ゴリアテ
ゴリアテ(ヘブライ語:גָּלְיָת, Golyat)は、旧約聖書の「サムエル記」に登場するペリシテ人の巨人兵士。身長は6キュビト半[1](約2.9メートル)、身にまとっていた銅の小札かたびら(鎧)は5000シェケル[1](約57キログラム)、槍の鉄の刃は600シェケル[1](約6.8キログラム)あったという。サウル王治下のイスラエル王国の兵士と対峙し、彼らの神を嘲ったが、羊飼いの少年であったダビデが投石器から放った石を額に受けて昏倒し、自らの剣で首を刎ねられ絶命した。この故事にちなんで、弱小な者が強大な者を打ち負かす喩えとしてよく使われる。
英語発音でゴライアス(Goliath)とも呼ばれる。
概要
ダビデとゴリアテの戦いは「第一サムエル記」第17章に記されている[1]。ペリシテ軍はエフェス・ダミムに陣を敷き、サウルの率いるイスラエル軍はエルサレムの南西にあるエラの谷(en)に陣を敷き対峙した。ペリシテ陣営からゴリアテという巨漢の戦士が現れると「勇者を一人出して一騎討ちで決着をつけようではないか。もしお前たちが勝てばペリシテはお前たちの奴隷となる。もし俺が勝てばお前たちはペリシテの奴隷となれ」と40日間、朝と夕の2回にわたって先の言葉でイスラエル兵たちを辱めた。しかしイスラエル兵はゴリアテに恐れをなし、戦いを挑もうとする者はいなかった。
この話を、イスラエル軍に参加していた兄に食料を送り届けるために陣営を訪れていた、羊飼いのダビデが聞くと憤り、サウルにゴリアテの退治を申し出た。サウルは初めは難色を示したが、他に手段がなかったため、ダビデの出陣を許可した。サウルは自分の鎧と剣をダビデに与えたが、ダビデは「慣れていないので歩くこともできないから」とそれらを身に着けず、羊飼いの武器である杖と、投石器と、川で拾った滑らかな5個の石という軽装でゴリアテに挑んだ。
ゴリアテは「さあ来い。おまえの肉を空の鳥や野の獣にくれてやろう」と嘲ったが、ダビデは
- 「お前は剣と槍を頼りに戦うが、私はお前がなぶったイスラエルの戦列の神、万軍の主の名を頼りに戦う。戦いは剣と槍の力で決するものではないことを人々は知ることになるだろう。これはイスラエルの神の戦いである」
と返答した。これを聞いたゴリアテはダビデに突進した。ダビデは袋の中から1個の石を取り出し勢いよく放つと、石はゴリアテの額に命中し、うつ伏せに倒れた。ダビデは剣を所持していなかったため、ゴリアテに近寄って剣を奪い、首をはねて止めを刺した。
ペリシテ軍はゴリアテの予想外の敗退により総崩れとなり、イスラエル軍はダビデの勝利に歓喜の声をあげた。イスラエル軍は敗走するペリシテ軍を追って、ガテやエクロンまで追撃して勝利を収めた。この戦いによりダビデの名声は広まり、サウルの側近として仕えるようになった。
脚注
関連項目
- アイン・ジャールートの戦い - アラビア語の「アイン・ジャールート」とは「ゴリアテの泉」という意味。
- 番狂わせ(ジャイアント・キリング)