竹中工務店
テンプレート:Infobox 株式会社竹中工務店(たけなかこうむてん、英称:Takenaka Corporation)は、大阪市中央区本町に本社を置く大手総合建設会社である。
目次
概要
江戸時代前期の1610年に、織田信長の元家臣であった初代竹中藤兵衛正高が尾張国名古屋にて創業。神社仏閣の造営に携わる。やがて明治時代の到来により、ヨーロッパ型の建築技術を導入すると、当時開港し、都市化し始めた神戸へ進出。数々の建築物を施工し、その名を知られるようになる。
「工務店」という言葉を作り、社名としたのは同社が初めてである。「設計と施工は切り離せない」の考えから「工務」を掲げ、お客様ありきの仕事であるという考えから「店」を用いている。
スーパーゼネコン5社(鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、大林組)の一つであり、また同じく大阪に本社を置く、鴻池組、奥村組、錢高組と並ぶ在阪ゼネコンの一社でもある。 これまでに施工した建築物は5大ドーム球場(札幌・東京・ナゴヤ・大阪・福岡)を始め、全国有名美術館や商業施設、さらには病院、オフィスビルなど多岐にわたり、施工実績の多さでは国内随一を誇る。
完成工事高で比較しても、国内トップクラスの業績を誇り、売上高(2004年度)の内訳は、97.9%が建築であり、土木は0.8%に過ぎない(土木事業は主に、関連会社の竹中土木が担当)。サントリーホールディングス、ヤンマーと並ぶ、関西地盤の三大非上場大手企業でもある。「工務店」の名前をはじめて使ったのも同社だが、工務店とは大きくかけ離れたスーパーゼネコン(総合建設請負業)で、全国の建築の主な物件を施工している。
自社の施工した物件を「作品」と呼ぶことでも知られている。スーパーゼネコンの中でもBCS賞(建築業協会賞)を最多受賞しており、設計や品質に対する評価が高く、特命受注の比率も高い。
創業は名古屋だが、設立の地が神戸ということ、現会長の竹中統一が同じ神戸の甲南大学出身ということもあり、近畿の小学校、中学校、高等学校、大学(公立・私立を問わず)の新築や増改築工事の大半が同社による設計施工である。
創業以来、社長には常に創業家の人物が就いてきたが、2013年3月より宮下正裕が初めて創業家以外から社長に就任した[1]。
アトリエ系建築家の出江寛、早川邦彦、菊竹清訓、柳澤孝彦、鈴木了二等、同社設計部から多くの建築家を輩出している。
コーポレート・メッセージは「想いをかたちに」。
沿革
- 1610年(慶長15年) - 織田信長の元家臣、初代竹中藤兵衛正高が名古屋で創業。神社仏閣の造営を業とする。
- 1899年(明治32年) - 14代竹中藤右衛門、神戸に進出、創立第1年とする。三井銀行神戸小野浜倉庫を施工する。
- 1909年(明治42年) - 合名会社竹中工務店設立。神戸を本店に名古屋を支店とする。資本金10万円。
- 1923年(大正12年) - 本店を大阪市に移転し、神戸本店を支店とする。
- 1935年(昭和10年) - 神戸モスク施工。
- 1937年(昭和12年) - 株式会社竹中工務店を設立。資本金150万円。 取締役社長竹中藤右衛門。
- 1945年(昭和20年) - 竹中藤右衛門が会長に、竹中錬一が社長に就任。
- 1958年(昭和33年) - 東京タワー施工。
- 1973年(昭和48年)-琉海ビル陥没事故。
- 1980年(昭和55年) - 竹中錬一が会長に、竹中統一が社長に就任。
- 1988年(昭和63年) - 日本初の空気膜構造による多目的スタジアムである東京ドーム竣工。
- 1993年(平成5年) - 日本初の屋根開閉式多目的スタジアムである福岡ドーム竣工。
- 1997年(平成9年) - 大阪ドーム、ナゴヤドーム、横浜国際総合競技場竣工。
- 1999年(平成11年) - 創立100周年。
- 2004年(平成16年) - 東京本店を東京都江東区に新築移転。
- 2006年(平成18年) - ミッドランドスクエア(名古屋)竣工。
- 2007年(平成19年) - 東京ミッドタウン、新丸の内ビルディング竣工。
