直方駅
直方駅(のおがたえき)は、福岡県直方市大字山部にある、九州旅客鉄道(JR九州)・平成筑豊鉄道の駅である。かつてはJRバスの自動車駅を併設していた。
目次
概要
JR九州の筑豊本線と、平成筑豊鉄道の伊田線が乗り入れ、接続駅となっている。伊田線は当駅が起点である。また筑豊本線は愛称の「福北ゆたか線」の区間に含まれている。
平成筑豊鉄道の駅については2009年4月1日に北九州市に本社を置く鉄道車両部品販売・グラフィック業者の藤本興業が命名権(ネーミングライツ)を取得し藤本興業 studiocanada 直方駅と呼称されている。
直方市の代表駅であり、新飯塚駅と並んで筑豊本線の主要駅となっている。駅に隣接して、電車・気動車の車両区(直方運輸センター)[1]と筑豊篠栗鉄道事業部がある。
駅構造
JR九州の駅について述べる。
島式ホーム2面4線、平成筑豊鉄道は頭端式ホーム1面2線を有する地上駅である。ホーム、基本的に1番ホームと2番ホームが博多方面、3番ホームと4番ホームが折尾・黒崎・若松方面の乗り場として運用されている。直営駅で、みどりの窓口が設置されている。
2011年4月29日に使用を開始した現駅舎は橋上駅舎となっており、2階建てで瓦葺風の柿渋色の大きな屋根が特徴である。約900平方メートルある駅舎の1階には7店舗が、2階には改札口など駅機能がそれぞれ設置されている[2][3]。なお、駅舎のデザインはJR九州の車両デザインなどを多く手がける水戸岡鋭治によるものである[4]。旧駅舎にはなかったエレベーターとエスカレーター、公衆便所が設置されており、バリアフリーに対応している。
旧駅舎の時はJRと平成筑豊鉄道の駅が離れており不便であったが、新駅が平成筑豊鉄道の駅寄りに作られたことにより乗り換えの便が改善されている。また、直方市は須崎町土地区画整理事業・直方駅地区交通結節点改良事業として、駅周辺の大規模な区画整理などを行っている。
駅前広場
駅舎建て替えと同時に直方市によって整備された駅前広場も、水戸岡鋭治の監修によるものである[3][4]。
旧駅前ロータリーにあるモニュメント「太陽と月と川と」は1997年に設置された2代目のものであるが、駅前整備事業に伴って10メートルほど離れた交差点に移転する予定がある[5]。なお、かつて設置されていたもの(炭坑夫の像)は、遠賀川河川敷に移設されている。
構内営業
駅構内には以下の店舗が入居している[6]。
- 東筑軒(立ち食いうどん店) - かしわめしで有名な同名の構内営業業者が出店しており、かしわうどんなどの他、駅弁も扱っている[7]。
- キヨスク - 改札口前に所在しており、JR九州リテールが運営している。
- トランドール(パン屋) - 同名のJR九州関連会社が運営している。
- 魚民(居酒屋)
- 福岡ひびき信用金庫(ATM)
駅弁
利用状況
- JR九州 - 2011年度の1日平均乗降人員は6,636人である。
- 平成筑豊鉄道 - 2011年度の1日平均乗降人員は1,497人である。
各年度の1日平均乗降人員は下表のとおり。
年度 | 1日平均乗降人員 | |
---|---|---|
JR九州 | 平成筑豊 | |
2007年 | 6,223 | 1,653 |
2008年 | 6,293 | 1,774 |
2009年 | 6,270 | 1,674 |
2010年 | 6,424 | 1,620 |
2011年 | 6,636 | 1,497 |
駅周辺
周辺は市の中心的な市街地となっているほか、市民ホール(ユメニティのおがた)・図書館・バスセンターなどが駅の近くに立地している。また、駅正面右手の「明治町アーケード」および、直方最大の商店街である「古町アーケード」も近い。
駅正面から南へ10分ほど歩くと多賀神社、直方市石炭記念館、ギャラリーのぐち(雑貨・家具・陶磁器などの店舗が並んでいる)などが立地している。
名勝・旧跡など
官公庁・公共施設
文教施設
- 直方市立図書館
- 直方市石炭記念館
- 直方歳時館(旧堀三太郎邸)
- 直方谷尾美術館
- ギャラリーのぐち
- アートスペース谷尾
- 大和青藍高等学校(徒歩10分ほど)
- 福岡県立鞍手高等学校(徒歩10分ほど)
- 福岡県立筑豊高等学校(徒歩20分、西鉄バス筑豊高校前バス停下車)
