タワーリング・インフェルノ
テンプレート:Infobox Film 『タワーリング・インフェルノ』(原題: テンプレート:En )は、1974年のアメリカ映画。パニック映画。ポール・ニューマン、スティーブ・マックイーン主演。ワーナー・ブラザーズ・20世紀フォックス共同製作・提供作品。日本では1975年に公開された[1]。
超高層ビル火災を描いた映画。本作品は1970年代中盤期のいわゆる、「パニック映画ブーム」の中でも最高傑作と評されている。1974年度のアカデミー撮影賞、編集賞、歌曲賞を受賞。
タイトルの「タワーリング・インフェルノ」とは、英語で「そびえ立つ地獄」という意味である。
目次
ストーリー
アメリカ・サンフランシスコの新名所、138階建のグラスタワー落成式が催された。だがその真っ只中、ロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン) が予算を着服するために行った電気系統の手抜き工事が原因となり、81階の備品室でボヤ火災が発生していた。
設計者のロバーツ(ポール・ニューマン)はオーナーのダンカン(ウィリアム・ホールデン)に135階の会場に300名の来賓を招いて開かれた落成式を直ちに中止するよう進言するが、ダンカンは全く耳を貸さない。そうしているうちに火災は序々に深刻の度を増し、落成式の会場に迫っていった。
事態を重く見た消防隊のオハラハン隊長(スティーブ・マックイーン)は決死の救出作戦に出る。
キャスト
- マイケル・オハラハン隊長 - スティーブ・マックイーン
- 本作の主人公の一人で、消防隊の隊長を務める。いくつかの場面で危険な任務に携わる。
- ダグ・ロバーツ - ポール・ニューマン
- 本作のビルの設計者。出火したことが判明した時、オーナーであるダンカンにパーティの中止、客の移動を助言した。その後、オハラハンと共に、避難誘導・消火などの手助けをする。
- ジェームズ・ダンカン - ウィリアム・ホールデン
- このビルのオーナー。目前の犠牲を目にした上に、ダグの説得により、利益優先の考え方から一転した。
- スーザン・フランクリン - フェイ・ダナウェイ
- ダグの妻。展望エレベーターで地上へ脱出。
- ハーリー・クレイボーン - フレッド・アステア
- アナハイム電力の株券(偽造)を所持し、未亡人のリゾレットに交際を持ちかけた。
- エレベーターで脱出しようとして焼死した犠牲者の遺体を包んだ火を、自分の上着で消そうとした。
- パティ・シモンズ - スーザン・ブレークリー
- ダンカンの娘。
- ロジャー・シモンズ - リチャード・チェンバレン
- パティの娘婿。今回の工事で不正な電気工事を行い、事故の元凶を創った。
- リゾレット・ミュラー - ジェニファー・ジョーンズ
- 友人であるオルブライト夫人の子供の面倒を見ている。火災が起きた時に、ダグたちが救出した子供たちと共に危険な避難を試みている。展望エレベーターで避難する際に他の女性や子供と行動を共にしたが、途中で起こったフラッシュオーバー現象の弾みで転落死した。
- ハリー・ジャーニガン - O・J・シンプソン
- 警備員。ダグと共にオールブライト夫人らを救出し、リゾレットの飼い猫を保護する。
- ゲイリー・パーカー上院議員 - ロバート・ヴォーン
- 来賓の一人。猛火が迫ってきた頃、我先に脱出しようとしたロジャーを阻止しようとして突き落とされる。
- ダン・ビグロー - ロバート・ワグナー
- 広報部長。若い頃は短距離走の選手だった。
- ローリー - スーザン・フラネリー
- ダンの秘書。
- ポーラ・ラムジー市長夫人 - シーラ・アレン
- 展望用エレベーターで救出される。
- ウィル・ギディングズ - ノーマン・バートン
- 81階の火元の倉庫のドアを開けようとした警備員の身代わりになって炎に巻き込まれる。最初の被災者。
- ロバート・ラムジー市長 - ジャック・コリンズ
- ダンカンの友人。ダンカンはボブと呼んでいた。
- プロムナードルームでバーテンの仕事をしていた。
- マーク・パワーズ消防士 - アーニー・F・オルサッティ
- 消防署副署長#1 - ダブニー・コールマン
- 最終手段として、上階の貯水タンクの爆破して消火することを提案する。
- 救助される女性 - エリザベス・ロジャース
- フレイカー - ノーマン・グラボウスキー
- 消防署副署長#2 - ロス・エリオット
- ジョンソン - オラン・ソウル
- アンジェラ・オールブライト - カリーナ・ガワー
- フィリップの妹。
- フィリップ・オールブライト - マイク・ルッキンランド
- アンジェラの兄。ヘッドホンの大音量で逃げ遅れそうになる。
- オールブライト夫人 - キャロル・マケヴォイ
- フィリップとアンジェラの母親。聴覚が不自由。
- 若い消防士 - スコット・ニューマン
- ティム - ポール・コミ
- ジャック - ジョージ・ウォレス
- 技術者 - ウィリアム・バセット
- キャラハン - ジョン・クロウフォード
- 地下機械室の主任。
- ウェス - エリック・L・ネルソン
- 歌手 - モーリン・マクガヴァン
- 警備員 - ジョン・モイオ
- 秘書ジャネット - ジェニファー・ローズ
- 制御室警備員ビル - ウィリアム・トレイラー
