富田林市
富田林市(とんだばやしし)は、大阪府南河内地域に位置する市。
古くは、紀伊国(和歌山県)へ続く街道の宿場町として栄え、戦国末期より、京都興正寺別院を中心とする寺内町として発展した。南河内地域の中心都市とされる。その他の新市街地は、主にUR都市機構や近鉄と南海電鉄によって開発された、典型的なベッドタウンとなっている。近年は、施設や基盤の整備も一段落し、落ち着いた良好な自然環境を有する、いきいきと健やかに暮らせる郊外都市として成熟しつつある。
「富田林寺内町」は戦国時代に起源をもち、歴史的建造物からなる街並みがよく保存されており、重要伝統的建造物群保存地区として選定されている。
人口は高度成長期以降増加が続き、2000年には126,558人に達したが、それ以降は大阪市の都心回帰や周囲の自治体との競合などにより微減傾向にある。
また、パーフェクト リバティー教団の大本庁があることでも知られており、「PLタワー」等と呼ばれる巨大な塔が景観シンボル的な存在となっているほか、毎年8月1日には同教団の主催する教祖祭PL花火芸術は地元だけではなく関西方面では一大イベントとなっている。
目次
地理
大阪府の東南部に位置する自然と歴史に恵まれたまち。北東平坦部は、南北に流れる石川をはさんで平野が広がり、古くからまちが開けたところで、特に「富田林寺内町」には歴史的に貴重な町並みが残されている。 一方、南部は、雄大な金剛・葛城連峰を背景に緑豊かな丘陵と美しい田園風景が広がり、農業公園やスポーツ公園などがあり自然景観にあふれている。また、西部丘陵地域は、計画的に開発の進んだ環境水準の高いニュータウンとなっている金剛ニュータウンがある。
隣接する自治体・行政区
人口
平成22年国勢調査より前回調査からの人口増減をみると、3.61%減の119,454人であり、増減率は府下43市町村中38位、72行政区域中65位。 テンプレート:人口統計
歴史
先史時代より人々の暮らしが営まれ、弥生時代には二上山周辺に産出するサヌカイトを利用した石器が喜志や中野において大量に生産され、交易を通じて近畿地方に広く流通していたものと思われる。石川を望む丘陵上には石川流域に繁栄したであろう氏族の首長たちの古墳が多く造営されている。
太平記の時代においては楠木正成の山城が築かれ、足利軍を迎え撃ちした。
応仁の乱においても、いくつかの山城が築かれ、群雄割拠の後、治世が落ち着き始めた16世紀の中頃の永禄年間に、京都興正寺門跡第16世証秀上人が「富田の芝」と呼ばれていた荒地を買い受け、寺と町衆の協力によって寺内町が造営された。
昭和25年の市制施行の後、高度成長期には大阪市近郊の住宅地として大規模な住宅開発が進み人口が急増し、これにあわせて都市基盤整備も進展してきた。
近年は、人口が減少しまちの活性化が課題となっており大阪芸術大学(河南町)と地域の課題解決や地域の振興に共同で取り組むための協定を締結するなど積極的に市の魅力の情報発信を行っている。
- 1875年(明治8年)、石川郡北別井村と南別井村が合併して別井村となる。
- 1889年(明治22年)4月1日、町村制施行により、石川郡富田林村、喜志村、新堂村、大伴村、東条村、錦部郡廿山村、錦郡村、彼方村が発足。
- 富田林村 - 富田林村、毛人谷村が合併
- 喜志村 - 喜志村単独
- 新堂村 - 新堂村、中野村が合併
- 大伴村 - 北大伴村、南大伴村、別井村、山中田村、板持村(東板持)が合併
- 東条村 - 佐備村、龍泉村、甘南備村が合併
- 廿山村 - 廿山村、甲田村、新家村、加太新田が合併
- 錦郡村 - 錦郡村、錦郡新田、伏山新田が合併
- 彼方村 - 彼方村、板持村(西板持)、伏見堂村、横山村、嬉村が合併
- 1896年(明治29年)4月1日、南河内郡が成立。
- 1896年(明治29年)8月1日、富田林村が町制施行。南河内郡富田林町となる。
- 1899年(明治32年)3月30日、廿山村が川西村に改称。
- 1942年(昭和17年)4月1日、喜志村、新堂村、大伴村、川西村、錦郡村、彼方村を富田林町に編入。
- 1950年(昭和25年)4月1日、富田林町が市制施行。大阪府下第16番目の市、富田林市となる。
- 1957年(昭和32年)1月15日、東条村を富田林市に編入。
行政
市章について
1942年10月1日に制定し、富田林の頭文字「富」を「ト」とし、「ト」を三つ重ねて「トミ」と読み、各々の尖端が矢のようにされていることは、広く発展することを意味している。[1][2]
