絲山秋子
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テンプレート:Infobox 作家 絲山 秋子(いとやま あきこ、1966年11月22日 - )は、日本の小説家。群馬県高崎市在住。本名・西平秋子。「絲山」は曽祖父の弁護士・絲山貞規(父の母方)から拝借した。父は、元・上智大学経済学部教授の西平重喜。
来歴・人物
東京都世田谷区出身。東京都立新宿高等学校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒。卒業後INAXに入社し、営業職として数度の転勤を経験。1998年に躁鬱病を患い休職、入院。入院中に小説の執筆を始める。2001年退職。
2003年、「イッツ・オンリー・トーク」で第96回文學界新人賞を受賞し小説家デビュー。受賞時ペンネームは「あき子」だったが、デビューに際して「秋子」とした。同作品で第129回芥川賞候補となる。2004年、「袋小路の男」で第30回川端康成文学賞受賞。デビューから1年は歴代最短。
2005年、『海の仙人』で第55回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞、『逃亡くそたわけ』で第133回直木賞候補および第27回野間文芸新人賞候補。2006年、「沖で待つ」で第134回芥川賞を受賞した。
「イッツ・オンリー・トーク」は廣木隆一監督によって「やわらかい生活」のタイトルで映画化されている。2011年度の1年間、法政大学の客員教授を務めた。
好きな作家
外部リンクの『作家の読書道』では、ビュトール、ヘンリー・ミラー、セリーヌ、宮沢賢治、井伏鱒二などを挙げている。
絲山賞
一年に読んだ小説の中で一番面白かった作品を「絲山賞」としてブログで発表している。ブログ上の企画に過ぎないが、受賞作の帯にその旨が記載されるなど、一定の評価がある。
- 第1回(2004年度)
- 第2回(2005年度)[1]
- 赤染晶子『うつつ うつら』
- 第3回(2006年度)[2]
- 多和田葉子『海に落とした名前』
- 第4回(2007年度)[3]
- 筒井康隆『ダンシング・ヴァニティ』
- 第5回(2008年度)[4]
- 鹿島田真希『ゼロの王国』
- 第6回(2009年度)[5]
- ドナルド・キーン『日本人の戦争 作家の日記を読む』
- 第7回(2010年度)[6]
- 木下古栗『いい女vs.いい女』
- 第8回(2011年度)[7]
- 松浦寿輝『不可能』
- 第9回(2012年度)[8]
- 由井鮎彦『会えなかった人』
- 第10回(2013年度)
- 小川洋子『ことり』
映画脚本を巡る訴訟
- 絲山の小説・『イッツ・オンリー・トーク』を原作とした映画『やわらかい生活』を巡り、制作会社ステューディオ スリーが、2003年に作品の著作権を管理する文藝春秋との間で原作使用契約を締結し、脚本家・荒井晴彦が脚本を執筆。その後、この脚本が、社団法人『シナリオ作家協会』が編纂・発行する『年鑑代表シナリオ集』の収録作品に選ばれ、収録して出版することになったが、絲山側が「脚本を活字として残したくない」として出版を拒否したため、収録不可能となり、出版できなくなった。契約には「慣行に反する許諾拒否は行わない」と明記されていることから、荒井並びにシナリオ作家協会側は「出版拒否は契約違反」と主張し、絲山を相手取って出版妨害の禁止等を求め東京地裁に提訴した[1]。なお、この時請求した損害賠償額は1円だった。
- 2010年9月10日、東京地裁は荒井らの請求を棄却し、絲山の勝訴となった[2]。判決は、原作使用契約はステューディオ スリーと文藝春秋の間に結ばれていて、当事者ではない荒井並びにシナリオ作家協会側が許諾を求めることはできない、としている。また、脚本の利用に関して荒井の権利は絲山の合意によらなければ行使できない、としている[3]。
- 2011年3月23日、知財高裁は荒井らの控訴を却下又は棄却し、控訴審でも絲山の勝訴となった。控訴審では、絲山の出版拒否が権利濫用に該当するか否かが争われた。原告側は、脚本の出版を阻止することによって守られる絲山の利益は、荒井並びにシナリオ作家協会の逸失利益に比べて客観的に小さいものなので、権利濫用にあたるとした。判決は、絲山が許諾を与えないことは、正当な権利行使の範囲内のものであって、権利濫用にはあたらない、とした[4]。
- 2012年2月16日、最高裁は荒井らの上告申し立てを不受理とし、知財高裁の判決が確定した。
