朝鮮学校
テンプレート:Infobox 朝鮮学校(ちょうせんがっこう、チョソンハッキョ、조선학교)とは、在日朝鮮人に対して朝鮮語を用いた教育を行う民族学校(教育施設)のこと。小中学校、高校などの分類される一条校ではなく各種学校である。
概要
朝鮮学校は、各都道府県の学校法人により運営されている各種学校である(小学校・中学・高校などが分類される一条校ではない)。たとえば、東京都であれば学校法人東京朝鮮学園が運営しているテンプレート:要出典。しかし、校長人事などの運営および教育内容については、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)中央本部および朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の支配政党である朝鮮労働党が事実上決定している[1][2][3]。現在、複数の元校長・元教員が「土台人」となって日本人拉致事件等の北朝鮮による対日有害活動を支援した罪で国際指名手配されているテンプレート:要出典[4]。北朝鮮は、朝鮮学校に教育援助費と奨学金を送っている[1]。
幼稚班・初級学校・中級学校・高級学校・大学校があり、教育課程は、日本の6・3・3・4制に合わせたもので、北朝鮮国内の学校制度とは異なる。これらの教育施設はすべて各種学校(学校教育に類する教育を行うもので、所定の要件を満たす教育施設)であり教育基本法6条・学校教育法1条に定める「法律に定める学校」(1条校)には該当しない。公安調査庁によると、朝鮮学校では、北朝鮮の発展ぶりや金正日総書記の主体思想・先軍政治を称賛する教科書『現代朝鮮歴史』を使用しているほか、初級部4年生以上の生徒を在日本朝鮮青年同盟(朝青)に義務的に所属させ、政治的活動への参加を呼び掛けたり、金総書記の「偉大性」を紹介するなどの思想教育を行っている[5]。 朝鮮学校は、在日韓国民主統一連合(韓統連)・主体思想派(韓国挺身隊問題対策協議会、略称「挺対協」)と連携。学校の運営では日本教職員チュチェ思想研究会全国連絡協議会や、日本人の金日成・金正日主義研究者と連携し、日教組を通じて日本の学校との交流を深める。テンプレート:要出典
設立の歴史
- 1945年 第二次世界大戦終戦直後、在日朝鮮人が朝鮮語を用いて学習をする場「国語講習所」を設ける
- 1946年 - 在日本朝鮮人連盟(現:朝鮮総連・民団の前身)の学校に発展する
- 1948年 連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の政策によって文部省が朝鮮学校閉鎖令を出したことにより朝鮮系学校を閉鎖(一条校になった白頭学院を除く)。一部は公立の朝鮮人学校・朝鮮人のみに教育を行う民族学級などに移管または個人宅における個別教育を行う。テンプレート:要出典朝鮮学校への助成金を求めて、在日朝鮮人と日本共産党員からなる1600人のデモ隊が大阪府庁に乱入し阪神教育事件(阪神教育闘争)を引き起こした。
- 1949年 日本政府は朝鮮人子弟の義務教育は公立学校で行うことが原則であり、朝鮮学校には日本の教育法令を遵守させ、国または地方公共団体の援助の必要はないとする閣議決定を行う[6]。
- 1950年代半ば以降 韓国系・北朝鮮系それぞれ学校を再建。1951年、韓国系学校白頭学院は一条校となる。
- 1957年 北朝鮮から教育援助費が送られてくる。韓国政府は北朝鮮に対し教育費の援助を止めるよう抗議を行ったが[7]、北朝鮮は援助を続け北朝鮮系の学校が台頭してくる(韓国に対しても支援を求めるが、積極的な支援をせず)
- 1960 - 70年 各都道府県が朝鮮学校を各種学校として認可し、1975年にすべての朝鮮学校が各種学校となる。この時代が学校数・生徒数のピークであるテンプレート:要出典
朝鮮学校の特徴
教育施設としての位置づけ
学校法人が設置しているものであるが、朝鮮学校は日本国内に居住する外国人をもっぱら対象とする教育施設とされている上に、文部科学省が定めるカリキュラムを満たしていないため、学校教育法による「一条校」ではなく各種学校として設置されている。
