天空の城ラピュタ
『天空の城ラピュタ』(てんくうのしろラピュタ)は、スタジオジブリ制作の宮崎駿監督の長編アニメーション作品。1986年8月2日から東映洋画系の103館で公開された[1]。同時上映作品は、テレビアニメ『名探偵ホームズ』で宮崎駿が監督した『ミセス・ハドソン人質事件』と『ドーバー海峡の大空中戦!』。
目次
概要
宮崎にとって、原作となる作品が存在しない初のアニメオリジナルの監督作品である[2]。製作は徳間書店。スタジオジブリ制作映画の1作品目となる。次第に高年齢向けになっていくアニメに対して、マンガ映画の復活を目標に小学生を対象に古典的な冒険活劇として企画され、それが結果的に大人の鑑賞に耐えうる作品になるというのが宮崎の方針であった[3]。音楽は冒険活劇ということから宇崎竜童に決定していたが、プロデューサーの高畑勲の再考により『風の谷のナウシカ』の久石譲が続投することになった[4]。配給した東映による観客満足度調査は97.7%と高く[5]、物語は幅広い年齢層に支持され、ビデオ販売は好調であった。
「ラピュタ」という名称はスウィフトの『ガリヴァー旅行記』に登場する、空を飛ぶ島にある王国「ラピュタ王国(en:Laputa)」からとったもの。劇中に空飛ぶ島の物語を空想した人物としてスウィフトの名前も出てくるが、名前の借用以外は『ガリヴァー旅行記』との関連はない。19世紀後半、産業革命期のヨーロッパを元にした架空世界での冒険を描く。
あらすじ
ある夜、飛行中の飛行客船を、海賊ドーラ一家が襲撃する。政府特務機関に捕らわれ客船に乗っていた少女シータは、混乱に紛れて特務機関の指揮官であるムスカ大佐を気絶させると、彼の懐から青い石のペンダントを取り返す。窓を伝って逃げようとするが、賊に見つかり、驚いた拍子にシータは客船から転落してしまう。雲間を落ちていく中、気を失った彼女の胸にかかっていたペンダントの青い石が突然光を放ち、シータは光に包まれゆっくりと降下していった。
鉱山町で働く少年パズーは、青い光とともに空からゆっくりと降りてきたシータを助け、自宅にかくまう。一夜明け、パズーはシータの行方を追うドーラ一家や特務機関からシータを守り逃走を図る。パズーの亡父は冒険家だったが、かつて、空に浮かぶ城「ラピュタ」を見たという。そこにはラピュタ人(びと)が住むといわれている。やがてシータがそのラピュタ人の子孫であること、シータ が持っているペンダントの石は「飛行石」(ラピュタ人が使っていたといわれる伝説の石)であることを知るに至って、パズーはラピュタの実在を確信する。だが、その直後に軍隊に見つかり、2人は捕らわれてしまう。
シータを再び捕らえたムスカは、シータを軍の要塞に幽閉し、彼女にかつて空から落ちてきたという壊れたロボットを見せ、シータがラピュタ王家の末裔である事を伝えると、パズーの命と引き換えにラピュタ到達への協力を迫る。失意のうちに解放されたパズーだが、自宅で待ち受けていたドーラ一家と鉢合わせし、シータ奪還のために彼等に協力する事を決める。
その頃、幽閉された要塞の自室で回想に浸っていたシータが、祖母から教わったラピュタ語の「困った時のおまじない」をふと口にすると、飛行石は強い光を発し、ラピュタの方角を指し示す。同時に機能停止していたロボットが目覚め、暴れだした。騒ぎの中、パズー達はシータを奪還するが、シータは飛行石を落としてしまう。石を手に入れたムスカは、軍隊とともに空中戦艦ゴリアテでラピュタ捜索に飛び立ち、それを追って、パズーとシータを乗せたドーラ一家の飛行船タイガーモス号もラピュタへ向かう。
道中で遭遇したゴリアテの攻撃を受け、見張り用の凧に乗っていたシータとパズーはドーラ達とはぐれてしまうが、ラピュタを覆う雷雲に呑まれながらもラピュタの空中庭園にたどり着く。ラピュタを回っている内、パズーたちは雷雲の消滅を突いてラピュタに進入してきた軍隊に遭遇、同じくラピュタに不時着したドーラ一家が捕まったことを知り、ドーラ一家を助けようと試みる。しかしその途中、危機に陥ったパズーを救おうとしたシータはムスカに捕らわれてしまい、ムスカはシータを連れてラピュタ中枢部に向かう。パズーはドーラ一家の縄を解き、シータ救出に向かう。この頃軍隊もムスカの裏切りを知り、全軍を挙げてムスカ討伐に動く。ラピュタの力の根源である巨大な飛行石がある中枢部に到達したムスカは、自らもラピュタ王家の末裔であると明かし、ラピュタの科学力を武器にラピュタ復活を宣言する。
ラピュタの兵器を操り将軍を殺害し、さらに兵達を虐殺するムスカから飛行石を奪い取ったシータはパズーと合流。追ってきたムスカに追い詰められた二人は、シータが教わっていた「滅びの呪文」を叫ぶ。飛行石のペンダントは激しい光を放ち、ラピュタは崩壊しムスカも瓦礫に飲み込まれていった。ラピュタの力の源である巨大な飛行石は、周囲を囲む巨大な樹に包まれ天高く昇っていった。
先に脱出していたドーラ一家と再会後、シータとパズーは彼らに別れを告げて去っていった。
登場人物
※声の記述は、日本版/ディズニー英語版の順で表記
- パズー (Pazu)
- 声 - 田中真弓/ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク
- 主人公。スラッグ渓谷の鉱山で働く見習い機械工で、明るく元気いっぱいで正義感と行動力あふれる10代前半の少年。両親の残した家で一人暮らしをしている、天涯孤独。ラピュタの発見に関して詐欺師の汚名を着せられたまま死んだ父のため、自作の飛行機(オーニソプター)でラピュタの実在を証明することを夢見る。
- シータと出会ったことで、飛行石を狙っていたドーラ一家に入り、ラピュタを巡る冒険の旅へと出る。体は頑丈で、視力も良い。日の出と共にトランペットで『ハトと少年(スラッグ渓谷の朝)』を演奏し、飼っている鳩に餌をやるのが日課。ドーラ一家に迎え入れられた際に、その鳩達を全て逃がしている。
- 小説版のラストではラピュタでの一件の後、シータとは別々に暮らし、彼女とは文通をしている。
- シータ (Princess Sheeta) / リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ
- 声 - 横沢啓子/アンナ・パキン
- ヒロイン。はるか北方にあるゴンドアの谷に住んでいる。ラピュタを狙うムスカの特務機関に拉致され、飛行船で運ばれているところ、ドーラ一家の襲撃に遭い、逃げ出そうとして飛行船から転落、パズーに匿われることになる。
