ソニック (列車)
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ソニック (Sonic) は、九州旅客鉄道(JR九州)が博多駅 - 柳ヶ浦駅・大分駅・佐伯駅間を、鹿児島本線・日豊本線経由で運行する特急列車である。
目次
概要
特急「ソニック」は1995年4月20日のダイヤ改正時に、特急「にちりん」の博多駅 - 大分駅間運行の列車のうち、同年3月より「にちりん」で営業運転を開始していた新型車両の883系電車を充当する列車に「ソニックにちりん」の列車名が与えられたのを発祥とする。その後883系の増備が進み、1997年3月22日のダイヤ改正で当時博多駅 - 大分駅間に運行されていた16往復の「ソニックにちりん」「にちりん」のうち15往復が883系での運行になったのを受けて、485系電車充当の1往復も含めた博多駅 - 大分駅間の特急は「ソニック」に統一された。
「にちりん」が2000年に大幅な本数減、さらに2001年には博多駅発着から小倉駅発着に変更されたのを受け「ソニック」はほとんどの時間帯で毎時2本運行されるようになった。この増発分に関しては主に885系電車の投入で対応している。その後「にちりん」は2003年以降さらに別府駅または大分駅以南の運行に短縮されていき、2008年3月15日のダイヤ改正で定期列車の小倉駅乗り入れも消滅。このようにして、福岡県と大分県を結ぶ役割は「ソニック」に移行していった。
列車名の由来
883系電車の愛称 sonic(英語で「音速の」を意味する)が列車名の由来である。
運行概況
博多駅 - 佐伯駅間に2往復、博多駅 - 大分駅間に29往復、博多駅 - 柳ヶ浦駅間に1往復[1]運転されている。日中は博多駅 - 大分駅間で毎時上下各2本を運行しており、同区間を約2時間で結んでいる。このほか多客期には小倉駅 - 大分駅間の列車が増発されるが、883系電車・885系電車で運行する列車は「ソニック」、それ以外の車両で運行する列車は「にちりん」として運行している。なお、「にちりん」として運行する場合、別府駅または大分駅で「ソニック」に接続している「にちりん」の延長運転扱いとする場合がある。
小倉駅では進行方向が逆になるため、小倉駅に到着する直前には、座席を逆方向に転換するように促す車内放送が流れる。
2011年3月11日までは小倉駅→大分駅間に下り1本[2]の設定があったが、「にちりん」との系統統合に伴い消滅している。博多駅発最終と大分駅発始発は「ドリームにちりん」の系統分割によるもの。
停車駅
博多駅 - (吉塚駅) - (香椎駅) - (福間駅) - (東郷駅) - (赤間駅) - 折尾駅 - 黒崎駅 - (八幡駅) - (戸畑駅) - 小倉駅 - (下曽根駅) - 行橋駅 - (宇島駅) - 中津駅 - (柳ヶ浦駅) - (宇佐駅) - (杵築駅) - (亀川駅) - 別府駅 - 大分駅 - 鶴崎駅 - 大在駅 - 幸崎駅 - 臼杵駅 - 津久見駅 - 佐伯駅
- ( )内の駅は一部列車のみ停車。日中は( )のない駅のみに停車する列車と、これに加えて香椎駅・戸畑駅・宇島駅・柳ヶ浦駅・宇佐駅・杵築駅に停車する(2 - 3時間に1本程度はさらに亀川駅に停車)列車が毎時1本ずつ運行されている。
使用車両・編成
ソニック | ||||||||||||||||
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大分車両センター所属の883系電車、南福岡車両区所属の885系電車が充当されている。
883系は1995年3月18日の車両新製投入時より運用されており(1995年4月19日までは「にちりん」として運行)、博多駅 - 大分駅間の列車19往復と、博多駅 - 佐伯駅間、博多駅 - 柳ヶ浦駅間の列車各1往復の計21往復に充当されている。1997年3月22日のダイヤ改正で投入された車両に関しては5両編成で運行されていたが、2008年7月19日より7両編成に統一されている。
885系は博多駅 - 大分駅間の列車10往復と、博多駅 - 佐伯駅間の列車1往復の計11往復に充当されている。883系と同様に2000年3月11日の車両新製投入時より運用されているが、当時は「ソニック」用の車両区分はなく「かもめ」用の6両編成(「白いかもめ」)で運行されていた。2001年3月3日のダイヤ改正で「ソニック」用の5両編成(「白いソニック」)が投入され、885系に関しては「白いソニック」で運行されるようになったが、2003年3月15日のダイヤ改正で「白いソニック」が6両編成に増車されて以降は「白いかもめ」が「ソニック」運用に入ることが次第に増え、現在は使用される車両の区別はなくなっている。
