魔女の宅急便
テンプレート:Portal 『魔女の宅急便』(まじょのたっきゅうびん)とは角野栄子による児童書(児童文学)である。宮崎駿監督によって1989年に同名でアニメ映画化された。また2014年、清水崇監督により実写映画化された(主演・小芝風花、詳細節参照)[1]。
シリーズ1作目『魔女の宅急便』は、主人公のキキが親元を離れ、知らない町で魔女として一人立ちする姿を描く。オリジナルは1982年から1983年にかけて『母の友』に連載された。その後シリーズ化されており、福音館書店から刊行されている。表紙画、挿画は第1巻が林明子、第2巻が広野多可子、第3 - 6巻は佐竹美保がそれぞれ手がけた。英語、イタリア語、中国語、スウェーデン語版も出版されている。2009年10月、最終巻『魔女の宅急便その6 それぞれの旅立ち』が刊行され、24年に亘って描かれた同シリーズは完結した[2]。
目次
あらすじ
主な登場人物
- キキ
- 魔女と普通の人間の間に生まれた少女。10歳を過ぎた頃に魔女として生きることを決意したため、しきたりに則って13歳の春の満月の夜、魔女の住んでいない町で独り立ちすべく相棒のジジと共に旅立った。最初に着いたコリコの町で人々の魔女に対する反応が冷たいことに戸惑うが、ふとしたきっかけから定住を決め、その後グーチョキパン屋の粉置き場を改装して、「魔女の宅急便」を開業。様々な出来事を経験しながら魔女として、1人の少女として成長していく。2月2日生まれ。15歳までは飛ぶことしかできなかったが、コキリに習ってくしゃみの薬も作れるようになる。
- ジジ
- キキの相棒の黒猫。キキと同じ時期に生まれた[3]。キキの魔法で会話しているが、キキ以外の人間とは会話できない。キキの魔法力が弱まると会話ができなくなる[4]。
- オキノ
- キキの父親。普通の人間で、民俗学者。妖精や魔女の伝説や民話について研究している。
- コキリ
- キキの母親。古い血筋の魔女。ほうきに乗って空を飛ぶことの他に「くしゃみの薬」[5]を作る魔法を受け継いでいる。
- おソノ
- グーチョキパン店のおかみさん。コリコの町に着いたばかりで泊まる所もなく、1人途方に暮れていたキキをパン屋に居候させる。キキが来た直後にノノちゃんという女の赤ちゃんを出産する。
- おソノさんのだんなさん
- パン職人。無口。フクオという名前だが、名前は4巻まで出てこない。
- とんぼ
- 飛行クラブに所属するメガネの少年。キキより1歳年上で、「とんぼさん」と呼ばれている。飛行クラブはじゅうたんや箒など非科学的な物で飛ぶ方法を研究していたが、これらの研究が失敗に終わったため[6]、15歳の夏に科学的なハンググライダー飛行を行ったのを最後に、物理学から生物学に転向し、17歳の秋から21歳の春までの3年半、コリコの西のナルナの技術学校[7]で生物学を専攻し、卒業後はコリコに戻り中学校の生物教師となる。5巻と6巻の間でキキと結婚し、ニニとトトという双子が生まれる。
- ニニとトト
- 12月28日生まれ。キキととんぼの子供(双子)。6巻の主人公。ニニの相棒の猫はブブ、トトの相棒の猫はべべ。
書誌情報
- 魔女の宅急便
- 魔女の宅急便その2 キキと新しい魔法
- 魔女の宅急便その3 キキともうひとりの魔女
- 魔女の宅急便その4 キキの恋
- 魔女の宅急便その5 魔法の止まり木
- 魔女の宅急便その6 それぞれの旅立ち
アニメ映画
テンプレート:Main 本作を原作として制作された1989年のアニメ映画。童話ならではのファンタジー性が濃い作風である本作を、主人公キキの持つ魔女由来の飛行能力をあくまで「人が持つ特技の一種」として位置づけ、少女が特技を活かして独り立ちをしていくという現実的な視点に立った作風に改変している。
角野はアニメ映画化に際し、当初は唯一の注文として「キキが旅立つ時にキキの故郷の木に付けられていた鈴を鳴らすこと」のみを求めていた。その後制作が進むに連れ内容が大きく変わることに否定的になったが、宮崎と角野が数回対談し解決した[8]。
ミュージカル
横内謙介脚本、蜷川幸雄演出、宇崎竜童音楽によるミュージカル作品が上演された。
