ガールスカウト

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ガールスカウト1908年イギリスロバート・ベーデン=パウエル卿が発足させたボーイスカウトにならい、1910年にベーデン=パウエル卿の妹アグネス・ベーデン=パウエルによって発足したガールガイドを母体として、1912年アメリカジュリエット・ローがこれにならって創設した少女訓育団体を指す。 ガールスカウトでは「ベーデン=パウエル」とは発音せず、「ベーデン・ポウエル」と発音し、記述している。「ベーデン・パウエル」は英語の発音、「ベーデン・ポウエル」は米語の発音と言われ、アメリカよりガールスカウトが伝わったからだとも言われているテンプレート:誰2

なおガールスカウト日本連盟は2010年に発足90周年を迎えた。

概説

活動の基本原則は「やくそく」と「おきて」である。人種国籍宗教の差別なく、健全かつ幸福で社会に貢献する女性の育成を目的とする。

世界的団体として「ガールガイド・ガールスカウト世界連盟WAGGGS)」があり、2003年現在で144の国と地域が加盟し、メンバー数1,000万人を数える。

ガールガイドを日本にもたらしたのは、英国国教会から日本聖公会に派遣された宣教師ミュルエル・グリーンストリートである。彼女は英国ガールガイドの一級団員であり、東京の香蘭女学校において「ガールガイド東京第一組」を発足させ、1920年大正9年)1月30日聖アンデレ教会で発団式を行った(このときの団員は12名)。同年7月に猪苗代湖畔にあった宣教師ディクソンの別荘で最初のキャンプが行われた(これは指導者3名、参加者9名であった)。

1923年、日本独自のガールガイド組織として、「日本女子補導団」が設立された。総裁は林富貴子(林博太郎伯爵の夫人)、副総裁は三島純(「少年団日本連盟(現・ボーイスカウト日本連盟)」の副理事長三島通陽の夫人)、書記は檜垣茂。

第二次大戦による中断の後、1947年昭和22年)活動を再開し1949年(昭和24年)には現在の「社団法人ガールスカウト日本連盟」が発足し、ガールガイド・ガールスカウト世界連盟に加盟している。2003年現在、日本連盟の団数は1,500団、メンバー数は約53,000人。

ガールスカウト日本連盟

テンプレート:Infobox 組織 公益社団法人ガールスカウト日本連盟(ガールスカウトにほんれんめい、テンプレート:Lang-en)は、ガールガイド・ガールスカウト世界連盟の一員として、日本においてガールスカウト運動を普及するために活動する公益法人。以前は、文部科学省スポーツ青少年局青少年課所管の社団法人であったが、2012年4月1日公益社団法人に移行した。

構成

部門構成と活動目標

会員は年齢により部門と呼ばれる下記の構成のいずれかに所属することになる。また構成ごとに活動方針が設けられており、年齢に応じた活動や関わり方が可能となっている。

テンダーフット(就学1年前)
テンダーフットとは「初心者」「新しく足を踏み入れたもの」という意味。それと同時に"tender"の語の「若い」「柔らかい」といったイメージも盛り込んでいる。
活動の重点は「五感を使って遊ぶ」「好奇心をのばす」としている。
ブラウニー小学校1 - 3年生)
ブラウニーとはイギリスの物語である『ブラウニー物語』に出てくる、家の仕事をしてくれる小人のことである。
『ブラウニー物語』とは2人の子供が家の仕事をしてくれる小人・ブラウニーを探す物語。最終的にフクロウのおばさんの力を借りて2人の子供自身が家の仕事をすればよいことに気づき、家の仕事を進んでするようになる。
活動の重点は「自分が今できること」を確認し、それより少し困難なことやできなかった新しいことをやってみて「自分ができること」を増やすことである。
ジュニア小学校4 - 6年生)
活動の重点は『仲間と共にさまざまな体験』をすることで、仲間と協力することの楽しさ・大切さを体験しながら自分以外の人への思いやりや、人々の幸せを考えることである。
活動の重点から主に「パトロール」と呼ばれるいくつかの班に分かれて活動を実施することが多い。
シニア中学生
活動の重点は「課題を見つけ企画の経験」をすることである。自分の具体的関心事や身のまわりの諸問題を認識して自主的に課題を見いだし企画・実施・評価を経験する。また『パトロール』と呼ばれるいくつかの班のメンバーと協力しながら考え行動することで意志決定の練習・問題解決能力を養っていく。
レンジャー高校生
活動の重点は「地域に役立つ企画、運営、評価」をすることで、これまでの活動で身につけたことを生かし、さらに地域社会に役立つ活動に結びつく実践力を養うことである。
成人会員(18歳以上)
成人会員は次の3種に分かれて活動を行う。
リーダー
テンダーフット、ブラウニー、ジュニア、シニア、レンジャーそれぞれの指導者として活動。
一定の講習会を受講することで指導する資格を得る。また指導者はボランティアである。
SCAPP
自らの関心や興味による活動を行い、その成果を団や地域社会で生かす。
"SCAPP"とは"Supportive(支援する)" "Creative(創造的な)" "Advanced(進歩的な)" "Progressive(先駆的な)" "Person(人)"のそれぞれの頭文字をとったもの。
運営員
団の運営に関わる。