- 2010年(平成22年) - 創業400周年。
- 2013年(平成25年) - 初の創業家以外からの社長就任を発表。
不祥事
マンション建設途中で鉄筋不足の階解体やり直し
- 2007年(平成19年)11月19日、東京都港区に建設中の27階建て超高層マンション(高さ約94メートル)の8階部分で、強度の劣る鉄筋が使用されていたとして、8から9階部分を一旦解体して工事をやり直すことが判った。建設途中の上層階を丸ごと取り除くのは異例。[2][3][4]
労災隠し問題
- 2007年12月28日付の報道によると、同社が大阪市福島区内の高層マンション建設現場で、同社の下請け建設会社『エアーテック』社員が、落下してきたコンクリートホースの直撃を受け、重傷を負った労働災害事故について、同社の52歳の作業所長が、自分が受け持つ別の解体工事現場で労災が起こったと虚偽の報告をさせ、労災を隠していたとして、エアーテックとその社長とともに、大阪地検から11月29日に、労働安全衛生法違反容疑で略式起訴されていたことが判明した。[5][6]
- 同社が愛知県刈谷市で建設中の、トヨタ車体の新工場の建設現場で、労災事故があったにもかかわらず、届けていなかったと2007年12月19日に同社が発表。刈谷労働基準監督署が、労働安全衛生法違反の疑いで調査中。[7][8]
無許可でアスベストを含むビルの解体
- 2006年(平成18年)12月21日、大阪府大阪市中央区心斎橋筋一丁目の商業ビルで行われた耐震補強工事で、大阪府条例の定めるアスベスト飛散基準の31倍のアスベストを飛散させたとして、大阪府は再発防止を勧告すると同時に業者名を公表した[9]。
- 2008年(平成20年)10月09日、東京都港区東麻布のビルを解体した際にアスベストを含んでいると知りながら条例で定められている作業計画を都知事に提出しなかったとして、同年2月に港区長に告発される。麻布署は東京都環境確保条例違反容疑で、竹中工務店(大阪市中央区)と当時の東京本店長(61)を書類送検した[10]。
申告漏れ(所得隠し)の発覚
- 同社子会社の竹中土木の工事費を肩代わりして支出したことなどに関して、2008年-2011年12月期までの3年間に亘り、約3億3,000万円の申告漏れ(うち約1億9,000万円は意図的な所得隠し)を大阪国税局から指摘されていたことが、2013年3月に判明した[11]。
企業博物館
主な施工実績
関連会社
- 竹中土木
- 竹中道路
- アサヒファシリティズ
- TAKリアルティ:2010年4月竹中工務店と合併
- 日本ホームズ:2009年3月解散
- TAKシステムズ
- TAKエンジニアリング
など
脚注
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 超高層マンション、鉄筋強度不足で部分解体 竹中工務店、産経ニュース
- ↑ 竹中工務店建設の超高層マンションで劣悪鉄筋を使用、日本バイヤーズエージェント協議会
- ↑ 竹中工務店、痛恨の配筋ミス-「鉄筋不足」報道後に通知
- ↑ 竹中工務店に関する指名停止措置について、近畿地方整備局、平成19年12月12日PDFファイル
- ↑ http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071201i106.htm
- ↑ 竹中工務店が労災隠し、トヨタ車体の工場建設で- 07/12/19 | 共同通信配信NEWS
- ↑ http://mainichi.jp/select/jiken/news/20071220k0000m040194000c.html]
- ↑ 大阪・御堂筋沿いの商業ビル工事、アスベスト大量飛散 朝日新聞社、2006年12月21日22時23分付。2012年10月3日閲覧。
- ↑ 石綿ビル解体時、申請怠った疑い 竹中工務店を書類送検 朝日新聞社、2008年10月10日8時54分付テンプレート:リンク切れ
- ↑ 竹中工務店3億円申告漏れ 国税局、一部を所得隠し認定 朝日新聞 2013年3月22日
関連項目
- 日本の企業一覧 (建設)
- 朝日放送(2012年現在第10位の大株主)