TOMIX
テンプレート:出典の明記テンプレート:宣伝 トミックス (Tomix) は、日本の鉄道模型ブランドである。ここでは、注釈の無いものはNゲージとする。
目次
概要
1976年に玩具メーカーのトミーによって創設されたブランドである。2001年には同社子会社の株式会社トミーテックに事業譲渡された。直流2線式のNゲージの車両・線路・ストラクチャー・アクセサリー・制御機器など、および直流2線式の16番ゲージの車両を製造している。模型専門店のみならず、一般的の玩具店や量販店にも販路を持つことを強みとしている。
沿革
1974年にトミーはアメリカのバックマン製品を輸入し、トミーナインスケールブランドで発売した。単品販売のほか、模型運転に必要な線路と車両、制御機器をまとめた「基本セット」を発売し、Nゲージの普及を試みた。
日本型車両はED75形電気機関車(初代製品)や2軸貨車をはじめとして、バックマン製品と同様に香港のケーダー社の製造で、先行する関水金属製品に比べ、安価な設定であった。相次いでDD13形ディーゼル機関車とKSKタイプCタンクが発売され、バックマン製の小形スイッチャーはCタイプディーゼルとして日本風にアレンジして発売された。これ以外の製品はすべてアメリカ型で、日本型車両はまだわずかであったが、動力車を含め車両を渇望していた当時の市場に少なからぬ実績を残した。
1976年にトミーは本格的にNゲージ総合メーカーを目指すこととし、ブランド名をTOMIX(トミックス)に改め、外国への生産依存の姿勢を脱して製品を国産化することとした。また、関連製品を含めて、鉄道模型システムを構築しているドイツの鉄道模型業界の要素を取り入れ、1977年からNゲージ道床つき・組み立て式レールシステムを発売し、それと組み合わせるストラクチャーや制御機器を発売した。
1977年にトミー初の16番ゲージ車両としてトミーHOスケールブランドで国鉄EF58形電気機関車、国鉄12系客車が発売されたものの、生産は一度にとどまった。その後、1995年の国鉄10系客車から、トミックスブランドでの16番ゲージ(同社ではHOと表記)車両製造に本格的に参入した。
- 生産国の推移と近年の動向
かつては前述のように香港ケーダー社によるOEM供給であったが、後に日本国内での生産に切り替え、その後1990年代後半からは中国製が出現し始めた。しかし、2009年後半からは既存製品のリニューアルが増えてきており、主に時代の推移に端を発する品質、ディティールの劣化、実物の変貌などを理由とした車体の新規製作、無電区間に強いフライホイール式動力ユニットへの交換が多い。また、その際に生産国を中国から日本国内での生産に切り替えた製品も多い。
製品
ブランド制定から一貫して、Nゲージ鉄道模型のシステム化に力を入れている。特殊な線路、サウンド機能付き制御機器、レイアウト用品などの関連製品も積極的に展開している。16番ゲージでは車両のみを展開している。
製品は射出成形によるプラスチック製がほとんどで、基本的に塗装済み完成品として販売している。
車両
製品化の傾向として、1970年代以降の国鉄黄金時代の車両を中心に据え、塗装変更車などのバリエーション展開は積極的だが、ヨンサントオ以前の車種や蒸気機関車、新幹線及び首都圏を除くJR型車両、特に優等列車に関してはそれほど積極的ではない。しかし、昨今の国鉄車両人気の高まりとともに見直され、C57形蒸気機関車やスハ32系客車など、戦前の名車の発表が相次いでいる。近年ではセット販売が主体で単品販売は少ない。Nゲージの車両セットの一部製品は3両セットを基本にしており、「ベーシックセット」と呼ばれる線路や制御機器とのセットと、車両セットを自由に組み合わせることが可能である。16番ゲージの車両セットは4両が基本となっている。また、実車の新車登場後間もない段階での製品化が、結果的に初期車の少数グループとなってしまう傾向にあり、仕様追加された増備車両への対応がなされないこともある[1]。
同一形式の色違いが豊富であり、国鉄車両の広範なグループの地域カラーや派生形式を積極的に製品化している。近年では車体部品の共用を行わず、細部の違いを再現するために専用の金型を製作している。地方ごとに特色のあるデザインの車両の製品化もされており、115系を例に取ると、湘南色、横須賀色、長野色、信州色、旧新潟色、新潟色、新新潟色、瀬戸内色、身延色、福知山線タイプ[2](限定品)などのバリエーションがある。
