アップルシード

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タイトルはアメリカの開拓時代のリンゴ農園民話『ジョニー・アップルシード物語』より。キャラクターや設定の各所にギリシア神話由来の名前が使われている。

OVA版が1988年4月21日に発売され、映画版が2004年4月17日(APPLESEED 2004)、2007年10月20日(EX MACHINA)劇場公開された。

2011年6月より、全13話からなる新シリーズ「アップルシード XIII」がスタート。ブルーレイ、DVDで発売される他、配信が決定している。劇場リミックス版が2011年6月13日より公開される。

概要

物語は化学兵器生物兵器も使用された第5次非核大戦[1]を生き抜いたデュナン・ナッツと、全身をサイボーグ化したデュナンの恋人であるブリアレオスの活躍を描いた近未来サイエンスフィクション作品。

22世紀。世界は2125年に勃発した第5次世界大戦を経て荒廃し、第4次世界大戦後から北大西洋アゾレス諸島カナリア諸島の間に密かに建設が進められていた人工島オリュンポスに設置された総合管理局が台頭、世界をその影響下に置いている。2127年、第5次世界大戦の終戦を知らずに逃亡生活を続けていたデュナンと戦闘サイボーグであるブリアレオスは、ヒトミと名乗る少女に終戦の知らせと”オリュンポス”への招待を受け、総合管理局の内務省部隊、ESWAT(ESpecialy Weapon And Tactics)に所属して対テロ作戦などに加わる。その中で巨大な計画、旧大国の策謀が明らかになっていく。

「データブック」によると『攻殻機動隊』と同じ時間軸上の話[2]であり、日本の近海に存在する人工島を本社とした企業国家ポセイドン[3]が両作に登場する。

あらすじ

第五次大戦後、国家や情報網は破壊され尽くし、デュナンとブリアレオスは廃墟となった無人都市を転々としながら流浪の日々を送っていた。他にどれぐらい人間が生き残っているのかも分からない状況の中、突然来訪した若い女性・ヒトミによってオリュンポスへの移住を持ちかけられる。最初はこの誘いを疑う二人だったが、警察官 (SWAT) として復職できる望みから、オリュンポス入りした二人を待っていたのは、戦後世界とは信じられないほど、清潔かつ高度で豊かな都市だった。

人類がついに建設した理想郷・オリュンポスでは、人口の半分を人為的にコントロールされて生まれた人間、バイオロイドが占め、人間同士の無用な衝突を避ける緩衝剤として機能しており、人間とバイオロイドの関係性が精妙に描かれている。デュナンとブリアレオスは“ゲスト”としてオリュンポスで暮らし始め、やがて特殊部隊の隊員として“復職”する。

しかし理想郷に見えたこの都市も、人の業を脱することはまだ出来てはおらず、様々な問題を抱えていた。戦争の後遺症とも言えるテロリズム、オリュンポス行政院と立法院の対立、他国との駆け引き、ライフサイエンス解禁によって科学技術が人や社会の在り様にまで干渉する。2人は都市を巡る様々な思惑や陰謀に巻き込まれていく。

