アマチュア相撲
テンプレート:Infobox 武道・武術 アマチュア相撲は、相撲のアマチュア競技。国内競技は日本相撲連盟、国際競技(IF)は国際相撲連盟が統括しており、プロの力士が所属する日本相撲協会(大相撲)とは異なる。具体的には、学生相撲や実業団相撲のことを指す。
目次
概要
統括団体である日本相撲連盟は日本武道協議会に加盟しており、学校体育にも武道種目として採用されている。しかし、柔道・剣道など他の武道と比べると競技人口はかなり少なく、トップレベルの選手と草相撲レベルの選手の競技人口が逆転しているという、逆ピラミッド型のいびつな構造となっている。
段級位制があり、日本相撲連盟が認定している。
試合は、日本相撲連盟競技会規程が競技ルールとして定められており、審判規定により勝敗が判定される。張り手や鯖折りなど危険な技は禁止されている。公認審判員制度があり、四段以上で[1]、一定年齢以上、3年以上の審判実務経験、認定講習会を受講するという条件を満たした上で、申請書を提出して日本相撲連盟から認定を受ける。日本相撲連盟以外に、支部の相撲連盟の公認審判員や、国際審判員の資格がある。
かつては、プロの相撲は、義務教育を終えたばかりで入門するものであり、上級の学校に進学した場合は、大相撲入りすることはほとんど考えられなかった。しかし、進学率の向上、実業団相撲の縮小化、学校でのクラブ活動・体育科目としての相撲の普及率の減少などによる指導者としての進路の減少などの要因で、最近では、アマチュア相撲で一定の実績を上げた選手がプロ入りするなど、大相撲とのつながりが深くなっている。
なお、日本相撲協会に所属した経験のある者でも、現役時代の地位によってはアマチュア復帰が認められることもある。
段級位制
段級位制には、初段から十段までの段位があり、日本相撲連盟が認定する。段位認定は1956年から開始され、2006年までに十段認定者3名をはじめ、累計で75000人あまりの段位を認定した。
段位の認定は年に2回行われる。初段から四段までは都道府県の相撲連盟か東日本学生相撲連盟などの支部が審査し、五段および六段はブロック連盟が審査し、日本相撲連盟の段位審査委員会に推薦する。七段以上はブロック連盟が意見書を付けて、段位審査委員会に上申する。
段位は順次昇段するが、30歳以上は二段、50歳以上は三段から申請できる特例がある。六段はおおむね30歳、七段はおおむね40歳、八段はおおむね50歳の最低年齢基準がある。
主な大会
国際大会
一般大会
社会人大会
- 全日本実業団相撲選手権大会(実業団横綱)
- 全国選抜社会人相撲選手権大会
- 全国教職員相撲選手権大会
- 全国青年大会(2004年の第53回を最後に廃止)
大学生大会
- 全国学生相撲選手権大会(学生横綱)
- 全国学生相撲個人体重別選手権大会
- 全国大学選抜相撲大会
- 全国大学選抜相撲宇佐大会
- 全日本大学選抜相撲十和田大会
- 全日本大学選抜相撲七尾大会
- 全日本大学選抜相撲宇和島大会
高校生大会
- 全国高等学校相撲選手権大会(高校横綱)
- 全国選抜高等学校相撲弘前大会
- 選抜高校相撲宇佐大会
- 選抜高校相撲十和田大会
- 高等学校相撲金沢大会
中学生大会
- 全国中学校相撲選手権大会(中学生横綱)
- 全国都道府県中学生相撲選手権大会
小学生大会
女子大会
- 世界女子相撲選手権大会
- 世界女子ジュニア相撲選手権大会
- 全日本女子相撲選手権大会
- 全日本中学生女子相撲大会
- 全日本小学生女子相撲大会
大相撲入りした選手(力士)
原則として戦後、十両以上のもの
- 凡例
実業団
- 朝岡勲(幕内・朝岡勲・高砂部屋・兵庫県)
- アルタンホヤグ・イチンノロブ(十両・逸ノ城駿・湊部屋・モンゴル)
- 小椋誠志(幕内・大飛翔誠志・朝日山部屋・大阪府)
- 板井圭介(小結・板井圭介・大鳴戸部屋・大分県)
- 横山英希(十両・高見藤英希・東関部屋・岡山県)
学生相撲
- 私立
- 日本大学
- 荒瀬英生(関脇・荒勢永英・花籠部屋・高知県)
