まつかぜ (列車)
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スーパーまつかぜは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が鳥取駅 - 米子駅・益田駅間で運行する山陰本線の特急列車である。
なお、本項では山陰地方都市間を結んでいた優等列車の沿革についても記述する。
目次
概要
1988年3月13日から特急「くにびき」として米子駅 - 益田駅間で運転を開始。1996年3月16日からは鳥取駅まで乗り入れることにより、鳥取県東部と島根県西部を結ぶ列車としての役割を担うようになった。その後、2001年7月7日には新型車両の投入を機に「スーパーくにびき」に列車名が変更されたが、2003年10月1日に「スーパーまつかぜ」に変更された[1]。
島根県の東部と西部を結ぶ高速道路網が整備されていないため、「スーパーおき」とともに、島根県の東西の移動には重宝されている特急列車である。
運行概況
2014年3月15日現在の運行概況は次の通り[2]。
鳥取駅 - 米子駅間 (92.7km) に3往復(2・3・8・11・13・14号)、鳥取駅 - 益田駅間 (284.2km) に4往復(1・4-7・9・10・12号)が運転されている。山陰本線内での運転本数は、「スーパーおき」を含めて、鳥取駅 - 米子駅間で下り9本・上り8本、米子駅 - 益田駅間で7往復である。
列車番号は、2001D - 2014Dと運転線区で変更がない。下りは号数+2000の奇数、上りは号数+2000の偶数で、1号が2001D、2号が2002Dである。2008年3月15日から列車番号が変更になり、それまでは2011D - 2020D・2022D・8081Dであった。
停車駅
鳥取駅 - 鳥取大学前駅 - 倉吉駅 - (伯耆大山駅) - 米子駅 - (安来駅) - 松江駅 - (玉造温泉駅) - (宍道駅) - 出雲市駅 - (西出雲駅) - 大田市駅 - (仁万駅) - (温泉津駅) - 江津駅 - (波子駅) - 浜田駅 - (三保三隅駅) - 益田駅
- ( )は一部の列車のみ停車。
使用車両・編成
スーパーまつかぜ | ||||||||
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後藤総合車両所所属のキハ187系気動車のうち、0・10番台が使用されている。なお、500番台が使用されることもある。
グリーン車はすべての列車に連結されておらず、基本的に普通車のみの2両編成で運転されているが、2号のみ4両編成で運転されている。多客期は3両 - 8両編成で運転されている。 テンプレート:-
担当車掌区
- 米子車掌区
- 鳥取鉄道部
山陰地方都市間優等列車概略
石見
1961年3月から1985年3月まで、鳥取駅・米子駅 - 益田駅間で運転されていた準急列車・急行列車である。1959年に運転を開始した米子駅 - 博多駅間の準急「やくも」の利用が好評なため、その増発列車として運転されていた列車である。1970年ごろまでは対抗する公共交通機関がなく乗車率は高いため、一時期は一等車も連結されていた。1975年3月に運転区間は米子駅 - 益田駅間に短縮されるが、1982年に下り列車のみ鳥取駅始発で運転されたが、1985年3月に快速列車に列車種別が変更されて、廃止された。
列車名は、島根県西部の旧国名である石見国が由来となっている。
はぎ・ながと
1972年3月に山陽新幹線新大阪駅 - 岡山駅間の開業による山陰本線の優等列車の整備によって、米子駅 - 長門市駅間で運転を開始した急行列車である。下り列車は米子駅 → 益田駅間で「だいせん」と、上り列車は浜田駅 → 米子駅間で「しんじ」と併結運転されていた。
しかし、1975年3月に「はぎ」は「ながと」に改称されたが、1982年に「やくも」の増発により、出雲市駅 - 長門市駅間に短縮された。しかし、1985年3月に運転区間が浜田駅 → 小倉駅間と下関駅 → 益田駅間に変更され、片道のみであるが九州まで運転されていた。
列車名は、「はぎ」は山口県萩市が、「ながと」は山口県西部の旧国名である長門国が由来となっている。
くにびき
1988年3月に米子駅 - 益田駅間で運転を開始した特急列車である。1996年10月に鳥取駅 - 益田駅間に運転区間が延長され、1997年に2往復に増発された。2001年に山陰本線安来駅 - 益田駅間の高速化により新型車両が投入された際に「スーパーくにびき」に変更されるとともに、5往復に大増発された。2003年10月に現行の「スーパーまつかぜ」に列車名が再度変更されている。
列車名は、『出雲国風土記』に記されている国引き神話が由来となっており、公募によって決定された。
美保
1962年12月に鳥取駅 - 境港駅間で運転を開始した準急列車である。当時の気動車ブームの中で運転を開始し、鳥取県内のみを走る列車として、弓ヶ浜半島の東側に広がる美保湾にちなんでこの列車名が付けられた。この列車は境線の最初で最後の優等列車で、1966年に急行列車化されたものの、1968年に境線内で普通列車として運転されるようになると、1969年に境線の乗り入れが廃止され、鳥取駅 - 米子駅間の運転に短縮された。しかし、1970年には鳥取駅 - 出雲市駅間に、1972年には福知山駅 - 出雲市駅間に運転区間が延長された。東京駅 - 浜田駅間で運転されていた急行「出雲」が寝台特急に変更されたことによる措置であったが、1980年に再び鳥取駅 - 出雲市駅間の運転に戻され、1982年7月に快速列車・普通列車に置き換えられて、廃止された。