地域組織

ガールスカウト東京都連盟など47都道府県連盟があり、活動拠点である団は全国で1,191カ団ある[1]

ボーイスカウトとの連携と違い

ボーイスカウトとの連携

ガールスカウトとボーイスカウトは、地域によって差があるものの兄妹の関係になる為、常に連携を取っている。日本ジャンボリーなどボーイスカウトの全国や地区レベルの大会にガールスカウトの代表が招待されている。また、地元のガールスカウトとボーイスカウトが協力して「赤い羽根共同募金」等、時として同じ活動をする時がある。運営管理部門を共有化している団体もある。高校生・大学生レベルでは自主的に活動の研修会を共同企画している地域もある。

ボーイスカウトとの違い

ボーイスカウトは、女性の社会進出、男尊女卑の撤廃、女性によるソフト面のケアへの期待などの理由(100年前の社会情況と違う)により、少女のスカウトと女性の指導者の受け入れを認めている。(女子専用のテントなど女子に対しての配慮はあるが、活動中、女子だから男子だから、という区別はない)(=ジェンダーフリー

ボーイスカウト日本連盟の英語表記は、「Scout Association of Japan」であり、ガールスカウト日本連盟の英語表記は、「Girl Scouts of Japan」である。ボーイスカウトの方に「boy」がつかないのは、加盟している少女や女性に対しての配慮である。

ガールスカウトは、ボーイスカウトの目標に加え、「自立した女性の育成」という目標も持っている為、少女だけのスカウトと、女性だけの指導者である。

ボーイスカウトとの共通部分

多数あるが特徴的なものは下記のとおり。

  • 進歩制度があり、努力し勉強した効果が認められればワッペンがもらえ、制服やたすきにつける。また、上の者が下の者の面倒を見る(奉仕する、と言われている)システムも同じである。
  • 制服とネッカチーフがスカウト活動の象徴である。
  • モットー(規範)の「そなえよつねに」(備えよ常に、Be Prepared)、スローガンの「日日の善行」(一日一善、Daily Good Turn.または Do a good turn daily.)は双方共通である。ちかいとおきては双方ともあるが文句は違う。しかし、おきて8項目の数は同じである。

やくそく

ブラウニー、ジュニア、シニア、レンジャー、成人会員のやくそく

私は、神(仏)に対するつとめを行い

地域と国と世界への責任を果たし

人に役立つ事を心がけ、ガールスカウトのおきてを守ります。

テンダーフットのやくそく

わたくしは ガールスカウトです。

わたくしは よくみて よくききます。

そして みんなと なかよくします。

おきて

ジュニア・シニア・レンジャー・成人会員のおきて

  1. わたくしはいつも明るく勇気を持ちます。
  2. わたくしは命ある物を大切にします。
  3. わたくしはすべての人の友達となり、他のガールスカウトとは姉妹です。
  4. わたくしは礼儀を正しくします。
  5. わたくしは時間と資源を大切に使います。
  6. わたくしは自分で考え行動します。
  7. わたくしは言葉と行いに責任を持ちます。
  8. わたくしは誠実であるように努めます。