朝鮮学校の高級部(朝鮮高級学校)の課程を修了しただけでは、日本の大学入学資格は生じない。また、学歴上の高等学校卒と公的には認められない。ただし、法令の規定に基づいて各大学が個別に、「文部科学大臣の定めるところにより、高等学校を卒業した者、中等教育学校を卒業した者等と同等以上の学力があると認められる者」として、朝鮮学校の高級部(朝鮮高級学校)の課程を修了した者に出願資格を与えることがある。私立大学や公立大学は認めている学校が多いが、国立大学は近年まで認めていなかった。
だが、2003年8月11日の『文科省方針「大学入学資格の弾力化について」についての見解』によって、外国人学校卒業者が高等学校卒業程度認定試験を経ることなく、国立大学を受験する資格を認める方針が打ち出された[8]。
また、中級学校卒業後の私立・公立高校への進学は都道府県教育委員会及び各私立学校の判断により認めているところが多い。ただ、朝鮮学校では高級学校までは進学させることを原則としている。また、かつては高級学校においても朝鮮大学校への進学を前提とした教育がおこなわれていたが、最近では日本の大学受験をめざす生徒のための教育もおこなっている。
運営資金
日本政府は1949年10月12日に「国や地方自治体が運営資金を助成する必要は当然にない」とする閣議決定を行っている[6]が、現在では各地方公共団体が自身の判断である程度助成している。しかし北朝鮮からの支援の滞りによって資金難に陥り、朝鮮学校関係者は地方自治体や日本政府にも資金援助を強く求めている。埼玉県深谷市の例では、市の財政悪化を理由として朝鮮学校への教育助成金の支出を中止したが、朝鮮学校関係者の強い要請によって方針は撤回され、最大2倍になる教育助成金が朝鮮学校に支払われることになった[9]。だが先述の通り、日本国は1949年10月12日に「朝鮮人学校処置方針」の閣議決定を出しており、第3項で「朝鮮人の設置する学校の経営などは自らの負担によっておこなわれるべきで、国または地方公共団体の援助は当然必要ない」としている[6]。
北朝鮮は1950年代後半から朝鮮学校に対し、総額で約460億円(2010年2月現在)の資金提供をおこなっており、2009年にも約2億円の「教育援助金」を送金している[1]が、「援助金が全ての朝鮮学校に対して平等に分配されておらず、朝鮮学校関係者の間では不満が募っている」ともいわれる[1]。
地方公共団体の補助金は、教育を受ける在日朝鮮人本人またはその家族に対する支援として支出している例が多くテンプレート:要出典、日本国憲法第89条の解釈問題があるが(「公の支配に属」することを緩やかに解しない場合)、朝鮮学校を設置する学校法人に対して助成金を支出している[10][9]。
また、朝鮮総連は、外国人学校(民族学校)に対する寄付金を税制上損金扱いとしないことに異議を唱えているが、外国人学校を設置しているかどうかを問わず、学校法人に対する寄付について損金扱いが認められるためには、一定の手続きが必要とされている[11]。
朝鮮学校の運営状況や実態に関しては、国連の社会権規約委員会が「委員会は、かなりの数の言語的少数者の児童生徒が在籍している公立学校の公式な教育課程において母国語教育が導入されることを強く勧告する。さらに委員会は、それが国の教育課程に従うものであるときは、締約国が少数者の学校、特に在日韓国・朝鮮の人々の民族学校を公式に認め、それにより、これらの学校が補助金その他の財政的援助を受けられるようにし、また、これらの学校の卒業資格を大学入学試験受験資格として認めることを勧告する。」との見解を表明している[12]。
朝鮮学校が慢性的な運営資金難に陥っているのは、学費無料の公立学校に通わせる保護者が増えたこと、後述する偏向した教育内容によって批判や懸念を招いたり、進学の面で不利になる(近年になって国公立大学受験資格が原則的に認められた)ことなどが理由である。このような理由で朝鮮学校を忌避する傾向が出てきたことにより、朝鮮学校在籍者数・割合ともに減少し、財政基盤の悪化により各地で学校の休校(廃校)・統合が相次いでいる。
自治体の朝鮮学校への無償、格安貸与