「ソニック」は全編成を通して883系の1編成しか予備編成がなく、検査や悪天候などにより車両の変更がしばしば起こるが、883系・885系だけで運行できなくなった際には783系電車・787系電車が運用に入ることもある。
1997年3月22日から2000年3月10日までは、下りの始発、上りの最終の1往復のみ485系電車で運行されていた。これは、1997年3月22日のダイヤ改正で日豊本線の特急列車は使用車両に関係なく、大分駅発着列車は「ソニック」、大分駅以南に乗り入れる列車は「にちりん」に統一されたためであるが、883系が最高時速130kmの振り子車両であるのに対し485系は最高時速120kmの非振り子車両であったため、博多駅 - 大分駅間の所要時間は30分近く長かった。また、時刻表では485系で運行する「ソニック」に「レッドエクスプレスで運転」との注意書きがあった。
また2000年3月11日から2001年3月2日までは3往復(うち1往復は佐伯駅発着)に783系電車が充当されていた。「ソニック」と、2000年3月11日ダイヤ改正で787系から783系に車両変更となった「にちりんシーガイア」「ドリームにちりん」での運用のため、それまで全車南福岡車両区(当時は南福岡運転区)所属だった783系の一部が大分車両センター(当時は大分鉄道事業部の一部門)に転属したが、783系の「ソニック」運用は1年で終了し、再び全車南福岡車両区所属となった。ただし、前述の通りその後もごく稀に783系が「ソニック」運用に入ることもある。
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883系「ソニック」(旧塗装)
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「かもめ」編成で運行された「ソニック」(行橋駅)
利用状況と競合交通機関
5両編成の列車は特段混雑が激しかったことから、2008年7月19日より5両編成の883系は7両化され、883系の全編成が7両編成となった。博多駅 - 小倉駅間や博多駅 - 大分駅間などでは都市間輸送の競合が激しく、この「ソニック」でも様々な対抗策を打っている。この競合が利用者にとってわかりやすい運賃体系、移動時間の短縮などを生み出している。
博多駅 - 小倉駅間
山陽新幹線や西日本鉄道(西鉄)の高速バス「ひきの号」「なかたに号」「いとうづ号」と競合する。JR九州の博多駅 - 小倉駅間では「ソニック」と他の特急列車を合わせて毎時3本程度が運行されており、所要時間は40分から55分程度で、新幹線が通らない黒崎駅や折尾駅といった北九州市の市街地内の駅を経由し、割引企画乗車券として「2枚きっぷ・4枚きっぷ」(1枚あたりの価格が普通運賃より安いものもある)を発売している。新幹線は博多駅 - 小倉駅間を20分程度で結び、土曜日・休日のみ利用可能な往復割引企画乗車券「新幹線よかよかきっぷ」を発売している。高速バスは西鉄天神バスセンター(天神) - 砂津バスセンター(小倉)間に運行されており、所要時間では85分前後を要するものの、通常運賃が2枚きっぷ・4枚きっぷよりも安く、回数券も用意されている。運行間隔は約5 - 15分と短く、北九州市内の駅から離れた市街地を経由することや、福岡市の中心部である天神に直通することなどが特徴である。
博多駅 - 大分駅間
西鉄・大分交通などが運行する九州自動車道・大分自動車道経由の高速バス「とよのくに号」と競合する。高速バスは運行経路が短いため「ソニック」と所要時間の差がほとんどなく、「ソニック」より安価で、天神発着であることや、福岡空港・鉄輪温泉(別府便のみ)を経由する便がある。ただし、大分自動車道は天候による速度規制や通行止めなどが多く、雨や雪の日は高速バスの客が本列車群に流れてくる。
その他
佐伯方面についても、2008年6月27日に東九州自動車道が佐伯まで開通した。おもにマイカーとの競合となっているが、大分駅 - 佐伯駅間では大分バスが一般道経由の急行バス「さざんか」を運行している。
