埼玉新都市交通伊奈線
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伊奈線(いなせん)は、埼玉県さいたま市大宮区の大宮駅から北足立郡伊奈町の内宿駅までを結ぶ埼玉新都市交通の案内軌条式鉄道(新交通システム)路線である。愛称は「ニューシャトル」 (NS) である。
概要
当路線は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の東北・上越両新幹線の高架に沿って敷設されており、ほとんどの区間で高架橋の橋脚を新幹線と共用している。複線区間の大宮駅 - 丸山駅間は東北・上越新幹線の高架橋の両側に、単線区間の丸山駅 - 内宿駅間は上越新幹線の西側(下り線側)に沿って路線が敷設されている。そのため、内宿駅→丸山駅間では進行方向左側、その他の区間では右側の車窓からは、ほぼ高架のコンクリート壁しか見えない。一方、反対側はさいたま市・上尾市・北足立郡伊奈町の眺望を見ることができる。埼玉新都市交通では、「パノラマライン」として眺望のよさをアピールしている[1]。
路線と列車の愛称である「ニューシャトル」は、「新しい」のニューと、機織りで横糸を紡ぐ「梭(ひ)」を意味するシャトルを組み合わせた[2]。
2007年10月14日にさいたま市に移転・開館した鉄道博物館は、鉄道博物館駅が最寄駅となっている。同駅は大規模なリニューアル工事の上、同日より大成駅から改称した(大成駅の名称も副称として存続している)。
大宮以外の駅舎は新幹線高架真下の地上コンコースと高架ホームの2階建て構造であり、また大宮と鉄道博物館以外の駅は、経費圧縮のために直営の駅売店販売員が駅員として改札業務を兼務するというユニークな形態を採っており、スタンド式の売店の横に、券売機と改札窓口がある。
本路線の特徴は、大宮駅で列車がループ線で折り返すことである。このため、列車は一往復すると向きが反対になる。
加茂宮から鉄道博物館までの上り線ではNTT東日本東大成ビル(電話局)が新幹線の高架線に近接しており、新幹線高架とビルの間に線路を敷設する空間が確保できないため、このビルの箇所では新幹線高架下に線路を通している。この影響で上り線では速度制限がかかるため、同駅間を経由する場合の所要時間は上り列車の方が1分長い。
案内軌条式鉄道は、通常の鉄道と違いゴムタイヤを装着して走行するため、比較的雨や雪に強いとされているが、当路線は弱い。これは地上にある丸山車両基地と高架である本線との間がコンクリート製のスロープ軌道で繋がれているが、この傾斜が他の案内軌条式鉄道路線と比べて急であるため、大量の降雨や降雪などによる軌道内の結氷で軌道面が滑りやすくなると、安全の観点から使用を見合わせざるを得ないためである。
全線高架であるが、中央自由通路と連結した大宮以外は、開業当初の垂直移動は階段のみであった。2000年代後半に入り鉄道博物館・加茂宮・沼南・丸山・内宿の各駅に交通バリアフリー化の一環で沿線自治体の助成によりエレベータが設置された。鉄道博物館駅にはエスカレーターも設置されている。
路線データ
- 路線距離(営業キロ):12.7km[3][4]
- 案内軌条:側方案内式[4]
- 駅数:13駅(起終点駅含む)[4]
- 複線区間:大宮 - 丸山間
- 単線区間:丸山 - 内宿間
- 電気方式:三相交流600V・50Hz[5]
- 閉塞方式:車内信号式
- 保安装置:自動列車制御装置 (ATC)、自動進路制御装置 (ARC)[2][5]
- 最高速度:60km/h[2]
乗車カード
開業時から日本初の鉄道用プリペイドカードとして乗車券購入用の「フレッシュカード (Fresh Card)」を発行していた。自動券売機で乗車券に引き換える方式のカードであり、自動改札機に投入できる乗車カードではない。2006年(平成18年)9月30日で発売を、翌2007年(平成19年)1月31日で通用をそれぞれ終了したため、現在は全駅にて手数料無料で払い戻しができる。