自治体が保有する公有地を無償あるいは著しく安い賃料で貸していたという事例がある。
大阪府大阪市が中大阪朝鮮初級学校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」に対し、約50年にわたり市有地である同学校の用地4957平方メートルを無償で貸していることが判明した[13]。大阪市の試算によると10年契約で貸した場合、年間賃料は230万円になる[13]。
兵庫県尼崎市が学校法人「兵庫朝鮮学園」に対し、尼崎朝鮮初中級学校の敷地となる市有地(約7850平方メートル)を相場の約100分の1の賃料で45年間提供していたことが判明した[14]。尼崎市の計算によると現在の賃料の相場は年2892万円になる[15]。
伊丹市が学校法人「兵庫朝鮮学園」に対し、伊丹朝鮮初級学校の用地として市有地約4150平方メートルを相場の約20分の1の賃料、月額約4万円で貸していたことが判明した[14]。また、伊丹朝鮮初級学校創設の際には木造平屋建て約400平方メートルの校舎や机等の備品などを無償譲渡をしていた[14]。市有地の標準賃料によれば月額74万5600円になる[14]。
朝鮮学校の高等学校等就学支援金対象除外に関する問題
2010年4月から施行した公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律及び公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則(以下「省令」)では、外国人学校も就学支援金支給の対象としているが、朝鮮学校の高級部は省令1条1項2号(ハ)「文部科学大臣が定めるところにより、高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして、文部科学大臣が指定したもの」に相当する可能性はあるものの(こちら参照)、民主党政権下では審査の結論が出なかった。
2012年衆議院議員総選挙の結果、自由民主党が与党とする第2次安倍内閣が発足後、文部科学大臣下村博文は、省令1条1項2号(ハ)の削除を検討している旨の発言をしたが、その場合でも、同様のコリア国際学園などについて経過措置を取り、対象から外さないこととした[16][注 1]。
支援金除外に反対する側の意見
- 朝鮮総連はこの問題をめぐり、北朝鮮の金正日の意向を受け、全国の朝鮮学校幹部らに就学支援金の支給対象を獲得する運動を展開するよう指示を行っている[17]。
- 国民新党と社民党、公明党、日本共産党は支給対象からの除外に反対を表明している[18][19][20]。
- 日本各地にある朝鮮学校の生徒は、社民党の又市征治参議院議員、「日本朝鮮学術教育交流協会」の中村元気会長、「朝鮮の自主的平和統一を支持する長野県民会議」の伊藤晃二会長代行らを引き連れて文部科学省を訪問し、朝鮮学校を支援金除外の対象にしないよう求めた[21] 。また、衆議院第一会館で開催された「高校無償化」 院内集会には民主党の石田芳弘衆院議員、緒方林太郎衆院議員、瑞慶覧長敏衆院議員が参席し、必ず「無償化」を勝ち取ろうと訴えた[22]。
- 日本高等学校教職員組合は「高校授業料無償化は教育を受ける権利を社会的に保障する立場から実施されるものであり、政治的理由から特定の学校を排除することはあってはならないことです」として除外に反対している[23]。
- アムネスティ・インターナショナル日本や自由人権協会は、朝鮮学校高級部について就学支援金支給の対象に含めることを要求している。
- 在日韓国民主統一連合の朴南仁組織局長は「戦争と女性への暴力」日本ネットワークと連携し、朝鮮学校を支給の対象にするよう働きかけている[24]。
- 毎日新聞や北海道新聞が社説で朝鮮学校を就学支援金支給の対象から外すことを非難した[25][26]。
- 井戸敏三兵庫県知事は「朝鮮学校とほかの外国人学校と差を設ける必然性は、本県としてはない」とし、国が朝鮮学校を支給対象から外しても、県単独の補助金分は支給することを明言した[27]。