政治
衆議院
参議院
- 選挙区 : 大阪府選挙区
大阪府議会
市議会
議員定数 : 19 議長 : 高山 裕次
経済
産業
- 主な産業 - 市を縦断する石川の左岸に中小企業団地があり、食品から機械までさまざまな製品を生産している。
- 産業人口 - 富田林市の就業者のうち、第一次産業従事者は699人、第二次産業従事者は11,237人、第三次産業従事者は34,598人である(平成22年国勢調査)。
- 特産物 - 特産物は簾(すだれ)である。特に富田林市・河内長野市・大阪市で製造された簾は「大阪金剛簾」と呼ばれ、高級品のひとつにもなっている[3]。
- 農産物 - 農産物はナス、エビイモ、イチゴ、キュウリ、ズイキ
金融機関
銀行
- 三菱東京UFJ銀行富田林支店
- 三井住友銀行富田林支店
- りそな銀行富田林支店
- 近畿大阪銀行
- 富田林支店
- 喜志支店
- 池田泉州銀行(以下は、いずれも旧:泉州銀行店(『テンプレート:Color』))
- 喜志支店
- 金剛支店
- 関西アーバン銀行狭山支店
信用組合
労働金庫
- 近畿労働金庫富田林支店
農協
- JA大阪南
- 南本店
- 川西支店
- 富田林支店
- 喜志支店
- 大伴支店
- 錦郡支店
- 東條支店
- 青葉支店
- 大伴営農経済センター
日本郵政グループ
(2012年12月現在)
- 富田林郵便局(甲田(こうだ)) - 集配局。★
- 富田林梅の里郵便局(梅の里)
- 喜志郵便局(喜志町)
- 富田林藤沢台郵便局(藤沢台)
- 富田林久野喜台(くのきだい)郵便局(久野喜台)
- 富田林小金台郵便局(小金台) ★
- 富田林若松一郵便局(若松町)
- 富田林大伴(おおとも)郵便局(北大伴町)
- 富田林板持(いたもち)郵便局(西板持町)
- 富田林錦織郵便局(錦織中)
- 富田林寺池台郵便局(寺池台) ★
- 富田林西口郵便局(寿町)
- 富田林若松郵便局(若松町)
- 東條簡易郵便局(佐備)
- 青葉簡易郵便局(加太)
- 富田林南大伴簡易郵便局(南大伴町)
- 簡易郵便局3箇所を除く各郵便局にゆうちょ銀行のATMが設置されており、★印の郵便局ではホリデーサービスを実施。
※富田林市内各区域の郵便番号は「584-00xx」(富田林郵便局の集配担当)となっている。
納税
富田林における事業所得者などの方の市・府民税の納税方法いわば普通納税は以下のとおりである。なお、コンビニエンスストアによる納税方法は、平成21年度から開始された。
- 市から送付される納税通知書を用いて直接市に税金を納める
- 口座振替による納税
- コンビニエンスストアにて納税
姉妹都市・提携都市
- テンプレート:Flagicon諏訪市:防災協定を締結[4]。
- テンプレート:Flagicon ベスレヘム市(アメリカ合衆国ペンシルベニア州):南河内府民センターから大阪外環状線までの市道を「ベスレヘムどおり」と命名し、両市の友好の木であるハナミズキが植えている[5]。
- テンプレート:Flagicon 彭州市(中国)
教育
- 大学
- 大阪大谷大学
- 藍野大学短期大学部青葉丘キャンパス(私立・看護)
- 高等学校
- 大阪府立富田林高等学校
- 大阪府立河南高等学校
- 大阪府立金剛高等学校
- 初芝富田林高等学校(私立)
- PL学園高等学校(私立)
- 中学校
公立8校全ての中学校で選択制中学校給食を実施している。
- 小学校
- 支援学校
交通
鉄道路線
市の中心部にある富田林駅を境に西側が金剛ニュータウン、東側が旧市街地と分かれており、金剛ニュータウンに住んでいる人々は大阪狭山市にある金剛駅を利用することが多い。市の西側は南河内でも有数の閑静な住宅街、東側はのんびりした住農混在地となっている。
バス
- 近鉄バス : 喜志駅・富田林駅から丘陵地のニュータウンを結ぶ他、堺市(北野田駅)方面の路線も運行する。
- 富田林市レインボーバス:直通バスのない金剛ニュータウン西部と富田林市中心部を結ぶ路線。当初は無料運行で、リフトバスが使われたが、現在は大人100円・小児50円で利用できる。近鉄バスが運行。一時期は4路線まで拡大したが、後から新設した3路線は利用率が低く廃止された。
- 金剛自動車 : 市内に本拠を持つ独立系の会社。喜志駅・富田林駅から東側および南河内郡方面を結ぶ。タクシーも運行。
- 南海バス : 金剛駅から金剛ニュータウンの路線を運行。そのほか大阪駅・難波駅からは深夜急行バス、関西国際空港へのリムジンバスも運行。