- 訴訟の全過程を通じて、荒井並びにシナリオ作家協会側は「シナリオ」誌上で絲山の非を鳴らしつづけたが、一方、絲山秋子ウェブサイトは訴訟について全く触れなかった。
作品一覧
小説
- イッツ・オンリー・トーク 2004年2月、文藝春秋、のち文庫、ISBN 9784167714017
- イッツ・オンリー・トーク(『文學界』2003年6月号)
- 第七障害(『文學界』2003年9月号)
- 海の仙人 2004年8月、新潮社、のち文庫、ISBN 9784101304519
- 初出:『新潮』2003年12月号
- 袋小路の男 2004年10月、講談社、のち文庫、ISBN 9784062758840
- 袋小路の男(『群像』2003年12月号)
- 小田切孝の言い分(『群像』2004年7月号)
- アーリオオーリオ(『群像』2004年10月号)
- 逃亡くそたわけ(書き下ろし)2005年2月、中央公論新社、のち講談社文庫、ISBN 9784062758062
- スモールトーク(2005年6月、二玄社、のち角川文庫、ISBN 9784544040999)
- スモールトーク(『NAVI』連載)
- 書き下ろしエッセイ、徳大寺有恒との対談を収録。
- ダイナモ(『野性時代』2008年2月号)
- ニート(2005年10月、角川書店)のち文庫
- ニート
- ベル・エポック(『野性時代』2004年7月号)
- 2+1(『野性時代』2005年8月号)
- へたれ(『野性時代』2005年9月号)
- 愛なんかいらねー(『新潮』2005年2月号)
- 沖で待つ(2006年2月、文藝春秋)のち文庫
- 沖で待つ(『文學界』2005年9月号)
- 勤労感謝の日(『文學界』2004年5月号)
- エスケイプ/アブセント(2006年12月20日、新潮社 ISBN 9784104669028)のち文庫
- 初出:『新潮』2006年11月号
- ダーティ・ワーク(2007年4月、集英社、ISBN 9784087748536)のち文庫
- worried about you(『小説すばる』2005年10月号)
- sympathy for the devil(『小説すばる』2005年12月号)
- moonlight mile(『小説すばる』2006年2月号)
- before they make me run(『小説すばる』2006年4月号)
- miss you(『小説すばる』2006年6月号)
- back to zero(『小説すばる』2006年8月号)
- beast of burden(『小説すばる』2006年10月号)
- ラジ&ピース(2008年7月31日、講談社、ISBN 9784062148801)のち文庫
- ラジ&ピース(『群像』2008年7月号)
- うつくすま ふぐすま
- ばかもの(2008年9月、新潮社、ISBN 9784104669035)のち文庫
- ばかもの(『新潮』2008年1月号~8月号連載)
- 妻の超然(2010年9月30日、新潮社、ISBN 9784104669042)のち文庫
- 末裔 講談社、2011年2月
- 不愉快な本の続編 新潮社、2011年9月
- 短編集「ニート」に収録されている『愛なんかいらねー』の続編にあたる
- 忘れられたワルツ 新潮社、2013年4月26日
- 恋愛雑用論
- 強震モニタ走馬燈
- 葬式とオーロラ
- ニイタカヤマノボレ
- NR
- 忘れられたワルツ
- 神と増田喜十郎
随筆
- 絲的メイソウ(2006年7月、講談社、ISBN 9784062134217)のち文庫
- 『小説現代』連載
- 豚キムチにジンクスはあるのか 絲的炊事記(2007年12月、マガジンハウス、ISBN 9784838717880)のち講談社文庫
- 『Hanako』連載
- 北緯14度(2008年11月、講談社、ISBN 9784062150903)のち文庫
- 絲的サバイバル(2009年3月、講談社、ISBN 9784062153621)のち文庫
ラジオ出演
- FMぐんまビタミンカフェ水曜日のパーソナリティを担当
関連項目
脚注
外部リンク
テンプレート:芥川賞- ↑ テンプレート:Cite webテンプレート:リンク切れ
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- ↑ 「シナリオ」2012年10月号
- ↑ 「シナリオ」2012年10月号