- 浅野健一同志社大学教授は、平壌で開催された「日本の反人倫犯罪の被害者たちによる証言集会」において、日本政府が高校無償化から朝鮮学校を除外することは「日本が国連加盟国の資格まで失う暴挙になる」と批判した[28]。
- 2010年3月10日、日本キリスト教協議会、部落解放同盟中央本部、ナヌムの家、女たちの戦争と平和資料館、反差別国際運動、アジア女性資料センター、東京都学校ユニオン、韓国強制併合100年共同行動、財団法人 日本YMCA同盟などの団体が、朝鮮学校を「高校無償化」制度の対象とする共同要請を鳩山由紀夫総理大臣に提出している[29]。
支援金除外を求める側の意見
- 自民党や国家公安委員会委員長の中井洽は、北朝鮮による日本人拉致問題や核問題によって、日本政府として経済制裁を行っていることから就学支援金支給の対象から外すべきとの声や、朝鮮学校の個人崇拝の強制などの教育内容を問題視する声[30]、「北朝鮮とは国交がなく、(授業料相当額を)学校が代理受領して子供に使われたか検証するすべがない」などの声が挙がっている[31]。
- 産経新聞は朝鮮学校と朝鮮総連との関係を指摘し、就学支援金支給の対象から外すべきだと主張した。そのため、朝鮮学校は記者会見に産経新聞を参加させないことを通達した[32]。
- 橋下徹大阪府知事は、就学支援金支給の対象から朝鮮学校を除外することを表明。北朝鮮からの非難に対しては「拉致被害者を返してくれたら話に応じる。朝鮮学校の子供を泣かせたくないのなら、本国はしっかりしてくれ。泣かせないために何ができるか、考えてほしい」と応じた。2010年8月11日にも「北朝鮮との関連性や権力崇拝をやっている学校が認可に値するのか、そもそも論で考えないといけない」と改めて慎重な姿勢を見せた[33]。テンプレート:要出典範囲。
- 韓国の脱北者団体「NK知識人連帯」は「朝鮮総連系の学校は純粋な民族教育を離れて、金日成、金正日父子を偶像化する教育のみに重点を置くイデオロギー洗脳場である」として、日本政府に対し無償化を適用しないよう求める建議書を提出した[34]。
制服
男子生徒の制服は、中高生用として、ごく一般的な意匠の学生服が採用されていることが多い。
女子生徒の制服として、かつては民族衣装のチマチョゴリ風制服の着用が一般的であったが、1994年5月から6月にかけて発生したチマチョゴリ切り裂き事件などを理由に、「生徒の安全を考慮した」として1999年4月より、多くの朝鮮学校で通学時のチマチョゴリ風制服着用が任意に変更された。
一般的な校則ではチマチョゴリ風の第一制服とブレザーの第二制服が定められており、校内で前者、通学時に後者が使用される。しかし本人や家族の希望があれば第一制服を着用して通学することも可能である。
生徒数
1970年代初頭には4万6000人を数えた全国各地の朝鮮学校の生徒数は、2004年度には1万1500人[35]、2008年2月時点では1万1000人。文部科学省によると、2009年時点で全国で計73校(うち休校8校)あり、児童生徒数は約8300人、朝鮮籍と韓国籍はほぼ同数で日本籍も数%存在するという[36]。朝鮮籍子弟が朝鮮学校に通う割合は年々減少し地域によって差があるが1~3割といわれている[35]。「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」によると、2012年時点の朝鮮学校の生徒数は約5000 - 6000人[37]。
進路
高級部卒業後の進路は、主に朝鮮大学校への進学、日本の大学等に進学、就職である。就職の場合朝鮮総聯の関連団体・企業や在日朝鮮人経営の企業への就職が多い。進学の場合は、各校によって差はあるが、例を挙げると九州朝鮮中高級学校の高級部卒業生のうち朝鮮大学校への進学は25%その他の学校50%である[38]。朝鮮大学校の教育学部は、朝鮮学校の初級部の教員養成を目的とし、文学部朝鮮語学科は朝鮮学校の国語(朝鮮語)教師の養成を目的とし、外国語学部は朝鮮学校の英語と日本語の教師の養成を目的とし、他の学部も朝鮮学校の教師になるものがかなり多い。だが、近年では日本企業や韓国企業への就職をするものもいる。
