札幌市交通局
テンプレート:Infobox 札幌市交通局(さっぽろしこうつうきょく 英称:Sapporo City Transportation Bureau)は、札幌市の公共交通事業部門であり地方公営企業にあたる。現在は札幌市内で市営電車(路面電車)、市営地下鉄(高速電車)を運行している。2004年3月まで市営バスを運行していたが、赤字経営に伴う財政難からバス事業より撤退し、路線や車両などを民営バス会社に譲渡した。
ロゴマークの「ST」はSapporo City Transportation Bureauの頭文字である。
目次
概要
1927年(昭和2年)市内の路面電車を市営化したのが始まりであり、1930年にバス事業を、1971年に地下鉄事業を開始した。
札幌市の交通事業は、長く電車、バス、地下鉄の三部門からなったが、1990年代後半以降、不況で圧迫された市の財政に対する大きな負担要素になっている。
1995年から札幌市では公共交通機関の利用者が減少しており、これは長期不況の影響だけでなく、自家用車利用の増加が原因と考えられている。それゆえ、各事業とも将来の増収を見込むことができない。
約7000億円の建設費の8割を借入で賄った地下鉄は、借入金に対する金利負担が重くのしかかっている。市営バスは収益が出る構造ではなく、恒常的に赤字であった。もっとも経営状態が良好な路面電車ですら、補助金無しには経営が成り立たず、2002年度までに4401億円の累積欠損金を計上するに至った。
札幌市は、1991年から経営改善計画を打ち出し、2001年度に新たに交通事業改革プランを策定し、経営の効率化を図ろうとしている。この一環として、バス事業を2000年4月から段階的に民間事業者へ移管し、2004年3月末をもって廃止した。路面電車についても、2002年に赤字に転落したこと、車両の老朽化が進んでいること、将来的に乗客数の伸びが見込まれないことから民間委託や廃止も視野に入れた検討が進められていたが、2005年2月に札幌駅への延長等の路線計画や民間活力導入による積極投資により存続を図る方針が決められた。赤字額が大きかった地下鉄は2004年度より「10か年経営計画」を実行中であり、ワンマン化や駅業務の委託、工場業務の外注化など、経費削減に努めている。一方、土日祝日に限り使用できる地下鉄専用一日乗車券「ドニチカきっぷ」の販売や駅構内へのテナント誘致、地下鉄車内で音声広告を導入するなど、新たな収益も確保している。金利負担・減価償却費の減少も加わり、2006年度には25年ぶりの黒字化に成功している。
路線・施設
路面電車
- 札幌市営電車
- 一条線 - 1918年8月開業 - 1973年4月一部廃止
- 山鼻線 - 1923年8月開業
- 山鼻西線 - 1931年11月開業
8.5km、23停留場、保有車両30両、一日平均輸送人員2万1438人 (2005年度)
廃止区間
- 札幌市営電車
- 鉄北線 - 1927年12月開業 - 1971年12月一部廃止 - 1974年5月全線廃止
- 北5条線 - 1927年6月開業 - 1971年10月一部廃止 - 1971年12月全線廃止
- 桑園線 - 1929年10月開業 - 1960年6月廃止
- 西20丁目線 - 1929年11月開業 - 1971年10月廃止
- 苗穂線 - 1919年5月開業 - 1971年10月廃止
- 西4丁目線 - 1918年8月開業(停公線) - 1971年12月一部廃止 - 1973年4月全線廃止
- 豊平線 - 1918年8月開業(南4条線) - 1971年10月廃止
- 中島線 - 1918年8月開業(停公線) - 1948年8月廃止
地下鉄
3線合計48.0km、一日平均乗車人員585,774人 (2013年度)
車両基地・拠点
(最寄駅(出入庫線の分岐駅):所属車両)
- 電車事業所(電車事業所前停留場(中央図書館前停留場):路面電車)
- 南車両基地(南北線自衛隊前駅:南北線)
- 東車両基地(東西線ひばりが丘駅(新さっぽろ駅):東西線)
- 西車両基地(東西線二十四軒駅(西28丁目駅):東豊線)
- 栄町検車線(東豊線栄町駅:なし)
