三つ目がとおる

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テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/TVAnime テンプレート:Infobox animanga/TVAnime テンプレート:Infobox animanga/Footer テンプレート:Sidebar with collapsible lists三つ目がとおる』(みつめがとおる)は、手塚治虫による日本少年漫画作品、およびそれを原作としたテレビアニメ

概要

週刊少年マガジン』(講談社刊)に1974年から1978年3月まで連載。1973年頃の『週刊少年マガジン』は、それまでの劇画偏重路線がたたって『週刊少年ジャンプ』や『週刊少年チャンピオン』に読者を奪われ発行部数を落としていた[1]。そこで少年誌への回帰を図る一環として、1965年の“W3事件”以来『週刊少年マガジン』及び講談社と関係が絶たれていた手塚治虫に白羽の矢が立てられた[1]。1974年に月1回の読切として連載が開始されたが、好評を受け翌年から毎週連載となり、『週刊少年チャンピオン』連載の『ブラック・ジャック』とともに手塚治虫の復活を印象づけた。1977年に『ブラック・ジャック』と本作により手塚は第1回講談社漫画賞を受賞。同年には、講談社から『手塚治虫漫画全集』が刊行開始されるなど、手塚と講談社の関係は修復された。

当初、手塚は「SF的な推理もの」を意図しており、写楽保介と和登さんの名がそれぞれシャーロック・ホームズワトソンに由来しているのもそのためである[2]。しかし、1970年代超能力超古代文明などのオカルトブームという「時代の要請」を受けて次第にオカルトを前面に押し出すようになり[2]、結果としてそれが人気を得ることになった。

アニメ化作品には、手塚がシノプシスを手がけた『24時間テレビ』におけるスペシャルと(『悪魔島のプリンス 三つ目がとおる』)、手塚の死後テレビ東京系列ほかにて放送されたテレビシリーズの2種類が存在している。


物語

古代の人類「三つ目族」の末裔で自称「悪魔のプリンス」写楽保介(しゃらく ほうすけ)が、親友の和登千代子(わと ちよこ)と共に、様々な事件に遭遇し、解決していく伝奇SF漫画超古代文明など1970年代オカルトブームが反映されている。またストーリーの魅力として、古代遺跡に手塚独自の解釈があてられていることが挙げられ、例えば酒船石は古代人が奴隷を服従させるための薬の精製器具であるとしている(「酒船石奇談」)。原作漫画には、一話読み切りの短編のほか、複数話にまたがる所謂「長編」があり、この「長編」ではさらにスケールの大きな冒険が展開される。

長編概要

三つ目族の謎編
犬持邸にある日突然黒い鉄球が送りつけられる。それはゴブリン伯爵から写楽に贈られたもので、表面に琵琶湖の湖底に眠る三つ目族の遺産の隠し場所が示され、鉄球の中にはそこへの案内役となる天人鳥が収められていた。写楽と和登さんは飛石連休を利用して琵琶湖へ調査に出かける。
グリーブの秘密編
写楽の通う学校に上底先生が赴任し、傍若無人な振る舞いを始める。しかし、彼女の真の目的は写楽にネイティブ・アメリカンの遺跡、「グリーブ」について調査させることだった。長編では唯一アニメ化されていない。
怪植物ボルボック編
写楽たちは三つ目族が開発した霊長植物「ボルボック」を発見する。ボルボックは人間の命令に従い、地上の植物を思いのままに茂らせたり枯らせたりする能力を持っていた。写楽ははじめこれを手なずけようとするが、ボルボックが三つ目族を滅ぼした張本人であることが分かり、一転してボルボックの撲滅を目指す。
イースター島航海編
写楽の前に現れたパンドラはポキたちを差し向け犬持博士らの謀殺を図るが、写楽たちは辛くも逃れる。その後、写楽と雲名警部は幽霊船に乗せられ、パンドラ(アニメではミスターマネー)によってイースター島への航海に導かれる。
古代王子ゴダル編
ウル王朝のシグアナ姫によって4500年もの間ホア・カバリ・キルマの壷に封じられてきた三つ目族の王子・ゴダルは、和登さんの体を乗っ取ることで世に再びその姿を現す。ゴダルと写楽、二人の三つ目人は国際会議を控えた京都の街で騒動を巻き起こしていく。
地下の都編
バンソウコを貼った写楽は縄文時代の遺跡を発見し、一人で掘り進めていく。その後、富士山の火山灰土に覆われた地下の都を発見し、そこで古代の巫女、アヌイと出会う。アニメでは11話 - 13話に相当する。
怪鳥モア編
写楽はトルテカ人の忘れ形見、モアの雛を親鳥から託される。舞台は変わってメキシコとなり、写楽はモアを狙うヒットマン・ケツアルからモアを守り抜こうと奮闘する。