JR西日本207系1000番台電車は、再生産スケジュールが予定されていた矢先に福知山線脱線事故が発生したため、自粛し生産が凍結された[3]。後継のJR西日本321系電車を製品化した後の2009年2月に、新塗色車を発売した。
細部にこだわったハイグレードシリーズ (後述)の製品は高価であるほか、既存製品も新規金型を使用したリニューアルが実施されると価格帯が上昇する。一方で他社と競合するものや入門者向けの車種では、TNカプラー(後述)の装備を省略してオプション品としたり一部に安価な部品を採用して、価格帯を下げる傾向も見受けられる。
- 動力車
1980年代半ばまでスプリングウォームによる伝動方式を採用していたが、それ以降はシャフト及びギアを使用した伝動方式(登場以降からスプリングウォーム方式が淘汰された頃までの期間は、各種印刷物等で「新動力機構」と呼称されていた)になり、16番ゲージ車両でも採用された。リニューアル発売される製品も順次改良されている。なお、DCCには対応していない。
近年の新製品はフライホイールの搭載が標準的となり、既存製品もリニューアル時にフライホイール付き動力となることが多い。
- ハイグレードシリーズ
1991年に発売したJR東日本253系電車は、新開発の伸縮式ボディーマウントTNカプラーを装備し、従来省略されていた妻面と床下の機器類を細かく再現した。この徹底した作り込みは253系独自の製品仕様とされたが、トミーは製品の好評を受け、仕様を引き継いだハイグレード製品の企画を立ち上げた。伸縮式ボディーマウントTNカプラーを標準装備とすることで、通常省略されている妻面や床下の機器等の再現を可能にした。また別パーツ化(例えば乗務員ステップやタイフォンカバー等。後者などは選択式の場合もある)による細部にわたる徹底した作り込みを謳った。ハイグレード製品の発売は、順次拡大している。
ハイグレード製品として初めて発売されたキハ58系[4]は好評で即座に再生産され、のちに地域カラーや改造形式(JR九州キハ71系気動車など)が加わり、トミックスの中心的な車両シリーズへと育っている。
- TNカプラー
TNカプラーは、Nゲージの国際標準であるアーノルト社のラピードカプラー(トミックスではアーノルドカプラーと称している)やケーディーカプラーと比較して遥かに実感的な形状と大きさを持ち、なおかつ実用上充分な連結機能を備えている。また、支点支持方式を工夫した伸縮機構によって曲線上では伸長し、実物より急な曲率のカーブを走行する模型車両の車端部の接触を避け、かつ直線上では車両の間隔を狭く保つ事ができる。これによって、外観やスケールを重視するか実用性を重視するか、という従来の二者択一を解消した。ただし、TNカプラーの連結機構はカプラーの小さなフックと圧力で嵌め込み連結する構造上、自動連結・自動遅延解放には対応できない。
カプラーの形状は自動連結器型、密着自動連結器型、密着連結器型の3種で、従来の台車マウント型カプラー(アーノルドカプラー)交換用に伸縮機能がない製品もある。また、EF63形電気機関車製品化にあたり、同電気機関車が備える双頭連結器を模型でも実現した双頭TNカプラーを開発・採用した。
トミーテックは現在テンプレート:いつ、TNカプラーのライセンスを他メーカーにも与えている。グリーンマックスはTNカプラーのOEM供給を受け、MODEMOはライセンスによって製品に互換性のある連結器を装備させている。マイクロエースのほとんどの製品は伸縮式TNカプラーが取り付け可能な構造となっていたが、後に自社開発し「マイクロカプラー」の販売を開始した。ただし、マイクロエースの車両にTNカプラー、もしくはトミックスの車両にマイクロカプラーを取り付けることは、可能な場合があるものの正式対応はしていない。
- 室内照明
客室内を照らす室内照明を「室内照明ユニット」という商品名で発売している。電球タイプとLEDタイプがある。グリーンマックスは自社製の室内灯がないため、トミックスの室内灯をオプションとして説明書などに記載している。マイクロエースもトミックスの室内灯が取り付け可能な構造であるが、後に同様な構造の製品を発売している。
新幹線