開業当時のフレッシュカードは紙製のカードにクレジットカードのような磁気ストライプを配置した方式で、有効期限は3か月間だった。その後、他社と同様のプラスチック製磁気カードに変更されている。紙カードからプラスチックカードへの切り替え時3か月間は発売停止としていた。なお、紙カード時代、プラスチックカード時代ともに他社のように券面にパンチ穴は開けずに裏面に残額が印字される方式であり、紙カードの時代は残額が0円になると自動券売機に自動的に回収される仕様であった。
そのフレッシュカードの代替として、2007年3月18日からICカードSuicaが導入された。
フレッシュカードの通用終了に併せて、同年2月から約1か月間にわたり自動券売機と自動改札機の更新、および簡易型改札機の新設を行った。いずれもJR東日本と同型の機種の色違いである。なお、大宮駅は自動改札機の更新、鉄道博物館駅は自動改札機の新設、それ以外の各駅は簡易型改札機の設置でそれぞれ対応する。チャージ(入金)は大宮 - 東宮原間の各駅では自動券売機で行える。一回の操作でチャージできる金額はJR東日本と同じ。今羽 - 内宿間の各駅は1000円分のみチャージ可能な簡易チャージ機が設置されていたが、近年この各駅でも自動券売機が更新され、券売機でのチャージが可能となったことから前述の簡易チャージ機は閉鎖された。
2007年3月のSuica導入時点では無記名Suicaカードのみ発売されている。記名式のMy Suicaへの変更、紛失・再発行は埼玉新都市交通では扱っていない(取り扱っている他Suica事業者での受付は可能)。
定期券
埼玉新都市交通伊奈線のみの自社線定期券は伊奈線の大宮駅窓口のみの発売となる。沿線住民が自社線定期券購入のために大宮駅へ赴く場合は、駅売店販売員に申し出れば専用の乗車証で乗車することができる。自社線のみの定期券はSuica導入後も従来通り磁気定期券のみとなり、Suica定期券は発売していない。
2008年3月15日からJR東日本との連絡定期券に限りSuica定期券、東武鉄道との連絡定期券に限りPASMO定期券が利用できる。発売は他社線側となり、JRのみどりの窓口・定期券発売機・指定席券売機、東武の定期券売り場で行われている。
運行形態
おおむね、朝夕10分間隔、平日昼間15分間隔、土曜・休日は昼間も10分間隔で運行される。平日の朝・夕方の通勤時間帯と深夜、土曜・休日の夜と深夜に大宮 - 丸山間の区間列車があり、深夜以外の区間列車運行時間帯は5分間隔で運行される。
大宮駅では、ループ状になっている線路を回って折り返す。そのため、各列車は一往復すると前後が入れ替わる。
単線区間では駅で上り・下り列車の交換が行われる。ワンマン運転で運転士が進行方向左側にいるため、他の多くの日本の鉄道路線の左側通行と違い、右側通行で交換が行われる。
駅での放送は接近案内のみであるが、電車到着時には、車内と車外両方のスピーカーで到着駅名の自動放送がされ、駅舎側の到着時放送を兼ねている。
2014年4月、ダイヤ改正を行い、早朝6時台に大宮 - 丸山間の区間列車を1往復増発。また平日12時台に2往復増やした。これにより平日昼間の15分間隔運転時間帯は12時半から14時までのみとなった。埼玉新都市交通によると、同月の消費税増税に合わせ、増税分の3%にあたる分の運行本数を増発したという。また平日昼間の12時半から14時についても次のダイヤ改正で10分間隔に増やす予定になっていることが示されたが、そのダイヤ改正を2015年の消費税再増税に合わせて行うかどうかについては公表されていない。
車両
歴史
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- 1983年(昭和58年)12月22日 - 大宮 - 羽貫間開業[3]。1000系(のちの1010系)4両編成9本を投入。列車の約半数は大宮 - 丸山間の運転で、丸山以北はデータイムで40分おきだった。