- 直方市立直方第二中学校(徒歩15分ほど)
- 直方市立直方北小学校(徒歩10分ほど)
- 中小企業大学校直方校(車で約15分ほど)
郵便局・金融機関
交通
- 筑豊電気鉄道 筑豊直方駅(徒歩約10分)
- 西鉄直方バスセンター - 西鉄バス筑豊およびJR九州バスの路線が使用。 ※詳細は、#路線バスの節を参照
- 国道200号 日の出大橋
- 福岡県道27号直方芦屋線
- 福岡県道28号直方行橋線(竜王峡方面)
- 福岡県道40号直方停車場線
企業・店舗
- サンリブ 直方店
医療機関
- 社会保険直方病院
- 一寿会西尾病院
路線バス
直方駅周辺整備事業の一環として2014年2月1日から駅前ロータリーにバスのりばを設置し、JR九州バス直方線、西鉄バス(西鉄バス筑豊)、直方市コミュニティバスの各路線が駅前バスのりばから発着している。
JRバスと西鉄バスはかつてはそれぞれ駅前に別々のターミナルを有していたが、JRバス側のターミナル(自動車駅)は廃止され、西鉄側のターミナル(西鉄直方バスセンター)は高速・特急・急行バスのみが発着する。
同バスセンターは西鉄バス筑豊が管理するバスターミナルで、駅舎から道路を渡った正面にある(旧駅舎の時は駅本屋から約100m離れていた)。かつては西日本鉄道(西鉄)が設置したのち、西鉄およびその地域子会社である西鉄バス遠賀のバスが発着していたが、2003年のグループ再編で西鉄バス遠賀が西鉄バス筑豊に吸収合併したことに伴い、後者が同バスセンターの運営を継承している。
福岡市や北九州市とを結ぶ都市間路線と直方市内と近隣を結ぶ路線の基点として、西日本鉄道系列のバスが乗り入れていたが、筑豊地区の人口減少およびモータリゼーションの進行、平成筑豊鉄道の開業などにより利用者の減少が進んだため、直方市内各方面や小竹・飯塚・篠栗・折尾・赤池(福智町)・田川方面への路線の多くが廃止となった。現在残る路線も末端区間が廃止されるなど全体的に減量化が進んでいるが、イオンモール直方に乗り入れを開始するなど新規路線の開設も行っている。
JR九州バス
※路線の詳細および、かつて設置されていた自動車駅については、直方線も参照。
かつては直方市東部の内ヶ磯や市南部の武谷、赤池町(現 福智町)の赤池・上野峡への路線もあったが、これらは自動車駅廃止前に路線が廃止された(このうち内ヶ磯への路線は西鉄バス筑豊に譲渡)。自動車駅廃止直後は駅前に仮設したのりばから発着し、2011年9月17日からは西鉄直方バスセンター内に移転し、2014年2月1日より乗り場を直方バスセンターから現在の駅前広場ロータリー内へ変更している。
西鉄バス筑豊
長年にわたり駅前の西鉄直方バスセンター内から発着していたが、2014年2月1日より高速・特急・急行バスを除きJR九州バスと同様にのりばを駅前ロータリーに移転している。同日以降も高速・特急・急行バスは西鉄直方バスセンターで客扱いを行っている。西鉄直方バスセンターが終点となっている便の降車場は、旧JRバス乗り場の真向かいの駅前通り上となる。
直方市の計画では高速・特急・急行バスについては駅前広場付近に発着所を設置する予定としているが、時期については明確にされていない[10]。西鉄直方バスセンターの定期券発売所などの機能は2014年2月1日以降もそのまま残されている。
以下は駅前ロータリーより発車
- 1(頓野ループ線) : 直方 - 西鉄直方 - 頓野団地 - 直方高等学校 -西鉄直方 -直方
- 2(中原循環線) : 直方 - 西鉄直方 - 中原 - 道目木 - 出口 - 西鉄直方 - 直方
- 3(出口循環線) : 直方 - 西鉄直方 - 出口 - 道目木 - 中原 - 西鉄直方 - 直方
- 7 : 直方 - 市役所 - 溝堀 - 永満寺 - 内ヶ磯 ※JR九州バスより移管。
- 10 : 直方 - 百合野団地 - 宮若市役所
- 13 : 直方 - 感田電停 - 直方中央病院 - 王子宮(びっくり市前) - イオンモール直方
- 66 : 直方 - 新入 - 鞍手車庫 - JR遠賀川駅
- 68 : 直方 - 直方PA口 - 鞍手車庫 - JR遠賀川駅
- 75 : 直方 - 植木 - 高六 - グローバルアリーナ - 赤間営業所
