三菱ふそう・エアロスター

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ファイル:BJG-MP37TM Meitetsu 7803 front.jpg
エアロスターエコハイブリッド
BJG-MP37TMF
名鉄バス
ファイル:ANA ground-service-chubu RB-6 and RB-9.jpg
初代エアロスター(左)と2代目エアロスター(右)
ANAグランドサービス中部(ランプバス仕様)

エアロスターAero Star )は、三菱ふそうトラック・バスが製造している大型路線バスの名称である。本項ではエアロスターの直系の前身である、三菱ふそうMP系、MR系、B8(路線)系も合わせて扱う。なお、9m大型路線バスのエアロスターMMについては三菱ふそう・エアロスターMMの項目を参照のこと。

1950 - 1970年代の三菱ふそう大型路線バス

R1・R2

R1は、1950年(昭和25年)に発売された三菱初のリアエンジンバス(リアアンダーフロアエンジンバスではない)で、定員は79人とボンネットバスの1.5倍に相当する。

続いて1952年(昭和27年)には、横置きエンジンのR2が発売された。

1955年(昭和30年)にはチリ輸出仕様のR32が製造されたが、日本仕様は存在しなかった。

MRシリーズ

三菱日本重工業(当時)が最初にフレームレスモノコック構造を採用した路線車で、1960年(昭和35年)に発表された。リーフサス(板バネ)仕様のMR系、エアサス(空気バネ)仕様のMAR系があった。

当初のラインナップは、直列6気筒のDB31型エンジン (165PS) を横置きにしたM(A)R300系と、同エンジンを縦置きにしたM(A)R400系に分かれていたが、登場翌年には横置きエンジン車の製造が中止され、M(A)R400系に一本化された。型式は車体及びホイールベースの長短によって細分化され、またマイナーチェンジごとに細かな変更があったが、10m尺のM(A)R410型と10.5m尺のM(A)R470型が多くのバス事業者から支持を獲得し、当時の路線車のベストセラーモデルとなった。

また、1963年(昭和38年)には、長尺車としてMR430が発売された。全長12m、前輪2軸という路線バス車両としては異色の車両であったが、当時の道路事情では長尺車をフル活用できる場面は少なく、むしろ大型過ぎるために走行道路に制約があったため、国鉄バス名古屋鉄道旭川バス(合併して旭川電気軌道)の3社へ、富士重工ボディ11台、呉羽ボディ3台の合計14台の販売実績しかなかった。

なお、エンジンは1964年(昭和39年)にDB31型と同出力の6DB1型へ変更されている。1977年(昭和52年)、静岡鉄道に納入されたのを最後に製造終了となった。

B800シリーズ(路線)

B806系観光モデルについては、三菱ふそう・エアロエースの項目を参照のこと。

B800、B805

1967年(昭和42年)に登場した高出力路線モデルで、B800系はリーフサス、B805系はエアサス仕様。エンジンはV型6気筒6DC2型(200PS)で、ホイールベースの違いによりJ/K/L/M/N(B800/805の後に、これらの記号のうちいずれか1つが付く)の各型式が存在した。

たとえば、エアサス仕様の10mクラス車であればB805J型となる。

6DC2型エンジン最大の特徴は、高出力でありながら6DB1型よりコンパクトなことであった。そのため、エンジンを床下架装とせずとも客室最後部の段上げ、俗にいうヒナ壇の発生を避けられるメリットがあった。バス事業者によっては、客室居住性と整備性の両面に優れるという理由から、MR系よりB8系を好んだところもあったという。

B820J

1969年(昭和44年)に東京モーターショーの会場で発表された路線用低床ワンステップバスで、翌々年に正式発売された。B800シリーズを名乗るも、エンジンはMR系と同じ6DB1型をリヤの右コーナーに搭載した。又、デフギアも右側に偏心させた専用アクスルを採用した。ボディは呉羽製。後に普及を決定付ける京急形ワンステップバスとは全く違う方式となっている。

スタイルは一般車より前面窓下端とヘッドライト位置が低く、当時としては画期的な58cmの床面高さを実現したモデルであったが、前後オーバーハングが長かったために走行可能道路が制限され、売り上げはわずか37台にとどまった。阪急バス大阪市交通局高松琴平電鉄(コトデンバス)、高松バス(共に現ことでんバス)、東京空港交通大阪空港交通が採用した。

MPシリーズ

MP107/117/517系

1976年(昭和51年)、それまでのMR/MAR系とB800/805系路線仕様の後継モデルとして誕生した。直噴式6D20型エンジン搭載のMP117(リーフサス)/517(エアサス)からラインナップされ、ホイールベースは、4.8m (K)、5.3m (M)、5.85m (N) の3種類。昭和51年排出ガス規制(規制適合記号なし)もクリアしていた。車体はMR系のG4型ボディを継承したが、側窓が2段サッシのみの設定である程度で、三菱(名古屋)製と呉羽製ではライトベゼルやホイールアーチが異なる。当初はMR系/B8系との並行生産だったが、1978年(昭和53年)に直列6気筒・予燃焼室式6D21型エンジン搭載のMP107(リーフサスのみ)がラインナップされ、同年にMR系/B8系は生産中止となった。同時に指定車体である三菱(名古屋)製のボディをB35型ボディにモデルチェンジ。路線用のB35-X2型はその風貌からバス愛好家から「ブルドッグ」という愛称で親しまれ、また、リアガラスを大きく取り、後部方向幕を車内側から吊り下げるデザイン処理は、後年のバスに大きな影響を与えた。

三菱・呉羽ボディのほか、西日本車体工業(西工)製車体を架装した車両も製造され、親会社である西日本鉄道を中心として、西日本の事業者に多く納入された。モデルは1978年までは42MCを架装し、同年から53MCに切り替えた。また、富士重工業製R13系 (3E・3B) 車体を架装した車両も製造された。

K-(及びP-)MP107/MP118/518系

テンプレート:BusModelImage21980年(昭和55年)、昭和54年排出ガス規制に適合。直噴式6D22型エンジン(出力225ps)が新たに開発された。 K-MP107(予燃焼室式6D21型エンジン・リーフサス)/118(直噴式6D22型エンジン・リーフサス)/518(直噴式6D22型エンジン・エアサス)となる。これに伴い呉羽製もB35-X2型ボディに変更し三菱(名古屋)製とデザインを統一するが、1982年(昭和57年)に当時のMK及びMMに似たスケルトンボディを設定。都営バス京都市営バス新潟交通向けなどに数パターンが試作され、やがてエアロスターKの原型となる。なお、予燃焼室式のK-MP107系は1982年頃に製造を中止している。