- 羽貫 - 内宿間の地権者2名との間で土地交渉がうまく行かなかったため、羽貫駅までの部分開業となった。その後1名とは1988年(昭和63年)3月に交渉が成立したが、最後まで残された地権者との交渉は難航をきわめた。さらに、この地権者の支援と称して成田空港闘争中の中核派活動家が介入したことで、さらに収拾がつかなくなった。1990年(平成2年)2月17日、埼玉県は土地収用法に基づいて行政代執行を実施した。普段はのどかな町に埼玉県警の機動隊が投入される騒動となった。最後まで反対した地権者は活動家とともに団結小屋を建築して立て篭もり、やぐら上部より糞便を投下するなどの抗議行動を繰り広げた。最終的に地権者及び活動家は公務執行妨害罪で検挙され、地権者宅上空の空中権を収用した。この軌道の周囲には、空中権を収用したことを示す金網フェンス状のシェルターがある。
- 1984年(昭和59年)4月1日 - 羽貫駅近くに伊奈学園総合高校が開校することに合わせ、最初のダイヤ改正。
- 1986年(昭和61年)4月1日 - ダイヤ改正。1編成を6両に増強。
- 1990年(平成2年)8月2日 - 羽貫 - 内宿間開業[3]、全線開通。ダイヤ改正。1050編成を投入。
- 1992年(平成4年)10月1日 - 全編成の6両化達成。
- 2001年(平成13年)11月16日 - 各駅のホームに非常停止ボタンを設置。
- 2007年(平成19年)
- 2010年(平成22年)12月21日 - 天皇・皇后の鉄道博物館訪問に際し、お召し列車を大宮駅 - 鉄道博物館駅間で運行。
駅一覧
全駅埼玉県に所在。
- 凡例
- 線路 … ∩:ループ線、∥:複線区間、◇:単線区間(全駅列車交換可能)、∨:ここより下は単線
駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 接続路線 | 線路 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|
大宮駅 | - | 0.0 | 東日本旅客鉄道:東北新幹線・山形新幹線・秋田新幹線・上越新幹線・長野新幹線・京浜東北線・東北本線(宇都宮線)・高崎線・湘南新宿ライン(東海道線・横須賀線直通)・埼京線・川越線 東武鉄道:野田線(東武アーバンパークライン) (TD-01) |
∩ | さいたま市大宮区 |
鉄道博物館(大成)駅 | 1.5 | 1.5 | ∥ | ||
加茂宮駅 | 1.7 | 3.2 | ∥ | さいたま市北区 | |
東宮原駅 | 0.8 | 4.0 | ∥ | ||
今羽駅 | 0.8 | 4.8 | ∥ | ||
吉野原駅 | 0.8 | 5.6 | ∥ | ||
原市駅 | 0.8 | 6.4 | ∥ | 上尾市 | |
沼南駅 | 0.8 | 7.2 | ∥ | ||
丸山駅 | 1.0 | 8.2 | ∨ | 北足立郡伊奈町 | |
志久駅 | 1.2 | 9.4 | ◇ | ||
伊奈中央駅 | 1.1 | 10.5 | ◇ | ||
羽貫駅 | 1.1 | 11.6 | ◇ | ||
内宿駅 | 1.1 | 12.7 | ◇ |
運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・切符は10円未満切り上げ、ICカードは1円未満切り捨て)。2014年4月1日改定[7]。
キロ程 | 運賃(円) | |
---|---|---|
切符 | ICカード | |
初乗り2km | 190 | 185 |
3-4 | 220 | 216 |
5-6 | 250 | 247 |
7-8 | 280 | 278 |
9-10 | 320 | 319 |
11-13 | 350 | 349 |
脚注
- ↑ 路線図&沿線マップ - 埼玉新都市交通
- ↑ 2.0 2.1 2.2 ニューシャトル案内 - 埼玉新都市交通
- ↑ 3.0 3.1 3.2 国土交通省鉄道局監修『平成18年度 鉄道要覧』電気車研究会・鉄道図書刊行会、2006年、p.204
- ↑ 4.0 4.1 4.2 国土交通省鉄道局監修『数字で見る鉄道2005』財団法人運輸政策研究機構、2005年、p.52
- ↑ 5.0 5.1 ニューシャトル豆知識 - 埼玉新都市交通
- ↑ 埼玉新都市交通(株)ニューシャトル - インターネット・アーカイブの2007年10月11日のアーカイブ
- ↑ テンプレート:PDFlink - 埼玉新都市交通、2014年3月7日