- 10代前半。長い黒髪を二本の三つ編みおさげにし、先祖秘伝の飛行石のペンダントを首から提げている。実はラピュタ王家の末裔で、トエル・ウル・ラピュタとは「真のラピュタ王」を意味する先祖から受け継いだ秘密の本名。山育ちで、視力は良い。彼女も天涯孤独であり、両親や祖母の残した畑やヤクを飼って生活していた。
- 家事全般が得意。名の由来は、宮崎自身が学生時代に書いた人形劇のヒロインであるシータ(ギリシャ文字のθ)から[6]。構想段階では、シータも海賊の娘であり、風の谷のナウシカ(ワイド版)同様、シータの命によってロボット兵がラピュタを破壊するラストシーンにする予定であった。
- 小説版のラストではラピュタでの一件の後、パズーとは別々に暮らし、彼とは文通をしている。
空中海賊「ドーラ一家」
- マ=ドーラ (Captain Dola)
- 声 - 初井言榮/クロリス・リーチマン
- 空中海賊「ドーラ一家」の女頭領にして、タイガーモス号の船長。50代。頭脳明晰かつ決断力に富み、三人の息子や子分たち以上の健脚で、「女は度胸だ」と危険にも果敢に飛び込む胆力の持ち主。当初は高価と踏んだ飛行石のみを追い求めていたが、パズーの証言や政府の動きからラピュタ実在を確信し、軍に先んじてラピュタの財宝を手に入れることを目論む。飛行石を稼働させる鍵となるシータと、彼女を助けたパズーを追い回すが、後に2人をタイガーモス号に仲間として受け入れ、よき理解者となる。亡き夫は天才的な発明家だったらしく、現在海賊内で使われている道具の殆どは夫の遺品。元々、亡夫は誘拐同然に連れて来られて海賊稼業に入ったという。劇中では、軍が飛行戦艦を呼び寄せる無線暗号を「ANGO」というタイトルの本で解読しており、東洋の計算機と称してそろばん を使いこなして航法計算をしている。映画版では、タイガーモス号の私室に掲げた若かりし頃の肖像画を見ることができる。
- シャルル (Charles)
- 声 - 神山卓三/マイケル・マクシェーン
- ドーラの長男で、30代。豊かな髭をたくわえた大男で、ダッフィーと力比べを繰り広げた。胸筋を膨らませてシャツの前を吹き飛ばすことができる。プディングが好き。
- ルイ (Louis)
- 声 - 安原義人/マンディ・パティンキン
- ドーラの次男で、20代。ちょび髭を生やしている。ドーラ一家の中で真っ先にシータに惚れた。ミンス・ミートパイが好き。
- アンリ (Henri)
- 声 - 亀山助清/アンディ・ディック
- ドーラの三男で、20代。タイガーモス号の操縦を務めており、あまり表に出ない。帽子を被っていると目が隠れる。三兄弟の中で唯一髭が無く、頬にそばかすがある。シータに好物をリクエストする際、迷った末「なんでも食う!」と言った。
- 兄弟の名前の由来はフランス王から。三人とも母親ドーラには頭が上がらないマザコンでもある。
- ハラ・モトロ
- 声 - 槐柳二
- タイガーモス号のベテラン技師。通称じっちゃん。ドーラからは「クソジジイ」呼ばわりされることも。ドーラの父の代からいる部下。船内では唯一ドーラと対等な口が聞ける人物でもあり、信頼は厚い。助手を欲しがっている所にあてがわれたパズーを可愛がっている。
- EDでは「老技師」とクレジットされている。
- カ、キ、ク、ケ、コ
- タイガーモス号で働くドーラの部下たち。アニメ版では名前は出てこなかったが、小説版にて名前が出る。カタカナ一文字であるため仮名と思われる。ポルトガル人のカ、エジプト人のキ、中国人のク、日本人のケ、セネガル人のコの5名がいる。ルイより先に調理室でイモの皮むきをして、最初にシチューのおかわりをしたのはコ、シャルルに似て髭が豊かなのがカ、眼帯を付けているのがキ、調理室ですりこ木を廻しているのがケ、「ルイ、女の子の服だ」と叫んだのがクである。
政府・軍の関係者
- ムスカ (Colonel Muska) / ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ
- 声 - 寺田農/マーク・ハミル
- 政府から派遣された特務機関の指揮官で、大佐。また、軍隊や特務機関の制式銃らしき中折れ式リボルバー拳銃を愛用している[7]。表向きは慇懃な口調で紳士的に振舞うが、目的の為には手段を選ばず、部下や味方も次々と見捨てて行動する冷血漢である。ラピュタの存在を知ってから城の持つ強大な力に魅せられ、新たな王としてラピュタに君臨し、地上を支配しようと企む恐るべき野心家である。
- 後者が本名であり、地上に降りたときシータの家系から分家した筋の末裔。彼の家は飛行石を受け継いだシータの家系とは別に古文書を受け継いでおり、劇中では古文書の写しを入れた手帳を持ち歩いている。ラピュタ全体を一時制御下に置き帝国の復活を宣言するが、パズーとシータが唱えた「滅びの言葉」によってラピュタは崩壊し、その際に飛行石から発せられた強烈な光で目がつぶされ視力を失ったまま、崩壊するラピュタと運命を共にした。
- 当初ムスカ役の声優は根津甚八に依頼されていたが、本人に断られ、同時期にTV放映されていた『ブレードランナー』において、ロイ・バッティ(ルトガー・ハウアー)の吹き替えを演じていた寺田農に依頼された[8]。
- モウロ将軍
- 声 - 永井一郎/ジム・カミングス
- ラピュタ探索の指揮をとる軍人。小説によると、ティディス要塞の司令官で中将。行政管轄権も持っている(※要塞そのものが僻地にあるため、現状に不満を抱いている)が、無線通信をドーラに傍受されて飛行客船を襲われたり、ムスカに主導権を奪われたりした。作戦行動時は自ら先頭に立って突き進むタイプで、部下からの信頼はそれなりに厚い様子。また、諜報機関に属し、政府の密命を盾に作戦に介入するムスカを快く思っていない。ムスカの情報によってラピュタを発見し上陸に成功したものの、財宝に目が眩んでいる間に本性を現わしたムスカに裏切られ、ゴリアテの通信機器を破壊される。激怒した彼はムスカを勾留しようとしたが、逆に罠にはめられラピュタ下部に誘導されて、そこで周囲にいた部下共々ムスカによって海に放り出され死亡する。その後、生き延びた部下達が指揮官不在の中、ゴリアテで一矢報いようとするもロボットの攻撃で撃沈され、彼等も燃え落ちて全滅した。
- 作中では専ら「閣下」と呼ばれ、EDでは将軍としかクレジットされておらず、モウロの名は設定資料上でしか出てこない。
- 黒眼鏡(特務機関員)
- 声 - 大塚芳忠、菅原正志