サブタイトル一覧

サブタイトル 掲載日 備考
三つ目登場 1974年7月7日号
赤い案内書 1974年8月11日号
魔法産院 1974年9月15日号
酒船石奇談 1974年10月13日号
寿命院邸の地下牢 1974年11月10日号
三角錐コネクション 1974年12月8日号
文福登場 1975年1月19+26日号 - 2月16日号 単行本未収録
三つ目族の謎編 1975年2月23日号 - 5月25日号 長編
グリーブの秘密編 1975年6月1日号 - 8月24日号 長編
めおと岩がくっついた 1975年8月31日号
キャンプに蛇がやってきた 1975年9月7日号・9月14日号
王者の剣 1975年9月28日号
円盤騒ぎ 1975年10月5日号
オハグロ沼の怪物 1975年10月12日号
怪植物ボルボック編 1975年10月19日号 - 1976年3月7日号 長編
貝塚の怪 1976年3月14日号
文福脱走 1976年3月21日号
墓あらし 1976年3月28日号
カンニング 1976年4月4日号
七蛇寺の七ふしぎ 1976年4月11日号 単行本未収録
暗黒街 1976年4月18日号
神々の食糧 1976年4月25日号
ガイコツ・ショー 1976年5月2日号
タワーリング・ミラクル 1976年5月9日号
わんわん物語 1976年5月16日号
カオスの壷 1976年5月23日号 単行本未収録
魔術師 1976年5月30日号・6月6日号
給食 1976年6月13日号 単行本未収録
復活の谷 1976年6月20日号
猪鹿中学 1976年6月27日号 単行本未収録
長耳族 1976年7月4日号 単行本未収録
イースター島航海編 1976年7月25日号 - 12月26日号 長編
舌を出すな! 1977年1月2日号 単行本未収録
ナゾの浮遊物 1977年1月9日号
ビバゴン現わる! 1977年1月16+23日号
古代王子ゴダル編 1977年1月30日号 - 4月24日号 長編
地下の都編 1977年5月1日号 - 1977年7月10日号 長編
親子車 1977年7月17日号
怪鳥モア編 1977年8月7日号 - 1978年1月15日号 長編
石の玉 1978年1月29日号
メダルの謎 1978年2月12日号 単行本未収録
スキャンダル 1978年2月19日号 単行本未収録
浦島太郎の遺産 1978年2月26日号
イカヅチ山が泣いている 1978年3月12日号
スマッシュでさよなら 1978年3月19日号

