東京臨海高速鉄道りんかい線
|} りんかい線(りんかいせん)は、東京都江東区の新木場駅と東京都品川区の大崎駅を結ぶ東京臨海高速鉄道の鉄道路線である。
計画・開業時の路線名は臨海副都心線(りんかいふくとしんせん)だったが、2000年から一般公募によって決定された愛称を使用している[1]。
なお、株式会社ゆりかもめが運営する東京臨海新交通臨海線とは別の路線であり、運営会社も別である。
大崎駅で接続する東日本旅客鉄道(JR東日本)埼京線と相互直通運転を行っている。大半の区間が地下にあるが、運営会社の東京臨海高速鉄道は一般社団法人日本地下鉄協会に加盟しておらず、国土交通省監修の統計資料[2]においても地下鉄としては扱われていない。
目次
路線データ
- 路線距離(営業キロ):12.2km
- 軌間:1067mm
- 駅数:8駅(起終点駅含む)・1信号場
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(直流1500V・架空電車線方式)
- 閉塞方式:(複線)自動閉塞式
- 保安装置:ATS-P
- 最高速度:100km/h
- 車両基地:東臨運輸区(八潮車両基地)- 場所は東京貨物ターミナル駅脇
- 地上区間:大崎駅 - 大井町駅間(東京総合車両センター付近まで)・国際展示場駅(トンネル出口は東側) - 新木場駅間
- 地下区間:大井町駅 - 国際展示場駅間
沿革
新木場 - 東京テレポート間は高度成長期に東京外環状線の一部として計画され、湾岸部の海底トンネル工事も完了していた旧国鉄京葉貨物線のうち、国鉄時代に旅客線に転用されず、国鉄分割民営化後は国鉄清算事業団が所有していた新木場 - 東京貨物ターミナル間の一部を東京臨海副都心地区の開発と同地区での開催が予定されていた世界都市博覧会(1995年開催中止決定)に伴う旅客輸送のために旅客線として開業したものである。また、東京テレポート駅構内(八潮車両基地への分岐点、品川埠頭直下) - 大崎間については新規に工事を行った上で延長開業した。
なお、同じく工事が終了していた東京テレポート駅 - 東京貨物ターミナル間は、東京貨物ターミナルの東側に車両基地を設置した上で回送線として利用されている。また新木場駅の蘇我方ではJR東日本の京葉線と線路が接続されている。
東京テレポート駅 - 東京貨物ターミナル駅(八潮車両基地)を結ぶ海底トンネル・東京港トンネルは旧国鉄の京葉貨物線の一部として建設されたもので、沈埋工法で建設されたためにトンネル断面形状はボックスケーソンの四角形となっている。一方、りんかい線開業に伴って新たに掘削された品川埠頭分岐点 - 天王洲アイル駅間についてはシールド工法で建設されたため、トンネル断面形状は円形である。東京テレポート駅 - 天王洲アイル駅間にある品川埠頭分岐点が接続部で、トンネル断面形状が変化する。
また、2020年の東京オリンピックに向けて、東京臨海副都心地区周辺にオリンピックのための競技場が建設される予定であることから、オリンピックのためのアクセス鉄道にもなる予定である。
年表
- 1996年(平成8年)3月30日 第1期区間・新木場 - 東京テレポート間開業。当時は70-000形電車4両編成での運転で、このときの路線名称は「臨海副都心線」。もっぱら運営会社の略称である「TWR」と呼ばれていた。
- 2000年(平成12年)9月1日 「りんかい線」の愛称を使用開始。同時に路線名を臨海副都心線からりんかい線に改称。
- 2001年(平成13年)2月8日 八潮車両基地の供用開始。
- 2002年(平成14年)12月1日 第2期区間・天王洲アイル - 大崎間開業(全線開業)。同時にJR東日本埼京線と相互乗り入れを開始。これを機に埼京線直通用列車を10両編成化し、さらにりんかい線内の専用列車を6両編成化。また、この日から2003年2月28日まで開業時の運賃のままで利用できる「スピードアップキャンペーン」を実施。ただし、日中7分30秒毎の等間隔運転(1時間に8本運転)から毎時5 - 7本運転のランダムダイヤとなり減便された。
- 2004年(平成16年)10月16日 全列車10両編成化。これ以降、JR車両もりんかい線内折り返し運用に就き、同様に自社車両も埼京線内折り返し運転の運用にも就くようになった。
- 2008年(平成20年)7月19日 東京テレポート駅において発車のベル音(公式ホームページでの呼称)を『踊る大捜査線』のテーマ曲に変更(詳細は後述)。りんかい線の駅でご当地メロディが導入されるのは初めて。
運行形態
大崎からJR埼京線に直通し、川越線の川越駅まで相互乗り入れを実施している。これにより、りんかい線新木場駅から埼京線経由で川越線川越駅までは一つの運転系統として成立している。