1984年(昭和59年)、モデルチェンジを行うことなく昭和58年排出ガス規制に適合させ、P-MP118/518となる。呉羽を含め他社がスケルトンボディに移行していく中、三菱製はモノコックボディのままであったので見劣りが否めず、このため三菱(名古屋)製での架装例は少ない。またフィンガーコントロールトランスミッション仕様が初めて設定される。

西工・富士重工の車体を架装した車両も製造された。西工では1983年(昭和58年)まで53MCを架装し、それ以降はスケルトンボディの58MCに切り替えた。富士では1982年までR13系 (3E・3B) を架装し、同年からR15系 (5E・5B) に切り替えている。

K-MP128M

1982年(昭和57年)、名古屋鉄道(現在の名鉄バス)向けに2台だけ製造された型式。K-MP118M型をベースにエンジンレイアウトをリアアンダーフロアー構造とした試作車で、エンジンは専用の水平シリンダー式6D23型[1]、ボディは名古屋製作所製B35-X2の側面メトロ窓タイプとなった。

三菱ふそうでは唯一とされるアンダーフロアーエンジン方式の車種であったが、同社製バスを採用する事業者の間では直立シリンダーエンジンを支持する向きが強く、名鉄以外からのK-MP128系の発注はなかった。

エアロスター(初代)

シリーズの概要

テンプレート:BusModelImage2 初代エアロスターは1984年、三菱自動車工業(名古屋)製のMPシリーズをフルモデルチェンジ、先にデビューしていたエアロバスに次いで車種ネームが与えられた。市街地路線用バス(シティバス)の「星」になることを願ったものとみられる。ボディスタイルはそれまでのある意味古めかしいモノコックボディから近代的なスケルトンボディに一新(新呉羽製は先にスケルトンに変更)。また、フロントマスクは左右非対称の、乗降口側に視野拡大窓を設けたスタイルとなった。トランスミッションは、フィンガーコントロールミッションの5速マニュアル (FCT) で[2][3]、オプションで機械式オートマチックトランスミッション (MMAT) が設定されていた。また、自家用向けのタイプ以外は、機関直結式冷房装置が標準装備となった[4]

この型式で特筆される事項として、運転席のタコメーターが全車標準装備となったほか[5]、エンジン回転数がタコメーターのレッドゾーン(初期車で2,300rpm)に到達されなくても、一定の回転数に到達すると、インパネのランプとビープ音で過回転を警告する「不経済走行」警告灯が追加されたことである[6][7]

車体

テンプレート:BusModelImage2 純正車体は、三菱名自(大江工場)製のエアロスターMと呉羽自動車工業(→新呉羽車体工業→三菱自動車バス製造 (MBM) →現・三菱ふそうバス製造 (MFBM))製のエアロスターKの2種類が存在する。両者は前面・後面や屋根カーブの形状が異なっており、エアロスターKは丸みを帯びた嫌味のないスタイル、エアロスターMはそれより直線的で近代的なスタイルとなっていた。
1993年(平成5年)には、両社の車体設計がエアロスターMに統一され、後に車体製造が三菱自動車バス製造(旧・呉羽)に一本化され、大江工場での生産はなくなった。なお、呉羽では、P-MP118系にエアロスターKを架装した事例が、わずかながら存在する。

この他の架装例は、西日本車体工業製がある。同社の58MCボディが架装されたものは西日本を中心に多数存在する。

また、富士重工業による架装例もあり、この場合、1988年(昭和63年)まではR15系 (5E・5B)、それ以降がR17系 (7E・7B) となる。ただし、採用した事業者はごく一部に限られ、総数は少ない。江ノ島電鉄バス(1994年まで)、京成電鉄小湊鉄道、広島バスなどは富士重工業製を好んで架装していたが、ニューエアロスターの登場、富士重工業の対応中止などが重なり、近年はMBM製となった。

なお、2002年(平成14年)6月の道路交通法改正(第二種免許に係る規定の整備)で大型二種の技能試験に路上試験が導入されたが、試験車輌の新基準に符合し、かつ中古車両の流通量が多いため、MP218を改造して教習車両及び試験車両として使用する自動車教習所もある。

ほとんどが路線バスでの採用だったが、京都交通(舞鶴)では全国的にも珍しいトイレ付きの車両が高速バスとして運用されていた。ちなみに現在は親会社の日本交通からの中古車に置換えられ全車廃車となっている。

シリーズの変遷

P-MP218/618系

初代エアロスターは、1984年、それまでのK-(及びP-)MP118/518系を全面モデルチェンジして誕生した、P-MP218(リーフサス)/618(エアサス)系にはじまる。

エンジン型式こそ6D22で変わらなかったが、標準出力車で158kW (215PS) から165kW (=225PS) /2200rpmに出力が引き上げられており、エンジン音もMP118/518系と異なったものになっている。更に、ターボエンジン搭載車 (6D22T1:200kW=270PS) も、改造扱いで途中から追加設定された(型式のうち機関名後に「T」、末尾に「1」が加わる。例:P-MP618MG→P-MP618MTG1)。また、車体寸法の見直しが行われ、ホイールベースは、短尺(K尺、4.8m)、中間尺(M尺、5.3m)、長尺(P尺、6.0m)の3種類(後に神奈川中央交通の発注で5.8mのN尺を追加)になった。そして最も大きな差が車体である。指定車体である三菱製又は呉羽(→新呉羽→MBM)製のそれは、従来のモノコックボディから、スケルトンボディに切りかえられた。なお、車体形状により、末尾に識別記号(以下便宜的に「車体識別記号」という)を加えた(前扉のみ:G、前後扉:R、前中扉:F)。

1988年(昭和63年)にはマイナーチェンジが行われ、内装がエアロバス同様茶色系から灰色系へと変更された。他にはFCTのインジゲータもデジタル表示に変更されるとともに、エアロバスと同様に、タコメーターの下部に配置された。

U-MP218/618系

1990年平成2年)の平成元年排出ガス規制適合で、U-MP218/618系になったが、フロントバンパーのフォグランプが丸形から角形になったこと、ターボエンジン搭載車の出力がわずかながら増加された (200→207kW : 280PS) 以外、大きな変更点はない。なお、1992年生産分よりマフラーの位置が右側に変更されている。名古屋ガイドウェイバスの試作車のベースに採用された。

KC-MP217/617系

テンプレート:BusModelImage2 1995年(平成7年)の平成6年規制適合で、KC-MP217(リーフサス)/617(エアサス)系となった。この時、エンジンが6D24(標準出力177kW (=240ps) /2200rpm)に変更された。KC-MP217/617系はフルモデルチェンジが計画されていたため、翌1996年(平成8年)9月にMBM製造分は終了したが、1997年2月に名古屋市交通局が在庫を59両導入した。

西工ボディ及び富士ボディを架装するものは、シャシー供給で1997年(平成9年)まで製造された。西工製ボディの大半は58MCでの架装になるが、ごくわずかに96MCを架装した車両が存在する。