- ムスカに忠実に従う部下。飛行船では3人、シータを捕えたティディス要塞では4人が登場し、ラピュタまで同行したのは2人であったが、ラピュタの黒い半球状の構造体の中でムスカに置き去りにされる。その後、ムスカが構造体を稼働させたのに巻き込まれ弾き飛ばされ死亡した。
スラッグ渓谷
- ポム
- 声 - 常田富士男/リチャード・ダイサード
- ドーラ一家と軍から逃れるため、廃坑内を歩いていたパズーとシータのもとに現れた老人。パズーとは面識があり、慕われている。鉱物に詳しく、鉱石の状態変化を「石たちの声」と称し、廃坑の中をさまよい歩くことを楽しんでいる。飛行石についての情報や「石が騒いでいるのは上空にラピュタが来ているから」という言い伝えをパズーとシータに提供し、廃坑から抜け出す道を案内してくれた。モデルは森康二と近藤喜文[9]。
- ダッフィー
- 声 - 糸博/ジョン・ホスティター
- 鉱山夫で、パズーの親方。態度は荒っぽいが、パズーを何かと気にかける仁義に篤い男。海賊相手にも怯むことなく応対するが、妻には頭が上がらない様子。ドーラ一家の力自慢シャルルと互角の殴り合いを演じた。
- おかみさん
- 声 - 鷲尾真知子
- ダッフィーの妻。度胸があり肝も据わっている。パズーを息子として可愛がっている様子。
- マッジ (Madge)
- 声 - TARAKO
- ダッフィー夫妻の娘。パズーとも仲が良いらしく、パズーの家に遊びに行くこともある。ティディス要塞から帰ってきたパズーを最初に発見した。
- 軽便鉄道の機関士
- 声 - 西村知道/マット・K・ミラー
- 高架鉄道を運転し、ドーラ一家や軍隊に追われる、パズーとシータを助ける老機関士。運転している機関車も相当の老朽車輌。パズーとシータを銃で狙った特務機関員と軍人を機関車の水蒸気で妨害する。
その他
- シータの祖母
- 声 - 鈴木れい子
- 故人。幼いシータに、おまじないとしてラピュタに関わる様々な呪文を教えた[10]。
- パズーの父
- 冒険飛行家で、「竜の巣」の雲の切れ間から「天空の城ラピュタ」を発見し、ラピュタの一部を写真に収めた。しかし、人々からはラピュタの存在を信じてもらえず、詐欺師の汚名を着せられたまま亡くなる。
主要兵器
- オートモービル
- ドーラ一家の車 序盤に登場 エクステリアがフォード・モデルT に類似してる
- タイガーモス号
- ドーラ一家が根城にしている空中母船。詳しくはタイガーモス号を参照。
全長(m) | 2.040 |
---|---|
全高(m) | 1.220 |
全幅(m) | 7.200(翼展開時) |
時速(km/h) | 0-111(0-60ノット)[11] |
最高速(km/h) | 182(下部ブースター使用時) |
航続距離(km) | 218(無風巡航時) |
- テンプレート:Visible anchor
- 電流で駆動する人工筋肉を用いて4枚の薄膜状の羽根を高速で動かし、浮上、飛行を行うオーニソプター(はばたき飛行機)。
- タイガーモス号と同様に海賊ドーラの亡き夫の発明品であり、ドーラ一家の活動には欠かせない飛行用具。機体前面は流線型の金属板で被覆されている。機体後部はオープンデッキになっており、そこに1人もしくは2人の乗員がフック付き安全帯で身体を機体につないで搭乗する。
- 羽根の可変ピッチと体重移動により、上昇、下降、前進、左右転回、空中停止を自在に行う。また、急旋回時には機体側面からパルス噴射の炎が噴き出す。羽根が高速で羽ばたいているため、高度を下げすぎたり、建造物や樹木に接近しすぎると、羽根が接触して墜落する危険がある。機体底部には加速用の引き込み式ブースターが装備されており、緊急時などに急加速が可能。ブースター点火の際は、羽ばたきが停止する。煙幕を放出する機能もある。劇場版では、発電用エンジンをクランクで回して起動させる描写がある。エンジンを止めてバッテリーを用いることで、最高速で約6分間の無音飛行が可能。
- ドーラ一家の母船タイガーモス号には翼を畳んだ状態で複数を搭載できる。機体を前後に連結した状態でも飛行できる。
- フラップターの登場場面には、久石譲がデビュー当時の作風であるミニマル・ミュージックの手法に基づいた音楽を手がけた(サントラ所収「ロボット兵(復活〜救出) 」)。
- ロボット
- ラピュタに配備されていた自律式ロボット兵器。そのうちの一体が機能停止状態で天空から落下してきた事が、政府がラピュタの調査を行うきっかけになった。機能を停止して「死んだ状態」と思われていたが、要塞に囚われていたシータが何気なしに呟いた「守りの言葉」に反応して再起動し、保管庫から動き出す。石壁や砲台の装甲すら溶断する光線兵器で要塞を火の海で包んだ。拳銃はもちろんのこと、小銃や機関銃の連射にも耐え、信管を抜かれた要塞砲榴弾が直撃し外板が激しく変形しても活動を継続できる耐久性があるが、ゴリアテの長砲身砲の砲撃により破壊された。
- 飛行石を持つ者の命令に従属し、彼らを守護するプログラムが組み込まれている。劇中では、材質が金属なのか粘土なのかもこの時代の人類の科学では分からないと表現されており、映画パンフレットには「形状記憶弾性セラミック製」と記されている。
- 胸部には2つの推進装置を持ち、両腕の骨組みの間に翼膜を形成して飛行することもできる。
- ロボットには種類があり、兵器の他に看護、園丁、侍従など様々な役目を持つロボットがいたとされる。また現在のラピュタでは、機能停止したロボットが野ざらし同然のままで朽ち果てているが、ムスカが各所に保管されていた健全なロボットを解き放った。
- フライシャー・スタジオ製作『スーパーマン』第2話「The Mechanical Monsters」(1941年)に登場した現金強奪ロボットがモデルとされる。また、宮崎が「照樹務」名で脚本と演出を担当したTVアニメ『ルパン三世』第155話「さらば愛しきルパンよ」に本作より先に登場しているが、首からプロペラが展開して飛行する方式になっていたり、双頭になった陸戦専用機が登場するなど細部が異なる。『ルパン』への登場はフライシャー版『スーパーマン』に対するオマージュとしてであった。宮崎は「気に入っていて一度テレビ(新・ルパン三世・最終話)で使ったんですが、どうも心残りがありまして今回もう一度、使ってみたんです」[12]と発言している。
- ゴリアテ