登場人物

主要人物

写楽 保介(しゃらく ほうすけ)
声 - 藤田淑子(24時間テレビ版)、伊倉一恵(テレビ東京版)、田中真弓(まんがビデオ版)[3]
本編の主人公。「第三の目」と呼ばれる感覚器官を額に戴く三つ目族の最後の生き残り。「第三の目」にバンソウコを貼られている状態では知能が幼稚園児並だが、ひとたび第三の目があらわになると、世人を凌駕する知能とサイコキネシスを操れるようになり、性格も攻撃的に変化する。また、「アブトル・ダムラル・オムニス・ノムニス・ベル・エス・ホリマク われとともり来たり われとともに滅ぶべし[4]」と呪文を唱えることで、メカを作動させたり、武器である「赤いコンドル」を呼び寄せたりすることができる。他に、古代文字を容易く解読したり、ガラクタから超科学的なメカを生み出したりする能力もある。前述の通り名前はシャーロック・ホームズに因むものであり、東洲斎写楽とは基本的に関係がない[5]。造形はルーニー・テューンズのエルマー・ファッドから取っている[6]。原作では途中で「猪鹿(いのしか)中学」に転校しているが、転校の際のエピソードは単行本から省かれているため有耶無耶になっている。
和登 千代子(わと ちよこ)
声 - 高島雅羅(24時間テレビ版)、松井菜桜子(テレビ東京版)、横山智佐(まんがビデオ版)[3]
写楽保介と同じ学校に通う同級生であり、寺の一人娘である。三つ目になった写楽に魅力を感じ、バンソウコを貼った彼に何かと世話を焼く。「ボク」という一人称を使ったり、体育会系の生徒を十把一絡げになぎ倒したりと男勝りな性格である。原作では写楽に対してヒロインのような立ち位置で描かれることもあったが、アニメでは写楽の保護者としての側面が強い。作中で「わとさん」と呼ばれるように名前はシャーロック・ホームズのジョン・H・ワトスンから。
犬持(けんもち)医師
声 - 岸野一彦(24時間テレビ版)、嶋俊介(テレビ東京版)
写楽の養父である医師。写楽の亡き母親から、赤子の写楽を預かり育ててきた。写楽が普通の男の子として成長することを願い、彼の「第三の目」があらわにならないよう常に気を使っている。三つ目の写楽は犬持の物言いに反抗するが、犬持を父親として認めている所もある。アニメ版では大学の考古学教授であり、古代文明の中でも特に三つ目族の研究を専門に行っている。
須武田(すぶた)博士
声 - 田中康郎
大学の考古学教授。犬持の親友で、古代文明の研究をしている。考古学に関しては利己的な所があり、犬持の反対を押し切って写楽のバンソウコを剥がし研究に協力させようとする。テレビ東京のアニメには登場せず、犬持がその役割を果たしている[7]
雲名(うんめい)警部
声 - 熊倉一雄(24時間テレビ版)、玄田哲章(テレビ東京版パイロットフィルム)、石塚運昇(テレビ東京版)
ベートーベン似の刑事。なぜか写楽がらみの事件をよく担当する。イースター島航海編では写楽との航海に付き合わされる羽目になる。自称「捜査界の学聖」(楽聖のもじり)。ベートーヴェンよろしく「私は不幸だ!」が口癖。アニメ版ではヒゲオヤジとは犬猿の仲で、「へっぽこ警部」と呼ばれる。意外と腕は立ち、また推理も意外と正鵠を射ているところもある。ただし毎回の用に不幸な目に遭わされる。
ヒゲオヤジ
声 - 八奈見乗児(24時間テレビ版)、緒方賢一(テレビ東京版)
写楽が住み込みで働いている中華料理屋(もしくはラーメン屋)「来々軒(らいらいけん)」の店長。犬持同様写楽の言動に手を焼いている。江戸っ子風の熱血漢で自称「バカ田大学出」だが、意外に機転が利く一面を持つ。アニメでは犬持の旧友であり、犬持が研究出張時に写楽を預かるほどの仲である。