豊前市や中津市・宇佐市などの大分県北部では高速道路が未整備で、競合する高速バス路線がない[3]ため利用者は多く、優位に立つ。これは小倉駅 - 大分駅間でも言えることで、2枚きっぷ・4枚きっぷの値段は博多駅 - 大分駅間に比べて割引率が小さい(博多駅 - 大分駅間と小倉駅 - 大分駅間では4枚きっぷ使用時の1枚あたりの差は50円しかない)。小倉 - 別府・大分間では高速道路網が完全に整備されていないものの高速バスが運行されている。
博多駅 - 行橋駅間では西鉄バス北九州が運行する福岡 - 行橋間の高速バスと競合している。「ソニック」のほうが所要時間が大幅に短く、本数も多いが、高速バスのほうが安価である。
乗車制度の特例
「ソニック」は西小倉駅を通過して運行経路上、小倉駅で折り返して運転するため、小倉駅から博多方面と大分方面を引き続き乗車する場合は、西小倉駅 - 小倉駅間は重複乗車となるが、特例により小倉駅 - 西小倉駅間のキロ数は含めないで運賃計算を行う。ただし、小倉駅で途中下車はできない。
また特急料金についても、同様に西小倉駅 - 小倉駅間のキロ数を含めないで計算する。
国鉄時代末期の1987年3月に西小倉駅に鹿児島本線ホームが設置されるまでは、小倉駅 - 西小倉駅間は日豊本線にのみ所属しており、重複乗車とはならなかったため、この特例の適用対象ではなかった。この当時、博多駅 - 大分駅間(小倉駅経由)の営業キロは200kmをわずかに超える201.1kmだったが、特例の適用により200km以内に収まるようになった。
沿革
- 1995年(平成7年)4月20日:「にちりん」のうち博多駅 - 大分駅間運行の一部列車において883系電車を使用し、当該列車の名称を「ソニックにちりん」に変更(車両は改正前の3月から使用)。
- 1997年(平成9年)
- 3月22日:「ソニックにちりん」と「にちりん」のうち、博多駅 - 大分駅間の列車を「ソニック」に統一し、所要時間は上り平均2時間7分、下り平均2時間9分に短縮。16往復のうち15往復は883系で運行されたが、始発1号と最終32号の1往復は、485系電車「RED EXPRESS」が用いられていた。この列車は、時刻表に『「レッドエクスプレス」で運転』と脚注が付けられており、「ソニック」より30分程度所要時間が長かった[4][5]。この「ソニック」にもヘッドマークは用意されたが、普段は「にちりん」のものが使われていた[6]。
- 11月29日:ダイヤ改正で上り平均2時間4分、下り平均2時間6分にスピードアップした。
- 1999年(平成11年)3月13日:博多駅 - 大分駅間を最速1時間59分で運行を開始。また通勤・通学需要に対応し中津駅発着列車を設定。この列車の号数は100番台が与えられている。
- 2000年(平成12年)3月11日:ダイヤ改正により、以下のように変更を行う。
- 利用率の低迷による「にちりん」削減の代わりに「ソニック」を16往復から22往復に増発。このうち2往復を佐伯駅発着とする。
- 一部列車に885系電車(「白いかもめ」用6両編成)および783系電車(ハイパーサルーン)を投入し、前述の485系レッドエクスプレス車を用いた運用を終了。
- このころから下曽根駅など、列車によってこまめな停車も見られるようになる。
- 2001年(平成13年)3月3日:ダイヤ改正により、以下のように変更を行う。
- 「にちりん」を小倉駅発着に変更し、「ソニック」22往復から28往復に増発。これにより、時間帯によっては小倉駅 - 大分駅間で特急が1時間に「ソニック」2往復、「にちりん」1往復運転されるようになる。佐伯駅発着は3往復。
- 「ソニック」用に新造された885系電車(5両編成)運用開始。「白いソニック」の愛称が与えられる。これに伴い783系は撤退。
- この改正で一部が小倉駅発着になった「有明」と合わせて、博多駅 - 小倉駅間で特急の1時間3往復運転を開始。
- 2002年(平成14年)3月23日:中津駅発着列車を大分駅まで延長。中津駅 - 大分駅間は臨時列車扱い。この時点では号数は100番台のまま。
- 2003年(平成15年)3月15日:この時のダイヤ改正により、以下のように変更を行う。
- 「にちりん」は一部を除いて別府発着になり、「ソニック」は別府駅・大分駅で「にちりん」と接続するようになった。これに伴い、「ソニック」と「にちりん」において特急料金の通算を設定。また、佐伯発着列車は2往復に減便の上、885系のみ充当されるようになる。
