茨城県立カシマサッカースタジアム

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テンプレート:スタジアム情報ボックス 茨城県立カシマサッカースタジアム(いばらきけんりつカシマサッカースタジアム)は、茨城県鹿嶋市にあるサッカー専用スタジアムである。施設は茨城県が所有し、株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シーが指定管理者として運営管理を行っている。

また、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟する鹿島アントラーズがホームスタジアムとして使用している。

概要

1993年3月26日に完成した全席個別席でスタンド全面が屋根付きの本格的なサッカー専用スタジアムである。スタンドとピッチとの距離が近く、また適度な傾斜がついているため、どの席からでも非常に観戦しやすいスタジアムとなっている。

1999年2002 FIFAワールドカップ開催に合わせてスタンドを増築し、2001年から供用を再開した。スタンドは2層式となり、収容人員も41,800人に増加した。

2006年4月1日からアントラーズの運営会社である株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シーが指定管理者となり、現在に至るまでスタジアムを管理している。活動理念として「THE DREAM BOX.」を掲げ、スポーツ以外の事業などにも取り組んでいる。また、東京駅鹿島神宮駅を結ぶ高速バス路線の一部の便、8往復がスタジアムまで毎日延長運行され、試合日には観戦客輸送のために全ての便が同スタジアムまで直通する。試合開催日には鹿島臨海鉄道大洗鹿島線鹿島サッカースタジアム駅に停車するほか、試合によってはJR東日本の臨時列車が乗り入れるなど、東京方面からのアクセスが改善された。2007年からは、試合前の観戦客を対象にした無料周遊観光バス「鹿嶋めぐり卜伝号」が鹿嶋市や同市観光協会などにより運行されるようになった[1]

現在は、サッカーの試合開催以外にも、健康事業やスタジアム周辺でフリーマーケットの開催なども行っている。健康事業は、アントラーズが2006年10月から開始し、厚生労働省の委託を受けた介護予防事業も行っている。

歴史

テンプレート:Main アントラーズの前身である住友金属工業蹴球団がJリーグに参入する際、施設の面を見ても町内にはプロサッカーリーグの本拠地スタジアムとして想定されていた15,000人の観客を収容可能な陸上競技場や球技場がなかった。住金蹴球団が本拠としていた住友金属工業鹿島製鉄所(現・新日鐵住金鹿島製鐵所)内の多目的グラウンドは約5,000人の収容人数で、プロサッカーリーグの基準が満たせなかったため、鹿島灘に面する卜伝の郷運動公園に建設予定だった3,000人規模のグラウンドを、Jリーグ規格に適合する専用サッカースタジアムに計画を変更して建設することを決定した。

スタジアムのこけら落としカードは1993年5月4日、アントラーズ対フルミネンセFC(ブラジル)とのプレシーズンマッチで、ジーコがスタジアム初ゴールを挙げた。そしてJリーグ公式戦としての初戦(1993年Jリーグ開幕節)である5月16日の1stステージ・対名古屋グランパスエイト戦で、ジーコがハットトリックを達成し、アントラーズは5-0で快勝した。また、ジーコは1994年の現役引退後もテクニカル・アドバイザーなどの形でアントラーズに貢献したことから、スタジアムにはジーコの銅像[2]が建立された。

沿革

施設

ピッチ

  • ケンタッキーブルーグラスを採用している。
  • 常に安定した緑化を保てるよう、ピッチの芝生の根に直接自動給水する装置「セルシステム」と地温コントロールシステム「アンダーヒーティング」を導入している。
    • 1994年のJリーグニコスシリーズ(年間後期)序盤、記録的空梅雨猛暑の影響が災いしてセルシステムの給水管が熱を帯びてしまい、芝生を枯らす事態があった。

スタンド

  • 全層二層式で座席数は合計40,728席となっている。立ち見席はなく、すべての席に椅子が用意されている。2階席は1階席の椅子よりも背もたれが長い。
  • バックスタンドの1階席には赤地に白文字で「KASHIMA」が、2階席には白地に赤文字で「IBARAKI」が入っている。
  • 車いす用観戦スペースはバックスタンド(最前列とピッチの間)に設置されている。
  • 飲料のうち、ペットボトルは500㎖以下で、なおかつふたを外したものであれば持参は可能。
  • メイン・バックスタンドの中央部6ブロックは、肘掛け付き・座面跳ね上げ式の座席となっている。