その他のキャラクター

写楽の母
名も知れぬ三つ目族の女性。犬持に写楽を託して去った直後、雷に頭部を砕かれ凄惨な死をとげる。なお、彼女が死の間際に着ていた服は犬持が保管しており、写楽にとって母親との絆を感じさせる大事な宝物となっている。
鬼胴 三郎[8](きどう さぶろう)
声 - 塩沢兼人(24時間テレビ版)、速水奨(テレビ東京版)
写楽と同じ学校に通う不良グループのリーダー。序盤で写楽を手ひどく苛めたため、写楽の作った機械で脳ミソをトコロテン(テレ東版アニメではラーメン)にされてしまうが、テレ東版アニメでは機械が「試作品」だったため回復し、その後もたびたび登場しては写楽達に因縁をつけている。
オサム
声 - 田野恵
アニメオリジナルキャラクターで写楽のクラスメート。顔つきは手塚治虫の自画像のそれである。
タカシ
声 - 石田彰
アニメオリジナルキャラクター。写楽のクラスメートで、オサムとコンビを組む。3話では未熟児のため入院していた妹のルミ子が騒ぎに巻き込まれる。
バンカラ
声 - 桜井敏治
アニメオリジナルキャラクター。本名は坂東唐三郎。柔道部の主将で、9話では人数合わせのために写楽たちを強制的に柔道部に入部させる。その後もたびたび登場し、13話では和登さんと共に写楽を窮地から救った。『ゴッドファーザーの息子』に登場の「明石」に酷似。
草井(くさい)
声 - 立木文彦
ニューカーク大学教授を名乗るが、実際は遺跡泥棒。盗堀した出土品をコレクションしている。『鉄腕アトム』などで悪党として名高い「スカンク草井」だが、『三つ目がとおる』ではアニメのみの登場である。
文福 福太郎(ぶんぶく ふくたろう)
声 - 屋良有作
写楽につきまとう謎の男。悪のりした写楽と結託することもある。ボサボサ髪が特徴。スカートめくりのクセのあるカラスのクロや、タヌキのようなのニコポン(原作のみ)を連れて手先に使っている。なお、彼の原作における初登場回「文福登場」は通常の単行本には収録されていない。アニメでは悪の組織デビルコンツェルンの一員。
ゴブリン伯爵(ゴブリンはくしゃく)
声 - 青野武
写楽のおじで、写楽の母親と面識があった。前頭部の大きなコブと、第三の目の痕跡も隠す特殊な形のサングラスが特徴。彼もまた三つ目族であるが、額の目は機能しておらず、その痕跡を残すのみである。そのためか彼には写楽のような超人的な能力が無く、代わりに写楽を利用して三つ目族の遺産を掘り出そうと企む。
マクベス
声 - 大友龍三郎
ゴブリンの手下の大男。力が強い反面ドジな所もある。
公卿(くぎょう)
声 - 佐々木望
琵琶湖湖底の墓所を守る墓守一族の末裔。アニメでは超能力を操るが、原作にはそのような描写は無い。
ガロン
声 - 石塚運昇
アニメオリジナルで、元は『魔神ガロン』などに登場する巨人。土木工事のために三つ目族が作ったが、その凶悪さゆえに解体され封印されていた。犬持教授らの復元作業により再びその姿を現し、街を破壊しはじめる。
吾平 / モエギ
声 - 天野由梨(モエギ)
ボルボックの手掛かりを知る人物。強烈な体臭や奇行ゆえに村人から相手にされず、兄の青玉にかくまわれている。アニメでは「モエギ」という少女に描き換えられており、最終回にも登場する。
パンドラ / ミスターマネー
声 - 横沢啓子(パンドラ)、井上和彦(ミスターマネー)
さまよえるオランダ人」を名乗る男装の麗人。写楽をイースター島への航海に誘う。絶滅しかかっていたポキ族を発見し、調教して手先とした。長耳族の子孫を自称し、宿敵である三つ目族の子孫であるとして日本人を憎む。『悪魔島のプリンス』ではヒトラーの孫にしてネオナチのリーダーであり、テレ東のアニメではミスターマネーという男性に描き換えられている。
ポゴ
声 - 深雪さなえ
ポキ族の長であるメスで、簡単な人語を解する。写楽を慕っており、写楽の手助けをする。ポキ族とは猿人と人類の中間に位置する種族(ミッシングリンク)。パンドラ(アニメではミスターマネー)が彼らを調教し、手先に使う。
ゴダル
声 - 伊倉一恵
レムリア王国の王子で、その姿は写楽に瓜二つ。超能力や呪術に長け、しかも残虐非道な性格だが、シグアナ姫に頭が上がらず、「ホア・カバリ・キルマ」の術で魂が体から離れたすきにシグアナ姫によって体を溶かされてしまう。以来4千5百年の間壷の中に魂が封じられてきたが、壷に近付いた和登さんに乗り移って再び体を得る。しかし2つ目の体では最大限の力が発揮できないため、三つ目族の体を求め、表向き写楽に協力しつつ写楽の体に乗り移る機をさぐる。
シグアナ姫
声 - 松井菜桜子
和登と瓜二つの古代人。ゴダルによって滅ぼされたウル王国の王女で、ゴダルを尻に敷き、ついにはゴダルの肉体を溶かし魂を壷の中に封じる。
マヌイ
声 - 鷹森淑乃
地下の都で写楽が出会った縄文時代の巫女。古代に噴火した富士山を鎮めようと人柱になったが、写楽にはその姿を感じとることができた。
エビラ
声 - 片岡富枝
マヌイに仕える従者で弓の使い手。土偶のような体形をしている。
モア
声 - 大谷育江安達忍
史実ではニュージーランドに生息した飛べない巨鳥だが(モアを参照)、本作では尻からガスを噴射し、ロケットのように飛ぶことが出来る。危機を悟った親鳥(声:滝沢ロコ)から写楽が卵を託され、孵化させる。アニメでは中盤に登場し、マスコットとして長く活躍した。
ガンケット、アロンゾ、ブッチャー
声 - 金尾哲夫(ガンケット)、森利也(アロンゾ)、安西正弘・桜井敏治(ブッチャー)
アニメオリジナルキャラクターで、ブラッドリーの手下のトリオ。悪の組織デビルコンツェルンのボス・ブッチャーの命令で、復活させたモアを追って日本にやってくる。アロンゾは吹き矢で毒針を飛ばし、大太りのブッチャーはブーメランを投げ飛ばすのが得意。ガンケットは『ブラック・ジャック』の「ドクター・キリコ」から、アロンゾは手塚作品によく登場する「ハム・エッグ」からそれぞれ容姿を流用している。
ケツアル
声 - 谷口節
メキシコ人の殺し屋。モアの始末を請け負う。名は「ケツァルコアトル」に因む。
ペペ
声 - 辻村真人
メキシコ人。酒に溺れている。写楽とモアをケツアルに売り飛ばそうとするが、写楽の純真さにふれて考えを改める。
セリーナ
声 - 松井菜桜子
ペペの娘で和登と瓜二つの容姿をもつ。原作では彼女の正体は写楽と同じ三つ目族であったことが明かされるが、アニメ版では三つ目族との関係はない。
ヘパトーム / ブラッドリー
声 - 島香裕(ブラッドリー)
ケツアルの依頼人。第二次大戦時にSSに所属しており、トルテカ人の財宝を利用してナチスの復活を目論んでいる。アニメでは容姿はそのままにブラッドリーという人物に置き換えられており、悪の組織デビルコンツェルンのボスとされている。

