UDトラックス
テンプレート:Pathnav テンプレート:Infobox UDトラックス株式会社(ユーディトラックス)は、日本の埼玉県を拠点とする大型車専業(トラック・バスなど)の自動車メーカー。2010年2月1日に、旧社名の日産ディーゼル工業株式会社(にっさんディーゼルこうぎょう)から社名変更した。
現在は世界最大の重型トラックメーカー・ボルボ社傘下の外資系企業である。旧社名の元である日産自動車との資本関係はなくなっているが、業務提携は継続して行われている。
目次
概要
主にトラックを手がけており、旧会社名である「日産ディーゼル」(ニッサンディーゼル)の名称と共に、「UD」(ユーディー/ユーデー)の名称でも広く親しまれており、かつて、独自の単流掃気方式2サイクルディーゼルエンジン「Uniflow Scavenging Diesel Engine」を製造しており、その頭文字及び、その頭文字から取ったエンジンの商標であった。2010年まではバスも生産していた。大型トラックを得意としており、大型トレーラーにおいては占有率が国内トップクラスである。
この他、自動車業界内では「日デ」(ニチデ)[1]、運輸事業の現場では単に「日産」の通称も用いられている[2]。UDの商標は2サイクルエンジンの製造終了後も継続して使われており、現在ではUDを、Ultimate Dependability(究極の信頼)の頭文字をとったものとしている。
1999年にルノーが日産自動車と資本提携を行った際に日産ディーゼルにも出資し、日産自動車に次いで第2位の大株主となり、ルノーの指揮下でリストラが進められることになった。また、2003年4月には従来日デ車の約6割に架装していた富士重工業伊勢崎製作所(群馬県伊勢崎市、スバルカスタマイズ工房を経て現在の桐生工業)がバス車体製造から撤退した。これに伴い、バスボディーの調達先を西日本車体工業(福岡県北九州市小倉北区)に集約した。
2005年3月に経営再建が完了したことから、ルノーが所有する株式を放出し、再び日産自動車の直接傘下となった。
2006年3月に筆頭株主だった日産自動車が保有する株式19%中13%を、スウェーデンのトラックメーカーボルボに売却し、ボルボが筆頭株主となる。同年9月に残りの6%もボルボに売却され、日産自動車との資本関係はなくなった。この時点では社名変更はしないと発表した。
2007年2月20日、ボルボが完全子会社化を目的とした株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表、日産ディーゼルも賛同を決議。
前述のTOB成立に伴い、2007年7月23日付で東証上場廃止となった。
2009年11月、公式サイトにて2010年1月1日付で日本ボルボを吸収合併すると発表した。また、日産ディーゼルの100%子会社であるクリエイトセンターと、ボルボ・インフォメーション・テクノロジー・ジャパン[3]も同日付で吸収合併することが発表されている。
2010年1月19日付の各紙朝刊に、同年2月1日付けで、「UDトラックス」に社名をに変更することが報じられた。その報道に対し、「2月1日に社名変更するのは事実だが、新社名については1月26日に発表する」と公式サイト上でコメントしていた[4]。そしてそのコメント通り、1月26日、2月1日付の「UDトラックス」への社名変更が正式に発表され、ブランドも「UDトラックス」に統一された[5]。
バス事業に関しては、2007年5月の三菱ふそうエアロスター-Sの販売開始以後、三菱ふそうとの相互OEM供給が開始された。2009年8月31日に三菱ふそうとバス事業に関する合弁会社の設立に向けた協議を開始するための覚書を締結している。その後、2010年8月には西日本車体工業の車体製造の終了及び会社解散に伴い相互OEM供給を事実上終了し、UDトラックス販売の車両は全て三菱ふそうからのOEM車種となっていた。
しかし、2010年10月29日付で合弁会社設立に関する協議の打ち切りと、前述の相互OEM供給の終了が発表される[6]。これにより、自社でバス車体の製造を行なっていないUDトラックスは事実上バス事業から撤退した。ただし、リコールの対応はその後も行なっている。その後はボルボの中国製バス輸入も模索したが、日本の保安基準対応にはコストがかかるため断念、完全な撤退を決めたと2012年9月に報じられた。[7]。
2014年3月19日、ボルボグループは「UD Buses」ブランドの導入を発表した。ボルボは「UDのバスはかつて日本や東南アジアにおいて強固なブランド力があった」としており、成長市場に特化して開発されるバスにそのブランドが使用されることになった。最初の市場はインドで、年内にも製造・販売を開始する。また、バンガロールのバス工場を輸出ハブとする予定である[8]。ただし、日本でのバス事業再開は考えていないという[9]。
沿革