高級部に進学を希望せず、日本の高等学校の受験をする者もいるが、朝鮮学校が一条校として認められていないため、内申書がみとめられず、進学することが難しい場合が多い。だが私立高校の多くは、独自の判断で朝鮮学校中級部出身者を受け入れている。
朝鮮学校高級部卒業後に、日本の高等学校に編入し、1年間在籍し卒業後、日本の高校卒業資格を取得する者もいるテンプレート:Who。
教員
朝鮮学校の教員は、大多数が朝鮮大学校の卒業生であるが、日本の大学を卒業したものもいる。朝鮮大学校が各種学校であり、日本の教職課程の認定を受けていないため、朝鮮大学校卒業生は日本の法令に基づく正規の教員免許は所持していない。よって一条校認可以前に教員免許を所持する教員の確保の問題が発生する。朝鮮学校の教員を務めていた河丙鈺は在日韓国人の団体である在日本大韓民国民団の団長に選出されている[39]。
朝鮮学校に対する批判
教育内容・教育過程への批判
朝鮮学校で使用される教科書は、学友書房が朝鮮大学校の協力のもとに作成したものを朝鮮民主主義人民共和国教育省が検閲したものであり、日本文部科学省が示す学習指導要領に沿った検定教科書ではない[40]。この教科書は朝鮮民主主義人民共和国の歴史だけでなく、朝鮮総聯の歴史にも触れているが、一貫しているのは本国と同じく金日成、金正日父子への礼賛と一体化という命題である。教科書では、北朝鮮による核開発や光明星を発射したことを受けて、「日本政府が朝鮮総聯を瓦解させようと謀略活動をした」などという本国の朝鮮中央放送が報じる見解と全く同じものが記述されていたり[41]、金日成は194回、金正日は107回に渡って「敬愛する」「偉大な」などの修飾語を付して繰り返し記述されている[41]。また、日本人拉致問題については、2002年9月の日朝首脳会談で金正日が拉致の事実を認めて謝罪して以降、朝鮮総連も「絶対に許されない犯罪行為」(徐萬述議長)と謝罪し、朝鮮学校の教科書も翌年度から改編されたといわれていたが、現行の教科書(2003年初版発行)の記述には、「拉致は犯罪」との認識は全く見られないという[42]。
朝鮮学校は朝鮮語と民族教育を一義的に学ばせる教育機関としての傾向が強い。朝鮮学校内では授業はもちろん日常会話でも朝鮮語を使用し、日本語は外国語教科として教えられているテンプレート:要出典。内容は日本の国語教科書に出てくるものとほぼ同じであるテンプレート:要出典。民族教育の割合は35%と高く、ほとんどすべての科目において、北朝鮮の最高指導者である金日成・金正日父子に対する忠誠教育が施されている[43]。また、卒業生の中には「非常識な教育だった」、「自分が一般の教育レベルから落伍し、常識面でも適応できなかった」などと語る者も少なくない[43]。
朝鮮学校における教育内容に対して、北朝鮮における教育と同様に、金日成・金正日父子の肖像を教室に掲げたりと金父子を神格化しているという批判や、北朝鮮の立場を盲目的に支持する傾向・反日的傾向があるとの批判があるテンプレート:要出典。このような批判は長らく在籍者や保護者などから出てきていた。これに対し朝鮮学校側はカリキュラムの更新などで一定の応答を見せたとされるが[44]、現在に至っても金日成・金正日父子の肖像画が教室内に飾られたままになっているほか、社会科の教科書に朝鮮総連が朝鮮学校を設置・運営している旨の記述が確認されたことから不十分との声も多く、「子供を政治の道具にするのか」、「思想教育を受けさせているではないか」といった批判が続いているテンプレート:要出典。また、中井洽国家公安委員長・拉致担当大臣は「全生徒に対して放課後に先軍思想や主体(チュチェ)思想の洗脳教育を行っている」と主張した上で[45]、「朝鮮学校の授業料無償化によって、日本国の支出が朝鮮総聯から金正日総書記に渡る」と述べた[46]。
関西大学経済学部教授(インタビュー当時は助教授)で在日朝鮮人三世の李英和は、インタビューで「朝鮮学校に通っている者のほうが、かえって北朝鮮に対する批判精神を持っている。北朝鮮民主化を目指す団体『救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク(RENK)』の主要メンバーも朝鮮学校の出身者である」と語っている[47]。