- イオンシャトルA便 : 直方 - 感田電停 - 中央病院 -イオンモール直方
- イオンシャトルB便 : 直方 - 感田電停 - イオンモール直方
以下は西鉄直方バスセンターより発車
- 高速 : 直方 - (九州自動車道経由) - 西鉄天神バスセンター
- 特急 : 直方 - (北九州都市高速道路経由) - 小倉駅 - 砂津
- 急行 : 直方 - 馬場山 - 小嶺台 - 下上津役 - 引野口 - 黒崎
直方市コミュニティバス
直方市コミュニティバスが発着する「直方駅前」バス停はJRバス自動車駅や西鉄直方バスセンターとは別の場所に設置されていたが、2014年2月1日よりJRバス・西鉄バス同様に駅前ロータリーに発着するようになった。
- 直方駅 - 鴨生田団地入口 - 鴨生田団地2 - 鴨生田団地1
- 直方駅 - 中央橋 - 内ヶ磯口 - 公会堂 - 上頓野 - 八幡神社 - 安入寺 - 竜王峡
- 直方駅 - 市役所前 - 猿田 - 道手 - 藤棚 - 須賀神社前 - 武谷口 - 武谷 - 工業団地 - ゴルフ場前
歴史
直方駅は1891年(明治24年)8月30日に筑豊興業鉄道によって開設された。1899年(明治32年)から、筑豊地区の石炭輸送の拠点駅とするために拡張工事が行われて、筑豊炭田の各地からやってくる石炭車がここで行き先別に編成しなおされて送り出されるようになった。13本の仕分け線が設けられ、2つの出発信号機が設置されて若松・西八幡・上戸畑へと送り出されていた。ヤードには照明灯が設けられ、昼夜を分かたず列車を送り出す作業が行われていた。1910年(明治43年)3月には駅舎の改築工事が完成し、初代の博多駅の駅舎が移築された。
しかし、第二次世界大戦後はエネルギー革命により石炭の出荷が減少するようになり、筑豊地区では1958年(昭和33年)から石炭輸送が減少に転じた。これにより直方駅の作業も縮小されていき、1984年(昭和59年)2月1日に貨物取り扱いが廃止された。2001年には電化が完成して電車が発着するようになるなど、その後は旅客駅として機能している。
駅周辺整備と旧駅舎の保存議論
2011年に解体された旧駅本屋は明治時代に建築されたものである。初代博多駅の駅本屋を移築した可能性[11]があり、木造駅舎でネオ・バロック様式の駅舎としては供用停止時点で九州最古であった。正面の車寄せには古代ギリシャ建築で用いられるエンタシス風の柱が立つ構造だった。
2006年、直方市が計画している駅周辺整備事業構想の中で駅舎の建て替え計画が浮上した。のち、市が2009年に策定した「中心市街地活性化基本計画」にもとづいて駅を中心とする約105ヘクタールを2010年から整備することとなった。このうち駅舎の改築についてはJR九州が、駅前ロータリーなどを市が事業化することとなり[12][13][14]、駅舎については前記の通り、2011年4月29日に完成式典が行われ供用を開始した[2][3]。
一方、旧駅舎は歴史的価値があるとされることから、建て替え計画当初より市民有志により保存が提唱されていた。2011年1月から直方文化遺産研究会が行った署名活動[15]に対して1万7千人あまりの賛同があり市に提出されたが、これに対しても市は、文化財的価値について調査ののち施設の一部を残し解体するとした既定方針を堅持している[16][4]。また、直方市は「旧駅舎は初代博多駅を移築したものであるかどうかを確かめる調査はしない」としている[17]。最終的に旧駅舎は2011年10月に解体された[18]。
これに対し、「文化的価値を考慮せずに解体したのは文化財保護法などに違反し、違法」として市民8人が市長を相手取った解体費用9000万円の返還請求を福岡地方裁判所に提訴した[18]。福岡地裁は2013年11月26日の判決で、旧駅舎が初代博多駅の移築であるという原告側の主張を退けながらも「相応の歴史的価値や一定の芸術性がある」と認定したが、市側が保存の検討など最低限の努力義務は果たしたとして、原告側の請求を棄却した[18]。
沿革
- 1891年(明治24年)8月30日 - 筑豊興業鉄道(1894年8月、筑豊鉄道に改称)が開設。
- 1893年(明治26年)2月11日 - 直方 - 金田間に支線(伊田線)が開業。
- 1897年(明治30年)10月1日 - 九州鉄道(初代)が筑豊鉄道を合併。
