おしどり右京捕物車
テンプレート:基礎情報 テレビ番組 テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『おしどり右京捕物車』(おしどりうきょうとりものぐるま)は、朝日放送(ABC)と京都映画撮影所(現・株式会社松竹京都撮影所)が制作し、TBS系列 [1]で放映されたテレビ時代劇。1974年4月4日から9月26日まで、毎週木曜21:00 - 21:55(JST)に放映された。全26回。
目次
概要
悪の罠にかけられ地位、名誉、人としての幸福や身体の自由をも奪われた凄腕の元・北町奉行所与力が、悪への強い執念と妻の献身により、絶望の淵から這い上がろうとする姿と、夫婦の究極の深い愛情が描かれた。本作は、プロデューサー山内久司をはじめ、『必殺シリーズ』のスタッフによって製作されており、本来は、『助け人走る』の後番組として、必殺シリーズに組み込む予定があったという[2]。 主演には『木枯し紋次郎』(1972年、フジテレビ系)で一躍人気俳優となった中村敦夫と、この当時アイドルタレントからの脱却を図っていたジュディ・オングという異色のコンビが起用された。
「官憲の立場にあった主人公がトラブルに遭遇、下半身不随となり一度は職を辞するものの、改めて官憲を補助する役職を与えられて活動を継続、主人公をサポートする仲間とのチームで事件を解決する。」という基本プロットはアメリカのテレビシリーズ『鬼警部アイアンサイド』とも共通するものだが、家族が一体となって敵に挑む(闘いの上で、大きな支えとなる一方で、時には大きな負担ともなり得る)、という設定、荒唐無稽ながらもハードなストーリー展開、市井の弱い立場の人々が痛々しく虐げられる描写、装備が施された「手押し車(箱車)」を駆使し、毎回繰り広げられる激しいアクションなど、本作品と同時期に映画化、テレビ化され人気を博した劇画『子連れ狼』(原作:小池一夫・小島剛夕)の影響や『必殺シリーズ』と共通する要素も多く見出す事が出来る。ちなみに演出陣の一人である三隅研次は若山富三郎主演の映画版『子連れ狼シリーズ』全6作品中4作品の監督を務めた実績がある。
オープニングは必殺シリーズのオープニング・シークエンスと同様、印象的なナレーションが使用されている。 テンプレート:Quotation タイトルは「おしどり(おしどり夫婦)」に由来しており、エンディングではおしどりの映像が使用されている。また、各話のサブタイトルは全て、漢字一文字で統一されている。
2003年12月よりキングレコードからDVDソフトが発売された(全7枚、DVD-BOXはなし)。
作品内容
北町奉行所の与力・神谷右京(中村敦夫)は、悪人を容赦なく追い詰め、下手人として捕らえるためには手段を選ばないことから、“北町の虎”と呼ばれ恐れられていた。だがある日、兇賊・野洲の萬蔵(遠藤太津朗)一味の罠にはめられ、崩れた丸太の下敷きにされ下半身不随となり、奉行所を解雇される。執拗な手は、愛妻・はな(ジュディ・オング)の仕事先にも及び、脅しをかけてはなをも解雇させ、住居を奪い去り、愛猫すら容赦なく惨殺・・・全て奪われ、身籠っていたはなは心労から流産する。
何もかも失い、身を寄せた寺で江戸を離れようと決めた右京だったが、悪に対する憎しみは断ち難く、坊主くずれの観念(下條アトム)が移動用にと作り上げた「手押し車」と、密かに鍛練を続け身につけた鞭の腕で、悪人退治の仕事を請け負う「下請け与力」となり、江戸に残ることを決意。右京の決意を受け入れたはなの押す手押し車に乗り、鞭をしならせ、悪人を闇に葬っていく。
- 手押し車の持ち手には自転車のハンドブレーキの原理が応用されている。これを設計したのは、演出の三隅研次。
- 鞭の先端には、刃物が取り付けられている。また、手押し車には近接戦用に刀が装備されている。
- 「下請け与力」の仕事は、かつての同僚(北町奉行所の与力)秋山左之介(前田吟)が斡旋する事が多い(奉行所で手に余る事件など)。
- 仕事料は、原則として一両。立場が変わった際、事件後に「一両では安い」旨を秋山が述べた事がある。
キャスト