- この節における出典:UDトラックス株式会社2013年版沿革
- 1935年12月1日 - 日本デイゼル工業株式会社として創業。
- 1936年 - ユンカース・クルップの特許を取得して上下対向ピストン式2ストロークディーゼルエンジンの開発を開始。社名を採ってND型と名づけられた。
- 1938年 - ND型発売。日本で最初の無気直噴エンジンとなる。
- 1942年 - 社名を鐘淵デイゼル工業株式会社へ変更。製品もKD型となる。
- 1946年 - 民生工業株式会社に変更。
- 1950年5月1日 - 自動車部門を分社、民生デイゼル工業株式会社として発足。
- 1953年 - 日産自動車が資本参加。
- 1955年 - GMからデトロイトディーゼル・シリーズ71ユニフロースカベンジングディーゼルエンジンに関するライセンスを取得、自社設計によるUD型2ストロークディーゼルエンジンとして発表。
- 1960年 - 社名を日産ディーゼル工業 に変更。
- 2002年2月 - キャブの色を高品位に塗装するサービス・「純正カスタムペイント」開始。
- 2004年6月 - 中型車のエンジンを日野自動車からのOEMに変更。これと引き換えに電気二重層コンデンサを用いた同社のキャパシタハイブリッド技術を供与。トラックは6月、バスは8月から変更された。
- 2005年6月13日 - 自社開発の尿素SCR(選択的触媒還元)システム・「FLENDS」に関する技術を、三菱ふそうトラック・バスにも供与すると発表。両社技術提携へ。
- 2006年3月27日 - ボルボ社が日産自動車より4000万株(13%)の取得が完了、筆頭株主となる。
- 2006年9月28日 - ボルボが主要株主からの優先株式並びに日産自動車より残りの株式約1800万株(6%)全ての取得を完了し、日産自動車との資本関係が消滅。
- 2007年3月29日 - ボルボの資産管理子会社エヌエー株式会社により日産ディーゼル株式公開買い付けを実施。全株式の96%(約2億9千万株)を取得し、筆頭株主並びに親会社となる。ボルボも親会社となる。
- 2007年5月21日 - 三菱ふそうエアロスター-Sの販売開始により、2006年7月13日に発表された三菱ふそうトラック・バスとの相互OEM供給[10]がスタートした。大型ノンステップバスや中型バスを同社が製造して三菱ふそうに供給、逆に大型観光バスや大型ワンステップバスなどを三菱ふそうから供給を受ける形になる。バス用エンジンについても、相互に供給する。これに伴い、バスに対する日野製エンジンの供給は取りやめになった(トラックについては継続)。
- 2009年1月1日 - 直系の販売会社を日産ディーゼルトラックスに統合、設立。
- 2009年8月31日 - 三菱ふそうトラック・バスとバス事業に関する合弁会社の設立協議を開始するための覚書を締結[11]。バスの企画・研究開発・生産・販売の事業を両社から合弁会社へ移管統合するために協議を続けるする方針。
- 2010年1月1日 - ボルボの100%出資会社「日本ボルボ株式会社」を吸収合併。
- 2010年2月1日 - 現社名のUDトラックスに社名変更。
- 2010年2月15日 - ボルボ製大型トラックの取り扱い開始(但し、大手企業向けのみ)
- 2010年8月24日 - 西日本車体工業製のバス最終生産車を出荷、以後バスについては三菱ふそうからのOEMとなる[12] 。
- 2010年10月29日 - 三菱ふそうトラック・バスとのバス事業に関する合弁会社の設立協議・交渉を打ち切りが発表される[6][13]。三菱ふそうからのOEM供給も終了した。
- 2013年5月31日 - 子会社DRDの全株式を、人材派遣会社テンプスタッフに譲渡。
- 2013年8月26日 - タイ王国バンコクにて新興市場向け大型トラック「クエスター」を発表[14][15]。
- 2014年1月1日 - UDトラックスジャパンとボルボ・グループ・ジャパンの両社を吸収合併。
- 2014年3月19日 - インドでUDブランドのバスを製造すると発表[8]。
- 2014年6月25日 - 三菱ふそうトラック・バスからの小型トラックのOEM供給に合意。
- 2015年 - 本社新社屋建設予定。
生産拠点
車種一覧
現行車種
トラック
- クオン(大型トラック・25tクラス)
- コンドル(中型トラック・4~12tクラス。エンジンはボルボと共同開発した自社製)
- コンドル20・30・35(小型トラック・2~4tクラス。日産・アトラスの姉妹車種。現在はいすゞ・エルフのOEM車種)
- コンドル10(小型トラック・1~2tクラス。日産・アトラスの姉妹車種)
- クエスター(アジア新興国向け大型トラック)
産業エンジン
その他
絶版車種
発売順に掲載する。
バス