- 1993年:キキ役は工藤夕貴、トンボ役は赤坂晃。トンボ役は森且行で年内続演された。
- 1995年:キキ役を小高恵美、入絵加奈子、トンボ役は遠藤直人、坂本昌行のダブルキャストで再演。
- 1996年:キキ役は持田真樹、トンボ役は坂本昌行、長野博、原知宏で再々演がなされている。
実写映画
テンプレート:Infobox Film 2014年3月1日公開の実写版日本映画。アニメ版のリメイクではなく、原作の第1巻・第2巻を基とした実写化である[9][10]。
キャスト
- キキ - 小芝風花 (幼児期:横溝菜帆 少女期:原涼子)
- おソノ - 尾野真千子
- とんぼ - 広田亮平
- フクオ - 山本浩司
- ナヅル - 新井浩文
- すみれ - 吉田羊
- ジジ(声) - 寿美菜子[11]
- タカミ・カラ - YURI
- サリ - 戸部日菜子
- ラジオDJ - LiLiCo
- サキ - 金澤美穂
- イシ先生 - 浅野忠信
- オキノ - 筒井道隆
- コキリ - 宮沢りえ
- ミズミ - 井上琳水
- マル - 須田琉雅
- 若山耀人
- ミア - 佐藤芽
- 小野田翔空
- シギ - 宮地眞理子
- 園長 - 志賀廣太郎
- パンを受け取る客、ナレーション - 角野栄子
製作
正式な制作発表に先立ち、2013年4月11日、スタジオジブリのアニメ作品を元とした実写リメイク映画が企画されていると一部で報道されたが、スタジオジブリ側はこれを否定し、実写作品の製作には関わっていないことを表明している[12]。その後、同年4月24日にアニメではなく大元の小説を原作とする実写映画版が『呪怨』などを手がけた清水崇の監督で制作されることと、主演が制作当時16歳の小芝風花であることが発表された[13]。小芝にとっては初主演作品となる[13]。
プロデューサーの森重晃は、清水起用の理由を、他の数名の監督候補と比較して、作品に対するモチベーションの高さと、ホラー映画でのVFX使用のセンスなどを評価したためとしている。制作にあたり、監督の清水は、世界的に評価されているアニメ版により、大衆のイメージが固まっている中で実写版に挑戦することは「無謀」であるとしながらも「だからこそ挑戦したい」といい、映画オリジナルの世界観を時間をかけて見出したと語っている[10]。
小芝は500人以上が参加したオーディションによって選ばれている[14]。キャスティングに対してはインターネットを中心に議論が起き、一部の者が小芝のブログに批判を書きこんだこともあった[9]。小芝の演じるキキのビジュアルは、清水のアイデアにより「野生児」っぽさをイメージして、切りっぱなしに見える髪型を採用している[15]。
撮影は同年5月23日から東映東京撮影所で開始され[10]、キキの実家などをスタジオ撮影しているほか[15]、5月30日より香川県の小豆島にて、地中海の雰囲気を持つ場所にオープンセットを設置してのロケーション撮影が行われている[10][14]。6月7日に行われたロケ現場のマスコミ公開には原作者の角野も訪れ、実写化については自らも望んでいたことであるといって、アニメやミュージカル化などを含めて「いろいろなキキがあっていいと思います」とコメントし、実写化ならではのドラマティックな解釈に期待を寄せた[10]。小芝のキキについても「イメージ通り」「今まで生身のキキを見たいとずっと思っていました」という感想を述べている[10]。
なお、本作制作の数年前には原作を基としたハリウッドによる実写映画化の企画があったが、実現しなかったことが明らかになっている[12]。
スタッフ
- 原作 - 角野栄子『魔女の宅急便』(角川文庫刊・福音館書店刊)
- 監督 - 清水崇
- 脚本 - 奥寺佐渡子、清水崇
- 音楽 - 岩代太郎
- 主題歌 - 倉木麻衣「Wake me up」(NORTHERN MUSIC/BEING)
- 企画 - 小川富子
- エグゼクティブプロデューサー - 森重晃、修健
- プロデューサー - 梅川治男
- ラインプロデューサー - 梶川信幸
- 撮影 - 谷川創平
