群像新人文学賞
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群像新人文学賞(ぐんぞうしんじんぶんがくしょう)は講談社が刊行する文芸誌『群像』が、1958年に設けた純文学の公募新人文学賞。毎年10月末日締め切り。
目次
応募規定
- 小説・評論の 2 部門制。
- 年 1 回発表。
- 小説部門は400字詰め原稿用紙に換算して250枚以内、評論は70枚以内。
- 受賞者には正賞として 50 万円(優秀作25万円)が授与され、受賞作は選評と合わせて『群像』6月号に掲載される。
過去の応募規定
- 枚数
- 第1回から第6回まで、小説部門は400枚詰め原稿用紙に換算して100枚以内、評論は50枚以内。
- 第7回から第10回まで、小説部門は400枚詰め原稿用紙に換算して50枚前後(長くても100枚以内)、評論は100枚以内。
- 第11回から第46回まで、小説部門は400枚詰め原稿用紙に換算して250枚以内、評論は100枚以内。
- 第47回以降は現在と同じ。
- 賞金
- 第1回から第2回まで、小説部門は10万円、評論部門は5万円。
- 第3回から第21回まで、両部門ともに10万円。
- 第22回から第23回まで、両部門ともに15万円。
- 第24回から、両部門共に30万円
- 第35回から、両部門共に50万円
- 第9回は両部門の受賞者に副賞として「エンサイクロペディア・アメリカーナ(1965年版・全30巻)」が授与された。
- 同人雑誌発表作の扱い
- 第1回から第6回まで、応募締め切りの1年以内に同人雑誌に発表された作品も投稿可能だった。
- 第7回以降、同人雑誌発表作は投稿不可能となった。
- 選評の掲載形式
- 第1回から第6回までは選考座談会が掲載された。
- 第7回以降は各選考委員の選評が掲載されている。
- この形式変更は大岡昇平が師匠格の小林秀雄に真似て速記を直す、なんてことに平野謙がクレームつけたため。
受賞作一覧
小説部門
第1回から第10回
- 第1回(1958年) 当選作なし
- 第2回(1959年) 当選作なし
- 第3回(1960年) 古賀珠子 「魔笛」
- 第4回(1961年) 当選作なし
- 第5回(1962年) 西原啓 「日蝕」
- 第6回(1963年) 文沢隆一 「重い車」
- 第7回(1964年) 三好三千子 「どくだみ」
- 第8回(1965年) 黒部亨 「砂の関係」
- 第9回(1966年) 当選作なし
- 最優秀作 畑山博 「一坪の大陸」
- 第10回(1967年) 近藤弘俊 「骨」
第11回から第20回
- 第11回(1968年) 大庭みな子 「三匹の蟹」(芥川賞受賞)
- 優秀作 深井富子 「ドン・ペドロ二世ホテル」
- 第12回(1969年) 李恢成 「またふたたびの道」
- 第13回(1970年) 勝木康介 「出発の周辺」
- 第14回(1971年) 小林美代子 「髪の花」、広川禎孝 「チョーク」
- 第15回(1972年) 当選作なし
- 第16回(1973年) 当選作なし
- 第17回(1974年) 飯田章(作家) 「迪子とその夫」、森本等 「或る回復」、高橋三千綱 「退屈しのぎ」
- 第18回(1975年) 林京子 「祭りの場」(芥川賞受賞)
- 優秀作 小松紀夫 「隠された声」
- 第19回(1976年) 村上龍 「限りなく透明に近いブルー」(芥川賞受賞)
- 優秀作 来島潤子「海の幸」
- 第20回(1977年) 当選作なし
第21回から第30回
- 第21回(1978年) 小幡亮介 「永遠に一日」、中沢けい 「海を感じる時」(最年少受賞)
- 第22回(1979年) 村上春樹 「風の歌を聴け」
- 第23回(1980年) 長谷川卓 「昼と夜」
- 第24回(1981年) 笙野頼子 「極楽」(「極楽 笙野頼子 初期作品集」に所収)
- 第25回(1982年) 当選作なし
- 優秀作 池田基津夫 「うさぎ」
- 第26回(1983年) 伊井直行 「草のかんむり」
- 第27回(1984年) 華城文子 「ダミアンズ、私の獲物」
- 第28回(1985年) 李起昇 「ゼロはん」
- 優秀作 吉目木晴彦 「ジパング」(「ルイジアナ杭打ち」に所収)
- 第29回(1986年) 新井千裕 「復活祭のためのレクイエム」