りんかい線内は新木場 - 大崎間の全線を通して運転する列車のほか、八潮車両基地への出入りのために東京テレポート発着の列車も設定されている。日中は20分サイクルで川越発着の快速(りんかい線内各駅停車)が1本、新木場 - 大崎間の線内運転が1 - 2本のパターンダイヤとなっている。
りんかい線内では快速(Rapid)および通勤快速(Commuter Rapid)[3]を含めて全列車が各駅に停車する。
10両編成化に伴い、自社車両だけではなくJR埼京・川越線系統の車両もりんかい線内での折り返し運転に使用されている。
東京ディズニーリゾート玄関口の京葉線舞浜駅への短絡ルートとして、時折JR東日本中央線や東海道線などからりんかい線を通り、京葉線へ直通する団体客向けの臨時列車が運転される。
大崎開業前は混雑が予想される日には特別ダイヤを組んで対応していたが、開業後はあまり実施されなくなった。ただし、大晦日にはJRからの直通臨時列車が設定される場合もあるほか、東京湾大華火祭、コミックマーケット期間等にも臨時列車が設定される。
使用車両
- 自社車両
- 乗り入れ車両
- E233系7000番台(JR東日本、2013年6月30日より乗り入れ開始[4])
- 205系(JR東日本、2014年3月以降は予備編成である第28編成のみ運用。同年2月までは大崎寄りの2号車および3号車に6ドア車を組み込んだ編成も運用されていた[5])。
2014年3月以降は、全電車4ドア車での運行となっている。
このほか、臨時列車や団体専用列車として183系やE257系、485系のお座敷列車「華」、検測車のE491系が乗り入れたことがある。
りんかい線の地下区間は、トンネル内径が広く非常時に列車側部に脱出することが可能[6]なため、列車の先頭部と最後部に非常時脱出用貫通扉を装備していない系列であっても地下鉄等旅客車であれば走行は可能である。
- TWR 70-000.jpg
東京臨海高速鉄道70-000形
- E233 kei 7000bandai 101F saikyo line.JPG
JR東日本E233系7000番台
- JRE 205 0 hae.JPG
JR東日本205系
(6ドア無し) - JRE 205-SAIKYOLINE.jpg
JR東日本205系
(6ドア付き、現在は運用終了)
女性専用車
女性専用車は、埼京線と同じく、7時46分 - 9時41分に大崎駅を発車する新木場方面行全列車と22時34分以降に新木場駅を発車する大崎方面行全列車で、ともに平日のみに設定。設定車両は新木場方先頭車両である10号車。
利用状況
年度 | 1日平均利用者数 | 運輸収入 | 運輸収入増収率 |
---|---|---|---|
2003年度 | 12.2万人 | 94億3600万円 | |
2004年度 | 13.3万人 | 101億8800万円 | 8.0% |
2005年度 | 15.0万人 | 115億6300万円 | 13.5% |
2006年度 | 16.4万人 | 128億5100万円 | 11.1% |
2007年度 | 18.5万人 | 142億3900万円 | 10.8% |
2008年度 | 19.8万人 | 149億2800万円 | 4.8% |
2009年度 | 20.2万人 | 150億1300万円 | 0.6% |
2010年度 | 20.0万人 | 148億800万円 | -1.4% |
2011年度 | 19.7万人 | 146億7600万円 | -0.9% |
2012年度 | 22.3万人 | 166億6700万円 | 13.5% |
臨海副都心や品川、江東湾岸地区の開発により、利用者数は増加傾向にある。
駅一覧
- 全線東京都内に所在。線内は快速、通勤快速を含め全定期列車が全駅に停車する。
- 大崎駅以外の全駅にFREESPOTおよびdocomo Wi-Fiによる公衆無線LANアクセスポイントが設置されている。また、2013年3月21日からUQコミュニケーションズのWiMAXによる駅構内・駅間においてのデータ通信が、同年6月21日から携帯電話の駅間トンネルでの通信が可能となっている。今後各社の公衆無線LANのアクセスポイントの設置が行われる予定となっている。
駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 接続路線 | 地上/地下 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|
新木場駅 | - | 0.0 | 東日本旅客鉄道:京葉線 東京地下鉄:有楽町線 有楽町線 (Y-24) |
地上区間 | 江東区 |
東雲駅 | 2.2 | 2.2 | |||
国際展示場駅 | 1.3 | 3.5 | ゆりかもめ:東京臨海新交通臨海線(有明駅:U-12) | 地下区間 | |