いなば
1996年3月から1997年11月まで鳥取駅 - 米子駅間で運転されていた特急列車である。運転開始当時は、約17年ぶりに「いなば」の名称が使用されることになったが2年にも満たない期間で名称変更され、1997年11月から運転を開始した岡山駅 - 鳥取駅間の特急列車に「いなば」が使用されるようになった。
山陰地方都市間優等列車沿革
- 1961年(昭和36年)3月1日:鳥取駅 - 益田駅間で準急「石見」(いわみ)が運転開始。
- 1962年(昭和37年)12月1日:鳥取駅 - 境港駅間(山陰本線・境線経由)で準急「美保」(みほ)が運転開始。
- 1966年(昭和41年)3月5日:準急列車制度の見直しにより準急「石見」「美保」が急行列車になる。
- 1967年(昭和42年)10月1日:「石見」の鳥取駅 - 米子駅間で大阪駅 - 米子駅間(姫新線・因美線経由)の急行「かいけ」と併結運転開始。
- 1968年(昭和43年)10月1日:ヨンサントオのダイヤ改正により、「美保」の米子駅 - 境港駅間が普通列車として運転されるようになる。
- 1969年(昭和44年)10月1日:「美保」の運転区間が鳥取駅 - 米子駅間に変更される。
- 1970年(昭和45年)10月1日:「美保」の運転区間が鳥取駅 - 出雲市駅間に変更される。
- 1972年(昭和47年)3月15日:「美保」の運転区間が福知山駅 - 出雲市駅間に延長される。米子駅 - 長門市駅間で「はぎ」が運転開始。
- 1975年(昭和50年)3月10日:ダイヤ改正により、次のように変更。
- 「石見」は米子駅発着に変更となり併結区間が無くなる。
- 「はぎ」が「ながと」に改称されて廃止。
- 1980年(昭和55年)10月1日:「美保」の運転区間が再び鳥取駅 - 出雲市駅間に変更される。
- 1982年(昭和57年)
- 7月1日:「まつかぜ」の鳥取駅発着列車が米子駅まで延長、同時に使用車両がキハ181系に変更(博多発着列車はキハ80系を継続)。
- 11月15日:「美保」が廃止。
- 1985年(昭和60年)3月14日:ダイヤ改正により、次のように変更。
- 急行「石見」が廃止。
- 急行「ながと」の運転区間が浜田駅 - 下関駅・小倉駅間に変更。
- 1988年(昭和63年)3月13日:米子駅 - 益田駅間で特急「くにびき」が運行開始。
- 1996年(平成8年)3月16日:「くにびき」が鳥取駅発着に変更され、鳥取駅 - 益田駅間で1往復になる。鳥取駅 - 米子駅間で特急「いなば」1往復が運転開始。
- 「いなば」の運転時刻は、改正前まで京都駅 - 米子駅間を走っていた特急「あさしお」のダイヤを部分的に継承した。
- 1997年(平成9年)11月29日:「いなば」が「くにびき」に統合されて廃止され、「くにびき」は鳥取駅 - 米子駅間1往復、鳥取駅 - 益田駅間1往復になる。
- 2001年(平成13年)7月7日:「くにびき」に気動車キハ187系気動車が投入され、「スーパーくにびき」に改称。鳥取駅 - 米子駅間1往復、鳥取駅 - 益田駅間2往復、米子駅 - 益田駅間2往復。
- 2003年(平成15年)
- 2006年(平成18年)3月19日:寝台特急「出雲」廃止に伴い、毎日運転の臨時列車として、鳥取駅 → 米子駅間で特急「スーパーまつかぜ」81号が運転開始[4]。
- 2008年(平成20年)3月15日:鳥取駅 - 米子駅間で1往復増発し、鳥取駅 - 米子駅間3往復(うち下り1本は毎日運転の臨時列車)、鳥取駅 - 益田駅間が4往復になる。4・7号が西出雲駅に停車するようになり、全車自由席の2・81号が指定席連結に変更。これにより全列車に座席指定席が設定される。
- 2009年(平成21年)
- 2010年(平成22年)3月13日:上下各3本が鳥取大学前駅に停車するようになる。毎日運転の臨時列車であった81号が定期列車となる[6][7]。
- 2011年(平成23年)3月12日:下り3本と上り2本が鳥取大学前駅に、上下各1本が伯耆大山駅に停車するようになる[8]。
- 2012年(平成24年)10月6日:山陰デスティネーションキャンペーン開催に合わせ、同年11月25日までの土日祝日に7・10号が山口線新山口駅まで延長運転[9][10]。また、キハ189系を使用した臨時列車「スーパーまつかぜ96号・97号」(運転区間は鳥取~出雲市)が運転された。
- 2014年(平成26年)3月15日:鳥取大学前駅が全停車駅に昇格。[11]
参考文献
- 寺本光照『国鉄・JR列車名大事典』中央書院、2001年。ISBN 4-88732-093-0。
- 今尾恵介・原武史『日本鉄道旅行歴史地図帳-全線・全駅・全優等列車- 11号・中国四国』新潮社、2011年。ISBN 978-4-10-790045-6。
脚注
外部リンク
- テンプレート:外部リンク/JR西日本車両案内
- 特急「まつかぜ」 - 鉄道コム