笠岡市
笠岡市(かさおかし)は、岡山県南西部に位置する市。瀬戸内海には笠岡諸島がある。
目次
概要
当市は人口約5万3千人、岡山県南西部の瀬戸内海沿岸の港町で、大小31の島々からなる笠岡諸島を含む井笠地方の中核都市である。笠岡湾干拓地と天然記念物カブトガニ繁殖地として有名で、生息地の保全などを通して保護に力を入れている。
旧備中国に含まれ、かつては源平合戦にも参加した陶山氏。また村上水軍の支配地で、現在のほとんどの市域は江戸時代初期は備後福山藩領、江戸時代中・後期は幕府代官所が置かれた幕府直轄地であった。現在は広島県福山市に隣接し、生活圏としては福山都市圏の一部であるが、ここ数十年間の人口は漸減状態である。
地理
笠岡市は丘陵地が多く平坦な土地が少ないため、平地を確保するために古くは江戸時代より備後福山藩によって吉浜地区など大規模な干拓が行われる。戦後、市の南東部(富岡湾干拓)や南西部(笠岡湾干拓)も行われ、特に笠岡湾干拓は国営事業で笠岡諸島の一番本土寄りであった神島(こうのしま)までの笠岡湾を大規模に干拓し、1966年に始まり1989年に完成した。
瀬戸内海に面し、笠岡湾が入り込んでいる。また、神島より南に笠岡諸島があり六島は岡山県最南端である。
笠岡十名山
笠岡十名山は笠岡十名山探求会(現・笠岡十名山のぼろう会)が1999年(平成11年)に標高、山の歴史、山頂からの眺望、登山道の有無等を基準として選定した山である。名称には「十名山」と冠するが、実際には14つの山が選ばれている。 テンプレート:Col-begin テンプレート:Col-break
- 御岳山 (320m)
- 栂丸山 (306m)
- 応神山 (215m)
- 妙見山 (282m)
- 龍王山 (267m)
- 神の峰
- 大石山
- 四尋山
- 虚空蔵山 (258m)
- 阿部山 (354m)
- 八幡山
歴史・江戸時代以降
- 1619年(元和5年) - 徳川家康の従兄弟水野勝成が西国鎮衛の役目を命じられ備後国東南部・備中国西南部の十万石に転封し、笠岡には備後福山藩の笠岡代官所が設置される。
- 1698年(元禄11年) - 水野家5代藩主水野勝岑死去による無嗣除封に伴い、福山藩領のうち現在の笠岡市分の大半は分割され、福山藩領、天領、旗本領となる。
- 1700年(元禄13年) - 笠岡町に幕府代官所が設けられ,以後現在の市域の大部分は幕末まで42代170年の幕府代官支配が行われる。
- 1730年(享保15年) - 入江新田・西大島新田の干拓が完成。
- 1871年(明治4年) - 明治維新・廃藩置県により福山県に編入、のちに改称され深津県の所属となる。
- 1872年(明治5年) - 深津県と倉敷県が統合し小田県設立。それに伴い、県庁が福山から笠岡に移転。
- 1875年(明治8年) - 小田県が岡山県へ編入。(その後、旧備後6郡は広島県に分割となる。)
- 1891年(明治24年) - 7月14日 山陽鉄道(現:JR)山陽本線倉敷 - 笠岡間、9月11日笠岡 - 福山間開業。
- 1952年(昭和27年) - 4月1日 小田郡笠岡町・金浦町が合併し市制施行。
- 1953年(昭和28年) - 小田郡城見村・神島内村・大井村・陶山村・吉田村・新山村を編入。
- 1955年(昭和30年) - 小田郡神島外町・北木島町・真鍋島村・白石島村・浅口郡大島村を編入。
- 1958年(昭和33年) - 富岡湾干拓事業が完成する。
- 1960年(昭和35年) - 小田郡北川村を編入、現在の市域となる。
- 1961年(昭和36年) - 隣接の福山市と跨る形で日本鋼管福山製鉄所(現在のJFE西日本製鉄所)が進出。
- 1990年(平成2年) - 国営笠岡湾干拓事業が完成する。干拓地を会場に「笠岡食と緑の博覧会」が開催される。
- 2001年(平成13年) - 笠岡ふれあい空港がオープン。