型式は以下のとおり。

  WB4.8m WB5.3m WB5.8m WB6.0m
エアサス KC-MP617K KC-MP617M KC-MP617N KC-MP617P
リーフサス KC-MP217K KC-MP217M KC-MP217N KC-MP217P

ノンステップバス

1984年(昭和59年)に三菱ふそうは初のワンマン運転対応の本格的なノンステップバスを試作した。前中ドア間の床を350mmまで下げノンステップ化を実現した。エンジン部分は通常のバスと同じ構造であるが、室内はデッドスペースが多く、ほぼ座席1列分ほど室内有効長は短くなっていた。

高価であったため、一般乗合用としての導入例は名古屋鉄道(現・名鉄バス)、岐阜乗合自動車京浜急行電鉄(現・京浜急行バス羽田京急バスなど)の3社のみで、1987年(昭和62年)頃まで製造された。他に、成田国際空港内で日本航空のクルーバス運行を受託していた千葉観光が貸切登録で2台保有していた。

その後、1994年(平成6年)に、名鉄向けとして上記のノンステップバスの生産初期車を使用していた名古屋空港(現・名古屋飛行場)循環車用の代替に(U-MP617M改)1台が追加製造された。

都市型超低床バス

ファイル:Tobus C-W295.jpg
エアロスターK都市型低床バス MP6X 東京都交通局

1991年(平成3年)4月、東京都交通局東京都庁が現在の庁舎に移転したのを機に、新宿駅西口と都庁周辺を循環するシャトルバスを運行開始した。このとき、大型4両は床面地上高550mmのワンステップバスを納入した。(これが後に“都市型低床バス”と呼ばれる車両である)三菱ふそうは駆動系を標準車とは異なる横置きエンジンレイアウトでアングルドライブの一種である“Tドライブ”を介して動力を伝達することで後扉を設けた場合もフルフラットとすることができた。なお、横浜市交通局も試験的に1台導入した(2008年廃車)。型式は試作車扱いのため「MP6X」となる[8]

京急型ワンステップバス

1989年(平成元年)、前年に日野自動車と京浜急行電鉄が共同開発したいわゆる京急型ワンステップバスを普及させる目的で新呉羽自工が生産に応じたのが最初である。当時京浜急行は日野製一般路線車を神奈川県の営業所に集中配備しており、東京都内の営業所に配備するには他メーカーの対応が絶対必須であったという事情がある。このため新呉羽自工が日野に続く形で京急型ワンステップバスを生産して京浜急行バス羽田営業所に納車した。テンプレート:See also 当初三菱自動車大江工場では生産されなかったためエアロスターMボディでの生産例は京浜急行電鉄に限れば1993年までなかった。ニューエアロスターになってからも若干数が生産されたが2000年下期の1台を最後に京浜急行バスはふそう製一般路線車の新車を原則ノンステップに統一した上、リコール問題による取引停止もあってしばらくの間新車が途絶えた。しかし2011年(平成23年)、羽田空港 - 横浜駅間リムジン用として久々に生産が行われた。

U-MP628系、KC-MP627系

ファイル:U-MP628K Toei T-Y797.jpg
エアロスターリフト車 U-MP628K

リフト付き車。都営バス東京都交通局)などに納入。1995年に平成6年排ガス規制対応によりKC-MP627系になる。全車呉羽・MBM製で1993年以降もエアロスターKデザインだった。都営バス納入車は代替のため次々に退役しているが、都営バスが2005年(平成17年)以降、自動車NOx・PM法をはじめとした環境規制を厳格化させる観点から同業他社への譲渡を極力認めない方針にしたため、他社での再活躍は絶望といえる[9]

MBECS(エムベックス:蓄圧式ハイブリッドバス)

地上設備の不要な蓄圧式ハイブリッド機構を搭載した低公害車として1993年に発表された。1995年にアイドリングストップ機構と酸化触媒マフラーを装着してKC-MP237/637系となり、1997年にはニューエアロスターにも設定された(#蓄圧式ハイブリッドMBECS-IIIを参照のこと)。運転席の計器板上部にエネルギー蓄積度を表すレベルゲージが増設されている。 エンジンはU-MPが6D22型(225PS)、KC-MPが6D24型(240PS)である。

同様の蓄圧式ハイブリッド車はいすゞ・キュービックの"CHASSE"と日産ディーゼルUAシリーズの"ERIP"が存在するが、期待していたよりも省エネルギー効果が低かったこと、ハイブリッド機構の小型・軽量化や移設が難しく低床化に向かないこと、中期安全ブレーキ規制への適合も難しいなどの理由で開発を中止、現在はハイブリッド機構を停止、撤去した事業者が多い。導入事業者は東京都交通局横浜市交通局川崎市交通局神奈川中央交通名古屋市交通局大阪市交通局京都市交通局神戸市交通局濃飛乗合自動車名古屋鉄道など。

型式は以下のとおり。

  WB4.8m WB5.3m
リーフサス U-MP218K改 U-MP218M改
エアサス U-MP618K改 U-MP618M改
  WB4.8m WB5.3m
リーフサス KC-MP237K KC-MP237M
エアサス KC-MP637K KC-MP637M

輸出先での使用例

タイでは、三菱系輸入シャーシ(形式はRP118)に国内車体メーカー製のバスボディ(非冷房・非ワンマン仕様)を架装し、バンコク大量輸送公社 (BMTA) によりバンコク都市圏で路線バスとして使用されている。タイ国内製の車体ではあるものの、外観は日本製の初代エアロスターに近いイメージとなっている。

エアロスター(2代目)

テンプレート:BusModelImage2 2代目エアロスターは1996年9月に発売を開始した。発売当初は先代と区別するためか、ニューエアロスターの呼称が用いられたが、次第にエアロスターと表記されるようになったため、ここでは2代目エアロスターとして扱う。

ラインナップにはワンステップバスと、自家用及び高速バス向けのツーステップバスのほか、1997年には国産初の本格的なノンステップバスの発売が開始された。

トランスミッションは、初代エアロスターと同じフィンガーコントロールトランスミッション(FCT)の5速マニュアル機械式オートマチックトランスミッションINOMAT)、アリソントルクコンバータオートマチックトランスミッションである。

車体は呉羽の後身であるMBMで設計したこともあり、どちらかというと先代のK型ボディーを基調にモデルチェンジした感じになっており、初代モデルのMP2/6系に比べやや丸みを帯びていながらも正面からの上部への絞り込みがほとんど抑えられ、垂直線を強調した全体的にボクシーなスタイルへと変わった。内装も旧モデルの名古屋製作所製M型ボディーにあったような、乗降口上部や冷房ダクト端部などの樹脂成形品の使用が少なく、インパネの形状もシンプルになっており、初代型に比べややオーソドックスな内装に戻っている。