- 第30回(1987年) 下井葉子 「あなたについて わたしについて」、鈴木隆之 「ポートレイト・イン・ナンバー」
第31回から第40回
- 第31回(1988年) 石田郁男 「アルチュール・エリソンの素描」
- 第32回(1989年) 当選作なし
- 優秀作 上原秀樹 「走る男」
- 第33回(1990年) 高野亘 「コンビニエンス ロゴス」
- 第34回(1991年) 多和田葉子 「かかとを失くして」(「三人関係」に所収)
- 第35回(1992年) 当選作なし
- 優秀作 中野勝 「鳩を食う」
- 第36回(1993年) 当選作なし
- 第37回(1994年) 阿部和重 「生ける屍の夜」(「アメリカの夜」に改題)
- 第38回(1995年) 当選作なし
- 第39回(1996年)「やさしい光」鈴木けい子
- 優秀作 堂垣園江 「足下の土」
- 第40回(1997年) 岡崎祥久 「秒速 10 センチの越冬」
第41回から第50回
- 第41回(1998年) 当選作なし
- 優秀作 長田司 「水のはじまり」
- 第42回(1999年) 当選作なし
- 第43回(2000年) 横田創 「(世界記録)」
- 優秀作 中井佑治 「フリースタイルのいろんな話」
- 第44回(2001年) 萩原亨 「蚤の心臓ファンクラブ」
- 優秀作 島本理生 「シルエット」
- 第45回(2002年) 早川大介 「ジャイロ!」、寺村朋輝 「死せる魂の幻想」
- 第46回(2003年) 森健 「火薬と愛の星」
- 第47回(2004年) 十文字実香 「狐寝入夢虜」
- 優秀作 佐藤憲胤 「サージウスの死神」
- 第48回(2005年) 樋口直哉 「さよなら アメリカ」
- 優秀作 望月あんね 「グルメな女と優しい男」
- 第49回(2006年) 木下古栗「無限のしもべ」、朝比奈あすか(久保田凜香より改名)「憂鬱なハスビーン」
- 優秀作 深津望 「煙幕」
- 第50回(2007年) 諏訪哲史「アサッテの人」(芥川賞受賞)
- 優秀作 広小路尚祈 「だだだな町、ぐぐぐなおれ」
第51回から第60回
- 第51回(2008年) 松尾依子「子守唄しか聞こえない」
- 第52回(2009年) 丸岡大介「カメレオン狂のための戦争学習帳」
- 第53回(2010年) 淺川継太「朝が止まる」、野水陽介「後悔さきにたたず」
- 第54回(2011年) 中納直子「美しい私の顔」
- 第55回(2012年) 岡本学「失った架空」
- 第56回(2013年) 波多野陸(秦六男より改名)「鶏が鳴く」
- 第57回(2014年) 横山悠太「吾輩ハ猫ニナル」
評論部門
第1回から第10回
- 第1回(1958年) 足立康 「宝石の文学」
- 第2回(1959年) 佐野金之助 「活力の造型」
- 第3回(1960年) 秋山駿 「小林秀雄」
- 第4回(1961年) 上田三四二 「斎藤茂吉論」
- 第5回(1962年) 小笠原克(筆名・大炊絶)「私小説論の成立をめぐって」
- 第6回(1963年) 月村敏行 「中野重治論序説」
- 第7回(1964年) 松原新一 「亀井勝一郎論」
- 第8回(1965年) 渡辺広士 「三島由紀夫と大江健三郎」
- 第9回(1966年) 当選作なし
- 第10回(1967年) 宮内豊 「大岡昇平論」、利沢行夫 「自己救済のイメージ 大江健三郎論」
第11回から第20回
- 第11回(1968年) 当選作なし
- 優秀作 小松万佐子「『現代の神』を索めて」
- 第12回(1969年) 柄谷行人 「意識と自然 漱石試論」
- 第13回(1970年) 当選作なし
- 第14回(1971年) 当選作なし
- 第15回(1972年) 西村亘 「ギリシア人の歎き」
- 第16回(1973年) 本村敏雄 「傷痕と回帰」
- 第17回(1974年) 勝又浩 「我を求めて」
- 第18回(1975年) 当選作なし
- 優秀作 藤林靖晃 「文学に於ける自己と所有」
- 第19回(1976年) 当選作なし
- 第20回(1977年) 中島梓 「文学の輪郭」
第21回から第30回
- 第21回(1978年) 当選作なし
- 第22回(1979年) 当選作なし
- 第23回(1980年) 当選作なし
- 優秀作 川村湊 「異様なるものをめぐって」