コンコース・ゲート

コンコース
  • アントラーズホームゲーム開催日には多くの売店が出店する。
  • アントラーズオフィシャルグッズショップ(アントラーズホームゲーム開催日のみ営業)
  • カシマウェルネスプラザウォーキングスペース(中2階)
  • バックスタンド側コンコースの5ゲートと6ゲート付近にエレベーターが設置されている。
ゲート
  • 2ゲートは新日鐵住金(旧・住友金属工業)が命名権を取得したため、名称は「新日鐵住金ゲート」となっている。
  • 3ゲートはアウェイサポーター専用ゲート(鹿島アントラーズホームゲーム開催時)
  • 新日鐵住金ゲートと5ゲートの階段にはエスカレーターが設置されている。

映像装置・広告看板

  • 北サイドスタンド2階席に得点表示板が設置されている(1993年開設時は南サイドスタンド1階席に設置。上部は簡易フリーボードで選手表記などが可能。2001年増築時に現在の場所へ移動)
  • 南サイドスタンド2階席にパナソニック製の大型映像装置が設置されている(2001年増築時に設置)。
  • 2階席最前列にアジア最長となる高さ1m、長さ500mのLED(アビックス製)帯状映像装置「LEDリボンビジョン」が場内をほぼ一周するように設置されている。
  • ゴール裏最前列に設置されている広告看板は回転看板(アドタイム)を使用しており、試合時間帯に応じてアントラーズのスポンサーの広告を切り替えて表示している。この回転盤は1995年から採用されており、当初はピッチ前のみであったが、1999年から客席最前列の部分[4]にも設置されている。

スタジアム内に併設されている施設

カシマウェルネスプラザ

バックスタンド側にスポーツクラブ「カシマウェルネスプラザ」を開設し、鹿島アントラーズ・エフ・シーが運営している。施設内にはトレーニングジムがあるほか、インストラクターによるエクササイズといったプログラムも行われている。また、スタジアムの中2階コンコースにはウォーキングコースが整備されている。 2011年から、ENVIRONのメソッドによるアントラーズスキンケアが開始された。

改修工事

1993年の開場当初、茨城県立カシマサッカースタジアムの収容人員は15,000人だったが、その後立見席を設けたため収容人員は約16,000人となった。だが、茨城県は2002 FIFAワールドカップの開催地として立候補しており、茨城県立カシマサッカースタジアムを開催会場とすることも決まっていたことから、スタジアムの処遇を検討する必要に迫られた。

既存の茨城県立カシマサッカースタジアムを継続使用しながら増築する場合、安全上の問題が生じ消防法に抵触する恐れがあることから、一時はスタジアムを新規に建設する事も検討していた。しかし新規建設の場合は建設コストが多額に及ぶことから、既存の茨城県立カシマサッカースタジアムを増築することとなった。

改築事業は1999年から3年間に及び、アントラーズはこの間茨城県を離れ、ホームゲームを東京都新宿区国立霞ヶ丘陸上競技場(国立競技場)などで行った。当時、茨城県内でJリーグ ディビジョン1(J1)の基準を充足する施設は茨城県立カシマサッカースタジアムしかなかった。また、当時水戸ホーリーホックがホームゲームを行っていた那珂市笠松運動公園陸上競技場は2002年に開催予定だった全国高等学校総合体育大会(インターハイ)に合わせ改修中であり、水戸市立競技場Jリーグ ディビジョン2規格も満たしていなかった。

  • 1999年 既存席の屋根の取り外し工事(1stステージのアントラーズ主催試合は茨城県内を離れて開催)
  • 2000年 2階席(新設)の基礎工事→屋根の架設、座席のひな壇作り
  • 2001年 2階席の仕上げ(座席の設置)、大型映像装置の設置、メイン・バックスタンドの配置換え、芝生の張替え
  • 2001年5月 増築完了。収容人員は41,800人に増加。屋根はアーチ状になっているが、天然芝の養生を促すため、南スタンドの屋根は日光を透過しやすいよう、半透明になっている
  • 2003年 W杯対応終了のため一部改修。現在の収容人員は40,728人

2011年3月の東日本大震災において、観客席を中心に著しく損壊。このためシーズン中での早期復旧・使用再開のため吊屋根式の照明・音響設備を撤去し、2階席の各コーナー付近に照明を設置[5]するなどの応急修理を行ない、2011年6月からスタジアムの使用を再開。シーズン終了後の12月から本格的な修復工事を行ない、2012年3月に完全復旧した。この際同時に耐震化補強が施され、照明など吊屋根式構造物の落下防止として四重の防護柵が設置されるなど、同規模地震に耐える堅牢構造となった。これにより周辺地域の防災拠点としての機能が追加された。

スタジアムグルメ

試合時に販売される食品の質が国内トップクラスと称されるほど非常に高く、売店も多く出店している。人気を示す一例として、Jリーグの公式ファンサイト「J's GOAL」で紹介されているスタジアムグルメ投票では、カシマスタジアム内の各店舗で販売される「もつ煮」が1000票以上を集めて1位、ハムの塊を串に刺す「ハム焼き」が500票以上で8位となっている[6]。この両者は鹿島アントラーズの公式サイトでも「カシマサッカースタジアムはグルメスタジアムと言われるほど、色々な売店があります。定番メニューとして『もつ煮』、『五浦ハム焼き』があげられます」として触れつつ、同時にこの他の店舗も紹介されている[7]