KC-MP系

テンプレート:BusModelImage2 1996年9月にエアロスターMP217/617系シリーズをモデルチェンジする形で登場。それまで三菱大型路線バスは、三菱自動車名古屋製作所(大江工場)と三菱自動車バス製造(MBM・現三菱ふそうバス製造)の双方で製造されていたが、今回から三菱自動車バス製造での製造に一本化した。

発売当初の型式はワンステップバス・ツーステップバスのみであり、エアサスがMP717系、リーフ式サスペンションがMP317系となった。

運転席まわりの計器類も、エアロバス(KC-MS8系)と同等になったが、エアロバスに先駆けて衝撃吸収型ステアリングホイールや警告表示部分にLED式表示灯を採用したり、エアロバスには標準装備のバッテリー電流計が省略される(代わりに、この部分に「FUSO」のロゴが入る)など、細かな差異があった。エンジンは、引き続き6D24(標準出力177kW (=240ps) /2200rpm、ターボ付222kW (=300PS) /2200rpm)が採用された。

1997年には国産初の本格的なノンステップバスが追加された。なお、三菱自動車はノーステップバスの呼称を使用。エアサス車のみの設定で、ターボは選択できず標準出力車のみの設定だった。

型式は下表を参照。空欄の部分は設定がないことを表す。また、本型式より設定されたワンステップ車については、車体識別記号の前に「V」が入る(例:エアサスワンステップM尺前中扉車:KC-MP717M→KC-MP717MVF)

  WB4.8m WB5.3m WB6.0m
エアサスワンステップ
エアサスツーステップ
KC-MP717K KC-MP717M KC-MP717P[10]
リーフサスワンステップ
リーフサスツーステップ
KC-MP317K KC-MP317M KC-MP317P
エアサスノンステップ KC-MP747K KC-MP747M

KL-MP系

テンプレート:BusModelImage2

2000年5月23日に、平成11年排気ガス規制に伴い、エンジン関係の改良が行われた。外観に変化はないが、コモンレール燃料噴射方式やクールドEGRの採用が行われたほか、アリソン製のオートマチックトランスミッション(ボタン式)が新たに設定された。エンジンは6M70系(標準出力 (NA) 185kW (=250ps) /2200rpm、ターボ付6M70(T1)237kW (=320PS) /2200rpm)である。また、アイドリングストップシステムが標準装備化された。ただし、ノンステップバスではKC-MP747系と同じくターボの選択は出来ず、標準出力車のみとなる。

このほか、ステアリングホイールも同年にマイナーチェンジを受けたエアロバス(KL-MS8系。ただし、エアバッグの装備なし)と同等のものに変更された。更に、駐車ブレーキもホイールパーク式に変更され、これは後に運転席の横から、シフトレバーの横に設置されるようになった。 型式のつけ方がこの世代から変更になり、エアサスノンステップバスがKL-MP37系、エアサスワンステップバス・ツーステップバスがKL-MP35系、リーフサスワンステップバス・ツーステップバスがKL-MP33系となる。リーフサス車は2002年にラインナップから姿を消した。

ノンステップバスでは、中扉が引戸では無く、KC-MP系に続いて中グライドでの設定も可能であり、遠州鉄道を初め、立川バス両備バス等でも導入された。外観がKC-MPと略変わらない為、外観でのKC-MP系との識別は困難である。車内のドア下部に設置されている、製造銘板の製造年月で判別出来る程度である。 また、名古屋ガイドウェイバスにリフト付きツーステップバスが導入されている。

ディーゼル車はPJ-MP系発売後も2005年8月まで継続販売されていた。

型式は下表を参照。空欄の部分は設定がないことを表す。

  WB4.8m WB5.3m WB6.0m
エアサスノンステップ KL-MP37JK KL-MP37JM
エアサスワンステップ
エアサスツーステップ
KL-MP35JK KL-MP35JM KL-MP35JP
リーフサスワンステップ
リーフサスツーステップ
KL-MP33JK KL-MP33JM KL-MP33JP

PJ-MP系

テンプレート:BusModelImage2 2004年3月8日からは新短期規制(平成16年排出ガス規制)適合車(PJ-車)が発売。「コモンレール燃料噴射方式」や「クールドEGR」のほか、「ブローバイガス吸気還元システム」や「連続再生式DPF」が採用された。エンジンはKL-MP系と同じ6M70系であるが、ノンステップバスも含め全モデルともターボ化された。高出力エンジンはKL-MP系と同じである。一方、標準出力エンジンはターボ化に伴い最大トルクはUPされたが、最高出力はKL-MP系と一緒である(標準出力6M70(T6)185kW (=250ps) /2200rpm、高出力6M70(T1)237kW (=320PS) /2200rpm)。

一方、外観には特に変化がなかったが、2005年(平成17年)10月製造分以降は2006年(平成18年)1月実施の灯火器具の保安基準改正に対応するため、リアコンビネーションランプの変更(取付位置の変更)、取付けが義務付けられた側面反射板の取付けなどが行われた。また、補助ブレーキランプ及び一部のリアウインカーが除去された。そのほか、これまで2種類存在したステアリングホイールの形状が1種類に統一された。

型式は下表を参照。空欄の部分は設定がないことを表す。

  WB4.8m WB5.3m WB6.0m
ノンステップ PJ-MP37JK PJ-MP37JM
ワンステップ
ツーステップ
PJ-MP35JK PJ-MP35JM PJ-MP35JP

PKG-MP系

テンプレート:BusModelImage2

2007年9月26日に発売された、平成17年排出ガス規制及び平成27年重量車燃費基準適合車。基準値に対して、粒子状物質(PM)の10%低減を達成している。

このモデルから、三菱ふそうトラック・バス日産ディーゼル(当時、現「UDトラックス」)がバス事業における提携を開始したため、ラインナップに大きな変更が加えられることになった。ディーゼルノンステップバスは日産ディーゼルのスペースランナーRA及びそのOEM供給車であるエアロスター-S(AA系)に統一されることになり、当車種からは一時的に姿を消していた(その間もエコハイブリッドは生産)。
そのため当初はワンステップバスとツーステップバスのみの製造だったが、MP系との共通性を望む従来からのMP系ユーザーの要望及びエアロスター-S[11]の生産量増加に伴う納期遅滞の解消のため、2009年4月16日にMP系ノンステップバスもP尺を除いてラインナップに追加されている[12]。ただし、こちらはPJ-MP系までのノンステップバスと異なり、ワンステップバスの改造扱いとなっている(型式もPKG-MP37U*ではなくPKG-MP35U*改である)。そのため、車体高さはワンステップバス並みで、窓が拡大されている。また、中扉後方のステップは通常のノンステップパスより1段多い3段となっているが、1段当たりの高さを低くしている。ドアはPJ-MP系までのノンステップバスと同じものを取り付けており、ドア上の空間が大きい[13][12]。こちらのノンステップバスは、中扉より後ろに関して、従来のエアロスターノンステップに見られる「フルフラットとワンステップバスの折衷」ではなく完全に「ワンステップバスベース」である[14]