- 軍隊がラピュタ捜索のために使った飛行戦艦。劇中の字幕には「飛行戦艦」ではなく、「飛行船艦」と表示されている。また絵本では「空飛ぶ要塞」と呼ばれている。艦体各部のプロペラによって推進力を得ており、全体に主砲(小説版では125mm榴弾砲)、や速射砲、対空砲を備え、直撃すればロボット兵を破壊出来るだけの強大な火力を持つ他、艦底部にロケット艇を搭載している。ムスカとモウロ将軍一行が乗り、飛行石の示す道をたどってラピュタへ向かった。途中ドーラ一家の母船タイガーモス号を攻撃し大破させたがラピュタに到着後、軍を離反したムスカの操るラピュタに挑むも、ほとんどダメージを与えることができぬまま、ラピュタ底部から出撃したロボットの大群に撃沈された。
- 名前の由来は、『旧約聖書』に登場するペリシテ人の巨人「ゴリアテ」。小説によると、後に軍は「不慮の事故のために長期改修を余儀なくされた」という名目で時間を稼ぎつつ、密かに同型艦の建造に着手したとされている。
- 全長312m、全高82m、全幅84m、最高速度98ノット(約181km/h)、巡航速度58ノット(約107km/h)、航続距離16000km(無風巡航時)、乗員数360人。
- ロケット艇
- 政府が海賊に対抗して開発した中型飛行艇。ロケットのパルス噴射で飛行し、高い機動力を持つ。劇中ではシータとパズーを拉致する時に使われた。武装の有無は不明だが、機首に2門の機関砲らしきものを装備している。
- ラピュタ
- ラピュタ人が飛行石を用いて建造したとされる空中都市で、ラピュタ帝国の聖都。後にラピュタ人はラピュタを捨て地上に降りたが、ラピュタは飛行石の力で空に留まり、無人のままで空を回遊していた。ラピュタ人はラピュタに再び人が近づくことの無いよう「竜の巣」と呼ばれる巨大な低気圧の渦を作り、進入する事を困難にした。王家の証である飛行石の首飾りを持つ者が望んで近づくと竜の巣は消滅し、ラピュタは白日の下にその姿を現す。
- オープニングでは崩落前のラピュタの原型が描かれている。階層ごとに住まう人々の身分が分けられており、頂点に神殿、その下の第一層が聖なる光と天帝が住まう場所、その下の第二層が貴族、第三層はエデンの園、第四層は人民の住まう場所、最下部には聖都が地上にあった頃に使用されていたという閉鎖された巨大な門がある[13]。そしてラピュタ下部の黒い半球状の構造体の中には、王族のみが入れると言う中枢部が存在する。
- 中枢部には飛行石の巨大な結晶体があり、その部屋には「黒い石」と呼ばれる石版が置かれ、そこに飛行石の首飾りを翳す事でラピュタの各機能を制御できる。球体部分の底部からは七基の石柱が展開し、エネルギーを集束することで巨大な爆発を生む光弾を放つことができる。ムスカはこれを「ラピュタの雷(いかずち)」と称し、これこそが『旧約聖書』のソドムとゴモラを焼き払ったという「天の火」やラーマヤーナの「インドラの矢」だとも述べている。内部には多数のロボットも格納されており、発射口から投下して出撃させる。また、シータがムスカに追い掛けられるシーンにも腐敗したロボットが数体も並んでいた。
- 最後はパズーとシータの「滅びの呪文」(バルス)により崩壊し、上層部の内大樹に支えられた部分と巨大飛行石を残して、さらに高い高度へと飛び去って行った。 テレビ放映後、エンディングを見た子どもたちから「(大気のない)宇宙でキツネリス達はどうなるの?」という疑問が寄せられたが、ラピュタは宇宙空間までは上昇しておらず、空気のある高度で飛び続けていると説明された。ラストのスタッフロールシーンでも地上が俯瞰できる空中に留まっている。
声の出演
キャラクター | 日本語版 | ディズニー 英語版 |
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パズー | 田中真弓 | ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク |
シータ | 横沢啓子(現・よこざわけい子) | アンナ・パキン |
ドーラ | 初井言榮 | クロリス・リーチマン |
ムスカ | 寺田農 | マーク・ハミル |
モウロ将軍 | 永井一郎 | ジム・カミングス |
ポムじいさん | 常田富士男 | リチャード・ダイサート |
シャルル | 神山卓三 | マイケル・マクシェーン |
ルイ | 安原義人 | マンディ・パティンキン |
アンリ | 亀山助清 | アンディ・ディック |
老技師 | 槐柳二 | マット・K・ミラー |
親方 | 糸博 | ジョン・ホステッター |
おかみさん | 鷲尾真知子 | トレス・マクニール |
マッジ | TARAKO | デビ・デリーベリー |
シータの祖母 | 鈴木れい子 | |
軽便鉄道の機関士 | 西村知道 | マット・K・ミラー |
黒眼鏡(A) | 大塚芳忠 | |
黒眼鏡(B) | 菅原正志 | |
子分キ | 大滝進矢 | |
子分ク | 平井隆博 | |
子分ケ | 峰恵研 | |
子分コ | 菅原正志 | |
青い服の婦人 | 林原めぐみ | |
役名表記なし | 福士秀樹 古田信幸 田中和実 関俊彦 |
コーリー・バートン ジョン・ディマジオ スコット・メンヴィル エディ・フライアーソン アンドリュー・フィルポット スーザン・ヒックマン マイケル・ソリッチ |
スタッフ
- 原作・脚本・監督 - 宮崎駿
- プロデューサー - 高畑勲
- 製作 - 徳間康快
- 企画 - 山下辰巳、尾形英夫
- 音楽 - 久石譲
- 作画監督 - 丹内司
- 美術監督 - 野崎俊郎、山本二三
- 仕上・色指定 - 保田道世
- 撮影監督 - 高橋宏固(高橋プロダクション)
- 編集 - 瀬山武司
- 音響監督 - 斯波重治
- 原画頭 - 金田伊功
- 原画 - 遠藤正明、前田真宏、高坂希太郎、近藤勝也、名倉靖博、鍋島修、友永和秀 ほか
- 仕上げ - 見田竜介、ほか
- 演出助手 - 須藤典彦、飯田馬之介、木村哲
- 協力 - 株式会社電通
- 配給 - 東映株式会社
- 制作 - 原徹、スタジオジブリ
- 英語版演出・キャスティング・台本 - ジャック・フレッチャー
主題歌・イメージソング
- 『君をのせて』
- 作詞 - 宮崎駿 / 作曲 - 久石譲 / 編曲 - 富澤裕 / 歌 - 井上杏美(あずみ)(徳間ジャパン)
- 後に「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」などの主題歌、挿入歌を担当することになる井上のジブリデビュー作。
- また、2002年のDVD発売時に合わせ、石井竜也がアンサーソングとなる歌詞違いの『君をつれて』を発表すると共に、『君をのせて』のカバーもしている。
- イメージソング - 『もしも空を飛べたら』