鉄道模型メーカーの中では最も多くの新幹線車両を製品化している。同社の新幹線車両は縮尺1/160となっている。車体をドローバーで連結し、全周を貫通する形態が実車とは異なるものの、新幹線特有の外幌を再現している[5]。2005年には独特な先頭形状で製品化が困難と言われたE4系を各社に先駆けて発売[6]、また700系「のぞみ」(B編成)の発売により、運行されている新幹線列車をほぼ網羅することとなった。さらに、東北新幹線で行われている「やまびこ+つばさ」などの2編成の併結運転を、収納式TNカプラーの採用により実車同様の実感的な形で可能とした。
1986年に1度だけ生産された100系小窓試作車は増結用セットや単品の発売もなかったため、レアモデルとされるテンプレート:誰2。
機関車
2010年現在はC57形(135号機、2代目製品)やきかんしゃトーマスシリーズなどを発売しているが、歴史的に見れば蒸気機関車の製品化にはあまり積極的ではない。かつて発売した自社設計の蒸気機関車は、K.S.KタイプCタンク(三井埠頭専用線の5号機に似たスタイル) 、C57形(初代製品)、9600形程度で、いずれも短期間で生産終了している。ディーゼル機関車では、実在しないフリースタイルのCタイプ小型ディーゼル機関車も発売しており、車体カラーはオレンジ、黄、青、緑、白、茶色の6色がある。
トミックスの機関車の特徴として、自動解放・遅延解放に対応したMカプラーが挙げられる。Mカプラーとは磁石を内蔵したアーノルドカプラーで、線路上に埋め込んだ永久磁石の上で停止するとカプラーが跳ね上がり、客車や貨車と機関車の連結を切り離す。そのため、手軽に突放・機回しや入換を行うことができる。
貨車
「トミーナインスケール」の頃より種類は豊富で、事業用車など特殊な車両まで展開している。2軸・小型貨車は他社が2両以上のセット販売が多い中で、1両単位で販売している。初期の香港製のものは取り扱いを終了しているが、その後、金型を保有するケーダー社より製品の供給を受けたグリーンマックスや河合商会(2012年に倒産)から復活販売されているものもある。
かつて発売されていたタム6000形は、先述のCタイプ小型ディーゼル機関車と同様、実在しないフリースタイルの貨車であったが、現在はタム500タイプとして発売しており、実車にはない銀色や黄色のものも発売している。また、コム1(積載コンテナであるC10コンテナも同様)やチ1も「タイプ」と銘打っており、実車とはサイズもスタイルも異なる。
コンテナ貨車は、上記コム1の他コキ5500を発売していた程度だったが、コンテナ1個単位で着脱可能なコキ50000系を発売して以降、載せ替え用のコンテナやコキ100系、コキ200といったJR貨物の新系列コンテナ貨車の発売に力を入れている。特にコキ50000系で確立したコンテナの脱着機構は、他社においてもほぼそのままの形で採用されデファクトスタンダードとなっている。
客車
寝台車は14系14形、24系25形100番台を中心に長年発売してきたが、近年テンプレート:いつ14系15形、24系24形、24系25形0番台を製品化した。列車名を冠してその編成独自の個室車、改造車が含まれたものなどのセット販売が中心で、単品販売は少ない。
一方で一般型客車は、初期から販売しているオハ35系および50系程度だったが、2009年のC57形蒸気機関車(2代目製品)発売の布石として、60系およびスハ32系を相次いで発売した。
なお、2001年以前に発売された客車は、旧型のボディーマウント式TNカプラーには対応していなかった。旧型ボディーマウント式TNカプラーでは、カプラー復元バネの構造上連結面のアソビの部分が少ないため重心移動によるショックを吸収できず、脱線を起こしやすかったことによるもの。
- TNカプラー使用による列車の脱線は、編成が長くなるほどその危険度が高まる。
- ただし台車マウント式の場合は、カプラーポケット部でいくらかのアソビを持たせられるため、ボディーマウント式よりは脱線のリスクは低まる。
ただし、2009年になって新登場したコイルバネ式の改良型ボディーマウントTNカプラーは上記の問題点が大幅に改善され、それ以降の客車の新規製作品はほぼ全てがボディーマウント式TNカプラー対応になっている。これによって従来は連結機能の無いダミーカプラー化が必須条件だった客車最後尾の細密表現が、連結機能を損なうことなく可能になった。
私鉄車両