テンプレート:Double image aside 当形式よりワンステップ車及び自家用ツーステップ車がスペースランナーA(PKG-AP35U系)として日産ディーゼルに供給されることになり、2007年10月30日から実施されている。ただし、日産ディーゼル側もスペースランナーRAのワンステップモデル・自家用ツーステップモデル共に継続して生産しているため、日産ディーゼル側ではノンステップバスを除き、大型路線バスの車種が重複している状態になっている。ただし、エアロスター-SやスペースランナーRAと違い5速MTのみの設定であり、OD5速と直結5速を選択できる。また、自家用ツーステップのK尺は設定されていない。

エンジンや排出ガス後処理装置は日産ディーゼルから供給を受けることとなり、部品の共通化によってコスト削減を図っている。コモンレール燃料噴射方式のMD92エンジンのほか、排出ガス後処理装置には尿素SCRを初めて採用したが、これらは日産ディーゼルの大型路線バス、スペースランナーRAと同一である。これに伴い、タコメーターのレッドゾーンの範囲が従来の2,350rpmから2,500rpmに変更された。

リヤに関しては、PJ-MP系発売途中に廃止された補助ブレーキランプが復活し、コンビネーションランプも配置換えされた。これによって、リヤの外観は前回の変更以前に近いものとなった。また、マフラーの形状もPJ-MP系と違うものになり、位置も左側になった。

ノンステップモデルは正式発売日の2009年4月16日に先がけ、2009年2月に名古屋市交通局相模鉄道、神奈川中央交通、尼崎市交通局[15]、阪急バス、神姫バスに先行導入された。

型式は下表を参照。空欄の部分は設定がないことを表す。

  WB4.8m WB5.3m WB6.0m
ノンステップ PKG-MP35UK改 PKG-MP35UM改
ワンステップ PKG-MP35UK PKG-MP35UM PKG-MP35UP
自家用ツーステップ PKG-MP35UM PKG-MP35UP

LKG-MP系

テンプレート:BusModelImage2 2010年5月18日に発表された、平成21年排出ガス規制(ポスト新長期規制)及び重量車燃費基準適合車。平成17年排出ガス規制(新長期規制)基準値に対して、窒素酸化物 (NOx) の65%低減、粒子状物質 (PM) の63%低減を達成している。本型式もUDトラックススペースランナーAとして供給されていたが、2011年4月初旬に終了した。

エンジンは再び三菱ふそうトラック・バス製となり、中型バスのエアロミディに搭載されていた6M60型エンジン(VGターボ付)を採用したことで排気量が9.2Lから7.5Lに小型化した。最高出力は199kW (270PS) /2,500rpm、最大トルクは785N-m (80kgf-m) /1,100 - 2,400rpm。また、再生制御式DPFと尿素SCRシステムを組み合わせたBlueTecテクノロジーを採用することにより、NOx、PMを大幅に低減している。外観は先代とほぼ同じだが、マフラーの位置が再び右側となった。

全車種にアリソン製の6速ATとABS、パワータードブレーキが標準装備され、5速MT車が廃止された。従来のエアロスターに搭載されていた5速ATではオーバードライブ(OD)ギアが1段だったが、LKG-MP系では2段として巡航時の経済性を確保(減速比は4速:1.000、5速:0.750、6速:0.652)、小排気量化で細くなったトルクはファイナルギアのローギヤード化:減速比を大きくすることで補っている(ノンステップ車とワンステップ車は6.166、ツーステップ車は6.666)。運転席のメータークラスターには走行情報・燃費情報などをフルカラー多重表示モニターに表示する、マルチ情報システム「Ivis(アイヴィス)」を備えた。

PKG-MP系の発売途中で追加された三菱ふそうバス製造(MFBM)車体のディーゼルノンステップ車は、MP35ワンステップ車の改造扱いとなっていたため、ディーゼル車でのMP37形式はPJ-MP系以来の復活となった。車体はPKG-MP系と同様、ワンステップ車並みの車高を有するタイプである。

2010年6月2日に生産初号車となる神奈川中央交通向けノンステップ車(LKG-MP37FM)が完成し、三菱ふそうバス製造にてラインオフ記念式典が行われた。

型式は下表を参照。空欄の部分は設定がないことを表す。

  WB4.8m WB5.3m WB6.0m
ノンステップ LKG-MP37FK LKG-MP37FM
ワンステップ LKG-MP35FK LKG-MP35FM LKG-MP35FP
自家用ツーステップ LKG-MP35FM
LDG-MP35FM
LKG-MP35FP
LDG-MP35FP

QKG-/QDG-MP35/37系

テンプレート:BusModelImage2 2012年4月20日に発売が発表[16]され、同年7月2日に発売開始した。LKG-車同様に平成21年排出ガス規制(ポスト新長期規制)に適合しており、さらに自家用ツーステップ仕様の一部を除き、重量車燃費基準適合車となっている。LKG-車に対して窒素酸化物 (NOx) の10%低減と粒子状物質 (PM) の30%低減を達成している。

LKG-車からの主な変更点は以下の通りである。

  • 2012年7月に施行される安全規制に対応し、乗員の安全性を向上
  • クラス初のブレーキオーバーライドシステムを標準装備して、誤操作を防止
  • 運転席に3点多重感知式ELRシートベルト(ショルダーアジャスター機能付)を採用。ただし、都営バスのようにオプション扱いで2点式シートベルトも可能。
  • ツーステップバスの客席に、安全性が高い多重感知式ELR2点式シートベルト(最前列客席はELR3点式)を採用
  • 停車補助装置を搭載し、乗降時の安全性を向上
  • フォグランプを従来車の黄色からエアロミディ(SKG-車以降)と同色の透明色に変更。
  • 尿素水タンクの樹脂化対応による容量増加 (33L→40L)

エンジンや排出ガス後処理装置、ミッションはLKG-車と同様で変更点はない。クーラーはLKG-車までが三菱重工業製が標準設定でデンソー製がオプション設定だったが、デンソー製が標準設定になり三菱重工業製がオプション設定に変更された。

型式は下表を参照。空欄の部分は設定がないことを表す。

  WB4.8m WB5.3m WB6.0m
ノンステップ QKG-MP37FK QKG-MP37FM
ワンステップ QKG-MP35FK QKG-MP35FM QKG-MP35FP
自家用ツーステップ QKG-MP35FM
QDG-MP35FM
QKG-MP35FP
QDG-MP35FP