- 第24回(1981年) 小林広一 「斎藤緑雨論」
- 第25回(1982年) 加藤弘一 「コスモスの知慧」
- 第26回(1983年) 井口時男 「物語の身体 中上健次論」、千石英世(坂倉洋より改名) 「ファルスの複層 小島信夫論」
- 第27回(1984年) 当選作なし
- 第28回(1985年) 当選作なし
- 第29回(1986年) 清水良典 「記述の国家 谷崎潤一郎原論」
- 第30回(1987年) 高橋勇夫 「帰属と彷徨 芥川龍之介論」
第31回から第40回
- 第31回(1988年) 室井光広 「零の力 J.L.ボルヘスをめぐる断章」
- 第32回(1989年) 当選作なし
- 第33回(1990年) 森孝雄 「『豊饒の海』あるいは夢の折り返し点」
- 第34回(1991年) 渡辺諒 「異邦の友への手紙 ロラン・バルト『記号帝国』再考」
- 優秀作 佐飛通俊 「静かなるシステム」
- 第35回(1992年) 武田信明 「二つの『鏡地獄』 乱歩と牧野信一における複数の『私』」、山城むつみ 「小林批評のクリティカル・ポイント」
- 第36回(1993年) 大杉重男 「『あらくれ』論」
- 第37回(1994年) 池田雄一 「原形式に抗して」、紺野馨 「哀しき主 小林秀雄と歴史」
- 第38回(1995年) 当選作なし
- 第39回(1996年) 当選作なし
- 第40回(1997年) 斎藤礎英 「逆説について」
第41回から第50回
- 第41回(1998年) 鎌田哲哉 「丸山真男論」、千葉一幹 「文学の位置―森鴎外試論」、日比勝敏 「物語の外部・構造化の軌跡―武田泰淳論序説」
- 第42回(1999年) 当選作なし
- 第43回(2000年) 当選作なし
- 優秀作 生田武志 「つぎ合わせの器は、ナイフで切られた果物となりえるか?」
- 第44回(2001年) 青木純一 「法の執行停止 森鴎外の歴史小説」
- 第45回(2002年) 伊藤氏貴 「他者の在処」
- 第46回(2003年) 佐藤康智 「『奇跡』の一角」
- 第47回(2004年) 当選作なし
- 第48回(2005年) 当選作なし
- 第49回(2006年) 当選作なし
- 第50回(2007年) 当選作なし
第51回から第60回
- 第51回(2008年) 武田将明 「囲われない批評 東浩紀と中原昌也」
- 第52回(2009年) 永岡杜人 「言語についての小説-リービ英雄論」
- 優秀作 伊東祐吏「批評論事始」
- 第53回(2010年) 当選作なし
- 第54回(2011年) 彌榮浩樹 「1%の俳句 一挙性・露呈性・写生」
- 第55回(2012年) 当選作なし
- 第56回(2013年) 当選作なし
- 第57回(2014年) 当選作なし
選考委員
- 第1回から第10回 - 伊藤整(第4回欠席)、大岡昇平、中村光夫、平野謙
- 第11回から第15回 - 江藤淳、大江健三郎、野間宏、安岡章太郎
- 第16回から第20回 - 井上光晴、遠藤周作、小島信夫、埴谷雄高、福永武彦
- 第21回から第23回 - 佐々木基一、佐多稲子、島尾敏雄、丸谷才一、吉行淳之介
- 第24回から第26回 - 川村二郎、木下順二、瀬戸内晴美、田久保英夫、藤枝静男
- 第27回 - 秋山駿、遠藤周作、河野多恵子、日野啓三(欠席)
- 第28回から第29回 - 秋山駿、遠藤周作、河野多恵子、日野啓三、三浦哲郎
- 第30回から第32回 - 青野聰、柄谷行人、黒井千次、津島佑子、富岡多恵子
- 第33回から第34回 - 柄谷行人、田久保英夫、津島佑子、三木卓、李恢成
- 第35回から第37回 - 柄谷行人、後藤明生、田久保英夫、三木卓(第37回欠席)、李恢成
- 第38回から第42回 - 柄谷行人、後藤明生、高橋源一郎、中沢けい、李恢成
- 第43回から第46回 - 加藤典洋、川村湊、笙野頼子、高橋源一郎、藤沢周
- 第47回から第51回 - 加藤典洋、多和田葉子、藤野千夜、堀江敏幸、松浦寿輝
- 第52回から第54回 - 伊藤たかみ、絲山秋子、田中和生、長嶋有、松浦寿輝
- 第55回 - 阿部和重、安藤礼二、絲山秋子、奥泉光、松浦寿輝
- 第56回から第57回 - 青山七恵、阿部和重、安藤礼二、奥泉光、辻原登
- 第58回 - 青山七恵、高橋源一郎、多和田葉子、辻原登、野崎歓