小田急ロマンスカー(VSE、LSE、HiSE)や、名鉄7000系パノラマカー、東武100系スペーシア等の大手私鉄特急電車と、後述のミニカーブレールに対応した小型の第三セクター鉄道の軽快気動車、JR車輛や大手私鉄の色変えで済む地方私鉄や第三セクター鉄道の車輛程度しか製品化しておらず、他社と比べても圧倒的に製品ラインナップは少ない。
また、いずれの製品もカタログにはあるものの積極的な生産はしておらず、また古くからある製品ではライトや動力機構等の製品仕様が旧来のままで近年の新製品と比べて見劣りするものも多く、リニューアルも軽重なものしか行わない。例えば、1980年代から1990年代前半にかけては西武5000系レッドアローや第三セクター鉄道各社のレールバス等も販売していたが、リニューアルする事なく生産中止した。
特急型車両を製品化する一方で、通勤型車両については製品化に非常に消極的で、2013年現在相鉄11000系の製品化が唯一である。
きかんしゃトーマスシリーズ
イギリスのテレビ番組『きかんしゃトーマス』の製品群を展開しており、Nゲージでは世界初としている[7]。トーマス・パーシー・ジェームス・ヘンリーといった機関車、客車や貨車の他、車両・線路・制御機器および風景マットを収めた基本セットや、駅や水車小屋、風車など専用のストラクチャーも発売している。通常のNゲージ製品よりも大振りな形態で、造作もあえて玩具的にしているのが特徴。人形や自動車等のアクセサリー類は展開していない。また2001年から2012年現在までの商品カタログでゴードンの製品化予告を毎年掲載しているが、いまだ実現していない。
TCS車載カメラ搭載セット
2005年、キハ187形の前面にCCDカメラを搭載した「TCS車載カメラ搭載セット(キハ187形)」を発売した。特殊な改造なしで走る車両からの前面展望映像を伝送し簡単に楽しめる車載カメラである[8]。他社のカメラがマイクロ波を使用して空間伝送するのに対し、線路を通して伝送する。車輪と線路の伝導性を向上させるため、車輪は銀製となっている。マイクロ波での空間伝送と比較して伝送チャンネルが1チャンネルのみで、1つの線路上に1台だけが使用できるが、線路が電気的に切り離されていれば複数の車両をそれぞれの線路で走らせても混信しない。電波の届きにくい壁を隔てた場所やトンネル内などでは、マイクロ波方式では映像が乱れる場合もあるが、本製品では線路の状態が良ければ伝送できる。そのため、本製品は車輪と線路の状態をきれいに維持する事が要求される。また、線路配置によっては映像が乱れる場合があり、それを低減させる各種製品(ノイズキャンセラー)も発売されている[9]。
16番ゲージ
1970年代にバックマンのHOスケール製品をトミーHOスケールブランドで販売しており、後に香港製のEF58形電気機関車や12系客車を縮尺1/80・16.5mmゲージで発売した。発売前のメーカーの見本市でこのEF58を予定価格4800円としており、対して見本市でエンドウ のNゲージ第一作目金属製EF58が予定価格6500円と注目をあつめた[10]。その後は長らく中断していたが、1990年代半ばに再参入した。トミックスでは16番ゲージ製品(縮尺1/80・16.5mmゲージ)を「HO」と表記していたが、2012年のカタログより「1/80・16.5mm」の表記に改めた。(品番はHO-***のまま)品番やカタログにおいては、Nゲージのようなジャンルごとの区分けはされず、一括りで扱われている。
EF66形、DF50形、EH500形等の機関車を始め、電車、気動車、客車、貨車を発売しており、一部の製品にはハイグレード仕様のものもある。蒸気機関車は製品化していない。貨車は、タンク車・ホッパ車・コンテナ車を中心とした製品展開を行っていて、タンク車・ホッパ車には、1両のみの完成品と2両分が入った組み立てキットという2種類の販売形態がある。コンテナ車は、Nゲージ同様に載せ替え用コンテナも展開している。また、南部縦貫鉄道キハ10形レールバスをはじめとして、1両でも運転を楽しめる小型車両も多く展開している。
限定品
さよなら運転など、特別な列車を再現した製品を発売している。
当日の当該列車に充当された編成や機関車を、車両番号から内装、特別装飾が施された場合はその装飾に到るまで完全に再現して製品化している[11]。寝台列車の衰退から、「さよなら○○」シリーズは寝台列車を多く発売している。
線路
