沖縄電力
テンプレート:出典の明記 テンプレート:Infobox 沖縄電力株式会社(おきなわでんりょく)は、沖縄県を事業地域とする電力会社。浦添市に本社を置く。
目次
概要
2009年度の販売電力量は74億78百キロワットで一般電気事業者10社中10位。一般家庭向けが39.5%、商業用その他が48.3%、大口産業用が12.2%であり、大口産業用の内訳として米軍基地向け9.4%となっている。供給地域は沖縄県内のみであり、日本の電力会社の中で最小。供給地域の小ささから設立当初は九州電力の一部門にしたほうが良いとの意見もあった[1]。2013年には沖縄県中城村でLNG火力発電所(吉の浦火力発電所)を運転開始する予定である。
沖縄県における大手企業の一つであり、沖縄県が約5%の株式を保有する。
沖縄電力の発電設備のほとんどは火力であり、重油価格の上昇の影響を受けやすい事業構造となっている。沖縄電力が発電に使用する石炭と天然ガスについては、特別措置で石油石炭税が全額免除されている[2]。沖縄電力に電気を供給する電源開発の発電所が使用する石炭についても同様である。
日本10電力会社で唯一、原子力発電所を持たない電力会社である。2009年(平成21年)に策定された中長期経営計画には、小型原子力発電の導入可能性の研究が挙げられている[3]。2011年(平成23年)の福島第一原子力発電所事故の翌年に発行された「環境行動レポート」においても、原子力関連企業への出向や原子力に関する情報収集を行なっているとしている[4]。
現在の同社のコーポレートスローガンは「地域とともに、地域のために」である。
沿革
- 1953年4月 - 沖縄では戦後初の新設石炭火力発電所、牧港火力発電所1号機が運転開始(のちに重油に転換)。
- 1954年2月 - 米軍占領下の沖縄において、米国民政府出資の琉球電力公社を設立。
- 1965年6月 - (旧)金武火力発電所が運転開始。
- 1969年6月 - 北谷火力発電所が運転開始。
- 1972年5月 - 沖縄の日本復帰により日本政府および沖縄県出資による特殊法人として沖縄電力株式会社を設立。琉球電力公社から電力事業を引き継いだ。
- 1974年6月 - 石油火力発電所、石川火力発電所1号機が運転を開始。
- 1976年4月 - 沖縄本島内の配電会社5社(沖縄配電、松岡配電、中央配電、比謝川配電、名護配電)を合併。発送配電の一貫供給体制を確立。
- 1978年 - 牧港火力発電所1〜4号機廃止。
- 1982年 - 沖縄県の全島の電力化を完了。
- 1988年10月 - 特殊法人から民営化。翌1989年4月に、現在のシンボルマーク「POWERFUL ISLANDS」(本頁内の写真・同社本店前の社名表記の銘板にも記載)が制定された。
- 1994年3月 - 石炭火力発電所、具志川火力発電所1号機が運転開始。
- 2000年3月-電気事業連合会(電事連)に正式加盟。
- 2000年9月 - 具志川火力発電所においてISO14001認証取得。
- 2000年10月 - 牧港火力発電所においてISO14001認証取得。
- 2002年2月 - 石炭火力発電所、金武火力発電所1号機が運転開始。
- 2002年3月 - 東京証券取引所市場第一部へ上場。
- 2002年10月 - 本社・東京支社・本島全支店営業所においてISO9001:2000取得。
- 2010年3月 - 具志川火力発電所において、木質バイオマスの混焼を開始。
- 2012年11月 - 沖縄電力初のコンバインドサイクル発電方式を採用したLNG火力発電所、吉の浦火力発電所1号機が運転開始。
事業所
- 本店 - 沖縄県浦添市牧港五丁目2-1
- 東京支社 - 東京都港区南青山一丁目15番9号
- 那覇支店 - 那覇市旭町114-4
- 浦添支店 - 浦添市牧港四丁目11-3
- うるま支店 - うるま市字江洲358-2
- 名護支店 - 名護市東江五丁目12-27
- 宮古支店 - 宮古島市平良字荷川取459-1
- 八重山支店 - 石垣市字大浜441-2
- 久米島電業所 - 久米島町字儀間359番地
発電施設
- 全発電量の9割以上火力発電である。
- 総出力には長期計画停止中、定期点検中の号機を含む。廃止された号機、建設中の号機は含まない。
火力発電所
18箇所、210万8,550kW(2014年6月30日現在)[5]
汽力発電所
5箇所、162万9,000kW
発電所名 | 使用燃料 | 総出力 | 号機 | 出力 | 運転開始 | 所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
牧港火力発電所 | 重油 | 12.5万kW | 9号機 | 12.5万kW | 1981年5月 | 浦添市 | 汽力発電分の出力を掲載 1~8号機は廃止 |
石川火力発電所 | 重油 | 25万kW | 1号機 2号機 |
12.5万kW 12.5万kW |
1974年6月 1978年6月 |
うるま市 | 汽力発電分の出力を掲載 |
具志川火力発電所 | 石炭、木質バイオマス | 31.2万kW | 1号機 2号機 |
15.6万kW 15.6万kW |