- 作詞 - 松本隆 / 作曲 - 筒美京平 / 編曲 - 鷺巣詩郎 / 歌 - 小幡洋子(徳間ジャパン)
- 本編では未使用。公開当時、味の素から発売されていた炭酸入り清涼飲料水「ラピュタ」[14]のCMソングであった。
- 劇中曲 - 『ハトと少年』
- 劇中でパズーが演奏するトランペット曲。数原晋が演奏。国際宇宙ステーションで流された。
賞歴
- 文化庁優秀映画
- 第41回(1986年)毎日映画コンクール 大藤信郎賞
- 1986年(第15回)ぴあテン 映画部門第1位
- シティロード 読者選出ベストテン 邦画第1位
- おおさか映画祭 日本映画ベストテン第1位
- 日本映画復興特別賞(高畑勲・宮崎駿)
- 映画芸術 日本映画第1位
- キネマ旬報 86年度ベスト・テン 日本映画第8位/読者選出日本映画第2位
- 第9回(1986年)月刊アニメージュ アニメグランプリ 作品賞
- アビック・ビデオアワード'87 アニメーション賞
- 第4回日本アニメフェスティバル 日本アニメ大賞・アトム賞 美術部門最優秀賞
- 中央児童福祉審議会特別推薦
ここまでの出典[15]
- 文化庁メディア芸術祭「日本のメディア芸術100選」アニメーション部門選出
興行・売上記録
1986年の劇場公開時の観客動員数は77万人、配給収入は5.8億円であり、セールス的には観客動員、収入共にジブリワースト記録である。1984年のナウシカ、1986年のラピュタ、1988年のトトロと、のちのジブリ作品と比べて興行的には振るわず、春・夏・ゴールデンウィーク向け子ども映画としてはドラえもんや動物映画もの、東映まんがまつりなどの後塵を拝し続けた[16]。
(日本国内)
内容 | 記録 | 補足 |
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興行収入 | 約11.6億円[17] | 推測 |
配給収入 | 5.83億円[17] | |
全国動員 | 77万4271人[17] | |
『イメージアルバム〜空から降ってきた少女〜』 | 2万枚出荷(1986年発売のLP)[18] 4万本出荷(1986年発売のCA)[18] 6万枚出荷(1986年発売のCD)[18] 3万枚出荷(1993年発売の再発CD)[18] 0.5万枚出荷(2004年発売の再々発CD)[18] |
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『サウンドトラック〜飛行石の謎〜』 | 3万枚出荷(1986年発売のLP)[18] 6万本出荷(1986年発売のCA)[18] 15万枚出荷(1986年発売のCD)[18] 13万枚出荷(1993年発売の再発CD)[18] 1万枚出荷(2004年発売の再々発CD)[18] |
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『ドラマ編〜光よ甦れ!〜』 | 1万枚出荷(1986年発売のLP)[18] 2万本出荷(1986年発売のCA)[18] 2万枚出荷(1986年発売のCD)[18] 1万枚出荷(1993年発売の再発CD)[18] |
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『シンフォニー編〜大樹』 | 1万枚出荷(1986年発売のLP)[18] 2万本出荷(1986年発売のCA)[18] 4万枚出荷(1986年発売のCD)[18] 2万枚出荷(1993年発売の再発CD)[18] 0.5万枚出荷(2004年発売の再々発CD)[18] |
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『ハイテックシリーズ』 | 2万本出荷(1989年発売のCA)[18] 6万枚出荷(1989年発売のCD)[18] 0.5万枚出荷(2004年発売の再発CD)[18] |
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『CASTLE IN THE SKY〜天空の城ラピュタ USAヴァージョンサウンドトラック〜』 |
3万枚(2002年発売のCD)[18] | |
挿入歌 『君をのせて』 |
7万枚出荷(1988年発売のシングルCD)[18] 0.5万枚出荷(2004年発売の再発シングルCD)[18] |
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VHS・ベータ(徳間版) | 8万本出荷[19] | 1989年7月時点 |
VHS(ブエナビスタ版) | 100万本出荷[19] | 2003年6月現在 |
DVD(ブエナビスタ、2枚組・特典付) | 53.2万枚出荷[19] | 2003年6月現在 |
テレビ放送
『名探偵ホームズ』を放送していたテレビ朝日と競った日本テレビが放映権を獲得し[20]、1988年4月2日に『土曜特別ロードショー』で初放送され12.2%の視聴率を記録した。22.6%の高視聴率を獲得した1989年7月21日の『金曜ロードショー』からは同枠で繰り返し放映される人気ソフトとなっている[21]。これ以降、日本テレビはスタジオジブリと提携を深め、宮崎が関わった映画作品は日本テレビで放映されるようになる。2011年12月9日には、劇場公開時のフィルム風合いを再現したニューマスター版が通常より40分拡大して初放送された。
視聴率
回数 | 放送日 | 視聴率 |
---|---|---|
1 | 1988年テンプレート:04月テンプレート:02日(土) | 12.2% |
2 | 1989年テンプレート:07月21日(金) | 22.6% |
3 | 1991年テンプレート:05月テンプレート:03日(金) | 17.1% |
4 | 1993年テンプレート:03月26日(金) | 20.4% |
5 | 1995年テンプレート:03月24日(金) | 19.9% |
6 | 1997年テンプレート:03月テンプレート:07日(金) | 20.6% |
7 | 1998年12月25日(金) | 20.6% |
8 | 2001年テンプレート:02月23日(金) | 22.2% |
9 | 2003年テンプレート:03月14日(金) | 22.2% |
10 | 2004年12月24日(金) | 16.9% |
11 | 2007年テンプレート:06月15日(金) | 19.9% |