- 神谷右京 … 中村敦夫
- 神谷はな … ジュディ・オング
- 秋山左之介 … 前田吟
- 秋山志津 … 金井由美
- 音三 … 太田博之
- 観念 … 下條アトム
- 観念の姉・おふく … 中原早苗 (第9・14・16・26話)
- 念海 … 南部彰三
- 岡っ引亀造 … 中井啓輔
- オープニングナレーション(口上)
- 語り … 伊丹十三(第1話のみ)
内藤武敏、中山千夏(第2話以降)
- オープニングナレーションは、第1話のみ現代社会の映像(サラリーマンの通勤風景、若者でにぎわう歩行者天国、列車転覆事故、学生デモを警戒する機動隊、火災現場など)をバックに、これから主人公に襲いかかる苦難を暗示した内容である。これは地上波再放送でもCSでもカットされ続けた幻のバージョンで、DVD収録で本放送以来29年ぶりに陽の目をみた。第2話から従来のバージョンとなったが、第12話のみ異なるテイクになっている。
主題歌
- 「愛は夕日に燃えて」
- 作詞:悠木圭子 作曲:鈴木淳 編曲:竜崎孝路 唄:藤木竜
- 発売:ポリドールレコード(現・ユニバーサルミュージック)
スタッフ
- プロデューサー:山内久司、杉本宏(朝日放送)・櫻井洋三(松竹)
- 脚本:野上龍雄、安倍徹郎、横光晃、松田司、大工原正泰、井手雅人、岩間芳樹、岩元南、大野武雄、佐々木守
- 音楽:鈴木淳
- 監督:三隅研次、工藤栄一、松野宏軌、蔵原惟繕、田中徳三、西村大介、佐伯孚治、大洲齊、太田昭和
- 制作協力:京都映画株式会社(現・株式会社松竹京都撮影所)
- 制作:朝日放送、松竹株式会社
サブタイトルリスト
話数 | サブタイトル | 放映年月日 (1974年) |
脚本 | 監督 | 主なゲスト |
---|---|---|---|---|---|
1 | 鞭 (むち) |
4月4日 | 野上龍雄 | 三隅研次 | 遠藤太津朗(万蔵)、室田日出男(伊太八)、藤木敬士(お役者 常) |
2 | 炎 (ほのお) |
4月11日 | 安倍徹郎 | 工藤栄一 | 入川保則(滝蔵)、吉行和子(お貞)、草薙幸二郎(弥吉)、汐路章(半田) |
3 | 讐 (かたき) |
4月18日 | 天津敏(浅造)、工藤堅太郎(三次) | ||
4 | 妖 (よう) |
4月25日 | 横光晃 | 三隅研次 | 森次晃嗣(源次)、水原英子(せん)、多々良純(佐八)、大林丈史(仁蔵) |
5 | 蹄 (ひづめ) |
5月2日 | 松田司 | 松野宏軌 | 菅貫太郎(津南藩士・蔵橋)、織本順吉(同心・飯坂)、南風洋子(飯坂の妻・ふさ)、 深江章喜(馬喰・雷)、牧冬吉(馬喰・狼)、石山雄大(馬喰・青尻) |
6 | 奪 (うばう) |
5月9日 | 大工原正泰 | 蔵原惟繕 | 御木本伸介(深瀬弥十郎)、山本麟一(政五郎) |
7 | 忍 (しのぶ) |
5月16日 | 井出雅人 | 佐藤慶(藤原弥左衛門)、真屋順子(およう)、江幡高志(金方役) | |
8 | 囲 (かこむ) |
5月23日 | 大工原正泰 | 松野宏軌 | 柴田美保子(ちよ)、草野大悟(万吉)、金井大(貸元・勘次郎) |
9 | 妬 (やく) |
5月30日 | 田中徳三 | 江戸屋猫八(近江屋八兵衛)、伊達三郎(金造)、木村元(弥五郎) | |
10 | 爆 (ばく) |
6月6日 | 岩間芳樹 | 西村大介 | 寺田農(喜作)、三条泰子(おたつ)、安部徹(甲州屋市兵衛) |
11 | 変 (かわる) |
6月13日 | 岩元南 | 松野宏軌 | 三島ゆり子(お時)、藤岡重慶(金八)、内田勝正(銀六) |
12 | 簪 (かんざし) |
6月20日 | 横光晃 | 佐伯孚治 | 黒部進(門太)、戸部夕子(さわ)、村松克己(庄十) |
13 | 砲 (ほう) |
6月27日 | 松野宏軌 | 中尾彬(長安)、松本留美(きわ) | |
14 | 殺 (ころす) |
7月4日 | 大工原正泰 | 佐伯孚治 | 石山律雄(峯吉)、市原悦子(おりん)、入江慎也(赤津) |
15 | 虜 (とりこ) |
7月11日 | 横光晃 | 松野宏軌 | 浜村純(清造)、根岸一正(仁助) |