- 2006年(平成18年) - 倉敷市、井原市、浅口市などとともにご当地ナンバーである「倉敷ナンバー」の地域のエリアに入った。
- 2011年 (平成23年) - 国道2号線バイパス(笠岡バイパス)の暫定区間が開通し、同時に道の駅「笠岡べいふぁ〜む」が開業する。
旧茂平村越県合併騒動
1963年(昭和38年)ごろ笠岡市に編入されていた城見村の旧茂平村(1889年他2村と共に城見村設立)が笠岡市(岡山県)より分離、福山市(広島県)との越県合併を模索した騒動。
騒動の経緯
旧茂平村地区は、当時より、地理的(地区が隣接する)、社会的(多くの住民の親戚等が福山市に居住および福山市出身の住民が多い)により福山市との結びつきが特に強い地域であった。そのため、以前より幾度かの合併案はあった。1961年日本鋼管(現:JFEスチール)の世界最大規模の新工場が茂平村地区、広島県深安郡深安町、福山市沖へ進出することが決定。それに伴い1962年深安郡深安町が福山市と合併、茂平村地区が福山市と隣接するようになる。当時、福山市は経済面、人口面の規模が拡大、松永市との合併による大規模な市の誕生も見込まれていた。更に1963年岡山県和気郡日生町福浦が強い住民運動の末兵庫県赤穂市と合併、編入。このような状況に刺激をうけた住民が1962年年ごろより大規模な合併運動を開始。当時広島県議会議員中川弘(のち福山市長に就任)賛同のもと、福山市議会議員数人の賛同も得た。また、城見村内で旧茂平村地区とと同じ境遇の旧用之江村地区も福山市との合併に賛同し共同で運動を始めた。そして1963年旧茂平村地区、旧用之江村地区合名で福山市に合併嘆願書を提出した。
騒動の集結
福山市に合併嘆願書が提出されると、岡山県議会、笠岡市議会からの反対運動が起こる。また、翌年(1964年)岡山県知事に地元出身の加藤武徳が就任すると、知事も合併運動に反対し、騒動は終結する。
行政
公共機関
- 国
- 笠岡税務署
- 笠岡労働基準監督署
- 笠岡公共職業安定所
- 岡山地方法務局笠岡支局
- 笠岡公証役場
- 郵便局(笠岡郵便局 他17箇所、簡易郵便局4箇所)
- 岡山県
- 備中県民局井笠支局
- 笠岡警察署
- 市・行政組合
- 笠岡消防署
- 笠岡消防署北出張所
- 笠岡市立図書館(福山市の図書館とは相互貸借ができる)
- 笠岡市民病院
- 公民館(笠岡中央公民館 他16箇所)
- 笠岡終末処理場(下水処理場)
- 岡山県西部衛生施設組合(屎尿処理)
- 岡山県西部環境整備施設組合(ゴミ処理)
- 井笠広域斎場
体育施設
- 笠岡市民体育センター
- 岡山県西部総合運動公園
- 陸上競技場(サッカー場 ※なでしこ リーグ吉備国際大ホーム)
- 笠岡総合体育館(バレーボールVリーグ公式戦で毎年使用される)
- 古代の丘スポーツ公園
その他データ
- 下水道普及率:30.8%
- 上水道は倉敷市を流れる高梁川より導水し、浄化して配水している。
経済
商業施設
- 近年、二番町から三番町にかけての国道2号沿い500mほどの区間に複数の商業施設が進出している。
- 笠岡駅南側にマルナカ笠岡店(笠岡市一のショッピングセンター)があり、2階にザ・ダイソー・ウエスギ、駐車場側にはKFC・ミスタードーナツがある。
産業
南西部の茂平(もびら)地区に産業団地があり、工業・流通関係企業集積が進む。またその南側埋め立て地にはJFEスチール西日本製鉄所福山地区の工場が立地する。市内の島嶼部で最大の面積をもつ北木島では採石が盛ん、産出される石は靖国神社や大阪城で使われている。また、真鍋島では花卉の栽培が盛んで、かつては除虫菊が主要栽培品目となっていた。
名産品
- 海産物
- 石材(北木島など)
- ベントナイト(特殊粘土 笠岡市北部で大量に産出される)
- いちぢく(いちぢく羊羮が、土産物として販売されている)
姉妹都市・提携都市
国内
海外
- テンプレート:Flagicon テンプレート:仮リンク(スウェーデン王国)[1]