登場人物

主要人物

デュナン・ナッツ
2105年誕生。女性。父はカール・ナッツ。かなり複雑な混血。
幼少時より、父であるSWATの指揮官・カールの指導により、年齢に似合わぬ戦闘能力と状況判断能力を持つ。利き腕は右腕だが左腕でも銃等が扱えるように訓練されている。目も同様。
体内にESWATの標準装備である数種のプラントが埋め込んである。これは大抵の薬物やウィルスはろ過でき、特にクロロホルムB、リシンは十分防ぐことが出来る。なお、この設定は後に血液中に投与されるマイクロマシンに改められた。
大戦後はブリアレオスと共に廃墟生活を送っていたが、2127年オリュンポスに移住、市警SWATを経て行政院ESWATに入隊する。
性格は、戦いを楽しむところが無いではないが、戦闘狂というほどでもなく、仕事の達成を第一とするプロ意識の持ち主。恋愛に頬を染めるなど情緒が無いわけでもなく、むしろ晩生。ブリアレオスに父の部下時代から思いを寄せているが、作品中途まで子ども扱いされたりしている。
作った料理は「料理名以外では区別がつかない」らしい。
ブリアレオス・ヘカトンケイレス
2096年誕生。男性。ほぼ全身を機械化し、戦闘用の装甲とセンサーを備えた、戦闘サイボーグ。「データブック」ではデュナンと出会った頃とサイボーグ化直前の素顔が描かれている。映画版では漫画と設定(黒人)が異なり白人であり、彼の遺伝子を持つクローンもエクスマキナに登場する。またヘカトンケイル・システム(後述)に適応できたただ一人の人物とされているが後にカイニスもヘカトンケイルシステムへ移行したと思われる描写がある。
幼いころにソ連KGBにスカウトされるが作戦将校を殺害したため逃亡、フリーになる。2116年にデュナンと出会い、カール・ナッツのチームに入隊する。その6年後爆発事故によりサイボーグ化を始めた。外見的にはロボットのようだが、高度な技術による人工筋肉・人工皮膚を使用している有機質サイボーグ。また人間として残っている臓器もある。この時代では脳機能がかなり解明されており、人工脳組織による脳の増量も行っている。これは彼の装備している高性能センサー類の情報処理の為らしい。センサー情報などは意識への概念伝達である。
表皮の体温はコントロール可能だが、彼は普通の人間に近い温度を保っている。これは恋人(デュナン)のためである。オリュンポス移住後に巻き込まれたテロで重傷を負い、それ以降に同都市の先進的な医療・サイボーグ技術による柔軟な素材を多用したボディへと段階的に変化していくが、ガイア事件までは腕に機械式の内装火器を組み込むなど、無機的な装備も多かった。ベゼクリク事件の頃までには皮膚は柔らかくはないが弾力がある体と成った。彼はヘカトンケイルシステムによって全身を制御するという、珍しいタイプのサイボーグであり、ヘカトンケイルシステムの能力でブリアレオスが損傷した場合も部品交換が早く、また追加装備により4本の腕を同時に操作したり、空母を丸ごと制御する事も可能と言われている。そのため、目が8個(顔面に4個、うなじに2個、兎耳のようなセンサーユニット先端に2個)あるなど装備品が多い。
大戦後はデュナンと共に廃墟生活を送っていたが、2127年オリュンポスに移住、ESWATに入隊する。
オリュンポス移住後はボディの改造・改良をたびたび行っている。
ヒトミ(人美)
2074年誕生のバイオロイドで総合管理局・立法院に所属し秘書のような役職にある。女性。バイオロイドにとっては一般的なことだが外見と実年齢は伴っていない。物語登場時にすでに50歳を超えているが、これはバイオロイドは長寿命が可能なように設計されており、生後、延命処理という処置を行い続けることで年齢を重ねても肉体的には若さを保っているため。彼女の場合は加えて性格も子供っぽい。彼女のDNA情報にはオリュンポスメインコンピュータ・ガイアの停止のキー情報が含まれているのでオリュンポス全体にとって彼女は重要人物でもある。現在はアルテミスの子供たちに振り回されている。
宮本 義経
年齢不詳のバイオロイドで人美のボーイフレンド。明智モータースに勤めていてギュゲスやランドメイトの整備等を行っているが基本的な社会的地位は一般市民である。日系の血が流れている。技術の腕は並程度。重度のメカマニアで、オリュンポスの人間が現代人のオートバイの感覚で利用する民生用ランドメイトやスーツを多数所有、休日などは心行くまで弄り回している模様。ガイア事件の折に立法院の手駒として隠密活動する羽目になった人美に所有するパワードスーツを貸し、自身も同行したりもしている。
ドクトル・マシュー
2062年誕生の老医者、サイボーグ医師。この世界ではサイボーグ化手術やケアは特別な医師が行っており、ドクトルマシューはその一人である。腕は確かだがマッドサイエンティスト的性格で、患者をやたらサイボーグ化したがる性向がある。第一巻では負傷したブリアレオスを手術した。またベナンダンティ作戦にも同行するなどESWATとの関わりもあるらしい。士郎作品では例外的なスターシステム的キャラで、アップルシード以外の作品にも度々登場している。
アテナ・アレイアス
バイオロイドでオリュンポス総合管理局行政総監の行政院の最高責任者。立法院とは対立関係にあった。
内務省・内務大臣ニケ参長とは深い信頼関係がある。優れた能力を有し、真剣に人類の未来を考えている。実質ESWATのトップである。
ニケ
バイオロイドでオリュンポス総合管理局行政院内務省の内務大臣。ESWATとポリスを管轄している。行政総監アテナの右腕として能力を発揮している。ESWAT指揮官ランス班長に、直に命令を出すときもある。
アレス
エアポリス指揮官。実力は不明だが如何せん劇中のエアポリスがやられ役なので見せ場が無く、索敵・追跡などの地味な作業ばかりで犯人制圧などの華をESWATに持っていかれ、悔しがっている。
局長
オリュンポス総合管理局司法省の長でオリュンポスの最高責任者の一人。冷静沈着な人物。管轄組織のFBIの指揮権を有する。
アルゲス(ヴェルンド)
ブリアレオスの旧友。表向きは局長直属の部下でFBIの現場指揮官だが、実はオリュンポスを建設した「都市企画班」が、人間側のオリュンポスの安全弁として送り込んでいる一人らしい。
アルテミス
都市企画班から重要情報を携えて送り込まれたバイオロイド。ヒトと猫のハイブリッド体。戦闘用サイボーグではないものの、それに匹敵する戦闘能力を持つことと、小柄な割に体重があるため、天然の生物とは違う素材で身体が構成されているフラクチュエイター・タイプの可能性がある。単為生殖により3人の子供(クローン)を産む。その行動には不可解な点が多く、彼女にはまだ謎があるようだ。高い戦闘能力を持つが、常識はなく、加えて良心も無いため廃墟隠遁生活の折には食人すら厭わず生き延びていた。知能は高く短時間のうちにコンピュータを使いこなすなどしているが、言葉は喋れない。
ドリス(吉野)
企業集合体国家ポセイドンのスパイ。と思わせるが二重スパイなようだ。アルゲスやランスと繋がりがある。
双角
ベナンダンティ作戦時にESWATに投降したサイボーグ傭兵の一人。SASのサイボーグ部隊出身で爆発物のスペシャリストだが、曰く「爆発物は趣味」とするなどプロ意識は低く、自身の趣味性で行動している。4巻ではA-10やデュナンを翻弄して礼金をせしめるもデュナンに報復されて車ごと爆破されボロボロに。5巻に登場する女サイボーグ達とは過去に因縁があるらしい。
カール・ナッツ
デュナンの父親でSWATの指揮官。デュナンに幼少時からSWATの枠を超えた戦闘・サバイバル訓練を施していた事から、大戦勃発を予想・察知していたと見られる。オリュンポス計画にも関わっていたらしく、バイオロイドにも彼の遺伝情報を持つ者が多い。消息不明。本編では回想シーンで遠景で登場したのみだが、「データブック」で顔が描かれている。

