朝日山部屋
朝日山部屋(あさひやまべや)は、日本相撲協会に所属している伊勢ヶ濱一門の相撲部屋。
歴史
もともとは江戸時代の大坂相撲に起源を持つ部屋で、一時期は閉鎖されていたものの、1895年(明治28年)10月に二枚鑑札で11代朝日山を襲名した幕内・岩ヶ谷岩松が、1896年(明治29年)に現役を引退して朝日山部屋を復興した。11代朝日山は大関・相生枩五郎(東京相撲では関脇)や関脇・綾瀬川山左衛門(東京相撲では幕内格)など数多くの関取を育てた。
1916年(大正5年)7月に11代朝日山は急逝し、11代朝日山の遺言によって当時大関であった大錦が1年限りの条件で12代朝日山を襲名して朝日山部屋を継承した。12代朝日山は11代朝日山の一周忌が過ぎた1918年1月に再び大錦として現役へ復帰して、12代朝日山の弟弟子であった当時関脇の二タ瀬川が二枚鑑札で13代朝日山を襲名して朝日山部屋を継承した。二タ瀬川は1921年6月場所限りで現役を引退して年寄専任となり、関脇・磐石や小結・真鶴など多くの関取を育てると共に、東西合併に奔走して1925年(大正14年)7月に東京相撲と大坂相撲の合併調印を果たした。
1943年(昭和18年)9月に13代朝日山が急逝すると、13代朝日山の娘婿であり直弟子であった当時関脇の二瀬川が1944年1月に二枚鑑札で14代朝日山を襲名して朝日山部屋を継承した。1945年の東京大空襲で妻と義母を亡くした14代朝日山は、1947年6月場所限りで現役を引退して年寄専任となり部屋経営に専念した。14代朝日山は13代弟子から関脇・高津山や幕内・二瀬山を育て、直弟子から幕内・福ノ海や鯉ノ勢などの関取を育てたが、1959年8月に膵臓癌のため43歳で死去した。
14代朝日山の逝去に伴い、1959年8月に朝日山部屋の部屋付き親方である10代北陣(元関脇・高津山)が15代朝日山を襲名して朝日山部屋を継承した。しかし、15代朝日山は1963年5月に胆石症のため44歳で死去した。
15代朝日山の逝去に伴い、1960年に朝日山部屋から分家独立して大鳴戸部屋を創設していた5代大鳴戸(元幕内・二瀬山)が、1963年5月に16代朝日山を襲名して朝日山部屋を継承し、朝日山部屋と大鳴戸部屋が合併した。16代朝日山は14代弟子から関脇・高鐵山、15代弟子から幕内・琉王、直弟子からは小結・若二瀬などを育て上げ、トンガ王国出身の若者を弟子として迎え入れて話題となった。
1975年10月に16代朝日山はクモ膜下出血を起こして54歳で急逝し、それに伴い、朝日山部屋の部屋付き親方である14代北陣(元小結・若二瀬)が17代朝日山を襲名して朝日山部屋を継承した。しかし、1年後に部屋を江戸川区へ移転するに際して、トンガ出身の力士たちは兄弟子である琉王の朝日山後継を求めて抵抗し、1976年9月場所前にはトンガ出身の力士たちは全員廃業へと追い込まれ、巻き添えとなった琉王も同年11月場所限りで廃業した。廃業した力士の中には、武蔵川部屋に所属していた南乃島の父(四股名は南ノ島)や、後にプロレスへと転向して成功したキング・ハク(四股名は福ノ島)やシオネ・ヴァイラヒ(四股名は幸ノ島)もいた。
1997年(平成9年)5月場所中に17代朝日山が急性心筋梗塞を起こして55歳で急逝し、ついに自部屋の系統から後継者が不在となったため、1997年5月に同じ伊勢ヶ濱一門(旧・伊勢ヶ濱一門)に所属する伊勢ヶ濱部屋の部屋付き親方である13代楯山(元大関・大受)が18代朝日山を襲名して朝日山部屋を継承した。18代朝日山が部屋を継承して以降は、2004年1月場所において17代からの弟子である大真鶴が新十両へ昇進し、2012年7月場所にはモンゴル出身の鬼嵐が新十両へ昇進して、18代朝日山の直弟子としては初となる関取が誕生している。
2011年1月には閉鎖された桐山部屋から幕内・德瀬川ら所属力士4人を引き取ったものの、その直後に発覚した大相撲八百長問題において德瀬川が日本相撲協会からの引退勧告処分を受けた。
東西合併以来途絶えたことのない数少ない部屋であるが、その中で唯一、現在に至るまで幕内最高優勝力士を輩出していない。
所在地
師匠
- 11代:朝日山四郎右衛門(あさひやま しろうえもん、前3・岩ヶ谷、摂津国)
- 12代:朝日山大五郎(あさひやま だいごろう、横綱・大錦、愛知)
- 13代:朝日山四郎右衛門(あさひやま しろうえもん、大関・二タ瀬川、大阪)
- 14代:朝日山四郎右衛門(あさひやま しろうえもん、関脇・二瀬川、奈良)
- 15代:朝日山四郎右衛門(あさひやま しろうえもん、関脇・高津山、奈良)
- 16代:朝日山勝護(あさひやま しょうご、前2・二瀬山、大阪)
- 17代:朝日山唯之(あさひやま ただゆき、小結・若二瀬、愛知)
- 18代:朝日山利秋(あさひやま としあき、大関・大受久晃、北海道)
力士
幕内
- 関脇
- 小結
- 前頭
- 朝登俊光(前2・北海道)16代・17代弟子
- 朝光亀太郎(前6・大阪)13代弟子
- 九ヶ錦坦平(前3・東京)13代・14代弟子 ※九重部屋より移籍
- 鯉ノ勢寅雄(前12・愛媛)14代・15代弟子
- 大飛翔誠志(前10・大阪)17代・18代弟子
- 大真鶴健司(前16・奈良)17代・18代弟子
- 德瀬川正直(前4・モンゴル)18代弟子 ※桐山部屋より移籍
- 福ノ海七男(前10・福井)14代・15代弟子
- 二瀬山勝語(前2・大阪)13代・14代弟子
- 琉王優貴(前1・沖縄)15代・16代・17代弟子
十両
- 岩手富士祐一(十6・岩手)17代弟子
- 鬼嵐力(十7・モンゴル)18代弟子
- 株本義久(十9・広島)16代弟子
- 玄海桃太郎(十12・福岡)17代・18代弟子
- 源武山源右エ門(十2・山形)11代・12代・13代弟子
- 豊錦菊太郎(十8・大分)13代弟子
- 萩山博文(十8・奈良)15代・16代弟子
- 真鶴照久(十1・北海道)15代・16代弟子
所属年寄
- 桐山国由(きりやま くにゆき、小結・黒瀬川、東京)
若者頭
- 白岩政俊(しらいわまさとし、十両・白岩、秋田県)