前述のとおり、2010年10月29日でバスの車種全ての販売が終了しているが、2014年3月19日にバス事業に再参入し、インドをはじめとする成長市場で販売を行うことが発表されている[8]。
- 大型観光バス
- スペースウイング(DA/RD系・3軸車)
- ユーロツアー(NDPC製の逆輸入車)
- スペースウィング(RA系・スーパーハイデッカー)
- スペースアロー(RA系・ハイデッカー・RP系は後述)
- スペースウィングA(AS系・スーパーハイデッカー・三菱ふそう・エアロクィーンのOEM)
- スペースアローA(AS系・ハイデッカー・三菱ふそう・エアロエースのOEM)
- 2階建てバス
- 大型路線バス
- 9m大型バス
- スペースアローRP(RP系・観光バス)
- スペースランナーRP(RP系・路線バス)
- スペースアローA ショートタイプ(AM系・観光バス。ハイデッカー・三菱ふそう・エアロエース ショートタイプMMのOEM)
- 普通型路線バス(中型幅の長尺路線バス)
- スペースランナーJP(JP系)
- 中型路線バス
- スペースランナーRM(RM系)
- 小型バス
- スペースランナー7(観光バス)
- RN(路線バス)
- オムニノーバ・マルチライダー
トラック
その他
販売会社
その後、岩手・栃木も変更し、現在は群馬のみが「日産ディーゼル」を含む名称となっている。
- UDトラックスジャパン(旧 日産ディーゼルトラックス)
- UDトラックス道東(旧 日産ディーゼル道東販売)
- UDトラックス北海道(旧 日産ディーゼル北海道販売)
- UDトラックス岩手(旧 日産ディーゼル岩手販売)
- UDトラックス栃木(旧 日産ディーゼル栃木販売)
- 群馬日産ディーゼル&ロジスティクス
- UDトラックス新潟(旧 日産ディーゼル新潟販売)
脚注
- ↑ 日本自動車工業会や自動車雑誌などでの表記。単に「日産」とすると、かつて大型自動車の生産を(大型バスは1972年(昭和47年)、大型トラックは1976年(昭和51年)まで)行なっていた日産自動車製の車種との区別ができないため。鉄道ジャーナル誌など一部では「日産ディ」の表記も見られる
- ↑ 大阪市交通局が一例で、同局が発行する「大阪トラフィック・ログ」における大阪市営バス保有車両一覧表において「日産」と表記している。同書では三菱ふそうトラック・バスについても「三菱」と略している。
- ↑ ボルボITジャパン、旧システムブレーン。ITサービス提供企業。
- ↑ 当社の社名とブランドに関する報道について - 日産ディーゼル2010年1月19日付プレスリリース
- ↑ 日産ディーゼル工業、会社名の変更とブランド名の統一 - 日産ディーゼル2010年1月26日付プレスリリース
- ↑ 6.0 6.1 バス事業に関する合弁会社の設立協議打ち切りのお知らせ - UDトラックス2010年10月29日付プレスリリース
- ↑ UD、バス事業撤退 国内市場縮小 希望退職700人募る - 日本経済新聞電子版2012年9月17日(全文は会員のみ公開)
- ↑ 8.0 8.1 8.2 テンプレート:Cite web
- ↑ バスラマインターナショナル No.143 P.67 ぽると出版 ISBN 978-4-89980-143-6
- ↑ 日産ディーゼル、三菱ふそう バスの相互OEM供給に関し基本合意 - 日産ディーゼル・三菱ふそうトラック・バス2006年7月13日付共同プレスリリース
- ↑ 日産ディーゼルと三菱ふそう、バス事業における協力を拡大 - 日産ディーゼル・三菱ふそうトラック・バス2009年8月31日付共同プレスリリース
- ↑ 最終生産車は西鉄バス壱岐自動車営業所配属の6265号車(スペースランナーRA)。バスラマ・インターナショナルSPECIAL10 西工の軌跡(ぽると出版) 2010年9月発行 ISBN 978-4-89980-017-0 P.9
- ↑ UDトラックス社とのバス事業に関する合弁会社の設立協議交渉終了について - 三菱ふそうトラック・バス2010年10月29日付ニュースリリース
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
関連項目
- 民生デイゼル工業
- 2ストローク機関
- 三菱ふそうトラック・バス(三菱ふそう製OEM車のバスボディー純正メーカー)
- 西日本車体工業(西鉄系のバスボディー指定メーカー、2010年10月解散)
- スバルカスタマイズ工房(2002年3月までのバスボディー指定メーカー、旧・富士重工業伊勢崎製作所)
- 輸送機工業(富士重工業系列のクレーン車指定メーカー・現在は航空宇宙関連部品製造に特化)
- DRD
- 日産ライトトラック(開発資源の選択・集中のため、1t/2tクラスの小型トラックの開発を当該会社に集約。)
- 東風日産ディーゼル
- 埼玉西武ライオンズ(後援企業として関係。また西武バスほか西武グループのバスも多くがUD製である)