道路
富田林市内を通る主な幹線道路はこの2つである。 南阪奈道路は市域を通過しないが、市境から羽曳野市内数百メートルのところに羽曳野インターチェンジが存在する。
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- 富田林寺内町 - 興正寺別院の寺内町。重要伝統的建造物群保存地区。(富田林の寺内町)寺内町の旧杉山家住宅は、重要文化財に指定されている。
- 錦織神社(本殿は国の重要文化財)
- 瀧谷不動明王寺(日本三大不動の一つ、毎月28日が縁日)
- 龍泉寺(仁王門が国の重要文化財、庭園が名勝に指定)
- 美具久留御魂神社(大国主命を主祭神とする)
- 楠妣庵観音寺(楠木家の菩提寺であり、紅葉の名所)
- 目白不動願昭寺(信者手作りの寺であり、梅の名所)
- 新堂廃寺跡・オガンジ池瓦窯跡・お亀石古墳(7世紀前半の遺跡)
- 佐備神社の神楽祭(巫女、稚児が登場)
- 富田林嶽山温泉 - かんぽの宿富田林
- サバーファーム(富田林市農業公園) - 春は苺、夏はぶどう、秋は芋などを摘む・掘ることができる。
- すばるホール - 市内で各種イベントが行われている多目的ホール。常設のプラネタリウムがある。
- パーフェクト リバティー教団 (PL) 大本庁 - 「教祖祭PL花火芸術」や「PL学園」などで有名。
- 富田林市立総合スポーツ公園 - なみはや国体を契機に整備された総合運動公園。多目的競技場、野球場、テニスコート等がある。
地車(だんじり)
毎年10月第2土日・第3土日に地区毎に曳行をし、各氏子区の神社へ俄(仁輪加)を奉納する伝統行事。主に新堂大工組で制作された俄地車(石川型)が多く存在する。
地区名 | 奉納神社名 | 単位地区名 |
---|---|---|
錦織地区 | 錦織神社 | 錦織・廿山・甲田・五軒家・宮甲田・須賀・新家・伏山・加太 |
佐備地区 | 佐備神社 | 下佐備・中佐備・上佐備 |
春日地区 | 春日神社 | 彼方・伏見堂・嬉 |
喜志地区 | 美具久留御魂神社 | 宮・櫻井(桜井)・喜志・喜志新家・川面・平・尺度・新堂・若一(若松町一丁目) ・寺内町・中野町・毛人谷・富田林町・梅の里 |
建水分地区 | 建水分神社 | 北別井・南別井・東板持 |
石川地区 | 壹須何神社 | 北大伴・南大伴 |
大伴地区 | 大伴黒主神社 | 山中田 |
板持地区 | 板茂神社 | 西板持 |
出身有名人
- 田中萬逸(元国務大臣・衆議院副議長)
- 石上露子(明治後期の女流歌人) - 生家は寺内町の旧杉山家住宅。
- 岸本忠三(医師・研究者・元大阪大学学長)
- 宮川泰(作曲家、タレント)
- 國村隼(俳優)
- 板尾創路(お笑い芸人、130R)
- 大西ユカリ(歌手)
- 宮本恒靖(元プロサッカー選手 ガンバ大阪ヴィッセル神戸等に所属 元サッカー日本代表)
- 奥村幸大(オリンピック水泳選手)
- 山田和英(元プロ野球選手 阪神タイガース・投手OB)
- 松井稼頭央(プロ野球選手 東北楽天ゴールデンイーグルス所属)小学生時代を富田林で過ごす。
- 土屋光(陸上競技選手 走り高跳び モンテローザ所属)
- 花岡伸和(車いすマラソンパラリンピック選手)
- 田中雅彦(プロ野球選手 東京ヤクルトスワローズ所属)
- 勧野甲輝(プロ野球選手 福岡ソフトバンクホークス所属)
- 稲川翔(競輪選手)
その他
- 石川サイクル橋 - 短い時間ではあるが夜はライトアップもされる
- 超新星スバルファイブ - 富田林市で活動するローカルヒーロー
- カッパサラマンダー - 富田林発のローカル怪人
関連項目
脚注
- ↑ 図典日本の市町村章 p155
- ↑ 富田林市市章、市民憲章
- ↑ 大阪金剛簾:伝統工芸品一覧大阪府ホームページ
- ↑ 諏訪市と大阪府富田林市 災害時相互応援協定締結長野日報(2006年9月2日)
- ↑ 2004年ニュース富田林市ホームページ
- ↑ バファローズ球場誕生へ 富田林市と初のニックネーム協定スポニチ(2012年12月11日)
- ↑ 大阪にバファローズ球場誕生へ 富田林市、初の協定NumberWeb(2012年12月11日)
外部リンク
- 富田林市公式ページ
- 富田林市長および市議会議員
- Panoramio(グーグルアースに掲載されている富田林市の写真集)
- 富田林市内の街並み(ページ内:2001年 - 2004年)