12 | 2009年11月20日(金) | 15.4% |
13 | 2011年12月テンプレート:09日(金) | 15.9% |
14 | 2013年テンプレート:08月テンプレート:02日(金) | 18.5% |
制作背景・影響
舞台設定
物語の舞台は企画段階では「立憲君主国。ただし国王は登場しない」とされており、後に宮崎駿は舞台をイギリスのつもりで設定したと語っている[22]。宮崎は製作が始まる前の1985年5月にイギリスのウェールズをロケハンで訪れており、そこで見た風景が本作に活かされた。後に押井守や鈴木敏夫らと同地を再訪している。また登場する小火器(拳銃、小銃、重機関銃)もイギリスの兵器をモチーフにしている。
年代は劇中で明示されていないが、パズーの父親が撮ったラピュタの写真には「1868.7」と作品世界の暦による年代らしき数字が印字されている[23]。
「廃れてしまった古の機械文明」が作った「空中に浮かぶ島」、「飛行船に乗る海賊」であるドーラ一家という物語のモチーフは、幻の作品である『ラーマヤナ』(インドとの合作)と『リトル・ニモ』(東京ムービー)の企画に参加していた際に宮崎がイメージしていたものが投影されている。空に浮かぶ島の名前「ラピュタ」はスウィフト『ガリヴァー旅行記』から、飛行石のモチーフは福島鉄次の『沙漠の魔王』から、パズーとシータの名前は学生時代に創作していた作品からの転用とされる[24]。物語自体は小学生の頃に考えたもの[25]。ドーラの原形は宮崎駿の母親[26]。 パズーの乗るグライダーは映画『地獄の天使』のツェッペリン飛行船の観測ゴンドラの影響。
「ふしぎの海のナディア」との関連
庵野秀明によると、宮崎は以前にアニメ番組の企画として『未来少年コナン2』という位置付けの「主人公の少年・少女が謎のペンダントをめぐり潜水艦で世界中を旅する。そしてそれを狙う悪役一派がいる」という案をNHKに提出したが、採用されなかった。この案が後に本作と『ふしぎの海のナディア』になったという[27]。
都市伝説やインターネットでの影響
『ラピュタのエンディング映像には続きがあり、テレビ放映の際に目撃した』などの都市伝説があったが、スタジオジブリは否定するコメントを出しており、小説版の後日談と資料集のイラストなどが混同して噂が広まったのではないかとしている[28][29]。また、テレビ放送で流された簡易版エンディング(本編の静止画、イメージボードのイラストなどにスタッフロールを乗せたもの)がその噂の元であるとする検証サイトもある。
地上波でテレビ放送される際に、2ちゃんねる等の実況板等において終盤の山場の台詞「バルス」に合わせた大量書き込みが行われ[30][31]、高負荷によるサーバダウンがたびたび発生している[32][33][34]。2009年11月20日放映時にはTwitterでも同様に終盤の台詞がツイートされたものの、利用者がまだ少なかった事もありサーバダウンが発生することはなかったが[33][34]、利用者が大幅に増加した2011年12月9日放映時はTPS(1秒間あたりのツイート数)が従来の世界記録を大幅に更新する25,088TPSに達した[35][36]。2013年8月2日にも放映されたが、放送一週間前には前回放映時の影響から「Twitter公式アカウントが『バルス』投稿の自粛をお願いする」コラージュ画像が出回り話題を呼んだ。なお当日は大量のツイートが散見されたがトラブルは発生せず、前回を大幅に上回る143,199TPSを達成した[37]。
ジブリ美術館
三鷹の森ジブリ美術館では本作に登場するロボットの模型が常設展示されており、2002年には「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」が開かれた。
日本国外版
英語版
英語版は2種類存在する。最初の英語版はストリームライン・ピクチャーズ (en:Streamline Pictures) がLaputa: The Flying Islandの名で1989年にイギリスで公開し、日本のDVDにも収録されているもの。2つ目は2003年にディズニーが配給し、ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント(ウォルト・ディズニー・スタジオ・ホーム・エンターテイメント)よりDVDが発売されているCastle in the Sky。最初の版はパズーの声を女性声優が演じたが、ディズニー版Castle in the Skyでは男性声優がパズーを演じた。ムスカを演じているのはスター・ウォーズ旧3部作の主人公ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミル。このDVDには後述のフランス版も収録されている。
タイトルが変更されているのは、ラピュタの命名の元となったスウィフトの『ガリヴァー旅行記』第三章の飛行島ラピュータ(Laputa)は、スペイン語のLa puta(売春婦)をもじって命名されたものであり、スペイン語圏およびヒスパニックの多いアメリカ合衆国では不適切なため。
日本のDVDにも収録されている英語版は、配給元のストリームライン・ピクチャーズにより翻訳されたものではない。ストリームライン・ピクチャーズのフレッド・パットンによれば最初は全日空の国際線の機内上映のために製作されたもので、ストリームラインはそれを日本から渡されたとのことで、実際に誰が翻訳、吹き替えを行ったのかは不明とされる[38]。日本語版ではドーラが40秒、ムスカが3分間待つところは共に1分間となっている。
ディズニー版のCastle in the Skyには久石譲本人による、オリジナル版と異なる音楽が使用されている。基本となるメロディの大部分は同じだが、アメリカ側の希望により久石が大幅にアレンジを行って録音し直された[39]。オープニング曲は飛行石が輝く場面とシンクロするようになっており、またエンディング曲は、日本語オリジナル版の上にピアノの演奏がミックスされている。CDは徳間ジャパンより発売されている。
ブルーレイに収録されている英語版はディズニー版の『Castle in the Sky』で、特典映像の一つとして収録されている。スタッフロールはすべて英語表記。なお、エンディングのキャスト紹介は、日本版が「パズー→シータ」なのに対し、この英語版は「シータ→パズー」の順になっている。
フランス語版
フランスでブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメントより発売されているDVD(フランス語版タイトルはLe Château dans le Ciel、映画公開は2003年1月15日)はフランス語、日本語のほか「Castle in the Sky」の英語音声も収録されている。同じDVDに収録されている日本語オリジナル版および、そのオリジナル版と同じ音楽を用いたフランス語版の音声は、音楽の音程がオリジナルより約半音高くなっている。これは秒間24コマのフィルムから秒間25コマのPAL方式にテレシネする際、1コマ分の4%早くなる為。英語版の字幕は英語版音声を忠実に書き起こしたものと日本語版からの翻訳重視のものが2種類収録されているが、フランス語版の字幕は1種類のみで、フランス語版の音声と字幕では内容が異なる。フランス語版DVDはリージョン2(日本と共通)、映像方式はNTSC/PALコンパチブルで、日本の家庭用DVDプレーヤーでも再生可能。
関連商品
作品本編に関するもの
- 映像ソフト
- 天空の城ラピュタVHS - ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント(1998年9月18日)
- 天空の城ラピュタ DVD - ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント (2002年10月4日)
- 天空の城ラピュタ DVDコレクターズ・エディション - ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント (2002年10月4日)
- DVD(宮崎駿監督作品集) - ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 2014年7月2日発売
- 天空の城ラピュタ Blu-ray Disc - ウォルト・ディズニー・スタジオ・ホーム・エンターテイメント(2010年12月22日)
- Blu-ray Disc(宮崎駿監督作品集) - ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 2014年7月2日発売
- 出版
- 小説 天空の城ラピュタ(前篇)(アニメージュ文庫)(1986年5月31日)ISBN 4-19-669556-6
- 小説 天空の城ラピュタ(後篇)(アニメージュ文庫)(1986年7月31日)ISBN 4-19-669557-4
- 天空の城ラピュタ―フィルムコミック(1)(1986年9月30日)ISBN 4-19-776593-2
- 天空の城ラピュタ―フィルムコミック(2)(1986年9月30日)ISBN 4-19-776594-0
- 天空の城ラピュタ―フィルムコミック(3)(1986年10月20日)ISBN 4-19-776602-5
- 天空の城ラピュタ―フィルムコミック(4)(1986年10月20日)ISBN 4-19-776603-3
- ジ・アート・オブ 天空の城ラピュタ(1986年11月30日)ISBN 4-19-816610-2
- 天空の城ラピュタ(徳間アニメ絵本)(1988年3月31日)ISBN 4-19-703626-4
- スタジオジブリ作品関連資料集 型録Ⅰ(1996年6月30日)ISBN 4-19-860525-4
- 天空の城ラピュタ(スタジオジブリ絵コンテ全集2)(2001年6月30日)ISBN 4-19-861377-X
- 天空の城ラピュタ(ロマンアルバム)(2001年9月10日)ISBN 4-19-720156-7
- 天空の城ラピュタGUIDE BOOK復刻版(ロマンアルバム)(2010年12月15日)ISBN 4-19-720320-9
- ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ(文春ジブリ文庫)(2013年5月10日)ISBN 978-4-16-812001-5
- シネマコミック2 天空の城ラピュタ(文春ジブリ文庫)(2013年5月10日)ISBN 978-4-16-812101-2
- 音楽
- 天空の城ラピュタ イメージアルバム 空から降ってきた少女 徳間ジャパンコミュニケーションズ(2004年8月25日)TKCA-72720
- 天空の城ラピュタ サウンドトラック 飛行石の謎 徳間ジャパンコミュニケーションズ(2004年8月25日)TKCA-72721
- 天空の城ラピュタ シンフォニー編~大樹 徳間ジャパンコミュニケーションズ(2004年8月25日)TKCA-72722
- 天空の城ラピュタ ハイテックシリーズ 徳間ジャパンコミュニケーションズ(2004年8月25日)TKCA-72723
- (挿入歌)君をのせて(CD) 井上杏美、C/W「合唱 君をのせて」「君をのせて(カラオケ)」徳間ジャパンコミュニケーションズ((再発版CD/2004年10月27日)TKCA-72755(オリジナル盤8cmCD/1988年3月25日)
- スタジオジブリ 宮崎駿&久石譲 サントラBOX [Box set, Limited Edition] (CD) 徳間ジャパンコミュニケーションズ(2014年7月16日)
タイアップ商品
小説版
著者:亀岡修、イラスト:宮崎駿によるノベライズ版が、徳間書店『アニメージュ』誌に連載され、後にアニメージュ文庫として出版された。全2巻。
映画では描かれていない飛行客船襲撃よりも前のエピソードや、映画のラストの半年後を舞台としたエピローグが書かれており、その他細かい設定や、登場人物の心情描写の補完がなされている。
- 小説 天空の城ラピュタ 前篇(1986年5月31日初版、ISBN 4-1966-9556-6)
- 小説 天空の城ラピュタ 後篇(1986年7月31日初版、ISBN 4-1966-9557-4)
なお、2002年に映画がDVD化された際、10000セット限定販売の『「天空の城ラピュタ」DVDコレクターズ・エディション』には、この小説前後篇を1冊に再構成しハードカバー化した『「天空の城ラピュタ」DVDコレクターズ・エディション版』が付属している[40][41]。
脚注
関連項目
- 登場するキャラクターおよびガジェットの詳細
- 登場する武器などのモデル
- パルスジェット
- 装甲列車
- PM1910重機関銃 - PM1910はロシア帝国軍の兵器だが、イギリスでも採用されたマキシム機関銃のバリエーションにあたる