- 美術 - 岩城南海子
- VFXスーパーバイザー - 秋山貴彦
- 照明 - 金子康博
- 録音 - 深田晃
- 編集 - 高橋歩
- 音響効果 - 柴崎憲治
- 配給 - 東映
- 特別協力 - ヤマトホールディングス/ジャンボフェリー
- 企画 - スペースポンド
- 製作プロダクション - ステューディオスリー
- 製作委員会 - 「魔女の宅急便」フィルムパートナーズ(ステューディオスリー、東映、北京泰楽国際文化発展、KADOKAWA、D.N.ドリームパートナーズ、オリコム、日本テレビ放送網、木下グループ、EDKO FILMS LTD.、ビーイング、こだま印刷、読売新聞社、MY Promotion、讀賣テレビ放送)
備考
- ジブリ版の世界観は「第二次世界大戦を経験しなかったヨーロッパの何処かの国」という設定であったが、本作では「魔女の存在が信じられている東洋の何処かの国」という設定になっている。作中では漢字・ひらがな・カタカナで表記された日本語が多く登場するほか、クリーニング屋の「すみれ」など、日本人様の名前を持つ登場人物が多々存在するため「日本のような国」ということになっている。
- 原作者の角野栄子が自ら本作のナレーションを担当している。
封切り
日本公開では全国281スクリーンで封切られ、2014年3月1日・2日の初週2日間の成績は動員11万6,857人、興収1億2,766万300円で全国映画動員ランキング(興行通信社調べ)3位を記録。ファミリー層をはじめとする幅広い観客を集め、大人6に対し子供4、男女比は4対6で、子供層では特に女児に訴求した結果となった[16]。
日本以外では、2014年4月17日に香港、2014年6月に台湾で公開されるほか、シンガポール、インドネシア、ベトナム、ドイツ、スペインでも公開が予定されている[17]。
関連商品
- DVD - 2014年9月19日発売予定。Blu-ray版およびDVD版の2種類。
商標
まず、書籍の題号は登録商標としては扱っていなく対象外である[18]。そして、特許庁では「魔女の宅急便」と「宅急便」を異なる言葉として扱っていて、「宅急便」の方はヤマトホールディングス株式会社が1979年4月27日[19]に登録して、「魔女の宅急便」の方は株式会社スタジオジブリが1992年10月30日[20]に登録している。テンプレート:要出典範囲
脚注
外部リンク
- 小説
- 映画
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 角野栄子ホームページ 魔女の宅急便コーナー
- ↑ 第1巻10 - 11頁参照。なおキキの誕生日は2月2日であることが第5巻249頁で明らかになっている。
- ↑ 第5巻第6-8章で実際に発生している。
- ↑ 化学的に考えると、くしゃみを誘発するジフェニルクロロアルシン•ジフェニルシアンアルシンなどのいわゆる「くしゃみガス」の解毒剤と考えてもよい。
- ↑ 第1巻114頁でキキがとんぼさんにこれら研究が絶対に成功しないことを裏付けるセリフを残している。
- ↑ 第3巻313頁に進学先が、第4巻25・183頁に都市名とコリコからの方角が記載されている。
- ↑ 叶精二『宮崎駿全書』フィルムアート社、2006年
- ↑ 9.0 9.1 テンプレート:Cite web
- ↑ 10.0 10.1 10.2 10.3 10.4 10.5 テンプレート:Cite web
- ↑ 実写『魔女の宅急便』ジジ役は「けいおん」声優・寿美菜子! シネマトゥデイ、2014年1月16日
- ↑ 12.0 12.1 テンプレート:Cite web
- ↑ 13.0 13.1 テンプレート:Cite web
- ↑ 14.0 14.1 テンプレート:Cite web
- ↑ 15.0 15.1 テンプレート:Cite web
- ↑ この段落の出典。テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 藤本昇特許事務所
- ↑ 登録番号 第1377677号
- ↑ 登録番号 第2462634号