ESWATメンバー

大佐
ESWATの指揮官でランスの上司にあたる。ニケが敬語を使っていた事から彼女より上の立場と見られる。
ランス班長
ESWATの現場指揮官。ニケ参長と直接的繋がりを持ち、信頼関係が厚い。作戦の立案、人選、配置を手がけ任務の完璧な遂行を目指すが、慎重派で大胆な采配を振らない任務運びがデュナンの行動と相反し、4巻では謎の男を見失った。
スドオ
日系人で古武道に通じている。ESWATの教官だったが現場復帰し、古参隊員として豊富な経験、知識、判断力によってESWATの現場で若手を引っ張るような立場。劇中でもデュナンを案じて先走ろうとするブリアレオスを諫めている。
マグス
過去に豊富な経験を持つことが伺える、ベテラン的隊員。実力は高いが女癖が悪い。窮地にあっても軽薄な台詞回しを楽しむなど、独特の価値観の持ち主。
モートン
マグスの相棒でバディを組むことが多い。戦闘バイオロイドは“所謂道具”という偏見が強く、任務で年下のデュナンやA-10達よりも扱いが低い事に焦りを感じランスに意見具申している。
パニ
黒人女性でマグスの恋人。デュナンがグリーンベレー出身のパニを“ガールスカウト”と揶揄し、パニもデュナンを“サイボーグのオモチャ”と揶揄するなど、ウマが合わず犬猿の仲。
A-10
戦闘用バイオロイド。Aはアサルトの略。ネコ科動物とヒトのハイブリッドで、その五感や戦闘能力は人間の比ではない。3体のうちボルト、ジャンクという2体が登場している。知能も優秀で、普段は単独捜査など実直な仕事をこなしている。アルテミス捕獲作戦では前期型のA-9も登場していたが、アルテミスの毒矢により死亡。