作品の改編等について

他の手塚作品にも見られるように、本作も単行本化に際して加筆・改編が行われている。特に連載前半における修正が多く、掲載時には切れ目の無い一連のストーリーとして描かれていたものが、単行本では1冊ないし2冊に収まるようにまとめられた。そのために、雑誌連載版で描かれながらも省かれたエピソードも存在する。グリーブ編の改編は特に顕著であり、雑誌連載版からの改編だけでなく、講談社コミック(KC)版と講談社コミックスペシャル(KCSP)版以降の単行本でもそれぞれ結末が異なっている。また当初は単行本に収められなかった短編も複数あった。

『手塚治虫漫画全集』の刊行に当たっては、当時6巻まで発売されていた講談社コミックス(KC)版を打ち切りにし、その続きから優先して全集に収録されることになった。このため全集への収録順序は連載時の順序と大きく異なるものとなるが『講談社コミックスペシャル(KCSP)』 以降の版では本来の順に戻されている。

単行本未収録話については、ファンからの要望を受け、2003年に講談社プラチナコミック版(コンビニコミック)に収録、2008年1月には講談社漫画文庫より「三つ目がとおる秘蔵短編集」として単行本未収録話を全て収録し発売。

  • 講談社コミックス(KC) 全6巻
  • 講談社コミックスペシャル(KCSP) 全8巻
  • 手塚治虫漫画全集 全13巻
  • 講談社漫画文庫 全8巻
  • 講談社コミックスグランドコレクション 全8巻
  • 講談社プラチナコミック 全14巻
  • 手塚治虫文庫全集 全7巻

2007年4月からスタートした「手塚治虫オンデマンドマガジン」サービスでは、単行本未収録話を含む全エピソードの中から自分で選んで単行本化することができるようになった。

アニメ

24時間テレビ版

『悪魔島のプリンス 三つ目がとおる』と題された本作は、1985年8月に日本テレビの『24時間テレビ』内で放送された。手塚治虫のシノプシスに基づいて東映動画(現:東映アニメーション)が製作した。ストーリーは原作のイースター島航海編をベースにしているが、ネオナチが登場するなどオリジナル色も強い。

長らくソフト化の機会に恵まれなかったが、アニメ映画『手塚治虫のブッダ』の公開を記念し、2011年5月21日にDVDが発売された。(ただし諸般の事情により、本編を一部編集したバージョンとなる)

