サバ

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サバ(100g中)の主な脂肪酸の種類[1]
項目 分量(g)
脂肪 7.89
飽和脂肪酸 2.247
14:0(ミリスチン酸 0.34
16:0(パルミチン酸 1.389
18:0(ステアリン酸 0.441
一価不飽和脂肪酸 2.629
16:1(パルミトレイン酸 0.47
18:1(オレイン酸 1.328
20:1 0.325
22:1 0.485
多価不飽和脂肪酸 1.94
18:2(リノール酸 0.116
18:3(α-リノレン酸 0.05
18:4(ステアリドン酸 0.125
20:4(未同定) 0.081
20:5 n-3(エイコサペンタエン酸(EPA)) 0.509
22:5 n-3(ドコサペンタエン酸(DPA)) 0.123
22:6 n-3(ドコサヘキサエン酸(DHA)) 0.932

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サバ(鯖、英: Mackerel)は、スズキ目・サバ科のサバ属 Scomber・グルクマ属 Rastrelliger・ニジョウサバ属 Grammatorcynus などに分類される魚の総称。日本近海ではマサバゴマサバグルクマニジョウサバの計4種が見られる。

日本産サバ類

生物学的側面は各記事を参照のこと。

漁獲

日本の太平洋各地で水揚げされるサバは秋が旬で「秋サバ」と称される。太平洋沿岸を回遊するサバは、伊豆半島沖で春頃産卵し、餌を食べながら北上する。特に北海道沖での海域は、プランクトンが豊富にありサバは丸々と太るが、脂肪分は 皮と身の間などに貯められ、身に均等にまわっていない。このサバが産卵のために南下を始める時期が9月-10月頃であり、その時期のサバは脂肪が身に入りこみ、身もしまり風味は格段に上がる。特に八戸沖で水揚げされる戻りのサバは最良とされている。北上するサバと南下するサバとでは脂肪含有率が全く違うが、脂肪含有率の多い順は北海道沖→八戸沖→三陸沖常磐沖→銚子沖→伊豆沖となる。九州沿岸で水揚げされるサバは、冬がであり俗に「寒サバ」とも称する。

大西洋サバ(通称ノルウェーサバ, S. scombrus)は秋が旬である。アイルランド沖で春先に産卵し、孵化した幼魚は餌をとりながらノルウェー南部海域を目指す。ノルウェー南部海域にはルンベと称される浅瀬があり、そこには海草が生い茂り波も静かでプランクトンが豊富である。幼魚時期にそこで成長し、回遊ができる体になってから北上を始める。ノルウェー北部海域にはプランクトンが豊富にある海域があり、索餌行動をして丸々と太ったサバは産卵のため南下を始める。程よく脂も抜けて、身もしまり風味が良くなる時期が、9月中旬から10月中旬である。特にオーレスンド沖で水揚げされる戻りのサバが最良とされている。脂肪含有率の目安は、8月漁獲サバ:約30 - 32パーセント、9月中旬 - 10月中旬漁獲サバ:約28パーセント前後、1月漁獲サバ:約24パーセント、3月漁獲サバ:約16 - 18パーセントとなる。

食材

焼き魚魚(鯖味噌など)、寿司鯖寿司)、〆鯖(しめさば)、なれ鮨[2]として多く食べられる。、缶詰にされる煮鯖も多い。鰹節と同様の「鯖節」(さばぶし)にされることもある。九州地方などを中心に西日本では鮮度が良い場合刺身胡麻鯖など生食で供される。

DHA(ドコサヘキサエン酸)や EPA(エイコサペンタエン酸)などの高度不飽和脂肪酸 - ω-3脂肪酸Omega-3)が多く含まれている点も注目されている。その一方で「鯖の生き腐れ」と呼ばれるほど鮮度の低下が著しいという欠点もある。またヒスチジンを多く含むためにアレルギー源となるヒスタミンを生じやすく、蕁麻疹の原因となることがある。