メカニック

独特の生物的なフォルムや動作原理や素材、内部構造などの詳細な描写が本作の特徴の一つでもある。

サイボーグ
人間の身体を機械によって置き換え、人間と同等かそれ以上の能力を持った存在。元来は、事故などで大怪我を負って通常の医療では助けられない人を救う技術だったが、人間以上の筋力やセンシング能力、装甲を得られるため、戦争が多い当世界には戦闘に向いた能力を備えた「戦闘サイボーグ」も多数存在している。中にはブリアレオスの様に頭脳をも機械的に増量したり、複数の機体やシステムを並列制御する「ヘカトンケイル」システムを備えた者も存在する。
ただし、身体能力のバランスを取ることが難しく、ブリアレオスのようにトータルでバランスがとれた戦闘用サイボーグは数少ない。また、人工的な機械としての制約を受け、定期的なメンテナンスは欠かせない。
初期には明らかに生身の人間と異なる容姿・サイズの個体しか登場していなかったが、「アルテミスの遠矢」では、人間同様の外観を持つ女性型サイボーグが登場している。
ランドメイト
略称は「LM」。全高2 - 3mで乗り込むタイプのパワードスーツ。体の動きをトレースする事でかなり繊細な動作が可能。工事用や災害用から、警察用、軍用など用途は多岐にわたる。大きなパワーと、小火器程度は楽に防ぐ装甲、センサーと情報処理・通信能力が得られるが、対LM用の火器も存在しているので、無敵の存在ではない。外見は士郎作品のパワードスーツに特徴である、搭乗している人間の腕部(マスターアーム)がLM自身の腕(スレイブアーム)とは別の位置に露出し、4本腕のように見えるタイプで、動作の自由度が高くなる反面、非力なマスターアームを抑えられるだけで動きを封じられてしまう難点がある。対策としてマスターアームを胴体内に納めたタイプも存在する。さらに4巻でデュナンが装備したギュゲスはフロントハッチが2重構造で、その外側ハッチにサブアームで発砲できるハンドガンを格納していた。膝関節は構造上の都合でマスターの2倍角で動作するため、操作には多少の慣れを要する。
ギュゲス、ギュゲスMM、ギュゲスD、グレーハウンドなどが登場。
オーク
ESWATの装備。ランドメイトより小型で、鎧のように着るように装備するパワーアシストスーツ。内蔵された人工筋肉で生身より筋力がアップする他、カメラアイや通信機器を内装している。ベナンダンティ作戦で使用された。
ガーシム
オークよりもさらに軽量、薄型を実現したパワードアーマー。4巻以降でのESWAT標準装備。装甲は簡略化されているが、プロが格闘戦を行うには必要十分なもの。おそらくバイオ系素材の人工筋肉によって、パワーアシストと衝撃緩衝機能が備わっており、隊員はギュゲスDに搭乗するときにもガーシムを着込んでいる。これはギュゲスDの飛行時に身体にかかる負担やGを軽減するため。大気圧潜水モードも備えている。
ガイア
オリュンポス全域をコントロールするコンピュータとそのネットワーク。コントロール分野は都市運営など政治に関する領域から末端の信号機にまで至っており、文字通りオリュンポスの機能を維持している。都市内には公共端末が設置され、役所的な市民サービスや各種情報サービスのほか、直接市民からの要望を受け付ける通称「ガイアの耳」という機能も備わっている。「彼」が直接的に言葉を使って他者と対話する描写は無いが、他の管理システムを担うコンピュータと通信することを指してオペレーターらが「対話」と表現することもあるなど、ある程度の自意識が存在していることに言及される描写が多々ある。「彼」もまた、オリュンポスの運営を通して人間の幸福な繁栄を目指しているのだが、それは事の功罪を計量的に推し量った結果を重視することから、ガイア事件においてはその直前に議会で議論されていた「バイオロイド法案」(バイオロイド技術を人間に転用し、より統制された社会を構築しようというもの)を「人間としての立場を奪うもの」と判断、全てのバイオロイドを人類の敵とみなして強行的に排除しようとした。同事件では阻止に動いた人間の集団もテロリスト(オリュンポス市内ではテロリストに人権は認めていない)とみなして攻撃、最終的にバイオロイドのヒトミのDNA情報を入力され、更に攻撃阻止に動いたデュナンらによって事件は終息するも都市機能は相当のダメージを負った。その後ガイアがどのようになったかは余り明言されていないが、議会側の発言力増大に伴いバイオロイド法案の可決が描かれているが、その一方でデュナンらは純粋な人間として「原種」指定を受けるなど、バイオロイド法案可決と平行して人類そのものを種として保護しようとする動きもあった模様である。
ダミュソス
劇中に登場する一種の反重力システム。ギュゲスDに搭載され飛行能力を付与している(Dはダミュソスの略)。
多脚砲台
オリュンポスを外敵から守ること、各国が秘かに保有しつづけている軍備に対抗する意図で開発された超大型自律戦闘ロボット。アシナガグモのような外見に、多数の砲身が飛び出した形である。ダミュソスを使って飛行も可能だが、普段は自重軽減に利用されている。オリュンポスの主要コンピュータシステムネットワークであるガイアにより、他の機体と連携して、圧倒的な火力でオリュンポスを守護するはずだった。しかしバイオロイドを人間の敵とみなしたガイアにより引き起こされたガイア事件の際には、あろうことか守護対象であるはずのオリュンポス市民らにその銃口が向けられ、甚大な被害を及ぼした。同事件終結後には幾分の改修もあったようだが結局は多脚銃座とともに配備され、必要に応じてオリュンポス外での作戦行動時の火力支援にも利用されている模様。
多脚銃座(オートインセクター)
オリュンポス内部で多脚砲台を運用すると、その図体や圧倒的火力が仇となって無制限に破壊を撒き散らすため、都市内での運用を目的として導入された小型の自律戦闘ロボット。概ね乗用車程度の大きさだが無人で稼動し、バルカン砲で並みのランドメイト程度なら撃破する威力を持つ。警察組織の管轄で、ESWATとは指揮系統も異なるらしい。ベゼクリク事件では規格外の巨体と装甲に守られた巨人装備に苦戦、跳弾で被害を拡散させるなどした挙句、敵に乗っ取られてESWATを追い詰めた。
コットス
オリュンポス内に多数配備されているロボットポリス。言語も解するが融通が利かない。
オリジナルは素性不明の戦闘ロボットで、オリュンポスSWATでデュナンと同じ部隊に所属していたが、元老院に引き抜かれて量産化された。オリジナルはその後デュナン達のガイア制圧作戦に参加するが、ガイアに操られてデュナンを襲ったためブリアレオスに粉砕された。なお内蔵装備として報告書作成用の記録装置も備えており、ガイア事件の報告書作成でデュナンとブリアレオスはこの記録装置を破壊してしまったために余計な苦労を強いられたらしい。後に警察ロボットとして正式配備され、ベゼクリク事件の頃までには一般道の検問などで礼儀正しく一般市民に応対している姿なども登場している。しかし融通の利かなさは相変わらずで、デュナンの勘違いではあったが緊急の作戦行為で行なわれたカーアクションに対して、道路交通法を盾にドライバーに注意をするなどもしている。
エアポリス・ヘリ
オリュンポス・エアポリスが使用する一人乗り小型ヘリ。二重反転ローターを採用し、機動性に優れる。パイロットはバイクにまたがるような格好で搭乗する。基本装備は機体下のバルカン砲などだが、このほかに偵察装備としてローター上部にカメラアイを備える。
ランドクルーザー
整地不整地を問わず移動できる乗物の総称だが、作中では加えてホバークラフト的な乗物であり、また装甲を施された戦闘車両でもある。原作ではデュナンやブリアレオスと死闘を演じたが、高機動のブリアレオスに注意を奪われていた隙にヒトミに手榴弾を放り込まれて内部から破壊され、爆散した。