オーストラリア向け MP300 MP35

オーストラリア向けの路線バスとして、2013年7月11日にエアロスターノンステップをMP300(MP37)の名称で輸出することが発表[17]された。日本国内向け車両と同様、富山の三菱ふそうバス製造(MFBM)で製造され、完成車として輸出する。国内向け同様、K尺(MP37FK)、M尺(MP37FM)がラインナップされる。オーストラリアの路線バスとしては初のアイドリングストップ&スタートシステム(ISS)搭載車種となる。前扉に反転式スロープを装備、車椅子スペースはK尺が1台分、M尺が2台分となっている。ノンステップ部の座席配置は国内仕様とは異なり、2人掛け座席と跳ね上げ式の横向きベンチシート(車椅子スペース)で構成されている。車椅子固定用ベルトの装備はない。車椅子通過のため、タイヤハウス間の幅が国内仕様より40mm拡大されている。また前部の行き先表示機脇にマーカーランプとウィンカーが、後部にウィンカーとブレーキランプが追加されており、 逆に側面のウィンカーは装備されていない。その他各種表記が英語になっている点等を除けばほぼ国内仕様と同じである。Turnbull's社やディーキン大学ですでに導入されている。 Sydney Bus and Coach Show 2013 での展示時の様子

その後、ツーステップ仕様のMP35FPがスクールバス向けとしてMP35の名称で発表されている。こちらは側窓が逆T字窓と固定窓が組み合わされたオリジナル仕様になっている点、前扉がグライドスライドドアになっている点、客席シートが現地メーカー製になっている点など独自仕様が多くみられる。 公式ホームページ

CNG車

ファイル:Tobus R-P536 gastank-cover-opened.jpg
CNGノンステップ車のガスタンクは長手方向に置かれ、カバーは前後で2分割される。

本節ではCNG車について特記することとし、ベースとなるディーゼル車との共通仕様については#エアロスター(2代目)を参照のこと。

KC-MP系

1998年(平成10年)10月22日に発売され、ベースとなるディーゼル車の改造扱いとなる。三元触媒の使用による低公害化や静粛性が特徴である。発売からしばらくの間はエアサス・ツーステップバスのみで、ノンステップバスの発売開始は2000年(平成12年)2月9日となったが、発売前に製造された試作車が存在する。エンジンは6D24型(169kW/230ps)を搭載し5速MTが標準。サスペンションはエアサスのみで、WB6m車の設定はない。

型式については下表を参照。

  WB4.8m WB5.3m
CNGツーステップ KC-MP717K改 KC-MP717M改
CNGノンステップ KC-MP747K改 KC-MP747M改

KL-MP系

ファイル:Tobus R-K685cockpit.jpg
アリソン製AT搭載車の運転席

KC-MP系とは駆動面での変更は殆どなく、エンジンもそれと同型を搭載しているものの、ミッションは5速ATが標準となった。また、ツーステップ車の設定がなくなった。

KL-MP系ディーゼル車は2005年8月をもって発売を終了し、PJ-MP系の発売に完全移行したが、CNG車は新短期規制の影響を受けないため2007年8月31日まで発売された。実際にディーゼル車の発売がPJ-MP系へ以降した後も導入例が見られる[18]。2005年10月以降に導入された車両はそれ以前の導入車両と比較すると外観面で変化が生じており、フォグランプの小型化、灯火器具の保安基準改正に適合に伴うリアコンビネーションランプの変更(取付位置の変更)、取付けが義務付けられた側面反射板の取付けなどの変更点がみられた。

型式はKL-MP37JK改(WB4.8m)またはKL-MP37JM改(同5.3m)。

蓄圧式ハイブリッドMBECS-III

ディーゼル車のモデルチェンジに少し遅れて、蓄圧式ハイブリッド車も1996年12月にMBECS-IIIとして追加された。なお平成6年規制(KC-車)のMBECS-IIIはわずか9か月程度しか製造されず、翌1997年8月には平成11年規制対応(KL-車)となった。型式はエアサスがMP737系、リーフサスがMP337系となり、KC-車、KL-車ともMP737K/MP337Kがホイールベース4.8m、MP737M/MP337Mがホイールベース5.3mである。

なお、2000年5月23日に平成11年排気ガス規制に伴いディーゼル車のエンジン関係の改良が行われたが、蓄圧式ハイブリッドMBECS-IIIは生産中止となった。

末期の車両は、前扉がワンステップ、中扉がツーステップの車両が存在する。

エアロスターHEV

テンプレート:BusModelImage2 蓄圧式ハイブリッド車"MBECS"に代わって開発された電気式ハイブリッド車。2000年の東京モーターショーで参考出品される。日野・ブルーリボンシティハイブリッド (HIMR) と異なりシリーズ式ハイブリッド機構を採用、エンジンはエアロミディの6M61(直列6気筒・8201cc)を搭載して走行用モーターの発電機に徹し、動力源とエネルギー吸収に電動機を用いる。

2002年6月にドアを3扉から2扉に変更したプロトタイプ車、シリーズ式電気ハイブリッドバスHEV(通称電気バス)の試験運行が遠州鉄道にて開始され、2002年のサッカーワールドカップ輸送(掛川駅 - エコパ)にも使われた。同年後半からは平成17年東京都ディーゼル規制に対応した低圧ターボ付エンジン車も追加された。

2004年(平成16年)2月23日からシリーズ式電気ハイブリッドバスHEVが正式発売され、試験運行を行った遠州鉄道と、名古屋鉄道(現名鉄バス)が導入した。またデモカーは名鉄バスに貸し出され、愛知万博のシャトルバスとして使用された後、岐阜乗合自動車が購入した。関東八都県市・近畿圏LEV-6「優」指定低公害車。そのため現在は、遠州鉄道に2台(2012年に1台廃車され、現在は1台のみの在籍)名鉄バスに2台、岐阜乗合自動車に1台導入された。

開発初期の車両は、総電圧:648[V]最大容量:24[Ah]モータ最高出力:150×2 (300)[kW]モータ最大トルク:360×2 (720)[Nm]であったが、エネルギ密度などの観点からバッテリーの総電圧は612[V]に、モーターの最高出力は90kW×2基に変更となる。

発電用エンジン回転数は1700[rpm]と固定しており、これは6M61型エンジンの最大トルク539 [N-m] /1700rpmを発揮する値となる。このエンジンには補機に当たる冷房用エアコン・コンプレッサやブレーキなどのエア・コンプレッサが一体型になっており、またその他の補機は電動モータでの駆動になっている。