2010年11月17日の参院予算委において公安調査庁は、朝鮮総連は朝鮮学校の民族教育を愛国運動の生命線と位置づけ、北朝鮮と朝鮮総連に貢献しうる人物の育成に励んでいるという認識を示し、朝鮮総連が朝鮮学校の教育内容、人事、財政、教科書(朝鮮総連傘下の出版社)に及んでいることを示した[48]。
東京都の調査によれば、朝鮮学校の教育内容は、現代史教科書に「敬愛する金日成主席様」「敬愛する金正日将軍様」という表現が全409ページ中353回出てきており、学校施設の一部を朝鮮総連支部の事務所として無料で長年使用させるなど、財産管理が不適切であることを指摘されている[49]。
児童公園占用に対する抗議
2009年12月4日、在日特権を許さない市民の会などの市民団体によって朝鮮学校の児童公園占用に対する抗議行動が行われた。翌2010年、朝鮮学校の当時の校長には都市公園法違反で罰金刑が科され、一方、抗議者は威力業務妨害容疑で逮捕された。テンプレート:Main
学校種別
これらの大学校、高級学校、中級学校、初級学校、幼稚班の名称は一条校の小学校、中学校、高等学校、大学に該当するものではなく、独自に朝鮮学校が名乗っているものである。
大学校
朝鮮大学校は、大学水準の教育を行っている。大学の認可はされていないため、法的には各種学校である。なお、朝鮮大学校の設置者は、日本国の私立学校法に基づく学校法人東京朝鮮学園である。朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議代議員の張炳泰が校長を務めている[50]。
ちなみに、韓国の光州には、私立の4年制大学として「朝鮮大学校」が存在するが、当然ながら関連性は全くない。
高級学校 15歳から18歳までの生徒が在籍する。3年教育。各学校では高級部と呼ばれる。
中級学校 12歳から15歳までの生徒が在籍する。3年教育。中級部と呼ばれる。
初級学校 6歳から12歳までの児童が在籍する。6年間教育。初級部と呼ばれる。
幼稚班 未就学児が通う学校の附設になっている施設。
都道府県別学校一覧
北海道
- 北海道
東北
関東
- 東京都
- 神奈川県
- 埼玉県
- 千葉県
- 茨城県
- 群馬県
- 栃木県
中部・北信越
- 愛知県
- 静岡県
- 長野県
- 新潟県
- 福井県
- 岐阜県
- 三重県
近畿
- 大阪府
- 兵庫県
- 京都府
- 滋賀県
- 和歌山県
中国
- 広島県
- 岡山県
- 山口県
四国
- 愛媛県
九州
近年の廃校・休校・統合
- 宮城県
- 東北朝鮮初中高級学校《高級部のみ休校》
- 神奈川県
- 川崎朝鮮初中級学校《中級部が神奈川朝鮮中高級学校と合併》
- 愛知県
- 愛知朝鮮第九初級学校《休校》
- 岐阜県
- 東濃朝鮮初中級学校《愛知・東春朝鮮初中級学校に統合》
- 大阪府
- 兵庫県
- 京都府
- 舞鶴朝鮮初中級学校《休校》
- 京都朝鮮第一初級学校《休校》
- 奈良県
- 奈良朝鮮初級学校《休校》
- 山口県
- 島根県
- 山陰朝鮮初中級学校《岡山朝鮮初中級学校に統合》
- 福岡県
- 筑豊朝鮮初級学校《北九州朝鮮初級学校に統合》
学校によって幼稚班を併設している所がある。また、統合は実質的な休廃校となっている。
注釈
- ↑ 一部報道機関テンプレート:どこではこの問題について「高校無償化」という言葉を盛んに用いており、すべての高等学校の授業料を無償化するような印象を受けるが、公立でない学校(私立や外国人学校など)は授業料の一部の補助である。
脚注
参考文献
関連項目
テンプレート:朝鮮総連- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 テンプレート:Cite news
- ↑ 『産経新聞』2010年3月12日付記事よりテンプレート:要ページ番号
- ↑ テンプレート:Cite news本記事によると、朝鮮学校の校長は朝鮮総連の中央委員である必要があり、さらに中央委員の人事は、北朝鮮本国の朝鮮労働党の承認のもと、金総書記の決裁が必要であるという。さらに本記事は「朝鮮学校の校長は朝鮮労働党に直結した政治活動家以外の何者でもないことを意味している」と述べている。