16 | 闇 (やみ) |
7月18日 | 松田司 | 佐伯孚治 | 岸田森(伊賀)、阿藤海(袈裟三)、富川澈夫(お役者 常) |
17 | 破 (やぶる) |
7月25日 | 岩元南 | 大洲齋 | 天草四郎(陣内)、長谷川弘(黒兵衛)、今出川西紀(さよ) |
18 | 燃 (もえる) |
8月1日 | 大工原正泰 | 西村大介 | 田島令子(おきぬ)、椎谷建治(のっぽ) |
19 | 眩 (くらむ) |
8月8日 | 横光晃 | 大洲齋 | 磯村みどり(ちか)、江見俊太郎(白金屋)、牧冬吉(佐吉)、 梅津栄(同心・田中)、小鹿番(そば屋) |
20 | 怨 (うらむ) |
8月15日 | 岩元南 | 工藤栄一 | 殿山泰司(与兵衛)、川崎あかね(おみね)、宮部昭夫(儀助)、加賀邦男(吉野屋) |
21 | 怒 (いかる) |
8月22日 | 大工原正泰 | 常田富士男(玉次郎)、黒沢のり子(おせき)、青木義朗(鵜殿新兵衛)、 五味龍太郎(速水)、外山高士(近江屋) ※秋山主役編 | |
22 | 峠 (とうげ) |
8月29日 | 松田司 | 岡田英次(倉田総三)、弓恵子(お蓮)、南原宏治(秩父の虎熊)、 成瀬正孝(旅の侍)、香月京子(結城屋の妻)、吉本真由美(繭売りの女) ※はな主役編 | |
23 | 穴 (あな) |
9月5日 | 大野武雄 | 太田昭和 | 石橋蓮司(三木竜冶)、原口剛(北村冬樹)、田口計(大原宗源) |
24 | 轟 (ごう) |
9月12日 | 岩間芳樹 | 菅貫太郎(沢井光三郎)、泉晶子(沢井とく)、 服部妙子(お品)、横光勝彦(庄作)、江幡高志(伊勢勝) | |
25 | 櫛 (くし) |
9月19日 | 松田司 | 田中徳三 | 宍戸錠(風間源十郎)、大関優子(おとき)、佐々木剛(千吉)、 柳沢真一(馬五郎)、五味龍太郎(森勘三)、山口朱美(遊女) |
26 | 愛 (あい) |
9月26日 | 佐々木守 | 西村大介 | 神田隆(越後屋)、村松克己(庄十) |
中村敦夫の一時番組離脱
- 撮影が終盤に差し掛かった1974年7月、右京役の中村敦夫は、『モーニングジャンボJNNニュースショー』(現在の『みのもんたの朝ズバッ!』枠)の1コーナー「パスポート4」で、革命15周年のキューバを取材するため、1ヶ月間、本作から離れた。
- スタッフは、はな、秋山をメインにした話を作り、右京の出番を減らして中村敦夫の不在を切り抜けた。
必殺シリーズ、後番組『斬り抜ける』との関係
- 神谷夫妻を演じた中村敦夫とジュディ・オングは、後に必殺シリーズでそれぞれ2度レギュラー出演している。
- また中村とジュディは、それぞれ本作の後番組『斬り抜ける』(後に『斬り抜ける 俊平ひとり旅』に改題)にゲスト出演している(中村敦夫は第18話、ジュディ・オングは最終回の第20話)。
- 中村敦夫
- 『必殺仕置屋稼業』第20話「一筆啓上手練が見えた」(1975年11月14日放送)ゲスト出演(助っ人の仕事師、疾風の竜)。
- 『必殺仕業人』(1976年)主演(赤井剣之介)。
- 『翔べ! 必殺うらごろし』(1978-79年)主演(先生)。
- ジュディ・オング
- 『必殺必中仕事屋稼業』第2話「一発勝負」(1975年1月11日放送)ゲスト出演(被害者役)。
- 『必殺からくり人』(1976年)レギュラー出演(とんぼ)
- 『新・必殺からくり人・東海道五十三次殺し旅』(1977-78年)レギュラー出演(小駒)。
- 山内久司とともにABC側のプロデューサーを務めた杉本宏は、この『おしどり右京』の後番組『斬り抜ける』でも山内とコンビを組んだ。後に同局制作の『新婚さんいらっしゃい!』も担当した。
CS放送
- 2004年10月より2005年3月まで、ホームドラマチャンネルで放送。
- 2008年3月11日より4月16日まで、時代劇専門チャンネルで放送。
脚注
外部リンク
おしどり右京捕物車 - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇
テンプレート:TBS木曜9時枠の連続ドラマ