レイモンド・カーヴァー
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テンプレート:Infobox 作家 レイモンド・クリーヴィー・カーヴァー・ジュニア(Raymond Clevie Carver Jr.、1938年5月25日 - 1988年8月2日)は、アメリカの小説家、詩人。
人物
オレゴン州クラッツカニーに生まれ、ワシントン州ヤキマに移る。結婚して、長女の誕生後にカリフォルニア州チコのカリフォルニア州立大学チコ校に入学、夜間働きながら創作クラスでジョン・ガードナーに師事する。1960年にフンボルト・ステート・カレッジに移籍し、この頃から学校の文芸誌の執筆や編集作業を始める。1971年に短編「でぶ」がジョセフ・ヘンリー・ジャクソン賞の「特別推薦」に選出され、『ハーパーズ・バザール』に掲載される。
翌1972年にカリフォルニア大学バークレー校の客員教授となるも、アルコール使用障害で入院を繰り返し、妻と別居する。その後詩人のテス・ギャラガーと出会い、交際を始める。
1980年代に代表作の多くを執筆するも、1988年にテスと結婚して程なく肺がんにより死去。
作品内容はアメリカ中流家庭の日常の孤独感、家庭の崩壊、失業や挫折、グロテスクな部分などを淡々とした文体や大胆な締めで書き上げたものが多い。短編小説・ミニマリズムの名手として、ヘミングウェイやチェーホフと並び称されることもある。
日本では小説家の村上春樹が1983年に『僕が電話をかけている場所』を翻訳し、以来ほとんどの作品の翻訳を手がけ、2004年には全集を刊行している。
作品
短編
作品集
- 『頼むから静かにしてくれ』 Will You Please Be Quiet, Please? (1976年)
- 『怒りの季節』 Furious Seasons (1977年)
- 『愛について語るときに我々の語ること』 What We Talk About When We Talk About Love (1981年)
- 『大聖堂』 Cathedral(1983年)
- 『象』 Elephant(1988年)
編集版
- 『僕が電話をかけている場所』 Where I'm Calling From: New and Selected Stories (1988年)
- 『ショート・カッツ』 Short Cuts: Selected Stories (1993年)
- Collected Stories (2009年)
詩
作品集
- 『クラマス川付近』Near Klamath (1968年)
- Winter Insomnia (1970年)
- 『夜になると鮭は・・・』 At Night the Salmon Move (1976年)
- 『ファイアズ』 Fires (1983年)
- 『水と水とが出会うところ』 Where Water Comes Together with Other Water (1985年)
- 『ウルトラマリン』 Ultramarine (1986年)
- 『滝への新しい小径』 A New Path to the Waterfall (1989年)
編集版
- In a Marine Light: Selected Poems (1988年)
- All of Us: The Collected Poems (1996年)
脚本
- Dostoevsky (1985年、ギャラガーと共作)
映画化
- 『ショート・カッツ』 (Short Cuts, 1994)、ロバート・アルトマン監督(いくつかの短編小説に基づく映画化)