このほか、後輪にはブリヂストン製超偏平シングルタイヤ(435/45R22.5 動荷重半径:0.4699[m])を採用し、後輪部の通路幅が拡大された。

各部品の製造会社は、バッテリは旧日本電池(現GSユアサ)、モータとVVVFインバータはシーメンス、モータ減速機はFLENDERとなっている。

ディーゼルノンステップモデルであるKL-MP37JMの改造扱いであるため型式はKL-MP37JM改となっている。

エアロスター エコ ハイブリッド

テンプレート:BusModelImage2 2007年9月26日に発売を開始した。平成17年排出ガス規制および、平成27年重量車燃費基準に適合。基準値に対し、粒子状物質 (PM) および窒素酸化物 (NOx) の10%低減に成功している。

発電用ディーゼルエンジンはローザの4M50系(直列4気筒・排気量4,899cc)を採用し、回生ブレーキを装備している。これらにより、低燃費および高い静粛性を実現している。エアロスター エコ ハイブリッドは以前のエアロスターHEVとは違い、増速機を介して発電用モーターに動力を伝達している。発電用モータは回転数3,917rpmで40kWを発電する。この技術はダイムラー社にも提供されており、シターロGハイブリッドに用いられている。

ノンステップバス専用車で、ホイールベース4.8mがBJG-MP37TKF、同5.3m車がBJG-MP37TMFとなる。

一部諸元は、総電圧634V、最大電流容量22Ah、モータ最高出力79×2 (158)kW、モータ最大トルク355×2 (710)N・m、発電機増速比2.448であり、モータ減速比が変わるがアクスル減速比は変わらない。

発電用エンジン回転数は1,600rpmと固定しており、これは4M50型エンジンの最大トルク530N・mを発揮する値となる。エコハイブリッドのエンジンには補機がなく、すべての補機を電動モーター駆動にしてエンジン起動回数を減らしている。

このほか、後輪には引き続き超偏平シングルタイヤ(435/45R22.5 動荷重半径0.4699m)が採用された。

運転席まわりの計器類は、PKG-MP35系とほぼ同様であるが、回転計が主バッテリー残量計になり、ディーゼル車では省略されているバッテリー電流計が装備され、逆に油圧計は省略された。

各部品の製造会社は、バッテリーは日立製作所、モータとVVVFインバータはシーメンス、モータ減速機はFLENDERとなっている。ポスト新長期規制を適合させずに、2010年9月末をもって製造を中止した。

両備バスには、車体の屋根にバス用としては世界初の太陽電池パネル(三洋電機製)を設置して、太陽電池からの電気を車内のLED照明に使用し、同じくバス用としては世界初の「マルチアングルビジョン」モニター(富士通テン製)を運転席に設置した車両(BJG-MP37TMF改、愛称:SOLARVE(ソラビ))がある[19][20][21]

西日本車体工業架装車

ファイル:MP23 NSK.png
エアロスター+西工3態比較

純正の三菱自動車バス製造(MBM)製車体(現:三菱ふそうバス製造 (MFBM) 製車体)以外に、西日本車体工業(西工)製の車体を架装した例が西日本を中心に多数存在する。ただし、2003年に西日本車体工業が日産ディーゼル(現:UDトラックス)の標準車体となり、それ以降は三菱ふそうバス製造 (MFBM) に一本化する予定だったが、一部のユーザー[22]の要望で、ごく少数ながら西工でも生産されている。

初代エアロスターは58MC、2代目エアロスターになってからは96MCが架装されたが、三菱ふそう側のモデルチェンジが西工より僅かに遅かったため、初代エアロスターシャーシに96MCを架装した例もごく少数ながら存在する。

西工架装車に見られる特徴として、高出力ターボ車用シャーシに標準床ボディを架装した近距離高速バス仕様車が存在しており、西鉄などが導入している[23]。同様に高出力ターボ車に架装した近距離特急バス仕様車(ワンステップバス)が存在し、両備バスが導入している。いずれも、ホイールベースを5.3m(M尺)や6.0m(P尺)から、6.5m(エアロバスS尺相当:ただし、型式はM尺・P尺の改造扱い)に延長改造しているものが多い。

富士重工製車体への架装は1998年3月で打ち切られた。

エアロスター(3代目)

3代目となるエアロスターは、2014年6月19日に発表・受注開始された。[24]変更点は以下の通りである。

神奈川中央交通平塚営業所に4台が導入されたのを最初に、名鉄バス東急バス北海道中央バス帝産湖南交通などと順次導入している。

  • フロントデザインを18年ぶりに一新
  • ディスチャージヘッドランプを標準装備
  • 反転式スロープ板の採用(ノンステップ車)
  • 前向き優先席の設定(ノンステップ車)

型式は下表を参照。空欄の部分は設定がないことを表す。

  WB4.995m WB5.550m WB6.000m
ノンステップ QKG-MP38FK QKG-MP38FM
  WB4.8m WB5.3m WB6.0m
ワンステップ QKG-MP35FK QKG-MP35FM QKG-MP35FP
自家用ツーステップ QKG-MP35FM QKG-MP35FP

エアロスター-S

テンプレート:BusModelImage2 エアロスター-Sは、かつて日産ディーゼル(当時、現「UDトラックス」)が製造していた大型路線バス・スペースランナーRAのOEM供給車。

排出ガス規制強化による開発コスト増大に対応するため、ノンステップバスに関しては当初、三菱ふそうと日産ディーゼルが車種を統一された。そのため、ノンステップバスが主に供給される。また、それ以外に自家用車の認可も受けている。車体は西日本車体工業製(96MC-B型)。その後、エアロスターの方も、PKG-MP35U系にワンステップ改造扱いでノンステップモデルが登場し、現行車種のLKG-MP37F系にもノンステップモデルがあるため、現在はノンステップモデルがエアロスター-S及びスペースランナーRAに統一されている訳ではない。

日産ディーゼルから販売されているスペースランナーRA本体についてはスペースランナーRAを参照のこと。
テンプレート:-

PKG-AA274A系/A(P)DG-AA273A系

テンプレート:BusModelImage2 2007年5月21日より発売された、新長期規制(平成17年排出ガス規制)に適合している型式。前述のように原則的にノンステップバスが供給されるが、自家用車の認可も国土交通省より取得している。 テンプレート:-

ファイル:PKG-RA274KAN PKG-AA274KAN Kanachu A30 A188.jpg
スペースランナーRA(左・PKG-RA274KAN)とエアロスター-S(右・PKG-AA274KAN)は、外観上全くと言っていいほど差異がない

OEM供給車であるため、内装・外観ともに日産ディーゼルのスペースランナーRAとほとんど差異はなく、コンテンションプレートにも「日産ディーゼル工業」[25]と記載されている。そのため、車外にメーカーエンブレム等がない場合、車番表、又は(車体番号がメーカ別になっているバス会社の)車体番号、或いはステアリングホイールのエンブレムを確認しないと判断出来ない[26]