- テンプレート:Flagicon コタバル市(マレーシア)[1]
- 産業交流都市(1999年10月21日)
地域
人口
教育
小学校
- 笠岡市立今井小学校
- 笠岡市立大井小学校
- 笠岡市立大島小学校
- 笠岡市立大島東小学校
- 笠岡市立笠岡小学校
- 笠岡市立金浦小学校
- 笠岡市立北川小学校
- 笠岡市立北木小学校
- 笠岡市立神内小学校
- 笠岡市立神島外小学校
- 笠岡市立白石小学校
- 笠岡市立城見小学校
- 笠岡市立陶山小学校
- 笠岡市立中央小学校
- 笠岡市立新山小学校
- 笠岡市立飛島小学校
- 笠岡市立真鍋小学校
- 笠岡市立六島小学校
- 笠岡市立吉田小学校
中学校
- 笠岡市立飛島中学校
- 笠岡市立大島中学校
- 笠岡市立笠岡西中学校
- 笠岡市立笠岡東中学校
- 笠岡市立金浦中学校
- 笠岡市立北木中学校
- 笠岡市立神島外中学校
- 笠岡市立白石中学校
- 笠岡市立新吉中学校
- 笠岡市立真鍋中学校
- 笠岡市矢掛町中学校組合立小北中学校
高等学校
専門学校
- 笠岡歯科技工専門学校
特別支援学校
- 岡山県立西備支援学校
放送
地上波テレビ放送(アナログ)
市域の大半が丘陵地にあるため、比較的出力の小さい中継局が多数設置されている。ここでは、受信可能世帯数が最も多い笠岡中継局(塚の丸山山頂、各局とも垂直偏波)のチャンネルを記した。
- NHK:2チャンネル(総合)、4チャンネル(教育)
- 山陽放送(RSK、TBS系列):6チャンネル
- 岡山放送(OHK、フジテレビ系列):60チャンネル
- 西日本放送(RNC、日本テレビ系列):34チャンネル
- 瀬戸内海放送(KSB、テレビ朝日系列):55チャンネル
- テレビせとうち(TSC、テレビ東京系列):22チャンネル
なお、一部地域ではケーブルテレビ局の笠岡放送を通じて各局の視聴が可能である。
地上波テレビ放送(デジタル)
局名 | NHK岡山 | RSK | OHK | RNC | KSB | TSC | 出力 | 偏波面 | 中継局所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
総合 | 教育 | |||||||||
(リモコン番号) | 1 | 2 | 6 | 8 | 4 | 5 | 7 | |||
笠岡デジタル | 32ch | 45ch | 21ch | 27ch | 20ch | 30ch | 18ch | 30W | 垂直 | 塚の丸山 |
AMラジオ放送
NHKは笠岡地区に中継局がないため、岡山市にある本局を直接受信する。地域によっては、隣接する福山市からの放送波も受信できる。
ただし、山陽放送を除いては夜間の混信妨害が著しい。
FMラジオ放送
市内では、以下のFM放送が受信可能である。
- 一部の地域で受信可能なFM局
隣接する自治体
広島県福山市との関係
福山市を中心とする備後都市圏に含まれ、都市雇用圏の定義では10%通勤圏にあたるなど深い交流関係を持つ。両市は消防救急(消防車、救急車の相互出動など)や図書館(笠岡市立図書館と福山市図書館との間の相互貸し出し協定)などで連携している。また、笠岡市茂平地区は福山市立野々浜小学校の通学区域に含まれており、同地区の児童は越県通学している。
交通
空港
鉄道
なお、上記以外に笠岡市と井原市、矢掛町、福山市神辺町とを結ぶ井笠鉄道の私鉄路線が1913年(大正2年)から1971年(昭和46年)まで存在した。
バス
道路
航路
市域に笠岡諸島(白石島・北木島・真鍋島)があり、笠岡港から客船・高速船で結んでいる。 フェリー乗り場(新笠岡港)は、笠岡港とは別の場所にあり、笠岡港からは古城山トンネルを抜けるか海側の市道を廻らなければフェリー乗り場に着けない。
国道2号線(金浦交差点)
笠岡市内での交通事故多発地点で、市内ワーストエリア。[2] 毎年、死亡事故や人身事故が発生しており、危険箇所として事故防止の幟や標識を立て対策をしているが、事故は減っていない。(2014年2月〜交差点の改良工事が開始される予定)