書籍情報

技術上の特徴

この作品は雑誌連載を経ずに直接単行本として刊行された経緯から、一部の巻において雑誌原稿では用いることの出来ない薄墨を用いて、単色ではなくグレースケール印刷する試みがなされている。なお、現在入手容易な文庫版では通常の単色印刷となっている。

コミック

  1. プロメテウスの挑戦(1985年2月15日、青心社、ISBN 4-915333-19-1)
  2. プロメテウスの解放(1985年11月10日、青心社、ISBN 4-915333-23-X)
  3. プロメテウスの小天秤(1987年7月31日、青心社、ISBN 4-915333-33-7)
  4. プロメテウスの大天秤(1989年4月15日、青心社、ISBN 4-915333-57-4)
設定資料集
  1. アップルシード読本 士郎正宗の映像世界(1988年11月10日、株式会社バンダイ、ISBN 4-89189-361-3)
  2. アップルシード DATA BOOK(1990年5月30日、青心社、ISBN 4-915333-69-8)
  3. コミックガイア版 アップルシード総集編 士朗正宗ハイパーノーツ(1996年1月25日、青心社、ISBN 4-87892-085-8)
  4. アップルシード id ILLUST&DATA(2001年7月15日、青心社、ISBN 4-87892-219-2)

上記のISBNコードは青心社の新装版の物だが、他に同社より原稿原寸版(1 - 3巻)、講談社より大型版(1・2巻合本)、メディアファクトリーより文庫版が刊行されている。

また4巻刊行後、青心社から設定解説資料や短編を収録した『アップルシード データブック』が刊行されており、後に本編新装版に合わせて内容を一部変更した『アップルシードid』ISBN 4-87892-219-2として再版されている。

なお第5巻はタイトル「アルテミスの遠矢」が発表されており画集『イントロンデポ』にはカバーイラストも掲載されている、1991年コミックガイアで『仙術超攻殻ORION』に続いて連載されたが、「やはり連載という形態はアップルには合わない」として中断された(『士郎正宗ハイパーノーツ』ISBN 4-87892-085-8に収録)。現状ではソ連崩壊に伴う作品中の世界観と現実における世界情勢の乖離、および自身のスタンスの変化により続きを描くのは困難と語っている。

文庫版(発行:株式会社メディアファクトリー)
  1. プロメテウスの挑戦(2001年6月19日、ISBN 4-8401-0302-X)
  2. プロメテウスの解放(2001年7月19日、ISBN 4-8401-0317-8)
  3. プロメテウスの小天秤(2001年8月19日、ISBN 4-8401-0342-9)
  4. プロメテウスの大天秤(2001年9月19日、ISBN 4-8401-0353-4)
B5版(発行:講談社
  • APPLESEED 01&02(2004年3月23日、ISBN 4-06-334856-3)