1976年に国内初のプラスチック製Nゲージ道床つき・組立式システムレールを発売した。これは平面性が確保しづらい畳や絨毯の上でも、軽いNゲージ車両に容易に安定した軌道を与え、走行を確保できるものであった。それまでのNゲージでは、主に道床のない固定式線路や同じく道床のない組立式線路を使用して土台の上にレイアウトを製作し、そこで車両を走行させるすることを前提にしていた。日本では、狭い住宅などの事情によって鉄道模型専用に部屋を持てない状況が多い中、遊ぶ毎に敷設し撤去も容易にできる線路の需要が存在し、16番ゲージでは「お座敷レイアウト・フロアレイアウト」として好んで受け入れられていたが、Nゲージではトミックスが初であった。
また、ターンテーブルもフロアレイアウトで線路と直接接続できるもので、国内では唯一の存在である。その一方で固定式レイアウトでの使用も考慮し、道床の厚みは比較的低く、固定用の釘穴も開けられている。
アクセサリーなどの関連製品が充実しており、システム性が高いことも特徴である。トミックスはヨーロッパで一般的な、綿密に計算されシステム化されたレールシステムを日本へ導入した。また、輸入に頼らず国産化し普及させたが、現在では生産拠点をコストの低い中国へとシフトしている。
基本仕様・規格
- 直線線路の基本の長さは140mm。駅などでの有効長の計算を簡単にするため、20m車両約1両分 (20000mm÷150≒133mm) に近い値として設定されている。これに基づき2倍の長さの280mmや半分の70mmを加えて構成されている。
- 複線間隔は37mm(道床の幅の2倍)。これに基づき、曲線線路の半径や信号機の機械の幅などが決められている。線路間隔が他社規格と比較しやや広くリアリティに欠けるものの、新幹線等の偏移量が大きい車両も干渉せずに離合できる。島式ホームの幅は55.5mm(複線間隔の1.5倍)。
- 曲線の基本半径は280mm。これに複線間隔37mmを前後させた半径243mm、317mm、354mm、391mmなど、45度(8本で円になる)および15度が設定されている。
- 特徴として、ポイントなどを除くほとんどの線路の道床部分にフィーダー差込口がついている点が挙げられる。道床つきレールシステムの多くがフィーダーを取り付けるための専用線路を必要とする中、余分な線路を組み込むことなく給電できる数少ないシステムである。ただし見た目の面では専用線路のものよりも劣る。
- 線路同士の接続は、片側のレール先端につけられた金属製のジョイナーと道床の片側に設けられた突起(ジョイント)をもう一つのレールの同部分と組み合わせる事により行う。
- 他社に比べて両渡り付交差や三枝分岐などの複雑な構造の分岐器を多く発売している。
- 旧道床線路(生産終了)
初期のレールは耐久性を考慮し、さびないステンレスを用いていたが、抵抗が大きく電圧降下しやすいため、後期テンプレート:いつの製品より洋白製のレールを用いている。道床はプラスチック製であり、当初は茶色成型品・こげ茶色枕木であったが、1999年に「きかんしゃトーマス」セット向けとして灰色成型・黒色枕木のレールを投入し、一般向けにも発売。両者は並行して発売していたが、ファイントラックへの移行とともに生産終了となった。
なお、1984年に発売した東京ディズニーランドウエスタンリバーレールロードセット(縮尺1/80・9mmゲージ)用の9mmナロー線路(直線200mm、曲線半径200mm・45度)は、一般向けには発売されていない。
- ファイントラック
トミックスの従来の線路製品は、ジョイナーの耐久性が低いことや成型色一色の道床であることについて、見劣りが指摘されていたテンプレート:誰2。これらをリファインした製品が2002年に登場したファイントラック (Fine Track) である。不具合の多かったレールの接合部は接続が確実なジョイナーに改良された。また、道床は3色のグレーで印刷表現され、こげ茶色に塗装された枕木と相まって実感的となった。ポイント類については品質を大幅に改善した。基本の長さや曲線半径、フィーダーなどの規格については旧製品からの変更はないため混用も可能であるが、例外として最初期製品(道床のジョイント先端が丸い)との接続はできない。近年はさらに種類を増やし、スラブ軌道や複線レイアウトに便利な複線線路も発売している。