- ガトリング砲 - 飛行客船が自衛用に装備
- M79 グレネードランチャー
- ダイナマイト・プランジャー
- エンフィールドNo.2
- リー・エンフィールド
- M24型柄付手榴弾
- 関連のある作品
- その他
外部リンク
- テンプレート:Jmdb title
- テンプレート:Movielink
- テンプレート:Movielink
- 天空の城ラピュタ - Movie Walker
- 天空の城ラピュタ - 映画.com
- テンプレート:Movielink
- テンプレート:Movielink
- 天空の城ラピュタ - 金曜ロードショー(2004年12月24日放送分)
- 天空の城ラピュタ - 金曜ロードショー(2007年6月15日放送分)
- 天空の城ラピュタ - 金曜ロードショー(2009年11月20日放送分)
- 天空の城ラピュタ - 金曜ロードショー(2011年12月9日放送分)
- 天空の城ラピュタ - 金曜ロードSHOW!(2013年8月2日放送分)
テンプレート:天空の城ラピュタ テンプレート:スタジオジブリ テンプレート:宮崎駿 テンプレート:高畑勲
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ 鈴木敏夫「宮崎・久石コンビはこうして生まれた」(「久石譲in武道館」チラシより) セブンネットショッピング内スタジオジブリ専門店
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ 天空の城ラピュタGUIDEBOOK復刻版84ページより。
- ↑ これは監督が好む銃であり、後に制作した『紅の豚』や『ハウルの動く城』にも登場している。
- ↑ 叶精二『宮崎駿全書』98頁。
- ↑ 『THE ART OF LAPUTA』より
- ↑ このシーンでは、シータが祖母に抱きついてすすり泣いているのだが、後に発売されたブルーレイ版で、可愛がっていたうさぎが見つからなかったことが原因であると判明。これは、特典映像の「オリジナル脚本」の中で確認できる。
- ↑ 時速の0km/hはホバリングができることを意味している。
- ↑ アニメージュ編集部『THE ART OF LAPUTA』徳間書店 1986年
- ↑ ジブリ・ロマンアルバム天空の城ラピュタ
- ↑ オーニソプターに乗って空を飛ぶパズーの実写イメージ映像が使われていた。
- ↑ 15.0 15.1 叶精二『宮崎駿全書』フィルムアート社、2006年
- ↑ 参考:一般社団法人日本映画製作者連盟[1]
- ↑ 17.0 17.1 17.2 叶精二『宮崎駿全書』104頁。
- ↑ 18.00 18.01 18.02 18.03 18.04 18.05 18.06 18.07 18.08 18.09 18.10 18.11 18.12 18.13 18.14 18.15 18.16 18.17 18.18 18.19 18.20 18.21 18.22 18.23 18.24 叶精二『宮崎駿全書』101頁。
- ↑ 19.0 19.1 19.2 叶精二『宮崎駿全書』103頁。
- ↑ 横山宗喜「熾烈な戦い"テレビ放映権"」『あの旗を撃て 『アニメージュ』血風録』尾形英夫、オークラ出版、2004年、pp.289-290
- ↑ 叶精二『宮崎駿全書』フィルムアート社、2006年、103頁
- ↑ 『風の帰る場所』(pp.290)
- ↑ ムスカの所持する銃エンフィールドNo.2が実際に開発されたのは西暦1927年
- ↑ 『映画天空のラピュタGUIDEBOOK』徳間書店、1986年、p.79 - )
- ↑ ニコニコ映画実況 ~天空の城ラピュタ~ みんなで一緒にジブリ作品を見よう<テレビ実況生放送> - 2013/08/02 20:40開始 - ニコニコ生放送 42分頃の鈴木敏夫の発言
- ↑ ニコニコ映画実況 ~天空の城ラピュタ~ みんなで一緒にジブリ作品を見よう<テレビ実況生放送> - 2013/08/02 20:40開始 - ニコニコ生放送 53:28鈴木敏夫「あのーね、ドーラって自分のお母さんがモデルなんですよねぇ。やっぱり性格。であのー二人の息子を相手にね、色々やってるでしょう。あれも自分のお母さん。で実はねこの映画作ってる時にね亡くなっちゃったんですよね。だからもうほんとど真ん中でね葬式が有ったりして。で宮さんてねお母さん孝行だったからま辛い思いしたと思いますけれどでもドーラをモデルにして、そうやって映画の中で描けた事は喜んでましたよね」
- ↑ 『ふしぎの海のナディア絵コンテ全集』第1巻「ナディア懴悔話〜第1回「ナディア誕生秘話」
- ↑ 荻上チキ 『ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性』 筑摩書房、2007年、163-164頁。ISBN 978-4480063915。
- ↑ いつものジブリ日誌12月13日(金)(スタジオジブリ)
- ↑ いつもの「呪文」で2ちゃんねるが潰れそうになるほど高負荷、やじうまWatch、2007年6月19日
- ↑ お待ちかね「バルス」の天空の城ラピュタがまもなく放送!、やじうまWatch、2009年11月20日
- ↑ ゴリアテが撃沈された際のムスカの台詞「見ろ、人がゴミのようだ!」の時点でサーバーが落ちることが多い。
- ↑ 33.0 33.1 ITmediaねとらぼ:Twitterサーバ、「バルス」に勝つ、ITmedia ニュース、2009年11月24日
- ↑ 34.0 34.1 Twitterサーバ、バルスに勝つのも当然?、ITmedia ニュース、2009年11月30日
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 「バルス」秒間14万3199ツイート デマもびっくり過去最高の4倍超に、ITmedia ニュース、2013年8月3日
- ↑ 天空の城ラピュタ よくある質問(駿宮崎ウェブ、英語)
- ↑ 「音楽家 久石譲」『鈴木光司対談集 天才たちのDNA』鈴木光司、マガジンハウス、2001年、ISBN 4838712375、pp.152-153
- ↑ 同梱書籍である為、価格やISBNコードの記載はない。
- ↑ ハードカバー版は当初、単体発売が予定されており、DVDパッケージに同梱された関連商品の紹介チラシにも記載されていたが、DVD発売時点では発行中止が決定されており、訂正の注意書きも同梱されていた。