小説

  • 『アップルシード外伝1 オリュンポス・アイ』
    • 著:大武完、原作:士郎正宗(青心社、ISBN 4878923431、発売日 2007年10月)

OVA

1988年ガイナックス制作(実制作はAICとセンテスタジオ)でアニメ化された。多脚砲台が暴走したエピソードをベースにOVA向けにストーリーを手直しして作品を理解しやすいように配慮がなされており、ブリアレオスの20ミリライフルなどを除いてはデュナンの愛銃、コルト・ガバメントや当時最新鋭のモデルであったオーストリア製のグロック17などと現存する銃器を登場させたりと銃器描写はリアルであった。

OVAのプロモーション映像用に実写版が製作され、デュナン・ナッツには白人女性を起用している。

声の出演
スタッフ

プレリュードフィルム

DVDに映像特典として短縮版が収録されている。

キャスト
スタッフ

ドラマCD

タイトルは『アップルシード 近未来的音楽学習専科』。1988年5月5日キングレコードから発売されたイメージアルバム。(K32X-7122)

声の出演
スタッフ
トラックリスト
  1. プロローグ
  2. MY STORM(歌:結城梨沙)
  3. CURIOUS GAME
  4. オリュンポス
  5. Crystal Celebration(OVAアップルシード〈88年〉ED/歌:結城梨沙)
  6. アルテミス・アルパイア
  7. CIVVY STREET
  8. LIFE POINT
  9. DEAD OR ALIVE
  10. APPLESEED(ドラマ)
  11. Ambivalence(歌:増田直美)

映画

APPLESEED

初めてフル3Dライブアニメという表現手法によって映像化された作品。3Dライブアニメとは3DCGをセルアニメのような画風に変換するトゥーンシェーダーと、登場人物のリアルな動きを可能とするモーションキャプチャ技術を融合させた手法を示す造語である。セルアニメに近い画風でありながら、従来のアニメーションと比べ、自由なカメラワークやよりリアルな動きが表現できる。2004年4月17日の劇場公開を待つことなく、続編の制作が発表された。原作者の士郎はノータッチである。

主人公デュナンは、声優が顔のモーションキャプチャー(フェイシャルキャプチャー)を行い、それ以外のシーンでは2名がアクションシーンと演技シーンを分担してモーションキャプチャーを行っている。声と顔の演技を務めるのは小林愛、全身の演技を三輪明日美が担当。アクションシーンをアクション女優の秋本つばさが担当している。

DVDは続編公開時点までに、全世界で42万枚以上を売り上げるなど、好調なセールスを記録した[4]

あらすじ
世界大戦後の廃墟で生き延びていた女性兵士デュナンは、人類への奉仕者として肉体・感情を制御されたクローン人間バイオロイドの管理する理想都市オリュンポスに連行され、そこで全身サイボーグ化していた恋人ブリアレオスと再会する。彼の所属する元老院ESWATの一員となったデュナンは、やがてバイオロイドの開発とオリュンポス計画に自分の両親が関わっていた事実を知り、自身もバイオロイドの軛を解き放つ鍵「アップルシード」をめぐる陰謀に巻き込まれていく。
声の出演
スタッフ
音楽

EX MACHINA

2007年10月20日に続編『EX MACHINA -エクスマキナ-』が公開された。プロデューサーは『フェイス/オフ』や『M:i:2』等を監督したジョン・ウーが担当。

音楽監修を細野晴臣が担当。元YMOの三人(細野、坂本龍一高橋幸宏)がHASYMO名義でメインテーマ『RESCUE』を書き下ろしている。その他、テイ・トウワコーネリアスm-florei harakamiなどが名を連ねている。

キャストについてはデュナン役は前作から引き続いて小林愛が担当するが、それ以外のキャラクターについては大幅なキャストの変更が加えられている。映像も前作よりリアル調のシェーディング・テクスチャが施されている。

副題の「EX MACHINA」はラテン語のデウス・エクス・マキナという言葉から来ている。意味は「機械じかけの神」、転じてご都合主義的な話の展開などを表すネガティブな言葉である。

あらすじ
各国の軍事衛星をオリュンポスの管理下に置く事を議題とした国際会議の開催を控え、デュナン達ESWATはテロリストの鎮圧に従事していたが、任務の最中に彼女を庇ったブリアレオスが負傷、傷心のデュナンの前に、新たなパートナーとしてブリアレオスの遺伝子から創られた生身の彼と同じ顔の戦闘用バイオロイド・テレウスが現れる。やがて国際会議の開催中に、ウェアラブル・インターフェイスの着用者が突然正気を失い破壊活動を行う事件が頻発する。しかしそれは、さらなる大規模なサイバーテロの予兆に過ぎなかった。
声の出演
役名 - 日本版声優/英語吹き替え
スタッフ