ブラウニーのおきて

  1. 私はいつも明るく勇気を持ちます。
  2. 私は命ある物を大切にします。
  3. 私はすべての人の友達となり、他のガールスカウトとは姉妹です。

モットー

「そなえよ つねに」(備えよ常に)。これはボーイスカウトのモットーと同じ。

テンダーフットのモットーは「いつも にこにこ」。

制服

制服は夏季・冬季ならびにキャンプなどの野外活動時に応じて下記のように指定されている。通常活動時の制服は水色を基調としたデザイン、野外活動時の制服は比較的活動しやすいデザインとなっている。チーフは会員の所属する部門により異なり、ブラウニーが白地に赤のふち、ジュニアが白地に茶色のふち、シニアが白地に緑のふち、レンジャーが白地に紺色のふち、成人会員は紺のリボン状ものを用いる。

キャンプ用の制服は「キャンプユニフォーム」とも呼ばれ、キャンプに限らずハイキングなど野外活動時に着用する。野外活動時の制服におけるチーフ着用の是非は指定されていないが、団・地域によって制服として指定されているチーフを着用する場合もあれば、開催行事にて支給されるチーフを着用する場合もある。

なお2009年4月現在、発足90周年を迎えるに当たり、新制服の制定に関する議論が持ち上がっている。2010年、新制服が決定した。

通常活動時の制服

  • 水色のベレー帽。ベレー帽の正面には金の帽章(日本連盟章)を付ける。
  • 水色の長袖ブラウス(冬季)または白のブラウス(夏季
    • 左袖の肩に近い位置に自分の所属する都道府県・団番号を付ける。団によっては右袖の肩に近い位置に自分の所属するパトロールのマーク(パトロール章・所属するパトロールにて作成)を付ける。
    • 左胸ポケットの上に中央から世界連盟ピン・日本連盟ピンの順に付ける。
  • 所属部門に応じたデザインのチーフ。日本連盟章の付いたチーフリングで止める。
  • ボックススカートまたはジャンパースカート(ブラウニーのみ)。
  • 紺のハイソックス(冬季)または白のソックス(夏季)。左右にワンポイントとして日本連盟章の刺繍が入る。
  • 紺のカーデガン(冬季のみ)。寒さの度合いなどにより着用しない場合もある。
  • 正装時(式典への出席時など)は上記に加えて技能帯。活動進歩を表す「バッジ」と呼ばれるワッペンを付け、水色の帯を右肩から左脇へたすき掛けのように着用する。

野外活動時の制服(キャンプユニフォーム)

  • グレーのチューリップハット(キャンプハット)。右側に小さく山吹色で日本連盟章のプリントが入る。
  • 水色のシャツ、または白いポロシャツ
  • 団・開催行事によっては制服または行事指定のチーフ。
  • 紺色のキュロットスカートまたはバミューダパンツ。
  • 紺または白の靴下。

ガールスカウト日本連盟 発足90周年について

ガールスカウト日本連盟は2010年に発足90周年を迎える。これに合わせて 2009年には下記のテーマとキャッチフレーズのもと、「日本のガールスカウト運動90周年」全国一斉イベントが各支部で開催される。また90周年に合わせ、「みらい」ちゃんと「こころ」ちゃんという双子の姉妹のキャラクターを擁立し、二手に分かれて一斉イベントや各支部事業へ参加している。

テーマ
【心を育てるガールスカウト、よりよい明日(あした)をつくります。】
キャッチフレーズ
【2010年 日本のガールスカウト運動は90周年を迎えます】
【Celebrate 90 years of Girl Scouting in Japan ~ 2010, the year for Girl Scouts ~ 】(英語版)

ガールスカウト/ガールガイド出身の著名人

ガールスカウト豆知識

  • ブラウニーのヒントとなったのは、ジュリアナ・ホレイショー・イウィングの『ブラウニーズ』である。(B-P談)

出典・脚注

  1. テンプレート:Cite web

関連項目

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外部リンク