1994年3月 1995年3月 |
うるま市 | |
金武火力発電所 | 石炭 | 44万kW | 1号機 2号機 |
22万kW 22万kW |
2002年2月 2003年5月 |
国頭郡金武町 | |
吉の浦火力発電所 | LNG | 50.2万kW | 1号機 2号機 |
25.1万kW 25.1万kW |
2012年11月 2013年5月 |
中頭郡中城村 | 3、4号機計画中 (CC方式、50.2万kW予定) |
ガスタービン発電所
4箇所(計画中1箇所)、29万1,000kW
発電所名 | 使用燃料 | 総出力 | 号機 | 出力 | 運転開始 | 所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
牧港火力発電所 | 灯油 | 16.3万kW | 1号GT 2号GT |
6万kW 10.3万kW |
1977年5月 1990年5月 |
浦添市 | ガスタービン分の出力を掲載 |
石川火力発電所 | 灯油 | 10.3万kW | 1号GT | 10.3万kW | 1992年5月 | うるま市 | ガスタービン分の出力を掲載 |
宮古発電所 | 重油 | 1.5万kW | 1号GT 2号GT 3号GT |
0.5万kW 0.5万kW 0.5万kW |
宮古島市 | ガスタービン分の出力を掲載 | |
石垣発電所 | 重油 | 1万kW | 1号GT 2号GT |
0.5万kW 0.5万kW |
石垣市 | ガスタービン分の出力を掲載 | |
吉の浦火力発電所 (マルチガスタービン発電所) |
LNG | kW | kW | 石垣市 | 1号GT(3.5万kW予定)計画中 |
内燃力発電所
13箇所、18万8,550kW
発電所名 | 使用燃料 | 認可出力 | 所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
久米島発電所 | 重油 | 18,500kW | 島尻郡久米島町 | |
渡嘉敷発電所 | 5,200kW | 島尻郡渡嘉敷村 | ||
渡名喜発電所 | 850kW | 島尻郡渡名喜村 | ||
粟国発電所 | 1,680kW | 島尻郡粟国村 | ||
南大東発電所 | 3,640kW | 島尻郡南大東村 | ||
北大東発電所 | 1,540kW | 島尻郡北大東村 | ||
宮古発電所 | 19,000kW | 宮古島市 | 内燃力発電分の出力を掲載 | |
宮古第二発電所 | 55,000kW | 宮古島市 | 2014年4月28日に5号機(15,000kW)運転開始 | |
新多良間発電所 | 1,590kW | 宮古郡多良間村 | ||
石垣発電所 | 24,000kW | 石垣市 | 内燃力発電分の出力を掲載 | |
石垣第二発電所 | 40,000kW | 石垣市 | 6号機(18,000kW予定)計画中 | |
波照間発電所 | 950kW | 八重山郡竹富町 | ||
与那国発電所 | 2,910kW | 八重山郡与那国町 |
関連会社
連結子会社
- 沖電工(建設業)
- 沖電企業(電気事業に必要な周辺関連業務)
- 沖縄プラント工業(電気事業に必要な周辺関連業務)
- 沖縄電機工業(電気事業に必要な周辺関連業務)
- 沖電開発(不動産業)
- 沖電グローバルシステムズ(情報通信事業)
- 沖縄エネテック(建設業)
- 沖縄新エネ開発(建設業)
- 沖設備(建設業)
- ファーストライディングテクノロジー(情報通信事業)
- プログレッシブエナジー(分散型電源事業)
- カヌチャコミュニティ(介護関連事業)
その他関連会社・出資会社
- 沖縄通信ネットワーク(情報通信事業)
- キューテック(経営コンサルタント)
- トラステッド・テクノロジー(セキュリティコンサルティング)
- がんじゅう(豚肉卸・小売)
- グレイス・ラム(ラム酒製造販売)
- Aqua Culture Okinawa(サンゴ養殖)
- 美海トレーディング(窯業製品等製造販売)
- ホイアン沖縄工芸センター(吹きガラス製造・輸出販売)
- アステル沖縄 - 2005年1月末解散、その後ウィルコム沖縄へ営業譲渡される。ウィルコム沖縄は沖縄電力の関連会社ではなくイー・アクセスの子会社(沖電は14%の出資。)
- カヌチャベイリゾート
- 沖縄セルラー電話
- 沖縄都市モノレール
- サンエー
- リウボウインダストリー
- 國場組
- りゅうせき
- パム(観光情報提供業)
天下り問題
- 福島第一原子力発電所事故以降、経済産業省と電力会社の天下り問題が監督官庁である経産省の原子力発電所の安全基準のチェックを甘くさせる構造として批判が集まった(ただし、沖縄電力には原子力発電所は存在しない)。
関連項目
脚注
- ↑ 出典:圓尾雅則著『電力・ガス』日経文庫、2006年
- ↑ 沖縄振興特別措置法65条2項、租税特別措置法94条の4の3
- ↑ 経営方針・経営計画に掲載の「沖縄電力中長期経営計画の概要」の10ページ
- ↑ 環境関連情報に掲載の「環境行動レポート2012」の33ページ
- ↑ 沖縄電力 電力設備詳細