- 東豊線の車両を西車両基地へ回送できない場合に使用される。
バスターミナル
地下鉄駅併設のものを中心にバスターミナルを管理している。バス事業から撤退したため現在は民間会社が乗り入れ、各社から使用料を徴収している。
2009年(平成21年)10月1日現在の施設は以下の通り。交通局以外が管理する施設は特記する。乗り入れ事業者は各バスターミナルあるいは駅記事を参照。なお、周辺の路上停留所に発着し施設を使用しない場合は乗り入れ事業者に含まれない。
地下鉄駅 | バスターミナル名 | 法分類[1] | 市分類[2] | 備考 |
---|---|---|---|---|
麻生駅 | 麻生バスターミナル | 専用 | 乗継 | |
北34条駅 | 北34条バス発着場 | - | 乗継 | |
北24条駅 | 北24条バスターミナル | 専用 | 乗継 | |
さっぽろ駅 | 札幌駅バスターミナル | 一般 | 都心 | 札幌駅総合開発 |
真駒内駅 | 真駒内バス発着場 | - | 乗継 | |
宮の沢駅 | 宮の沢バスターミナル | 一般 | 乗継 | 西新サービス |
発寒南駅 | 発寒南バス発着場 | - | 乗継 | 札幌市 |
琴似駅 | 琴似バスターミナル | 専用 | 乗継 | |
二十四軒駅 | 二十四軒バス発着場 | - | 乗継 | |
西28丁目駅 | 西28丁目バスターミナル | 専用 | 乗継 | |
円山公園駅 | 円山バスターミナル | 専用 | 乗継 | |
バスセンター前駅 | 大通バスターミナル | 専用 | 都心 | 札幌市(交通局より移行) 通称:大通バスセンター |
白石駅 | 白石バスターミナル | 専用 | 乗継 | |
南郷7丁目駅 | 南郷7丁目バスターミナル | 専用 | 乗継 | |
南郷18丁目駅 | 南郷18丁目バス発着場 | - | 乗継 | |
大谷地駅 | 大谷地バスターミナル | 一般 | 乗継 | 札幌市 |
新さっぽろ駅 | 新札幌バスターミナル | 一般 | 乗継 | 札幌副都心開発公社 |
環状通東駅 | 環状通東バスターミナル | 専用 | 乗継 | |
月寒中央駅 | 月寒中央バス発着場[3] | - | 乗継 | 札幌市農業協同組合 |
福住駅 | 福住バスターミナル[3] | 一般 | 乗継 | 北海道いすゞ自動車 |
なし | 啓明バスターミナル | 専用 | その他 | 札幌市(交通局より移行) |
なし | もみじ台バスターミナル | 専用 | その他 | 札幌市(交通局より移行) |
廃止されたバスターミナル
- 西野バスターミナル(現在は「西野3条2」停留所、跡地はコンビニエンスストア)
- 新川バスターミナル(建物は撤去、跡地は閉鎖されている)
- 新琴似駅前バスターミナル(市電「新琴似駅前」停留場に隣接して設置されていた。現在の北札幌病院付近)
その他
沿革
- 1909年2月 馬車鉄道が開業する。
- 1918年8月 馬車鉄道が民営の電車となる。
- 1927年12月 民営の電車事業が市営となり、札幌市電気局が発足する。
- 1930年10月 バス事業開始。
- 1935年1月 貸切バス事業開始。
- 1938年1月 ガソリン節約のため、木炭バス運転開始。
- 1943年1月 札幌市電気局が札幌市交通事業所に名称変更。
- 1947年6月 札幌市交通事業所が札幌市交通局へ名称変更。
- 1951年5月 定期観光バス運行開始。
- 1958年7月 藻岩山ロープウェイ運行開始。
- 1961年4月 ワンマンバスの運行開始。
- 1961年7月 親子電車の運行開始。
- 1965年4月 電車・バス共通回数券を発売。
- 1970年2月 ワンマン電車の運行開始。
- 1971年12月 地下鉄南北線開業(真駒内 - 北24条間)。定期券での「地下鉄⇔電車・市バス乗継料金制度」実施。
- 1973年10月 定期券外での「地下鉄⇔電車・市バス乗継料金制度」実施。
- 1976年6月 地下鉄東西線開業(琴似 - 白石間) 。
- 1978年3月 地下鉄南北線延長部開業(北24条 - 麻生間) 。
- 1982年3月 地下鉄東西線延長部開業(白石 - 新さっぽろ間)。「地下鉄⇔民間バス乗継料金制度」実施。