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
観光
- 笠岡諸島 白石島は国の名勝、白石島の鎧岩は国の天然記念物
- 笠岡市立カブトガニ博物館
- 笠岡市立竹喬美術館
- 井笠鉄道記念館
- 笠岡湾干拓地
- なびっくランド
- 笠岡古城山公園(備中笠岡城跡、4月は花見で賑わう)
祭り
- ひったか(毎年旧暦5月5日頃の土曜日、金浦地区で行われる毎年、約10000人が訪れる当地の伝統祭り)
- おしくらんご(毎年旧暦5月5日頃の日曜日、金浦湾で行われる小舟の競争。源平合戦が由来の祭り)
- 白石踊(毎年8月旧盆、国の重要無形民俗文化財)
- 大空と大地のひまわりカーニバル(毎年8月下旬)
催事
- 木山捷平文学賞(1996年に設立。2005年に終了)
ギャンブル
競輪
- サテライト笠岡(競輪場外車券売場マルナカ笠岡店隣接)
パチンコ・パチスロ
文化
笠岡ラーメン
鶏がらスープを基本にした店が多く、岡山県内唯一のご当地ラーメンとして有名。
笠岡市青果市場内にある「おっつぁんラーメン」は地元でも有名で、新日本プロレスリングの真壁刀義が自信のブログに紹介している。岡山に試合で巡業などで来た際には、必ず立ち寄っている。
市内が舞台の作品
- 彼のオートバイ、彼女の島(片岡義男の作品。笠岡市内にある白石島が舞台となっている。1986年に角川書店より映画化)
- ボビーに首ったけ(同じく片岡義男の作品。物語のヒロインが笠岡市在住という設定である。1985年に角川書店よりアニメ映画化)
- アプサラス-神の逆鉾-(笠岡市出身の小説家、吉岡平のライトノベル作品。物語の舞台であるO県・壇内市のモデルとなっており、実在の土地・建物の多くがそのまま描写されている。ちなみに壇内市という名称はラヴクラフトの作品『ダンウィッチの怪』のもじりである)
テレビ放送
また、2008年の日本一周ソーラーカーの旅では、笠岡市茂平地区から岡山県に入り神島外浦漁港でロケを行っている。
名誉市民
- 小野竹喬(日本画家)
- 小野博(初代 - 第6代笠岡市長)
- 天野與市(元県議)
- 伊藤大孝(元県議)
- 渡邊嘉久(元市議,第7代 - 第12代笠岡市長)
笠岡思民(しみん)大使
出身の著名人
- 関藤藤陰(福山藩儒学者)
- 森田思軒(翻訳家)
- 木山捷平(小説家)
- 小野竹喬(日本画家)
- 原彪(元衆議院議員)
- 加藤六月(元衆議院議員)
- 片山虎之助(前参議院議員)
- 梅垣義明(俳優、WAHAHA本舗劇団員)
- 島田洋八(漫才師、B&B)
- 吉岡平(小説家)
- 大悟(漫才師、千鳥)
- 名越二荒之助(学者、社会思想史)
- 田中勝己(作曲家、ラジオパーソナリティ)
- 池田清明(画家、一水会 (美術家団体)委員 日展会員)
- 吉井照典(笠岡市議会議長、笠岡・教積院住職)
- 森安正幸・森安秀光(将棋棋士)
- 黒田淳(競輪選手、元BMX選手)
ゆかりの著名人
- 井戸正明 (通称、芋代官)
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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- ↑ 金浦大橋〜西ノ浜交差点(約700m)は山沿いを通っており、左右に急カーブを描いている為、深夜は外灯はあるがライト点灯でもコースが分かりにくく、スピードの出しすぎで曲がり切れず山肌のコンクリート壁やガードレールに激突する事故が発生している。www.cgr.mlit.go.jp(2013年度対策協議より)
- ↑ さんようタウンナビ 『笠岡の大使に千鳥・大悟さん 魅力発信へ10日に委嘱』、山陽新聞社(2013年(平成25年)1月4日)、2013年(平成25年)1月10日閲覧。