彼のオートバイ、彼女の島
『彼のオートバイ、彼女の島』(かれのオートバイ、かのじょのしま)は、片岡義男の小説およびそれを原作にした日本の映画。
音楽大学に通い、オートバイ(カワサキの650RS-W3)に乗り、アルバイトでプレスライダーをしている主人公と、瀬戸内出身の女性が、初夏の信州、温泉で知り合い、展開していく物語。
概要
1977年8月に角川書店からハードカバーとして出版され、1980年5月に角川文庫に収録された。初期の片岡義男のオートバイ小説である。その後「時には星の下で眠る」「幸せは白いTシャツ」などの一連のオートバイ小説が続いた。いくつかのドラマはあるものの、比較的平坦な中でオートバイとともにある日常を生き生きと描いた作品。「同時代のライダーのバイブル的地位を占めた」という見方がある。
彼と彼女が抽象的に完璧に対等である、ということを読んでほしい。この長編を書くために、僕はW1を二台、そしてW3を一台、買った。 --片岡義男「本人による角川文庫作品解説」『月刊カドカワ』1990年4月号、角川書店
映画
1986年4月26日に公開された。映画監督の大林宣彦が、原田知世の姉である原田貴和子をヒロインに起用してメガフォンを取った作品である。「彼女の島」は瀬戸内の島(原作では岡山県笠岡市の白石島となっているが、映画では広島県の岩子島でロケを行っている)という設定になっており、ある意味で大林監督の「尾道映画」とも近い位置づけと言える。なお作品中で原田貴和子はヌードを披露している。その場所は群馬県にある法師温泉の長寿館の浴室である。本作がデビューとなる竹内力は映画初主演。それまで九州で三和銀行の社員をしていたが、役者になりたいと一念発起してオートバイで東京に出て来た。この話を聞いた大林監督が竹内をすっかり気に入って「この映画に出るのはキミの運命だ」と主役に抜擢した[1]。
スタッフ
- 原作 - 片岡義男
- 脚本 - 関本郁夫
- 監督・編集 - 大林宣彦
- 撮影 - 阪本善尚
- 音楽 - 石川光、宮崎尚志
- 美術 - 薩谷和夫
- セカンドユニット監督 - 山名兌二
- 音響効果 - スワラプロダクション
- カースタント - タカハシレーシング
- 技斗ー西本良治郎
- 刺青 - 栩野幸知
- タイトル - 白組
- スタジオ - にっかつ撮影所
- 録音スタジオ - アバコクリエイティブスタジオ
- 現像 - IMAGICA
- 製作者 - 角川春樹
- プロデュース - 森岡道夫、大林恭子
キャスト
- 竹内力 - 橋本巧 (コオ)役
- 原田貴和子 - 白石美代子(ミーヨ) 役
- 渡辺典子 - 沢田冬美 役
- 高柳良一 - 小川敬一 役
- 三浦友和 - 沢田秀政 役
- 田村高廣 - 白石康一郎 役
- 根岸季衣 - 道草のママ 役