スタッフ

テレビ東京版

テレビ東京系列で1990年10月18日から1991年9月26日まで放送、原作をベースとした手塚プロダクション制作の連続アニメーションシリーズ。全48話。手塚の没後初めて製作された手塚アニメである。原作にあった残酷な描写やエロティックなサービスカットは極力控えられ、より低年齢向けになっている。ラストは原作とは異なり、パワーアップした怪植物スーパーボルボックとの対決で終わる。尚、福岡県ではTXN九州開局後分のみ放送され、91年3月以前の分は既存4局でも放送されていない。他のアニメについても、同様の措置がほとんどとられている。

スタッフ

  • 原作 - 手塚治虫
  • 企画 - 後藤田進(日本経済社)、古岡秀樹(学習研究社)、松谷孝征(手塚プロダクション)
  • シリーズ構成 - 関島眞頼
  • 総作画監督・キャラクターデザイン - 宇田川一彦
  • メカニックデザイン - 山根公利
  • 色彩設定 - 佐久間クミ子
  • 美術監督 - 岡田和夫
  • 撮影監督 - 白井久男
  • 音響監督 - 加藤敏東北新社
  • 音楽 - 渡辺俊幸(選曲 - 合田豊)
  • 監督 - うえだひでひと
  • プロデューサー - 小長光信(テレビ東京)、荒井俊茂(日本経済社)、大西邦明(学習研究社)
  • 製作 - テレビ東京、日本経済社、学習研究社、手塚プロダクション

主題歌

オープニングテーマ
『? (はてな)のブーメラン』
作詞 - 青木久美子 / 作曲 - 小杉保夫 / 編曲 - 信田かずお / 歌 - 徳垣とも子
※2004年にアニメ『ふたりはプリキュア』が放送された際、同作品のオープニングテーマ『DANZEN! ふたりはプリキュア』が『?(はてな)のブーメラン』に酷似していることが注目された。これは両曲の作詞と作曲の担当者がそれぞれ同一人物だったため起こった事である。
エンディングテーマ
『ちょっと魔法でばんそうこ』(1話 - 47話)
作詞 - 冬杜花代子 / 作曲 - つのごうじ / 編曲 - 信田かずお / 歌 - 中島安名(コーラス - つのごうじ、ヤング・フレッシュ
『FRIEND』(48話)
作詞 - 青木久美子 / 作曲 - 小杉保夫 / 編曲 - 牧野三朗 / 歌 - CHIEMY