東京テレポート駅 | 1.4 | 4.9 | ゆりかもめ:東京臨海新交通臨海線(お台場海浜公園駅:U-06, 青海駅:U-10) | ||
品川埠頭分岐部信号場 | - | (6.8) | 八潮車両基地への引込線が分岐 | 港区/品川区 | |
天王洲アイル駅 | 2.9 | 7.8 | 東京モノレール:東京モノレール羽田空港線 | 品川区 | |
品川シーサイド駅 | 1.1 | 8.9 | |||
大井町駅 | 1.6 | 10.5 | 東日本旅客鉄道:京浜東北線 東京急行電鉄:大井町線 | ||
大崎駅 | 1.7 | 12.2 | 東日本旅客鉄道:埼京線(大宮駅経由川越線川越駅まで直通運転) ・山手線・湘南新宿ライン |
地上 |
大崎駅付近の配線図
※ 大崎駅付近の配線略図(注意、巨大画像600px、表示巾800px)を表示するには、右の [表示] をクリックしてください。
運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・ICカードの場合は1円未満切り捨て、切符購入の場合は10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定[9]。
キロ程 | 運賃(円) | |
---|---|---|
ICカード | 切符購入 | |
初乗り - 3km | 206 | 210 |
4 - 6 | 267 | 270 |
7 - 9 | 329 | 330 |
10 - 13 | 390 | 390 |
- 2002年12月1日の全線開業時から2003年2月28日までの3か月間は、「スピードアップキャンペーン」として、2002年11月30日までの運賃が適用されていた。
- 2007年4月28日より「1日乗車券」を発売している。大人700円・小児350円。大崎駅以外のりんかい線各駅窓口で購入が可能。
- 2008年3月15日より通学定期運賃の割引率を50%から70%に拡大した(値下げ)。
- 1か月間の通勤定期券は普通運賃の約38〜39倍(19〜19.5往復分)であり、通勤日数によっては割高になるため、回数券で通勤する旅客も多い。
乗車券の取り扱い
- 乗車カードはSuicaが使用可能である(相互利用可能なカードはSuicaを参照のこと)。Suicaは東京臨海高速鉄道(水色面のりんかいSuica)、JR東日本(黄緑色面のSuica)、東京モノレール(銀地に擬人化した緑色のモノレールの絵のモノレールSuica)で発行しているものすべてが使用可能。かつてはパスネットも自動改札機のみ使用できたが、2008年3月14日で取り扱いを終了しており、現在は有人改札での精算・自社線完結の普通乗車券の購入のみに使用できる。なお、りんかい線では当初から自動券売機や自動精算機でのパスネットの使用はできなかった。
- パスネットは2000年10月14日の導入開始時から、Suicaは2002年12月1日の全線開通および埼京線乗り入れ開始時から導入されており、東京臨海高速鉄道では両方を発行していた。この2種類のカードを発行していた鉄道事業者は東京臨海高速鉄道のみである。これは、東京臨海高速鉄道の大株主が、東京都(東京都交通局)=パスネット、JR東日本=Suicaと双方の陣営にもあることが影響している。
- 西日本旅客鉄道(JR西日本)のICOCAは2004年8月1日から、東海旅客鉄道(JR東海)のTOICAは2008年3月29日から、北海道旅客鉄道(JR北海道)のKitacaは2009年3月14日から、西日本鉄道のnimoca、福岡市交通局のはやかけんや九州旅客鉄道(JR九州)のSUGOCAは2010年3月13日から、manacaやPiTaPaは2013年3月23日から、それぞれSuicaとの相互利用開始時から利用可能となっている。
- イオカード(磁気式)はりんかい線内では利用できなかったため、イオカードを使用してJR線から大崎経由でりんかい線に入った場合は窓口精算を行う必要があった。2006年2月10日をもってJRでのイオカードの自動改札機での利用が終了しているため、現在は行われていない。
- 東京臨海高速鉄道はパスネット加盟社だったが、2007年3月18日に開始されたPASMOを加盟社局の中では唯一導入せず、ICカードは既に導入しているりんかいSuicaのみとした(PASMOとSuicaは相互利用ができるため)。また、同線内でのSuicaの利用者増加に伴い、同日までにりんかい線内自動券売機でのパスネットの発売を終了した。