スラブ軌道の線路はバラストの線路と比較し種類は少ないが、半径500mmを越える曲線が設定されている。複線用のほか単線用もある。従来のフィーダーは枕木の間に差し込むことで目立たないようになっていたが、スラブ軌道の線路は枕木がなく目立つため、専用のフィーダーが用意されている。また、線路にカントが付いたワイドPCレールシリーズを関水金属に続き2009年10月に発売した。
複線線路は単線用と比較して種類が少ない。直線は140mmや280mmに加えて280mmの4倍の1120mm、曲線は280mmと317mm、354mmと391mm、428mmと465mmの3種類がある。構造としては側壁が取り付けられているほか、枕木はPC枕木を再現しており、近年に新設された路線の再現などに向く。フィーダーの取り付け、ホームの設置には、側壁をカットするなどの加工が必要で、これを回避するためには単線線路もあわせて使用する。単線用と直接接続可能なほか、そのまま高架橋としても使用できる。
電動ポイント
国内他社と比較して種類が豊富でレイアウトの自由度が高い。小型化に力を入れており、全長わずか70mmの電動ポイントも製品化している。
ポイントマシンは、当初交流3線式であった。大型で、複線間隔の37mmに入れることは可能であるが並列して使用することはできなかった。その後、取り外し可能な小型のものとなり、並列して、また高架駅への使用が可能となった。ポイントマシンは明るい灰色塗装であったが、発売されたバラストに合わせて濃い灰色に色調が変更された。ポイントマシンの完全内蔵化は、直流バイポーラ式への変更に伴い薄型化された1997年のNeoシリーズ化・電動ポイント-N(後述)以降であるが、従来製品の交流3線式ポイントスイッチとの互換性はない。
Neoシリーズは線路横にダミーの転轍機を設置し、トングレールを支え動かすロッドを緻密に再現している。さらにファイントラックでは、道床つきとしては日本初のダブルスリップポイント[12]、Y字ポイントも加わっている。なお、2008年2月には3方ポイントも発売し、従来製品は同年夏より完全選択式へのリニューアルが行われている。
ミニカーブレール・スーパーミニカーブレール
鉄道コレクションやBトレインショーティーなどの小形モデル・デフォルメモデルが多数発売されるようになり、これらの車両を手軽に楽しむため、基本半径を通常の半分の140mm、及び複線間隔の37mmを足した177mmとしたミニカーブレールシリーズを発売している。140mmからさらに37mmを引いて半径を103mmとした、スーパーミニカーブレールも発売している。このスーパーミニカーブレールはB4版のスペースの中にエンドレスレイアウトを作る事ができる。後述のミニ電動ポイント(電動Y字ポイント除く)を含め、走行可能な車両は限られる。
これらと同規格で、アスファルトを模した路面が一体化したワイドトラムレールも発売している。
ポイントは、半径140mm、直線側70mmのミニ電動ポイントと、道床内蔵式としては世界最小の電動Y字ポイントを発売している。これらはスプリングポイントとしても使えるように設計され、またダミー転轍機も電動式に加えてダルマ型や標識つきの手動式転轍機まで付属させている。
制御機器
トミックスでは走行に使用する制御装置をパワーユニットと称しており、一部安価な製品を除いてパワーユニットに分岐器駆動用のポイントマシンや電動ターンテーブルの制御装置など各種機器を取り付け拡張することが出来る。当初は車両が直流2線式12ボルトでポイントスイッチ類は交流3線式であったが、現在はどちらも直流2線式12ボルトとなっている。
また、実車の運転台さながらの、速度計やブレーキ圧力計などが付いており列車走行音などを鳴らすことのできるパワーユニットや、線路と家庭用電源に接続された装置に対して速度制御用のつまみなどが付いた装置から無線で指示を送ることで、列車を好きな場所から、または移動しながら制御できるパワーユニットを発売している[13]。
信号機と踏切はセンサーで連動して動作する。信号機は腕木式と色灯式があり、色灯式は2灯から5灯まであり、4灯と5灯では停止から進行まで全ての現示方式を再現(京急電鉄等で採用されている抑速現示は表示モードの切り替えにより再現可能)。踏切は、列車の接近を感知して遮断機が上下し(4本ある遮断機は2本ずつ下がる)、実際の踏切警報機で使用している電子音式(5種類)の警報音を完全に再現している。
レイアウト用品
