(旧)八束村・(旧)川上村の2村で作る全部教育事務組合の教育委員会。2005年3月に2村が他の7町村と合併して真庭市となったため、蒜山教育事務組合立の1中学校・2小学校はいずれも真庭市立となった。
  13. 13.0 13.1 13.2 13.3 13.4 教育研修センターにあり。
  14. 14.0 14.1 14.2 14.3 14.4 社会教育関係にあり。
  15. 千葉県の木更津市君津市富津市袖ケ浦市の4市で作る君津郡市広域市町村圏事務組合の教育委員会。君津地方視聴覚教材センターを設置・管理する。1969年の設立当初は木更津市と君津郡富来田町袖ケ浦町平川町小櫃村上総町君津町小糸町清和村富津町大佐和町天羽町の12市町村であった。
  16. 16.0 16.1 16.2 給食関係にあり。
  17. 17.0 17.1 17.2 学校関係にあり。
  18. 同組合に特別区人事・厚生事務組合教育委員会が設置されている。幼稚園教育職員に関する事務の一部を担当している。
  19. 1969年の設置当初は川島町岐南町笠松町柳津町の4町
  20. なお、佐用郡教育委員会は、1966年に日本で初めて共同設置された教育委員会である。