- Suica・PASMO・パスネットとも、自動改札機・自動券売機・自動精算機・窓口処理機での使用後に表示・印字される駅名には頭に「臨」が表示される(パスネットは乗車駅欄のみ。Suicaは大崎駅では表示されない)。なお、ICOCA・TOICAではSuicaエリア以外で表示・印字されると異なる表示がされる。
- JR東日本が発売する特別企画乗車券休日おでかけパス・JR East Passの利用が可能であるが、この路線の駅では発売されない。
- 大井町駅が東急大井町線の始発駅となっている東京急行電鉄(東急電鉄)との間では東急お台場パスが設定され、東急線内の各駅と大井町駅を結ぶ往復乗車券と大崎駅をのぞくりんかい線内の各駅が1日乗降自由なフリー切符がセットとなっている。詳細は該当項目を参照。
- 青春18きっぷ、ジャパンレールパスは使用できない。
直通運転について
テンプレート:See also りんかい線は、大崎駅経由でJR埼京線と相互乗り入れを行い、新木場駅でJR京葉線に乗り換える乗客も少なくないにもかかわらず、りんかい線と京葉線との直通運転は実施されていない。これは、常時直通運転させるためには多額な設備投資が必要になることや、りんかい線が建設費の償還のためJRより相当に割高な運賃を設定しており、JRとの運賃配分で問題が生じやすいためである(特に、Suicaにおける運賃計算)。 なお、京葉線が通る千葉県は、りんかい・京葉線直通で、ライナー(乗車券のほかにライナー券数百円必要)を走らせ、そのライナー券にJRとりんかい線の運賃の差額を上乗せする形で、この問題を解消しようと試みている。 また、京葉線との直通運転が行われた場合、東京メトロ東西線の一部列車と同様に、事実上両側をJR線に挟まれた乗り入れになるため[10]、不正乗車が多発するおそれがある。そのため、現状では、りんかい線とJR京葉線の直通運転は運賃の回収が確実な団体客向けの臨時列車のみとなっている。
発車メロディ・自動放送
発車メロディや操作用のスイッチなどは、JR東日本で使用されているものと全く同じで、JRと共用している大崎以外では基本的に東洋メディアリンクス製の「Water Crown」「Cielo Estrellado」「Gota del Vient」を使用しており、操作方法もJRと同じである。しかし、基本的に発車メロディは時間の関係などであまり長く流れないことが多い。
- フジテレビの最寄駅である東京テレポート駅では、2008年7月19日よりフジテレビのドラマ『踊る大捜査線』のテーマソングをアレンジしたものに変更された(1番線〈大崎方面〉:C.X.、2番線〈新木場方面〉:Rhythm And Police)。なお、2012年12月7日 - 2013年1月31日までは映画『ONE PIECE FILM Z』のテーマ曲を使用していた[11][12]。『ONE PIECE』のメロディ使用終了後は『踊る大捜査線』以前のメロディにすることも検討していたが、お台場のイメージ保持のため、『踊る大捜査線』のメロディを再度使用している。
- 大井町駅では2011年6月から2013年1月27日まで、同駅を最寄りとする「四季劇場[夏]」において上演されていたミュージカル『美女と野獣』のテーマソングが使用されていた(1番線〈大崎方面〉:美女と野獣、2番線〈新木場方面〉:おもてなし)。その後、2013年10月25日からは同劇場で上演開始となったミュージカル『リトル・マーメイド』のメロディが使用開始された(1番線〈大崎方面〉:Part of your world、2番線〈新木場方面〉:Under the sea[13])。いずれも使用開始初日は主演俳優[14]が1日駅長となってメロディをお披露目した[15][16]。
- 国際展示場駅では、2012年の夏限定で「いつもNAVI」のCMソングを使用しており、曲名を当てるキャンペーンも行われていた。
駅自動放送は大崎方面を長谷川浩大、新木場方面を豊田真由美が担当している。埼京線直通開始以前は大崎方面を村山明、新木場方面をよしいけいこが担当していた。
その他
りんかい線は大井町駅 - 品川シーサイド駅間で京浜急行電鉄の京急本線青物横丁駅 - 鮫洲駅間と直交するが(りんかい線が地下、京急本線が高架)、交点付近には両線とも駅が設置されていない。両線の駅同士で最も近いのはりんかい線の品川シーサイド駅と京急本線の青物横丁駅となるが、距離で約800m、徒歩連絡で10分以上かかり、両駅を結ぶバス路線などもないため、利便性に難点が生じている。りんかい線各駅の路線案内図にも京急本線は記載されていない。京急本線沿線各駅から臨海副都心へは、同線と平行するJR京浜東北線に品川駅・横浜駅などで乗り換えて大井町駅からりんかい線を利用する、あるいは同線が直通する都営地下鉄浅草線の新橋駅からゆりかもめを利用するなどの案内がなされ、青物横丁駅は大井町駅と船の科学館駅を結ぶ京浜急行バス(同大森営業所)の停留所が設置されている。