この他、Jリーグでのアントラーズ主催試合ではアントラーズのホームタウンとなっている鹿嶋市・神栖市潮来市鉾田市行方市の5市や、フレンドリータウンとなっている茨城県・千葉県の10市町村のイベントが随時開催され、各市町村の特産食材が提供される。

古い競技場などでは、消防法や設備の関係で敷地内で火を使えず、満足な食品が供給できないことも多いが、茨城県立カシマサッカースタジアムは設計段階からプロサッカーの興行で売店が出店されることを想定していたため、スタジアムコンコース各所にガスや水道のラインが整備され、消防法の基準もクリアした設計がなされており、その場で大量の温かい食品を調理することが可能になっている。

主な大会・イベント

開催実績

通年開催

備考

サッカー以外の利用

  • 鹿島アントラーズ・エフ・シーが指定管理者になったため、スタジアム利活用推進として夏季にはコンコースを活用してビアガーデン営業が行われるようになった。また2011年8月には震災復興チャリティーコンサート SMILE AGAIN Ⅱ〜SONG OF HOPE〜といった音楽活動にも利用されている。
  • 駐車場は試合開催日以外は無料開放されている。そのため、茨城県が進めるパークアンドライド政策では輸送拠点と見なされ[8]、試合の無い日でも東京駅と鹿嶋市内を結ぶ高速バス「かしま号」の一部が同スタジアムを始発・終着地として運行される。
  • 2004年にラグビートップリーグの試合が1試合開催された(サントリーサンゴリアス対トヨタ自動車ウェルブリッツ)。

観戦環境

  • 一般的なスタジアムにおいてゴール裏席は自由席(もしくはゴール裏席)と呼ばれるが、アントラーズのホームゲーム時はサポーターズシートと呼ばれる。
  • 収容人員数が1万5000人だった頃は、Jリーグバブルの時期とも重なりチケットの入手は困難だったが、それでも多数のサポーターがこのスタジアムを訪れた。収容人員数を超える試合も珍しくなかったという。元浦和レッズ福田正博は小さかった頃のカシマスタジアムは非常にやりにくかったと語っている。
  • スタジアムの上空写真をデザインしたオレンジカードをJR成田駅成田空港駅鹿島神宮駅などのみどりの窓口で発売していた。
  • スタジアムが鹿島灘に近いこともあり、試合中にで見づらくなることもある。

アクセス

鉄道

バス

高速バス
  • かしま号 - 東京駅よりカシマサッカースタジアム行きで「カシマサッカースタジアム」下車
    • 上りは鹿島神宮駅水郷潮来バスターミナルのみ停車(降車不可、試合開催日は東京駅直行)
    • 平日は8往復運行され、試合開催日は試合開始6時間前から2時間前まで鹿島神宮駅行きの便がカシマサッカースタジアムまで延伸される。
  • 試合開催日には「かしま号」の他に東京駅-カシマサッカースタジアム間の予約制直行バスが運行されている。
シャトルバス
  • 鹿島神宮駅より有料シャトルバス(試合開催日のみ運行)で「カシマサッカースタジアム」下車

自動車

周辺施設

フォトギャラリー

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脚注

  1. 無料周遊バス「鹿嶋めぐり卜伝号」運行のお知らせ 鹿島アントラーズオフィシャルサイト
  2. なお、鹿嶋市内にはもう一体のジーコ像(ショッピングセンターチェリオ内のジーコ広場内)が存在する。
  3. 3.0 3.1 1999年1stステージと2000年2ndステージ後半、チャンピオンシップは国立霞ヶ丘陸上競技場をメインとして、茨城県外で主催試合を開催。これは当時茨城県内にJリーグ基準を満たしたスタジアムがカシマ以外なかったため(笠松陸上競技場は改修工事中)による。
  4. 1994年-1998年はこの箇所は直接固定貼り付け型の看板・横断幕の設置スペースだった
  5. 一旦撤去した照明設備を2階席各コーナー付近に移設する形で仮設の照明塔として使用。このため当該箇所の客席が閉鎖された
  6. 出典:J's GOAL「2014スタナビβ」内「人気スタグルメ」、2014年8月14日閲覧。
  7. 鹿島アントラーズ公式サイト内、観戦情報、「スタジアムグルメ案内」より、2014年8月14日閲覧。
  8. パークアンドライド・レンタサイクル:茨城県公共交通活性化会議

関連項目

外部リンク

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