各話リスト

話数 サブタイトル 脚本 コンテ 演出 原作話タイトル
1 三つ目登場 ボクが写楽だ 山下久仁明
関島眞頼
うえだひでひと 広嶋秀樹 赤い案内書
2 ラーメン戦争!怒りの一撃 山下久仁明 芦沢剛史 三つ目登場
3 かわいい赤ちゃんは侵略者 中弘子 吉田健次郎 魔法産院
4 迷子のUFOをさがせ 荒川稔久 望月敬一郎 円盤騒ぎ
5 ハイテク暴走車を追え 早川正 横山広行 松見真一 親子車
6 美少女はヘビの使い? 岸間信明 うえだひでひと 広嶋秀樹 キャンプに蛇がやってきた
7 のっとられた写楽 影山由美 芦沢剛史 メダルの謎
8 三つ目イヌ誕生 中弘子 五月女有作 わんわん物語
9 三つ岩山の秘密 山下久仁明 しのだよしの 望月敬一郎 (オリジナル)
10 うそ!?写楽が悪魔 岸間信明 生頼昭憲 暗黒街
11 守れ!ボクの宝物 山下久仁明 松見真一 地下の都編
12 守れ!地下の都 早川正 芦沢剛史
13 守れ!第三の目 関島眞頼 うえだひでひと 広嶋秀樹
14 爆発!宇宙パワー 中弘子 横山広行 吉村文宏 三角錐コネクション
15 超能力VS超魔術 荒川稔久 望月敬一郎 魔術師
16 発見!伝説の怪物 影山由美 生頼昭憲 オハグロ沼の怪物
17 受験戦争と平和!? 山下久仁明 横山広行 松見真一 カンニング
18 不思議鳥モア!! 岸間信明 石山タカ明 芹沢剛史 怪鳥モア編
19 古代魔神めざめる 早川正 うえだひでひと 広嶋秀樹 (オリジナル)
20 心を開け古代魔神 中弘子 望月敬一郎
21 321 ドカーン 岸間信明 松見真一 貝塚の怪
22 怪盗オズマの挑戦 早川正 藤みねお 芦沢剛史 (オリジナル)
23 三つ目族の謎 古代からの使者 中弘子 石山タカ明 広嶋秀樹 三つ目族の謎編
24 三つ目族の謎 湖底に眠るひみつ 荒川稔久 望月敬一郎
25 三つ目族の謎 財宝をさがし出せ 岸間信明 五月女有作 吉村文宏
26 三つ目族の謎 秘められた使命 影山由美 しのだよしの 芦沢剛史
27 不思議の国の写楽 岸間信明 石山タカ明 松見真一 カオスの壷
28 悪党文福あらわる 早川正 望月敬一郎 文福登場
29 古代王子ゴダル もう一人の写楽 山下久仁明 うえだひでひと 広嶋秀樹 古代王子ゴダル編
30 古代王子ゴダル 最終兵器を探せ! 中弘子 しのだよしの 芦沢剛史
31 古代王子ゴダル 始動せよ!ゴモラ 影山由美 松見真一
32 古代王子ゴダル 地球乗っ取り計画 岸間信明 望月敬一郎
33 古代王子ゴダル 魂を取り戻せ! 山下久仁明 石山タカ明 広嶋秀樹
34 文福再びあらわる 早川正 横山広行 松見真一 文福脱走
35 怪植物ボルボック 出現!七本の柱 中弘子 うえだひでひと 高田淳 怪植物ボルボック編
36 怪植物ボルボック 不思議少女モエギ 影山由美 しのだよしの 芦沢剛史
37 怪植物ボルボック 地底にひそむ影 岸間信明 五月女有作 松見真一
38 怪植物ボルボック 動き出した大地 荒川稔久 望月敬一郎
39 怪植物ボルボック 決戦!写楽VSボルボック 中弘子 横山広行 広嶋秀樹
40 イースター島航海 サルが喋った! 山下久仁明 望月敬一郎 芦沢剛史 イースター島航海編
41 イースター島航海 上陸!悪魔の住む島 松見真一
42 イースター島航海 結婚?ポゴと写楽 石山タカ明 望月敬一郎
43 イースター島航海 さようなら、ポゴ うえだひでひと 広嶋秀樹
44 狙われたモア! 荒川稔久 しのだよしの 芹沢剛史 怪鳥モア編
45 メキシコ上空大バトル 中弘子 横山広行 松見真一
46 モア暗殺計画 岸間信明 石山タカ明 望月敬一郎
47 復活!スーパーボルボック 早川正 五月女有作 (オリジナル)
48 明日への誓い 関島眞頼 うえだひでひと 高田淳

ネット局

まんがビデオ

1991年11月に日立マクセル、アートポートから『まんがビデオ 三つ目がとおる』というVHSのビデオソフトが8800円で発売。三つ目族の謎編の漫画原稿を撮影した映像に声と効果音をつけたもの。声の出演は、田中真弓、横山智佐、北村弘一有本欽隆緒方賢一立木文彦。監督は香川真吾。87分[3]

小説

ゲーム

コラボ作品

Peeping Life -手塚プロ・タツノコプロワンダーランド- 』
2013年に『Peeping Life』と手塚プロ&タツノコプロとのコラボレーションアニメを放送。

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:前後番組

テンプレート:手塚治虫 テンプレート:24時間テレビ 「愛は地球を救う」アニメ テンプレート:芹川有吾監督作品

テンプレート:講談社漫画賞少年部門
  1. 1.0 1.1 二階堂黎人 『僕らが愛した手塚治虫』《激動編》、原書房、2012年、266頁。ISBN 9784562047550
  2. 2.0 2.1 池田啓晶 『手塚治虫キャラクター図鑑 第5巻』 朝日新聞社、1998年、10頁。ISBN 9784023302242
  3. 3.0 3.1 3.2 『アニメソフト総合カタログ2001』日之出出版、2001年、p.367
  4. アニメでは「〜ホリマク」のあとに「来たれ、赤いコンドルよ」と続く
  5. アニメではアイキャッチに写楽の大首絵などがモチーフとして使われ、「わんわん物語」(アニメ第8話「三つ目イヌ誕生」)では「写楽」に対して、三つ目に改造された犬「ホクサイ」(声:大谷育江)が登場する。
  6. 全集の後書きで手塚本人が書いている。
  7. パイロットフィルム紹介では一度だけ姿を現している。
  8. アニメでは単に「鬼胴」。