また、リヤランプもスペースランナーRAと同一である。エアロスター-Sの初期車はシビリアン用テールを装着するが、スペースランナー/エアロミディ-Sの新型発売開始とほぼ同じ2008年1月より、両者ともバルブ交換の容易化のため[27]、リヤランプが日産シビリアンの一体型テールランプから、三菱ふそうエアロスター(MP系)と同じ、ゴールドキング製の汎用ランプに変更されている。

さらに、エンジン(MD92エンジン)や尿素SCRシステムをはじめとする排出ガス後処理装置 (FLENDS) がスペースランナーRAと同一なのはもちろんのことだが、これらはエアロスター2代目のPKG-MP35U系とも同一である。これは2社の業務提携により、2社が発売する全ての大型路線バスのエンジンや排出ガス後処理装置が統一され、日産ディーゼルから供給されているためである。

型式はトランスミッション等の仕様の違いによって排出ガスや燃費が異なるため、多岐にわたる。5MT車と6MT自家用車のT尺は発売当時からPMの10%低減を達成しているほか、平成27年重量車燃費基準に対応しており、PKG-AA274A系となる。

その一方、5AT車やT尺以外の6MT自家用車は発売当初は新長期規制のみに対応し、2007年9月ころにPMのみ10%低減を達成した車両にマイナーチェンジされた。前者がADG-AA273A系、後者はPDG-AA273A系となる。2010年10月に施行される、平成22年排出ガス規制には適合しておらず、また、同車のボディーメーカーの西日本車体工業の解散により、スペースランナーRAと同じく、2010年8月をもって製造を終了した。

型式は、下表のとおりである。2段になっている項目は、途中でマイナーチェンジされたものである。また、自家用については型式取得はされているものの、実際に販売されることはなかった。

  WB4.8m WB5.3m WB5.8m WB6.5m
5MTノンステップ PKG-AA274KAN PKG-AA274MAN PKG-AA274PAN
5ATノンステップ ADG-AA273KAN
PDG-AA273KAN
ADG-AA273MAN
PDG-AA273MAN
6MT自家用 ADG-AA273KAN
PDG-AA273KAN
ADG-AA273MAN
PDG-AA273MAN
ADG-AA273PAN
PDG-AA273PAN
PKG-AA274TAN

エアロバス顔エアロスター

テンプレート:BusModelImage2 ランエボ顔ランサーランサーエボリューションの外装をしたランサー)同様、MP517/518系及びMP618系には、同時期に生産された観光バスである、それぞれMS512/MS613及びMS713(いずれもスタンダードデッカー車。MS7系はエアロバス)のフロントマスクを搭載した車両が、わずかながら存在する。これを実現するため、同系の車体断面はエアロバスのスタンダードデッカー車と共通となっていた。長距離路線バスへの導入のほか、東京空港交通が運行する羽田空港成田国際空港のランプバスにも見られる。ただし、フロントオーバーハングより後方の構造は、通常のMPと同等である。また、新呉羽製の車体を架装した車両では、エアロスターと同じ車体幅のエアロミディMM観光仕様車の車体を延長して架装した例もあり、こちらはエアロバスKにかなり近い。

しかし、MP35系にMS8系・MS9系のフロントマスクを搭載した車両は、現在のところ確認されていない。従前、このタイプの車両を導入していた事業者でも、MP35系でオプション設定されたフロント1枚窓マスクや、若しくは路線マスクのまま導入している。

日産ディーゼル(現:UDトラックス)との相互OEM供給

前述の通り、2007年から三菱ふそうと日産ディーゼルの間で相互OEM供給がなされている。詳細は日産ディーゼル・スペースランナーRA#三菱ふそうとの相互OEM供給を参照。

なお、エアロスターエコハイブリッドはOEM供給の対象外となっており、日産ディーゼル側には無い(同じくUDのスペースランナーRAワンステップもふそうには供給されていない)。

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Sister

外部リンク

テンプレート:三菱ふそうトラック・バス製のバス車両

テンプレート:自動車
  1. ただし、排気量は11,149ccで、6D22と同じ。
  2. ロッド式も選択可能。
  3. 通常はO/D 式5速だが、オプションで直結5速も選択可能である。
  4. ただし、北海道東北地方では路線車でも非冷房仕様を導入した事業者が多い
  5. MP118/518系では、オプションで装備可能であった。
  6. オーバーレブ時に点灯する赤いランプではなく、オレンジ色に光る「不経済走行」の文字が点灯し、ビープ音もオーバーレブ時の「ピー」ではなく「ピコピコ」という音である。これは後のモデルでも同様である。作動回転数は設定により変更可能。
  7. この機能は、同時期にマイナーチェンジを受けたエアロバスにも追加されている。ただし、MS8系の場合、排気ブレーキ作動中は動作しない。
  8. バスラマ・インターナショナル5号「特集1:都バスの都市型超低床バス」ではU-MP618K改と、既存型式の改造扱いとなっている。
  9. ただし、2008年度よりKC-代車に対して条件付きで譲渡を再開した。
  10. 1997年には、札幌市営バス向けにMP717Pのホイールベースを0.25m短縮した特別仕様(MP717P改)が20台納入された。2003年、2004年の札幌市営バスの事業廃止により、現在は譲渡先のジェイ・アール北海道バスじょうてつバス北海道中央バスに全車移籍している。
  11. 日産ディーゼルが製造。スペースランナーRAの増加も伴う。
  12. 12.0 12.1 テンプレート:Cite journal
  13. 詳細は[1]を参照。
  14. そのため、中扉より後ろの窓の下部の高さが従来は前部と同じだが当形式は高くなっている。
  15. 尼崎市交通局ではこの車両の導入により、全車ノンステップバス化を達成した。
  16. テンプレート:Cite press release
  17. テンプレート:Cite press release
  18. 東京都交通局名古屋市交通局などで導入。
  19. 環境未来型バス「ソラビ」を両備グループと共同開発 三洋電機ニュースリリース(2010年8月26日)
  20. 両備グループ創立100周年記念コンセプトバス「SOLARVE(ソラビ)」に「マルチアングルビジョン」搭載 富士通テン プレスリリース(2010年8月26日)
  21. 両備グループ100周年記念事業 3つの世界初を有する世界でひとつの路線バス「SOLARVE(ソラビ)」完成 両備グループニュースリリース(2010年8月27日)
  22. 阪急バス阪神バス金剛自動車両備バス岡山電気軌道西日本鉄道など
  23. MFBM製車体でも近距離高速用はわずかに例有り。
  24. 三菱ふそう 新型大型路線バス「エアロスター」を発表三菱ふそうトラック・バス株式会社(2014年6月19日)
  25. 2010年2月以降はUDトラックス。
  26. スペースランナーは"NISSAN DIESEL"のロゴになっているが、エアロスター-Sの場合は三菱グループのエンブレム「スリーダイヤ」になっている。
  27. テンプレート:Cite book