日本語吹替
俳優 | フジテレビ | 日本テレビ | TBS | BSジャパン |
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スティーブ・マックイーン | 宮部昭夫 | 内海賢二 | 小山力也 | |
ポール・ニューマン | 川合伸旺 | 井上孝雄 | 堀勝之祐 | てらそままさき |
ウィリアム・ホールデン | 近藤洋介 | 小林修 | 佐々木勝彦 | |
フェイ・ダナウェイ | 平井道子 | 田島令子 | 池田昌子 | 山像かおり |
ロバート・ボーン | 小林恭治 | 矢島正明 | 安原義人 | 森田順平 |
ロバート・ワグナー | 城達也 | 谷口節 | 木下浩之 | |
リチャード・チェンバレン | 野沢那智 | 石丸博也 | 中尾隆聖 | 横堀悦夫 |
O・J・シンプソン | 小川真司 | 麦人 | 千田光男 | 藤真秀 |
フレッド・アステア | 中村正 | 岩崎ひろし | ||
ジェニファー・ジョーンズ | 新村礼子 | 香椎くに子 | 大西多摩恵 | |
スーザン・ブレークリー | 杉山佳寿子 | 勝生真沙子 | 井上喜久子 | |
スーザン・フラネリー | 小沢左生子 | 沢田敏子 | 弘中くみ子 | 藤本喜久子 |
シーラ・アレン | 中村紀子子 | 片岡富枝 | 竹口安芸子 | 新田万紀子 |
ノーマン・バートン | 村松康雄 | 塚田正昭 | 魚建 | |
ジャック・コリンズ | 宮川洋一 | 大久保正信 | 加藤正之 | 楠見尚己 |
ドン・ゴードン | 青野武 | 平林尚三 | 津田英三 | 板取政明 |
フェルトン・ペリー | 玄田哲章 | 広瀬正志 | 丸山壮史 | |
グレゴリー・シーラ | 小島敏彦 | 牛山茂 | ||
アーニー・F・オルサッティ | 谷口節 | 堀内賢雄 | 長島真祐 | |
ダブニー・コールマン | 塚田正昭 | 石森達幸 | ||
ノーマン・グラボウスキー | 加藤正之 | 小島敏彦 | 浦山迅 | |
ジョン・クロウフォード | 長堀芳夫 | 島香裕 | ||
エリック・L・ネルソン | 西村知道 | 梅津秀行 | ||
ポール・コミ | 広瀬正志 | 星野充昭 | ||
オラン・ソウル | 大久保正信 | |||
カリーナ・ガワー | 福原香織 | |||
マイク・ルッキンランド | 鈴木一輝 | 美名 | ||
スコット・ニューマン | 堀川亮 | |||
ジェニファー・ローズ | 高島雅羅 | |||
ウィリアム・トレイラー | 伊井篤史 | |||
(日本語版スタッフ) | 演出:小林守夫 台本:飯嶋永昭 効果・選曲:赤塚不二夫 PAG 調整:前田仁信 |
演出:佐藤敏夫 翻訳:木原たけし 調整:堀内勉 効果:遠藤尭雄、桜井俊哉 制作:東北新社 |
演出:山田悦司 翻訳:木原たけし 調整:小野敦志 製作・配給:東北新社 |
演出:高橋剛 翻訳:飯嶋永昭 制作:ブロードメディアスタジオ |
(初回放送) | 1979年4月6日・13日 | 1984年12月5日 | 1989年1月24日 | 2013年2月5日 |
(番組名) | ゴールデン洋画劇場 | 水曜ロードショー[2] | 火曜ロードショー | 火曜ロードショー☆[3] |
- 最初のフジテレビ版の吹替では「グラス・タワー」を「タワービル」、「オハラハン隊長」を「オハラ隊長」といった固有名詞の変更があった。
- フジテレビ版は他局での放送経歴がなく、フジテレビでも1980年代前半に深夜枠(関東ローカル)での放送以後は放送されていない。
スタッフ
- 監督 - ジョン・ギラーミン
- 製作・アクションシーン監督 - アーウィン・アレン
- 原作 - リチャード・マーティン・スターン(『そびえ立つ地獄』早川書房)
- 原作 - トーマス・N・スコーシア、フランク・M・ロビンスン(『タワーリングインフェルノ』早川書房)
- 脚色 - スターリング・シリファント
- 撮影 - フレッド・J・コーネカンプ
- 音楽 - ジョン・ウィリアムズ
- 主題歌 - モーリン・マクガヴァン 「We May Never Love Like This Again」
- 提供 - ワーナー・ブラザーズ、20世紀フォックス
製作
アメリカの大手映画会社「ワーナー・ブラザーズ」と「20世紀フォックス」が史上初めて共同で製作・提供した作品である。もとは異なる原作からそれぞれ映画化される予定だったが、内容が似通っていたこと、ビル火災をテーマにしているため製作予算が巨額になることなどから、2社は企画をまとめ合作することになった。
製作費は折半されたが配給権は、米国内では20世紀フォックスが、米国外ではワーナー・ブラザーズが持った[4]。
製作のアーウィン・アレンを初め、スタッフの多くが、2年前の『ポセイドン・アドベンチャー』製作にも携わっており、その際の特撮技術を同作品に応用した。
作品解説
2012年現在では、メジャー映画会社同士の合作は珍しくないが、その先鞭を付けた作品といえる。スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマンの2人を含めて数多くの有名俳優をそろえたグランドホテル方式でのパニック映画の先鞭としてその年の興行収入第1位を獲得している。