- 石川孝志(幕内・大ノ海敬士・花籠部屋・山形県)
- 市原孝行(幕内・市原孝行・木瀬部屋→北の湖部屋・愛知県)
- 内田水(小結・普天王水・出羽海部屋・熊本県)
- 遠藤聖大(幕内・遠藤聖大・追手風部屋・石川県)
- 大内信英(幕内・皇司信秀・入間川部屋・兵庫県)
- 加藤精彦(小結・高見盛精彦・東関部屋・青森県)
- 亀井貴司(十両・希善龍貴司・木瀬部屋→北の湖部屋→木瀬部屋・香川県)
- 久嶋啓太(幕内・久島海啓太・出羽海部屋・和歌山県)
- 熊谷涼至(小結・海鵬涼至・八角部屋・青森県)
- 小林秀昭(小結・両国梶之助・出羽海部屋・長崎県)
- 齊藤直飛人(関脇・追風海直飛人・友綱部屋→追手風部屋・青森県)
- 境澤賢一(幕内・境澤賢一・三保ヶ関部屋→尾上部屋・埼玉県)
- 坂本直人(幕内・肥後ノ海直哉・三保ヶ関部屋・熊本県)
- 佐久間貴之(幕内・常幸龍貴之・北の湖部屋→木瀬部屋・東京都)
- 里山浩作(幕内・里山浩作・三保ヶ関部屋→尾上部屋・鹿児島県)
- 白石信広(十両・白乃波寿洋・三保ヶ関部屋→尾上部屋・熊本県)
- 白崎東洋(十両・大倭東洋・入間川部屋・石川県)
- 鈴木大司(幕内・燁司大・入間川部屋・三重県)
- 平伸一(十両・出羽平真一・出羽海部屋・東京都)
- 高濵竜郎(幕内・濵錦竜郎・追手風部屋・熊本県)
- 田宮啓司(大関・琴光喜啓司・佐渡ヶ嶽部屋・愛知県)
- 堤内康仁(十両・北勝光康仁・八角部屋・熊本県)
- 長尾秀平(小結・舞の海秀平・出羽海部屋・青森県)
- 成松伸哉(小結・智ノ花伸哉・立浪部屋・熊本県)
- 西田崇晃(幕内・大日ノ出崇揚・立浪部屋・兵庫県)
- 西野豪(十両・大翔大豪志・友綱部屋→追手風部屋・東京都)
- 濱洲圭志(小結・濱ノ嶋啓志・三保ヶ関部屋・熊本県)
- 原田治(十両・北勝岩治・八角部屋・青森県)
- 深尾光彦(十両・明瀬山光彦・木瀬部屋→北の湖部屋→木瀬部屋・愛知県)
- 南貴由輝(幕内・天鎧鵬貴由輝・尾上部屋・熊本県)
- 村田昌巳(小結・大翔鳳昌巳・立浪部屋・北海道)
- 森友樹(十両・大翔湖友樹・追手風部屋・東京都)
- 柳川信行(十両・増健亘志・三保ヶ関部屋・高知県)
- 山口雅弘(幕内・大喜鵬将大・宮城野部屋・東京都)
- 山崎直樹(幕内・大翔山直樹・立浪部屋・石川県)
- 山本洋介(小結・豊真将紀行・錣山部屋・山口県)
- 山本龍一(幕内・山本山龍太・尾上部屋・埼玉県)
- 輪島博(横綱・輪島大士・花籠部屋・石川県)
- 国立
傾向
かつては相撲は最もプロとアマチュアの力量差の大きいスポーツと言われた。昭和の半ば頃までは、アマチュアのトップクラスでも大相撲の三段目と互角、幕下には叶わないというのが定説だった。ひとつには、他のスポーツの人気が未発達であり、関取を五穀豊穣のシンボルとみる力人信仰も根強く、素質のある若者は角界で独占できていた背景がある。
輪島が学生相撲出身で初めて横綱にあがった頃から、この差は確実に縮まって来ている。大相撲のレベルの低下と、アマチュアの向上と、双方の見方から論じられる。
平成以降のアマチュア相撲出身力士の躍進は、外国出身力士の増加と並ぶ、大相撲の二大潮流にもなっている。かつてはアマチュアでの経験者を、おかしな癖がついていてこれを矯正できないとして敬遠する相撲部屋も多かったが、近年では他のスポーツ人気の向上や進学率の向上などで、以前のように伸び盛りの少年を入門させることが難しくなってきており、また部屋経営の面などからも早期の関取昇進を見込めるアマチュア相撲出身の新弟子を歓迎する傾向も強い。
脚注
- ↑ 2010年に三段以上という条件から四段以上に改められた。
参考文献
- 日本武道館編 『日本の武道』 日本武道館、2007年、215頁。ISBN 978-4-583-10039-5
- 『月刊武道』 日本武道館
- こどもくらぶ編 『さあ、はじめよう! 日本の武道〈3〉相撲』 岩崎書店、2010年。ISBN 978-4-265-03383-6