Appleseed Alpha

テンプレート:Main 今後に『APPLESEED』が再映画化される予定である。続編ではなくリブート作になる様子。なお、「Appleseed Alpha」は今の所は原題である。

テレビアニメ

テンプレート:Sister

APPLESEED GENESIS

2008年3月、東京国際アニメフェアにて『APPLESEED GENESIS』(アップルシード・ジェネシス)のタイトルで全編3DCG製作のテレビアニメの予定として製作発表された。オリュンポスが完成する以前、理想郷の完成を阻止しようとするテロリストたちと、デュナン・ナッツらESWATとの戦いが描かれるオリジナルストーリー。監督はロマのフ比嘉、キャラクターデザインは美樹本晴彦。当初2009年春より各話30分全26話が放送される予定であった。その後、アニメ制作会社が製作元に対して制作代金の未支払いを理由に提訴を行い制作がストップしていると報じられた[5]。その後2011年にミコット・エンド・バサラが倒産したため、実質的に製作は中止となった。

キャスト
スタッフ

APPLESEED XIII

アップルシード XIII(サーティーン)」は、「アップルシード」の映像作品としては初の、全13話(=サーティーン)からなる完全新作アニメシリーズ。2011年6月より、劇場での期間限定上映、ネット配信、Blu-ray・DVD発売を同時展開。

2011年6月13日より劇場リミックス版「アップルシード XIII 〜遺言〜」が公開される。

キャスト
スタッフ

各話リスト

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 アニメーション制作
第1話 楽園の終わり 藤咲淳一 浜名孝行 難波克毅 ダイナモピクチャーズ
第2話 囚われのゆりかご 櫻井圭記 新留俊哉 佐藤明登 ウェルツアニメーションスタジオ
第3話 偽りの面影 谷村大四郎 布施木一喜 本岡宏紀 プレミアムエージェンシー
第4話 タンポポと少女 櫻井圭記 西久保利彦 由水桂 モズー&ケイカ
第5話 潜血の亡霊 岡本航征 布施木一喜 山崎拓哉 ダンデライオンアニメーションスタジオ
第6話 錆色の楽園 藤咲淳一 新留俊哉 竹清仁 空気
第7話 青銅の鳥 浜名孝行 岡本晃 フレームワークス・エンターテインメント
第8話 ディープダイブ 谷村大四郎 河野利幸 堤義幸 ガレージフィルム
第9話 女王の宝 梅原英司 浜名孝行 古賀祐次 ガレージフィルム
第10話 石像の陰で 櫻井圭記 布施木一喜 森英夫 Kantana Animation Studios
第11話 最後の一人 藤咲淳一 新留俊哉 岩崎朋之 エヌ・デザイン
第12話 復讐の彼方に 浜名孝行 小笠原俊介 ジーニーズアニメーションスタジオ
第13話 楽園 櫻井圭記 原口浩 古川彰吾 ピクス

劇場リミックス版

  • アップルシード XIII 〜遺言〜(2011年6月13日公開)
  • アップルシード XIII 〜預言〜(2011年10月24日公開)

漫画版

宮川輝により漫画化され、『月刊アフタヌーン』(講談社)2011年12月号より2013年6月号まで連載された。

ストーリーはアニメ本編のシナリオをほぼなぞる形になっているが、ラストシーンなど一部はオリジナルの展開で再構築されている。また、原作や過去のアニメ化作品のオマージュと思われるシーンが多く、アニメ本編には登場しない立法院の七賢老、大佐、アルゲス、吉野、A-10(ボルト、ジャンク)が登場したり、デュナンとブリアレオスの恋愛関係が強く押し出されたラブコメ的な場面も度々登場する。細密なメカニック描写やアクションシーンが高く評価される一方で、独特の画風やキャラクターのデフォルメ、関西弁を多用した台詞回しは賛否両論となっている。

余談であるが、作者の宮川輝は今回のコミカライズの依頼があるまで漫画のアップルシードを読んだことがなく、担当者を驚かせたという。

  1. アップルシード・サーティーン(1)(2012年4月23日、講談社、ISBN 978-4063878202)
  2. アップルシード・サーティーン(2)(2012年12月21日、講談社、ISBN 978-4063878578)
  3. アップルシード・サーティーン(3)(2013年5月23日、講談社、ISBN 978-4063878882)

ゲーム

スーパーファミコンおよびプレイステーション2用として『アップルシード EX』が発売もされている。また、オンラインゲーム『アップルシード タクティクス』としても展開されている。