グラスタワーのモデルとなったのは、サンフランシスコに実在するバンクオブアメリカタワーといわれている。この建物は火災を起こしたことはない。
配役
主としてワーナーの映画に出演していたスティーブ・マックイーンと、主として20世紀フォックスの映画に出演していたポール・ニューマンの顔合わせが実現した[5]。
マックイーンはニューマンと同じ量のセリフを要求した。
マックイーン、ニューマンのどちらがクレジットタイトルの最初に出てくるか注目される中、映画冒頭で二人の名前を同時に出した上で、マックイーンの名を左に据え、ニューマンの名を右側の一段上に据えて対等性を強調する、苦肉の策が取られた。ニューマンは映画冒頭から登場するが、マックイーンの登場は40分を過ぎたあたりである。日本ではパンフレットのキャスト欄やテレビ欄などでは大半がマックイーンを先頭においている。
主な受賞とノミネート
賞 | 部門 | 対象 | 結果 |
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第47回アカデミー賞 | 撮影賞 | フレッド・コーネカンプ ジョセフ・バイロック |
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編集賞 | カール・クレス ハロルド・F・クレス |
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歌曲賞 | 「愛のテーマ」 アル・カシャ ジョエル・ハーシュホーン |
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作品賞 | アーウィン・アレン | テンプレート:Nom | |
助演男優賞 | フレッド・アステア | テンプレート:Nom | |
美術賞 | ウィリアム・クレバー ウォード・プレストン ラファエル・ブレトン |
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作曲賞 | ジョン・ウィリアムズ | テンプレート:Nom | |
録音賞 | セオドア・ソダーバーグ ハーマン・ルイス |
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第29回英国アカデミー賞 | 作曲賞 | ジョン・ウィリアムズ | テンプレート:Won |
助演男優賞 | フレッド・アステア | テンプレート:Won | |
第32回ゴールデングローブ賞 | 助演男優賞 | フレッド・アステア | テンプレート:Won |
新人女優賞 | スーザン・フラネリー | テンプレート:Won | |
助演女優賞 | ジェニファー・ジョーンズ | テンプレート:Nom | |
脚本賞 | スターリング・シリファント | テンプレート:Nom | |
主題歌賞 | 「愛のテーマ」 アル・カシャ ジョエル・ハーシュホーン |
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サウンドトラック
2001年4月1日にアメリカのFilm Score Monthly レーベルから3000枚限定でサウンドトラックCDがリリースされている。
映像ソフト
2009年12月9日にスペシャルエディションDVDとBlu-ray盤が発売。日本語吹替入りで、本編の他に数多くの映像特典が収録されている。なお、2010年にはレンタルも開始された。収録内容はセル盤と全く同様である。
原作
- リチャード・M・スターン『そびえたつ地獄(原題:The Tower)1973』井坂 清訳、〈Hayakawa Novels〉早川書房、1975年。ISBN 4150401993
- ワーナー・ブラザーズが映画化しようとした小説。日本発売時の表紙は映画のワンシーンの写真を使用。
- T.N・スコーシア、F.M.ロビンソン『タワーリング・インフェルノ(原題:The Glass Inferno)1974』〈Hayakawa Novels〉早川書房、1975年。ISBN 4150402043
- 20世紀フォックスが映画化しようとした小説。日本発売時の表紙は映画のポスターにも使用された絵を使用。
日本では両者とも、炎の出ているビルと、映画とほぼ同じTHE TOWERING INFERNOのロゴをあしらった表紙の四六版で出版され、タイトルが似ているのと合わせて非常にまぎらわしい物であった(上記のISBNは文庫版のものである)。
備考
- 全米公開の年と同じ、1974年の2月1日に、ブラジルのサンパウロにあるジョエルマビルの火災が本作と同じように、空調室外機の電気系統のショートに伴い発生し、多くの犠牲者を出した。
- 全米公開後の1975年2月13日、ワールドトレードセンターで火災が発生。11階のオフィスから出火して隣の電話交換室へと延焼し、さらにケーブルダクトの電線を伝って9階から11階まで燃え移るという、映画の内容に酷似した被害を発生させている。
- 1975年公開の松竹映画『おれの行く道』(田中絹代、西城秀樹主演)の劇中でタワーリング・インフェルノを公開中の劇場、川崎グランド(2012年現在:川崎チネチッタ)の映像が写るシーンがある。