遠賀川
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テンプレート:Infobox 河川 遠賀川(おんががわ)は、福岡県の筑豊地区から北九州市・中間市・遠賀郡を流れる一級河川。九州で唯一、鮭が遡上する川でもある。流域市町村は7市14町1村。流域内人口約67万人。
地理
福岡県の南東部にある嘉麻市(旧・嘉穂郡嘉穂町)の馬見山に源を発し、筑豊地方の平野部を流れて福岡県北部の響灘へと注ぐ。
明治時代には筑豊地方より産出される石炭を船(川ひらた)を使い若松へと運んでいた。遠賀川と洞海湾を結ぶために中間市付近から堀川運河が造られた。しかし、鉄道の発達により次第に減少し、1938年(昭和13年)その役割を終えた[1]。
飯塚市、田川市、直方市、山田市(現在は嘉麻市)、宮田町(現在は宮若市)が産炭地として発展していた時代は、石炭を洗っていたため、川全体が黒く染まり、鮭も上らなくなった。現在は、エネルギー革命により筑豊炭田が衰退、炭鉱は全て閉山したため、本来の川の色に戻っている。
現在、河川敷は市民の憩いの場として利用され、コスモスや菜の花・チューリップなどが咲く花の名所にもなっており、毎年4月初旬には「のおがたチューリップフェア」が開催され、18種類10万本のチューリップが咲きそろう。
流域の自治体
- 北九州市(八幡西区)(若松区)
- 直方市
- 飯塚市
- 田川市
- 嘉麻市
- 中間市
- 宮若市
- 遠賀郡 岡垣町、芦屋町、水巻町、遠賀町
- 鞍手郡 小竹町、鞍手町
- 嘉穂郡 桂川町
- 朝倉郡 筑前町
- 田川郡 香春町、添田町、福智町、糸田町、川崎町、大任町、赤村
主な支流とその支流
- 西川(戸切川、前川、吉原川、平田川、蓮角川、山田川水路、長谷川①、北田川、南田川、六田川水路、白水川、菰川)
- 曲川(江川、新法寺川、払川、坂井川、宿ノ内川、羅漢川、堀川、赤水川、吉田川)
- 汐入川
- 神田川
- 黒川(佐瀬生川、白木川①、草木川、中畑川、音滝川、荒谷川、奥畑川、新延川)
- 笹尾川(金剛川、流川)
- 尺岳川
- 近津川(藤野川、前田川)
- 福地川(空方川、身老川、下ノ川、藤田川)
- 伊方川
- 弁城川
- 福智川(岩屋川)
- 犬鳴川(倉久川、有木川、上有木川、神埼川、生田川水路、法花寺川、天井川、舞鶴川、脇田川、福井川、迎野川、乙藤川、宝満田川、大浦川、大石川、大徳川、岩倉川、草場川、瀬戸川、山の口川、鹿子馬川、桧川)
- 八木山川(小谷川、長倉川、池河内川、高藪川、裏ノ谷川、緑山川、夫婦木川)
- 山口川(弥ヶ谷川、浅ヶ谷川、鳴水川、山下川、高柳川、畑川、貴船川、桐ノ木川)
- 黒丸川(清水川、米の山川、山田川、長谷川②、井ノ坪川)
- 居立川(広江川、山部川)
- 庄司川(尾多羅川、小切畑川)
- 庄内川(鹿毛馬川、大城川、小峠川、権現谷川、高倉川、入水川、仁保川、多田川、荒谷川)
- 中元寺川(泌川、木城川、真木川、江良川、丸山川)
- 猪位金川(猪膝川、あうたに川)
- 安宅川(黒木川、筒丸川、荒平川)
- 金辺川(呉川、五徳川、柳谷川、大谷川、鮎返川、黒中川、住野川、天山川、城山川)
- 御祓川(朝倉川、追迫川、大坂川、勘久川)
- 穂波川(碇川、馬敷川、大分川、山口川、明星寺川、姿川、平塚川、松浦川、徳前川、切畑川、大野川、福ヶ谷川)
- 内住川(本谷川、舎利蔵川)
- 泉河内川(浦川①、西郷川)
- 山田川(サワラデ川、清藤川、長春川、白木川②、猪鼻川)
- 建花寺川(相田川、蓮台寺川、池辺川、大日寺川)
- 新川
- 熊添川
- 千手川
- 屏川
- 椎木川
- 芥田川
- 才田川
- 彦山川(川端川、畑谷川、芳ヶ谷川、みうちたに川、一の宮川、駒啼川、不動川、浦田川、浦川②、新城川、長谷川③、櫛毛川、白髪川、吉木川、汐井川、深倉川、別所河内川)
主な利水施設
水害
- 1953年(昭和28年)6月下旬:昭和28年西日本水害。
- 2003年(平成15年)7月18日 - 7月19日:九州地区を襲った集中豪雨により、河川が氾濫する。とくに飯塚市は、降り始めからの総雨量も300ミリをこえ、多くの被害が出た。
- 飯塚市・・・飯塚市中心部が洪水。負傷者(重症)2人。被害総額49億7000万円。特に嘉穂劇場は甚大な被害を受け、復旧に1年を費やした。
エピソード
遠賀川の名はリリー・フランキーの小説、『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』の文中にも登場し、まさに筑豊を象徴する川といえる。また文中で、”オカン”からの手紙のなかに「”遠賀川にはかっぱがいるという伝説がある”」と記されていたが、福岡県内では筑後川に次いで河童伝説が多く伝わる川でもある。