  • アップルシード(1988年10月、発売元 ツクダホビー、ボックス)
  • アップルシード プロメテウスの神託(1994年8月26日、発売元 株式会社ヴィジット、SFC)
  • APPLESEED THE ONLINE(2005年9月9日、エムツー、ネット)
  • APPLESEED EX(2007年2月15日、セガ、PS2)
  • APPLESEED TACTICS(2008年10月17日、エムツー、ネット)
  • APPLESEED XIII(2011年6月13日、Hangame、ネット)

アップルシード EX

(英語版)(ブルガリア語版)

『アップルシード EX』(アップルシード エクス)は、2007年2月15日セガが発売した ガン&ファイティングアクションゲーム。製作はドリームファクトリー

漫画を題材に2004年に劇場公開された映画『APPLESEED』を元にしている。ゲーム中に流れるムービー等は監督である荒牧伸志と同映画でCGを担当したデジタル・フロンティアが製作するなど、映画との連動を強く打ち出しているものの、ゲームの内容についてはファミ通レビューにおいて過去の最低点より一つだけ上(40点満点中13点)という評価がなされている。

キャラクター

  • デュナン・ナッツ - 小林愛
  • ブリアレオス・ヘカトンケイレス - 小杉十郎太
  • ヒトミ - 松岡由貴
  • 宮本 義経 - 森川智之
  • ハデス - 子安武人
  • ランス - 小山武宏
  • レイトン - 稲田徹

アップルシード タクティクス

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アップルシード XIII

アップルシード XIII(サーティーン)のマルチプラットフォーム対応ブラウザ型ソーシャルゲーム。

関連商品

DVD & Blu-ray
  • アップルシード・スペシャルプロローグ(VHS & Beta、1988年3月5日、ソニービデオソフトウェア インターナショナル)
  • アップルシード(VHS & Beta & LD、1988年4月21日、ソニービデオソフトウェア インターナショナル)
  • アップルシード(DVD、2002年7月25日、バンダイビジュアル、映像特典:アップルシード〜Prelude film(実写版))
  • アップルシード プレミアム・エディション(フィギュア付限定版)(DVD、2002年7月26日、パイオニアLDC)
  • APPLESEED(DVD、2004年11月25日、ジェネオン エンタテインメント)
  • APPLESEED COLLECTOR'S EDITION (初回限定生産)(DVD、2004年11月25日)
  • APPLESEED(Blu-ray、2009年7月24日、ジェネオン・ユニバーサル)
  • エクスマキナ Evolution of Appleseed(DVD、2007年10月3日、ポニーキャニオン)
  • エクスマキナ APPLESEED SAGA スタンダード・エディション(DVD、2008年3月14日、ポニーキャニオン)
  • エクスマキナ APPLESEED SAGA プレミアム・エディション(DVD、2008年3月14日、ポニーキャニオン)
  • APPLESEED SAGA EX MACHINA(Blu-ray、2009年7月24日、ポニーキャニオン)
  • アップルシード XIII(DVD、Blu-ray、キングレコード)
  • Vol.1 2011年7月6日
  • Vol.2 2011年8月10日
  • Vol.3 2011年9月7日
  • Vol.4 2011年11月23日
  • Vol.5 2011年12月21日
  • Vol.6 2012年1月25日
サウンドトラック
  • アップルシード オリジナル・サウンドトラック(2004年3月24日、ソニーレコード)
  • アップルシード オリジナル・サウンドトラック〜コンプリートバージョン(2004年3月24日、ソニーレコード)
  • EX MACHINA ORIGINAL SOUNDTRACK(2007年10月17日、commmons)
  • EX MACHINA ORIGINAL SOUNDTRACK COMPLETE EDITION(2007年10月17日、commmons)
  • アップルシードXIII サウンドトラック(2011年10月26日、キングレコード)
ドラマCD
書籍
  • APPLESEED アップルシード コンプリートBOX 限定フィギュア付(2004年4月9日、宝島社、ISBN-10 479664041X)
  • APPLESEED SAGA EX MACHINA エクスマキナ パーフェクトガイドブック (2007年10月19日、宝島社、ISBN 4796660720)
  • アニメコミックス 『アップルシード sideA』(2004年4月17日、講談社、ISBN-10 4063101886)
  • アニメコミックス 『アップルシード sideB』(2004年5月7日、講談社、ISBN-10 4063101894)
  • 小説 『EX MACHINA -エクスマキナ-』(著:竹内清人、幻冬舎文庫、ISBN 4344410130、発売日 2007年9月19日)

脚注

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外部リンク

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  1. 1996年に勃発した第3次世界大戦により、続いて1999年に勃発した第4次世界大戦では核兵器はほぼ存在しなくなっていた。
  2. 同世界での設立は2029年。アップルシードデータブック10頁参照
  3. 同世界での建設開始は2002年。アップルシードデータブック4頁、及び9頁参照
  4. EX MACHINA映画パンフレットより。
  5. テンプレート:Cite news