萩エクスプレス
萩エクスプレス(はぎエクスプレス)は、防長交通が運行する夜行高速バスで、東京都と広島県大竹市・山口県東部・中部(岩国市・周南市・防府市・山口市・萩市)を結ぶ。当初は「萩エキスプレス」と名乗ったが、のちに語感の良い「エクスプレス」と改めた。
この項目では、現在は統合されて愛称が消滅したポセイドン号及びアルバ号についても沿革を説明する。
概要
全国的に夜行高速バスの路線網が新設されていった1990年代に、首都圏と山口県中部・東部を結ぶ路線として誕生した。路線開設当初は一般道の走行時間を極力抑えることを考慮した結果、県中部(萩・山口・防府)と県東部(徳山・岩国)から首都圏に向けてそれぞれ別々の系統の路線が運行されていたが、沿線人口の少なさもあり採算性の問題から両系統が統合されて現在に至る。
日本でも有数の長距離夜行高速バスとして知られており、2007年現在では「はかた号(西日本鉄道、新宿 - 福岡)に次ぐ長距離路線となっている。ほぼ全線で高速道路を経由するはかた号に比べ、山口県内で約100kmの一般道走行区間があり停留所の数も多いことから、東京 - 萩間の所要時間(約14時間30分)は、はかた号(約14時間20分)をしのぐ長時間運行路線となっている[1]。なお、現在の最長所要時間高速バスはいわみエクスプレス(石見交通・中国ジェイアールバス)の新木場駅 - 津和野駅間で15時間10~40分。
また、かつて共同運行を行っていた京急観光バス(前身含む)は2000年から撤退までの間、在京のバス事業者では最長距離の運用を行っていた。これはかつて在京最長距離の運用であった「はかた号」から京王電鉄バスが撤退(1999年)、またそれに次ぐ長距離であった「ふくふく東京号」(東京 - 下関)からジェイアールバス関東が撤退(2000年)したことによる。在京のバスでは唯一、一日1000kmを超える運用を行っている路線でもあったが、京急観光バスが撤退したため、在京のバスでの最長運用距離の座を「ドリーム高松・松山号」(ジェイアールバス関東)に明け渡している。これを上回る路線として西武観光バスが「Lions Express」(大宮・池袋・横浜 - 福岡)として2011年12月1日より運行開始した。
運行会社
- 防長交通
- 萩営業所所属の車両にて運行。萩-山口宮野間は萩営業所所属の乗務員1名で、山口宮野-東京間は山口営業所所属の乗務員が加わり2名乗務で運転。
- 東京での乗車券発売・運行支援業務はジェイアールバス関東が実施している(電話での予約受付は防長交通のみ)。
沿革
- 1990年12月20日 相模鉄道・防長交通が横浜~岩国・徳山間にポセイドン号を運転開始。
- 1993年4月24日 京浜急行電鉄(当時)・防長交通が東京(品川・浜松町)~防府・萩間に萩エクスプレスを運転開始。
- 1993年11月2日 京浜急行電鉄(当時)・防長交通が東京(品川・浜松町)・横浜~岩国・徳山間にアルバ号を運転開始。同時にポセイドン号を廃止。
- 1998年3月31日 アルバ号を萩エクスプレスに統合し、東京(品川・浜松町)~岩国・徳山・防府・萩間となる。
- 2003年3月20日 山口宮野(防長交通山口営業所、元山口市交通局)にバス停を新設。
- 2003年10月1日 分社化に伴い、京浜急行電鉄担当便が京浜急行バスに移管。
- 2004年 京浜急行バス担当便が羽田京急バスに管理委託。
- 2005年12月1日 京浜急行バス(羽田京急バス)担当便が京急観光バスに移管。
- 2007年6月1日 京急観光バスが運行から撤退、防長交通の単独運行となる(京急は東京側の予約・発券・運行支援業務を継続)。
- 2007年8月10日 この日の出発分から、東京側の発着地を浜松町・品川から霞が関(上りのみ)・東京駅に変更。山口側の停留所を増設。また前日分をもって京急での予約・発券・運行支援業務を終了し、東京での発券・運行支援業務をジェイアールバス関東に移管(電話予約は取り扱わない)。
運行経路
太字は停車停留所。大竹 - 萩間のみの利用不可。
- 東京駅 - 霞が関(東京行き降車のみ) - 霞が関出入口 - (首都高速道路都心環状線・3号渋谷線・東名高速道路・新東名高速道路・伊勢湾岸自動車道・東名阪自動車道・新名神高速道路・名神自動車道・中国自動車道・山陽自動車道) - 大竹IC入口 - (国道2号) - 岩国駅前 - (国道2号) - 岩国IC - (山陽自動車道) - 玖珂IC - 熊毛IC - 徳山東IC - (国道2号) - 徳山駅前 - 国道2号 - 防府駅前 - 国道262号 - 山口宮野 - (県道宮野大歳線) - 山口西京橋 - 山口湯田温泉 - (国道435号・県道小野田美東線) - 大田中央 - (県道萩秋芳線・萩道路・国道262号) - 萩バスセンター
- 東京駅は八重洲南口始発、日本橋口到着。
- 休憩は、いずれも23時前と6時過ぎにはいる(下り富士川SA又は駿河湾沼津SA、宮島SA、上り宮島SA、足柄SA)。
- 東京行きに限り、延着が見込まれる場合等に首都高速道路用賀PAでの途中降車扱いを行う場合がある[2]。
使用車両
防長交通
当初導入されたのは日野・セレガのスーパーハイデッカーで、3列シートの夜行仕様車が使用されている。最初は衛星放送(BS放送)の受信装置を備えた萩エクスプレス専用車両が充当されていたが、現在は京都、大阪行「カルスト号」と共通運用となっている。
車体側面・後方には山口県内の観光地を描いたイラストがデザインされていた(運行開始時から同デザイン)が、2008年に導入されたセレガには防長交通の観光車に準じたシンプルなデザインに変更されている。
現在は、カルスト号と共通の日野・セレガハイデッカーとセレガRスーパーハイデッカー、三菱ふそう・エアロクィーンが主に使用されている。
続行便や代車として旧型セレガスーパーハイデッカーが使用されている。
京急観光バス(撤退)
- 三菱ふそうのスーパーハイデッカー車で、3列シートの夜行仕様車が使用されていた。運行開始当初の京急車は独立3列シート・トイレ付で28人乗り(最後部が4列ではなく3列になっていた)で、防長同様、衛星放送(BS放送)の受信装置が備えられた専用車であった。その後も比較的新しい車両を充当していたが、京急観光バス移管後は東京 - 青森線「ラ・フォーレ号」等と共通運用で、日によってほぼ本州の両端のどちらかに向かう運用となっていた。
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防長交通過去の担当車両(現在はカルスト号専用車)
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京浜急行の車両 品川バスターミナルにて(開業初日)
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京急撤退直前の車両 品川バスターミナルにて
車内設備、サービス
- 座席は一人がけ3列(一部2列)配置。最後尾の座席は完全に倒れない。
- 化粧室
- 使い捨てスリッパ、
- コーヒー、緑茶、おしぼり
- 仕切りカーテン
- 従来の「発車オ~ライネット」に加え、2007年9月1日以降の出発分から「高速バスネット」でも予約や照会ができるようになった。
- 山口湯田温泉の乗車前および防府駅前の到着後に近隣の入浴施設を割引価格で利用できるサービスを行っている[3]。