- 「白いソニック」は6両編成となって「白いかもめ」と両数が同じになったことから、「ソニック」への「白いかもめ」の充当が再び見られるようになる(逆に「白いソニック」を「かもめ」に充当する場合もあった。これは博多駅 - 大分駅間を小倉駅経由で約200kmあるのに対し、博多駅 - 長崎駅間が160km程度であるため、整備の都合上走行距離を合わせる目的で行われる)。後に2011年よりかもめ・ソニック編成ともに青帯となり、2012年までにフロントエンブレムなどを除き、全編成が青帯に統一された。
- 101・102号は全区間定期列車化の上、号数を57・2号とする。
- 2004年(平成16年)
- 2005年(平成17年)
- 2007年(平成19年)3月18日:中津駅発着列車を柳ヶ浦駅発着に延長。全車禁煙化。
- 2008年(平成20年)
- 3月15日:ダイヤ改正により以下のように変更を行う。
- 柳ヶ浦駅発着列車のうち1往復を大分駅発着に変更(従来の101・104号が該当。この2本は55・2号となり、従来の55・57号、2 - 58号は号数に2ずつ加算、103号は101号に変更)。
- 1往復だけ小倉駅に乗り入れていた「にちりん」の小倉駅 - 大分駅間を「ソニック」として系統分離。下りは201号の号数を与え、上りは博多駅まで延長の上62号とする。
- 7月19日:883系電車をリニューアルした上で全列車7両編成化。これに伴い、佐伯駅発着列車への883系充当が復活。
- 9月26日:チャレンジ!おおいた国体開催に合わせて787系による臨時列車「おおいた国体号」を博多駅・小倉駅 → 大分駅間で運行。
- 3月15日:ダイヤ改正により以下のように変更を行う。
- 2009年(平成21年)
- 2010年(平成22年)8月6日 - 9月28日:8月28日・29日に大分銀行ドームで開催されるEXILEのコンサート『EXILE LIVE TOUR 2010 "FANTASY"[D]』PRのため、EXILEのメンバーを描いた883系7両編成のラッピングトレインを運転[7]。
- 2011年(平成23年)
- 1月15日・16日:同日に福岡Yahoo! JAPANドームで開催された嵐のコンサート『ARASHI 10-11 TOUR "Scene" 〜君と僕の見ている風景〜』の観客輸送用として設定された臨時列車「ソニック91号」(博多駅 - 大分駅間)に充当予定だった883系に車両トラブルが発生したため、急遽485系『KIRISHIMA & HYUGA + RED EXPRESS』の8両編成(Do-31編成・Do-3編成)で運行される[8]。485系が「ソニック」として運用されるのは10年10か月ぶり。
- 3月12日:ダイヤ改正により、次のように変更。
- 「ドリームにちりん」が廃止され、博多駅 - 大分駅間で深夜・早朝に「ソニック」が1往復増発[9]。
- 別府発着「にちりん」との直通運行により、下り小倉駅始発の1本が「にちりん」として、上り1本が「にちりんシーガイア」として運行されるようになり、2年ぶりに全列車が博多駅発着となる。
- 2014年(平成26年)3月15日:ダイヤ改正により、小倉駅→博多駅間で3号車を自由席とする(102号、及び平日の2・4・6号を除く)。これにより、小倉駅→博多駅間において自由席特急券等で指定席に着席できた制度を廃止[10]。
脚注
関連項目
外部リンク
テンプレート:JR九州の列車- ↑ 朝・夕のみの設定で号数は100番台が与えられている。2007年3月17日までは中津駅発着だったが柳ヶ浦駅まで延伸された。
- ↑ 朝のみの設定で号数は200番台が与えられていた。2008年3月15日の「にちりん」小倉乗り入れ中止に伴い設定
- ↑ かつては福岡市と豊前市・中津市を結ぶ路線や、大分市・別府市と宇佐市・中津市を結ぶ路線があったが現在では廃止されている。
- ↑ 専用の883系が振り子式だったのに対し、485系は振り子機構を装備しておらず曲線通過速度制限が大きかった事から。
- ↑ プレイステーション用ソフト「電車でGO! プロフェッショナル仕様」では、隠しダイヤとして当該列車ソニック1号が運転できる。
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite press releaseテンプレート:リンク切れ
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite press releaseテンプレート:リンク切れ
- ↑ 鹿児島本線 小倉→博多間(下り)にて博多行き特急「ソニック」の自由席を増やします(JR九州、2014年1月31日)