- ↑ 現在、警察庁では、土台人として朝鮮学校元校長の曹奎聖(チョウ・キュウソン、通名:夏川奎聖、異名:ソーケイセイ)容疑者をインターポールに国際指名手配している。警視庁及び山口県警の発表によると、曹奎聖容疑者は2000年に、北朝鮮のウォンサンにおいて覚せい剤およそ250キロを仕入れ、船籍不詳の不審船(工作船)を使って島根県の海岸から密輸入した疑いがもたれている。2005年、警視庁は、日本の一般大学に通いながら朝鮮総連に所属しているメンバーの学生団体「在日本朝鮮留学生同盟」(留学同)の構成員で、日本に帰化をした土台人の木下洋子容疑者(洪寿恵)を、2児拉致事件の被疑者としてインターポールに国際指名手配した。警視庁公安部は、留学同が、土台人や北朝鮮工作員の供給源となっていたとみて調べている。 テンプレート:要出典
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 6.0 6.1 6.2 テンプレート:Cite web
- ↑ 金賛汀 p222-p223
- ↑ 参考:文科省方針「大学入学資格の弾力化について」についての見解(出典:国立大学独立行政法人化の諸問題)
- ↑ 9.0 9.1 テンプレート:Cite news
- ↑ 参考:平成15年度の各都道府県の補助額(朝鮮学校以外も含んだ数字)
- ↑ テンプレート:Cite press release
- ↑ 外務省:(60番目の項目を参照)
- ↑ 13.0 13.1 テンプレート:Cite news
- ↑ 14.0 14.1 14.2 14.3 テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite newsテンプレート:リンク切れ
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 『産経新聞』2010年3月12日付記事よりテンプレート:要ページ番号
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 高等学校無償化の適用を求める全国朝鮮高級学校学生連絡会(朝高連絡会)
- ↑ 文科省申入れ報告 朝鮮学校「無償化」除外反対で
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 高等学校無償化の適用を求める全国朝鮮高級学校学生連絡会(朝高連絡会)
- ↑ 『産経新聞』2010年3月10日付記事テンプレート:要ページ番号
- ↑ 『産経新聞』2010年3月11日付記事テンプレート:要ページ番号
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 35.0 35.1 生徒数に関する出典:堺市議会議員、水ノ上成彰氏の朝鮮学校問題に関する資料のページ
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 守る会パンフレット「朝鮮学校の秘められた目的・知られざる実態」発行 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会 2012年10月26日
- ↑ 福岡朝鮮学園 学園案内 P11-P12 - 福岡朝鮮初級学校
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 41.0 41.1 テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 43.0 43.1 テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 落合信彦『北朝鮮の正体』小学館文庫190-191頁
- ↑ 参議院会議録情報 第176回国会 予算委員会 第5号
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news