- 1899年(明治32年)9月 - 石炭輸送の拠点駅とするための拡張工事が開始される。
- 1907年(明治40年)7月1日 - 九州鉄道(初代)が国有化され官設鉄道の所管に。
- 1910年(明治43年)3月 - 駅舎の改築工事が完成。初代博多駅の駅舎を移築したものである。
- 1960年(昭和35年)9月 - 気動車基地が完成する。
- 1966年(昭和41年)9月 - 西口が開業。
- 1984年(昭和59年)2月1日 - 貨物業務取扱廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により九州旅客鉄道が継承。
- 1988年(昭和63年)3月 - 駅舎改築工事完成。
- 1989年(平成元年)10月1日 - 伊田線が平成筑豊鉄道に転換。
- 2001年(平成13年)10月6日 - 直方 - 博多間に特急「かいおう」運転開始。
- 2009年(平成21年)
- 2011年(平成22年)4月29日 - 新たな駅舎の供用を開始し、旧駅舎の使用を前日限りで終了する。
隣の駅
- JR九州
- テンプレート:Color福北ゆたか線(筑豊本線)
- 特急「かいおう」
- 直方駅 - 新飯塚駅
- テンプレート:Color快速
- テンプレート:Color普通
- 新入駅 - 直方駅 - 勝野駅
- 平成筑豊鉄道
- テンプレート:Color伊田線
- 直方駅 - 南直方御殿口駅
脚注
参考文献
- 九州鉄道百年祭実行委員会・百年史編纂部会 九州の鉄道100年記念誌『鉄輪の轟き』九州旅客鉄道 1988年
関連項目
外部リンク
- ↑ 以前は直方車掌区もあったが、のちに門司車掌区へ統合された。
- ↑ 2.0 2.1 JR直方駅に新駅舎完成(NHK福岡のニュース) - NHKオンライン(2011年4月29日付、同日閲覧)テンプレート:リンク切れ
- ↑ 3.0 3.1 3.2 魁皇関が29日に一日駅長 直方駅新駅舎の開業祝う - 西日本新聞(2011年4月23日付、同月29日閲覧)テンプレート:リンク切れ
- ↑ 4.0 4.1 4.2 JR直方駅:新駅あす開業 /福岡 - 毎日jp(毎日新聞社、2011年4月28日付、同月29日閲覧)
- ↑ モニュメント残った JR直方駅前 「太陽と月と川と」 設置15年…新交差点に移転へ - 西日本新聞(2011年6月24日付、同月28日閲覧)テンプレート:リンク切れ
- ↑ [http://www.jrkyushu.co.jp/EkiApp?LISTID=502&EKI=91132100 直方駅(駅情報) - 九州旅客鉄道(2012年12月25日閲覧)
- ↑ 直方駅の売店・直方うどん店 - 東筑軒(2012年12月25日閲覧)
- ↑ 九州駅弁(直方駅の検索結果) - 社団法人九州鉄道営業会
- ↑ 『統計直方』(運輸・通信)各号による。
- ↑ 駅前が再開発されると聞きましたが、バスやタクシーの乗り場はどこにできますか。 - 直方市、2013年5月14日
- ↑ 博多駅の旧駅舎については、吉塚駅の駅舎とするため吉塚へ運ばれたという説もある(「博多駅65年史」より。西日本新聞(2011年6月16日付))。
- ↑ テンプレート:PDFlink(p.16) - 直方市(2009年6月付、2010年9月14日閲覧)テンプレート:リンク切れ
- ↑ 直方市中心市街地活性化基本計画 - 直方市(2011年4月29日閲覧)
- ↑ JR直方新駅舎や自由通路、直方駅前広場はいつ完成しますか。(よくある質問) - 直方市(2010年9月28日付、2011年4月29日閲覧)
- ↑ 築101年目直方駅 保存求め署名へ - 47NEWS(ソース元は西日本新聞、2011年1月14日付、同年4月29日閲覧)
- ↑ 直方駅の保存等を目指し1万7282人分の署名提出 - 直方市(2011年4月1日付、同月29日閲覧)
- ↑ 直方市「移築調査せず」 旧駅舎解体問題テンプレート:リンク切れ西日本新聞2011年6月16日(同月28日閲覧)
- ↑ 18.0 18.1 18.2 JR直方駅旧駅舎:解体費用返還訴訟 原告の請求を棄却 市は努力果たす−−地裁 - 毎日新聞福岡版2013年11月27日