- 1983年6月 ホーム全面禁煙実施。
- 1984年6月 「1日乗車券」発売開始。
- 1988年12月 地下鉄東豊線開業(栄町 - 豊水すすきの間)。
- 1992年11月 ウィズユーカード発売開始。
- 1993年6月 エコキップ発売開始。
- 1994年1月 地下鉄・市バス・電車の新デザイン採用。
- 1994年4月 定期観光バスを北海道中央バスに移譲 。
- 1994年6月 地下鉄改札機カード対応化。
- 1994年10月 東豊線延長部(豊水すすきの - 福住間)開業。南北線「霊園前」駅を「南平岸」駅に改称。電車・市バス料金箱カード対応化。
- 1997年4月 共通ウィズユーカード発売開始。
- 1999年2月 地下鉄東西線延長部開業(琴似 - 宮の沢間)。
- 1999年6月 地下鉄南北線2000形電車が全車引退。
- 1999年12月 昼間割引カード発売開始。始終発時刻変更。
- 2000年4月 地下鉄東豊線12駅(栄町 - 北13条東・豊水すすきの - 福住間)を札幌市交通事業振興公社に委託開始。
- 2001年4月 白石自動車営業所を北海道中央バスに移譲、厚別支所を廃止。
- 2001年12月 交通事業改革プランを策定。
- 2003年4月 琴似自動車営業所をジェイ・アール北海道バスに、藻岩自動車営業所をじょうてつバスに移譲。
- 2004年4月 東・新川両自動車営業所を北海道中央バスへ移譲、バス事業を全面廃止。
- 2004年10月 ドニチカキップ発売開始。
- 2006年1月 地下鉄全路線で駅ナンバリング導入。
- 2006年5月 どサンこパス発売開始。
- 2008年8月 地下鉄東西線6000形電車が全車引退。
- 2008年12月 地下鉄南北線に「女性とこどもの安心車両」を導入。
- 2009年1月 地下鉄にICカード乗車券SAPICA導入。
- 2009年3月 地下鉄東西線全駅に可動式ホーム柵を設置完了。
- 2009年7月 地下鉄東西線に「女性とこどもの安心車両」を導入。
- 2010年11月 エコキップ廃止に伴い発売終了。
- 2012年3月 地下鉄南北線3000形電車が全車引退。
- 2013年3月 地下鉄南北線全駅に可動式ホーム柵を設置完了。
- 2013年6月 市電や札幌市内バス3社においてもSAPICA導入。またKitacaやSuicaなど全国各地のICカード乗車券もSAPICAエリア内で利用可能となる。
- 2014年6月 共通ウィズユーカード、昼間割引カード発売終了。
新たな試み
南北線、東西線、東豊線を走る車両には、札幌市営地下鉄としては初めての試みが近年なされた。主な例は、以下のとおりである。
- 英語での車内放送(南北線は2003年から、東西線は2005年から、東豊線は2007年1月から)
- 車内の自動放送(車掌がアナウンスをせず、録音されたものを流すもの)は5000形や8000形などですでに採用されていたが、新たに日本語での次駅案内や乗り換え案内に続いて、同内容の英語での車内放送が追加された。
- 車内放送による駅付近の企業の案内(南北線は2003年から、東西線は2005年から、東豊線は2007年1月から)
- 到着駅案内(まもなく…)の後に、駅付近の施設を「○○へお越しの方は、こちらでお降り下さい」というアナウンスで紹介するもの。バスや市電などではすでに採用されていた案内だが、新たに札幌市営地下鉄でも導入された。
- 2006年1月26日より、東京メトロが先に導入したものにならい、札幌市営地下鉄の路線と駅にアルファベットと数字(駅ナンバリング)を割り当て、北海道外や海外の観光客にも路線と駅を分かりやすくした。
脚注
関連項目
- 共通ウィズユーカード - 磁気式乗車カード。下記SAPICAの導入により、2014年5月31日をもって発売終了。
- SAPICA - 2009年1月30日より地下鉄で導入した非接触式ICカード乗車券
- S.M.A.P.カード - 以前に実証実験を行っていたICカード
外部リンク
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