平成17年台風第14号
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テンプレート:Infobox 平成17年台風第14号(へいせい17ねんたいふうだい14ごう、アジア名:ナービー〔Nabi、命名国:韓国、意味:蝶〕)は、2005年(平成17年)8月に発生し、日本に大きな被害を与えた台風である。広い暴風域を維持したまま、ゆっくりとした速度で進んだため、各地に甚大な被害を与えた。後に、激甚災害に指定された。
目次
概要
- 2005年8月29日 - 21時にマリアナ諸島近海で発生、西に進む。
- 9月4日 - 沖縄県大東島地方が暴風域に入る。
- 9月5日 - 首相官邸の危機管理センターに連絡室が設置される。
- 9月6日 - 13時頃熊本県天草下島を通過し、14時頃長崎県諫早市付近に上陸。夜には日本海へ抜け北上。
- 9月8日 - 4時半頃北海道北部に再上陸、6時頃、稚内市付近からオホーツク海に抜け、15時に千島近海で温帯低気圧に変わる。
記録
※各種報道、気象庁発表のデータを元に作成
雨量
- 1時間雨量(上位3地点)
- 日降水量(上位3地点)
- 降り始めからの雨量(上位3地点)
風速
高潮
被害
日本各地の被害状況
※死傷者が出た被害、その他主な被害のみ記載
- 九州地方
- 宮崎市で竜巻が発生、家屋や車などを破壊。
- 鹿児島県垂水市でがけ崩れと鉄砲水で4人死亡。
- 熊本県阿蘇市の豊肥本線が倒木にぶつかりガラスにひびが入る。
- 宮崎県三股町で土砂崩れ、住宅が倒壊。2人死亡。
- 宮崎県北部の高千穂鉄道高千穂線にある五ヶ瀬川に架かる二つの鉄橋が崩落。復旧を断念し、3年後の2008年12月で全線が廃線となった。
- 宮崎県椎葉村で土砂崩れ、民家3棟が全半壊。1人死亡、2人行方不明。
- 宮崎県高千穂町で土砂崩れ、家屋が倒壊。3人死亡、1人行方不明。
- 宮崎県の大淀川、五ヶ瀬川、小丸川流域で浸水が多数発生。宮崎県内の床上・床下浸水は2,253戸。特に高岡町、宮崎市小松、延岡市での被害が大きい。
- 熊本県五木村築切の国道445号が数ヵ所で損壊した。
- 四国地方
- 中国地方
- 近畿地方
- 北陸地方
- 関東地方
インフラへの影響
その他
- 衆議院選挙期間中であったが、各地で掲示板が一時撤去された。また、選挙活動も一時中止や予定変更など立候補者、政党にも影響が出た。
- 各地で栗や梨、リンゴが落下したり、稲が倒れたりするなどの農作物に被害があった。
韓国での被害
韓国南部でも記録的な大雨となり、各地で洪水、浸水、土砂崩れがあった。
- 日降水量
- 被害
その他
- 災害救助法が適用された地域
- 宮崎県 - 東諸県郡高岡町・国富町・高城町、東臼杵郡北方町・東郷町・諸塚村・椎葉村・西郷村・北川町、宮崎市、延岡市、西都市、西臼杵郡日之影町
- 山口県 - 玖珂郡美川町、岩国市
- 東京都 - 中野区、杉並区
- 鹿児島県 - 垂水市
- 高知県 - 四万十市
- 被災者生活再建支援法が適用された地域
- 宮崎県、山口県、鹿児島県、高知県の17市町村
- 台風直前の貯水率が0%であった高知県の早明浦ダムが大雨により一気に100%まで回復。水不足が解消した。しかし、この事実を逆に見れば、通常の渇水期水位程度の貯水率が同ダムにあった場合、ダムによる調整が追いつかず下流域にさらなる被害をもたらしていた可能性が高かった[1]。
- この台風のアジア名Nabiは、この台風限りで使用中止となり、次順からはDoksuriというアジア名が使用されることになった。
関連項目
脚注
外部リンク
- テンプレート:PDFlink - 国土交通省
- テンプレート:PDFlink - 総務省消防庁
- テンプレート:PDFlink - 気象庁
- テンプレート:PDFlink - 総務省
- テンプレート:PDFlink - 内閣府防災担当
- 台風14号と前線豪雨関連ページ - 国土地理院
- 災害をもたらした気象事例(台風第14号、前線) - 気象庁ホームページ
- デジタル台風:台風200514号 (NABI)
- ↑ 吉野川水系に係る水問題について - 四国地方整備局 p.5-172