マサバでは豊後水道関さば・岬さば(はなさば)、三浦市松輪の松輪サバ、ゴマサバでは屋久島首折れ鯖土佐清水市清水サバなどの地域ブランドが存在する。

漁獲量の低下により養殖が行われるようになっている。養殖は大分県鳥取県で盛んに行われ、輸入品はノルウェーがあり、主に塩蔵品(塩さば)に加工される。

  • 様々な調理例

寄生虫

身にアニサキスが寄生していることもある。アニサキスは加熱や冷凍で死滅するが、で締めても死滅しないので〆鯖も危険性がある。鮮度が落ちると内臓から身へ移るので、鮮度の良いうちに内臓を処理する。サバの寄生虫は主にサバの南方海域への回遊中に寄生する場合が多いので、回遊せずに日本近海で生育した個体(相模湾伊勢湾豊後水道などに見られる)は比較的安全とされるが、慎重を期すべきである。 テンプレート:Main 上記のようにアニサキス保有リスクがあるにもかかわらず西日本、特に北部九州などでは生食の習慣がある。その要因の一つとして収穫地域により保有するアニサキスの種類が異なり、生食習慣のある地域で食されるサバが保有する種類のアニサキスは内臓から肉身に移行する率が極めて低いためだとするアニサキスの種類原因説が挙げられている。[3]

日本のおもな陸揚げ漁港

第1位 - 銚子漁港千葉県
第2位 - 石巻漁港宮城県
第3位 - 焼津漁港静岡県
第4位 - 博多漁港福岡県
第5位 - 境漁港鳥取県

鮮度維持の難しさ

古来よりサバは、食あたりが発生しやすい食材と知られており、サバの生き腐れと呼ばれてきた。これは脂肪分が多く鮮度低下が比較的早いということと、環境中に常在するヒスタミン生産細菌によりヒスタミンが生じることが原因である[4]。鮮度の低下を防ぐために、釣りで捕獲した際は低温で保管するのはもちろんのこと、エラを切除するか首を折った後に海水に漬けて血抜きをすることが推奨される。

しかし、低温だけではヒスタミン生産細菌の増殖とヒスタミンの生成を抑制することはできず、温度5℃5日間の保存で官能的に腐敗臭を感じない状態でも、ヒスタミン量が中毒の閾値を超える場合もある[5]。また、調理の加熱ではヒスタミンは分解されず食品中に残存する。一方、で洗うなどの処理はヒスタミン生産細菌の増殖を抑制することができるため、鮮度保持には有効である[6]

文化

古くから日本人になじみの深い食用魚である。「さば」の名称は古く、一説には、小さい歯が多いことから「小(さ)歯(ば)」の意であるという。平安時代には中男作物として貢納され、また鯖売りの行商が行われていたなどという記録がある。文化の面でも幾らかの影響を与えており、弘法大師が旅僧の姿で鯖を請うたのに、商人または馬子が荷物の鯖を与えなかったため罰せられたという伝説がある。徳島県海陽町の「鯖大師本坊」など、古い坂や峠には僧が鯖を手にもつ像を祭っていることがある。

鯖は一年中日本近海で漁獲されるが、特に漁獲量の多いマサバは秋がとされている。「秋鯖は嫁に食わすな」という嫁いびりに繋げた言葉があるが、現代では「脂肪が多いから嫁さんにはよくない」という解釈もある。

年を誤魔化す際の「サバを読む」という言葉は、鯖が大量に捕れ、かつ鮮度低下が激しいため、漁師や魚屋が数もろくに数えず大急ぎで売りさばいたのが起源という説がある。

相撲鯖折りの語は、釣り上げた鯖の鮮度を保つために、エラから指を入れて頭部を上方に折り曲げるという手法がよく取られたことに由来する。

フランスでは四月バカ(エイプリルフール)のことを Poisson d'avril (4月の魚)という。この『4月の魚』の意味は鯖を指しているが、これは鯖が4月に入るとたくさん釣れるためという説もある。

徳島県弘法大師を本尊とする鯖大師本坊という寺があるが、そこでは鯖斷ち三年祈願と言って、願掛けした後に鯖を三年間食べないことで、病気平癒・子宝成就・心願成就の御利益があると信じられている。

『おもしろ金沢学』(北國新聞社)の「棟上げのサバは天狗よけ」という項目に越中五箇山や飛騨白川の山間地では、正月の膳に必ず能登の塩サバが用意された記録もある、という。氷見新湊ではブリが「歳取り魚」となっているが、山間部ではサバが使われた。

脚注

  1. http://ndb.nal.usda.gov/
  2. 越中の古寺に継承されている鯖の馴れずしの食事史的研究 調理科学 7(1), 23-29, 1974-02-20
  3. 九州の生サバなぜ大丈夫 寄生虫アニサキスの種類原因説 太平洋と日本海側 宿主鯨類の分布影響? - 西日本新聞
  4. ヒスタミン食中毒(アレルギー様食中毒)大阪府立公衆衛生研究所
  5. テンプレート:PDFlink
  6. 鮮魚の保存に及ぼす酢洗いの効果 家政学雑誌 Vol.33 (1982) No.4 P167-172

関連項目

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外部リンク

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