お座敷レイアウトばかりではなく、さらにレイアウトの可能性を拡げるため、早くから独自ブランドによる商品展開を行っている。カラーパウダー・バラスト・レイアウトマット・樹木などの他、ベース用木製ボード、ボンド・シリコーン・プラスターなどのDIY店が存在しないと入手しにくい素材まで、きめこまかい商品展開を行い、自社の販路を用いて入手しやすくする方針を貫いている。
ストラクチャー・アクセサリー
初期から販売している木造駅舎・わらぶき農家の他、商店・ビル・住宅など、鉄道関係以外の建物も数多く発売している。基本的に、内装や屋上機器類を省略された簡素な形態である。
ガソリンスタンド(エネオス・JOMO・出光興産・コスモ石油・キグナス石油)やコンビニエンスストア(セブン-イレブン・ローソン・ファミリーマート・スリーエフ)のように、実在の企業名を許諾の上使用した製品も存在する。
線路関係では、先述の信号機と踏切のほか、線路の標識類、ミニカーブレールに対応した路面電車の併用軌道が再現できるパーツなども発売している。
2009年以降、人形や一部を除く自動車等のアクセサリー類は、トミーテックが同じく展開するジオコレシリーズに一本化され、トミックスブランドでの販売を中止することになった。現在テンプレート:いつトミックスの自動車はフォークリフト、クム80000形貨車に付属する4tトラックのみとなっている。
印刷物
1977年より商品カタログを毎年発行している。カタログを補完するものとして小冊子の「キロポスト」を1983年より年数回発行している。
その他にレイアウトプラン集や、キロポスト別冊としてキロポストに掲載されたレイアウトを集めた「レイアウトルーム総集編」などを発行している。パーツリストもカタログとは別に発行している。
- TOMIXの使い方
- かつて鉄道模型趣味誌 (TMS) を発行する機芸出版社から、トミックス製品に特化したガイドブックとして数年に1度の割合で発行されていた。
ソフトウェア
1990年代後期から2000年代前半にかけて、TOMIX DIGITAL(トミックスデジタル)のブランドで鉄道運転シミュレーションゲームなどのソフトウェアを展開した。この他に、東芝EMIから発売されたTOMIXのデジタルカタログやゲームソフト『ガタンゴトン』、アイマジックの『鉄道模型シミュレーター』(一部のバージョン)の制作にも協力している。
ショールーム
2013年4月21日、さいたま市大宮区に初の常設ショールーム「トミックスワールドテックステーション大宮」をオープンした。
脚注
- ↑ 例として253系、E217系など。(E217系に関しては量産先行車をモデルにした為、普通車の台車のレリーフにもヨーダンパが再現されているなどの点がある。)
- ↑ 4両セットで4両編成中3両が1000番台で先頭車の1両が600番台である編成をモデルにしているが、その600番台が1000番台の車体を使用しているために実車と大きく異なる(窓配置・形状、ヘッドライト形状、屋根上のレイアウトなど)から「タイプ」と名乗っている。
- ↑ モーターなどの交換用パーツ類は他の車両と共通で使用されるものもあるため生産されている。また、関水金属も2000番台の製品化を予定しカタログなどにも掲載していたが同じ理由で計画自体が消滅した。
- ↑ それ以前に製品化されていたものを中止し、完全新規制作。
- ↑ ドローバーでは連結間隔が広がりすぎるため、伸縮式で幅を狭めたTSカプラーを開発し、700系3000番台と800系に採用している。
- ↑ 収納式TNカプラーとライト基板の両方を前頭部に収容することが困難とされたが、薄型ライト基板の採用により可能となった。
- ↑ ベーシックセットSDきかんしゃトーマスのパッケージより。
- ↑ Nゲージ用の車載カメラは1998年以降アールエフ社などから発売されていたが、充分普及するまでには至っていなかった。
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 鉄道模型趣味No.354、60-61頁
- ↑ 2012年3月16日の「のぞみ329号」に充当された300系J57編成など。
- ↑ 道床なしなら日本では篠原模型店が既に製品化済み。
- ↑ テンプレート:Cite web
関連項目
- 河合商会 - 初期の香港製貨車モデルを発売していた発売元。